JP6595189B2 - チキソトロピー性を付与する剤の製造方法 - Google Patents
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(A)成分は結晶性の脂肪酸グリセリドである。結晶性とは、前記の示差走査熱量測定での昇温時に吸熱ピークが検出される性質を有するものをいう。(A)成分は、界面活性剤と水とを含有する液体組成物にチキソトロピー性を付与する効果が高い点で、脂肪族アシル基中に水酸基を有する結晶性の脂肪酸グリセリドが好ましく、水素原子の1つ以上が水酸基で置換された炭素数14以上、18以下の脂肪族アシル基を有する結晶性の脂肪酸グリセリドがより好ましい。脂肪族アシル基中に水酸基を有することで、(A)成分同士の分子間水素結合により、(A)成分の結晶成長が促進される。また、脂肪酸グリセリドは最大で3つの脂肪族アシル基を有することが出来る。全脂肪酸グリセリドのアシル基の平均の数は、結晶形成が促進される点より1以上であり、好ましくは2以上であり、より好ましくは2.5以上である。結晶の保存安定性の点より最も好ましくは3である。また、脂肪酸グリセリドのよう素価は、より均一な結晶を生成することで、液体洗浄剤組成物の低せん断時の粘度をより高める点で、5g−I2/100g以下であることが好ましく、4以下がより好ましく、3以下がより好ましく、2以下がより好ましい。よう素価はJIS K 0070:1992(化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法)に記載の方法に従って求めることが出来る。(A)成分としては、液体洗浄剤組成物にチキソトロピー性を付与しやすい点で、硬化ヒマシ油又は水添ヒマシ油を使用することが好ましい。
(A)成分は少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分はアニオン界面活性剤である。(B)成分としては、カルボン酸塩基を有するアニオン界面活性剤、スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤、硫酸エステル塩基を有するアニオン界面活性剤、炭素数2以上、3以下のオキシアルキレン基及び硫酸エステル塩基を有するアニオン界面活性剤、リン酸エステル塩基を有するアニオン界面活性剤が挙げられる。前記のアニオン界面活性剤は炭素数10以上、20以下の脂肪族炭化水素基を有することが、(A)成分の乳化分散性の向上の点から好ましい。アニオン界面活性剤は、(A)成分の乳化分散性の向上、又は(A)成分の一次粒子を析出させ易くする点より、炭素数10以上、20以下の脂肪族炭化水素基及びスルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤が好ましい。炭素数10以上、20以下の脂肪族炭化水素基及びスルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤の具体例としては、アルキル基が炭素数10以上、20以下の脂肪族アルキル基であるアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10以上、20以下の一級又は二級アルカンスルホネート塩を有するアニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。本発明の液体洗浄剤組成物の低せん断時の粘度を高くできる点より、アルキル基が炭素数10以上、16以下の脂肪族アルキル基であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を有するアニオン界面活性剤がより好ましい。
(B)成分は少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
水に特段の制限はないが、水道水、蒸留水及びイオン交換水から選ばれる水が使用できる。本発明の液体組成物(1)中の水の配合量は、(A)成分、(B)成分、下記の(C)成分、及び下記の任意成分の合計量の残部でよいが、一次粒子を析出させ易くする点より、70質量%以上、そして95質量%以下の量で使用することが出来る。
(C)成分はノニオン界面活性剤である。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤、アルキルポリグリコシド、アルキルグリセリルエーテルが挙げられる。(C)成分としては、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤が好ましく、具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルケニルアミン、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーが挙げられる。中でも、(A)成分の水への分散性に優れる点より、(C)成分はポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが好ましい。オキシアルキレン基としては炭素数2以上、3以下のオキシアルキレン基が挙げられる。具体的にはオキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。(A)成分の水への分散性の向上の点で、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、7以上がさらに好ましく、そして20以下が好ましく、18以下がより好ましく、16以下がさらに好ましく、14以下がよりさらに好ましく、12以下が最も好ましい。前記のアルキル基としては、脂肪族アルキル基が好ましく、アルケニル基は脂肪族アルケニル基が好ましい。(A)成分の水への分散性の向上の点で、脂肪族アルキル基又は脂肪族アルケニル基の炭素数は、8以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上がさらに好ましく、そして18以下が好ましく、16以下がより好ましく、14以下がさらにより好ましい。
(C)成分は少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の液体組成物(1)中には、任意成分として、有機溶媒、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等の防腐剤、無機塩及び炭素数8以下の有機塩から選ばれる電解質等も適宜配合することができる。
本発明の工程1は、前記(A)成分、(B)成分、及び水を含有する液体組成物(1)を、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)より高い温度で混合して混合物1を得る工程である。混合物1は、(A)成分の乳化物を含むものである。工程1において、混合する前の(A)成分、(B)成分及び水の温度には、特に制限はない。
・サンプルの調整
測定サンプル:(A)成分10mgを蓋付アルミニウムパンにいれ蓋で封をしたもの
リファレンス:中身を入れずにそのまま蓋をしたアルミニウムパン
・測定方法
TAインスルメント社製DSC(Q2000)にサンプルとリファレンスをセットする。30℃から95℃まで5℃/分で昇温し、95℃で5分間定温保持した後、25℃まで20℃/分で降温した後、2℃/分で95℃まで昇温する。2回目の昇温時に生じに検出される、最も高温側に検出される吸熱ピークの頂点の温度を(A)成分の温度(T1)とする。図1に(A)成分の典型的なDSCチャートを示す。
(1)溶融状態にある(A)成分と、(B)成分と水を含み、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)より高い温度にある液体組成物(1)を混合し、(A)成分の乳化物を含む混合物1を得る工程。
(2)溶融状態にある(A)成分と、(B)成分と水を含み、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)以下の温度にある液体組成物(1)を、この温度が前記の温度(T1)より高い温度になるように加熱しながら混合し、(A)成分の乳化物を含む混合物1を得る工程。
(3)溶融状態にない(A)成分と、(B)成分と水を含み、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)より高い温度にある液体組成物(1)を、この温度が前記の温度(T1)より高い温度になるように加熱しながら混合し、(A)成分の乳化物を含む混合物1を得る工程。
(4)溶融状態にない(A)成分と、(B)成分と水を含み、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)以下の温度にある液体組成物(1)を、この温度が前記の温度(T1)より高い温度になるように加熱しながら混合し、(A)成分の乳化物を含む混合物1を得る工程。
工程2は、工程1で得られた混合物1を、(A)成分の示差走査熱量測定の昇温時に検出される最も低い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T2)以上、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)以下の温度に冷却し、混合物2を得る工程である。
・サンプル調整
測定サンプル:(A)成分10mgを蓋付アルミニウムパンにいれ蓋で封をしたもの
リファレンス:中身を入れずにそのまま蓋をしたアルミニウムパン
・測定方法
TAインスツルメント社製DSC(Q2000)にサンプルとリファレンスをセットする。室温から95℃まで5℃/分で昇温、95℃で5分間保持した後、25℃まで20℃/分で降温後、2℃/分で95℃まで昇温する。2回目の昇温時に、最も低い温度に検出される吸熱ピークのピークトップの温度を温度(T2)とし、最も高い温度に検出される吸熱ピークのピークトップの温度を温度(T1)とする。下記図2に(A)成分の典型的なDSCチャートを示す。
工程3は、工程2で得られた混合物2を、(A)成分の示差走査熱量測定の昇温時に最も低い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T2)以上、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)以下の温度範囲内において、30分以上、480分以下の間、温度を一定に保持する工程である。
本発明の任意の工程4は、前記工程3で得られたチキソトロピー性を付与する剤を、さらに、0℃以上、(A)成分の示差走査熱量測定の昇温時に最も低い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T2)未満の温度範囲に冷却する工程である。製造時間が短くできる点より、0℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましく、40℃以上が特に好ましい。二次粒子抑制の点より、温度(T2)未満がより好ましい。(A)成分の温度(T2)は、前記工程2に記載の方法で求めることができる。
本発明の界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤は、液体組成物(1)を、工程1〜3で処理することによって得られる。チキソトロピー性を付与する剤中の(A)成分、(B)成分及び水の含有量は、前記液体組成物(1)と同じである。工程1〜3で処理中に一部の水が揮発した結果、チキソトロピー性を付与する剤中の(A)成分及び(B)成分の含有量が変化した場合、これらがもとの含有量になるように、チキソトロピー性を付与する剤に水を加えて適宜調整することができる。
本発明の液体組成物(2)は、界面活性剤及び水を含有し、衣料などに対する洗浄効果を有する、液体洗浄剤組成物である。
本発明の液体洗浄剤組成物は、本発明のチキソトロピー性を付与する剤の製造方法で得られたチキソトロピー性を付与する剤と、界面活性剤及び水を含む液体組成物(2)とを混合して得ることが出来る。
<(A)成分>
硬化ヒマシ油(よう素価:1.5g-I2/100g)、前記工程2に記載の方法で測定した、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)は86℃であり、(A)成分の示差走査熱量測定の昇温時に最も低い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T2)は58℃であった。
<(B)成分>
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:花王(株)製(アルキル基の炭素数が12〜14の化合物、純分98%、残りは水)
<水>
イオン交換水
<液体組成物(2)>
・界面活性剤(花王(株)製)
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム:アニオン界面活性剤、アルキル基の炭素数が12〜14の化合物 16質量%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル:ノニオン界面活性剤、ポリオキシアルキレン基において、オキシエチレン基の平均付加モル数は10モル 11質量%
ラウリン酸:下記に示す液体洗浄剤組成物のpHでは、カルボキシル基が解離しているため、アニオン界面活性剤 0.8質量%
N−ステアロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン:下記に示す液体洗浄剤組成物のpHではアミノ基が中和されているため、カチオン界面活性剤 3質量%
・pH調整剤:クエン酸 0.8質量%、水酸化ナトリウム 3質量%
・ハイドロトロープ剤:p−トルエンスルホン酸 3質量%
・還元剤:亜硫酸ナトリウム 0.05質量%
・溶剤:ジエチレングルコールモノブチルエーテル 3質量%、エタノール 3質量%
・防腐剤:プロキセルBDN 0.05質量%
・水:イオン交換水 56.3質量%
<チキソトロピー性を付与する剤の調製>
下記に示す工程1、工程2、工程3及び工程4を行うことで、実施例1のチキソトロピー性を付与する剤を得た。また、チキソトロピー性を付与する剤と液体組成物(2)を含む、実施例1の液体洗浄剤組成物を下記方法により製造した。
300mL容量のジャケット付のセパラブルフラスコに、4.4g(2.9質量%)の硬化ヒマシ油、23.3g(15.5質量%)のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及び122.3g(81.6質量%)の25℃のイオン交換水を投入し、液体組成物(1)を得た。これに、セパラブルフラスコ内に熱電対温度計及び幅95mmのスクレーパー翼を配置し、2.5m/sで撹拌しながら、ジャケットに温水を流し、内容物の温度を95℃に調整した。95℃の温度で15分間撹拌し、混合物1を得た。
工程1で使用したセパラブルフラスコのジャケット内を流れる温水の温度を調節し、工程1で得られた混合物1の温度が75℃になるまで、1℃/分の速度で冷却し、混合物2を得た。
前記工程2において混合物2の温度が75℃に到達した時間から、60分間、内容物の温度が75℃±1℃の温度範囲になるように調節し、チキソトロピー性を付与する剤を得た。
工程3で得られたチキソトロピー性を付与する剤の温度が、25℃になるまで、セパラブルフラスコのジャケット内に流れる水の温度を調節し、1℃/分の速度で冷却し、実施例1のチキソトロピー性を付与する剤を得た。
300mLのガラス製ビーカーに長さ5cmの棒状のテフロン(登録商標)製スターラーピースを入れ、前記液体組成物(2)の各成分を投入し、0.79m/sで撹拌しながら、内容物の温度が60℃になるまでウォーターバスで加温した。内容物の温度が60℃に到達後、更に15分間撹拌した後に25℃に冷却し、液体組成物(2)を得た。
100mLのガラス製ビーカーに、前記液体組成物(2)45g(25℃)(90質量%)を投入し、次いで長さ3.5cmの棒状のテフロン(登録商標)製スターラーピースを入れた。マグネティックスターラーで0.92m/sで撹拌しながら、前記チキソトロピー性を付与する剤(25℃)5g(10質量%)を投入し、30分間撹拌し、実施例1の液体洗浄剤組成物を得た。得られた液体洗浄剤組成物の低せん断時の粘度を表1に示す。尚、液体洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量は、0.29質量%となる。
<チキソトロピー性を付与する剤の調製>
上記の工程3を除き、工程1、2及び4を行うことで、比較例1のチキソトロピー性を付与する剤を得た。また、チキソトロピー性を付与する剤と液体組成物(2)を含む、比較例1の液体洗浄剤組成物を上記方法により製造した。得られた液体洗浄剤組成物の低せん断時の粘度を表1に示す。
<チキソトロピー性を付与する剤の調製>
下記に示す工程1’、工程2’、及び工程3’を行うことで、実施例2〜11及び比較例2、3のチキソトロピー性を付与する剤を得た。また、チキソトロピー性を付与する剤を含む、実施例2〜11及び比較例2、3の液体洗浄剤組成物を下記方法により製造した。
スチーム又は冷却水(5℃)の導入が可能なジャケットを配合槽の外壁に配置した、配合適正容量が200kgのステンレス製の配合槽を用意した。当該配合槽の底に内容物の取り出し用の口を設置し口に取り付けられた配管の途中にロータリー型のポンプが配置され、次いでスパイラル型の熱交換機が配置され、配管の出口が配合槽の上部にとりつけられた配合槽内の内容物を循環しながら冷却する装置を配置した。熱電対型温度計を配合槽の底に設置されている。
5.8kg(2.9重量%)の硬化ヒマシ油、23.3kg(11.7質量%)のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及び170.8kg(85.4質量%)の25℃のイオン交換水を投入し、液体組成物(1)を得た。長さが400mmの撹拌翼が4枚付いたパドル型撹拌翼を2段上下に配置し、3.4m/sで攪拌しながら、内容物の温度が95℃になるまで、ジャケットにスチームを流し加熱した。内容物の温度が95℃に達した後15分間撹拌し、硬化ヒマシ油の乳化物である混合物1を得た。
工程1’で得られた混合物1の温度が75℃になるまで、1℃/分の速度で熱交換器を通して循環しながら冷却し、混合物2を得た。
前記工程2’において液体組成物2の温度が75℃に到達した時間から、表1に記載の保持時間の間、内容物の温度が75℃±1℃の温度範囲になるように調節し、実施例2〜11及び比較例2、3のチキソトロピー性を付与する剤を得た。
実施例1で用いたチキソトロピー性を付与する剤の代わりに、前記工程3’で得られた実施例2〜11及び比較例2、3のチキソトロピー性を付与する剤(使用温度は工程3の保持温度)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で実施例2〜11及び比較例2、3の液体洗浄剤組成物を得た。得られた液体洗浄剤組成物の低せん断時の粘度を表1に示す。
<チキソトロピー性を付与する剤の調製>
工程1’〜工程3’において、下記表1に記載の工程2’の目標とする冷却温度、及び工程3’における保持温度を変え、下記の工程4’を行い、実施例12、13のチキソトロピー性を付与する剤を得た。また、チキソトロピー性を付与する剤を含む、実施例12、13の液体洗浄剤組成物を下記方法により製造した。
工程3’で得られたチキソトロピー性を付与する剤の温度が35℃になるまで、撹拌しながら、1℃/分の速度で熱交換器を通して循環しながら冷却し、実施例12、13のチキソトロピー性を付与する剤を得た。
実施例1で用いたチキソトロピー性を付与する剤の代わりに、前記工程4’で得られた実施例12、13のチキソトロピー性を付与する剤(35℃)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で実施例12、13の液体洗浄剤組成物を得た。得られた液体洗浄剤組成物の低せん断時の粘度を表1に示す。
工程1’〜工程4’における撹拌翼の回転数を2.5m/sに変え、下記表1に記載の工程2’の目標とする冷却温度、及び工程3’における保持温度を変えた以外は、実施例12、13と同じ方法で行い、実施例14、及び比較例4、5のチキソトロピー性を付与する剤を得た。また、チキソトロピー性を付与する剤を含む、実施例14、及び比較例4、5の液体洗浄剤組成物を下記方法により製造した。
実施例1で用いたチキソトロピー性を付与する剤の代わりに、前記工程4’で得られた実施例14、及び比較例4、5のチキソトロピー性を付与する剤(25℃)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で行い、実施例14、及び比較例4、5の液体洗浄剤組成物を得た。得られた液体洗浄剤組成物の低せん断時の粘度を表1に示す。
<液体洗浄剤組成物の粘度の測定方法>
得られた液体洗浄剤組成物を50ml容量のガラス製ビーカーに入れ、テフロン(登録商標)製シールでシールし、恒温槽に入れ、内容物の温度を20℃に調整した。B型粘度計(TOKI SANGYO VISCOMETER TVB-10)にNo.2ローターを設置し、60rpmの回転数で1分間作動させた後、1分間静置した。次に6rpmで作動させ、1分後の粘度を低せん断時の粘度とした。表示部に表示された値の横に上向きの矢印が表示された場合には、ローターNo.を順次上げて測定する。前記の上向きの矢印が表示されなくなった時点の表示された値を基に粘度を算出する。粘度が500mPa・s以上が合格であり、値が高いほど好ましい。
尚、前記の実施例及び比較例の液体洗浄剤組成物は、前記の低せん断時の粘度の測定方法において、ローター回転速度60rpmで1分間攪拌した後の粘度、即ち高せん断時の粘度はいずれも低せん断時の粘度よりも低く、チキソトロピー性を示す。
前記の実施例1で得られた液体洗浄剤組成物100gに、更に市販の香料組成物を機能性成分として含有するマイクロカプセル0.5gを添加することで得られうる液体洗浄剤組成物は、比較例1で得られた液体洗浄剤組成物100gに、更に市販の香料組成物を機能性成分として含有するマイクロカプセル0.5gを添加することで得られうる液体洗浄剤組成物よりも、低せん断時の粘度がより高くことが期待でき、より香料マイクロカプセルの分離が抑制されることが期待できる。
Claims (9)
- (A)成分として結晶性の脂肪酸グリセリド、(B)成分としてアニオン界面活性剤、及び水を含有する液体組成物(1)を、
(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)より高い温度で混合して混合物1を得る工程1、
工程1で得られた混合物1を、(A)成分の示差走査熱量測定の昇温時に最も低い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T2)以上、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)以下の温度範囲に、冷却速度が0.1℃/分以上、5℃/分以下で冷却して混合物2を得る工程2、及び
工程2で得られた混合物2を、(A)成分の示差走査熱量測定の昇温時に最も低い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T2)以上、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)以下の温度範囲内において、30分以上、480分以下の間、温度を一定に保持する工程3を含み、
界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤の製造方法。 - 前記液体組成物中(1)の(A)成分の含有量が1質量%以上、5質量%以下、(B)成分の含有量が1質量%以上、30質量%以下である、請求項1に記載の界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤の製造方法。
- 前記(A)成分が、脂肪族アシル基中に水酸基を有する結晶性の脂肪酸グリセリドである、請求項1または2に記載の界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤の製造方法。
- 前記(B)成分が、スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤である、請求項1〜3の何れかに記載の界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤の製造方法。
- 前記液体組成物(1)において、さらに、(C)成分としてノニオン界面活性剤を含有する、請求項1〜4の何れかに記載の界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤の製造方法。
- 前記(C)成分が、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤である、請求項5に記載の界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤の製造方法。
- 前記工程3において、工程2で得られた混合物2を、(A)成分の示差走査熱量測定の昇温時に最も低い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T2)以上、(A)成分の示差走査熱量測定での昇温時に最も高い温度に検出される吸熱ピークの頂点の温度(T1)以下の温度範囲内において、温度を一定に保持する時間が40分以上、360分以下である、請求項1〜6の何れかに記載の界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤の製造方法。
- 請求項1〜7の何れかに記載の製造方法により得られた界面活性剤と水とを含有する液体組成物(2)にチキソトロピー性を付与する剤。
- 請求項8に記載のチキソトロピー性を付与する剤と、界面活性剤及び水を含有する液体組成物(2)とを混合して得られる、液体洗浄剤組成物。
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