以下、本発明のコンバイン1について、図1、図2及び図3を用いて説明する。なお、図1には、コンバイン1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。図2には、コンバイン1の前後方向及び上下方向を表す。
コンバイン1は、走行部10、刈取部2、搬送部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6、及び、動力部7を備える。また、コンバイン1は、操縦スペース8を有している。操縦スペース8には、オペレータが着座するための運転座席81が設けられている。運転座席81の周囲には、オペレータが操作するための各種レバー等の操作具が配置されている。
走行部10は、シャシ11の下方に設けられている。走行部10は、トランスミッション12、及び、左右のクローラ式走行装置13・13を含む。トランスミッション12は、動力部7を構成するエンジン71の回転動力をクローラ式走行装置13・13へ伝達する。クローラ式走行装置13・13は、コンバイン1を前後方向に走行させる。また、クローラ式走行装置13・13は、コンバイン1を左右方向に旋回させる。
刈取部2は、走行部10の前方に設けられている。刈取部2は、リール21及びカッター22を含む。リール21は、圃場の穀稈を引き起こす。カッター22は、リール21によって引き起こされた穀稈を切断する。
搬送部3は、刈取部2の後方に設けられている。搬送部3は、オーガ31及びコンベヤ32を含む。オーガ31は、カッター22によって切断された穀稈(刈取物)を集合させてコンベヤ32へ送り込む。コンベヤ32は、オーガ31によって送り込まれた刈取物を脱穀部4へ送り込む。
また、コンバイン1は、左側面カバー47を備える。左側面カバー47は、コンバイン1の左側面の外装を構成している。左側面カバー47は、上側前カバー48、上側後カバー49、下側前カバー58、及び、下側後カバー59を含む。これらの上側前カバー48、上側後カバー49、下側前カバー58、及び、下側後カバー59は、開閉自在に構成されている。
上側前カバー48は、扱胴41とフロントロータ93(いずれも図3参照)とを駆動するためのプーリー及びベルト等の駆動機構(いずれも図示せず)を左側方から覆うためのものである。上側前カバー48の下部外側面には、二つの引手48cが設けられている。オペレータは、引手48cを掴んで上側前カバー48を上方に持ち上げると、上側前カバー48が下辺近傍に位置する回転中心C1を中心にして上方に回転する。
下側前カバー58と下側後カバー59とは、プーリーカバーとして、送風装置52のファン52a、一番スクリューコンベヤ56a、二番スクリューコンベヤ56b(いずれも図3参照)等を駆動するためのプーリー及びベルトを含む駆動機構(図示せず)を覆うためのものである。
下側前カバー58の上部側面には、二つの引手58cが設けられている。オペレータは、引手58cを掴んで下側前カバーを左外方に引き込むと、下側前カバー58が下辺近傍に位置する回転中心C2を中心にして下方に回転する。
下側後カバー59の上部側面には、二つの引手59cが設けられている。オペレータは、引手59cを掴んで下側後カバー59を左外方に引き込むと、下側後カバー59が回転中心C2を中心にして下方に回転する。
扱胴41の側方を覆う外装カバーとして、上側後カバー49は、上側前カバー48の後方に配置されている。後述のように、上側後カバー49は、上下方向を向く回転中心C3を中心にして、回転自在に構成されている。なお、上側後カバー49は、水平方向等、別の方向を向く回転中心を中心にして、回転自在即ち開閉自在に構成されていてもよい。
図3に示すように、脱穀部4は、搬送部3の後方に設けられている。脱穀部4は、扱胴41及び受網42を含む。扱胴41及び受網42は、型枠43に囲まれた空間内の上半部に収容されている。型枠43は、シャシ11を構成する略四角柱形状を有したフレーム部材であって、脱穀部4と選別部5とを収容する。扱胴41は、コンベヤ32によって送り込まれた刈取物を脱穀する、即ち、刈取物の穀稈から穀粒を分離させる。また、扱胴41は、刈取物を搬送する。受網42は、扱胴41の下方及び側方を覆うように、扱胴41の下側外周面に沿って配置されている。受網42は、扱胴41によって搬送される刈取物を支持するとともに、刈取物をふるいにかける。即ち、受網42は、穀粒を濾過し、落下させる。
選別部5は、脱穀部4の下方に設けられている。選別部5は、揺動装置51及び送風装置52を含む。揺動装置51及び送風装置52は、型枠43に囲まれた空間内の下半部に収容されている。揺動装置51は、受網42から落下してきた刈取物(脱穀物)をふるいにかけて穀粒を選別する。送風装置52は、穀粒とともに落下してきた穀稈屑や揺動装置51の上に残った穀稈屑を吹き飛ばす。
貯留部6は、脱穀部4及び選別部5の右方に設けられている。貯留部6は、グレンタンク61及びオーガ62を含む。グレンタンク61は、選別部5から搬送されてきた穀粒を貯留する。オーガ62は、グレンタンク61内の穀粒を排出するための筒状の装置である。
動力部7は、操縦スペース8の下方に設けられている。動力部7は、エンジン71で構成されている。エンジン71は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。具体的に説明すると、エンジン71は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを回転動力に変換する。
次に、図3を用いて、脱穀部4と選別部5とについてより詳細に説明する。
脱穀部4には、扱室92が形成されている。型枠43に囲まれた空間の上側部分が、扱室92を形成している。天井カバー91は、型枠43の上側開口を上方から塞いでいる。扱室92への入り口として、脱穀部4の前端部には、流入口92aが形成されている。流入口92aは、コンベヤ32を収容するフィーダハウス33内部と扱室92とを連通している。コンベヤ32の終端部近傍と流入口92aとの間には、流入口92aの前下方に位置するように、フロントロータ93が設けられている。
扱胴41は、扱室92内に回転可能に設けられている。前後方向を向く中心軸41aが、扱胴41を一体回転可能に支持している。扱胴41の前端部は、略円錐台形状を有している。扱胴41の前端部外周面には、スクリュー羽根41bが扱胴41と一体に取り付けられている。スクリュー羽根41bは、扱胴41の前端部外周面から径方向の外方に螺旋状に突出している。扱胴41は、エンジン71の駆動力が中心軸41aに伝達されることにより、中心軸41aとスクリュー羽根41bと一体となって回転する。
フロントロータ93によって流入口92aから投入された穀稈は、扱胴41の回転によって後方に搬送されるとともに、扱胴41と受網42との間等で混練されることによって脱穀される。受網24の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は、受網42から漏下する。受網42から漏下しない藁屑等は、扱胴41の作用によって、更に後方に搬送された後に排塵口92bから扱室92の外部に排出される。
受網42の下方には、刈取り後の穀稈から分離された穀粒と処理物とを選別する揺動装置51が設けられている。揺動装置51は、揺動選別盤53、チャフシーブ54a及びストローラック54bを含む。揺動選別盤53は、稈と穀粒とを均一化するとともに比重選別する。チャフシーブ54aは、揺動選別盤53の後方に位置し且つ穀粒と稈とを粗選別する。ストローラック54bは、チャフシーブ54aの後方に位置し、且つ、処理物としての稈等に混入した穀粒を落下させる。
揺動装置51は、グレンシーブ54cを更に含む。グレンシーブ54cは、チャフシーブ54aの下方に位置し、穀粒と稈とを精選別する。グレンシーブ54cの更に下方には、前側が後側よりも下方に位置するように傾斜した一番穀粒板55aが横たわっている。一番穀粒板55aの前端付近には、一番スクリューコンベヤ56aが設けられている。
一番スクリューコンベヤ56aは、一番穀粒板55aを滑落した穀粒を取り込んでグレンタンク61に搬送する。グレンタンク61の上部側面には、投入口61aが形成されており、一番スクリューコンベヤ56aによって搬送される穀粒は、投入口61aからグレンタンク61内に投入される。
また、一番穀粒板55aの後端部には、下降傾斜した傾斜板55bが連結されている。更に、傾斜板55bの後端部(言い換えると下端部)には、前側が後側よりも下方に位置するように傾斜した二番穀粒板55cが連結されている。二番穀粒板55cと傾斜板55bとの連結部分には、稈及び穀粒を搬送する二番スクリューコンベヤ56bが設けられている。
ストローラック54bから傾斜板55b又は二番穀粒板55cへの落下物は、二番穀粒板55cと傾斜板55bとの連結部分、即ち、二番スクリューコンベヤ56bに向けて滑落する。これらの落下物は、揺動選別盤53、チャフシーブ54a及びグレンシーブ54cを経て穀粒と排藁とに選別できるように、二番スクリューコンベヤ56bによって扱室92のうち揺動選別盤53の上方に戻される。
送風装置52は、一番スクリューコンベヤ56aよりも前方、且つ、揺動選別盤53よりも下方に位置している。送風装置52のファン52aの作動によって発生した風は、後方へ進行する。ファン52aの後方の風路には、風を上向きに変更させる整流板52bが設けられている。
二番穀粒板55cの後端部には、通路板55dが連結されている。通路板55dの上方には通路カバー55eが設けてある。通路カバー55eと通路板55dとの間の空間は、稈等の塵埃がストローラック54bを経て脱穀部4から排出される排出通路55fとなっている。
次に、受網42を支持する構成について、図4及び図5を用いて説明する。なお、図4においては、受網42の上方に配置される扱胴41を仮想線(二点鎖線)で示す。
図4に示すように、受網42は、四つの部分として、左前部分42a、左後部分42b、右前部分42c、及び、右後部分42dで構成されている。つまり、受網42は、前後方向に二分割されるとともに、これらの前半部分及び後半部分がそれぞれ周方向に二分割された四枚の受網部分として、左前部分42a、左後部分42b、右前部分42c、及び、右後部分42dを含む。
左側面カバー47の上側後カバー49が閉じられた状態では、左前部分42aの網枠下部42eの側面と右前部分42cの網枠下部42eの側面とが対向し、左後部分42bの網枠下部42eの側面と右後部分42dの網枠下部42eの側面とが対向する。左前部分42a、左後部分42b、右前部分42c、及び、右後部分42dが合わさった受網42全体としては、半円弧形状をなす。受網42は、扱胴41の下側外周面に沿って配置される。
扱室92の下部には、受網42を支持するための六つの四半円孤枠44が設けられている。六つの四半円孤枠44には、左側の三つと右側の三つとが含まれる。左側の三つの四半円弧枠44、及び、右側の三つの四半円弧枠44は、前後方向に沿って等間隔で並べられる。
左側の三つの四半円弧枠44のうち、前側の一つは、受網42の左前部分42aの前端部を支持し、中央側の一つは、左前部分42aの後端部と左後部分42bの前端部とを支持し、後側の一つは、左後部分42bの後端部を支持する。右側の三つの四半円弧枠44のうち、前側の一つは、受網42の右前部分42cの前端部を支持し、中央側の一つは、右前部分42cの後端部と右後部分42dの前端部とを支持し、後側の一つは、右後部分42dの後端部を支持する。
また、図5に示すように、左側の三つの四半円弧枠44は、それぞれ、縦フレーム49cに固定されている。三つの縦フレーム49cは、前後方向に沿って等間隔に並べられるとともに、上側支持フレーム49aと下側支持フレーム49bとの間に配置される。上側支持フレーム49aと下側支持フレーム49bとは、前後方向を指している。縦フレーム49cは、鉛直方向を指している。三つの縦フレーム49cと上側支持フレーム49aと下側支持フレーム49bとは、互いに固定されることによって、受網42の左前部分42a及び左後部分42bを支持するための支持フレーム490を構成している。
左前部分42aと左後部分42bとの各網枠下部42eは、左側の水平フレーム49dに下方から支持されている。この左側の水平フレーム49dは、左前側の四半円弧枠44と左後側の四半円弧枠44との間で前後方向を向くように左側の三つの四半円弧枠44に固定されている。左前部分42aと左後部分42bとは、それらの網枠下部42eが水平フレーム49dにボルト止めされ、且つ、それらの網枠上部42fが上側支持フレーム49aにボルト止めされることにより、上側支持フレーム49aと三つの四半円弧枠44と水平フレーム49dとを含む上側後カバー49に着脱自在に支持されている。
また、三つの縦フレーム49cと上側支持フレーム49aと下側支持フレーム49bとを含む支持フレーム490は、中間上部横パイプ495と中間下部横パイプ496とに固定されている。なお、上側支持フレーム49aには、左前部分42aと左後部分42bとの各網枠上部42fを上方から覆うためのカバー49iが固定されている。
右側の三つの四半円弧枠44は、それぞれ型枠43の右側部分43dに固定される(図4,図6参照)。右前部分42cと右後部分42dとの各網枠下部42eは、左側と同様に、右側の水平フレーム49dに下方から支持されている。右側の三つの四半円弧枠44の各上端部には、上側支持フレーム43eが連結されている。右前部分42cと右後部分42dとは、それらの網枠下部42eが水平フレーム49dにボルト止めされ、且つ、それらの網枠上部42fが上側支持フレーム43eにボルト止めされることにより、上側支持フレーム43eと三つの四半円弧枠44と水平フレーム49dとに着脱自在に支持されている。上側支持フレーム43eと三つの四半円弧枠44とは、型枠43の右側部分43dに固定されている。このように、受網42の左前部分42a及び左後部分42bと、右前部分42c及び右後部分42dとは、コンバイン1の左側と右側とでそれぞれ別に支持されている。
上述のように、上側後カバー49の内方に設けられた、縦パイプ497、中間上部横パイプ495、及び、中間下部横パイプ496と、受網42の左前部分42a及び左後部分42bを支持するための支持フレーム490とは、上側後カバー49と一体となっている(図5参照)。支持フレーム490は、三つの縦フレーム49cと上側支持フレーム49と下側支持フレーム49bとが互いに固定されることによって構成されている。そして、三つの縦フレーム49cにそれぞれ固定された四半円弧枠44は、受網42の左前部分42a及び左後部分42bを支持している。従って、上側後カバー49が回転中心C3(図4参照)を中心に回転する場合には、受網42の左前部分42a及び左後部分42bは、上側後カバー49とともに一体となって回転する。このように、受網42の左前部分42a及び左後部分42bは、扱胴42の左方を覆う上側後カバー49と一体となって回転可能に上側後カバー49に支持されている。
次に、コンバイン1の左側面の構成のうち、外装カバーとしての上側後カバー49について説明する。
図5に示すように、上側後カバー49の前端近傍には、支持軸49pが設けられている。上側後カバー49は、上側後カバー49を支持する支持軸49pを中心にして回転可能である。
支持軸49pは、鉛直方向を指すとともに、上側後カバー49の上側支持フレーム49aとブラケット481とを貫通している。ブラケット481は、上側支持フレーム49aの下方に位置するように型枠43(図3参照)を構成するフレーム部材の左側面に固定されている。支持軸49pは、上側支持フレーム49aとブラケット481とに対して回転可能に取り付けられることによって、上側後カバー49の回転中心C3を構成している。また、支持軸49pは、上側支持フレーム49a及びブラケット481を介して型枠43に支持されることにより、上側後カバー49を支持している。つまり、支持軸49pは、上側後カバー49を型枠43に対して回転可能に支持する。上側後カバー49は、支持軸49pに対して回転可能に、支持軸49pに支持されている。しかし、支持軸49pは、上側後カバー49と一体となって上側支持フレーム49aとブラケット481とに対して回転可能に、上側支持フレーム49a及びブラケット481を介して型枠43に支持されていてもよい。
一方、上側後カバー49の後端部には、開口49eが形成されている。開口49eは、上側後カバー49の内側面と外側面とを貫通しており、開口49eを通してロックハンドル491が上側後カバー49の内方から外方(即ち左方)に露出している。上側後カバー49の内側面が、ロックハンドル491を回転可能に支持している。ロックハンドル491は、上斜め左方向を向くように、開口49eを通して上側後カバー49の内方から外方に突き出ている。
ロックハンドル491の根元には、前後方向を指すハンドルピン492が溶接等によって固定されている。ハンドルピン492と一体となったロックハンドル491は、上側後カバー49に対して所定角度範囲で上下に回転できる。オペレータの操作により、ロックハンドル491は、先端が上方を向いた図示するロック位置と、ロック位置から下方に押し下げられたロック解除位置との間で回転する。
上側後カバー49の内側面には、中間上部横パイプ495と中間下部横パイプ496と縦パイプ497とが固定されている。ハンドルピン492を支持するための縦パイプ497は、中間上部横パイプ495と中間下部横パイプ496とに直交して、これらの間に配置されるとともにこれらに固定されている。これらの縦パイプ497と中間上部横パイプ495と中間下部横パイプ496とは、受網42の左前部分42a及び左後部分42bを支持するための支持フレーム490とともに、上側後カバー49と一体となっている。後述のように、支持フレーム490は、上側支持フレーム49a、下側支持フレーム49b、及び、これらの間でそれぞれに連結される三つの縦フレーム49cを含む。
ハンドルピン492の前端部は、縦パイプ497に回転可能に取り付けられている。ハンドルピン492の後端には、可動フック493が固定されており、ハンドルピン492と一体となって回転する。ロックハンドル491がロック位置にある場合には、可動フック493がロックピン498に引っ掛かっている。ロックピン498は、前後方向を指すようにピン支持用のブラケット49fに固定されている。ブラケット49fは、型枠43の後側壁43f(図3参照)にボルトによって固定されている。
また、可動フック493及びハンドルピン492の下方において、縦パイプ497にはバネ支持用のブラケット49hが固定されている。ブラケット49hに形成された孔と可動フック493に形成された孔とに、それぞれ、引張コイルバネ494の両端が引っ掛けられている。コイルバネ494は、ロックハンドル491がロック位置にある場合に、ロックハンドル491がロック位置に留まるように、可動フック493をブラケット49hに向かって引っ張っている。一方、ロックハンドル491がロック解除位置にある場合に、コイルバネ494は、ロックハンドル491がロック解除位置に留まるように、可動フック493をブラケット49hに向かって引っ張っている。
更に、可動フック493及びハンドルピン492の上方において、縦パイプ497にはストッパ板499が固定されている。ストッパ板499は、略V字状の断面を有している。図5に示すように、ロックハンドル491がロック位置にある場合には、ロックハンドル491がストッパ板499に接触している。一方、図示されていないが、ロックハンドル491がロック解除位置にある場合には、可動フック493の上縁がストッパ板499に接触する。つまり、ロックハンドル491は、ハンドルピン492及び可動フック493と一体となって、ロックハンドル491がストッパ板499に接触する状態と、可動フック493の上縁がストッパ板499に接触する状態との間で上側後カバー49に対して回転できる。
上側後カバー49の前方には、オープンロック用のレバー489が設けられている。レバー489は、型枠43の外側に設けられている。上側後カバー49が閉じられた状態においては、レバー489の一端が型枠43と一体となったフレーム部材に支持され、他端が上側後カバー49の下側支持フレーム49bに支持されている。オペレータの操作によって、上側後カバー49が開けられると、上側後カバー49の内面にあけられた孔(図示せず)に、レバー489の一端を差し替えることにより、上側後カバー49を開放状態のまま保持することができる。
次に、受網42の左後部分42bの側方に配置される穀粒センサ40について説明する。
図5に示すように、左側面カバー47のうちの上側後カバー49の内側には、案内板46が設けられている。案内板46は、刈取り後の穀稈から分離された穀粒と処理物とを選別する選別部5(図6参照)に向かって、これら穀粒と処理物とを下方に案内する。案内板46の下端が上端よりも右側に位置するように、案内板46は傾斜した姿勢でリベットによって左前側壁49jと左後側壁49kとに取り付けられている。
図6に示すように、案内板46の上部よりも下部が上側後カバー49から離れた位置に配置されるように、案内板46は傾斜している。案内板46は、漏下してくる穀粒と処理物とを右斜め下方に案内する。このように、案内板46は、外側から内側(つまり、上側後カバー49から扱胴41)に向かう方向を含む斜め下方に穀粒を誘導することができる。そのため、案内板46は、受網42の下方の所望の位置に穀粒を落下させることができる。
図5に示すように、案内板46は、左前側壁49jに取り付けられた前側案内板461、左後側壁49kに取り付けられた後側案内板462、及び、後側案内板462の上方において左後側壁49kに取り付けられた上側案内板463を含む。左前側壁49jと左後側壁49kとは、受網42の左前部分42a及び左後部分42bとの左側をそれぞれ覆う側壁である。三つの縦フレーム49cのうちの前側の縦フレーム49cと真ん中の縦フレーム49c、上側支持フレーム49a、及び、下側支持フレーム49bとによって形成される枠は、左前側壁49jを支持している。三つの縦フレーム49cのうちの真ん中の縦フレーム49cと後側の縦フレーム49c、上側支持フレーム49a、及び、下側支持フレーム49bとによって形成される枠は、左後側壁49kを支持している。
左前側壁49j及び左後側壁49kに対する三つの案内板461・462・463の各傾斜角度は略一致している。前側案内板461は、左前側壁49jと略同等の前後方向の長さを有している。後側案内板462は、左後側壁49kと略同等の前後方向の長さを有している。上側案内板463は、穀粒センサ40と略同等の前後方向の長さを有している。
穀粒センサ40は、左後側壁49kに支持されている。即ち、穀粒センサ40は、受網42のうちの搬送方向の下流側且つ受網42の左方に配置されている。圧電素子の構成を有する穀粒センサ40は、検出面40iへの穀粒の接触量に応じて変化する電圧値を出力する。この電圧値の変化をコンバイン1の制御装置(図示せず)が検出する。このようにして、コンバイン1は、穀粒センサ40を用いて受網42によって濾過された穀粒の量を検出する。
左後側壁49kの内表面の下部において、後側案内板462の下方には、支持台401がリベットによって固定されている。支持台401の一部は、穀粒センサ40を設置するための載置台402を構成している。
図7は、上側後カバー49の内側の構成を示す底面図である。図7においては、受網42のうちの網枠上部42fと網枠下部42eとを除く網部分の図示を省略している。
図7に示すように、支持台401の前後方向の寸法は、後側案内板462よりも長く、左後側壁49kの後端から左前側壁49jの中途部に渡る寸法を有している。支持台401は、案内板46の表面と略平行の面を有する斜面部40a、斜面部40aの下方に位置する底面部40b、斜面部40a及び底面部40bの両端に形成され且つ斜面部40aに略直交する二つの遮蔽部40c、及び、斜面部40aと略平行の面を有し且つ各遮蔽部40cに繋がれた二つの脚部40dを含む。支持台401の斜面部40aと底面部40bと遮蔽部40cと脚部40dとは、一枚の板金材を折曲加工することによって一体に形成されている。脚部40dがリベット止めされることによって、支持台401が左後側壁49k(図5参照)と左前側壁49j(図5参照)とに固定されている。
載置台402は、支持台401の中心からやや後方寄りに位置している。載置台402には、後述のように、着脱自在に穀粒センサ40が取り付けられている。載置台402は、斜面部40eと遮蔽部40fと脚部40hとを含む。
載置台402の斜面部40eは、案内板46の表面と略平行の面を有する。二つの遮蔽部40fは、斜面部40eの両端に形成され且つ斜面部40eに略直交する。二つの脚部40hは、斜面部40aと略平行の面を有し且つ各遮蔽部40fに繋がれている。載置台402の斜面部40eと遮蔽部40fと脚部40hとは、支持台401よりも小さい一枚の板金材を折曲加工することによって一体に形成されている。載置台402の斜面部40eは、支持台401の斜面部40aと平行であって、支持台401の斜面部40aよりも受網42(図5参照)近い側に位置している。また、載置台402の斜面部40eは、支持台401の斜面部40aよりも短い前後方向の寸法を有している。
支持台401の斜面部40aの略中央部分には、載置台402の斜面部40eの寸法程度に互いに距離を隔てて二つの切込が形成されている。載置台402の各遮蔽部40fのうちの斜面部40eに近い側の縁が支持台401の各切込に嵌め込まれることにより、載置台402が支持台401と一体になる。また、載置台402の脚部40hは、左後側壁49kにリベット止めされることによって、左後側壁49kに固定されている。
図5に示すように、載置台402と一体となった支持台401を上方から覆うように後側案内板462が左後側壁49kに取り付けられたうえで、穀粒センサ40が載置台402に固定される。つまり、穀粒センサ40は、後側案内板462よりも受網42に近い側に配置されている。
図8に示すように、穀粒センサ40が後側案内板462を介して載置台402上に載置されることにより、穀粒センサ40の検出面40iは、後側案内板462の表面よりも上方に位置する。そのため、穀粒センサ40の検出面40iは、案内部材としての後側案内板462の表面よりも受網42の近くに位置している。このような配置によれば、後側案内板462による干渉が抑制されて穀粒センサ40に穀粒が接触するので、穀粒センサ40は、穀粒を適切に検出できる。
また、穀粒センサ40の検出面40iは、受網42に対向するように傾斜している。従って、穀粒センサ40には、受網42から落下する穀粒が確実に接触するので、穀粒センサ40は、穀粒を適切に検出できる。また、穀粒センサ40は、上側後カバー49から扱胴41に向かう方向を含む斜め下方に穀粒を誘導できるので、受網42の下方の所望の位置に穀粒を落下させることができる。
また、穀粒センサ40の検出面40iは、支持台401の斜面部40a、後側案内板462の表面、及び、上側案内板463の表面と平行している。
穀粒センサ40は、載置台402に対して着脱自在に取り付けられる。図9に示すように、穀粒センサ40の背面(即ち、検出面40iと反対側の面)には、複数(4本)のピン40pが形成されている。載置台402の斜面部40eにおいて各ピン40pに対応する位置に、全部で四つの孔40qが形成されている。図9には、四つの孔40qのうち、上側案内板463から遠い側の二つの孔40qのみを示す。また、載置台402が載せられた支持台401において各孔40qに対応する位置に、全部で四つの孔40rが形成されている。図9には、上側案内板463から遠い側の二つの孔40rのみを示す。
更に、後側案内板462において、上側案内板463に近い側に形成されている載置台402の二つの孔40qと支持台401の二つの孔40rとに対応する位置に、全部で二つの孔40sが形成されている。穀粒センサ40の四つのピン40pのうち、上部側の二つのピン40pが、後側案内板462の二つの孔40sと載置台402の二つの孔40qと支持台401の二つの孔40rとに差し込まれ、且つ、下部側の二つのピン40pが、載置台402の二つの孔40qと支持台401の二つの孔40rとに差し込まれることによって、穀粒センサ40が載置台402に取り付けられる。
なお、図示していないが、穀粒センサ40のピン40pの外周には、ゴム等の弾性材料で形成されたカバーが取り付けられていることが好ましい。或いは、ピン40pの外周を囲むための筒状のカバーが、各孔40s・40r・40qの縁に取り付けられていてもよい。このカバーの弾性変形によって、各孔40s・40r・40qにピン40pが隙間なく入り込み、載置台402上での穀粒センサ40の位置と姿勢とを保持することができる。
支持台401と載置台402とには、それぞれ孔40u・40vが形成されている。また、下側支持フレーム49bにも、図示しない孔が形成されている。支持台401の孔40uと載置台402の孔40vとを含むこれらの孔を通って、穀粒センサ40の接続コード40jが制御回路(図示せず)に接続されている。
図8に示すように、接続コード40jには、制御回路に接続するためのコネクタ40kが取り付けられている。オペレータは、制御回路側の別のコネクタ(図示せず)と穀粒センサ40のコネクタ40kとの接続を解除することにより、接続コード40j及びコネクタ40kを含む穀粒センサ40全体を、載置台402を含む上側後カバー49から取り外すことができる。
検出面40iを始め穀粒センサ40の各部分に塵等が付着している場合には、図10に示すように上側後カバー49を開放したうえで、オペレータが載置台402から穀粒センサ40を取り外すことによって、穀粒センサ40を適宜清掃できる。これにより、穀粒センサ40を清潔にすることができる。このときに、オペレータは、受網42の左前部分42a及び左後部分42bが三つの四半円弧枠44に載せられたままで載置台402を含む上側後カバー49から穀粒センサ40を取り外すことができる。なお、図10においては、脱穀部4のうち、扱胴41の図示を省略している。
以上のように、コンバイン1において、穀粒センサ40が受網42のうちの搬送方向の下流側且つ受網42の側方に配置され、扱胴41の側方を覆う上側後カバー49が上下方向を向く回転中心C3を中心にして回転可能に構成され、受網42は、上側後カバー49と一体となって回転可能に上側後カバー49に支持されている。このような構成によれば、オペレータは、上側後カバー49を開けたうえで受網42を扱胴41から離すことができるので、脱穀部4の側方の空間が広がった状態で穀粒センサ40を容易に清掃できる。
また、穀粒センサ40の検出面40iが受網42に対向するように傾斜しているので、穀粒センサ40の検出面40iに異物が堆積することを抑制できるとともに、オペレータは、検出面40iから異物を掃き落としたり拭き落としたりする等、穀粒センサ40を容易に清掃することができる。
更に、後側案内板462の表面に対して検出面40iが突出しているので、検出面40iに異物が堆積することを抑制できるとともに、オペレータは、後側案内板462に隠れることなくこれに対して露出した検出面40iを容易に清掃することができる。
コンバイン1の構成によれば、上下方向を向く回転中心C3を中心にして上側後カバー49が回転したうえで脱穀部4の側方が開放されるため、コンバイン1には、上側後カバー49を上方に回転させるために必要な油圧式ダンパー等の別の構成を設ける必要がない。また、仮に、上側後カバー49が上方に回転する構成をコンバイン1が備えている場合には、開放された上側後カバー49の下方でオペレータが頭上を気にしながら穀粒センサ40のメンテナンスをするような事態が生じる。しかし、コンバイン1のように、回転中心C3を中心にして上側後カバー49が回転することによって脱穀部4の側方が開放される構成によれば、オペレータの頭上に障害物が現れることなく、効率よくメンテナンスできる。
なお、穀粒センサ40は、上側後カバー49と一体となるように上側後カバー49に支持されていなくてもよく、受網42の側方に位置するように型枠43等のフレーム部材に着脱自在に取り付けられていてもよい。穀粒センサ40は、受網42の側方の位置であって、上側後カバー49が開放された場合にオペレータの手が届く位置に配置されていればよい。このような構成によっても、オペレータは、上側後カバー49を回転させることによって開放する場合に、脱穀部4の側方の空間が広がった状態で穀粒センサ40を清掃でき、更に、穀粒センサ40を上側後カバー49の外側に取り出して清掃することができる。
このように、受網42の側方に位置するように型枠43等のフレーム部材に穀粒センサ40が取り付けられている場合に、上側後カバー49が仮に下方に回転する構成をコンバイン1が備えていると、回転した上側後カバー49が障害となってオペレータの手が穀粒センサ40まで届きにくい。しかし、コンバイン1は、上下方向を向く回転中心C3を中心にして上側後カバー49が回転して脱穀部4の側方が開放される構成を含むので、穀粒センサ40が上側後カバー49とともに回転してコンバイン1の外部に露出される構成でなく型枠43に取り付けられているとしても、回転した上側後カバー49が障害物を形成することなく、オペレータは、穀粒センサ40に容易に手を届かせることができる。
穀粒センサ40は、受網42のうちの搬送方向の下流側において濾過された穀粒を検出する。このように、コンバイン1は、受網42のうちの搬送方向の下流側において濾過された穀粒を穀粒センサ40を用いて検出することにより、扱胴41によって脱穀されないまま更に下流に搬送される穀稈量、即ち、脱穀ロス量を推察する。これにより、コンバイン1は、穀粒の機外への排出量を推察できる。つまり、収穫の無駄の発生を見出す手段の構成として、機外への穀粒の排出量を直接的に検出する構成ではなく、機外への穀粒の排出量を推察するという簡素化された構成をコンバイン1は有している。このように、コンバイン1は、受網42のうちの搬送方向の下流側において濾過された穀粒を穀粒センサ40が検出する、といった簡易な構成を含む。つまり、コンバイン1によれば、簡易な構成によって穀粒の機外への排出量、即ち、ロス量を推察できる。
なお、コンバイン1は、図示しない警報器を備えている。穀粒センサ40によって検出される穀粒の量を表す値が設定された閾値を超える場合に、警報器は警報を発する。この警報は、音声による出力であってもよく、警報器としての表示器によって表示される文字、記号、ランプの点灯等の表示であってもよい。
警報を確認及び認識したオペレータは、コンバイン1の走行速度を減少させたり、刈取速度を減少させたりすることにより、穀粒のロスを低減するための対策を講じることができる。このようなオペレータの操作により、コンバイン1は、穀粒の機外への排出量、即ち、ロス量を低減できる。