以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、以下で説明する実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。本実施形態において、タイヤ1の回転軸とY軸とが平行である。Y軸方向は、車幅方向又はタイヤ1の幅方向である。タイヤ1(タイヤ1の回転軸)の回転方向(θY方向に相当)を、周方向と称してもよい。X軸方向及びZ軸方向は、回転軸に対する放射方向である。回転軸に対する放射方向を、径方向と称してもよい。タイヤ1が転がる(走行する)路面(地面)は、XY平面とほぼ平行である。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るタイヤ1の一例を示す図である。図1は、タイヤ1の回転軸を通る子午断面を示す。タイヤ1は、カーカス2と、ベルト層3と、ベルトカバー4と、ビードコア5と、トレッドゴム6と、サイドウォールゴム7とを備えている。カーカス2、ベルト層3、及びベルトカバー4のそれぞれは、コードを含む。コードは、補強材である。コードを、ワイヤと称してもよい。カーカス2、ベルト層3、及びベルトカバー4などのコード(補強材)を含む層(部分)をそれぞれ、コード層と称してもよいし、補強材層と称してもよい。
カーカス2は、タイヤ1の骨格を形成する部材(強度部材)である。カーカス2は、コード(補強材)を含む。カーカス2のコードを、カーカスコードと称してもよい。カーカス2は、コードを含むコード層(補強材層)である。カーカス2は、タイヤ1に空気が充填されたときの圧力容器として機能する。カーカス2は、ビードコア5に支持される。ビードコア5は、Y軸方向に関してカーカス2の一側及び他側のそれぞれに配置される。カーカス2は、ビードコア5において折り返される。カーカス2は、有機繊維のコード(カーカスコード)と、そのコードを覆うゴムとを含む。コードを覆うゴムを、コートゴムと称してもよいし、トッピングゴムと称してもよい。なお、カーカス2は、ポリエステルのコードを含んでもよいし、脂肪族骨格を含むポリアミドのコードを含んでもよいし、芳香族骨格のみのポリアミドのコードを含んでもよいし、レーヨンのコードを含んでもよい。
ベルト層3は、タイヤ1の形状を保持する部材(強度部材)である。ベルト層3は、コード(補強材)を含む。ベルト層3のコードを、ベルトコードと称してもよい。ベルト層3は、コードを含むコード層(補強材層)である。ベルト層3は、カーカス2とトレッドゴム6との間に配置される。ベルト層3は、例えばスチールなどの金属繊維のコード(ベルトコード)と、そのコードを覆うゴム(コートゴム、トッピングゴム)とを含む。なお、ベルト層3は、有機繊維のコードを含んでもよい。本実施形態において、ベルト層3は、第1ベルトプライ3Aと、第2ベルトプライ3Bとを含む。第1ベルとプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとは、第1ベルトプライ3Aのコードと第2ベルトプライ3Bのコードとが交差するように積層される。
ベルトカバー4は、ベルト層3を保護し、補強する部材(強度部材)である。ベルトカバー4は、コード(補強材)を含む。ベルトカバー4のコードを、カバーコードと称してもよい。ベルトカバー4は、コードを含むコード層(補強材層)である。ベルトカバー4は、タイヤ1の回転軸に対してベルト層3の外側(接地面側)に配置される。ベルトカバー4は、例えばスチールなどの金属繊維のコード(カバーコード)と、そのコードを覆うゴム(コートゴム、トッピングゴム)とを含む。なお、ベルトカバー4は、有機繊維のコードを含んでもよい。
ビードコア5は、カーカス2の両端を固定する部材(強度部材)である。ビードコア5は、タイヤ1をリムに固定させる。ビードコア5は、スチールワイヤの束である。なお、ビードコア5が、炭素鋼の束でもよい。
トレッドゴム6は、カーカス2を保護する。トレッドゴム6は、地面と接触するトレッド部6Aと、溝部6Bとを有する。雨天時など、タイヤ1が濡れた地面を転がる際、溝6Bは、タイヤ1と地面との間から水を排除可能である。
サイドウォールゴム7は、カーカス2を保護する。サイドウォールゴム7は、Y軸方向に関してトレッドゴム6の一側及び他側のそれぞれに配置される。サイドウォールゴム7は、サイドウォール部7Aを有する。
図2は、本実施形態に係るタイヤ1の特性(性能、挙動)のシミュレーション(コンピュータ解析)、及び評価を行う処理装置50の一例を示す図である。処理装置50は、コンピュータ(コンピュータシステム)を含む。本実施形態においては、コンピュータを含む処理装置50を用いて、タイヤ1の特性(性能、挙動)のシミュレーション、及び評価が行われる。
処理装置50は、評価対象であるタイヤ1の解析モデル(タイヤモデル)を作成可能である。すなわち、処理装置50は、コンピュータが解析可能な解析モデルを作成可能である。処理装置50は、解析モデルとして、有限要素モデルを作成可能である。
処理装置50は、作成された解析モデルからタイヤ1の特性をシミュレーション(解析)可能である。処理装置50は、作成された解析モデルからタイヤ1の特性を解析可能であり、その解析結果からタイヤ1の特性を評価可能である。本実施形態において、処理装置50を、モデル作成装置50と称してもよいし、シミュレーション装置50と称してもよいし、解析装置50と称してもよいし、評価装置50と称してもよい。
本実施形態において、処理装置50は、処理部50pと、記憶部50mと、入出力部59とを含む。処理部50pと記憶部50mとは、入出力部59を介して接続される。
処理部50pは、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)と、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを含む。処理部50pは、タイヤ1の解析モデルを作成可能なモデル作成部51と、タイヤ1の特性のシミュレーション(解析)、及びシミュレーション結果(解析結果)の評価を実行可能な解析部52とを含む。モデル作成部51及び解析部52はそれぞれ、入出力部59と接続される。モデル作成部51及び解析部52は、入出力部59を介して、相互にデータを通信可能である。
モデル作成部51は、タイヤ1の解析モデルを作成可能である。モデル作成部51は、タイヤ1の有限要素モデルを作成可能である。モデル作成部51は、評価対象であるタイヤ1を有限個の要素に分割して、そのタイヤ1の有限要素モデルを作成可能である。解析部52は、有限要素法を用いて、モデル作成部51で作成された解析モデル(有限要素モデル)からタイヤ1の特性をシミュレーションする。解析部52による解析結果から、タイヤ1の性能が評価される。
記憶部50mは、RAMのような揮発性のメモリ、不揮発性のメモリ、ハードディスク装置等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ装置の少なくとも一つを含む。
記憶部50mには、解析モデルの作成のための第1情報、及びシミュレーション(解析)のための第2情報の少なくとも一部が記憶されている。解析モデルの作成のための第1情報は、例えばタイヤ1の構成部材(コード、ゴムなど)の材料特性(物性値、材料定数)に関する情報、及びタイヤ1の構成部材(コード、ゴムなど)の物理特性に関する情報の少なくとも一部を含む。タイヤ1の構成部材の材料特性(物性値、材料定数)は、ヤング率、ポアソン比、降伏応力、最大強度、比重、線膨張係数、及び熱伝導率の少なくとも一つを含む。タイヤ1の構成部材の物理特性は、断面積、厚さ、形状(外形)、及び外形の寸法の少なくとも一つを含む。シミュレーションのための第2情報は、例えば境界条件に関する情報を含む。境界条件は、解析モデルのシミュレーション(解析)において必要な条件であり、解析モデルに付与される各種の条件を含む。境界条件は、例えば、タイヤ1の走行条件を含む。境界条件は、タイヤ1の内圧(空気圧)、タイヤ1の回転速度、タイヤ1に対する荷重、及びタイヤ1と地面との間の摩擦力などの各種の条件を含む。
記憶部50mには、解析モデル(有限要素モデル)を作成するための第1プログラム(第1コンピュータプログラム)が記憶されている。記憶部50mには、タイヤ1の特性をシミュレーション(解析)するための第2プログラム(第2コンピュータプログラム)が記憶されている。記憶部50mには、タイヤ1の特性を評価するための第3プログラム(第3コンピュータプログラム)が記憶されている。第1プログラムは、本実施形態に係る解析モデル作成方法を処理装置(コンピュータ)50に実行させることができる。第2プログラムは、本実施形態に係るシミュレーション方法を処理装置(コンピュータ)50に実行させることができる。第3プログラムは、本実施形態に係る評価方法を処理装置(コンピュータ)50に実行させることができる。なお、第1プログラムを、解析モデル作成用プログラムと称してもよい。第2プログラムを、シミュレーション用プログラムと称してもよいし、解析用プログラムと称してもよい。第3プログラムを、評価用プログラムと称してもよい。なお、1つのプログラムが、解析モデルの作成、シミュレーション、及び評価を処理装置(コンピュータ)50に実行させてもよい。
モデル作成部51は、解析モデルを作成するための第1情報、及び第1プログラムに基づいて、タイヤ1の解析モデルを作成可能である。解析部52は、シミュレーション(解析)のための第2情報、及び第2プログラムに基づいて、タイヤ1の特性のシミュレーション(解析)を実行可能である。解析部52は、第3プログラムに基づいて、タイヤ1の評価を実行可能である。例えば、解析部52がタイヤ1のシミュレーションを実行する際、解析部52が有するメモリに、第2プログラム及び第2情報(タイヤ1の諸条件、境界条件等)が読み込まれる。解析部52は、その第2プログラム及び第2情報に基づいて、演算処理を行う。解析部52による演算途中の数値は適宜、解析部52が有するメモリ及び記憶部50mの少なくとも一方に格納される。格納された数値は適宜、解析部52が有するメモリ及び記憶部50mの少なくとも一方から取り出され、解析部52は、その取り出された数値を用いて演算処理を行う。
入出力部59は、端末装置60と接続される。端末装置60は、入力装置61及び出力装置62と接続される。入力装置61は、キーボード、マウス、及びマイクの少なくとも一つを含む。出力装置62は、ディスプレイなどの表示装置、及びプリンタの少なくとも一つを含む。
解析モデルの作成のための第1情報、及びシミュレーション(解析)のための第2情報の少なくとも一方が、入力装置61から入力されてもよい。本実施形態に係る解析モデル作成方法を実行可能な第1プログラム、シミュレーション方法を実行可能な第2プログラム、及び評価方法を実行可能な第3プログラムの少なくとも一つが、入力装置61から入力されてもよい。なお、解析モデルの作成、シミュレーション、及び評価を処理装置(コンピュータ)50に実行させることができる1つのプログラムが、入力装置61から入力されてもよい。
入力装置61から入力された情報(プログラム)が、端末装置60及び入出力部59を介して、処理部50p及び記憶部50mの少なくとも一方に送られてもよい。処理部50pは、入力装置61からの情報に基づいて、解析モデルの作成、シミュレーション、解析、及び評価の少なくとも一つを実行可能である。記憶部50mは、入力装置61からの情報を記憶可能である。
なお、本実施形態において、プログラムは、単一に構成されるものに限られない。本実施形態において、プログラムの機能は、コンピュータシステムに既に記憶されているプログラムとともに達成されてもよい。コンピュータシステムに既に記憶されているプログラムとは、例えばOS(Operating System)に代表される別個のプログラムを含む。
なお、処理部50pの機能(解析モデル作成機能、シミュレーション機能、及び評価機能の少なくとも一つ)を実現するためのプログラム(第1、第2、第3プログラムの少なくとも一つ)が、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、この記録媒体に記録されたプログラムがコンピュータシステムに読み込まれることによって、コンピュータシステムが、解析モデルの作成、シミュレーション(解析)、及び評価の少なくとも一つを実行してもよい。なお、コンピュータシステムは、処理装置50を含み、上述のOSや周辺機器などのハードウェアを含む。
なお、処理部50pは、記憶部50mからの情報(プログラム)と、入力装置61からの情報(プログラム)との両方を用いて、解析モデルの作成、シミュレーション(解析)、及び評価の少なくとも一つを実行してもよい。なお、処理部50pは、記憶部50mからの情報(プログラム)と、入力装置61からの情報(プログラム)と、記録媒体からの情報(プログラム)との少なくとも2つを用いて、解析モデルの作成、シミュレーション(解析)、及び評価の少なくとも一つを実行してもよい。
モデル作成部51で作成された解析モデル、及び解析部52の解析結果の少なくとも一方を含むデータは、入出力部59及び端末装置60を介して、処理部50pから出力装置62に送られる。出力装置62は、そのデータを出力可能である。出力装置62が表示装置を含む場合、その表示装置は、処理部50pからのデータを表示可能である。
なお、本実施形態において、記憶部50mは、処理部50pに内蔵されていてもよい。なお、記憶部が、評価装置50とは別の装置(例えばデータベースサーバ)に含まれていてもよい。なお、端末装置60が、有線及び無線の少なくとも一方の方法で処理装置50にアクセスしてもよい。
図3は、本実施形態に係るタイヤ1の子午断面の一部を拡大した図である。図3は、本実施形態に係るコード層(補強材層)Fの一例を示す図である。以下の説明においては、ベルト層3について主に説明する。なお、上述したように、コード層(補強材層)Fは、カーカス2でもよいし、ベルトカバー4でもよい。
図3に示すように、ベルト層3は、第1ベルトプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとを含む。図3に示す例では、第1ベルトプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとは、Z軸方向(タイヤ1の回転軸に対する放射方向)に関して異なる位置に配置される。図3に示す例では、第1ベルトプライ3Aが第2ベルトプライ3Bに対して+Z側に配置される。第1ベルトプライ3Aは、第2ベルトプライ3Bよりもトレッド部6A側に配置される。換言すれば、第1ベルトプライ3Aは、タイヤ1の回転軸に対して第2ベルトプライ3Bの外側(接地面側)に配置される。
第1ベルトプライ3A及び第2ベルトプライ3Bはそれぞれ、金属繊維又は有機繊維のコード11と、そのコード11を覆うゴム(コートゴム、トッピングゴム)12とを含む。コード11は、ゴム12の中に埋め込まれる。柔らかいゴム12の内部に、ゴム12よりも硬いコード11が配置される。第1ベルトプライ3A及び第2ベルトプライ3Bは、第1ベルトプライ3Aのコード11と第2ベルトプライ3Bのコード11とが交差するように積層される。
ゴム12は、コード11を包囲する。コード11の外面13とゴム12の内面14とは対向する。コード11の外面13とゴム12の内面14とは接触する。コード11の外面13は、コード11とゴム12との境界に面する。ゴム12の内面14は、コード11とゴム12との境界に面する。以下の説明において、コード11とゴム12との境界に面するコード11の外面13を適宜、境界面13と称し、コード11とゴム12との境界に面するゴム12の内面14を適宜、境界面14と称する。なお、境界面を、接触面と称してもよいし、対向面と称してもよい。
また、以下の説明において、第1ベルトプライ3Aのコード11を適宜、第1コード11Aと称し、第2ベルトプライ3Bのコード11を適宜、第2コード11Bと称する。また、第1ベルトプライ3Aのゴム12を適宜、第1ゴム12Aと称し、第2ベルトプライ3Bのゴム12を適宜、第2ゴム12Bと称する。
第1ベルトプライ3Aにおいて、第1コード11Aは、Y軸方向(タイヤ1の幅方向)に複数配置される。第2ベルトプライ3Bにおいて、第2コード11Bは、Y軸方向(タイヤ1の幅方向)に複数配置される。第1コード11Aと第2コード11Bとは、Z軸方向(タイヤ1の回転軸に対する放射方向)に関して異なる位置に配置される。図3に示す例では、第1コード11Aが第2コード11Bに対して+Z側に配置される。第1コード11Aは、第2コード11Bよりもトレッド部6A側に配置される。換言すれば、第1コード11Aは、タイヤ1の回転軸に対して第2コード11Bの外側(接地面側)に配置される。
第1ゴム12Aは、第1コード11Aを覆う。第2ゴム12Bは、第2コード11Bを覆う。第1ゴム12A及び第2ゴム12Bのそれぞれは、シート状である。第1ゴム12Aの−Z側の表面(タイヤ1の回転軸に対する放射方向に関して内側を向く面)15Aと、第2ゴム12Bの+Z側の表面(タイヤ1の回転軸に対する放射方向に関して外側を向く面)15Bとは、対向する。第1ゴム12Aの表面15Aと第2ゴム12Bの表面15Bとは、接触する。第1ゴム12Aの表面15Aは、第1ゴム12Aと第2ゴム12Bとの境界に面する。第2ゴム12Bの表面15Bは、第1ゴム12Aと第2ゴム12Bとの境界に面する。以下の説明において、第1ゴム12Aと第2ゴム12Bとの境界に面する第1ゴム12Aの表面15Aを適宜、境界面15Aと称し、第1ゴム12Aと第2ゴム12Bとの境界に面する第2ゴム12Bの表面15Bを適宜、境界面15Bと称する。なお、境界面を、接触面と称してもよいし、対向面と称してもよい。
本実施形態において、第1ゴム12Aと第2ゴム12Bとは、同じ種類のゴムである。すなわち、第1ゴム12Aの材料特性(物性値、材料定数)と第2ゴム12Bの材料特性(物性値、材料定数)とは等しい。なお、第1ゴム12Aの材料特性(種類)と第2ゴム12Bの材料特性(種類)とが異なってもよい。
次に、本実施形態に係るタイヤ1のシミュレーションモデル作成方法を含むタイヤ1の評価方法の一例について説明する。図4は、本実施形態に係るタイヤ1の評価方法の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態に係る評価方法は、コンピュータで解析可能なタイヤ1の解析モデル(有限要素モデル)を作成する手順(ステップS1)と、解析モデル(有限要素モデル)を用いて、評価対象であるタイヤ1の特性(性能、挙動)をシミュレーションする手順(ステップS2)と、シミュレーションの結果を評価する手順(ステップS3)と、を含む。
解析モデルの作成のための第1情報が、モデル作成部51に入力される。上述のように、第1情報は、タイヤ1の構成部材の材料特性及び物理特性を含む。例えば、タイヤ1の設計案(タイヤ1の形状、構造、材料など)に関する情報が、モデル作成部51に入力される。例えば、タイヤ1についての3次元CAD(Computer Aided Design)データがモデル作成部51に入力されてもよい。
次に、処理装置50のモデル作成部51において、有限要素モデルが作成される。図5は、有限要素モデルの作成方法の手順を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートのステップS1の内容を示すサブシーケンスである。図6は、本実施形態に係るタイヤ1の有限要素モデルを模式的に示す図である。図7は、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における有限要素モデルの一例を模式的に示す図である。図7は、図6のA1−A1線矢視図に相当する。図8は、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における有限要素モデルの一例を模式的に示す図である。図8は、図6のA2−A2線矢視図に相当する。
図5に示すように、本実施形態に係る有限要素モデルの作成方法は、タイヤ1について、タイヤ1の周方向に関して第1部分P1と第2部分P2とを設定する手順(ステップS11)と、第1部分P1を要素分割して第1部分P1の有限要素モデルを作成する手順(ステップS12)と、第2部分P2を要素分割して第2部分P2の有限要素モデルを作成する手順(ステップS13)と、第1部分P1の有限要素モデルと第2部分P2の有限要素モデルとを一体化して、タイヤ1全体の有限要素モデルを作成する手順(ステップS14)と、を含む。なお、ステップS12の前にステップS13が行われてもよいし、ステップS12とステップS13とが同時に行われてもよい。
図6に示すように、タイヤ1について、第1部分P1と、タイヤ1の周方向に関して第1部分P1に隣り合う第2部分P2とが設定される(ステップS11)。本実施形態において、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1の一端部と他端部とがなす角度θが30度以上90度以下となるように、第1部分P1が設定される。タイヤ1において、第1部分P1以外の部分が第2部分P2である。
第1部分P1の一端部は、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1と第2部分P2との境界を含む。第1部分P1の一端部は、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1と第2部分P2との結合部C1を含む。第1部分P1の他端部は、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1と第2部分P2との境界を含む。第1部分P1の他端部は、第1部分P1と第2部分P2との結合部C2を含む。
角度θは、タイヤ1の回転軸Jと結合部C1とを結ぶラインL1と、タイヤ1の回転軸Jと結合部C2とを結ぶラインL2とがなす角度である。
次に、第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれが要素分割される(ステップS12、ステップS13)。図7は、タイヤ1の回転軸Jを通る第1部分P1の子午断面を示す。図8は、タイヤ1の回転軸Jを通る第2部分P2の子午断面を示す。図7及び図8に示すように、本実施形態において、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なるように、第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれが要素分割される。本実施形態においては、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズが、第2部分P2の要素の2次元形状のサイズよりも小さくなるように、第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれが要素分割される。
第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれは、ソリッド要素で要素分割されてもよいし、シェル要素で要素分割されてもよい。ソリッド要素は、立体要素、又は3次元体要素とも呼ばれる。第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれを要素分割するソリッド要素は、四面体でもよいし、五面体でもよいし、六面体でもよい。シェル要素は、板要素、面要素、又は平面応力要素とも呼ばれる。シェル要素においては、面方向にのみ力が作用する。第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれを要素分割するシェル要素は、三角形でもよいし、四角形でもよい。本実施形態において、第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれは、ソリッド要素及びシェル要素の両方で要素分割される。
要素の2次元形状のサイズとは、タイヤ1を有限個の複数の要素に分割したときの、1つの要素のサイズをいう。要素の2次元形状のサイズは、子午断面における1つのソリッド要素の面積(断面積)の大きさを含む。要素の2次元形状のサイズは、タイヤ1の幅方向に関する1つの要素(ソリッド要素、シェル要素)の寸法を含む。図7及び図8に示すように、本実施形態において、子午断面における第1部分P1の1つのソリッド要素の面積(断面積)は、第2部分P2の1つのソリッド要素の面積(断面積)よりも小さい。図7及び図8に示すように、本実施形態において、タイヤ1の幅方向に関する第1部分P1の1つの要素の寸法H1は、第2部分P2の1つの要素の寸法H2よりも小さい。
本実施形態において、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なることは、回転軸Jに対する放射方向に関して等しい距離に位置する第1部分P1及び第2部分P2それぞれの部位における要素の2次元形状のサイズが異なることを含む。すなわち、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとの差異とは、回転軸Jに対する放射方向に関して等しい距離に位置する第1部分P1及び第2部分P2それぞれの部位における要素の2次元形状のサイズを比較したときの差異をいう。換言すれば、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なるとは、回転軸Jに対する放射方向に関して等しい距離に位置する第1部分P1及び第2部分P2それぞれの部位における要素の2次元形状のサイズを比較したときに、それらサイズが異なることをいう。
また、本実施形態において、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なることは、等価な機能を有する第1部分P1及び第2部分P2それぞれの部位における要素の2次元形状のサイズが異なることを含む。すなわち、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとの差異は、等価な機能を有する第1部分P1及び第2部分P2それぞれの部位における要素の2次元形状のサイズを比較したときの差異をいう。換言すれば、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なるとは、等価な機能を有する第1部分P1及び第2部分P2それぞれの部位における要素の2次元形状のサイズを比較したときに、それらサイズが異なることをいう。
例えば、図3を参照して説明したように、タイヤ1が第1コード11Aを有する場合、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なることは、第1部分P1及び第2部分P2それぞれの第1コード11Aにおける要素の2次元形状のサイズが異なることを含む。換言すれば、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なるとは、第1部分P1及び第2部分P2それぞれの第1コード11Aにおける要素の2次元形状のサイズを比較したときに、それらサイズが異なることをいう。
タイヤ1が第1ゴム12Aを有する場合、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なることは、第1部分P1及び第2部分P2それぞれの第1ゴム12Aにおける要素の2次元形状のサイズが異なることを含む。換言すれば、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なるとは、第1部分P1及び第2部分P2それぞれの第1ゴム12Aにおける要素の2次元形状のサイズを比較したときに、それらサイズが異なることをいう。
図6に示すように、本実施形態において、第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれは、タイヤ1の周方向に関して複数の要素に分割される。図6に示す例では、タイヤ1の周方向に関して、第1部分P1は、4個の要素に分割され、第2部分P2は、20個の要素に分割される。第1部分P1において、タイヤ1の周方向に関する複数(4個)の要素のサイズR1は、それぞれ等しい。第2部分P2において、タイヤ1の周方向に関する複数(20個)の要素のサイズR2は、それぞれ等しい。本実施形態において、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1の1つの要素のサイズR1と、第2部分P2の1つの要素のサイズR2とは、等しい。
第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれが要素分割された後、第1部分P1の有限要素モデルと第2部分P2の有限要素モデルとを一体化して、タイヤ1全体の有限要素モデルを作成する手順が行われる(ステップS14)。第1部分P1の有限要素モデルと第2部分P2の有限要素モデルとを一体化することは、第1部分P1と第2部分P2との境界(結合部)において、第1部分P1の要素の節点の少なくとも一部と、第2部分P2の要素の節点とを結合することを含む。
図9は、第1部分P1と第2部分P2との境界において、第1部分P1の要素の節点の少なくとも一部と第2部分P2の要素の節点とを結合する方法の一例を説明するための模式図である。図10は、図9の一部を拡大した図である。
図9及び図10において、結合断面D1とは、第1部分P1と第2部分P2との境界に面する第1部分P1の境界面である。結合断面D2とは、第1部分P1と第2部分P2との境界に面する第2部分P2の境界面である。結合断面D1及び結合断面D2は、タイヤ1の子午断面を含む。結合断面D1において、第1部分P1の要素の複数の節点Ai(i=1〜m)が存在する。結合断面D2において、第2部分P2の要素の複数の節点Bj(j=1〜n)が存在する。
図9に示すように、結合断面D1と結合断面D2とが結合される。本実施形態においては、円筒座標系(r、θ、Z)に基づいて、結合断面D1における第1部分P1の要素の節点Aiの少なくとも一部と、結合断面D2における第2部分P2の要素の節点Bjとが結合される。本実施形態においては、タイヤ1が支持されるリムの中心点が円筒座標系の原点Oである。円筒座標系のr軸は、円筒座標系の半径方向の軸であり、円筒座標系のθ軸は、円筒座標系の円周方向の軸である。r軸とθ軸との外積によりZ軸が定められる。
結合断面D1と結合断面D2とが重ね合わせられた状態において、第2部分P2の要素の節点Bjの周囲に配置される4つの節点Aiが抽出される。図9及び図10に示す例においては、節点B1の周囲に配置される節点A1、A2、A3、A4が抽出される。節点A1、A2、A3、A4の抽出において、r軸に関する節点A1及び節点A2の座標値が節点B1の座標値よりも大きく、節点A3及び節点A4の座標値が節点B1の座標値よりも小さくなるように、節点A1、A2、A3、A4が抽出される。節点A1、A2、A3、A4の変位の内挿(線形内挿)により、節点B1の変位が求められる。
例えば、節点A1及び節点A2の変位の内挿により、補助節点C1の変位が求められ、節点A3及び節点A4の変位の内挿により、補助節点C2の変位が求められる。また、補助節点C1及び補助節点C2の変位の内挿(あるいは外挿)により、節点B1の変位が求められ、節点B1における拘束係数が求められる。求められた拘束係数を用いて、節点B1を節点A1、A2、A3、A4による内挿位置に結合して一体化する。なお、結合断面D1を結合断面D2に接触拘束させることで、第1部分B1と第2部分B2とを一体化してもよい。
なお、本実施形態において、第1部分P1及び第2部分P2のソリッド要素はそれぞれ、節点が4つの四面体でもよいし、節点が6つの五面体でもよいし、節点が8つの六面体でもよい。節点の数が多いほうが精度良いシミュレーションが可能である。本実施形態においては、第1部分P1及び第2部分P2のソリッド要素はそれぞれ、節点が6つの五面体、又は節点が8つの六面体である。
次に、第1部分P1及び第2部分P2の要素のそれぞれに対して材料定数が指定(設定)される。上述のように、材料定数(物性値)は、タイヤ1の構成部材(コード11、ゴム12)のヤング率、ポアソン比、降伏応力、最大強度、比重、線膨張係数、及び熱伝導率の少なくとも一つを含む。以上により、タイヤ1全体についての有限要素モデルが作成される。本実施形態において、タイヤ1についての有限要素モデルは、要素分割された第1部分P1及び第2部分P2を含み、コンピュータで解析可能(シミュレーション可能)である。
タイヤ1の有限要素モデルが作成された後、図4に示すように、その有限要素モデルを用いて、タイヤ1の特性(性能、挙動)についてシミュレーションが行われる(ステップS2)。解析部52に、シミュレーションのための第2情報が入力される。上述したように、第2情報は、例えば走行条件などの境界条件に関する情報を含む。解析部52は、タイヤ1の特性を有限要素法に基づいてシミュレーションするための第2プログラムを使って、モデル作成部51で作成された有限要素モデルからタイヤ1の特性をシミュレーションする。シミュレーションは、タイヤ1が転がる際のタイヤ1の挙動を模擬する走行シミュレーションを含む。また、シミュレーションは、タイヤ1に荷重が作用された際のタイヤ1の変形を模擬する変形シミュレーションを含む。なお、タイヤ1の特性についてのシミュレーションの項目は、空気充填の模擬、接地状態の模擬、転動状態の模擬、変形状態の模擬、耐久性の模擬、及び磨耗状態の模擬の少なくとも一つでもよい。また、シミュレーションにおいて、これら項目の少なくとも一つについて最適化が行われてもよい。
処理装置50は、シミュレーションの結果を評価する(ステップS3)。その評価の結果は、設計に反映される。本実施形態においては、少なくとも第1部分P1の状態についての評価が行われる。第1部分P1の状態及び第2部分P2の状態についての評価が行われてもよい。なお、処理装置50は、シミュレーションの結果及び評価の結果の少なくとも一方を、出力装置62に出力してもよい。出力装置62が表示装置を含む場合、シミュレーションの結果及び評価の結果の少なくとも一方が表示装置に表示されてもよい。その出力装置62に出力されたシミュレーションの結果及び評価の結果の少なくとも一方が、設計に反映されてもよい。
シミュレーションにおいては、有限要素モデル(タイヤモデル)についての各種の物理量が出力される。本実施形態においては、シミュレーション(コンピュータ解析)により、第1部分P1における物理量に関する情報及び第2部分P2における物理量に関する情報が出力される。
例えば、ゴム12における物理量は、ゴム12に作用する応力、ひずみ、変位量、変位方向、ひずみエネルギー密度、主値、主方向、及びコード11とゴム12と接着強度の少なくとも一つを含む。ゴム12における物理量が、第1ゴム12Aと第2ゴム12Bとの結合強度を含んでもよい。応力は、垂直応力及びせん断応力(せん断力)の一方又は両方を含む。ひずみは、垂直ひずみ及びせん断ひずみの一方又は両方を含む。物理量が、最大垂直ひずみ及び最大せん断ひずみの一方又は両方を含んでもよい。
また、シミュレーションにより、例えば、トレッドゴム6やサイドウォールゴム7における物理量が出力される。また、タイヤモデルに発生する振動が出力されてもよい。また、タイヤモデルの変形についてシミュレーションが行われ、その変形時の物理量が出力されてもよい。変形時の物理量として、例えばサイドウォール部7Aのたわみ量、トレッドゴム部6(トレッド部6A)における接地形状、接地圧分布、タイヤ1の中心に作用する力、モーメントなどが出力されてもよい。
本実施形態においては、第1部分P1及び第2部分P2についてのシミュレーションの結果に基づいて、その第1部分P1及び第2部分P2の特性(性能、挙動)に関する情報が取得される。本実施形態においては、シミュレーションの結果から、第1部分P1及び第2部分P2の状態に関する情報が取得される。
例えば、ゴム12の状態は、変形状態及び損傷状態の一方又は両方を含む。すなわち、ゴム12に関する評価項目は、変形状態及び損傷状態の一方又は両方を含む。変形状態は、変形位置、変形量、及び変形方向の少なくとも一つを含む。損傷状態は、亀裂発生位置、亀裂量、破壊位置、破壊モード、コード11とゴム12との剥離位置、及び剥離量の少なくとも一つを含む。
また、シミュレーションの結果に基づいて、例えば、コード11とゴム12との間のせん断特性が取得されてもよい。また、シミュレーションの結果に基づいて、ゴム12におけるせん断特性が取得されてもよい。また、シミュレーションの結果に基づいて、例えば、コード11とゴム12との剥離部分(破壊部分)の位置が予測(評価)されてもよい。また、シミュレーションの結果に基づいて、第1コード11Aと第2コード11Bとの間におけるゴム12の損傷部分の位置が予測(評価)されてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、タイヤ1について、そのタイヤ1の周方向に関して設定された第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれを有限個の複数の要素に分割して有限要素モデルを作成する際、子午断面における第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズとが異なるように要素分割するようにしたので、解析精度の低下を抑制しつつ、計算時間が長くなることを抑制できる。例えば、タイヤ1の第1部分P1についての解析精度を高めたい場合、その第1部分P1の要素の2次元形状のサイズを第2部分P2の要素の2次元形状のサイズよりも小さくすることにより、その第1部分P1についての解析精度の低下が抑制される。また、第2部分P2の要素の2次元形状のサイズを大きくすることにより、計算時間が長くなることが抑制される。
すなわち、本実施形態によれば、タイヤ1を、タイヤ1の周方向に関して複数の部分に分け、それら複数の部分のうち、詳細な解析を行いたい部分のみ、要素のサイズ(メッシュサイズ)を小さくして要素の密度を高め、その他の部分においては、要素のサイズ(メッシュサイズ)を大きくしたので、タイヤ1全体における要素の数(要素の密度)を低減することができる。したがって、詳細な解析を行いたい部分については解析精度(計算精度)の低下を抑制しつつ、タイヤ1全体の解析においては計算時間を短くすることができる。
また、本実施形態においては、第1部分P1と第2部分P2との境界において、第1部分P1の要素の節点の少なくとも一部と第2部分P2の要素の節点とを結合するようにしたので、第1部分P1と第2部分P2との結合部C1及び結合部C2のそれぞれにおけるタイヤ1の状態を把握することができる。
また、本実施形態においては、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1の一端部と他端部とがなす角度θが30度以上90度以下となるように第1部分P1が設定されるため、解析精度(計算精度)の低下が抑制されつつ、タイヤ1全体の解析において計算時間が長くなることが抑制される。角度θが30度よりも小さい場合、サイズが小さい要素が占める部分が少なすぎ、応力・ひずみ集中部位のような、詳細な解析を行いたい部分(部位)を精確に再現できない可能性がある。一方、角度θが90度よりも大きい場合、サイズが小さい要素が占める部分が多すぎ、計算時間が長くなる可能性がある。本実施形態によれば、計算時間の長期化が抑制されつつ、解析精度の低下が抑制される。また、例えば、第1部分P1の一部の部位(例えば角度θが5度以上10度以下の部位)について詳細な解析を行いたい場合、その一部の部位の周囲の部位(第1部分P1の他の部位)についても精確なシミュレーションを行うことができる。したがって、第1部分P1の一部の部位の解析において高い解析精度が得られる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施系態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図11は、本実施形態に係るタイヤ1の有限要素モデルを模式的に示す図である。タイヤ1について、第1部分P1と第2部分P2とが設定される。第1部分P1の要素の2次元形状のサイズは、第2部分P2の要素の2次元形状のサイズよりも小さい。
本実施形態において、第1部分P1は接地面を含む。すなわち、タイヤ1において、第1部分P1と路面(地面)とが接触する。
本実施形態においては、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1の一端部と他端部とがなす角度θが45度以上180度以下となるように第1部分P1が設定される。
本実施形態によれば、第1部分P1が接地面を含むので、接地状態(路面と接触した状態)における第1部分P1の状態を精確に解析することができる。
また、本実施形態によれば、接地面を含む第1部分P1の一端部と他端部とがなす角度θが45度以上180度以下となるように第1部分P1が設定されるため、接地状態の第1部分P1の解析において高い解析精度が得られる。角度θが45度よりも小さい場合、サイズが小さい要素が占める部分が少なすぎ、応力・ひずみ集中部位のような、詳細な解析を行いたい部分(部位)を精確に再現できない可能性がある。角度θが180度よりも大きい場合、サイズが小さい要素が占める部分が多すぎ、計算時間が長くなる可能性がある。本実施形態によれば、計算時間の長期化が抑制されつつ、解析精度の低下が抑制される。
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施系態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図12は、本実施形態に係るタイヤ1の有限要素モデルを模式的に示す図である。タイヤ1について、第1部分P1と第2部分P2とが設定される。第1部分P1の要素の2次元形状のサイズは、第2部分P2の要素の2次元形状のサイズよりも小さい。
図12に示すように、第1部分P1及び第2部分P2のそれぞれは、タイヤ1の周方向に関して複数の要素に分割される。図12に示す例では、タイヤ1の周方向に関して、第1部分P1は、8個の要素に分割され、第2部分P2は、20個の要素に分割される。第1部分P1において、タイヤ1の周方向に関する複数(8個)の要素のサイズR1は、それぞれ等しい。第2部分P2において、タイヤ1の周方向に関する複数(20個)の要素のサイズR2は、それぞれ等しい。本実施形態において、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1の1つの要素のサイズR1と、第2部分P2の1つの要素のサイズR2とは、異なる。すなわち、本実施形態において、タイヤ1の周方向に関する要素分割によりタイヤ1の周方向に複数設けられた要素は、タイヤ1の周方向に関してサイズR1の要素と、サイズR1とは異なるサイズR2の要素と、を含む。図12に示すように、本実施形態において、サイズR1は、サイズR2よりも小さい。
本実施形態によれば、第1部分P1の要素において、子午断面における要素のサイズのみならず、タイヤ1の周方向に関する要素のサイズも小さい。これにより、第1部分P1についてより高精度な解析を行うことができる。
なお、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズが第2部分P2の要素の2次元形状のサイズよりも小さい場合において、周方向に関する第1部分P1の要素のサイズR1が、第2部分P2の要素のサイズR2よりも大きくてもよい。
なお、本実施形態においては、第1部分P1はサイズR1の要素のみを含み、第2部分P2はサイズR2の要素のみを含むこととした。第1部分P1がサイズR1の要素及びサイズR1よりも大きいサイズR2の要素を含んでもよい。第2部分P2がサイズR2の要素及びサイズR2よりも小さいサイズR1の要素を含んでもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施系態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図13は、本実施形態に係るタイヤ1の有限要素モデルを模式的に示す図である。図14は、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における有限要素モデルの一例を模式的に示す図である。図14は、図13のB1−B1線矢視図に相当する。図15は、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における有限要素モデルの一例を模式的に示す図である。図15は、図13のB2−B2線矢視図に相当する。図16は、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における有限要素モデルの一例を模式的に示す図である。図16は、図13のB3−B3線矢視図に相当する。
図13に示すように、本実施形態においては、回転軸Jと直交する面内(XZ平面内)において、Z軸と平行であり、回転軸Jを通るラインDLにより、タイヤ1の周方向に関してタイヤ1が半分に分けられる。ラインDLは、タイヤ1の接地面を通る。
タイヤ1の周方向に関するタイヤ1の半分について、第1部分P1と、タイヤ1の周方向に関して第1部分P1に隣り合う第2部分P2と、タイヤ1の周方向に関して第2部分P2に隣り合う第3部分P3とが設定される。第1部分P1、第2部分P2、及び第3部分P3は、ラインDLに関して線対称に設定される。
図14は、タイヤ1の回転軸Jを通る第1部分P1の子午断面を示す。図15は、タイヤ1の回転軸Jを通る第2部分P2の子午断面を示す。図16は、タイヤ1の回転軸Jを通る第3部分P3の子午断面を示す。図14、図15、及び図16に示すように、本実施形態において、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における第2部分P2の要素の2次元形状のサイズと、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における第3部分P3の要素の2次元形状のサイズとが異なるように、第1部分P1、第2部分P2、及び第3部分P3のそれぞれが要素分割される。本実施形態においては、図14、図15、及び図16に示すように、タイヤ1の回転軸Jを通る子午断面における第1部分P1の要素の2次元形状のサイズ、第2部分P2の要素の2次元形状のサイズ、及び第3部分P3の要素の2次元形状のサイズのうち、第3部分P3の要素の2次元形状のサイズが最も大きく、次いで第2部分P2の要素の2次元形状のサイズが大きく、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズが最も小さくなるように、タイヤ1が要素分割される。
タイヤ1の半分について、タイヤ1の周方向に関して、第1部分P1の一端部と他端部とがなす角度はθ1であり、第2部分P2の一端部と他端部とがなす角度はθ2であり、第3部分P3の一端部と他端部とがなす角度はθ3である。
本実施形態において、第1部分P1の一端部は、第1部分P1とラインDLとが交差する部分である。第1部分P1の他端部は、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1と第2部分P2との境界を含む。第1部分P1の他端部は、第1部分P1と第2部分P2との結合部C12を含む。第2部分P2の一端部は、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1と第2部分P2との境界を含む。第2部分P2の一端部は、第1部分P1と第2部分P2との結合部C12を含む。第2部分P2の他端部は、タイヤ1の周方向に関する第2部分P2と第3部分P3との境界を含む。第2部分P2の他端部は、第2部分P2と第3部分P3との結合部C23を含む。第3部分P3の一端部は、タイヤ1の周方向に関する第2部分P2と第3部分P3との境界を含む。第3部分P3の一端部は、第2部分P2と第3部分P3との結合部C23を含む。第3部分P3の他端部は、第3部分P3とラインDLとが交差する部分である。
角度θ1は、ラインDLと、タイヤ1の回転軸Jと結合部C12とを結ぶラインL12とがなす角度である。角度θ2は、タイヤ1の回転軸Jと結合部C12とを結ぶラインL12と、タイヤ1の回転軸Jと結合部C23とを結ぶラインL23とがなす角度である。角度θ3は、タイヤ1の回転軸Jと結合部C23とを結ぶラインL23と、ラインDLとがなす角度である。
本実施形態において、角度θ1と角度θ2との差Δθ12は、角度θ2と角度θ3との差Δθ23以下である。すなわち、θ2−θ1≦θ3−θ2の関係が成り立つ。
要素の2次元形状のサイズとは、タイヤ1を有限個の複数の要素に分割したときの、1つの要素のサイズをいう。要素の2次元形状のサイズは、子午断面における1つのソリッド要素の面積(断面積)の大きさを含む。要素の2次元形状のサイズは、タイヤ1の幅方向に関する1つの要素(ソリッド要素、シェル要素)の寸法を含む。図14、図15、及び図16に示すように、本実施形態において、子午断面における第1部分P1の1つのソリッド要素の面積(断面積)は、第2部分P2の1つのソリッド要素の面積(断面積)、及び第3部分P3の1つのソリッド要素の面積(断面積)よりも小さい。子午断面における第3部分P3の1つのソリッド要素の面積(断面積)は、第1部分P1の1つのソリッド要素の面積(断面積9、及び第2部分P2の1つのソリッド要素の面積(断面積)よりも大きい。図14、図15、及び図16に示すように、本実施形態において、タイヤ1の幅方向に関する第1部分P1の1つの要素の寸法H1は、第2部分P2の1つの要素の寸法H2、及び第3部分P3の1つの要素の寸法H3よりも小さい。タイヤ1の幅方向に関する第3部分P3の1つの要素の寸法H3は、第1部分P1の1つの要素の寸法H1、及び第2部分P2の1つの要素の寸法H2よりも大きい。
本実施形態において、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズと第3部分P3の要素の2次元形状のサイズとが異なることは、回転軸Jに対する放射方向に関して等しい距離に位置する第1部分P1、第2部分P2、及び第3部分P3それぞれの部位における要素の2次元形状のサイズが異なることを含む。
また、本実施形態において、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズと第2部分P2の要素の2次元形状のサイズと第3部分P3の要素の2次元形状のサイズとが異なることは、等価な機能を有する第1部分P1、第2部分P2、及び第3部分P3それぞれの部位における要素の2次元形状のサイズが異なることを含む。
図13に示すように、本実施形態において、第1部分P1、第2部分P2、及び第3部分P3のそれぞれは、タイヤ1の周方向に関して複数の要素に分割される。図13に示す例では、タイヤ1の半分について、第1部分P1は、2個の要素に分割され、第2部分P2は、4個の要素に分割され、第3部分P3は、6個の要素に分割される。第1部分P1において、タイヤ1の周方向に関する複数の要素のサイズR1は、それぞれ等しい。第2部分P2において、タイヤ1の周方向に関する複数の要素のサイズR2は、それぞれ等しい。第3部分P3において、タイヤ1の周方向に関する複数の要素のサイズR3は、それぞれ等しい。本実施形態において、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1の1つの要素のサイズR1と、第2部分P2の1つの要素のサイズR2と、第3部分P3の1つの要素のサイズR3とは、等しい。
図17は、第1部分P1と第2部分P2との境界において、第1部分P1の要素の節点の少なくとも一部と第2部分P2の要素の節点とを結合する方法の一例を説明するための模式図である。
図17において、結合断面D12とは、第1部分P1と第2部分P2との境界に面する第1部分P1の境界面である。結合断面D21とは、第1部分P1と第2部分P2との境界に面する第2部分P2の境界面である。結合断面D12及び結合断面D21は、タイヤ1の子午断面を含む。単位面積当たりの結合断面D12における第1部分P1の要素の節点Aの数Maは、単位面積当たりの結合断面D21における第2部分P2の要素の複数の節点Bの数Mbよりも多い。図17においては、一例として、単位面積当たりの結合断面D12に第1部分P1の要素の節点Aが25個配置され、単位面積当たりの結合断面D21に第2部分P2の要素の節点Bが9個配置される例を示す。
図17に示すように、結合断面D12と結合断面D21とが結合された状態において、Ma個の節点Aの少なくとも一部とMb個の節点Bとが結合される。Ma個の節点Aのうち、一部の節点Aは、節点Bと結合される。Ma個の節点Aのうち、一部の節点Aは、節点Bと結合されない。すなわち、図17に示す例において、Ma個の節点Aのうち、一部の節点Aが、節点Bと結合される結合節点であり、一部の節点Aが、節点Bと結合されない非結合節点である。本実施形態において、結合節点の数は、Mb個であり、非結合節点の数は、Ma−Mb個である。
図示は省略するが、第2部分P2と第3部分P3との境界において、結合断面D23と結合断面D32とが結合される。結合断面D23とは、第2部分P2と第3部分P3との境界に面する第2部分P2の境界面である。結合断面D32とは、第2部分P2と第3部分P3との境界に面する第3部分P3の境界面である。結合断面D23及び結合断面D32は、タイヤ1の子午断面を含む。単位面積当たりの結合断面D23における第2部分P2の要素の節点Bの数Mbは、単位面積当たりの結合断面D32における第3部分P3の要素の複数の節点Cの数Mcよりも多い。
結合断面D23と結合断面D32とが結合された状態において、Mb個の節点Bの少なくとも一部とMc個の節点Cとが結合される。Mb個の節点Bのうち、一部の節点Bは、節点Cと結合される。Mb個の節点Bのうち、一部の節点Bは、節点Cと結合されない。Mb個の節点Bのうち、一部の節点Bが、節点Cと結合される結合節点であり、一部の節点Bが、節点Cと結合されない非結合節点である。本実施形態において、結合節点の数は、Mc個であり、非結合節点の数は、Mb−Mc個である。
上述のように、本実施形態においては、第1部分P1と第2部分P2との境界における単位面積当たりの節点Aの数Maは、節点Bの数Mbよりも多い。第2部分P2と第3部分P3との境界における単位面積当たりの節点Bの数Mbは、節点Cの数Mcよりも多い。換言すれば、第1部分P1と第2部分P2との境界(境界面)における単位面積当たりの第1部分P1の要素の数は、第2部分P2の要素の数よりも多い。第2部分P2と第3部分P3との境界(境界面)における単位面積当たりの第2部分P2の要素の数は、第3部分P3の要素の数よりも多い。本実施形態において、第2部分P2と第3部分P3との境界(境界面)における単位面積当たりの第2部分P2の要素の節点Bの数(要素の数)Mbと第3部分P3の要素の節点Cの数(要素の数)Mcとの差(Mb−Mc)は、第1部分P1と第2部分P2との境界(境界面)における単位面積当たりの第1部分P1の要素の節点Aの数(要素の数)Maと第2部分P2の要素の節点Bの数(要素の数)Mbとの差(Ma−Mb)以上である。すなわち、Ma−Mb≦Mb−Mcの関係が成り立つ。例えば、節点Aの数Maが49個であり、節点Bの数Mbが36個であり、節点Cの数Mcが9個でもよい。
図13に示すように、本実施形態において、第1部分P1が路面(地面)と接触する。すなわち、第1部分P1が接地面を含む。なお、第1部分P1が接地面を含まなくてもよい。第2部分P2が接地面を含んでもよいし、第3部分P3が接地面を含んでもよい。
タイヤ1全体についての有限要素モデルが作成された後、その有限要素モデルを用いて、タイヤ1の特性(性能、挙動)についてシミュレーションが行われ、シミュレーションの結果が評価される。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズ、第2部分P2の要素の2次元形状のサイズ、及び第3部分P3の要素の2次元形状のサイズが順次大きくなるように要素分割されるため、第1部分P1と第2部分P2との境界における節点Aの数と節点Bの数との差が大きくなること、及び第2部分P2と第3部分P3との境界における節点Bの数と節点Cの数との差が大きくなることが抑制される。これにより、非結合節点の数が抑制されるため、解析精度の低下が抑制される。
また、本実施形態においては、Ma−Mb≦Mb−Mcの関係が成り立つように要素分割される。すなわち、詳細な解析を行いたい第1部分P1と、その第1部分P1に隣接する第2部分P2との間における非結合節点の数(Ma−Mb)が、第2部分P2と第3部分P3との間にける非結合節点の数(Mb−Mc)よりも小さくなるように要素分割される。これにより、少なくとも、第1部分P1についての解析精度の低下が抑制される。
なお、数Maは、数Mbの4倍以下に定められてもよい。なお、数Mbは、数Mcの4倍以下に定められてもよい。
また、本実施形態においては、θ2−θ1≦θ3−θ2の関係が成り立つように要素分割される。これにより、詳細な解析を行いたい第1部分P1についての解析精度の低下が抑制される。
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施系態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図18は、本実施形態に係るタイヤ1の有限要素モデルを模式的に示す図である。本実施形態は、上述の第4実施形態の変形例である。タイヤ1について、第1部分P1と第2部分P2と第3部分P3とが設定される。第1部分P1の要素の2次元形状のサイズは、第2部分P2の要素の2次元形状のサイズよりも小さい。第2部分P2の要素の2次元形状のサイズは、第3部分P3の要素の2次元形状のサイズよりも小さい。
図18に示すように、本実施形態において、第1部分P1が路面(地面)と接触する。すなわち、第1部分P1が接地面を含む。なお、第1部分P1が接地面を含まなくてもよい。第2部分P2が接地面を含んでもよいし、第3部分P3が接地面を含んでもよい。
図18に示すように、第1部分P1、第2部分P2、及び第3部分P3のそれぞれは、タイヤ1の周方向に関して複数の要素に分割される。図18に示す例では、タイヤ1の半分について、第1部分P1は、4個の要素に分割され、第2部分P2は、3個の要素に分割され、第3部分P3は、3個の要素に分割される。第1部分P1において、タイヤ1の周方向に関する複数の要素のサイズR1は、それぞれ等しい。第2部分P2において、タイヤ1の周方向に関する複数の要素のサイズR2は、それぞれ等しい。第3部分P3において、タイヤ1の周方向に関する複数の要素のサイズR3は、それぞれ等しい。
本実施形態において、タイヤ1の周方向に関する第1部分P1の1つの要素のサイズR1と、第2部分P2の1つの要素のサイズR2と、第3部分P3の1つの要素のサイズR3とは、異なる。すなわち、本実施形態において、タイヤ1の周方向に関する要素分割によりタイヤ1の周方向に複数設けられた要素は、タイヤ1の周方向に関してサイズR1の要素と、サイズR1とは異なるサイズR2の要素と、サイズR1及びサイズR2とは異なるサイズR3の要素と、を含む。図18に示すように、本実施形態において、サイズR1は、サイズR2及びサイズR3よりも小さい。サイズR2は、サイズR3よりも小さい。すなわち、本実施形態においては、タイヤ1の周方向に関して、第1部分P1の要素のサイズR1、第2部分P2の要素のサイズR2、及び第3部分P3の要素のサイズR3のうち、第3部分P3の要素のサイズR3が最も大きく、次いで第2部分P2の要素のサイズR2が大きく、第1部分P1の要素のサイズR1が最も小さい。
本実施形態によれば、第1部分P1の要素において、子午断面における要素のサイズのみならず、タイヤ1の周方向に関する要素のサイズも小さい。これにより、第1部分P1についてより高精度な解析を行うことができる。
なお、本実施形態において、サイズR1、サイズR2、サイズR3のうち、最も大きいサイズR3は、最も小さいサイズR1の10倍以下に定められてもよい。
なお、本実施形態において、周方向に関する第1部分P1の要素のサイズR1は、幅方向に関する第1部分P1の要素のサイズH1よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、サイズH1と等しくてもよい。なお、本実施形態において、周方向に関する第2部分P2の要素のサイズR2は、幅方向に関する第2部分P2の要素のサイズH2よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、サイズH2と等しくてもよい。なお、本実施形態において、周方向に関する第3部分P3の要素のサイズR3は、幅方向に関する第3部分P3の要素のサイズH3よりも大きくてもよいし、小さくてもよいし、サイズH3と等しくてもよい。
なお、第1部分P1の要素の2次元形状のサイズが第2部分P2の要素の2次元形状のサイズよりも小さく、第2部分P2の要素の2次元形状のサイズが第3部分P3の要素の2次元形状のサイズよりも小さい場合において、周方向に関する第1部分P1の要素のサイズR1が、第2部分P2の要素のサイズR2及び第3部分P3の要素のサイズR3よりも大きくてもよい。サイズR1、サイズR2、及びサイズR3の順に大きくてもよいし、サイズR1、サイズR3、及びサイズR2の順に大きくてもよい。サイズR2がサイズR1及びサイズR3よりも大きくてもよい。サイズR2、サイズR1、及びサイズR3の順に大きくてもよいし、サイズR2、サイズR3、及びサイズR1の順に大きくてもよい。
なお、本実施形態においては、第1部分P1はサイズR1の要素のみを含み、第2部分P2はサイズR2の要素のみを含み、第3部分P3はサイズR3の要素のみを含むこととした。第1部分P1が、サイズR1の要素、サイズR1よりも大きいサイズR2の要素、及びサイズR2よりも大きいサイズR3の要素を含んでもよい。第2部分P2が、サイズR2の要素、サイズR2よりも小さいサイズR1の要素、及びサイズR2よりも大きいサイズR3の要素を含んでもよい。第3部分P3が、サイズR3の要素、サイズR3よりも小さいサイズR2の要素、及びサイズR2よりも小さいサイズR1の要素を含んでもよい。
なお、上述の第1〜第5実施形態においては、タイヤ1について、タイヤ1の周方向に関して2つの部分又は3つの部分に分ける場合を例にして説明した。タイヤ1について、タイヤ1の周方向に関して4つの部分に分けてもよいし、5つ以上の複数の部分に分けてもよい。
<実施例>
次に、本発明に係る実施例について説明する。本発明者は、上述の実施形態に従ってシミュレーションを行い、本実施形態に係るシミュレーション方法により解析に要した時間と、比較例に係るシミュレーション方法により解析に要した時間とを比較した。
本実施形態に係るシミュレーション及び比較例に係るシミュレーションにおいて、LTRタイヤ(205/85R16)を対象とした横剛性解析(シミュレーション)を実施した。解析条件はとして、タイヤ1の空気圧600kPa、タイヤ1に作用する荷重12.6kNとした。
本実施形態に係るシミュレーションにおいては、例えば図11を参照して説明したように、タイヤ1について、接地面を含む第1部分P1と第2部分P2とを設定し、子午断面における第1部分P1の要素の2次元形状のサイズが第2部分P2の要素の2次元形状のサイズよりも小さくなるように要素分割し、作成された有限要素モデルを用いてシミュレーションを行った。
比較例に係るシミュレーションにおいては、タイヤ1全体について、上述の第1部分P1のサイズの要素で分割されるように要素分割し、作成された有限要素モデルを用いてシミュレーションを行った。
比較例に係るシミュレーション方法により解析に要した時間を100とした場合、本実施形態に係るシミュレーション方法により解析に要した時間は68であった。このように、本発明に係るシミュレーション方法により解析することにより、所期の解析精度を維持しつつ、解析に要する時間を単出で切ることが確認できた。