図面を参照しつつ各実施形態について説明する。
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図面中のものと異なる場合がある。また断面図では、理解を容易にするために一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。また、以降の説明において、「ワイヤのよれ」とは、複数のワイヤが互いに交差して絡まった状態のことをいう。また「ワイヤのねじれ」とは、1本のワイヤがその長手方向を中心として回転した状態のことをいう。
(第1実施形態)
図1に示すように、巻線装置1によってコア210にコイル220が形成され、貼付装置2によってコア210にカバー部材230が取り付けられることによってコイル部品200が製造される。製造された複数のコイル部品200は、テーピング装置3によって包装される。これにより、テーピング電子部品連300が製造される。
図2及び図3に示すように、コイル部品200は、例えば回路基板等に実装される表面実装型のコモンモードチョークコイルである。コイル部品200は、コア210と、コア210に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が巻回されてなるコイル220と、コア210に取り付けられたカバー部材230とを有する。
コア210の材料としては、磁性材料(例えば、ニッケル(Ni)−亜鉛(Zn)系フェライト、マンガン(Mn)−Zn系フェライト)、金属磁性体、非磁性材料(アルミナ、樹脂)などを用いることができる。これらの材料の粉末を、成型及び焼結することによりコア210が得られる。コア210は、巻芯部211、第1鍔部212、及び第2鍔部213を有する。巻芯部211は、略直方体状に形成されている。第1鍔部212は、巻芯部211が延びる第1の方向における巻芯部211の一方の端部から第1の方向と直交する平面方向である第2の方向に延びている。第2鍔部213は、第1の方向における巻芯部211の他方の端部から第2の方向に延びている。第1鍔部212及び第2鍔部213は、巻芯部211と一体に形成されている。各鍔部212,213には、第1電極214及び第2電極215が設けられている。第1電極214及び第2電極215は、コイル部品200の平面視において各鍔部212,213の第2の方向の両端部に位置している。各電極214,215は、金属層と、その金属層の表面のめっき層とを含む。金属層としては例えば銀(Ag)であり、めっき層としては例えば錫(Sn)めっきである。なお、金属層として、銅(Cu)等の金属、ニッケル(Ni)−クロム(Cr)、Ni−Cu等の合金を用いてもよい。まためっき層として、Niめっき、2種以上のめっきを用いてもよい。コア210の第1の方向の寸法及び第2の方向の寸法は任意に変更可能である。コア210の第1の方向の寸法は2.09mm〜4.5mmの範囲内であることが好ましく、コア210の第2の方向の寸法は1.53mm〜3.2mmの範囲内であることが好ましい。本実施形態では、コア210の第1の方向の寸法が4.5mm、コア210の第2の方向の寸法が3.2mmのコア210が用いられる。
コイル220は、第1ワイヤW1が巻芯部211に巻回されてなる一次側コイルと、第2ワイヤW2が巻芯部211に巻回されてなる二次側コイルとを有する。第1ワイヤW1は第1電極214に接続され、第2ワイヤW2が第2電極215に接続されている。図2に示すとおり、巻芯部211に巻き付けられた各ワイヤW1,W2は、よられている(交差している)。各ワイヤW1,W2は、例えば円形状の断面を有する芯線と、芯線の表面を被覆する被覆材とを含む。芯線の材料としては、例えばCuやAg等の導電性材料を主成分とすることができる。被覆材の材料としては、例えばポリウレタンやポリエステル等の絶縁材料を用いることができる。なお、図2では、各ワイヤW1,W2のよれ数がコイル部品200の平面視において1であるが、各ワイヤW1,W2のよれ数はこれに限られない。例えば、各ワイヤW1,W2のよれ数は、2以上であってもよい。
図2に示すように、カバー部材230は、平板状に形成されている。カバー部材230の材料としては、例えば、フェライト等の磁性体を用いることができる。図3に示すように、カバー部材230は、巻芯部211に巻回されたコイル220を覆うように、第1鍔部212及び第2鍔部213に例えば接着剤により取り付けられている。カバー部材230は、各鍔部212,213の各電極214,215とは反対側に取り付けられている。
カバー部材230は、例えばコイル部品200を回路基板に実装する際に、吸引ノズルによる吸着が確実に行えるようにする。またカバー部材230は、吸引ノズルによる吸着時に各ワイヤW1,W2に傷が付くことを防止する。なお、カバー部材230の材料としては、エポキシ系樹脂等の非磁性材料を用いてもよい。これにより、磁性損失を低減し、コイル部品200のQ値を高めることができる。
<巻線装置>
図4は、巻線装置1の一連の動作を示す模式的な平面図である。巻線装置1は、コア搬送機構10、コア投入機構20、把持機構30、開閉機構40、ワイヤ送り出し機構50、ワイヤ巻回機構60、ワイヤ把持退避機構70、ワイヤ接合機構80、廃線回収機構90、コア搬出機構100、第1移動機構110、及び第2移動機構120を有する。また図5は、巻線装置1における把持機構30、開閉機構40、ワイヤ送り出し機構50、ワイヤ巻回機構60、ワイヤ把持退避機構70、第1移動機構110、及び第2移動機構120の一例を示している。
図6に示すように、巻線装置1は、部品供給工程(ステップS1)、部品投入工程(ステップS2)、コイル形成工程(ステップS3)、ワイヤ接合工程(ステップS4)、ワイヤカット工程(ステップS5)、及び部品搬出工程(ステップS6)を順に経て、コア210にコイル220が形成されたコイル部品を製造する。このコイル部品は、カバー部材230(図2参照)が取り付けられていない状態のコイル部品を示す。本実施形態では、部品供給工程及び部品投入工程がコア準備工程に相当する。
部品供給工程は、コア搬送機構10によりコア210を個別にコア投入機構20に搬送する工程である。部品投入工程は、コア投入機構20によりコア210が把持機構30に投入され、把持機構30によりコア210が把持される工程である。
コイル形成工程は、コア210にコイル220を形成するための工程であり、巻回開始工程(ステップS31)、巻回工程(ステップS32)、及び巻回終了工程(ステップS33)を有する。巻回開始工程は、ワイヤ送り出し機構50によって所定の張力を有する第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2の巻き始めの端部を、把持機構30に把持されたコア210の各電極214,215(図2参照)にワイヤ巻回機構60によって引掛ける工程である。巻回工程は、ワイヤ巻回機構60及び把持機構30によってコア210の巻芯部211に各ワイヤW1,W2を巻回する工程である。巻回終了工程は、ワイヤ巻回機構60によって各ワイヤW1,W2の巻き終わりの端部を、各電極214,215に引掛ける工程である。
ワイヤ接合工程は、ワイヤ接合機構80によって、各ワイヤW1,W2の巻き始めの端部を各電極214,215に接合し、各ワイヤW1,W2の巻き終わりの端部を各電極214,215に接合する工程である。ワイヤカット工程は、ワイヤ接合機構80によって各ワイヤW1,W2のうちの余剰部分を切断し、廃線回収機構90によって回収する工程である。部品搬出工程は、コア搬出機構100によってコイル220が形成されたコア210を把持機構30から搬出し、貼付装置2(図1参照)に移動させる工程である。
図7に示すように、巻線装置1は、上記各機構10〜120の動作を制御する制御機構130を有する。制御機構130は、状態監視部131、動作記憶部132、及び動作指示部133を有する。状態監視部131及び動作指示部133は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。動作記憶部132は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。本実施形態の制御機構130は、制御部に相当する。
状態監視部131は、上記各機構10〜120の動作状態を監視する。状態監視部131には、上記各機構10〜120に設けられたセンサやカメラにより検出された各機構10〜120の動作状態に関する情報が入力される。状態監視部131は、各機構10〜120の動作状態に関する情報に基づいて、各機構10〜120の現在の動作状態を動作記憶部132に出力する。
動作記憶部132には、各種の制御プログラム及び各種の処理に用いられる情報が記憶される。各種の処理に用いられる情報の一例は、状態監視部131から出力された各機構10〜120の現在の動作状態である。
動作指示部133は、動作記憶部132に記憶された各種の制御プログラムに基づいて、各機構10〜120の動作指示信号を各機構10〜120に出力する。一例では、動作指示部133は、各機構10〜120の現在の動作状態に対して各機構10〜120が各機構10〜120の制御目標値に一致するような動作指示信号を生成するフィードバック制御を実行する。
次に、巻線装置1におけるコイル部品200の製造方法の各工程に関連する機構の詳細な構成及び動作について説明する。
(部品供給工程)
図8に示すように、コア搬送機構10は、供給部11、整列部12、方向選別部13、及び分離搬送部14を備える。供給部11は、整列部12にコア210を供給する。整列部12は、コア210の向きを揃えるとともに方向選別部13にコア210を搬送する。方向選別部13は、所定の向きのコア210を分離搬送部14に搬送する一方、所定の向きのコア210以外のコア210を供給部11に戻す。本実施形態では、各電極214,215が上面となる向きのコア210を所定の向きのコア210と規定している。分離搬送部14は、所定の向きのコア210を1個ずつコア投入機構20に搬送する。
整列部12は、コア210を保持する回転台12aと、回転台12aを回転させるモータ12bと、コア210の向きを揃える整列手段12cとを有する。整列手段12cは、コア210の長さ方向を図4に示す回転台12aの回転方向に変更させるための手段である。整列手段としては、磁石(図示略)によってコア210を磁気吸引する非接触手段や、回転台12aに設けられた回転方向に沿って延びる壁部(図示略)によってコア210を回転台12aの回転方向に変更させる接触手段を用いることができる。
方向選別部13は、整列部12から搬送されたコア210を分離搬送部14に向けて搬送する搬送部13aと、コア210が所定の向きか否かを判定する判定部13bと、所定の向きのコア210以外のコア210を供給部11に戻す分別部13cとを有する。搬送部13aは、例えばベルトコンベヤであり、モータ(図示略)により駆動する。判定部13bは、例えばカメラを有し、カメラによって撮影された画像に基づいて、コア210の各電極214,215が上面に位置しているか否かを判定する。分別部13cは、例えば搬送部13a上の所定の領域に圧縮空気を吐出可能となるように構成されている。分別部13cは、判定部13bによって所定の向きのコア210以外のコア210が搬送部13a上の所定の領域に位置したとき、圧縮空気を吐出して所定の向きのコア210以外のコア210を供給部11に戻す。
分離搬送部14は、直線状のレール部14aと、レール部14aに対して移動可能なキャリア14bと、キャリア14bを移動させるアクチュエータ14cとを有する。アクチュエータ14cの一例は、レール部14aの長手方向に沿って延びるねじ部14dと、ねじ部14dを回転させる駆動源となるモータ14eとを有する送りねじ機構である。キャリア14bは、ねじ部14dに連結されており、ねじ部14dの回転にともないねじ部14dの軸方向に往復移動可能である。キャリア14bには、方向選別部13から搬送されたコア210が供給される。
制御機構130(図7参照)は、コア搬送機構10の動作を制御する方向選別制御を実行する。方向選別制御は、コア供給処理、回転駆動処理、搬送処理、方向選別処理、分別処理、キャリア位置制御処理、及びキャリア移動処理を有する。部品供給工程では、制御機構130は、コア供給処理に基づいて供給部11から回転台12aにコア210を供給し、回転駆動処理によって回転台12aが一定速度で回転するようにモータ12bを駆動制御する。これにより、コア210が回転台12aから方向選別部13に搬送されるとともに整列手段12cによってコア210の向きが揃えられる。そして制御機構130は、搬送処理によって搬送部13aが一定の速度でコア210を搬送するように方向選別部13のモータを駆動制御する。そして制御機構130は、方向選別処理によって判定部13bを用いて各電極214,215が上面に位置しているコア210か否かを判定し、分別処理によって分別部13cを用いて各電極214,215が上面に位置しているコア210以外のコア210を供給部11に戻す。これにより、各電極214,215が上面に位置しているコア210のみがキャリア14bに供給される。そしてキャリア位置制御処理及びキャリア移動処理によって、搬送部13aに対応する第1の位置からコア投入機構20がコア210を取り出し可能となる第2の位置までの間に亘りキャリア14bを移動させる。
(部品投入工程)
部品投入工程では、図9に示すコア投入機構20と、図12に示す把持機構30及び開閉機構40とが用いられる。図9〜図11では、便宜上、分離搬送部14のレール部14a及びアクチュエータ14c、並びにコア把持部30B及びワイヤ把持退避機構70の一部を省略して示している。
図9に示すように、コア投入機構20は、コア把持固定部21、コア搬送部22、及びコア姿勢支持部23を備える。コア姿勢支持部23は、前後方向Xにおいて、キャリア14bに対して把持機構30とは反対側に位置している。コア姿勢支持部23には、コア搬送部22が連結されている。コア搬送部22は、第1の電動シリンダ22a及び第2の電動シリンダ22bを有する。第1の電動シリンダ22aは、上下方向Zに第2の電動シリンダ22bを移動可能である。第2の電動シリンダ22bは、第1の電動シリンダ22aに対して前後方向Xに移動可能である。コア把持固定部21は、第2の電動シリンダ22bの先端部に固定されている。コア把持固定部21は、把持部材21a及び開閉シリンダ21bを有する。図10(a)に示すように、把持部材21aは、上下方向Zに延びる第1のアーム21c及び第2のアーム21dを有する。第2のアーム21dは、開閉シリンダ21bによって前後方向Xにおいて移動可能である。コア把持固定部21は、開閉シリンダ21bによって各アーム21c,21dによってコア210を把持可能となる。
制御機構130(図7参照)は、コア投入機構20の動作を制御するコア投入位置制御を実行する。コア投入位置制御は、把持開閉処理、移動処理、及び位置制御処理を有する。部品投入工程では、まず制御機構130は、図10(a)に示すように、把持開閉処理によって第1のアーム21cに対して第2のアーム21dを離間させるように開閉シリンダ21bを制御し、移動処理によって各電動シリンダ22a,22bを制御して、コア把持固定部21がキャリア14bに対向するように移動させる。図10(a)では、第1のアーム21cがキャリア14b内のコア210の第2鍔部213に接触している。そして制御機構130は、図10(b)に示すように、把持開閉処理によって、第2のアーム21dを第1のアーム21cに接近させてコア210を挟み込むように開閉シリンダ21bを制御する。これにより、コア把持固定部21は、コア210を把持する。
次に、制御機構130は、図11(a)に示すように、コア把持固定部21によりコア210を把持した状態で、移動処理によって、図11(b)に示すように、コア把持固定部21を上方に移動させるように第1の電動シリンダ22aを制御する。これにより、コア把持固定部21は、コア210をキャリア14bから取り出す。そして、制御機構130は、図11(c)に示すように、移動処理によって上下方向Zにおいて把持機構30と対向する位置にコア把持固定部21を移動させるように第2の電動シリンダ22bを制御した後、図11(d)に示すように、コア把持固定部21を上方に移動させるように第1の電動シリンダ22aを制御する。これにより、コア210は、キャリア14bからワイヤ把持退避機構70を避けて把持機構30に供給される。
図12に示すように、第1移動機構110のキャリア112には、コア210及び各ワイヤW1,W2を把持可能な把持機構30と、把持機構30を動作させるための開閉機構40とが取り付けられている。把持機構30は、回転部30A、コア把持部30B、及び始線側ワイヤ把持部30Cを有する。回転部30Aには、コア把持部30Bの一部及び始線側ワイヤ把持部30Cが取り付けられている。コア把持部30B及び始線側ワイヤ把持部30Cは、前後方向Xにおいてキャリア112よりも外側に位置している。開閉機構40は、把持機構30の左右方向Yの両側に配置されている。開閉機構40は、コア把持部30Bを開閉させるためのコア開閉部40Aと、始線側ワイヤ把持部30Cを開閉させるための始線側ワイヤ開閉部40Bとを有する。始線側ワイヤ開閉部40Bは、左右方向Yにおいて回転部30Aに対して始線側ワイヤ把持部30Cが位置する側に位置している。コア開閉部40Aは、左右方向Yにおいて回転部30Aに対して始線側ワイヤ把持部30Cが位置する側とは反対側に位置している。
回転部30Aは、コア把持部30Bの一部及び始線側ワイヤ把持部30Cを回転させる。回転部30Aは、コア把持部30Bの一部及び始線側ワイヤ把持部30Cが取り付けられた回転台31と、回転台31を回転させるための回転装置32とを有する。回転装置32は、駆動源となるモータと、モータの回転速度を減速する減速機と、モータ及び減速機を収容するケース32aと、回転装置32のトルクを出力する出力軸32bとを有する。ケース32aは、前後方向Xに延びている。ケース32a内においてモータ及び減速機は、前後方向Xに並べられている。減速機からの出力を取り出す出力軸32bは、ケース32aから突出して回転台31に連結されている。すなわち、回転台31は、出力軸32bと一体に回転する。回転台31は、回転台31を左右方向Yから見て略L字状に形成されている。回転台31は、コア把持部30Bの一部が載置される載置台31aと、載置台31aから上方に突出する連結壁31bとを有する。連結壁31bには、出力軸32bが連結されている。載置台31aは、出力軸32bよりも下方に位置している。連結壁31bの左右方向Yの側面には、始線側ワイヤ把持部30Cが固定されている。
コア把持部30Bは、コア投入機構20(図11参照)から搬送されたコア210を把持する。コア把持部30Bは、可動側把持部材33、固定側把持部材34、開閉体35、及び押え板36を有する。コア210の第1鍔部212は、可動側把持部材33及び固定側把持部材34により挟み込まれる。左右方向Yにおいて可動側把持部材33と固定側把持部材34とが並べられている。可動側把持部材33及び固定側把持部材34により挟み込まれたコア210の巻芯部211の中心軸は、回転部30Aの出力軸32bの中心軸と同軸である。すなわち回転部30Aの回転にともない、コア210は巻芯部211の中心軸を回転軸として回転する。
図13(a)に示すように、可動側把持部材33は、載置台31aに設けられた回転軸体31cに対して回転可能に取り付けられている。可動側把持部材33は、本体部33a、把持爪33b、被押付部33c、及び取付部33dを有する。本体部33a、把持爪33b、被押付部33c、及び取付部33dは一体に形成されている。把持爪33bは、本体部33aから先端に向かうにつれて固定側把持部材34側に傾斜して延びている。被押付部33c及び取付部33dは、本体部33aにおける連結壁31b側の端部から左右方向Yに延びている。被押付部33cは、本体部33aにおける左右方向Yの固定側把持部材34とは反対側からコア開閉部40Aに向けて延びている。取付部33dは、本体部33aにおける左右方向Yの固定側把持部材34側から固定側把持部材34に向けて延びている。
固定側把持部材34及び押え板36は、押え板36が固定側把持部材34よりも上方に位置するように重ね合わせられた状態でボルトBによって載置台31aに固定されている。固定側把持部材34は、本体部34a、膨出部34b、収容部34c、及び取付部34dを有する。本体部34a、膨出部34b、収容部34c、及び取付部34dは一体に形成されている。本体部34aは、前後方向Xに延びる長方形状に形成され、押え板36が載せられている。膨出部34bは、本体部34aから可動側把持部材33の把持爪33bに向けて延びている。膨出部34bにおいて可動側把持部材33側の部分には、膨出部34bから上方に延びる円柱状の引掛け部材34eが設けられている。収容部34cは、膨出部34bの先端部に形成されている。収容部34cは、コア210の第1鍔部212を収容可能である。取付部34dは、本体部34aにおける連結壁31b側の端部から可動側把持部材33に向けて延びている。
押え板36は、左右方向Yに延びている。押え板36は、可動側把持部材33を上方から覆っている。これにより、可動側把持部材33の上方への移動が規制される。
開閉体35は、回転軸体31cを中心に可動側把持部材33を回転させるための部品である。開閉体35は、弾性体35a及び加圧用部材35bを有する。弾性体35aは、左右方向Yに圧縮可能である。弾性体35aの一例は、コイルばねである。弾性体35aは、可動側把持部材33の取付部33d及び固定側把持部材34の取付部34dに取り付けられている。加圧用部材35bは、その平面視においてL字状に形成されている。加圧用部材35bは、回転部30A(図12参照)から離れた位置かつ可動側把持部材33の被押付部33cと左右方向Yに対向した位置に配置されている。加圧用部材35bは、コア開閉部40Aに連結され、コア開閉部40Aによって左右方向Yに移動可能である。コア開閉部40Aは、例えば電動シリンダである。
コア把持部30Bは、コア開閉部40Aによって図13(a)に示すコア把持状態と、図13(b)に示すコア把持解除状態とに切り替え可能である。図13(a)に示すとおり、コア把持状態では、加圧用部材35bは可動側把持部材33を押し付けていない。このため、可動側把持部材33は、弾性体35aの弾性力によって把持爪33bが固定側把持部材34の収容部34cに向かい付勢されている。これにより、コア210の第1鍔部212が把持爪33b及び収容部34cによって挟み込まれている。図13(b)に示すとおり、コア開閉部40Aによって加圧用部材35bが可動側把持部材33を押し付けることにより、可動側把持部材33が回転軸体31cを中心に時計回り方向に回転する。その結果、把持爪33bが収容部34cから離間するため、すなわちコア210の第1鍔部212から把持爪33bが離間するため、コア把持解除状態に変更される。
制御機構130(図7参照)は、コア把持部30Bの動作を制御するコア把持制御を実行する。制御機構130は、コア投入機構20によって固定側把持部材34の収容部34cにコア210の第1鍔部212が配置される前の状態では、コア把持部30Bはコア把持解除状態に維持する。すなわち制御機構130は、コア開閉部40Aである電動シリンダを駆動させて加圧用部材35bを可動側把持部材33に押し付けた状態を維持している。そして制御機構130は、コア投入機構20によってコア210の第1鍔部212が固定側把持部材34の収容部34cに収容されたと判定したとき、コア開閉部40Aを駆動させて加圧用部材35bが可動側把持部材33から離れるようにする。これにより、弾性体35aが可動側把持部材33の後方部を押し付けるため、把持爪33bが収容部34cに向けて移動して把持爪33bと収容部34cによってコア210の第1鍔部212が挟み込まれる。なお、制御機構130は、例えば、収容部34cを撮影するカメラの画像に基づいて収容部34cにコア210の第1鍔部212が収容されたか否かを判定する。
図14に示すように、始線側ワイヤ把持部30Cは、固定側把持部材37、可動側把持部材38、及び開閉体39を有する。
固定側把持部材37は、回転台31の連結壁31bの側面に複数のボルト(図示略)によって固定されている。固定側把持部材37は、固定部37a、アーム部37b、把持部37c、及び回転軸体37dを有する。固定部37a、アーム部37b、及び把持部37cは一体に形成されている。回転軸体37dは、アーム部37bに固定されている。固定部37aは、連結壁31bに固定される部分である。アーム部37bは、固定部37aから前方に延びている。把持部37cは、アーム部37bの先端部に形成されている。
可動側把持部材38は、連結部38a、把持アーム部38b、第1アーム部38c、及び第2アーム部38dを有する。連結部38aは、回転軸体37dによって固定側把持部材37のアーム部37bに回転可能に連結されている。連結部38aは、上下方向Zに延びている。把持アーム部38bは、連結部38aの下端部から前後方向Xのキャリア112から離れる方向に延びている。把持アーム部38bは、その側面視において略L字状に形成されている。把持アーム部38bの前端部には、上方に向けて延びる把持部38eが形成されている。把持部38eは、上下方向Zにおいて把持部37cと対向している。第1アーム部38cは、連結部38aの上端部から前後方向Xのキャリア112側に向けて延びている。第1アーム部38cは、連結部38aよりも上方に位置し、連結部38aと上下方向Zにおいて対向している。第1アーム部38cは、その平面視において略L字状に形成されている。第1アーム部38cにおいてキャリア112側の端部には、始線側ワイヤ開閉部40Bによって押される被押付部38fが形成されている。第2アーム部38dは、連結部38aの下端部から前後方向Xのキャリア112側に向けて延びている。第2アーム部38dは、連結部38aよりも下方に位置し、連結部38aと上下方向Zにおいて対向している。
開閉体39は、回転軸体37dを中心に可動側把持部材38を回転させるための部品である。開閉体39は、弾性体39a及び加圧用棒材39bを有する。弾性体39aは、上下方向Zに圧縮可能である。弾性体39aの一例は、コイルばねである。弾性体39aは、第2アーム部38d及び連結部38aにより上下方向Zに挟み込まれている。加圧用棒材39bは、第1アーム部38cの被押付部38fよりもキャリア112側に位置し、被押付部38fと前後方向Xに対向している。加圧用棒材39bは、始線側ワイヤ開閉部40Bに連結されている。加圧用棒材39bは、始線側ワイヤ開閉部40Bによって被押付部38fを押す。
始線側ワイヤ開閉部40Bは、シリンダ41と、シリンダ41を支持する支持部材42とを有する。シリンダ41の一例は、空気圧シリンダである。始線側ワイヤ開閉部40Bは、シリンダ41の動作によって加圧用棒材39bを前後方向Xに移動可能である。
始線側ワイヤ把持部30Cは、始線側ワイヤ開閉部40Bによって図15(a)に示すワイヤ把持状態と、図15(b)に示すワイヤ把持解除状態とに切り替え可能である。図15(a)に示すとおり、ワイヤ把持状態では、加圧用棒材39bは可動側把持部材38を押し付けていない。このため、可動側把持部材38は、弾性体39aが第2アーム部38dを連結部38aとは反対側に押し付けるため、把持アーム部38bの把持部38eが固定側把持部材37の把持部37cに向けて移動する。図15(b)に示すとおり、始線側ワイヤ開閉部40Bによって加圧用棒材39bが可動側把持部材38を押し付けることにより、始線側ワイヤ把持部30Cの側面視において、可動側把持部材38が回転軸体37dの中心軸を中心に反時計回りに回転する。これにより、固定側把持部材37の把持部37cに対して可動側把持部材38の把持部38eが下方に離間するため、ワイヤ把持解除状態に変更される。
制御機構130(図7参照)は、始線側ワイヤ把持部30Cの動作を制御するワイヤ把持制御を実行する。制御機構130は、ワイヤ巻回機構60(図4参照)によって第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2(ともに図2参照)が固定側把持部材37の把持部37cと可動側把持部材38の把持部38eとの間に配置される前の状態では、始線側ワイヤ把持部30Cをワイヤ把持解除状態に維持する。すなわち制御機構130は、始線側ワイヤ開閉部40Bのシリンダ41を駆動させて加圧用棒材39bを可動側把持部材38に押し付けた状態を維持している。そして制御機構130は、ワイヤ巻回機構60によって第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が固定側把持部材37の把持部37cと可動側把持部材38の把持部38eとの間に配置されたと判定したとき、始線側ワイヤ開閉部40Bを駆動させて加圧用棒材39bが可動側把持部材38から離れるようにする。これにより、弾性体39aが可動側把持部材38の第2アーム部38dを押し付けるため、可動側把持部材38の把持部38eが固定側把持部材37の把持部37cに向けて移動して把持部37c,38eによって第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が挟み込まれる。なお、制御機構130は、例えば、把持部37cと把持部38eとの間を撮影するカメラの画像に基づいて把持部37cと把持部38eとの間に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が配置されたか否かを判定する。
(コイル形成工程)
コイル形成工程では、図16(a)〜(d)のようにコア210にコイル220が形成される。図16(a)に示されるように、把持機構30により把持されたコア210に対して、図16(b)に示されるように、コア210の第1鍔部212の各電極214,215上に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2を引き回す(巻回開始工程)。そして図16(c)に示されるように、巻芯部211に各ワイヤW1,W2を巻回する(巻回工程)。そして図16(d)に示されるように、コア210の第2鍔部213の各電極214,215上に各ワイヤW1,W2を引き回したうえで各ワイヤW1,W2を固定する(巻回終了工程)。以下、巻回開始工程、巻回工程、及び巻回終了工程の詳細について説明する。
(巻回開始工程)
巻回開始工程では、図17に示す第1移動機構110及び第2移動機構120が用いられる。なお、図17及び図18では、便宜上、ワイヤ送り出し機構50を省略して示している。
図17に示すように、第1移動機構110は、左右方向Yに延びるレール部111と、レール部111に移動可能に取り付けられたキャリア112と、キャリア112を移動させるためのアクチュエータ(図示略)とを有する。キャリア112には、把持機構30、開閉機構40、及びワイヤ把持退避機構70の可動部70Aが取り付けられている。このため、第1移動機構110は、把持機構30、開閉機構40、及び可動部70Aを左右方向Yに移動させることができる。アクチュエータの一例は、レール部111の長手方向(本実施形態では左右方向Y)に沿って延びるねじ部と、ねじ部を回転させる駆動源となるモータとを有する送りねじ機構である。ねじ部はレール部111の内部に設けられ、モータはレール部111の外部に設けられる。なお、アクチュエータは、モータの回転力をねじ部に伝達する伝達機構をさらに有してもよい。伝達機構は、レール部111の外部に設けられる。伝達機構の一例は、モータの出力軸に連結される第1プーリと、ねじ部に連結される第2プーリと、第1プーリ及び第2プーリに巻き掛けられる無端状のベルトとを有する。
図18に示すように、第2移動機構120は、前後方向Xに延びる一対のレール部121と、レール部121に移動可能に取り付けられたキャリア122と、キャリア122を移動させるためのアクチュエータ123とを有する。キャリア122には、ワイヤ送り出し機構50(図26参照)及びワイヤ巻回機構60が取り付けられている。このため、第2移動機構120は、ワイヤ送り出し機構50及びワイヤ巻回機構60を前後方向Xに移動させることができる。アクチュエータ123の一例は、レール部121の長手方向に沿って延びるねじ部と、ねじ部を回転させる駆動源となるモータとを有する送りねじ機構である。
制御機構130(図7参照)は、第1移動機構110によって把持機構30、開閉機構40、及び可動部70Aがワイヤ巻回機構60に前後方向Xに対向するようにキャリア112を移動させる。そして制御機構130は、ワイヤ把持制御で第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が把持された後、巻回開始制御を実行する。制御機構130は、第1ワイヤW1がコア把持部30Bの固定側把持部材34における引掛け部材34eに絡げられるように、第2移動機構120及び第1移動機構110によってワイヤ巻回機構60のワイヤ位置支持部材66及びコア把持部30Bを相対移動させる。そして制御機構130は、コア210の第1鍔部212の第1電極214に第1ワイヤW1が引掛けられ、第1鍔部212の第2電極215に第2ワイヤW2が引掛けられるように、第2移動機構120及び第1移動機構110によってワイヤ巻回機構60のワイヤ位置支持部材66及びコア把持部30Bを相対移動させる。
なお、制御機構130は、巻回開始制御において、第1移動機構110及び第2移動機構120に代えて、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2を把持し、移動させるためのアーム(図示略)を制御してもよい。この場合、巻回開始制御において、第1移動機構110のアクチュエータ及び第2移動機構120のアクチュエータ123は駆動しない。
(巻回工程)
巻回工程では、図18に示すワイヤ巻回機構60、図26に示すワイヤ送り出し機構50、並びに図17及び図27に示すワイヤ把持退避機構70が用いられる。
図18に示すように、ワイヤ巻回機構60は、巻回部60A及び巻回駆動部60Bを有する。巻回部60Aは、ハウジング61、第1回転体62、第2回転体63、複数の第1軸受部64、複数の第2軸受部65(ともに図20参照)、ワイヤ位置支持部材66、及び回転同期部品67を有する。巻回部60Aは、第1回転体62及び第2回転体63を回転させてワイヤ位置支持部材66を公転させることにより、コア210に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2を巻回する。巻回駆動部60Bは、第1回転体62及び第2回転体63を回転させるためのトルクを第1回転体62及び第2回転体63に与える。巻回駆動部60Bは、前後方向Xにおいて巻回部60Aに対して把持機構30とは反対側に配置されている。巻回駆動部60Bは、アクチュエータ68及び伝達機構69を有する。
ハウジング61は、第1移動機構110のキャリア112上に載置されている。図18及び図19に示すように、ハウジング61の形状は、前後方向X及び左右方向Yに対して上下方向Zが長手方向となる直方体である。図20に示すように、ハウジング61は、第1回転体62、第2回転体63、第1軸受部64、及び第2軸受部65を収容している。
第1回転体62及び第2回転体63は、上下方向Zに並べられている。第1回転体62は、第2回転体63よりも下方に位置している。第1回転体62及び第2回転体63は、前後方向Xに沿った軸線を中心にハウジング61に対して回転可能である。第1回転体62には、ワイヤ位置支持部材66が挿入されている。ワイヤ位置支持部材66は、第1回転体62よりも前方に突出している。回転同期部品67の形状は、上下方向Zに延びる板状である。回転同期部品67は、第1回転体62(ワイヤ位置支持部材66)と第2回転体63とを連結して、第1回転体62の回転と第2回転体63の回転とを同期させる。
図18に示すように、アクチュエータ68は、ハウジング68aと、ハウジング68aに収容されたモータ68b及び減速機68cと、減速機68cの出力を取り出す出力軸68dとを有する。モータ68bは減速機68cに連結されている。モータ68bの駆動力は、減速機68cを介して出力軸68dに伝達される。
図19に示すように、伝達機構69は、アクチュエータ68の出力(減速機68cの出力)を第1回転体62及び第2回転体63に伝達する。伝達機構69は、第1歯車69a、第2歯車69b、第3歯車69c、及び2本の無端状の歯付のタイミングベルト69dを有する。第1歯車69aは、アクチュエータ68の出力軸68dに連結されている。第2歯車69bは、第1回転体62に連結されている。第3歯車69cは、第2回転体63に連結されている。第1〜第3歯車69a〜69cは、第1〜第3歯車69a〜69cのそれぞれの回転中心を結んだときに三角形(本実施形態では、正三角形)を描くように配置されている。より詳細には、第2歯車69b及び第3歯車69cは、左右方向Yに同じ位置かつ上下方向Zに並べられている。第1歯車69aは、第2歯車69b及び第3歯車69cに対して左右方向Yに異なる位置、かつ上下方向Zにおいて第2歯車69bと第3歯車69cとの間の位置に配置されている。第1〜第3歯車69a〜69cの歯数及び外径は互いに等しい。タイミングベルト69dの一方は第1歯車69a及び第2歯車69bに掛けられ、タイミングベルト69dの他方は第2歯車69b及び第3歯車69cに掛けられている。2本のタイミングベルト69dによって、アクチュエータ68の駆動にともない回転する第1歯車69aの回転力は、第2歯車69b及び第3歯車69cに伝達される。なお、伝達機構69は、1本の無端状のタイミングベルト69dが第1〜第3歯車69a〜69cに掛けられる構成であってもよい。
次に、巻回部60Aの詳細な構成について説明する。なお、以降の説明では、前後方向Xにおいてワイヤ巻回機構60から把持機構30に向かう方向を前方と規定し、把持機構30からワイヤ巻回機構60に向かう方向を後方と規定する。
図20及び図21に示すように、ハウジング61には、2つの貫通孔である第1収容孔61a及び第2収容孔61bが形成されている。第1収容孔61aは、第1回転体62及び第1軸受部64を収容する。第2収容孔61bは、第2回転体63及び第2軸受部65を収容する。ハウジング61の前面には、前方側の第1軸受部64(第1軸受64a)が前方に移動することを規制するための第1規制板61cと、前方側の第2軸受部65(第1軸受65a)が前方に移動することを規制するための第2規制板61dとのそれぞれが複数のボルトB(図19では各4本のボルトB)によって固定されている。第1規制板61c及び第2規制板61dは、同一形状である。第1規制板61c及び第2規制板61dは、円形の貫通孔61eを有する四角枠状に形成されている。貫通孔61eの周縁には、後方に向けて突出する円筒状の嵌合部61fが設けられている。第1規制板61c及び第2規制板61dのそれぞれの嵌合部61fが第1収容孔61a及び第2収容孔61bに嵌め合せられることにより、ハウジング61に対する第1規制板61cの位置及び第2規制板61dの位置のそれぞれが決められる。
第1軸受部64は、ハウジング61に対して第1回転体62を回転可能に支持する2つの外側軸受64a,64bと、ワイヤ位置支持部材66を第1回転体62に対して回転可能に支持する2つの内側軸受64c,64dを有する。外側軸受64a,64bは、同一形状であり、例えば転がり軸受が用いられる。内側軸受64c,64dは、同一形状であり、例えば転がり軸受が用いられる。転がり軸受は、内輪と、内輪を外側から覆う外輪と、内輪と外輪との間の空間に配置された複数の転動体とを有する。複数の転動体の一例は、ボール又はころである。なお、本実施形態では、内側軸受64c,64dが第1内側軸受に相当する。
第2軸受部65は、ハウジング61に対して第2回転体63を回転可能に支持する2つの外側軸受65a,65bを有する。外側軸受65a,65bは、同一形状であり、例えば転がり軸受が用いられる。本実施形態では、外側軸受65a,65bは、外側軸受64a,64bと同一のものが用いられる。
第1回転体62は、外径が異なる複数の円柱部が前後方向Xに積層された形状に形成されている。第1回転体62は、前方支持部62a、後方支持部62b、膨出部62c、及び歯車取付部62dを有する。前方支持部62aは、第1回転体62の前端部に設けられている。前方支持部62aの外径は、後方支持部62bの外径に等しく、かつ膨出部62cの外径よりも小さく、かつ歯車取付部62dの外径よりも大きい。前方支持部62aには、外側軸受64aの内輪が取り付けられる。後方支持部62bは、前方支持部62aよりも後方に設けられている。後方支持部62bには、外側軸受64bの内輪が取り付けられる。膨出部62cは、前方支持部62aと後方支持部62bとの間に設けられている。膨出部62cの前端面に外側軸受64aの内輪が接触し、膨出部62cの後端面に外側軸受64bの内輪が接触することによって、第1回転体62に対する外側軸受64a,64bの位置決めが行われる。歯車取付部62dは、第1回転体62の後端部に設けられている。歯車取付部62dには、第2歯車69bが取り付けられる。外側軸受64a,64bの外輪は、ハウジング61の第1収容孔61aを構成する内周面に取り付けられている。
第1回転体62は、第1回転体62の中心軸J1よりも外側に形成され、第1回転体62を前後方向Xに貫通する挿入孔62eが設けられている。挿入孔62eには、ワイヤ位置支持部材66が挿入され、内側軸受64c,64dが収容されている。ワイヤ位置支持部材66は、円柱形状に形成されている。ワイヤ位置支持部材66は、前方支持部66a、後方支持部66b、及び膨出部66cを有する。膨出部66cは、前方支持部66aと後方支持部66bとの間に設けられている。前方支持部66aの前後方向Xの長さは、後方支持部66b及び膨出部66cのそれぞれの前後方向Xの長さよりも長い。前方支持部66aの外径は、後方支持部66bの外径と等しい。膨出部66cの外径は、前方支持部66aの外径よりも大きい。前方支持部66aには、内側軸受64cの内輪が取り付けられる。後方支持部66bには、内側軸受64dの内輪が取り付けられる。膨出部66cの前端面に内側軸受64cの内輪が接触し、膨出部66cの後端面に内側軸受64dの内輪が接触することによって、ワイヤ位置支持部材66に対する内側軸受64c,64dの前後方向Xの位置決めが行われる。内側軸受64c,64dの外輪は、第1回転体62の挿入孔62eを構成する内周面に取り付けられている。
第1回転体62における前方支持部66aの前端面には、規制板62fがボルトBにより取り付けられている。規制板62fは、ワイヤ位置支持部材66が挿入される挿入孔62gを有する。規制板62fにおいて挿入孔62gの周縁には、第1回転体62の挿入孔62eに嵌まり込む嵌合部62hが設けられている。嵌合部62hは、円筒状に形成されている。嵌合部62hが挿入孔62eに嵌め合されることにより、前方支持部66aに対する規制板62fの位置が決められる。
第2回転体63は、外径が異なる複数の円柱部が前後方向Xに積層された形状に形成されている。第2回転体63は、前方支持部63a、後方支持部63b、膨出部63c、及び歯車取付部63dを有する。第2回転体63の外径形状は、第1回転体62の外径形状と等しい。詳細には、前方支持部62aの外径と前方支持部63aの外径とが互いに等しく、後方支持部62bの外径と後方支持部63bの外径とが互いに等しく、膨出部62cの外径と膨出部63cの外径とが互いに等しく、歯車取付部62dの外径と歯車取付部63dの外径とが互いに等しい。前方支持部63aには外側軸受65aの内輪が取り付けられ、後方支持部63bには外側軸受65bの内輪が取り付けられる。外側軸受65a,65bの外輪は、第2収容孔61bの内周面に取り付けられている。
第2回転体63における前方支持部63aには、第2回転体63の中心軸J2よりも外側に形成された取付穴63eが形成されている。取付穴63eには、棒状の軸体63fが取り付けられている。
回転同期部品67の長手方向の一方の端部には、第1挿入孔67aが形成されている。第1挿入孔67aには、軸体63fが挿入される。すなわち回転同期部品67は、軸体63fに対して回転可能に取り付けられる。回転同期部品67は、軸体63fとCリング等の止め輪とによって前後方向Xに挟み込まれることにより、軸体63fに対する前後方向Xの移動が規制されている。
回転同期部品67の長手方向の他方の端部には、第2挿入孔67bが形成されている。第2挿入孔67bには、ワイヤ位置支持部材66が挿入される。回転同期部品67の長手方向の他方の端部には、第2挿入孔67bと連通する取付孔67cが形成されている。取付孔67cは、雌ねじを有する。取付孔67cには、ねじ部材67dが取り付けられる。ねじ部材67dは、第2挿入孔67bに挿入されたワイヤ位置支持部材66を押し付ける。これにより、回転同期部品67に対するワイヤ位置支持部材66の自転(ワイヤ位置支持部材66の中心軸J3を中心とした回転)が抑制される。
図22に示すように、第1回転体62の中心軸J1とワイヤ位置支持部材66の中心軸J3との間の距離D1と、第2回転体63の中心軸J2と軸体63fの中心軸J4との間の距離D2とは互いに等しい。また図21に示すとおり、第1回転体62の回転方向における第1回転体62の中心軸J1に対するワイヤ位置支持部材66の位置と、第2回転体63の回転方向における第2回転体63の中心軸J3に対する軸体63fの位置とは互いに等しい。これにより、回転同期部品67の長手方向が上下方向Zに一致するように、回転同期部品67がワイヤ位置支持部材66及び軸体63fに取り付けられている。
ワイヤ位置支持部材66の先端部の詳細な形状について説明する。
図23(a)に示すように、前後方向Xから見たワイヤ位置支持部材66の外形形状は、円形を有する。ワイヤ位置支持部材66には、第1ワイヤW1の送出経路となる第1ワイヤ経路孔66dと、第2ワイヤW2の送出経路となる第2ワイヤ経路孔66eとが形成されている。各ワイヤ経路孔66d,66eは、ワイヤ位置支持部材66を前後方向Xに貫通している。各ワイヤ経路孔66d,66eは、ワイヤ位置支持部材66の中心軸J3よりも外側、かつワイヤ位置支持部材66を前方から見て、中心軸J3に対して点対称に形成されている。
図23(b)に示すように、ワイヤ位置支持部材66の前端面66fは、前方に突出した球面形状に形成されている。すなわち、前端面66fにおいて第1ワイヤ経路孔66dと第2ワイヤ経路孔66eとの間の部分が第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eの周縁よりも前方に突出している。またワイヤ位置支持部材66は、前端面66fの外周縁とワイヤ位置支持部材66の外周面とを繋ぐ曲面を有する。曲面は、前端面66fの外周縁をR面取り加工することにより形成される。曲面は、前端面66fの中心軸J3を中心とした全周に亘り形成されることが好ましい。
第1回転体62及び第2回転体63の動作について説明する。
図24(a)〜(d)の順に示すように、巻回駆動部60Bの駆動によって、第1回転体62は中心軸J1を中心に反時計回り方向に回転し、第2回転体63は中心軸J2を中心に反時計回り方向に回転する。このとき、第1回転体62及び第2回転体63は、同期して回転する。また、第1回転体62に取り付けられたワイヤ位置支持部材66は、第1回転体62の中心軸J1よりも外側に位置しているため、中心軸J1を中心に反時計回り方向に公転する。第1回転体62の第2回転体63に取り付けられた軸体63fは、第2回転体63の中心軸J2よりも外側に位置しているため、中心軸J2を中心に反時計回り方向に公転する。第1回転体62及び第2回転体63が同期して回転しているため、ワイヤ位置支持部材66の公転速度と軸体63fの公転速度とは等しい。さらに、回転同期部品67によってワイヤ位置支持部材66と軸体63fとが連結されているため、中心軸J1に対するワイヤ位置支持部材66の回転角度と、中心軸J2に対する軸体63fの回転角度とのずれを抑制できる。なお、第1回転体62及び第2回転体63は、時計回り方向に回転してもよい。この場合、ワイヤ位置支持部材66は、中心軸J1を中心に時計回り方向に公転する。
図24(a)〜(d)に示すように、回転同期部品67は、各回転体62,63の回転にともない、中心軸J1と中心軸J2との中心間距離の中央である中心軸JDを中心に時計回り方向に公転する。このとき、回転同期部品67が上下方向Zに沿った姿勢を維持しながら公転する。また、ワイヤ位置支持部材66は、回転同期部品67に対するワイヤ位置支持部材66の自転が抑制されている。このため、ワイヤ位置支持部材66が中心軸J1に対して公転する場合、第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eの中心軸J3を中心とした回転位置の変化が抑制される。
図25に示すように、巻回工程において、コア210の巻芯部211の中心軸が第1回転体62の中心軸J1と同軸となるようにコア210が配置された状態で、ワイヤ位置支持部材66は、コア210の周囲を公転する。これにより、コア210の巻芯部211に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2(図25では図示略)が巻回される。ここで、ワイヤ位置支持部材66の外径RDの一例は、3mm以上かつ52mm以下である。本実施形態のワイヤ位置支持部材66の外径RDは、8mmである。ワイヤ位置支持部材66の第1ワイヤ経路孔66dと第2ワイヤ経路孔66eとの間の距離Lの一例は、1mm以上かつ50mm以下である。本実施形態の第1ワイヤ経路孔66dと第2ワイヤ経路孔66eとの間の距離Lは、3mmである。ワイヤ位置支持部材66の公転直径Rの一例は、12mm以上かつ60mm以下である。ワイヤ位置支持部材66の公転直径Rは、12mm以上かつ40mm以下であることが好ましい。本実施形態のワイヤ位置支持部材66の公転直径Rは、28mmである。第1ワイヤ経路孔66dと第2ワイヤ経路孔66eとの間の距離Lは、ワイヤ位置支持部材66を前方から見て、第1ワイヤ経路孔66dの中心と第2ワイヤ経路孔66eの中心とを結ぶ最短距離によって規定される。
図26(a)に示すように、ワイヤ送り出し機構50は、ワイヤ巻取り支持部51、ワイヤテンション制御部52、及びワイヤ経路支持部53を有する。
ワイヤ巻取り支持部51の一例は、ボビンを有する。ワイヤ巻取り支持部51は、ボビンに第1ワイヤW1が巻回された第1支持体51aと、ボビンに第2ワイヤW2が巻回された第2支持体51bとを有する。第1支持体51a及び第2支持体51bの各ワイヤW1,W2は、ワイヤテンション制御部52に送出されている。
ワイヤテンション制御部52は、ヒステリシスブレーキ(図示略)によって、ワイヤ巻取り支持部51からの各ワイヤW1,W2の張力が予め設定された張力となるように各ワイヤW1,W2の張力を制御する。ワイヤテンション制御部52は、テンションアーム52a及び滑車52bを有する。滑車52bは、テンションアーム52aの先端に取り付けられている。滑車52bには、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が掛けられている。
ワイヤ経路支持部53は、ワイヤテンション制御部52から送出される第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2を支持するものであり、第1滑車53a及び第2滑車53bを有する。第1滑車53a及び第2滑車53bによって、ワイヤテンション制御部52から送出される各ワイヤW1,W2が下方に送り出される。そして各ワイヤW1,W2は、第2滑車53bによって前方に送り出され、ワイヤ位置支持部材66に挿通される。
図26(b)に示すように、第2滑車53bは、左右方向Yに並んで形成される第1溝53x及び第2溝53yを有する。第1溝53xには第1ワイヤW1が掛けられ、第2溝53yには第2ワイヤW2が掛けられている。
図26(a)に示すように、第2滑車53bは、第2滑車53bからワイヤ位置支持部材66までの第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2の長さがワイヤ位置支持部材66の公転によって変化することが抑制可能な位置に配置されている。より詳細には、図26(b)に示すとおり、第1溝53xに掛けられた第1ワイヤW1の下端部と、第2溝53yに掛けられた第2ワイヤW2の下端部との左右方向Yの中心Cが第1回転体62の中心軸J1と等しい。
図17、図27、及び図28に示すように、ワイヤ把持退避機構70は、可動部70A及び駆動部70Bを有する。可動部70Aは、第1移動機構110のキャリア112の左右方向Yの側面に連結される一対の連結アーム71と、連結アーム71に対して上下方向Zに移動可能な移動体72と、連結アーム71及び移動体72を上下方向Zに付勢可能な弾性体73とを有する。連結アーム71は、前後方向Xにおいてキャリア112よりも外側に向けて延びている。移動体72は、キャリア112よりも外側に位置している。移動体72は、連結アーム71よりも下方に位置する載置台72aを有する。載置台72aは、平面視において矩形状に形成されている。すなわち載置台72aは、一対の連結アーム71と上下方向Zに対向する一対のアーム部と、一対のアーム部の後端部を接続する接続アーム部とを有する。一対のアーム部のそれぞれには、2本の支柱72bが設けられている。支柱72bは、一対のアーム部から上方に延びて、一対の連結アーム71の挿入孔に挿入されている。2つの支柱72bにおいて一対の連結アーム71から上方に突出した上端部には、2つの支柱72bを連結する被押付部72cが設けられている。各支柱72bには、弾性体73が取り付けられている。弾性体73の一例は、コイルばねである。連結アーム71には、柱状のストッパ71aが設けられている。ストッパ71aは、被押付部72cと接触することにより、移動体72の下方への移動を規制する。
図17に示すように、駆動部70Bは、左右方向Yに離間して2つ設けられている。図28(a)に示すように、駆動部70Bは、移動体72を下方に押す押付部74と、押付部74を支持する支持部材75とを有する。押付部74の一例は、電動シリンダである。支持部材75は、前後方向Xにおいてワイヤ巻回機構60(図17参照)と連結アーム71との間に配置されている。押付部74は、可動部70Aよりも上方に配置されている。より詳細には、押付部74は、可動部70Aの被押付部72cと上下方向Zに対向するように配置されている。
また、ワイヤ把持退避機構70は、終線側ワイヤ把持部70C、終線側ワイヤ開閉部70D、及びワイヤ経路支持部70Eをさらに有する。終線側ワイヤ把持部70C及びワイヤ経路支持部70Eは、可動部70Aの載置台72a上に左右方向Yに並べられた状態で取り付けられている。一方、終線側ワイヤ開閉部70Dは、載置台72aに取り付けられず、終線側ワイヤ把持部70Cと前後方向Xに対向する位置に配置されている。ワイヤ経路支持部70Eは、コア210に巻回された後の各ワイヤW1,W2が所定の張力となるように引掛ける。終線側ワイヤ把持部70Cは、ワイヤ経路支持部70Eを経た各ワイヤW1,W2を把持する状態と、各ワイヤW1,W2の把持を解除した状態とを切り替える。終線側ワイヤ開閉部70Dは、終線側ワイヤ把持部70Cによる各ワイヤW1,W2を保持する状態と、各ワイヤW1,W2の保持を解除した状態との切替動作を行う。
ワイヤ把持退避機構70は、駆動部70Bの押付部74のアーム74aが可動部70Aの被押付部72cを下方に押し付けることにより、移動体72が下方に移動する。このとき、被押付部72cが連結アーム71に接近することにともない弾性体73が圧縮される。そして図28(b)に示すように、被押付部72cがストッパ71aに接触したとき、移動体72の下方への移動が停止される。一方、図28(b)の状態から押付部74のアーム74aが上方に移動することにともない、弾性体73の復元力によって移動体72が上方に移動する。
制御機構130(図7参照)は、巻回工程において、ワイヤテンション一定制御、退避制御、及び巻回制御を実行する。巻回制御は、退避制御の終了後に実行される。ワイヤテンション一定制御では、制御機構130は、ワイヤ位置支持部材66に送り出された第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のテンションを予め設定されたテンションとなるようにワイヤ送り出し機構50のヒステリシスブレーキを制御する。退避制御では、制御機構130は、終線側ワイヤ把持部70C、終線側ワイヤ開閉部70D、及びワイヤ経路支持部70Eがワイヤ位置支持部材66と干渉しないように、終線側ワイヤ把持部70C、終線側ワイヤ開閉部70D、及びワイヤ経路支持部70Eを下方に退避させる。巻回制御は、コア回転速度制御及び公転速度制御を有する。巻回制御では、制御機構130は、コア回転速度制御によって把持機構30の回転部30Aによってコア210を自転させるとともに、公転速度制御によってワイヤ巻回機構60の巻回駆動部60Bによってワイヤ位置支持部材66をコア210の周囲で公転させる。これにより、コア210に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2がよられながら巻回される。
制御機構130は、コア回転速度制御におけるコア210の回転速度及び回転方向と、公転速度制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転速度及び公転方向とのそれぞれを任意に変更可能である。制御機構130は、コア210の回転速度及び回転方向と、ワイヤ位置支持部材66の公転速度及び公転方向とのそれぞれが異なる2つの制御(第1制御及び第2制御)を実行する。
図29に示すように、第1制御では、制御機構130は、コア210を時計回り方向に自転させ、ワイヤ位置支持部材66を時計回り方向に公転させる。つまり、コア210の自転方向とワイヤ位置支持部材66の公転方向とが一致している。そして制御機構130は、ワイヤ位置支持部材66の公転速度がコア210の自転速度よりも速くなるようにコア210の自転及びワイヤ位置支持部材66の公転を制御する。
図30に示すように、第2制御では、制御機構130は、コア210を反時計回り方向に自転させ、ワイヤ位置支持部材66を反時計回り方向に公転させる。つまり、第2制御においても、コア210の自転方向とワイヤ位置支持部材66の公転方向とが一致している。そして制御機構130は、コア210の自転速度がワイヤ位置支持部材66の公転速度よりも速くなるようにコア210の自転及びワイヤ位置支持部材66の公転を制御する。第2制御では、ワイヤ位置支持部材66の公転方向が第1制御のワイヤ位置支持部材66の公転方向と反対方向であるが、ワイヤ位置支持部材66の公転速度よりもコア210の自転速度が速いため、第2制御における各ワイヤW1,W2のコア210への巻回方向は、第1制御における各ワイヤW1,W2のコア210への巻回方向と一致する。
ところで、制御機構130が第1制御のみを実行すると、又は第2制御のみを実行すると、ワイヤ位置支持部材66の公転にともない第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれがねじれる。その結果、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれにキンクが発生するおそれがある。
このような実情を鑑みて、本実施形態の制御機構130は、所定条件に基づいて第1制御及び第2制御を切り替える切替制御を実行する。所定条件の一例は、コイル部品200の製品数である。本実施形態では、コイル部品200の製品数は1である。すなわち、制御機構130は、1つのコア210にコイル220を形成する毎に第1制御及び第2制御を切り替える。例えば第1制御によってコア210にコイル220を形成した場合、次のコア210に対しては第2制御によってコイル220を形成する。すなわち、制御機構130は、1つのコア210を第1制御に基づいて各ワイヤW1,W2を巻回させ、次の1つのコア210を第2制御に基づいて各ワイヤW1,W2を巻回させるサイクルを繰り返す。
また制御機構130は、第1制御におけるコア210の自転回数及びワイヤ位置支持部材66の公転回数と、第2制御におけるコア210の自転回数及びワイヤ位置支持部材66の公転回数とが互いに等しくなるようにコア210の自転及びワイヤ位置支持部材66の公転を制御する。加えて、制御機構130は、第1制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値と、第2制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値とが互いに等しくなるようにコア210の自転速度及びワイヤ位置支持部材66の公転速度を制御する。コア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値は、コア210の自転速度Aとワイヤ位置支持部材66の公転速度Bとの速度差(B−A)の値の絶対値で示される。
より詳細には、制御機構130の動作記憶部132(図7参照)には、表1のような第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度とワイヤ位置支持部材66の公転速度との組合せに関する情報が予め記憶されている。制御機構130は、動作記憶部132に記憶された表1を用いて、第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度とワイヤ位置支持部材66の公転速度との組合せを制御する。なお、以下の表1では、自転速度及び公転速度をrpm(rotation per minute)で示している。
表1から分かるとおり、組合せ1のように第1制御におけるコア210の自転速度が「100」に対してワイヤ位置支持部材66の公転速度が「200」であるので、相対速度の絶対値が「100」となり、第2制御におけるコア210の自転速度が「200」に対してワイヤ位置支持部材66の公転速度が「300」であるので、相対速度の絶対値が「100」となる。本実施形態では、制御機構130は、第1制御及び第2制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転速度を保持し、第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度を可変に制御する。なお、制御機構130は、第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度を保持し、第1制御及び第2制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転速度を可変に制御してもよい。
また例えば、制御機構130は、製品ロット又は製品種類に応じて第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度とワイヤ位置支持部材66の公転速度との組合せを選択する。一例では、制御機構130は、コイル部品200の仕様(例えば、コア210のサイズや形状、各ワイヤW1,W2の線径)に基づいて、第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度とワイヤ位置支持部材66の公転速度との組合せを選択する。すなわち、仕様を変更したコイル部品200を製造するとき、制御機構130は、第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度とワイヤ位置支持部材66の公転速度との組合せを変更する。
図31を参照して、切替制御の処理手順について説明する。切替制御は、繰り返し実行される。
制御機構130は、ステップS321において、前回のコア210に第1制御でコイル220が形成されたか否かを判定する。制御機構130は、動作記憶部132に記憶された前回の巻回工程に関する情報に基づいてステップS321の判定を行う。また、制御機構130は、コイル部品200の製造開始直後で最初のコア210に対してコイル220を形成する場合、すなわち前回のコア210が存在しない場合、ステップS321において否定判定する。
制御機構130は、前回のコア210に第1制御でコイル220が形成された場合、ステップS322において第2制御を実行する。一方、制御機構130は、前回のコア210に第1制御でコイル220が形成されていない場合、ステップS323において第1制御を実行する。
そして制御機構130は、第1制御又は第2制御を選択した後、ステップS324においてコア210への第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2の巻回が終了したか否かを判定する。制御機構130は、例えば第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のターン数が予め設定されたターン数に達したか否かに基づいてステップS324の判定を行う。すなわち制御機構130は、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のターン数が予め設定されたターン数に達した場合、コア210への各ワイヤW1,W2の巻回が終了したと判定し、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のターン数が予め設定されたターン数に達していない場合、コア210への各ワイヤW1,W2の巻回が終了していないと判定する。制御機構130は、コア210への第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2の巻回が終了したと判定したとき、ステップS325においてコア210の自転及びワイヤ位置支持部材66の公転を停止し、処理を一旦終了する。一方、制御機構130は、コア210への第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2の巻回が終了していないと判定したとき、再びステップS324の判定に移行する。すなわち、第1制御又は第2制御によるコア210への各ワイヤW1,W2の巻回が終了するまで第1制御又は第2制御が維持される。
(巻回終了工程)
巻回終了工程では、ワイヤ把持退避機構70(特に、終線側ワイヤ把持部70C、終線側ワイヤ開閉部70D、及びワイヤ経路支持部70E)、第1移動機構110、及び第2移動機構120が用いられる。
図32に示すように、ワイヤ経路支持部70Eは、略直方体状の支持基台78と、2本の引掛け部材78a,78bとを有する。支持基台78は、載置台72a上に取り付けられている。引掛け部材78a,78bは、支持基台78の上端面から突出している。引掛け部材78aは、コア210と前後方向Xに対向する位置に設けられている。引掛け部材78bは、コア210よりも終線側ワイヤ把持部70C側に設けられている。
終線側ワイヤ把持部70Cは、コア210における巻芯部211に巻回されて第2鍔部213の各電極214,215に引掛けられた第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2を把持する。終線側ワイヤ把持部70Cは、把持部材76及び開閉部材77を有する。把持部材76は、直方体の基台76aと、基台76aの上端部に取り付けられた固定側把持部材76bとを有する。基台76aは、載置台72a上に取り付けられている。固定側把持部材76bの後端部には、四角棒状の接触部76cが設けられている。開閉部材77は、可動側把持部材77a及び弾性体77bを有する。弾性体77bは、可動側把持部材77aに取り付けられている。可動側把持部材77aは、把持部材76に対して前後方向Xに移動可能に挿入されている。可動側把持部材77aは、把持部材76から前後方向Xのコア210側に突出する接触部77cと、把持部材76から前後方向Xの終線側ワイヤ開閉部70D側に突出する被押付部77dとを有する。接触部77cは、接触部76cと前後方向Xに対向している。これら接触部76c,77cによって第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が挟み込まれる。弾性体77bは、可動側把持部材77aを前方に向けて付勢する。弾性体77bは、基台76aと固定側把持部材76bとに囲まれた空間内に収容されている。
終線側ワイヤ開閉部70Dは、ワイヤ把持退避機構70の駆動部70B(図28参照)に設けられたアーム79の先端部に取り付けられている。終線側ワイヤ開閉部70Dの一例は、電動シリンダである。終線側ワイヤ開閉部70Dは、可動側把持部材77aの被押付部77dを押す。
終線側ワイヤ把持部70Cは、終線側ワイヤ開閉部70Dによって図33(a)に示すワイヤ把持状態と、図33(b)に示すワイヤ把持解除状態とに切り替え可能である。図33(a)に示すとおり、ワイヤ把持状態では、終線側ワイヤ開閉部70Dは、可動側把持部材77aを押し付けていない。このため、可動側把持部材77aは、弾性体77bによって終線側ワイヤ開閉部70D側に付勢されている。このとき、弾性体77bによって接触部77cは接触部76cに押し付けられている。図33(b)に示すとおり、ワイヤ把持解除状態では、終線側ワイヤ開閉部70Dが可動側把持部材77aを押し付けることにより、弾性体77bの付勢力に反して弾性体77bを圧縮するように可動側把持部材77aが移動する。これにより、接触部76cから接触部77cが離間する。
制御機構130(図7参照)は、巻回終了制御を実行する。巻回終了制御は、移動処理及び把持開閉処理を有する。移動処理では、制御機構130は、次のように、第1移動機構110及び第2移動機構120によってワイヤ巻回機構60のワイヤ位置支持部材66及びコア把持部30Bを相対移動させて第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2を送出させる。すなわち、コイル220が形成された後のコア210における第2鍔部213の第1電極214に第1ワイヤW1が引っ掛けられ、第2鍔部213の第2電極215に第2ワイヤW2が引っ掛けられる。そして、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2は、引掛け部材78a、引掛け部材78bに引っ掛けられて把持部材76に移動する。このとき、制御機構130は、把持開閉処理を実行する。把持開閉処理では、制御機構130は、終線側ワイヤ開閉部70Dを駆動させて終線側ワイヤ把持部70Cをワイヤ把持解除状態に変更する。これにより、接触部76cに対して接触部77cが後方に離間するため、接触部76c,77c間に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が配置されるスペースが形成される。そして制御機構130は、移動処理によって、各ワイヤW1,W2を接触部76c,77cの間に挿入する。そして制御機構130は、把持開閉処理によって、終線側ワイヤ開閉部70Dを駆動させて終線側ワイヤ把持部70Cをワイヤ把持状態に変更する。これにより、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が接触部76c,77cによって挟み込まれた状態が保持される。
なお、制御機構130は、巻回終了制御の移動処理において、第1移動機構110及び第2移動機構120に代えて、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2を把持し、移動させるためのアーム(図示略)を制御してもよい。この場合、移動処理において、第1移動機構110のアクチュエータ及び第2移動機構120のアクチュエータ123は駆動しない。
(ワイヤ接合工程及び余剰ワイヤカット工程)
ワイヤ接合工程及びワイヤカット工程では、図34に示されるワイヤ接合機構80が用いられる。ワイヤカット工程では、さらに図36に示される廃線回収機構90、把持機構30、開閉機構40、及びワイヤ把持退避機構70が用いられる。なお、図34〜図36では、便宜上、把持機構30及びワイヤ把持退避機構70を図4と同様に模式的に示している。
ワイヤ接合工程においてワイヤ接合機構80は、コア210の第1電極214に第1ワイヤW1を接合し、第2電極215に第2ワイヤW2を接合することにより、第1ワイヤW1と第1電極214との電気的な接続、及び第2ワイヤW2と第2電極215との電気的な接続を行う。また、余剰ワイヤカット工程においてワイヤ接合機構80は、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2においてコア210の第1電極214及び第2電極215からコイル220とは反対側に延びるである部分である余剰ワイヤを切断する。
図34及び図35に示すように、ワイヤ接合機構80は、支持基台81、第1押付部82、熱発生部83、2つの第2押付部84、及び2つの余剰ワイヤ切断部85を有する。なお、図34では、便宜上、第2押付部84及び余剰ワイヤ切断部85を省略して示している。また図34(b)では、便宜上、支柱72b、被押付部72c、及び弾性体73を省略して示している。
図34(a)及び(b)に示すように、支持基台81は、キャリア112に対して連結アーム71とは反対側、かつワイヤ巻回機構60(図4参照)と左右方向Yに隣り合う位置に配置されている。図34(b)に示すように、支持基台81は、左右方向Yから見て、キャリア112を上方から覆うような略L字状に形成されている。支持基台81の上方からキャリア112を覆う部分の先端部には、第1押付部82が取り付けられている。第1押付部82の一例は、電動シリンダである。第1押付部82において上下方向Zに移動可能なアームには、熱発生部83が取り付けられている。すなわち第1押付部82は、熱発生部83を上下方向Zに移動させる。これにより、熱発生部83がコア210の各電極214,215(図34(c)参照)に押し付けられる。熱発生部83は、コア210を加熱する。図34(c)に示すように、熱発生部83は、熱電部材83a及び伝熱部材83bを有する。熱発生部83の一例は、パルスヒータである。熱電部材83aの一例は、熱電対である。伝熱部材83bの一例は、ヒータチップである。ヒータチップは、モリブデン、チタン、ステンレス等の熱伝導性に優れた材料が用いられる。伝熱部材83bは、熱電部材83aに隣接するように設けられ、第1押付部82によってコア210の第1鍔部212の第1電極214及び第2電極215(図示略)及び第2鍔部213の第1電極214及び第2電極215(図示略)に押し付けられる。これにより、熱電部材83aの熱は、伝熱部材83bを介してコア210の各電極214,215に伝わる。
図35(a)に示すように、第2押付部84は、左右方向Yにおいて支持基台81における第1押付部82の両側の部分に取り付けられている。第2押付部84の一例は、電動シリンダである。図35(b)に示すように、第2押付部84には、余剰ワイヤ切断部85が取り付けられている。第2押付部84は、余剰ワイヤ切断部85を上下方向Zに移動させる。
図36(a)及び(b)に示すように、余剰ワイヤ切断部85の下端部には、切断刃85aが設けられている。余剰ワイヤ切断部85は、切断刃85aが図36(a)に示す第1位置と図36(b)に示す第2位置との間の範囲を第2押付部84によって上下方向Zに移動可能である。余剰ワイヤ切断部85は、切断刃85aが第1位置から第2位置に移動することによって、コア210の各電極214,215からコイル220(ともに図34(c)参照)とは反対側に延びる余剰ワイヤWRを切断する。一方の余剰ワイヤ切断部85は、各ワイヤW1,W2のうちのコア210への巻き始め側の余剰ワイヤWRを切断し、他方の余剰ワイヤ切断部85は、各ワイヤW1,W2のうちのコア210への巻き終わり側の余剰ワイヤWRを切断する。
図36(a)に示すように、廃線回収機構90は、回収箱91及び吸引ファン92を有する。回収箱91は、上方が開口した箱であり、切断された余剰ワイヤWRを回収する(図36(b)参照)。吸引ファン92は、例えば回収箱91の底壁91aの下方に取り付けられている。
制御機構130(図7参照)は、ワイヤ接合制御及び余剰ワイヤ切断制御を実行する。余剰ワイヤ切断制御は、ワイヤ接合制御の終了後に実行される。ワイヤ接合制御は、コア210の第1鍔部212の各電極214,215及び第2鍔部213の各電極214,215に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2を接合させるための制御であり、圧着荷重制御処理、圧着時間制御処理、及び圧着温度制御処理を含む。制御機構130は、圧着荷重制御処理によって、熱発生部83をコア210の第1鍔部212の各電極214,215及び第2鍔部213の各電極214,215に押し付ける荷重が予め設定された荷重となるように第1押付部82の動作を制御する。制御機構130は、圧着時間制御処理によって、熱発生部83をコア210の第1鍔部212の各電極214,215及び第2鍔部213の各電極214,215に押し付ける時間が予め設定された時間に達したときに第1押付部82をコア210から離間させるように第1押付部82の動作を制御する。制御機構130は、圧着温度制御処理によって、熱発生部83の伝熱部材83bの温度(又は熱電部材83aの温度)が予め設定された温度となるように熱発生部83を制御する。
余剰ワイヤ切断制御は、切断処理及び回収処理を有する。切断処理及び回収処理は、同じ期間に亘り実行される。切断処理では、制御機構130は、余剰ワイヤ切断部85の切断刃85aを第1位置から第2位置に移動させることにより第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のうちの余剰ワイヤを切断した後、切断刃85aを第2位置から第1位置に移動させる。そして制御機構130は、始線側ワイヤ開閉部40Bにより始線側ワイヤ把持部30Cを把持解除状態に変更し、終線側ワイヤ開閉部70Dにより終線側ワイヤ把持部70Cを把持解除状態に変更する。これにより、余剰ワイヤWRが下方に落下する。回収処理では、制御機構130は、吸引ファン92を所定の回転速度で駆動させる。これにより、回収箱91の上方から回収箱91の開口部及び内部に向かう吸気流が形成されるため、余剰ワイヤWRが回収箱91に回収されやすくなる。
(部品搬出工程)
部品搬出工程では、把持機構30及び開閉機構40と、コア搬出機構100とを用いる。なお、図37では、便宜上、把持機構30を図4と同様に模式的に示している。
図37(a)〜(c)に示すように、コア搬出機構100は、コア投入機構20と同じ構成を有する。すなわちコア搬出機構100は、コア把持固定部101、コア搬送部102、及びコア姿勢支持部103を備える。コア搬送部102は、第1の電動シリンダ102a及び第2の電動シリンダ102bを有する。コア把持固定部101は、把持部材101a及び開閉シリンダ101bを有する。図37(a)に示すように、把持部材101aは、第1のアーム101c及び第2のアーム101dを有する。第2のアーム101dは、開閉シリンダ101bによって前後方向Xにおいて移動可能である。コア把持固定部101は、開閉シリンダ101bによって各アーム101c,101dによってコア210を把持可能となる。
制御機構130(図7参照)は、コア搬出機構100の動作を制御するコア搬出位置制御を実行する。コア搬出位置制御は、第1把持開閉処理、第2把持開閉処理、移動処理、及び位置制御処理を実行する。部品搬出工程では、まず制御機構130は、図37(a)に示すように、第1把持開閉処理によって開閉機構40のコア開閉部40Aを駆動することにより、固定側把持部材37及び可動側把持部材38によるコア210の把持を解除する。そして制御機構130は、移動処理によって各電動シリンダ102a,102bを制御して、コア把持固定部101が把持機構30に対向するように移動させ、第2把持開閉処理によって第1のアーム101cに対して第2のアーム101dを接近させるように開閉シリンダ101bを制御する。これにより、第1のアーム101c及び第2のアーム101dによってコア210が挟み込まれる。そして制御機構130は、図37(b)に示すように、コア搬出機構100によってコア210が把持された状態で、移動処理によってコア把持固定部101が上方に移動するように第1の電動シリンダ102aを駆動させた後、コア把持固定部101が前方に移動するように第2の電動シリンダ102bを駆動させる。これにより、把持機構30からコア210が搬出される。
<テーピング装置>
図38〜図40を参照して、テーピング電子部品連300の構成について説明する。
図38に示すように、テーピング電子部品連300は、送り孔311を有する長尺状のテープ310を有する。テープ310は、長尺状のキャリアテープ312と、長尺状のカバーテープ313とを有する。キャリアテープ312は、複数の凹部314が長さ方向に等間隔に設けられている。本実施形態では、各凹部314は、矩形の平面形状を有する。各凹部314には、1つのコイル部品200が収納されている。図39に示すように、コイル部品200は、各電極214,215がカバーテープ313側となるように各凹部314に収納されている。キャリアテープ312上には、各凹部314を覆うようにカバーテープ313が接着剤等により貼り合わせられている。これにより、各凹部314に収納されたコイル部品200がテープ310から脱落することを抑制できる。なお、テープ310からコイル部品200を取り出す際には、キャリアテープ312からカバーテープ313が剥離される。
図40に示すように、第1制御によって各ワイヤW1,W2がコア210の巻芯部211に巻回されたコイル部品である第1コイル部品200Aと、第2制御によって各ワイヤW1,W2が巻芯部211に巻回されたコイル部品である第2コイル部品200Bとがキャリアテープ312の凹部314に収納される。第1コイル部品200Aは、巻芯部211における第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が所定のよれ方向によられたコイル部品である。本実施形態では、所定のよれ方向は、第1ワイヤW1が第2ワイヤW2上に交差するように各ワイヤW1,W2がよられた方向になる。第2コイル部品200Bは、巻芯部211における第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が所定のよれ方向とは反対方向によられたコイル部品である。本実施形態では、所定のよれ方向とは反対方向は、第1ワイヤW1が第2ワイヤW2の下側(巻芯部211側)に交差するように各ワイヤW1,W2がよられた方向になる。
キャリアテープ312の長手方向において所定数の凹部314に所定数ごとに第1コイル部品200A及び第2コイル部品200Bが交互に収納されている。本実施形態では、第1コイル部品200A及び第2コイル部品200Bが1つずつ交互に製造されるため、キャリアテープ312の長手方向において各凹部314に第1コイル部品200A及び第2コイル部品200Bが1つずつ交互に収納されている。すなわち、本実施形態では、所定数は1である。なお、第1コイル部品200Aのコア210は第1コアに相当し、コイル220は第1コイルに相当し、カバー部材230は第1カバー部材に相当する。第2コイル部品200Bのコア210は第2コアに相当し、コイル220は第2コイルに相当し、カバー部材230は第2カバー部材に相当する。
また、凹部314に対する第1コイル部品200Aの配置方向と凹部314に対する第2コイル部品200Bの配置方向とが互いに等しい。より詳細には、第1コイル部品200Aのコイル220の巻き始めの端部が固定された各電極214,215と第2コイル部品200Bのコイル220の巻き始めの端部が固定された各電極214,215との凹部314に対する配置方向が一致している。これにより、第1コイル部品200Aのコイル220の巻き終わりの端部が固定された各電極214,215と第2コイル部品200Bのコイル220の巻き終わりの端部が固定された各電極214,215との凹部314に対する配置方向が一致する。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用及び効果を奏する。
(1−1)第1回転体62とワイヤ位置支持部材66とが固定されたと仮定した場合、第1回転体62の回転位置、すなわちワイヤ位置支持部材66の公転位置に応じて、ワイヤ位置支持部材66を軸方向から見たときのワイヤ位置支持部材66の姿勢が変化してしまう。すなわち、第1回転体62が1回転する間にワイヤ位置支持部材66が中心軸J3を中心に自転してしまう。
そこで、本実施形態では、ワイヤ位置支持部材66が内側軸受64c,64dによって第1回転体62に対して回転可能に支持されている。このため、第1回転体62が回転したとき、内側軸受64c,64dによってワイヤ位置支持部材66の公転に応じて第1回転体62とワイヤ位置支持部材66とが相対回転する。これにより、ワイヤ位置支持部材66を軸方向から見たとき、第1回転体62の回転に起因するワイヤ位置支持部材66の自転を抑制できる。
また、ワイヤ位置支持部材66が固定された回転同期部品67は、第1回転体62及び第2回転体63が同期して回転したときに回転同期部品67の姿勢を維持しながら第1回転体62の中心軸J1及び第2回転体63の中心軸J3まわりを公転する。このため、回転同期部品67に回転不能に固定されたワイヤ位置支持部材66は、回転同期部品67によって自転が抑制される。したがって、各ワイヤW1,W2がワイヤ位置支持部材66に接触した状態でワイヤ位置支持部材66が公転したときに各ワイヤW1,W2がワイヤ位置支持部材66を自転させようとしてもワイヤ位置支持部材66の自転を抑制できる。このように、ワイヤ位置支持部材66の自転を抑制できるので、各ワイヤW1,W2におけるワイヤ位置支持部材66と第2滑車53bとの間の部分のよれの発生を抑制できる。
(1−2)内側軸受64c,64dは、転がり軸受である。このため、例えば磁気軸受と比較して、容易な構成で、第1回転体62の回転を受けることができる。これにより、巻回部60Aの構成を簡素化できる。
(1−3)巻回部60Aは、回転同期部品においてワイヤ位置支持部材66が挿入される第2挿入孔67bを構成する内周面にワイヤ位置支持部材66を押し付けるねじ部材67dをさらに有する。このため、ワイヤ位置支持部材66の外周面と第2挿入孔67bの内周面との間の摩擦力によってワイヤ位置支持部材66の自転を抑制できる。したがって、例えばワイヤ位置支持部材66の外形形状を変更しなくても、回転同期部品67に対するワイヤ位置支持部材66の自転を抑制できる。
(1−4)巻回駆動部60Bは、駆動源となるモータ68bと、モータ68bの回転力を第1回転体62及び第2回転体63に伝達する伝達機構69とを備える。この構成によれば、伝達機構69によって1つのモータ68bで第1回転体62及び第2回転体63を回転させることができるため、巻回駆動部60Bの部品点数を低減できる。
(1−5)第2回転体63の軸体63fは、回転同期部品67に対して回転可能に連結されている。このため、第2回転体63の中心軸J2に対する軸体63fの公転位置によって回転同期部品67の姿勢が変更してしまうことを抑制できる。したがって、回転同期部品67の姿勢の変化に起因するワイヤ位置支持部材66の自転を抑制できる。
(1−6)ワイヤ位置支持部材66において規制部となる前端面66fは、ワイヤ位置支持部材66における第1ワイヤ経路孔66dのうちの第1ワイヤW1が送出する側の開口と、第2ワイヤ経路孔66eのうちの第2ワイヤW2が送出する側の開口とが形成されている。これにより、ワイヤ位置支持部材66がコア210の周囲を公転するとき、第1ワイヤ経路孔66dが第2ワイヤ経路孔66eよりもコア210から離れた場合に第1ワイヤ経路孔66dから送出された第1ワイヤW1が前端面66fによって第2ワイヤ経路孔66e上を通過するようになる。また第2ワイヤ経路孔66eが第1ワイヤ経路孔66dよりもコア210から離れた場合に第2ワイヤ経路孔66eから送出された第2ワイヤW2が前端面66fによって第1ワイヤ経路孔66d上を通過するようになる。このように、ワイヤ位置支持部材66がコア210の周囲を公転しても、ワイヤ位置支持部材66の一部に各ワイヤW1,W2が絡まることが抑制される。
本実施形態では、ワイヤ位置支持部材66の前端面66fは球面状に形成されている。これにより、ワイヤ位置支持部材66がコア210の周囲を公転するとき、第1ワイヤW1が第2ワイヤ経路孔66eを横切る場合、第1ワイヤW1が第2ワイヤ経路孔66eからワイヤ位置支持部材66の軸方向に離れた位置(前方側の位置)を通過する。一方、第2ワイヤW2が第1ワイヤ経路孔66dを横切る場合、第2ワイヤW2が第1ワイヤ経路孔66dからワイヤ位置支持部材66の軸方向に離れた位置(前方側の位置)を通過する。このように、ワイヤ位置支持部材66がコア210の周囲を公転しても、ワイヤ位置支持部材66の一部に各ワイヤW1,W2が絡まることが一層抑制される。
(1−7)ワイヤ位置支持部材66の外形形状は、円柱状を有する。これにより、多角柱状のワイヤ位置支持部材に比べ、ワイヤ位置支持部材66とコア210とを接近させることができる。このため、ワイヤ位置支持部材66の公転直径を小さくすることができ、巻線装置1(巻回部60A)の小型化を図ることができる。またワイヤ位置支持部材66の公転直径を多角柱状のワイヤ位置支持部材の場合と同じとしたとき、多角柱状のワイヤ位置支持部材と比較して、ワイヤ位置支持部材66とコア210とが接触しにくくなる。
(1−8)制御機構130は、コア210の自転方向とワイヤ位置支持部材66の公転方向とを一致させ、ワイヤ位置支持部材66の公転速度をコア210の自転速度よりも速くする第1制御を実行する。また制御機構130は、コア210の自転方向とワイヤ位置支持部材66の公転方向とを一致させ、かつ第1制御におけるコア210の自転方向とワイヤ位置支持部材66の公転方向とは反対方向であり、ワイヤ位置支持部材66の公転速度をコア210の自転速度よりも遅くする第2制御を実行する。この構成によれば、第1制御における第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのねじれ方向と、第2制御における第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのねじれ方向とが反対方向となる。そして制御機構130は、第1制御及び第2制御を所定条件に基づいて切り替える。このため、第1制御によって第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれがねじれたとしても第2制御によって第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのねじれが少なくなる。したがって、第1制御のみ、又は第2制御のみでコア210に第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が巻回された場合に比べ、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのねじれが少なくなる。したがって、ワイヤ送り出し機構50とワイヤ位置支持部材66との間の第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのキンクの発生を抑制できる。
また、第1制御におけるコア210への第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2の巻回方向と、第2制御におけるコア210への第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2の巻回方向とが一致する。このため、第1制御によって製造されたコイル部品200のコイル220に電力が供給されたときの磁束の向きと、第2制御によって製造されたコイル部品200のコイル220に電力が供給されたときの磁束の向きとが一致する。したがって、磁束の向きが異なるコイル部品200が混在することを抑制できる。
(1−9)制御機構130は、コア210ごとに第1制御及び第2制御を切り替える。このため、第1制御における第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのねじれ量と、第2制御における第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのねじれ量とが概ね等しくなる。したがって、制御機構130が第1制御及び第2制御を切り替えることにより、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのねじれが概ねなくなるので、ワイヤ送り出し機構50とワイヤ位置支持部材66との間の第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のそれぞれのキンクの発生を抑制できる。
(1−10)第1制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値と、第2制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値とは互いに等しい。この構成によれば、第1制御におけるコア210に巻回された1ターン当たりの第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のよれ数と、第2制御におけるコア210に巻回された1ターン当たりの第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2のよれ数とが等しくなる。したがって、コイル部品200の性能のばらつきの発生を抑制できる。
(1−11)キャリアテープ312の複数の凹部314は、第1コイル部品200Aを収容した凹部314と、第2コイル部品200Bを収容した凹部314とを含む。このため、第1コイル部品200Aのみが収容されたテープ、又は第2コイル部品200Bのみが収容されたテープに比べ、第1コイル部品200A及び第2コイル部品200Bを選別する工程が必要なくなるため、テーピング電子部品連300の生産能力の低下を抑制できる。
(1−12)凹部314に対する第1コイル部品200Aのコイル220の巻き始めの端部の配置方向と、凹部314に対する第2コイル部品200Bのコイル220の巻き始めの端部の配置方向とが一致する。このため、第1コイル部品200A及び第2コイル部品200Bを例えば回路基板に実装するときに第1コイル部品200A及び第2コイル部品200Bのそれぞれの向きを一致させる工程が必要なくなる。したがって、第1コイル部品200A及び第2コイル部品200Bの実装作業の効率を高めることができる。
(1−13)コイル部品200は、磁性体のカバー部材230を有する。これにより、コイル220から外部に漏れる磁束がカバー部材230に流れるため、コイル部品200の磁束漏洩が抑制される。したがって、コイル部品200のインダクタンス値(L値)を高めることができる。
(1−14)第2滑車53bの第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2の中心Cと第1回転体62の中心軸J1とが一致する。これにより、第1回転体62の回転にともないワイヤ位置支持部材66が公転しても、第2滑車53bの中心Cとワイヤ位置支持部材66との間の距離の変化が抑制される。したがって、ワイヤ位置支持部材66の公転にともない各ワイヤW1,W2の張力が変化することを抑制できる。
(1−15)ワイヤ把持退避機構70は、巻回工程において、終線側ワイヤ把持部70C、終線側ワイヤ開閉部70D、及びワイヤ経路支持部70Eを下方に退避させる。これにより、ワイヤ位置支持部材66が公転しても、終線側ワイヤ把持部70C、終線側ワイヤ開閉部70D、及びワイヤ経路支持部70Eがワイヤ位置支持部材66との干渉を回避する。このため、終線側ワイヤ把持部70C、終線側ワイヤ開閉部70D、及びワイヤ経路支持部70Eがコア210の近くに配置可能となるため、巻線装置1の大型化を抑制できる。
(第2実施形態)
図41及び図42を参照して、巻線装置1の第2実施形態について説明する。本実施形態の巻線装置1は、第1実施形態の巻線装置1に比べ、第1制御及び第2制御の内容が異なる。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を適宜省略する。また同じ構成部材同士の関係についてもその説明を適宜省略する。
図41に示すように、第1制御では、制御機構130(図7参照)は、コア210を反時計回り方向に自転させ、ワイヤ位置支持部材66を時計回り方向に公転させる。つまり、コア210の自転方向とワイヤ位置支持部材66の公転方向とが逆である。
図42に示すように、第2制御では、制御機構130は、コア210を時計回り方向に自転させ、ワイヤ位置支持部材66を反時計回り方向に公転させる。つまり、第2制御においても、コア210の自転方向とワイヤ位置支持部材66の公転方向とが逆である。
また制御機構130は、コア210の自転速度及びワイヤ位置支持部材66の公転速度を任意に設定可能である。一例では、第1制御におけるコア210の自転速度と第2制御におけるコア210の自転速度とは互いに等しく、第1制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転速度と第2制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転速度とは互いに等しい。つまり、第1制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値と、第2制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値とが互いに等しい。
本実施形態の制御機構130は、第1実施形態の切替制御と同様の切替制御を実行する。切替制御では、1つのコア210にコイル220を形成する毎に第1制御及び第2制御を切り替える。例えば第1制御によってコア210にコイル220を形成した場合、次のコア210に対しては第2制御によってコイル220を形成する。すなわち、制御機構130は、1つのコア210を第1制御に基づいて各ワイヤW1,W2を巻回させ、次の1つのコア210を第2制御に基づいて各ワイヤW1,W2を巻回させるサイクルを繰り返す。
また制御機構130は、第1制御におけるコア210の自転回数及びワイヤ位置支持部材66の公転回数と、第2制御におけるコア210の自転回数及びワイヤ位置支持部材66の公転回数とが互いに等しくなるようにコア210の自転及びワイヤ位置支持部材66の公転を制御する。また例えば、制御機構130は、製品ロット又は製品種類に応じて第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度とワイヤ位置支持部材66の公転速度とを設定する。一例では、制御機構130は、コイル部品200の仕様(例えば、コア210のサイズや形状、各ワイヤW1,W2の線径)に基づいて、第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度とワイヤ位置支持部材66の公転速度とを設定する。すなわち、仕様を変更したコイル部品200を製造するとき、制御機構130は、第1制御及び第2制御におけるコア210の自転速度とワイヤ位置支持部材66の公転速度とを変更する。以上記述したように、本実施形態によれば、第1実施形態の(1−7)〜(1−9)と同様の効果が得られる。
(第3実施形態)
図43及び図44を参照して、巻線装置1の第3実施形態について説明する。本実施形態の巻線装置1は、第1実施形態の巻線装置1に比べ、第1制御及び第2制御の内容が異なる。なお、本実施形態において上記第1実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を適宜省略する。また同じ構成部材同士の関係についてもその説明を適宜省略する。
図43に示すように、制御機構130は、第1制御においてコア210を自転させず、ワイヤ位置支持部材66を第1回転方向の一例である時計回り方向に公転させる。図44に示すように、制御機構130は、第2制御においてコア210を第2回転方向の一例である反時計回り方向に自転させ、ワイヤ位置支持部材66を反時計回り方向に公転させる。制御機構130は、第2制御においてコア210の自転速度をワイヤ位置支持部材66の公転速度よりも速くする。第2制御では、ワイヤ位置支持部材66の公転方向が第1制御のワイヤ位置支持部材66の公転方向と反対方向であるが、ワイヤ位置支持部材66の公転速度よりもコア210の自転速度が速いため、第2制御における各ワイヤW1,W2のコア210への巻回方向は、第1制御における各ワイヤW1,W2のコア210への巻回方向と一致する。
制御機構130は、第1制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値と、第2制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値とが互いに等しくなるようにコア210の自転速度及びワイヤ位置支持部材66の公転速度を制御する。
本実施形態の制御機構130は、第1実施形態の切替制御と同様の切替制御を実行する。切替制御では、1つのコア210にコイル220を形成する毎に第1制御及び第2制御を切り替える。一例では、制御機構130は、第1制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転回数と、第2制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転回数とが互いに等しくなるようにワイヤ位置支持部材66の公転を制御する。具体的には、第1制御によって1つのコア210にコイル220を形成した場合、次の1つのコア210に対しては第2制御によってコイル220を形成する。すなわち、制御機構130は、1つのコア210を第1制御に基づいて各ワイヤW1,W2を巻回させ、次の1つのコア210を第2制御に基づいて各ワイヤW1,W2を巻回させるサイクルを繰り返す。以上記述したように、本実施形態によれば、第1実施形態の(1−7)〜(1−9)と同様の効果が得られる。
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
<巻線装置1の構成>
・上記各実施形態において、巻回駆動部60Bの伝達機構69の構成は任意に変更可能である。一例では、伝達機構69は、第1歯車69aと、第2歯車69b及び第3歯車69cとの間に設けられ、第1歯車69aの回転を第2歯車69b及び第3歯車69cに同様に伝達する伝達歯車を有する。第1歯車69aの回転を第2歯車69b及び第3歯車69cに同様に伝達するとは、第2歯車69bの回転方向及び回転速度と第3歯車69cの回転方向及び回転速度とが互いに等しくなるように伝達することを意味する。
・上記各実施形態において、ワイヤ位置支持部材66と回転同期部品67との固定構造は任意に変更可能である。一例では、ワイヤ位置支持部材66が回転同期部品67の第1挿入孔67aに圧入又は接着により固定されてもよい。また、回転同期部品67に対するワイヤ位置支持部材66の回転を規制する回り止め構造が設けられてもよい。一例では、第1回転体62は、ワイヤ位置支持部材66の外周面と第1挿入孔67aを構成する内周面との少なくとも一方に形成されたキー溝と、キー溝に嵌め合わされたキー部材とを有する。要するに、ワイヤ位置支持部材66が回転同期部品67に対して回転不能に連結されていればよい。
・上記各実施形態において、巻回部60Aの構成は任意に変更可能である。例えば図45に示すように、巻回部60Aは、第2回転体63の構成を第1回転体62と同様の構成に変更してもよい。図46に示すように、第2回転体63は、ワイヤ位置支持部材66と、規制板63g、ワイヤ位置支持部材66を第2回転体63に対して回転可能に支持する内側軸受65c,65dを有する。規制板63gは、第1回転体62の規制板62fと同一構成である。内側軸受65c,65dは、内側軸受64c,64dと同一構成である。なお、内側軸受65c,65dが第2内側軸受に相当する。
この構成によれば、第1回転体62に挿入されたワイヤ位置支持部材66でコア210に各ワイヤW1,W2を巻回し、第2回転体63に挿入されたワイヤ位置支持部材66で別のコア210に各ワイヤW1,W2を同時に巻回できる。したがって、コイル部品200の生産効率を高めることができる。なお、上記変形例において、図47に示すように、2つの第1回転体62を左右方向Yに並べられた構成であってもよい。また、図45及び図47に示す巻回部60Aは、3つ以上のワイヤ位置支持部材66が並べられた構成であってもよい。
・上記各実施形態において、ワイヤ位置支持部材66の先端形状は任意に変更可能である。例えば、ワイヤ位置支持部材66の先端形状は以下の(A)〜(E)のように変更してもよい。
(A)図48(a)及び(b)に示すように、ワイヤ位置支持部材66の前端面66fにおいて第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eの間の部分に球面状の凸曲面141が形成される。前端面66fにおける凸曲面141以外の部分は、ワイヤ位置支持部材66の中心軸J3と直交する平面により形成される。ワイヤ位置支持部材66は、前端面66fとワイヤ位置支持部材66の外周面とを繋ぐ曲面が形成されることが好ましい。曲面は、前端面66fの中心軸J3を中心とした全周に亘り形成されることが好ましい。
この構成によれば、ワイヤ位置支持部材66がコア210の周囲を公転するとき、第1ワイヤW1が第2ワイヤ経路孔66eを横切る場合、第1ワイヤ経路孔66dと第2ワイヤ経路孔66eとの間に凸曲面141が形成されるため、第1ワイヤW1は凸曲面141を乗り上げる。このため、第1ワイヤW1は、第2ワイヤ経路孔66eのうちの第2ワイヤW2が送出する側の開口端面上、若しくはその端面からワイヤ位置支持部材66の軸方向に離れた位置を通過する。また第2ワイヤW2が第1ワイヤ経路孔66dを横切る場合、第2ワイヤW2が凸曲面141を乗り上げるので、第1ワイヤ経路孔66dのうちの第1ワイヤW1が送出される開口端面上、若しくはその端面からワイヤ位置支持部材66の軸方向に離れた位置を通過する。このように、各ワイヤW1,W2がワイヤ位置支持部材66に絡まることを抑制できる。
(B)図49(a)及び(b)に示すように、ワイヤ位置支持部材66の前端面66fにおいて第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eの間には、各ワイヤ経路孔66d,66eの配列方向と直交する方向に延びる凸曲面142が形成される。図49(a)に示すとおり、凸曲面142は、ワイヤ位置支持部材66の平面視において円弧状に形成される。前端面66fにおける凸曲面142以外の部分は、ワイヤ位置支持部材66の中心軸J3と直交する平面により形成される。ワイヤ位置支持部材66は、前端面66fとワイヤ位置支持部材66の外周面とを繋ぐ曲面が形成されることが好ましい。曲面は、前端面66fの中心軸J3を中心とした全周に亘り形成されることが好ましい。この構成によれば、上記(A)の構成と同様の効果が得られる。
(C)図50に示すように、ワイヤ位置支持部材66の前端面66fがワイヤ位置支持部材66の中心軸J3と直交する平面を有する。図50では、前端面66fの全面がワイヤ位置支持部材66の中心軸J3と直交する平面により形成される。ワイヤ位置支持部材66は、前端面66fとワイヤ位置支持部材66の外周面とを繋ぐ曲面が形成されることが好ましい。曲面は、前端面66fの中心軸J3を中心とした全周に亘り形成されることが好ましい。
この構成によれば、ワイヤ位置支持部材66がコア210の周囲を公転するとき、第1ワイヤW1が第2ワイヤ経路孔66eを横切る場合、第1ワイヤ経路孔66dと第2ワイヤ経路孔66eとの間の平面上を通過するため、第1ワイヤW1が第2ワイヤ経路孔66eにおいて第2ワイヤが送出される開口端面上を通過する。また第2ワイヤW2が第1ワイヤ経路孔66dと第2ワイヤ経路孔66eとの間の平面上を通過するため、第2ワイヤW2が第1ワイヤ経路孔66dにおいて第1ワイヤW1が送出される開口端面上を通過する。このように、各ワイヤW1,W2がワイヤ位置支持部材66に絡まることを抑制できる。
(D)図51(a)に示すように、ワイヤ位置支持部材66は、前端面66fから前方に延びる第1送出部143及び第2送出部144と、第1送出部143及び第2送出部144を取り囲む周壁145とを有する。第1送出部143には第1ワイヤ経路孔66dが形成され、第2送出部144には第2ワイヤ経路孔66eが形成される。周壁145は、前端面66fの外周縁に設けられる。一例では、周壁145は、前端面66fから前方に延びる円筒状を有する。図51(b)に示すように、各送出部143,144の前端面と周壁145の先端面とは前後方向Xにおいて同じ位置である。なお、周壁145の先端面は、各送出部143,144の先端面よりも前方に突出していてもよい。また周壁145の形状は任意に変更可能である。例えば、周壁145は、前方から見て多角形に形成されてもよい。
この構成によれば、ワイヤ位置支持部材66がコア210の周囲を公転するとき、各ワイヤW1,W2が周壁145の先端面上を通過する。これにより、第1ワイヤW1が第2ワイヤ経路孔66eにおける第2ワイヤW2が送出される開口端面上若しくはその端面から離れた位置を通過し、第2ワイヤW2が第1ワイヤ経路孔66dにおける第1ワイヤW1が送出される開口端面上若しくはその端面から離れた位置を通過する。このため、各ワイヤW1,W2がワイヤ位置支持部材66に絡まることを抑制できる。
(E)図52に示すワイヤ位置支持部材66は、図51(a)のワイヤ位置支持部材66に対して、第1送出部143と第2送出部144との間を連結する連結壁146を有する一方、周壁145が省略された構成である。連結壁146は、ワイヤ位置支持部材66の前端面66fから各送出部143,144の前端面まで延びている。すなわち連結壁146の前端面となる連結面147は、第1送出部143における第1ワイヤW1が送出される第1ワイヤ経路孔66dの開口端面と、第2送出部144における第2ワイヤW2が送出される第2ワイヤ経路孔66eの開口端面とに面一となる。
この構成によれば、ワイヤ位置支持部材66がコア210の周囲を公転するとき、各ワイヤW1,W2が連結面147上を通過することにより、第1ワイヤW1が第2ワイヤ経路孔66eにおける第2ワイヤW2が送出される開口端面上を通過し、第2ワイヤW2が第1ワイヤ経路孔66dにおける第1ワイヤW1が送出される開口端面上を通過する。このため、各ワイヤW1,W2がワイヤ位置支持部材66に絡まることを抑制できる。なお、図52に示すワイヤ位置支持部材66において、図53に示すように、連結面147が前方に凸状となる凸曲面に形成されてもよい。また連結面147は、前方に凸状となる球面状に形成されてもよい。
・上記各実施形態では、ワイヤ位置支持部材66の第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eが左右方向Yに並べられた位置関係であったが、第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eの位置関係はこれに限られず、任意に変更可能である。例えば、図54(a)に示すように、第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eは上下方向Zに並べられた位置関係であってもよい。また図54(b)に示すように、第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eは、上下方向Zに沿った方向及び左右方向Yに沿った方向以外の中心軸J3を中心とした任意の回転位置に配置されてもよい。要するに、第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eは、ワイヤ位置支持部材66の中心軸J3に対して点対称となる位置関係であればよい。
・上記各実施形態において、ワイヤ位置支持部材66から送出されるワイヤの本数は2本以上の範囲において任意に変更可能である。一例では、ワイヤの本数は3本(図55)又は4本(図57)である。このワイヤの本数に応じてコア210の電極数が変更される。なお、図55及び図57は、便宜上、ワイヤ位置支持部材66及びコイル220の形状を模式的に示している。
図55に示すように、ワイヤ送り出し機構50の第2滑車53bには、第1溝53x、第2溝53y、及び第3溝53zが形成される。第1溝53xには第1ワイヤW1が掛けられ、第2溝53yには第2ワイヤW2が掛けられ、第3溝53zには第3ワイヤW3が掛けられる。各ワイヤW1〜W3は、第2滑車53bからワイヤ位置支持部材66に送り出される。ワイヤ位置支持部材66から送出する各ワイヤW1〜W3は、コア210に巻回される。コア210の第1鍔部212及び第2鍔部213のそれぞれには、第1電極214、第2電極215、及び第3電極216が形成される。第1ワイヤW1は第1電極214に引っ掛けられ、第2ワイヤW2は第2電極215に引っ掛けられ、第3ワイヤW3は第3電極216に引っ掛けられる。
図56に示すように、ワイヤ位置支持部材66には、第1ワイヤ経路孔66d、第2ワイヤ経路孔66e、及び第3ワイヤ経路孔66gが形成される。各ワイヤ経路孔66d,66e,66gの位置関係は任意に変更可能である。一例では、図56(a)〜(d)に示す各ワイヤ経路孔66d,66e,66gの位置関係であってもよい。図56(a)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66gは、左右方向Yにおいて一列に並べられる。図56(b)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66gは、上下方向Zにおいて一列に並べられる。図56(c)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66gは、上下方向Zに沿った方向及び左右方向Yに沿った方向以外の中心軸J3を中心とした任意の回転位置においてワイヤ位置支持部材66の直径方向に一列に並べられる。図56(d)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66gが三角形の頂点となる位置に形成される。
図57に示すように、ワイヤ送り出し機構50の第2滑車53bには、第1溝53x、第2溝53y、第3溝53z、及び第4溝53wが形成される。第1溝53xには第1ワイヤW1が掛けられ、第2溝53yには第2ワイヤW2が掛けられ、第3溝53zには第3ワイヤW3が掛けられ、第4溝53wには第4ワイヤW4が掛けられる。各ワイヤW1〜W4は、第2滑車53bからワイヤ位置支持部材66に送り出される。ワイヤ位置支持部材66から送出する各ワイヤW1〜W4は、コア210に巻回される。コア210の第1鍔部212及び第2鍔部213のそれぞれには、第1電極214、第2電極215、第3電極216、及び第4電極217が形成される。第1ワイヤW1は第1電極214に引っ掛けられ、第2ワイヤW2は第2電極215に引っ掛けられ、第3ワイヤW3は第3電極216に引っ掛けられ、第4ワイヤW4は第4電極217に引っ掛けられる。
図58に示すように、ワイヤ位置支持部材66には、第1ワイヤ経路孔66d、第2ワイヤ経路孔66e、第3ワイヤ経路孔66g、及び第4ワイヤ経路孔66hが形成される。各ワイヤ経路孔66d,66e,66gの位置関係は任意に変更可能である。一例では、図58(a)〜(e)に示す各ワイヤ経路孔66d,66e,66g,66hの位置関係であってもよい。図58(a)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66g,66hは、左右方向Yにおいて一列に並べられる。図58(b)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66g,66hは、上下方向Zにおいて一列に並べられる。図58(c)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66g,66hは、上下方向Zに沿った方向及び左右方向Yに沿った方向以外の中心軸J3を中心とした任意の回転位置においてワイヤ位置支持部材66の直径方向に一列に並べられる。図58(d)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66g,66hが四角形の頂点となる位置に形成される。図58(e)に示すように、各ワイヤ経路孔66d,66e,66g,66hが菱形の頂点となる位置に形成される。
・上記各実施形態では、ワイヤ位置支持部材66には第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eの2つの孔が形成されていたが、これに限られず、図59(b)に示すように、ワイヤ位置支持部材66には1つのワイヤ経路孔148が設けられてもよい。ワイヤ経路孔148には、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2が挿通される。ワイヤ経路孔148の内径は、第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eの内径よりも大きい。図59(a)に示すように、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2は互いに隣接した状態でワイヤ経路孔148から送出される。
・上記各実施形態において、ワイヤ位置支持部材66の外形形状は任意に変更可能である。一例では、ワイヤ位置支持部材66の外形形状は、図60(a)示す三角形、図60(b)に示す四角形、図60(c)に示す五角形、図60(d)に示す六角形等の多角形であってもよい。またワイヤ位置支持部材66の外形形状は、図60(e)に示す楕円形であってもよい。
・上記第2実施形態において、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2がコア210の巻芯部211に対して左巻きで巻回されたコイル部品200と、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2がコア210の巻芯部211に対して右巻きで巻回されたコイル部品200とを選別する選別装置を貼付装置2とテーピング装置3との間に設けてもよい。左巻きのコイル部品200は、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2がコア210の巻芯部211に対して第1鍔部212から第2鍔部213に向かうにつれて時計回り方向に巻回されたコイル部品である。右巻きのコイル部品200は、第1ワイヤW1及び第2ワイヤW2がコア210の巻芯部211に対して第1鍔部212から第2鍔部213に向かうにつれて反時計回り方向に巻回されたコイル部品である。選別装置は、コイル220の巻回方向を判定する判定部と、判定部の結果に基づいて左巻きのコイル部品200と右巻きのコイル部品200とを選別する選別部とを有する。判別部の一例は、コイル220を撮影するカメラである。選別部は、例えば、カメラによって撮影されたコイル220の画像と、予め記憶した左巻きのコイル220の画像及び右巻きのコイル220の画像とを比較することによって、左巻きのコイル部品200と右巻きのコイル部品200とを選別する。
<巻線装置1の制御>
・上記第1実施形態では、第1制御においてコア210が時計回り方向に自転し、ワイヤ位置支持部材66が時計回り方向に公転し、第2制御においてコア210が反時計回り方向に自転し、ワイヤ位置支持部材66が反時計回り方向に公転したが、各制御におけるコア210の自転方向及びワイヤ位置支持部材66の公転方向はこれに限られない。第1制御においてコア210が反時計回り方向に自転し、ワイヤ位置支持部材66が反時計回り方向に公転し、第2制御においてコア210が時計回り方向に自転し、ワイヤ位置支持部材66が時計回り方向に公転してもよい。
・上記第2実施形態では、第1制御においてコア210が反時計回り方向に自転し、ワイヤ位置支持部材66が時計回り方向に公転し、第2制御においてコア210が時計回り方向に自転し、ワイヤ位置支持部材66が反時計回り方向に公転したが、各制御におけるコア210の自転方向及びワイヤ位置支持部材66の公転方向はこれに限られない。第1制御においてコア210が時計回り方向に自転し、ワイヤ位置支持部材66が反時計回り方向に公転し、第2制御においてコア210が反時計回り方向に自転し、ワイヤ位置支持部材66が時計回り方向に公転してもよい。
・上記第3実施形態では、第1制御においてコア210は自転しなかったが、第1制御においてコア210がワイヤ位置支持部材66の公転方向と同じ方向に自転し、第2制御においてコア210が自転しなくてもよい。この場合、コア210の自転速度は、ワイヤ位置支持部材66の公転速度よりも速い。第1制御では、ワイヤ位置支持部材66の公転方向が第2制御のワイヤ位置支持部材66の公転方向と反対方向であるが、ワイヤ位置支持部材66の公転速度よりもコア210の自転速度が速いため、第1制御における各ワイヤW1,W2のコア210への巻回方向は、第2制御における各ワイヤW1,W2のコア210への巻回方向と一致する。また、第1制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値と、第2制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値とは互いに等しいことが好ましい。
・上記第3実施形態において、制御機構130は、第1制御及び第2制御においてコア210を自転させないように制御してもよい。この場合、制御機構130は、第1制御においてワイヤ位置支持部材66を第1回転方向の一例である時計回り方向に公転させ、第2制御においてワイヤ位置支持部材66を第2回転方向の一例である反時計回り方向に公転させる。また、制御機構130は、第1実施形態の切替制御と同様の切替制御を実行する。切替制御では、1つのコア210にコイル220を形成する毎に第1制御及び第2制御を切り替える。一例では、制御機構130は、第1制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転回数と、第2制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転回数とが互いに等しくなるようにワイヤ位置支持部材66の公転を制御する。具体的には、第1制御によって1つのコア210にコイル220を形成した場合、次の1つのコア210に対しては第2制御によってコイル220を形成する。すなわち、制御機構130は、1つのコア210を第1制御に基づいて各ワイヤW1,W2を巻回させ、次の1つのコア210を第2制御に基づいて各ワイヤW1,W2を巻回させるサイクルを繰り返す。なお、制御機構130は、第1制御及び第2制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転速度を任意に設定可能である。一例では、第1制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転速度と第2制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転速度とは互いに等しい。つまり、第1制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値と、第2制御におけるコア210に対するワイヤ位置支持部材66の相対速度の絶対値とが互いに等しい。
・上記各実施形態の切替制御において、第1制御及び第2制御を切り替える所定条件をワイヤ位置支持部材66の公転回数としてもよい。この場合、制御機構130は、第1制御及び第2制御のそれぞれにおけるワイヤ位置支持部材66の公転回数をカウントする。制御機構130は、第1制御及び第2制御の一方が実行されているとき、ワイヤ位置支持部材66の公転回数が予め設定された閾値に達すると、第1制御及び第2制御の他方の制御に変更する。第1制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転回数と、第2制御におけるワイヤ位置支持部材66の公転回数とは互いに等しいことが好ましい。
このような構成によれば、第1制御における各ワイヤW1,W2のそれぞれのねじれ量と、第2制御における各ワイヤW1,W2のそれぞれのねじれ量とが概ね等しくなる。したがって、第1制御及び第2制御を切り替えることにより、各ワイヤW1,W2のそれぞれのねじれが概ねなくなるので、ワイヤ送り出し機構50とワイヤ位置支持部材66との間の各ワイヤW1,W2のキンクの発生を抑制できる。
・上記各実施形態の切替制御において、制御機構130は、コア210とワイヤ位置支持部材66の第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eとの間の各ワイヤW1,W2が互いによられた数であるよれ数が予め設定された上限値に達したとき、所定条件よりも優先して第1制御及び第2制御を切り替えてもよい。例えば、所定条件がコイル部品200の製品数の場合、動作記憶部132には、例えばコア210の自転速度及び自転方向と、ワイヤ位置支持部材66の公転速度及び公転方向との組合せと、各ワイヤW1,W2のよれ数の上限値に達するときのワイヤ位置支持部材66の公転回数との関係を示す情報が記憶されている。制御機構130は、動作記憶部132に記憶された情報を用いて、ワイヤ位置支持部材66の公転回数に基づいて、第1制御及び第2制御を切り替える。
各ワイヤW1,W2におけるコア210とワイヤ位置支持部材66の第1ワイヤ経路孔66d及び第2ワイヤ経路孔66eとの間の部分は、ワイヤ位置支持部材66の公転にともないよれる。このよれ数が過度に多くなると、各ワイヤW1,W2におけるコア210とワイヤ位置支持部材66との間の部分の全てが、各ワイヤW1,W2がよれた状態となってしまい、各ワイヤW1,W2に過剰な張力が加えられてしまうおそれがある。その点、制御機構130は、よれ数が上限値に達したときに第1制御及び第2制御を切り替えるため、各ワイヤW1,W2におけるコア210とワイヤ位置支持部材66との間の部分における各ワイヤW1,W2のよれが解消するようにワイヤ位置支持部材66を公転するようになる。したがって、各ワイヤW1,W2におけるコア210とワイヤ位置支持部材66との間の部分における各ワイヤW1,W2のよれに起因して各ワイヤW1,W2に過剰な張力が加えられることを抑制できる。
(付記)
次に、上記各実施形態及び上記各変形例から把握できる技術的思想について記載する。
(付記1)
コアに複数のワイヤが巻回されたコイル部品の巻線装置であって、前記複数のワイヤが挿通されるワイヤ経路孔を有するワイヤ位置支持部材と、前記複数のワイヤに張力を与えるように前記複数のワイヤを前記ワイヤ位置支持部材に送り出すワイヤ送り出し機構と、前記コアに前記複数のワイヤがよられながら巻回されるように前記コアの周囲に前記ワイヤ位置支持部材を公転させる巻回駆動部と、前記コアを自転させる回転部と、前記巻回駆動部及び前記回転部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記コアの自転方向と前記ワイヤ位置支持部材の公転方向とを一致させ、前記ワイヤ位置支持部材の公転速度を前記コアの自転速度よりも速くする第1制御と、前記コアの自転方向と前記ワイヤ位置支持部材の公転方向とを一致させ、かつ前記第1制御における前記コアの自転方向と前記ワイヤ位置支持部材の公転方向とは反対方向であり、前記ワイヤ位置支持部材の公転速度を前記コアの自転速度よりも遅くする第2制御とを有し、前記第1制御及び前記第2制御を所定条件に基づいて切り替える、巻線装置。
(付記2)
コアに複数のワイヤが巻回されたコイル部品の巻線装置であって、前記複数のワイヤが挿通されるワイヤ経路孔を有するワイヤ位置支持部材と、前記複数のワイヤに張力を与えるように前記複数のワイヤを前記ワイヤ位置支持部材に送り出すワイヤ送り出し機構と、前記コアに前記複数のワイヤがよられながら巻回されるように前記コアの周囲に前記ワイヤ位置支持部材を公転させる巻回駆動部と、前記コアを自転させる回転部と、前記巻回駆動部及び前記回転部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記コアを自転させず、前記ワイヤ位置支持部材を第1回転方向に公転させる第1制御と、前記コアを前記第1回転方向とは反対方向である第2回転方向に自転させ、前記ワイヤ位置支持部材を前記第2回転方向に公転させ、前記コアの自転速度を前記ワイヤ位置支持部材の公転速度よりも速くする第2制御とを有し、前記第1制御及び前記第2制御を所定条件に基づいて切り替える、巻線装置。
(付記3)
コアに複数のワイヤが巻回されたコイル部品の巻線装置であって、前記複数のワイヤが挿通されるワイヤ経路孔を有するワイヤ位置支持部材と、前記複数のワイヤに張力を与えるように前記複数のワイヤを前記ワイヤ位置支持部材に送り出すワイヤ送り出し機構と、前記コアに前記複数のワイヤがよられながら巻回されるように前記コアの周囲に前記ワイヤ位置支持部材を公転させる巻回駆動部と、前記コアを自転させる回転部と、前記巻回駆動部及び前記回転部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ワイヤ位置支持部材を第1回転方向に公転させ、前記コアを前記第1回転方向とは反対方向である第2回転方向に自転させる第1制御と、前記ワイヤ位置支持部材を前記第2回転方向に公転させ、前記コアを前記第1回転方向に自転させる第2制御とを有し、前記第1制御及び前記第2制御を所定条件に基づいて切り替える、巻線装置。
(付記4)
コアに複数のワイヤが巻回されたコイル部品の巻線装置であって、前記複数のワイヤが挿通されるワイヤ経路孔を有するワイヤ位置支持部材と、前記複数のワイヤに張力を与えるように前記複数のワイヤを前記ワイヤ位置支持部材に送り出すワイヤ送り出し機構と、前記コアに前記複数のワイヤがよられながら巻回されるように前記コアの周囲に前記ワイヤ位置支持部材を公転させる巻回駆動部と、前記巻回駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記コアを自転させず、前記ワイヤ位置支持部材を第1回転方向に公転させる第1制御と、前記コアを自転させず、前記ワイヤ位置支持部材を前記第1回転方向とは反対方向である第2回転方向に公転させる第2制御とを有し、前記第1制御及び前記第2制御を所定条件に基づいて切り替える、巻線装置。
(付記5)
前記所定条件は、前記ワイヤ位置支持部材の公転回数であり、前記第1制御における前記ワイヤ位置支持部材の公転回数と、前記第2制御における前記ワイヤ位置支持部材の公転回数とが互いに等しい、付記1〜4のいずれか一つに記載の巻線装置。
(付記6)
前記所定条件は、前記コイル部品の製品数であり、前記制御部は、1つのコアに対して前記第1制御に基づいて前記複数のワイヤを巻回し、次の1つのコアに対して前記第2制御に基づいて前記複数のワイヤを巻回すサイクルを繰り返す、付記1〜4のいずれか一つに記載の巻線装置。
(付記7)
前記第1制御における前記コアに対する前記ワイヤ位置支持部材の相対速度の絶対値と、前記第2制御における前記コアに対する前記ワイヤ位置支持部材の相対速度の絶対値とは互いに等しい、付記1〜6のいずれか一つに記載の巻線装置。
(付記8)
前記制御部は、前記複数のワイヤにおける前記コアと前記ワイヤ位置支持部材との間の部分が互いによられた数であるよれ数が上限値に達したとき、前記所定条件よりも優先して前記第1制御及び前記第2制御を切り替える、付記1〜7のいずれか一つに記載の巻線装置。
(付記9)
コアに複数のワイヤが巻回されたコイル部品の製造方法であって、前記コアを準備するコア準備工程と、前記複数のワイヤに張力が与えられた状態で、ワイヤ位置支持部材のワイヤ経路孔に挿通された前記複数のワイヤにおける巻き始めの端部を前記コアにおける前記巻き始めの端部に対応する電極に引掛ける巻回開始工程と、前記コアを自転させつつ、前記ワイヤ位置支持部材を前記コアの自転方向と同じ方向に公転させて前記複数のワイヤをよりながら前記コアに巻回する巻回工程と、前記複数のワイヤにおける巻き終わりの端部を前記コアにおける前記巻き終わりの端部に対応する電極に引掛ける巻回終了工程と、前記巻き始めの端部を前記コアにおける前記巻き始めの端部に対応する電極に固定させ、前記巻き終わりの端部を前記コアにおける前記巻き終わりの端部に対応する電極に固定させる固定工程と、を有し、前記巻回工程において、前記コアの自転方向と前記ワイヤ位置支持部材の公転方向とを一致させ、前記ワイヤ位置支持部材の公転速度を前記コアの自転速度よりも速くする第1制御と、前記コアの自転方向と前記ワイヤ位置支持部材の公転方向とを一致させ、かつ前記第1制御における前記コアの自転方向と前記ワイヤ位置支持部材の公転方向とは反対方向であり、前記ワイヤ位置支持部材の公転速度を前記コアの自転速度よりも遅くする第2制御とを所定条件に基づいて切り替える、コイル部品の製造方法。
(付記10)
コアに複数のワイヤが巻回されたコイル部品の製造方法であって、前記コアを準備するコア準備工程と、前記複数のワイヤに張力が与えられた状態で、ワイヤ位置支持部材のワイヤ経路孔に挿通された前記複数のワイヤにおける巻き始めの端部を前記コアにおける前記巻き始めの端部に対応する電極に引掛ける巻回開始工程と、前記ワイヤ位置支持部材を前記コアの周囲に公転させて前記複数のワイヤをよりながら前記コアに巻回する巻回工程と、前記複数のワイヤにおける巻き終わりの端部を前記コアにおける前記巻き終わりの端部に対応する電極に引掛ける巻回終了工程と、前記巻き始めの端部を前記コアにおける前記巻き始めの端部に対応する電極に固定させ、前記巻き終わりの端部を前記コアにおける前記巻き終わりの端部に対応する電極に固定させる固定工程と、を有し、前記巻回工程において、前記コアを自転させず、前記ワイヤ位置支持部材を第1回転方向に公転させる第1制御と、前記コアを前記第1回転方向とは反対方向に自転させ、前記ワイヤ位置支持部材を前記第1回転方向とは反対方向に公転させ、前記コアの自転速度を前記ワイヤ位置支持部材の公転速度よりも速くする第2制御とを所定条件に基づいて切り替える、コイル部品の製造方法。
(付記11)
コアに複数のワイヤが巻回されたコイル部品の製造方法であって、前記コアを準備するコア準備工程と、ワイヤ送り出し機構によって張力が与えられ、ワイヤ位置支持部材のワイヤ経路孔に挿通された前記複数のワイヤにおける巻き始めの端部を前記コアにおける前記巻き始めの端部に対応する電極に引掛ける巻回開始工程と、前記コアを自転させつつ、前記ワイヤ位置支持部材を前記コアの自転方向とは反対方向に公転させて前記複数のワイヤをよりながら前記コアに巻回する巻回工程と、前記複数のワイヤにおける巻き終わりの端部を前記コアにおける前記巻き終わりの端部に対応する電極に引掛ける巻回終了工程と、前記巻き始めの端部を前記コアにおける前記巻き始めの端部に対応する電極に固定させ、前記巻き終わりの端部を前記コアにおける前記巻き終わりの端部に対応する電極に固定させる固定工程と、を有し、前記巻回工程において、前記ワイヤ位置支持部材を第1回転方向に公転させ、前記コアを前記第1回転方向とは反対方向である第2回転方向に自転させる第1制御と、前記ワイヤ位置支持部材を前記第2回転方向に公転させ、前記コアを前記第1回転方向に自転させる第2制御とを所定条件に基づいて切り替える、コイル部品の製造方法。
(付記12)
コアに複数のワイヤが巻回されたコイル部品の製造方法であって、前記コアを準備するコア準備工程と、ワイヤ送り出し機構によって張力が与えられ、ワイヤ位置支持部材のワイヤ経路孔に挿通された前記複数のワイヤにおける巻き始めの端部を前記コアにおける前記巻き始めの端部に対応する電極に引掛ける巻回開始工程と、前記ワイヤ位置支持部材を前記コアの周囲に公転させて前記複数のワイヤをよりながら前記コアに巻回する巻回工程と、前記複数のワイヤにおける巻き終わりの端部を前記コアにおける前記巻き終わりの端部に対応する電極に引掛ける巻回終了工程と、前記巻き始めの端部を前記コアにおける前記巻き始めの端部に対応する電極に固定させ、前記巻き終わりの端部を前記コアにおける前記巻き終わりの端部に対応する電極に固定させる固定工程と、を有し、前記巻回工程において、前記コアを自転させず、前記ワイヤ位置支持部材を第1回転方向に公転させる第1制御と、前記コアを自転させず、前記ワイヤ位置支持部材を前記第1回転方向とは反対方向である第2回転方向に公転させる第2制御とを所定条件に基づいて切り替える、コイル部品の製造方法。
(付記13)
コアに第1ワイヤ及び第2ワイヤが巻回される巻線装置であって、前記第1ワイヤが挿通される第1ワイヤ経路孔を有する第1送出部と、前記第2ワイヤが挿通される第2ワイヤ経路孔を有する第2送出部とを有するワイヤ位置支持部材と、前記コアの周囲に前記ワイヤ位置支持部材を公転させる巻回駆動部と、を備え、前記ワイヤ位置支持部材は、前記ワイヤ位置支持部材が前記コアに対して公転するとき、前記第1ワイヤが前記第2ワイヤ経路孔における前記第2ワイヤが送出される開口端面上を通過し、前記第2ワイヤが前記第1ワイヤ経路孔における前記第1ワイヤが送出される開口端面上を通過するように前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの移動を規制する規制部を有する、巻線装置。
(付記14)
前記規制部は、前記第1送出部における前記第1ワイヤが送出される端面と前記第2送出部における前記第2ワイヤが送出される端面とに面一となるように連結している連結面を含む、付記13に記載の巻線装置。
(付記15)
前記規制部は、前記ワイヤ位置支持部材の軸方向と直交した方向において、前記第1送出部及び前記第2送出部を囲う周壁を有し、前記周壁の先端面は、前記第1送出部における前記第1ワイヤが送出される端面と前記第2送出部における前記第2ワイヤが送出される端面とに面一となるように形成されている、若しくは前記第1送出部における前記第1ワイヤが送出される端面と前記第2送出部における前記第2ワイヤが送出される端面よりも突出した位置に形成されている、付記13に記載の巻線装置。
(付記16)
前記ワイヤ位置支持部材は、前記第1送出部及び前記第2送出部を含む1つの柱状に形成され、前記規制部は、前記第1送出部及び前記第2送出部の配列方向と前記ワイヤ位置支持部材の軸方向との両方と直交する方向から見て、前記第1送出部の前記端面及び前記第2送出部の前記端面よりも突出する凸曲面を含む、付記13に記載の巻線装置。
(付記17)
前記ワイヤ位置支持部材は、前記第1送出部及び前記第2送出部を含む1つの柱状に形成され、前記規制部は、前記ワイヤ位置支持部材における前記第1ワイヤ経路孔のうちの前記第1ワイヤが送出する側の開口と、前記第2ワイヤ経路孔のうちの前記第2ワイヤが送出する側の開口とが形成された端面であり、前記端面は、前記ワイヤ位置支持部材の軸方向に直交する平面を有する、付記13に記載の巻線装置。
(付記18)
前記ワイヤ位置支持部材は、前記第1送出部及び前記第2送出部を含む1つの柱状に形成され、前記規制部は、前記ワイヤ位置支持部材における前記第1ワイヤ経路孔のうちの前記第1ワイヤが送出する側の開口と、前記第2ワイヤ経路孔のうちの前記第2ワイヤが送出する側の開口とが形成された端面であり、前記端面は、球面を有する、付記13に記載の巻線装置。
(付記19)
前記ワイヤ位置支持部材の外形形状は、円柱状を有する、付記17又は18に記載の巻線装置。
(付記20)
前記ワイヤ位置支持部材の外形形状は、多角柱状を有する、付記17又は18に記載の巻線装置。
(付記21)
複数の凹部が長手方向に沿って設けられた長尺状のキャリアテープと、前記キャリアテープ上に前記複数の凹部を覆うように設けられたカバーテープとを有するテープと、前記複数の凹部のそれぞれに配置された電子部品と、を備えるテーピング電子部品連であって、前記電子部品は、第1コイル部品及び第2コイル部品を含み、前記第1コイル部品は、第1コアと、複数のワイヤが所定のよれ方向によられた状態で、前記第1コアに所定の巻回方向に巻きつけられてなる第1コイルとを有し、前記第2コイル部品は、第2コアと、複数のワイヤが前記よれ方向とは反対方向によられた状態で、前記第2コアに前記所定の巻回方向に巻きつけられてなる第2コイルとを有する、テーピング電子部品連。
(付記22)
前記第1コイル部品及び前記第2コイル部品は、前記複数の凹部に所定数ごとに交互に配置されている、付記21に記載のテーピング電子部品連。
(付記23)
前記所定数は、1である、付記22に記載のテーピング電子部品連。
(付記24)
前記第1コアは、前記第1コイルの巻き始めの端部が固定された電極と、前記第1コイルの巻き終わりの端部が固定された電極とを有し、前記第2コアは、前記第2コイルの巻き始めの端部が固定された電極と、前記第2コイルの巻き終わりの端部が固定された電極とを有し、前記第1コアにおける前記第1コイルの巻き始めの端部が固定された電極と、前記第2コアにおける前記第2コイルの巻き始めの端部が固定された電極との前記凹部に対する配置方向が一致している、付記21〜23のいずれか一つに記載のテーピング電子部品連。
(付記25)
前記第1コイル部品は、前記第1コイルを覆うように前記第1コアに取り付けられた磁性体の第1カバー部材を有し、前記第2コイル部品は、前記第2コイルを覆うように前記第2コアに取り付けられた磁性体の第2カバー部材を有する、付記21〜24のいずれか一つに記載のテーピング電子部品連。