以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のタイヤのシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある)は、タイヤに荷重を負荷させたときの変形状態を、コンピュータを用いて計算するための方法である。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。従って、コンピュータ1は、タイヤの変形状態を計算するためのシミュレーション装置として構成される。
図2は、本実施形態のシミュレーション方法によって評価されるタイヤの断面図である。図3(a)は、カーカスプライの部分斜視図である。図3(b)は、ベルトプライの部分斜視図である。
図2及び図3(a)、(b)に示されるように、本実施形態のタイヤ2は、平行に配列された複数本のコード10からなるコード配列体11と、コード配列体11を被覆する被覆ゴム12とを有するゴム・コード複合体13を有している。本実施形態のゴム・コード複合体13としては、カーカス6を構成する1枚のカーカスプライ6A、及び、ベルト層7を構成する2枚のベルトプライ(内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7B)が含まれる。
図2に示されるように、カーカスプライ6Aは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含んでいる。本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配置されている。
図3(a)に示されるように、カーカスプライ6Aは、平行に配列された第1コード10a(カーカスコード6c)からなる第1コード配列体11aと、第1コード配列体11aを被覆する第1被覆ゴム(トッピングゴム)12aとを有している。第1コード10aは、例えば、タイヤ赤道Cに対して80度〜90度の角度θ1で配列されている。
図2に示されるように、内側ベルトプライ7A及び外側ベルトプライ7Bは、カーカスプライ6Aのタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されている。図3(b)に示されるように、内側ベルトプライ7Aは、平行に配列された第2コード10b(ベルトコード7c)からなる第2コード配列体11bと、第2コード配列体11bを被覆する第2被覆ゴム(トッピングゴム)12bとを有している。外側ベルトプライ7Bは、平行に配列された第3コード10c(ベルトコード7c)からなる第3コード配列体11cと、第3コード配列体11cを被覆する第3被覆ゴム(トッピングゴム)12cとを有している。第2コード10b及び第3コード10cは、例えば、タイヤ周方向に対して10度〜35度の角度θ2で配列されている。さらに、第2コード10b及び第3コード10cは、互いに交差する向きに重ね合わされている。
図4は、本実施形態のシミュレーション方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、ゴム・コード複合体13をモデル化したゴム・コード複合体モデルを含むタイヤモデルを入力する(第1工程S1)。図5は、第1工程S1の処理手順の一例を示すフローチャートである。図6は、本実施形態のタイヤモデル18の断面図である。図7は、カーカスプライモデル26Aの部分斜視図である。図8は、ベルトプライモデル27A、27Bの部分斜視図である。
本実施形態の第1工程S1は、先ず、ゴム・コード複合体13(図2に示す)をモデル化したゴム・コード複合体モデル23(図6に示す)を入力する(ゴム・コード複合体モデル入力工程S11)。本実施形態のゴム・コード複合体モデル23は、カーカスプライ6Aをモデル化したカーカスプライモデル26A、及び、各ベルトプライ7A、7Bをモデル化したベルトプライモデル27A、27Bが含まれる。図9は、ゴム・コード複合体モデル入力工程S11の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のゴム・コード複合体モデル入力工程S11は、先ず、図7及び図8に示されるように、コード配列体11(図3(a)、(b)に示す)を、第1要素F(i)(i=1、2、…)でモデル化したコード配列体モデル21を設定する(コード配列体モデル設定工程S31)。本実施形態のコード配列体モデル設定工程S31では、図3(a)に示したカーカスプライ6Aの第1コード配列体11a、図3(b)に示した内側ベルトプライ7Aの第2コード配列体11b、及び、外側ベルトプライ7Bの第3コード配列体11cがそれぞれモデル化される。図10は、コード配列体モデル設定工程S31の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のコード配列体モデル設定工程S31では、先ず、図7に示されるように、カーカスプライ6Aの第1コード配列体11a(図3(a)に示す)を、有限個の第1要素F(i)でモデル化した第1コード配列体モデル21a(図7に示す)を設定する(工程S311)。
工程S311では、先ず、タイヤ2のカーカスプライ6A(図3(a)に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、カーカスプライ6Aの第1コード配列体11aを構成する第1コード10a(カーカスコード6c)の配列、及び、第1コード配列体11aを被覆する第1被覆ゴム12aの輪郭に関する数値データが含まれている。
次に、工程S311では、設計データに基づいて、カーカスプライ6Aの第1コード配列体11a(図3(a)に示す)が、第1要素F(i)を用いて分割(離散化)される。これにより、カーカスプライ6Aの第1コード配列体11aをモデル化したカーカスプライモデル26Aの第1コード配列体モデル21aが設定される。このような第1要素F(i)を用いた分割は、例えば、メッシュ化ソフトウェアを用いることにより、容易に行うことができる。
第1要素F(i)としては、例えば、コードの長手方向に沿った強度異方性を定義することができる膜要素又はシェル要素を採用することができる。本実施形態では、膜要素が採用される。また、膜要素は、平面視において四辺形状に設定されているが、特に限定されるわけではない。膜要素は、例えば、平面視において、三角形状に設定されてもよい。
第1要素F(i)は、数値解析法により取り扱い可能なものである。数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用できる。本実施形態では、有限要素法が採用される。第1要素F(i)には、要素番号、節点の番号、節点の座標値、及び、図3(a)に示したカーカスプライ6Aの第1コード10a(カーカスコード6c)の物理量(材料特性)が定義される。さらに、第1要素F(i)には、図3(a)に示した第1コード10aの直径や、第1コード10aのタイヤ周方向に対する角度θ1等が、剛性の異方性として定義される。これにより、カーカスプライモデル26Aの第1コード配列体モデル21aは、第1コード10aで構成された第1コード配列体11a(図3(a)に示す)を再現することができる。第1コード配列体モデル21aは、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のコード配列体モデル設定工程S31では、図8に示されるように、内側ベルトプライ7Aの第2コード配列体11b(図3(b)に示す)を、有限個の第1要素F(i)でモデル化した第2コード配列体モデル21bを入力する(工程S312)。工程S312では、先ず、タイヤ2の内側ベルトプライ7A(図3(b)に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、内側ベルトプライ7Aの第2コード配列体11bを構成する第2コード10b(ベルトコード7c)の配列、第2コード配列体11bを被覆する第2被覆ゴム12bの輪郭に関する数値データが含まれている。
次に、工程S312では、設計データに基づいて、内側ベルトプライ7Aの第2コード配列体11b(図3(b)に示す)が、第1要素F(i)を用いて分割(離散化)される。これにより、内側ベルトプライ7Aの第2コード配列体11b(図3(b)に示す)をモデル化した内側ベルトプライモデル27Aの第2コード配列体モデル21bが設定される。
第1要素F(i)としては、図7に示したカーカスプライモデル26Aの第1コード配列体モデル21aの第1要素F(i)と同一のものが採用される。第1要素F(i)には、図3(b)に示した内側ベルトプライ7Aの第2コード10b(ベルトコード7c)の物理量(材料特性)が定義される。さらに、第1要素F(i)には、第2コード10b(ベルトコード7c)の直径や、タイヤ周方向に対する角度θ2等が、剛性の異方性として定義される。これにより、内側ベルトプライ7Aの第2コード配列体モデル21bは、図3(b)に示した第2コード10b(ベルトコード7c)で構成された内側ベルトプライ7Aの第2コード配列体11bを再現することができる。第2コード配列体モデル21bは、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態のコード配列体モデル設定工程S31では、外側ベルトプライ7Bの第3コード配列体11c(図3(b)に示す)を、有限個の第1要素F(i)でモデル化した第3コード配列体モデル21cを入力する(工程S313)。工程S313では、先ず、タイヤ2の外側ベルトプライ7B(図3(b)に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。この設計データには、外側ベルトプライ7Bの第3コード配列体11cを構成する第3コード10c(ベルトコード7c)の配列、第3コード配列体11cを被覆する第3被覆ゴム12cの輪郭に関する数値データが含まれている。
次に、工程S313では、設計データに基づいて、外側ベルトプライ7Bの第3コード配列体11c(図3(b)に示す)が、第1要素F(i)を用いて分割(離散化)される。これにより、外側ベルトプライ7Bの第3コード配列体11c(図3(b)に示す)をモデル化した外側ベルトプライモデル27Bの第3コード配列体モデル21cが設定される。
第1要素F(i)としては、第1コード配列体モデル21a(図7に示す)の第1要素F(i)、及び、第2コード配列体モデル21bの第1要素F(i)と同一のものが採用される。第1要素F(i)には、図3(b)に示した外側ベルトプライ7Bの第3コード10c(ベルトコード7c)の物理量(材料特性)が定義される。さらに、第1要素F(i)には、第3コード10c(ベルトコード7c)の直径や、タイヤ周方向に対する角度θ2等が、剛性の異方性として定義される。これにより、外側ベルトプライ7Bの第3コード配列体モデル21cは、第3コード10c(ベルトコード7c)で構成された外側ベルトプライ7Bの第3コード配列体11cを再現することができる。第3コード配列体モデル21cは、コンピュータ1に入力される。
次に、図9に示されるように、本実施形態のゴム・コード複合体モデル入力工程S11は、図3(a)、(b)に示した被覆ゴム12を、第2要素G(i)(i=1、2、…)でモデル化した被覆ゴムモデル22を、コード配列体モデル21に隣接させて配置する(被覆ゴムモデル設定工程S32)。本実施形態の被覆ゴムモデル設定工程S32では、図3(a)に示したカーカスプライ6Aの第1被覆ゴム12a、図3(b)に示した内側ベルトプライ7Aの第2被覆ゴム12b、及び、外側ベルトプライ7Bの第3被覆ゴム12cがそれぞれモデル化される。図11は、被覆ゴムモデル設定工程S32の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の被覆ゴムモデル設定工程S32では、先ず、図7に示されるように、カーカスプライ6Aの第1被覆ゴム12a(図3(a)に示す)を、有限個の第2要素G(i)でモデル化した第1被覆ゴムモデル22aを入力する(工程S321)。
工程S321では、工程S311で入力されたカーカスプライ6Aの設計データ(図3(a)に示した第1被覆ゴム12aの輪郭)に基づいて、カーカスプライ6Aの第1被覆ゴム12aが第2要素G(i)を用いて分割(離散化)される。これにより、カーカスプライ6Aの第1被覆ゴム12aをモデル化したカーカスプライモデル26Aの第1被覆ゴムモデル22aが設定される。本実施形態の第1被覆ゴムモデル22aは、カーカスプライモデル26Aの第1コード配列体モデル21aの両側にそれぞれ設定されている。なお、第2要素G(i)を用いた分割は、例えば、メッシュ化ソフトウェアを用いることにより、容易に行うことができる。
本実施形態の第2要素G(i)としては、3次元のソリッド要素が採用される。ソリッド要素は、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素等が適宜採用される。第2要素G(i)は、第1要素F(i)と同様に、数値解析法(本実施形態では、有限要素法)により取り扱い可能なものである。
第2要素G(i)には、要素番号、節点の番号、節点の座標値、及び、図3(a)に示したカーカスプライ6Aの第1被覆ゴム12aの物理量(材料特性)が定義される。第1被覆ゴムモデル22aの第2要素G(i)に定義される物理量の一例として、ヤング率、又は、せん断弾性率が含まれる。本実施形態の第2要素G(i)は、x軸方向、y軸方向、及び、z軸方向に、異なる大きさの物理量(ヤング率、又は、せん断弾性率)を設定しうる直交異方性を有している。
次に、本実施形態の被覆ゴムモデル設定工程S32では、カーカスプライモデル26Aの第1被覆ゴムモデル22aを、カーカスプライモデル26Aの第1コード配列体モデル21aの少なくとも一方側の面29a、本実施形態では、両側(内側及び外側)の面29a、29aに隣接させて配置する(工程S322)。第1コード配列体モデル21aと第1被覆ゴムモデル22a、22aとの間には、実際のカーカスコード6cと第1被覆ゴム12aとの間の接着力に基づく固定条件が設定される。これにより、第1コード配列体モデル21aと第1被覆ゴムモデル22aとを一体化したカーカスプライモデル26Aが設定される。カーカスプライモデル26Aは、コンピュータ1に入力される。
次に、被覆ゴムモデル設定工程S32では、図8に示されるように、内側ベルトプライ7Aの第2被覆ゴム12b(図3(b)に示す)を、有限個の第2要素G(i)でモデル化した第2被覆ゴムモデル22bを入力する(工程S323)。工程S323では、先ず、工程S313で入力された内側ベルトプライ7Aの設計データ(図3(b)に示した第2被覆ゴム12bの輪郭)に基づいて、内側ベルトプライ7Aの第2被覆ゴム12bが、第2要素G(i)を用いて分割(離散化)される。これにより、内側ベルトプライ7Aの第2被覆ゴム12bをモデル化した内側ベルトプライモデル27Aの第2被覆ゴムモデル22bが設定される。本実施形態の第2被覆ゴムモデル22bは、内側ベルトプライモデル27Aの第2コード配列体モデル21bの両側にそれぞれ設定されている。
第2要素G(i)としては、図7に示したカーカスプライモデル26Aの第1被覆ゴムモデル22aの第2要素G(i)と同一のものが採用される。第2要素G(i)には、内側ベルトプライ7Aの第2被覆ゴム12b(図3(b)に示す)の物理量(材料特性)が定義される。物理量の一例としては、ヤング率、又は、せん断弾性率が含まれる。
次に、本実施形態の被覆ゴムモデル設定工程S32では、内側ベルトプライモデル27Aの第2被覆ゴムモデル22bを、内側ベルトプライモデル27Aの第2コード配列体モデル21bの少なくとも一方側の面29b、本実施形態では、両側(内側及び外側)の面29b、29bに隣接させて配置する(工程S324)。内側ベルトプライモデル27Aの第2コード配列体モデル21bと第2被覆ゴムモデル22b、22bとの間には、図3(b)に示した実際の第2コード10b(ベルトコード7c)と第2被覆ゴム12bとの間の接着力に基づく固定条件が設定される。これにより、第2コード配列体モデル21bと第2被覆ゴムモデル22bとを一体化した内側ベルトプライモデル27Aが設定される。内側ベルトプライモデル27Aは、コンピュータ1に入力される。
次に、被覆ゴムモデル設定工程S32では、外側ベルトプライ7Bの第3被覆ゴム12c(図3(b)に示す)を、有限個の第2要素G(i)でモデル化した第3被覆ゴムモデル22cを入力する(工程S325)。工程S325では、先ず、工程S313で入力された外側ベルトプライ7Bの設計データ(図3(b)に示した第3被覆ゴム12cの輪郭)に基づいて、外側ベルトプライ7Bの第3被覆ゴム12cが、第2要素G(i)を用いて分割(離散化)される。これにより、外側ベルトプライ7Bの第3被覆ゴム12cをモデル化した外側ベルトプライモデル27Bの第3被覆ゴムモデル22cが設定される。本実施形態の第3被覆ゴムモデル22cは、外側ベルトプライモデル27Bの第3コード配列体モデル21cの両側にそれぞれ設定されている。
第2要素G(i)としては、第2被覆ゴムモデル22bの第2要素G(i)と同一のものが採用される。第2要素G(i)には、外側ベルトプライ7Bの第3被覆ゴム12c(図3(b)に示す)の物理量(材料特性)が定義される。物理量の一例としては、ヤング率、又は、せん断弾性率が含まれる。
次に、本実施形態の被覆ゴムモデル設定工程S32では、外側ベルトプライモデル27Bの第3被覆ゴムモデル22cを、外側ベルトプライモデル27Bの第3コード配列体モデル21cの少なくとも一方側の面29c、本実施形態では、両側(内側及び外側)の面29c、29cに隣接させて配置する(工程S326)。外側ベルトプライモデル27Bの第3コード配列体モデル21cと第3被覆ゴムモデル22c、22cとの間には、図3(b)に示した実際の第3コード10c(ベルトコード7c)と第3被覆ゴム12cとの間の接着力に基づく固定条件が設定される。これにより、第3コード配列体モデル21cと第3被覆ゴムモデル22cとを一体化した外側ベルトプライモデル27Bが設定される。外側ベルトプライモデル27Bは、コンピュータ1に入力される。
次に、図5に示されるように、本実施形態の第1工程S1では、図2に示したゴム・コード複合体13を除くタイヤ2の構成部材を、有限個の第3要素H(i)(i=1、2、…)でモデル化する(工程S12)。
本実施形態の工程S12では、ゴム・コード複合体13を除くタイヤ2の構成部材(本実施形態では、トレッドゴムやビードエーペックスゴム8等を含むゴム部材2G、及び、ビードコア5)の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。図6に示されるように、工程S12では、設計データに基づいて、図2に示したゴム部材2G及びビードコア5が、第3要素H(i)を用いて分割(離散化)される。これにより、ゴム部材2Gをモデル化したゴム部材モデル28、及び、ビードコア5をモデル化したビードコアモデル25がそれぞれ設定される。このような第3要素H(i)を用いた分割は、例えば、メッシュ化ソフトウェアを用いることにより、容易に行うことができる。
第3要素H(i)としては、図7に示したカーカスプライモデル26Aの第1被覆ゴムモデル22aの第2要素G(i)と同様に、3次元のソリッド要素が採用される。第3要素H(i)は、第1要素F(i)及び第2要素G(i)と同様に、数値解析法(本実施形態では、有限要素法)により取り扱い可能なものである。また、第2要素G(i)には、要素番号、節点の番号、節点の座標値、並びに、図2に示したゴム部材2G又はビードコア5の物理量(材料特性)が定義される。ゴム部材モデル28及びビードコアモデル25は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の第1工程S1は、ゴム・コード複合体モデル23を含むタイヤモデル18の各構成部材を互いに接合する(工程S13)。工程S13では、タイヤ2の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1に入力される。図6に示されるように、工程S13では、設計データに基づいて、カーカスプライモデル26A、内側ベルトプライモデル27A、外側ベルトプライモデル27B、ゴム部材モデル28、及び、ビードコアモデル25がそれぞれ配置される。カーカスプライモデル26A、内側ベルトプライモデル27A、外側ベルトプライモデル27B、ゴム部材モデル28、及び、ビードコアモデル25間には、実際のタイヤ2の構成部材の接着力に基づく固定条件が設定される。これにより、各構成部材を一体化したタイヤモデル18が設定される。タイヤモデル18は、コンピュータ1に入力される。
図12は、本実施形態のタイヤモデル及び路面モデルの側面図である。図13は、荷重条件が負荷されたタイヤモデル18のトレッド部18aの部分断面図である。なお、図13では、図6に示した第3要素H(i)を省略して示している。
図6に示したように、タイヤモデル18のトレッド部18aは、荷重T(図12に示す)が負荷されない状態において、タイヤ半径方向外側に凸となる円弧状に湾曲している。このため、タイヤモデル18の回転軸18sに荷重T(図12に示す)を負荷する後述の第2工程S3において、図13に示されるように、トレッド部18aのタイヤ半径方向内側へ変形する。このようなトレッド部18aの変形により、トレッド部18aに配置されるコード配列体モデル21に、タイヤ軸方向内側への圧縮力が生じる。このような圧縮力は、コード配列体モデル21(本例では、外側ベルトプライモデル27Bの第3コード配列体モデル21c)がタイヤ半径方向にジグザグ状に折れ曲がる、所謂アワーグラス変形を生じさせやすい。
アワーグラス変形は、図3(a)、(b)に示したコード10のタイヤ周方向に対する角度θ1、θ2が45度よりも大のコード配列体11をモデル化したコード配列体モデル21(図7及び図8に示す)に生じやすい。これは、コード配列体モデル21がタイヤ軸方向に対する剛性を有しており、タイヤ軸方向内側への圧縮力に対して、柔軟に収縮できないからである。また、アワーグラス変形は、圧縮力が作用するトレッド部18aにおいて終端し、かつ、大きな剛性を有する内側ベルトプライモデル27A、又は、外側ベルトプライモデル27Bにおいて発生しやすい。
このようなアワーグラス変形は、実際のタイヤ2には生じないシミュレーション特有のものである。従って、アワーグラス変形は、タイヤモデル18に荷重Tを負荷したときの変形状態の計算精度を、低下させるという問題がある。
図5に示されるように、本実施形態の第1工程S1では、ゴム・コード複合体モデル23の被覆ゴムモデル22の第2要素G(i)に、タイヤモデル18に荷重Tを負荷したときの変形を計算する後述の第2工程S3において、コード配列体モデル21のアワーグラス変形を防ぐ剛性を設定する(工程S14)。
本実施形態の工程S14では、図8及び図13に示されるように、アワーグラス変形が生じやすい内側ベルトプライモデル27Aの第2被覆ゴムモデル22bの第2要素G(i)、及び、外側ベルトプライモデル27Bの第3被覆ゴムモデル22cの第2要素G(i)に、アワーグラス変形を防ぐ剛性が設定される。
工程S14では、被覆ゴムモデル22(本実施形態では、第2被覆ゴムモデル22b及び第3被覆ゴムモデル22c)の各第2要素G(i)の剛性を、図3(b)に示した実際の被覆ゴム12(本実施形態では、第2被覆ゴム12b及び第3被覆ゴム12c)の剛性よりも大に設定している。本実施形態では、第2被覆ゴムモデル22b及び第3被覆ゴムモデル22cに定義されているヤング率、又は、せん断弾性率を、実際の第2被覆ゴム12b及び第3被覆ゴム12cのヤング率、又は、せん断弾性率よりも大に設定している。
図8に示されるように、第2被覆ゴムモデル22bは、第2コード配列体モデル21bの少なくとも一方側の面29b、本実施形態では両側(内側及び外側)の面29b、29bに隣接して配置されている。このような第2被覆ゴムモデル22bを構成する第2要素G(i)に、実際の第2被覆ゴム12b(図3(b)に示す)よりも大きな剛性が設定されることにより、第2コード配列体モデル21bの全域に亘って、タイヤ半径方向で均一に押さえることができる。これにより、第2コード配列体モデル21bがタイヤ半径方向にジグザグ状に折れ曲がるアワーグラス変形を抑制することができる。
同様に、第3被覆ゴムモデル22cは、第3コード配列体モデル21cの少なくとも一方側の面29c、本実施形態では両側(内側及び外側)の面29c、29cに隣接して配置されている。このような第3被覆ゴムモデル22cを構成する第2要素G(i)に、実際の第3被覆ゴム12c(図3(b)に示す)よりも大きな剛性が設定されることにより、第3コード配列体モデル21cの全域に亘って、タイヤ半径方向で均一に押さえることができる。これにより、第3コード配列体モデル21cがタイヤ半径方向にジグザグ状に折れ曲がるアワーグラス変形を抑制することができる。
このように、本実施形態のシミュレーション方法では、後述の第2工程S3において、コード配列体モデルのアワーグラス変形を効果的に防ぐことができるため、荷重Tが負荷されたときのタイヤ2の変形状態を、精度よく計算することができる。
このような作用を効果的に発揮させるために、直交異方性を有する第2要素G(i)において、ゴム・コード複合体13の厚さ方向、ゴム・コード複合体13の幅方向、又は、ゴム・コード複合体13の周方向の少なくとも一方の剛性を、被覆ゴム12(図3(b)に示す)の剛性よりも大きくするのが望ましい。
第2被覆ゴムモデル22bは、ゴム・コード複合体の厚さ方向の第2要素G(i)の剛性が、第2被覆ゴム12bの剛性よりも大に設定されると、第2コード配列体モデル21bを、タイヤ半径方向で効果的に押さえることができる。同様に、第3被覆ゴムモデル22cは、ゴム・コード複合体の厚さ方向の第2要素G(i)の剛性が、第3被覆ゴム12cの剛性よりも大に設定されると、第3コード配列体モデル21cを、タイヤ半径方向で効果的に押さえることができる。これにより、第2コード配列体モデル21b及び第3コード配列体モデル21cがタイヤ半径方向にジグザグ状に折れ曲がるのを抑制することができる。
第2被覆ゴムモデル22bは、ゴム・コード複合体の幅方向の第2要素G(i)の剛性が、第2被覆ゴム12bの剛性よりも大に設定されると、トレッド部18aに作用するタイヤ軸方向内側への圧縮力によって変形するのを防ぐことができる。これにより、第2コード配列体モデル21bに圧縮力が伝達されるのを防ぐことができるため、第2コード配列体モデル21bがタイヤ半径方向にジグザグ状に折れ曲がるのを抑制することができる。
同様に、第3被覆ゴムモデル22cは、ゴム・コード複合体の幅方向の第2要素G(i)の剛性が、第3被覆ゴム12cの剛性よりも大に設定されると、トレッド部18aに作用するタイヤ軸方向内側への圧縮力によって変形するのを防ぐことができる。これにより、第3コード配列体モデル21cに圧縮力が伝達されるのを防ぐことができるため、第3コード配列体モデル21cがタイヤ半径方向にジグザグ状に折れ曲がるのを抑制することができる。
第2被覆ゴムモデル22bは、ゴム・コード複合体の周方向の第2要素G(i)の剛性が、第2被覆ゴム12bの剛性よりも大に設定されると、トレッド部18aに作用するタイヤ周方向への圧縮力によって変形するのを防ぐことができる。同様に、第3被覆ゴムモデル22cは、ゴム・コード複合体の周方向の第2要素G(i)の剛性が、第3被覆ゴム12cの剛性よりも大に設定されると、トレッド部18aに作用するタイヤ周方向への圧縮力によって変形するのを防ぐことができる。これにより、第2コード配列体モデル21b及び第3コード配列体モデル21cがタイヤ半径方向にジグザグ状に折れ曲がるのを抑制することができる。
ゴム・コード複合体の厚さ方向、ゴム・コード複合体の幅方向、及び、ゴム・コード複合体の周方向の双方の第2要素G(i)の剛性が、被覆ゴム12の剛性よりも大に設定されてもよい。これにより、第2被覆ゴムモデル22b及び第3被覆ゴムモデル22cは、第2コード配列体モデル21b及び第3コード配列体モデル21cをタイヤ半径方向で効果的に押さえつつ、第2コード配列体モデル21b及び第3コード配列体モデル21cに圧縮力が伝達されるのを防ぐことができる。これにより、第2コード配列体モデル21b及び第3コード配列体モデル21cのアワーグラス変形を効果的に防ぐことができる。
なお、ゴム・コード複合体の厚さ方向、ゴム・コード複合体の幅方向、又は、ゴム・コード複合体の周方向以外の方向の第2要素G(i)の剛性については、図3(b)に示した第2被覆ゴム12b及び第3被覆ゴム12cの剛性と同一に設定されるのが望ましい。これにより、第2要素G(i)の剛性が、第2被覆ゴム12b及び第3被覆ゴム12cの剛性よりも過度に大きくなるのを防ぐことができるため、タイヤ2の変形状態の計算精度を維持することができる。
また、ゴム・コード複合体の厚さ方向、ゴム・コード複合体の幅方向、又は、ゴム・コード複合体の周方向において、第2要素G(i)の物理量(ヤング率、又は、せん断弾性率)は、被覆ゴム12の物理量(ヤング率、又は、せん断弾性率)の2〜100倍に設定されるのが望ましい。第2要素G(i)の物理量が、被覆ゴム12の物理量の2倍未満であると、被覆ゴムモデル22の剛性を十分に高めることができず、コード配列体モデル21のアワーグラス変形を防げないおそれがある。逆に、第2要素G(i)の物理量が、被覆ゴム12の物理量の100倍を超えると、被覆ゴムモデル22の剛性が、第1要素(膜要素)F(i)の剛性よりも大きくなり、タイヤ2の変形状態の計算精度を維持できないおそれがある。このような観点より、第2要素G(i)の物理量は、好ましくは、被覆ゴム12の物理量の5倍以上であり、また、好ましくは50倍以下である。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、図12に示したタイヤモデル18に荷重Tを負荷するための境界条件を入力する(工程S2)。工程S2では、先ず、タイヤモデル18と路面モデル35との間の接触条件を入力する。路面モデル35は、例えば、変形しない剛表面要素で定義される。さらに、工程S2では、従来のシミュレーション方法と同様に、例えば、タイヤモデル18の内圧条件、リム条件、荷重条件、キャンバー角、又は、タイヤモデル18と路面モデル35との間の静摩擦係数等を入力する。
内圧条件としては、例えば、タイヤ2(図2に示す)が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧が設定されるのが望ましい。荷重条件としては、例えば、タイヤ2(図2に示す)の規格体系において、各規格がタイヤ2毎に定めている荷重Tが設定されるのが望ましい。これらの境界条件は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤモデル18に荷重Tを負荷したときの変形を計算する(第2工程S3)。第2工程S3では、先ず、図6に示されるように、タイヤ2のリム9(図2に示す)をモデル化したリムモデル36によって、タイヤモデル18のビード部18c、18cが拘束される。リムモデル36は、例えば、リム9に関する情報(例えば、リム9の輪郭データ等)に基づいて、数値解析法(本実施形態では、有限要素法)により取り扱い可能な有限個の要素(図示省略)で離散化されることによって設定される。リムモデル36を構成する要素は、例えば、変形不能に設定された剛平面要素として定義されるのが望ましい。
さらに、第2工程S3では、タイヤ2(図2に示す)の内圧条件に相当する等分布荷重wに基づいて、タイヤモデル18の変形が計算される。これにより、第2工程S3では、内圧充填後のタイヤモデル18が計算される。
タイヤモデル18の変形計算は、図6、図7及び図8に示した各要素F(i)、G(i)及びH(i)の形状及び材料特性などをもとに、各要素F(i)、G(i)及びH(i)の質量マトリックス、剛性マトリックス及び減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらを微小時間(単位時間Tx(x=0、1、…))ごとにタイヤモデル18の変形計算を行う。このようなタイヤモデル18の変形計算は、例えば、LSTC社製のLS-DYNAなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。なお、単位時間Txについては、求められるシミュレーション精度によって、適宜設定することができる。
次に、本実施形態の第2工程S3では、図12に示されるように、内圧充填後のタイヤモデル18と路面モデル35との接触が設定される。次に、タイヤモデル18の回転軸18sに、予め定められた荷重Tが設定される。これにより、第2工程S3では、荷重Tが負荷されて変形したタイヤモデル18が計算される。
本実施形態のタイヤモデル18は、図8に示した被覆ゴムモデル22の第2要素G(i)に設定された剛性により、コード配列体モデル21のアワーグラス変形が防がれるため、荷重が負荷されたときのタイヤの変形状態を、精度よく計算することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤモデル18の変形状態が良好か否かを判断する(工程S4)。工程S4では、タイヤモデル18の変形計算によって求められた物理量や、トレッド部18aの接地形状等に基づいて、タイヤモデル18の変形状態が、良好か否かが判断される。タイヤモデル18の変形状態が良好であると判断された場合(工程S4で、「Y」)、タイヤモデル18に基づいて、タイヤ2が製造される(工程S5)。他方、タイヤモデル18の変形状態が良好でないと判断された場合(工程S4で、「N」)、タイヤ2の設計因子が変更され(工程S6)、工程S1〜工程S4が再度実施される。これにより、シミュレーション方法では、高い性能を有するタイヤ2を、確実に製造することができる。しかも、本実施形態では、コード配列体モデル21のアワーグラス変形を効果的に防ぐことができるため、タイヤ2の性能を正確に評価することができる。
本実施形態では、内側ベルトプライモデル27Aの第2被覆ゴムモデル22b、及び、外側ベルトプライモデル27Bの第3被覆ゴムモデル22cの第2要素G(i)に、アワーグラス変形を防ぐ剛性が設定されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、外側ベルトプライモデル27Bの第3被覆ゴムモデル22cの第2要素G(i)のみに、アワーグラス変形を防ぐ剛性が設定されてもよい。また、カーカスプライモデル26Aの第1被覆ゴムモデル22aの第2要素G(i)にも、アワーグラス変形を防ぐ剛性が設定されてもよい。これにより、コード配列体モデル21のアワーグラス変形を、確実に防ぐことができる。なお、外側ベルトプライモデル27Bの外側に、バンドプライモデル(図示省略)が定義される場合、バンドプライモデルの第2要素に、アワーグラス変形を防ぐ剛性が設定されてもよい。
本実施形態では、図2に示した内圧が充填されるタイヤ(即ち、空気入りタイヤ)2をモデル化したタイヤモデル18を用いたシミュレーション方法が示されたが、このような態様に限定されるわけではない。本発明のシミュレーション方法では、例えば、内圧が充填されないエアレスタイヤ(非空気入りタイヤ)をモデル化したタイヤモデルが用いられてもよい。
エアレスタイヤは、接地面を有する円筒状のトレッドリングの内部に、ゴム・コード複合体が配置されている。ゴム・コード複合体は、例えば、ベルト層を構成する2枚のベルトプライが含まれている。このようなゴム・コード複合体をモデル化したゴム・コード複合体モデルについて、補強ゴムモデルの剛性が高められることにより、コード配列体モデルが、タイヤ周方向に沿ってジグザグ状に折れ曲がるアワーグラス変形を防ぐことができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2に示した基本構造を有するタイヤが下記リムに装着され、かつ、下記内圧が充填された(実験例)。そして、内圧が充填されたタイヤが路面に接地された後、下記荷重が付与され、トレッド部の接地形状が撮影された。
図4に示した処理手順に従って、実験例のタイヤをそれぞれモデル化したタイヤモデルを入力する第1工程と、タイヤモデルに荷重を負荷したときの変形を計算する第2工程とが実施された(実施例、比較例1、比較例2)。第2工程では、トレッド部の接地形状が計算された。
実施例の第1工程では、ベルトプライモデルの被覆ゴムモデルの第2要素に、第2工程において、コード配列体モデルがジグザグ状に折れ曲がるアワーグラス変形を防ぐ剛性が設定された。アワーグラス変形を防ぐ剛性としては、第2要素の幅方向のヤング率が、実際の被覆ゴムのヤング率の10倍に設定され、さらに、第2要素の厚さ方向のせん断弾性率が、実際の被覆ゴムのせん断弾性率の10倍に設定された。
比較例1及び比較例2は、ベルトプライモデルの被覆ゴムモデルの第2要素に、実際の被覆ゴムに基づいて、材料特性が定義された。さらに、比較例2は、ベルトプライモデルのコード配列体モデルの第1要素の圧縮剛性が、実際のコード配列体モデルの10%の圧縮剛性に設定された。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:330/710 R18
リムサイズ:18×13J
内圧:160kPa
荷重:8kN
ベルトプライの角度θ2:60度
テストの結果、比較例1では、コード配列体モデルに大きなアワーグラス変形が生じ、トレッド部の接地形状を計算することができなかった。図14(a)は、実験例のトレッド部の接地形状を示す平面図、(b)は、実施例のトレッド部の接地形状を示す平面図、(c)は、比較例2のトレッド部の接地形状を示す平面図である。
図14(a)〜(c)に示されるように、実施例の接地形状が、比較例2の接地形状に比べて、実験例の接地形状に近似させることができた。従って、実施例は、コード配列体モデルがジグザグ状に折れ曲がるアワーグラス変形を防ぎつつ、タイヤモデルに荷重を負荷したときの変形状態を精度よく計算することができた。