JP6598092B2 - 伸縮可能な梯子 - Google Patents

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Description

本発明は長さ方向に伸縮自在の梯子に関する。特に吊下箇所に掛け止めて下方に向けて伸長させて使用状態とする伸縮可能な梯子に関する。
一般的に、吊り下げ梯子は広く使用されている。ここでは、吊り下げ梯子とは平常時には壁面に固設されておらず、使用時に動的に吊下箇所から吊り下げられ、使用が終了すれば吊下箇所から取り外されて回収されるタイプを指している。例えば、作業において高所から下方の作業現場へ降りてゆく移動手段として作業時に吊下箇所に吊下される作業用吊り下げ梯子や、建物や電車などお客が外部に避難する必要が生じた緊急時に下方へ避難するための避難手段として吊下箇所に吊下される避難用吊り下げ梯子などがある。その他にも用途に応じて様々なバリエーションがあり得る。
従来技術において、吊り下げ梯子として幾つかの構造が知られている。
例えば、特開2006−299800号公報(特許文献1)に開示された建物のベランダなどに設置される避難梯子が知られている。この避難梯子は、図19に示すように、上下に隣接する2本の横桟1の両端部同士を連結する折り畳み自在な縦材2を横桟端部付近に穿設したスリット1aを通して横桟の内部に導き、横桟と結合ピン4によって結合することにより不使用時には縦材が横桟の内部に折り畳まれて収納され、また使用時には、伸長垂下した縦材の下側部材2bが、縦材と横桟の結合ピンに配設したスプリングバネの先端が延伸された端部の先端に接触して内側にわずかに押し戻される力を受け、避難はしご使用後片づける際、縦材が内側に確実・容易に折り畳まれるように工夫したものである。
特許文献1の避難梯子は、上部には利用者が手で掴む手すり体のような部材がない。
例えば、特開2012−255275号公報(特許文献2)に開示された掘削溝の作業現場用の作業用吊り下げ梯子が知られている。この特許文献2の掘削溝現場の作業用の吊り下げ梯子は、図20に示すように、作業現場の掘削溝の上端から吊り下げて用いる梯子10であって、その各横桟1が縦桟2に対して傾動可能な構造となっており、各横桟1が縦桟2に対して直交方向に伸び出した使用状態1Lと、縦桟2と同じ方向に折り畳まれた収納状態1Mに変化させることができ、収納状態1Mにおいて横桟1の出っ張りを小さくするできるものである。
特許文献2の掘削溝現場の作業用の吊り下げ梯子は、上部に作業員の利便性のため手すり体6aを備えた構造となっている。
このような吊り下げ梯子は、用途に応じて様々な構造や特徴が求められるが、概ね、以下の特徴が要求される。
第1の特徴は、収納時の状態がコンパクトであり可搬性に優れていることである。伸縮可能であって、収納時(不使用時)には嵩張らずコンパクトに短縮収納状態となって収納保管が容易で、取り出して持ち運ぶ際にも軽くて可搬性に優れていることが要求される。
第2の特徴は、使用時のセッティングが簡単なことである。吊下箇所から吊り下げるだけで簡単に伸長して伸長使用状態となることである。
第3の特徴は、使用時の強度、安定性である。吊下箇所から吊り下げてセッティングした状態において、利用者の体重をしっかりと支持できるよう構造的強度が確保されているとともに、使用時に揺動せず、横桟の上に足を載せやすい構造であるなどの使用利便性が確保されていることが要求される。
第4の特徴は、使用終了後に収納状態へ再度戻す作業が簡単なことである。吊下箇所から吊り下げて使用した後、収納状態へ再度戻す作業が必要となるがその回収作業が簡単であることが好ましい。
第5の特徴は、安全性である。梯子は利用者が上段付近を昇降する状況では、周囲に手で掴むものがない場合、体重移動などが難しく、何か掴む手すり体のようなものがあれば利便性が高いが、一般に梯子を掛ける周囲には手すりのようなものがない場合が多い。この第5の特徴である安全性の問題は、下から上へ掛ける掛け梯子であっても、上から下へ掛ける吊下梯子であっても事情は同じである。
特開2001−315640号公報 特開2012−255275号公報
ここで、上記の吊り下げ梯子のうち、作業用吊り下げ梯子と避難用吊り下げ梯子では、上記列挙した特徴に対する要望の強さが異なる。
避難用吊り下げ梯子は、火災など緊急時の避難が最大の目的であるため、第2の特徴と第3の特徴が最重要であり、他の第1の特徴や第4の特徴の優先度は低い。
しかし、作業用の吊り下げ梯子は、上記の第2の特徴と第3の特徴が重要であることには変わりはないが、作業効率の点から上記の第1の特徴、第4の特徴、第5の特徴も重要となってくる。
上記した特許文献1の特開2006−299800号公報に開示された建物のベランダなどに設置される避難梯子は、第1の特徴である収納時の状態がコンパクトであり可搬性に優れている点は満たされており、第2の使用時のセッティングが簡単な点も満たされているが、第3の特徴である使用時の安定性や利便性は欠いている。全体として搖動しやすく、また横桟の面積が小さく、壁面に沿って吊下した場合には横桟に足を載せ置くことが困難である。また、第4の特徴である使用終了後に収納状態へ再度戻す作業の容易性については、ある程度工夫はされているものの、いまだ簡単なものとは言えない。全般的に避難梯子は、第3の特徴と第4の特徴が満たされていない。さらに、上端の横桟の上には利用者が掴めるような手すり体がなく、第5の特徴は満たされていない。
次に、特許文献2の特開2012−255275号公報に開示された掘削溝の作業現場用の作業用吊り下げ梯子は、上記の第2の特徴、第3の特徴、第5の特徴が満たされているが、長さ方向に伸縮できないものである。つまり、長さ方向に伸縮しないため、第1の特徴、第4の特徴を満たさず、そのままの長さで現場に持ち込んで使用し、使用後にそのままの長さで撤去回収せざるを得ない。掘削溝のように昇降する高さが1〜2m程度の現場であれば用を足すが、マンホールのように3m以上(深いものでは10m以上)昇降しなければならない現場や、建物の避難用のベランダなどには使用できないという問題がある。
上記のように、第1の特徴から第5の特徴を個別に満たす梯子はあるが、すべてを満たす梯子は知られていない。特に、第5の特徴である安全性の問題については以下の問題がある。
図20に示した特許文献2のように、伸縮しない手すり体6aを備えた梯子は知られている。しかし、利用者は梯子本体の上端付近の横桟を踏みながら手すり体の横を通過して昇降動作を行うため、手すり体は左右で独立した筒状または棒状のものであり、左右の手すり体を連結するような横桟は設けることができない。そのため、単純に手すり体6a自体を梯子本体に対して摺動可能として伸縮式にすると、手すり体の構造的強度が不足するおそれがあり、ロック機構の安定性も不足するおそれがある。例えば、手すり体の遊びが大きくなったり、梯子本体に対して水平方向に回転遊びが大きくなったりすると、降下開始時の利用者が扱いづらく、不安を覚えることもあり得る。
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、使用時には作業箇所に対して吊り下げるだけで容易に伸長使用状態となるとともに、手すり体も摺動伸長させて上端の横桟よりも高い位置に展開でき、かつ、手すり体のロック状態において安定した堅固な構造であり、収納時には伸縮式で手すり体も摺動させてコンパクトに短縮収納状態にできる梯子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の伸縮可能な梯子は、所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筒状支柱体と前記筒状支柱体の間に設けられた横桟を備えた梯子基本部材を基本単位とし、前記梯子基本部材同士が前記筒状支柱体の筒軸線方向に入れ子状態で摺動可能に順次接続したものであり、前記梯子基本部材が摺動収納された短縮収納状態と、前記梯子基本部材が摺動伸長した伸長使用状態を持つ伸縮式の梯子本体と、前記梯子本体のうち最上段にある前記梯子基本部材の前記筒状支柱体に対して前記筒軸線方向に入れ子状態で摺動可能に接続され、摺動収納された短縮収納状態と、摺動伸長した伸長使用状態を持つ伸縮式の手すり体と、当段と下段の前記梯子基本部材同士が摺動して前記伸長使用状態になったことを契機として前記梯子基本部材同士を一時的にロック状態に固定するロック機構と、外部からの操作を契機として前記ロック機構のロック状態を解除し、当段と下段の前記梯子基本部材同士を摺動可能のロック解除状態にするロック解除機構と、吊下箇所に対して吊り下げて掛け止めする掛止具を備えた伸縮可能な梯子である。
上記構成により、本発明の梯子が伸縮式の手すり体を備え、使用時には梯子本体のうち最上段にある横桟より高い位置に手すり体を展開することができ、収納時には梯子本体に収める形で短縮状態にすることができる。
なお、上記構成において、ロック機構が、各段の横桟に組み込まれた付勢バネと、付勢バネで付勢が付けられて摺動する嵌入ピンと、筒状支柱体に穿たれている嵌入孔を備え、最上段以外のロック機構において、嵌入ピンが筒状支柱体を貫通しない長さであり、嵌入孔が筒状支柱体の対向面側のみで外側にまで貫通せず、最上段以外の各段のロック機構の横桟から嵌入ピンを筒状支柱体の嵌入孔に嵌入することでロック状態となり、ロック解除機構により嵌入ピンを嵌入孔から抜き出すことでロック解除状態となる構造であり、最上段のロック機構において、嵌入ピンが最上段の筒状支柱体を貫通する長さであり、嵌入孔が筒状支柱体の対向面側から外側にまで貫通しており、手すり体のロック状態において、最上段のロック機構の横桟から嵌入ピンが最上段の筒状支柱体を貫通してロック状態となり、ロック解除機構により嵌入ピンを最上段の筒状支柱体の貫通状態から抜き出す構造であることが好ましい。
上記構成により、伸縮式の手すり体が、ロック状態において、嵌入ピンが最上段の筒状支柱体を貫通して固定されてロック状態となっており、嵌入ピンが筒状支柱体に対して少なくとも2か所にわたって当接するため、手すり体のロック状態において安定した堅固な構造となる。収納時にはロック解除機構により嵌入ピンを最上段の筒状支柱体の貫通状態から抜き出すことにより簡単にロック解除状態にできる。
次に、ロック解除機構の操作レバーについて説明する。
ロック解除機構の操作レバーとして、例えば、横桟の正面に組み込まれて突出し、ロック機構の嵌入ピンの動きと連動するタイプのものがある。このタイプの操作レバーであれば、操作レバーを横方向にスライドさせることにより嵌入ピンを横方向にスライドさせ、嵌入ピンを嵌入孔から抜き出すことができる。
次に、ロック解除機構の操作レバーとして、例えば、横桟の下面に組み込まれて突出し、ロック機構の嵌入ピンの動きと連動するタイプのものがある。例えば、当段の梯子基本部材の嵌入ピンが嵌入孔に嵌入して当段のロック機構がロック状態にある状態において、下段の梯子基本部材のロック機構のロック状態が解除されて当段の梯子基本部材に対して下から上へ摺動し、下段の梯子基本部材の横桟の上面が、当段の横桟の下面から突出しているロック解除機構に当接して押し上げてゆくと、嵌入ピンが嵌入孔から抜け出る方向に動き、嵌入ピンが嵌入孔から抜け出ると、当段のロック解除機構により当段のロック機構のロック状態が解除された状態となり摺動可能となる構造がある。
操作レバーに対する操作としては、例えば、ロック解除機構への外部からの操作が、ロック解除機構の部材に対する下方から到来する下段の横桟による押し込み操作とすることができる。
このように、操作レバーを上方へ押し上げることによってロック解除状態となるので、簡単にロック状態からロック解除状態へ切り替えることができ、梯子基本部材が摺動可能となるため、梯子の使用終了時における回収・収納が簡単にできる。
手すり体の上端に、最上段にある梯子基本部材の筒状支柱体の径よりも大きいサイズの把持体を備えた構成とすることが好ましい。手すり体の上端に把持体を設けることにより、しっかりと手で把持体をつかむことができ、利用者が扱いやすくなる。
本発明の伸縮可能な梯子によれば、梯子本体を展開する際には横桟を押し上げて梯子基本部材同士が摺動し合って展開できるとともに、梯子本体のうち最上段にある横桟より高い位置に手すり体を展開することができ、使用時にはしっかりと手すり体を把持することができ、取り扱いやすくなる。また、収納時には手すり体を梯子本体に収める形で短縮状態にすることができる。
実施例1にかかる伸長使用状態における梯子100の構成例を模式的に示す図である。 梯子100の展開時における、梯子基本部材101の接合部分のロック機構130によりロックが掛かる仕組みを簡単に示す図である。 梯子100の回収時におけるロック機構130のロックを解除する仕組みを簡単に示す図である。 最下段のロック機構130に対するロック解除操作レバー160によるロックを解除する仕組みを簡単に示す図である。 短縮収納状態にある梯子100を吊下箇所に吊下して短縮収納状態から展開して伸長使用状態とする手順を説明する図である。 伸長使用状態にある梯子100を回収して短縮収納状態に変化させる手順を説明する図である。 実施例2にかかる伸長使用状態における梯子100の構成例を模式的に示す図である。 実施例3にかかる、伸長使用状態における梯子100の構成例を模式的に示す図である。 短縮収納状態にある実施例3にかかる梯子100を吊下箇所に吊下して短縮収納状態から展開して伸長使用状態とする手順を説明する図である。 実施例3にかかる伸長使用状態にある梯子100を回収して短縮収納状態に変化させる手順を説明する図である。 梯子100aの回収時における、最上段以外の各段のレバー回転式ロック機構130aのロックをロック解除機構140aにより外す仕組みを簡単に説明する図である。 最上段のワイヤー式ロック機構130−2aの動作およびロック解除機構140−2aの動作の概略を示す図である。 最上段のワイヤー式ロック機構130−2aが作動して手すり体150aのロックが掛かる仕組みを詳しく説明する図である。 梯子100aの回収時における、最上段のロック解除機構140−2aにより手すり体150aとロック機構130−2aのロックを解除する仕組みを簡単に示す図である。 実施例3にかかる、手すり体150b、ロック機構130−2bおよびロック解除機構140−2bを取り出して示した図である。 手すり体150内部のワイヤー式ロック機構130−2bの動作およびロック解除機構140−2bの動作の概略を示す図である。 図16(c)のロックが掛かる様子を詳しく示した図である。 図16(e)のロックが解除される様子を詳しく示した図である。 特開2006−299800号公報(特許文献1)に開示された建物のベランダなどに設置される避難梯子を示す図である。 特開2012−255275号公報(特許文献2)に開示された掘削溝の作業現場用の作業用吊り下げ梯子を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の伸縮可能な梯子の実施例を説明する。
本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な形状、デザイン、個数、角度などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1は、ロック解除機構の操作レバーが横桟の正面に組み込まれて突出し、ロック機構の嵌入ピンの動きと連動する『ワイヤー式ロック機構のタイプ』が適用された構成例となっている。
実施例2は、ロック解除機構の操作レバーが横桟の下面に組み込まれて突出し、ロック機構の嵌入ピンの動きと連動する『レバー回転式ロック機構のタイプ』が適用された構成例となっている。
図1は、実施例1にかかる伸縮可能な梯子100の構成例を模式的に示す図である。
実施例1の梯子100は、ロック解除機構の操作レバーが『ワイヤー式ロック機構のタイプ』が適用された構成例となっている。
図1には伸長展開状態の梯子100の正面図(作業者が昇降する面)および側面図と、短縮収縮状態の梯子100の正面図、梯子基本部材101の各図を示している。なお、背面は図示しないが、使用に際して表裏が厳に決まっているわけではなく、背面を正面において使用しても良い。
実施例1の伸縮可能な梯子100の構成例は上方へ伸長して展開する掛け梯子となっているが、下方へ伸長して展開する吊下梯子でも原理的には適用できる。
この構成例では、基本単位の梯子基本部材101は8段で構成され、横桟の数で言えば最下段も含めて9段設けられている例である。本発明の梯子100は、梯子基本部材101を基本単位として上下方向に摺動可能に複数個を連続的に組み合わせたものとなっており、梯子100全体として、伸縮式のものとなっている。
梯子基本部材101は、左右一対の筒状支柱体110と、筒状支柱体110の間に設けられた横桟120と、ロック機構130と、ロック解除機構140、手すり体150を備えた構造となっている。最上段の横桟は横桟120−2となっており、ロック機構130−2と、ロック解除機構140−2となっており、他の各段のものとは少し異なるものとなっている。最下段の横桟は固定横桟121となっており、筒状支柱体110に対して固定されている構造例となっている。
また、図1に示すように、梯子100全体としては、基本構成単位である梯子基本部材101のほか、手すり体150を備えている。
以下、各構成要素を説明する。
筒状支柱体110は、図1に示すように、所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の支柱体である。素材は、アルミニウムなどの軽金属で構造的強度が強い素材で形成することが好ましい。
各々の梯子基本部材101にはある程度の剛性・強度が必要である。梯子基本部材101は作業個所において梯子として作業者の昇降を支える機械的強度が必要となるからである。また、作業員が多少の重量の荷物も担った状態で昇降することもあり得るため、その荷重にも耐える必要がある。
梯子基本部材101ごとの筒状支柱体110の長さは特に限定されないが、人間が一段ずつ昇降する際の歩幅に適切な長さであれば良い。
横桟120は、筒状支柱体110の間に設けられた横架された部材であり、作業者が昇降時に足を載せ置く部分である。横桟120は梯子100の梯子1段分となっている。この例では、梯子基本部材101の筒状支柱体110の上端付近同士を横桟120が結ぶ形で設けられた例となっている。
横桟120の素材は、アルミニウムなどの軽金属で構造的強度が強い素材で形成することが好ましい。横桟120にはある程度の剛性・強度が必要である。作業者の昇降を支える機械的強度が必要となるからである。また、作業員が多少の重量の荷物も担った状態で昇降することもあり得るため、その荷重にも耐える必要がある。
横桟120の横方向の長さは特に限定されないが、作業員が1人ずつ昇降することを前提としたものであれば、少なくとも人間の腰幅程度の長さは必要である。
次に、梯子基本部材101同士の摺動について説明する。
各々の梯子基本部材101は、図1に示すように、最上段の梯子基本部材101から最下段の梯子基本部材101にかけてそれらの筒状支柱体110の筒部の径の大きさが下に行くほど順次大きくなるように設けられており、それらが入れ子式になっており筒状支柱体110の筒軸線方向に摺動可能に順次接続されたものとなっている。つまり、当段の梯子基本部材101の筒状支柱体110に対してその直下にある下段の梯子基本部材101の筒状支柱体110は筒部の大きさが一回り大きいものとなっており、入れ子式になっている。
当段の梯子基本部材101の筒状支柱体110の筒部は、下段の梯子基本部材101の筒状支柱体110の筒部に対して摺動して出し入れできるようになっており、下方に引き出すことにより伸長状態となり、上方に押し込むことにより短縮状態となる。各段の梯子基本部材101がすべて摺動して短縮状態となった場合、梯子100全体が短縮収納状態となり、各段の梯子基本部材101がすべて摺動して伸長状態となった場合、梯子100全体も伸長状態となる。
ロック機構130の動作およびロック解除機構140の動作の概略について詳しく説明する。
実施例1は、ロック解除機構の操作レバーが横桟の正面に組み込まれて突出し、ロック機構の嵌入ピンの動きと連動する『ワイヤー式ロック機構のタイプ』が適用された構成例である。
ここで、図1に示すように、最上段以外の各段のロック機構130およびロック解除機構140と、最上段のロック機構130およびロック解除機構140は、構成、長さについて異なる点がある。そこで、最上段以外の各段と、最上段について分けて分説して説明する。
図2は、最上段以外の各段のロック機構130の動作およびロック解除機構140の動作の概略を示す図である。
図2(a)に示すように、横桟120の表面の左右に操作レバー141が突出しており、その操作レバー141を左右にスライド移動させるための溝が設けられており、この溝に沿って操作レバー141が移動する。図2(b)に示すように、操作レバー141が外側にスライド移動している場合は後述するロック機構130が外側に移動してロックが掛かる仕組みとなっている。図2(c)に示すように、操作レバー141が中央側にスライド移動している場合は後述するロック機構130が中央側に移動してロックが外れる仕組みとなっている。
以下、最上段以外の各段と、最上段について分けて分説して説明する。
ロック機構130は、各段の梯子基本部材101同士の連結部において、伸長使用状態となったことを契機として梯子基本部材101同士の摺動を一時的にロックするロック機構である。
まず、最上段以外の各段のロック機構130について詳述する。
図3は、最上段以外の各段のワイヤー式ロック機構130が作動してロックが掛かる仕組みを説明する図である。
なお、図3では、横桟120の左端部と対向する筒状支柱体110の一部が示されており、内部の構造が分かりやすいように一部が断面図で示されている。筒状支柱体110の筒部の径の大きさが下に行くほど順次大きくなっており、1つ上段の筒状支柱体110が当段の筒状支柱体110の中に入れ子式で入り込むものとなっている。
なお、図示していないが、横桟120の右端部にも図3とは左右対称の同様の構造が設けられている。
図3に示すように、ロック機構130は、この実施例1の構成例では、嵌入ピン131、付勢バネ132、嵌入孔133を備えた構成となっている。
図3に示すように、横桟120の左端部の内部には、突出可能に付勢された嵌入ピン131と付勢バネ132が設けられており、筒状支柱体110の一部には、嵌入孔133が形成されている。このように、嵌入ピン131は左側に付勢が付けられており、嵌入孔133の位置にくると突出して挿通可能に形成されている。
また、嵌入ピン131は外方に向いており、嵌入ピン131の動作は左右水平方向にスライドする動作となる。
図3(a)に示すように、梯子基本部材101が展開されて上昇してゆく中、嵌入ピン131の先端が嵌入孔133に至ると、図3(b)に示すように、付勢バネ132の付勢力により嵌入ピン131が突出し、嵌入孔133に嵌入するようになっている。そのため、図3(b)に示すように、嵌入孔133がある位置に嵌入ピン131が来れば、付勢バネ132の付勢により嵌入ピン131が突出し、図3(c)に示すように、嵌入ピン131の先端が嵌入孔133内に嵌入し、梯子基本部材101が伸長使用状態において摺動不能に固定されることとなる。
図3は、横桟1段分の動きのみを示しているが、梯子100が各段の梯子基本部材101が展開されてゆく中、各段の横桟120において図3に示したロック機構130によるロックが次々と掛かって伸長使用状態となる。
次に、最上段以外の各段のロック解除機構140について詳述する。
ロック解除機構140は、外部からの操作を契機としてロック機構130のロック状態を解除し、梯子基本部材同士を摺動可能にする機構である。
ロック解除機構140は、この実施例1の構成例では、操作レバー141、ロック解除ワイヤー142を備えた構成となっている。図3では、ロック解除ワイヤー142の一部のみが示され、操作レバー141は図示されていない。
ロック解除機構140の動作について詳しく説明する。
図4は、梯子100の回収時における、最上段以外の各段の梯子基本部材101の接合部分のロック解除機構140によりロック機構130のロックを解除する仕組みを簡単に示す図である。
一連の動きの中で、ロック解除機構140はロック解除ワイヤー142を介して嵌入ピン131と連動するようになっている。
梯子100の回収を開始する直前までは、図4(a)に示すように、付勢バネ132により嵌入ピン131が左側の筒状支柱体110の嵌入孔133に押し込まれた状態が維持され、ロックが掛かっている。
ここで、図4(b)に示すように、外部からロック解除ワイヤー142を中心側(図中右側)に引く操作を契機として、連動している嵌入ピン131が中心側(図中右側)に移動する。嵌入ピン131が嵌入孔133から外れると、ロック機構130のロック状態が解除される。
次に、ロック解除機構140によりロック機構130のロックが解除されると、図3(c)に示すように、筒状支柱体110同士が摺動可能となり、ロック解除された上段の梯子基本部材101の筒状支柱体110は下方にスライド移動し、短縮してゆく。
以上が各段のロック機構130とロック解除機構140の動作である。
次に、手すり体150に対する最上段のロック機構130−2について詳述する。
最上段のロック機構130−2は、手すり体150をロックするものであり、最上段の梯子基本部材101から上方にスライド移動できるように設けられた手すり体150の摺動を一時的にロックする機構である。
手すり体150は左右一対ずつあるが、それぞれ独立しており、1つの手すり体150は1本の筒状のものでありその先端に把持する把持体151が設けられた構造となっている。
図5は、最上段のワイヤー式ロック機構130−2の動作およびロック解除機構140−2の動作の概略を示す図である。
図5(a)に示すように、最上段の横桟120−2の表面の左右に操作レバー141−2が突出しており、その操作レバー141−2を左右にスライド移動させるための溝が設けられており、この溝に沿って操作レバー141−2が移動する。
図5(b)に示すように、手すり体150が独立してそれぞれ上昇することができる。この際、嵌入ピン131−2は手すり体150の筒状支柱体に当接しており付勢が保持されたままである。
図5(c)に示すように、手すり体150が上昇して手すり体150の嵌入孔133−2が設けられている所定位置に来れば、嵌入ピン131−2が嵌入孔133−2および貫通孔134に押し出され、連動するように操作レバー141−2が外側にスライド移動してロックが掛かる仕組みとなっている。
また、図5(d)に示すように、操作レバー141−2を付勢バネ132−2の付勢に逆らって中央側にスライド移動させれば、ロック機構130−2の嵌入ピン131−2が中央側に移動してロックが外れ、手すり体150が摺動できる仕組みとなっている。
さらに詳しく説明する。
図6は、最上段のワイヤー式ロック機構130−2が作動して手すり体150のロックが掛かる仕組みを説明する図である。
図6では、横桟120−2の左端部と対向する筒状支柱体110および手すり体150の一部が示されており、内部の構造が分かりやすいように一部が断面図で示されている。なお、図示していないが、横桟120の右端部にも図6とは左右対称の同様の構造が設けられている。
手すり体150の径は、最上段の梯子基本部材101の筒状支柱体110の径よりも小さくなっており、手すり体150が最上段の筒状支柱体110の中に入れ子式で入り込むものとなっている。
図6に示すように、ロック機構130−2は、この実施例1の構成例では、嵌入ピン131−2、付勢バネ132−2、嵌入孔133−2に加え、貫通孔134を備えた構成となっている。
図6に示すように、横桟120−2の左端部の内部には、突出可能に付勢された嵌入ピン131−2と付勢バネ132−2が設けられており、最上段の筒状支柱体110の一部の内側には嵌入孔133−2が形成されており、外側には貫通孔134が設けられている。このように、嵌入ピン131−2は左側に付勢が付けられており、嵌入孔133−2および貫通孔134の位置にくると突出して嵌入ピン131−2が筒状支柱体110を貫通するように形成されている。
また、嵌入ピン131−2は外方に向いており、嵌入ピン131−2の動作は左右水平方向にスライドする動作となる。
ここで、嵌入ピン131−2の長さは、最上段以外の各段の嵌入ピン131に比べて長いものとなっており、筒状支柱体110を水平方向に貫通できる長さを備えている。
付勢バネ132−2も、嵌入ピン131−2が筒状支柱体110を貫通できる長さにわたって繰り出したり戻したりする大きさの弾性体である必要がある。
図6(a)に示すように、手すり体150が上方に展開されてゆく中、嵌入ピン131−2の先端が手すり体150に設けられた嵌入孔133−2に該当する位置に来れば、図6(b)に示すように、最上段の筒状支柱体110の嵌入孔133−2、貫通孔134と、手すり体150の嵌入孔133−2が水平方向に揃い、付勢バネ132−2の付勢により嵌入ピン131−2が突出し、嵌入孔133−2に嵌入するようになっている。その結果、図6(c)に示すように、嵌入ピン131−2の先端が嵌入孔133−2から嵌入し、さらに貫通孔134を介して手すり体150を貫通して摺動不能に固定する。
このように、嵌入ピン131−2が手すり体150を貫通するようにロックするので、手すり体150が独立した筒状体のようなものであっても、嵌入孔133−2と貫通孔134という2ケ所で当接支持されているので、嵌入孔133−2の1ケ所だけで当接支持されている場合に比べ、構造的に安定した状態で保持される。
次に、最上段のロック解除機構140−2について詳述する。
ロック解除機構140−2は、外部からの操作を契機としてロック機構130−2のロック状態を解除し、手すり体150を摺動可能にする機構である。
ロック解除機構140は、この実施例1の構成例では、操作レバー141−2、ロック解除ワイヤー142−2を備えた構成となっている。図7では、ロック解除ワイヤー142−2の一部のみが示され、操作レバー141−2は図示されていない。
ロック解除機構140の動作について詳しく説明する。
図7は、梯子100の回収時における、最上段の手すり体150と梯子基本部材101の接合部分のロック解除機構140−2によりロック機構130−2のロックを解除する仕組みを簡単に示す図である。
一連の動きの中で、ロック解除機構140−2はロック解除ワイヤー142−2を介して嵌入ピン131−2と連動するようになっている。
梯子100の回収を開始する直前までは、図7(a)に示すように、付勢バネ132−2により嵌入ピン131−2が、筒状支柱体110−2および手すり体150を貫通して固定している状態が維持され、ロックが掛かっている。
ここで、図7(b)に示すように、外部からロック解除ワイヤー142−2を中心側(図中右側)に引く操作を契機として、連動している嵌入ピン131−2が中心側(図中右側)に移動する。嵌入ピン131−2が貫通孔134および嵌入孔133−2から外れると、ロック機構130−2のロック状態が解除される。
次に、ロック解除機構140−2によりロック機構130−2のロックが解除されると、図7(c)に示すように、手すり体150は筒状支柱体110に対して摺動可能となる。ここでは、手すり体150がスライドしてそのまま最上段の梯子基本部材101の中に収納される。
実施例2は、ロック解除機構の操作レバーが『レバー回転式ロック機構のタイプ』が適用された構成例である。
図8は、実施例2にかかる伸縮可能な梯子100aの構成例を模式的に示す図である。
図8には伸長展開状態の梯子100aの正面図(作業者が昇降する面)および側面図と、短縮収縮状態の梯子100aの正面図、梯子基本部材101aの各図を示している。なお、背面は図示しないが、使用に際して表裏が厳に決まっているわけではなく、背面を正面において使用しても良い。
実施例2の伸縮可能な梯子100aの構成例は上方へ伸長して展開する掛け梯子となっているが、下方へ伸長して展開する吊下梯子でも原理的には適用できる。
この構成例では、基本単位の梯子基本部材101aは8段で構成され、横桟の数で言えば最下段も含めて9段設けられている例である。実施例1と同様、基本単位の梯子基本部材101a同士が摺動してスライドすることにより梯子100全体が伸縮する。
梯子基本部材101aは、左右一対の筒状支柱体110と、筒状支柱体110の間に設けられた横桟120aと、ロック機構130aと、ロック解除機構140aを備えた構造となっている。最上段の横桟は横桟120−2aとなっており、ロック機構130−2aと、ロック解除機構140−2aとなっており、他の各段のものとは少し異なるものとなっている。最下段の横桟は固定横桟121aとなっており、筒状支柱体110aに対して固定されている構造例となっている。
また、図1に示すように、梯子100a全体としては、基本構成単位である梯子基本部材101aのほか、手すり体150aを備えている。
以下、各構成要素を説明するが、実施例1と同様で良いものは適宜説明を省略することとする。
筒状支柱体110aは、図1に示すように、所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の支柱体であり、素材、剛性・強度、長さなどは実施例1と同様でよい。
横桟120aは、筒状支柱体110aの間に設けられた横架された部材であり、素材、剛性・強度、長さは実施例1と同様で良い。しかし、後述するように内部に仕込まれているロック機構130aおよびロック解除機構140aは構造が異なるものとなっている。
梯子基本部材101同士の摺動についても実施例1と同様、最上段の梯子基本部材101aから最下段の梯子基本部材101aにかけてそれらの筒状支柱体110aの筒部の径の大きさが下に行くほど順次大きくなるように設けられており、それらが入れ子式になっており筒軸線方向に摺動可能に順次接続されたものとなっている点も同様で良い。
次に、ロック機構130aの動作およびロック解除機構140aの動作の概略について詳しく説明する。
実施例2は、ロック解除機構の操作レバーが横桟の下面に組み込まれて下面から突出し、ロック機構の嵌入ピンの動きと連動する『レバー回転式ロック機構のタイプ』が適用された構成例である。
ここで、図8に示すように、最上段以外の各段のロック機構130aおよびロック解除機構140aと、最上段のロック機構130aおよびロック解除機構140aは、構成、長さについて異なる点がある。そこで、最上段以外の各段と、最上段について分けて分説して説明する。
図9は、最上段以外の各段のロック機構130aの動作およびロック解除機構140aの動作の概略を示す図である。
図9(a)に示すように、横桟120a同士が当接し合っている状態では操作レバー141aが内部に入り込んだ状態となっている。説明上、図9(a)の状態は、上下2段の横桟120aが図示されているが、上段のさらに上には他の段の横桟120aが積み重なっているが、下段の横桟120aはさらに下の横桟120aより離れて展開されているものとする。
この図9(a)の状態から図9(b)、図9(c)への一連の動きを説明する。
図9(b)は、当段の横桟120aに対して上段の横桟120aが少し持ち上げられた状態を示している。当段の横桟120a内には『レバー回転式ロック機構』が付勢バネ132aの付勢が付いたまま収納されている。
図9(c)に至ると、後述するように、嵌入孔133aが嵌入ピン131aの位置に到来するので、付勢バネ132aの付勢によって嵌入ピン131aが押し出され、嵌入孔133aの中に嵌入する。この際、ロック解除機構の操作レバー141aと嵌入ピン131aの動きが連動しており、操作レバー141aが回転軸を中心に回動して横桟120aの下面から下方へ突出する。逆に短縮するときは、この操作レバー141aを押し上げることにより、嵌入ピン131aを嵌入孔133aから抜き出すことができる。
以下、このロック機構130aの動き、ロック解除機構140aの動きを詳述する。
最上段以外の各段と、最上段について分けて分説して説明する。
ロック機構130は、各段の梯子基本部材101同士の連結部において、伸長使用状態となったことを契機として梯子基本部材101同士の摺動を一時的にロックするロック機構である。
まず、最上段以外の各段のロック機構130について詳述する。
図10は、最上段以外の各段のレバー回転式ロック機構130aが作動してロックが掛かる仕組みを説明する図である。
図10(a)に示すように、最上段以外の各段の横桟120a内には、嵌入ピン131aとロック解除操作レバー141aが組み合されたものが取り付けられている。ロック解除操作レバー141aは回転軸142aを中心に回動でき、ロック解除操作レバー141aの回動に連動して嵌入ピン131aが水平方向にスライド移動する仕組みとなっている。
図10(b)に示すように、上段の筒状支柱体110aが上方にスライド移動すると、上段の筒状支柱体110aに設けられている嵌入孔133aが付勢の付いた嵌入ピン131aと対面する状況に至る。
図10(c)に示すように、付勢の付いた嵌入ピン131aは嵌入孔133aに押し込まれてゆく。嵌入ピン131aが外側(図中左側)にスライド移動すると、ロック解除機構140aは連動して回転軸142aを中心に回動し、操作レバー141aが横桟120aの下方へ突出する形となる。
この図10(c)の状態となると、当段の筒状支柱体110aと上段の筒状支柱体110aが摺動不能となり、一時的にしっかりとロックされたロック状態となり、伸長状態となる。
次に、最上段以外の各段のロック解除機構140aについて詳述する。
ロック解除機構140aは、この実施例2の構成例では、操作レバー141a、回転軸142aを備えた構成となっている。図8では、操作レバー141aの一部のみが示されており、横桟120a内部のものは図示されていない。
図11は、梯子100aの回収時における、最上段以外の各段のレバー回転式ロック機構130aのロックをロック解除機構140aにより外す仕組みを簡単に説明する図である。
一連の動きの中で、ロック解除機構140aは操作レバー141aと回転軸142aを介して嵌入ピン131aと連動するようになっている。
梯子100の回収を開始する直前までは、図11(a)に示すように、付勢バネ132aにより嵌入ピン131aが左側の筒状支柱体110aの嵌入孔133aに押し込まれた状態が維持され、ロックが掛かっている。
ここで、図11(b)に示すように、レバー回転式ロック解除機構140aの操作レバー141aを押し上げると、付勢バネ132aに逆らって嵌入ピン131aが移動し、嵌入ピン131aが嵌入孔133aから中央側に水平方向に引き出されてロックが解除される。このように、操作レバー141aの押し下げという簡単な操作により、各段のレバー回転式ロック機構130のロック、ロック解除を操作できることが分かる。
次に、図11(c)に示すように、ロック解除された上段の梯子基本部材101aの筒状支柱体110aは下方にスライド移動し、短縮してゆく。
次に、最上段のレバー回転式ロック機構130−2aおよびロック解除機構140−2aについて詳述する。
最上段のロック機構130−2aおよびロック解除機構140−2aは、手すり体150aをロックしたりロック解除したりするものである。
図12は、最上段のワイヤー式ロック機構130−2aの動作およびロック解除機構140−2aの動作の概略を示す図である。
図12に示した最上段のレバー回転式のロック機構130−2aと、図9に示した最上段以外の格段のロック機構130aとは基本的には同様の仕組みであるが、図12に示す最上段のレバー回転式のロック機構130−2aの例では、ワイヤー式ロック機構130−2aの嵌入ピン131−2a形状が、他の各段の嵌入ピン131aに比べて水平方向に長いものとなっており、付勢バネ132−2aの伸縮も他の各段の付勢バネ132aに比べて水平方向に長いものとなっている。
図12(a)に示すように、横桟120−2a同士が当接し合っている状態では操作レバー141−2aが内部に入り込んだ状態となっている。
この図12(a)の状態から図12(d)への一連の動きも嵌入ピン131aの長さを除いては図9と同様である。図12(b)は、最上段の横桟120−2aに対して手すり体150aが少し上昇した状態を示している。最上段の横桟120−2a内には、付勢バネ132−2aによる付勢が付いたままレバー回転式ロック機構130−2aが収納されている。
図12(c)は、手すり体150aが所定の高さまで上昇し、後述するように、嵌入孔133−2aが嵌入ピン131−2aの位置に到来した状態であり、付勢バネ132−2aの付勢によって嵌入ピン131−2aが押し出され、嵌入孔133−2aの中に嵌入する。手すり体150aの筒状支柱体には嵌入孔133−2aに加え、貫通孔134aも設けられており、図12(c)に示すように、嵌入ピン131−2aが手すり体150aの筒状支柱体を貫通する。ロック解除機構の操作レバー141−2aと嵌入ピン131−2aの動きが連動しており、操作レバー141aが回転軸を中心に回動して横桟120aの下面から下方へ突出する。
逆に短縮するときは、図12(d)に示すように、この操作レバー141−2aを押し上げることにより、嵌入ピン131−2aを嵌入孔133−2aから抜き出すことができる。
さらに詳しく説明する。
図13は、最上段のワイヤー式ロック機構130−2aが作動して手すり体150aのロックが掛かる仕組みを詳しく説明する図である。
図13では、横桟120−2aの左端部と対向する筒状支柱体110aおよび手すり体150の一部が示されており、内部の構造が分かりやすいように一部が断面図で示されている。なお、図示していないが、横桟120−2aの右端部にも図13とは左右対称の同様の構造が設けられている。
手すり体150aの径は、最上段の梯子基本部材101の筒状支柱体110aの径よりも小さくなっており、手すり体150aが最上段の筒状支柱体110aの中に入れ子式で入り込むものとなっている。
図13に示すように、ロック機構130−2aは、この実施例2の構成例では、嵌入ピン131−2a、付勢バネ132−2a、嵌入孔133−2aに加え、貫通孔134aを備えた構成となっている。
図13(a)に示すように、横桟120−2aの内部には、突出可能に付勢された嵌入ピン131−2aと付勢バネ132−2aが設けられており、手すり体150aの筒状支柱体の一部の内側には、嵌入孔133−2aおよび貫通孔134aが設けられている。嵌入ピン131−2aは左側に向けて付勢が付けられており、嵌入孔133−2aおよび貫通孔134aの位置にくると突出して嵌入ピン131−2aが手すり体150aの筒状支柱体を貫通するように形成されている。
ここで、嵌入ピン131−2aの長さは、最上段以外の各段の嵌入ピン131aに比べて長いものとなっており、手すり体150aの筒状支柱体を水平方向に貫通できる長さを備えている。
付勢バネ132−2aも、嵌入ピン131−2aが手すり体150aの筒状支柱体を貫通できる長さにわたって繰り出したり戻したりする大きさの弾性体である必要がある。
図13(a)に示すように、手すり体150aが上方に展開されてゆく中、嵌入ピン131−2aの先端が嵌入孔133−2aに至ると、図13(b)に示すように、付勢バネ132−2aの付勢力により嵌入ピン131−2aが突出し、嵌入孔133−2aに嵌入するようになっている。そのため、図13(b)に示すように、嵌入孔133−2aが設けられている位置に嵌入ピン131−2aが来れば、付勢バネ132−2aの付勢により嵌入ピン131−2aが突出し、図13(c)に示すように、嵌入ピン131−2aが嵌入孔133−2a内に嵌入し、さらに押し出されて貫通孔134aを介して手すり体150aの筒状支柱体を貫通し、手すり体150aが摺動不能に固定されることとなる。
このように、嵌入ピン131−2aが手すり体150aの筒状支柱体を貫通するようにロックしているので、手すり体150aが独立した筒状体のようなものであっても、嵌入孔133−2aと貫通孔134aという2ケ所で当接支持されているので、嵌入孔133−2aの1ケ所だけで当接支持されている場合に比べ、構造的に安定した状態で保持される。
次に、最上段のロック解除機構140−2aについて詳述する。
最上段のロック解除機構140−2aは、外部からの操作を契機としてロック機構130−2aのロック状態を解除し、手すり体150aを摺動可能にする機構である。
ロック解除機構140−2aは、この実施例2の構成例では、操作レバー141−2a、回転軸142−2aを備えた構成となっている。
ロック解除機構140−2aの動作について詳しく説明する。
図14は、梯子100aの回収時における、最上段のロック解除機構140−2aにより手すり体150aとロック機構130−2aのロックを解除する仕組みを簡単に示す図である。
一連の動きの中で、ロック解除機構140−2aは、操作レバー141−2aが回転軸142−2aを中心に回動して嵌入ピン131−2aと連動するようになっている。
梯子100aの回収を開始する直前までは、図14(a)に示すように、付勢バネ132−2aにより嵌入ピン131−2aが手すり体150aの筒状支柱体の嵌入孔133−2aから貫通孔134aまで貫通する状態が維持され、ロックが掛かっている。
ここで、図14(b)に示すように、外部から操作レバー142−1aを上側に押し上げると、連動している嵌入ピン131−2aが中心側(図中右側)に移動する。嵌入ピン131−2aが貫通孔134aおよび嵌入孔133−2aから外れると、ロック機構130−2aのロック状態が解除される。
次に、ロック解除機構140−2aによりロック機構130−2aのロックが解除されると、図14(c)に示すように、手すり体150aの筒状支柱体は下方にある筒状支柱体110aに対して摺動可能となる。ここでは、手すり体150aがスライドしてそのまま最上段の梯子基本部材101aの中に収納される。
実施例3は、手すり体150bの内部にロック機構が組み込まれた構成例である。
実施例3において、手すり体150b、手すり体150bに内蔵されたロック機構130−2b、ロック解除機構140−2b以外の梯子本体については、実施例1、実施例2に示したものと同様で良く、ここでは梯子本体についての説明は省略する。
本実施例3では、手すり体150bの内部にロック機構が組み込まれているので、梯子本体の伸縮状態にかかわらず、手すり体150bのみで独立して最上段の横桟120bに対して上下方向に摺動可能であり、伸長したロック状態としたり、収縮した収納状態としたりすることができる。
手すり体内部のロック機構130−2bおよびロック解除機構140−2bは、手すり体150bをロックしたりロック解除したりするものである。
図15は、実施例3にかかる、手すり体150b、ロック機構130−2bおよびロック解除機構140−2bを取り出して示した図である。
図15(a)〜(c)は手すり体150bを分離して図示している。図15(d)〜(e)は手すり体150bを合体した状態で伸縮させた状態を図示している。なお、外筒体の長さについては限定されないが、内筒体の長さよりも短い場合は、内筒体は外筒体の下方にある梯子基本部材の筒状支柱体(図示せず)の内部に入り込むことが可能な構造となっている。
図15(a)および図15(b)に示すように、この構成例では手すり体150bには上側に示した内筒体と、下側に示した外筒体がある。内筒体の下部付近に嵌入ピン131bが仕込まれている。嵌入ピン131bは付勢バネ132bにより内側から付勢がつけられており、押し込む力が働いていない状態では嵌入ピン131bが外側に突出し、その結果、嵌入ピン131bが左右に突出している。
嵌入ピン131bは摺動可能となっており、付勢バネ132に逆らって内筒体の内側に押し込めば、図15(c)に示すように嵌入ピン131bが手すり体150の内筒体の内部に収納可能となっている。
図15(d)は、内筒体と外筒体を合体した様子を示す図である。下方の外筒体には嵌入孔133bが設けられており、嵌入ピン131bは付勢バネ132bにより、外筒体の嵌入孔133bを貫通して左右に突出している。この状態は手すり体150bを伸長してロックを掛けた状態である。
図15(f)は、手すり体150bを収縮させた状態を示す図である。図15(d)の状態から図15(e)に示すように嵌入ピン131bを内側に押し込んでロックを解除した状態とし、その後、上から手すり体150bの内筒体を外筒体の中に押し込めば収縮してゆく。
図16は、手すり体150内部のワイヤー式ロック機構130−2bの動作およびロック解除機構140−2bの動作の概略を示す図である。
この構成例では、最上段の梯子基本部材101bの筒状支柱体110の上に手すり体150bの外筒状が取り付けられており、その中に手すり体150bの内筒体が挿入された構成となっている。
図16(a)は、手すり体150が最上段の梯子基本部材101bの内部に収納された状態である。上記した図15(f)の状態であり、手すり体150bの内筒体は、外筒体、さらに最上段の梯子基本部材101bの筒状支柱体110bの内部に入り込んだ状態となっている。嵌入ピン131は内側に押し込まれた状態で付勢が付いた状態となっている。
図16(b)は、手すり体150bの内筒体を上側に引き上げてゆく段階を示す図である。
図16(c)は、手すり体150bの内筒体が上昇し、嵌入ピン131が、外筒体の嵌入孔133bに対向する位置に到達し、付勢バネ132bの付勢により嵌入ピン131bが外方へ突出し、ロック状態となった様子を示している。
図17は、図16(c)のロックが掛かる様子を詳しく示した図である。
図17(a)は、嵌入ピン131が、筒状の部材の嵌入孔133bに対向する位置に到達する前の状態を示している。嵌入ピン131bは手すり体150bの外筒体の壁面により内側に押し込まれた状態が維持されている。
図17(b)は、嵌入ピン131が、外筒体の部材の嵌入孔133bに対向する位置に到達した状態を示している。
嵌入ピン131は抑え込んでいた外筒体の壁面がなく、付勢バネ132bによる付勢により外方へ突出する。これにより嵌入ピン131bが嵌入孔133bに嵌り込み、ロックが掛かった状態となっている。
図18は、図16(e)のロックが解除される様子を詳しく示した図である。
図18(a)は、嵌入ピン131が、外筒体の嵌入孔133bから突出している状態において両側から嵌入ピン131bを押し込んでロックを解除する様子を示している。嵌入ピン131bは手すり体150bの内筒体の内側に押し込まれている。
図18(b)は、手すり体150bの内筒体を下方に押し込んでスライドさせてゆく状態を示している。
以上、実施例3の伸縮可能な梯子は、手すり体150bが梯子本体の上端において上下に伸縮可能な状態で設けられており、伸長状態でロックを掛けることができ、ロックを外して収縮状態とすることもできる。
以上、本発明の好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
本発明の伸縮可能な梯子は、一般作業用の掛け梯子として広く適用することができる。また、吊下梯子としても適用でき、列車の車両からの避難用の吊下梯子や、マンションやホテルなどのベランダからの避難用の吊下梯子として広く適用することができる。
100,100a 梯子
110,110a 筒状支柱体
120,120a 横桟
130,130a ロック機構
140,140a ロック解除機構
150,150a 手すり体

Claims (7)

  1. 所定の間隔を隔てて互いに平行に配置された一対の筒状支柱体と前記筒状支柱体の間に設けられた横桟を備えた梯子基本部材を基本単位とし、前記梯子基本部材同士が前記筒状支柱体の筒軸線方向に入れ子状態で摺動可能に順次接続したものであり、前記梯子基本部材が摺動収納された短縮収納状態と、前記梯子基本部材が摺動伸長した伸長使用状態を持つ伸縮式の梯子本体と、
    前記梯子本体のうち最上段にある前記梯子基本部材の前記筒状支柱体に対して前記筒軸線方向に入れ子状態で摺動可能に接続され、摺動収納された短縮収納状態と、摺動伸長した伸長使用状態を持つ伸縮式の手すり体と、
    当段と下段の前記梯子基本部材同士が摺動して前記伸長使用状態になったことを契機として前記梯子基本部材同士を一時的にロック状態に固定するロック機構と、
    外部からの操作を契機として前記ロック機構のロック状態を解除し、当段と下段の前記梯子基本部材同士を摺動可能のロック解除状態にするロック解除機構を備え
    前記ロック機構が、各段の前記横桟に組み込まれた付勢バネと、前記付勢バネで付勢が付けられて摺動する嵌入ピンと、前記筒状支柱体に穿たれている嵌入孔を備え、
    最上段以外の前記ロック機構において、前記嵌入ピンが前記筒状支柱体を貫通しない長さであり、前記嵌入孔が前記筒状支柱体の対向面側のみで外側にまで貫通せず、最上段以外の各段の前記ロック機構の前記横桟から前記嵌入ピンを前記筒状支柱体の前記嵌入孔に嵌入することで前記ロック状態となり、前記ロック解除機構により前記嵌入ピンを前記嵌入孔から抜き出すことで前記ロック解除状態となる構造であり、
    最上段の前記ロック機構において、前記嵌入ピンが最上段の前記筒状支柱体を貫通する長さであり、前記嵌入孔が前記筒状支柱体の対向面側から外側にまで貫通しており、前記手すり体の前記ロック状態において、最上段の前記ロック機構の前記横桟から前記嵌入ピンが前記最上段の前記筒状支柱体を貫通して前記ロック状態となり、前記ロック解除機構により前記嵌入ピンを前記最上段の前記筒状支柱体の貫通状態から抜き出す構造であることを特徴とする伸縮可能な梯子。
  2. 前記ロック解除機構の操作レバーが、前記横桟の正面に組み込まれて突出し、前記ロック機構の前記嵌入ピンの動きと連動するものであり、前記操作レバーを横方向にスライドさせることにより前記嵌入ピンを横方向にスライドさせ、前記嵌入ピンを前記嵌入孔から抜き出す構造であることを特徴とする請求項に記載の伸縮可能な梯子。
  3. 前記ロック解除機構の操作レバーが、前記横桟の下面に組み込まれて突出し、前記ロック機構の前記嵌入ピンの動きと連動するものであり、前記嵌入ピンが前記嵌入孔に対して嵌入する方向に動けば前記操作レバーが下方に向けて突出し、前記操作レバーを前記横桟の下面に押し込めば前記嵌入ピンが前記嵌入孔から抜け出る方向に動くよう連動する構造であることを特徴とする請求項に記載の伸縮可能な梯子。
  4. 当段の前記梯子基本部材の前記嵌入ピンが前記嵌入孔に嵌入して当段の前記ロック機構がロック状態にある状態において、下段の前記梯子基本部材の前記ロック機構のロック状態が解除されて当段の前記梯子基本部材に対して下から上へ摺動し、下段の前記梯子基本部材の前記横桟の上面が、当段の前記横桟の下面から突出している前記ロック解除機構に当接して押し上げてゆくと、前記嵌入ピンが前記嵌入孔から抜け出る方向に動き、前記嵌入ピンが前記嵌入孔から抜け出ると、当段の前記ロック解除機構により当段の前記ロック機構のロック状態が解除された状態となり摺動可能となることを特徴とする請求項に記載の伸縮可能な梯子。
  5. 前記ロック解除機構への外部からの前記操作が、前記ロック解除機構の部材に対する下方から到来する下段の前記横桟による押し込み操作であることを特徴とする請求項に記載の伸縮可能な梯子。
  6. 前記手すり体が、前記横桟に固定された外筒体と、前記外筒体に対して上下に摺動する内筒体を備え、少なくとも前記内筒体が、最上段の前記横桟よりも上方に突出し得る構造を備えたものであり、
    最上段の前記ロック機構が、前記手すり体の前記内筒体の内部に組み込まれた付勢バネと、前記付勢バネで付勢が付けられて前記手すり体の前記内筒体から外方へ摺動突出する嵌入ピンと、前記手すり体の前記外筒体に穿たれており前記付勢バネを外へ引き出す嵌入孔を備え、
    最上段の前記ロック解除機構が、前記嵌入ピンを前記嵌入孔の内部へ押し込んで前記嵌入ピンを前記手すり体の前記内筒体の内部に収納状態とするものであることを特徴とする請求項1に記載の伸縮可能な梯子。
  7. 前記手すり体の上端に、前記最上段にある前記梯子基本部材の前記筒状支柱体の径よりも大きいサイズの把持体を備えたことを特徴とする請求項から7のいずれかに記載の伸縮可能な梯子。
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