JP6584218B2 - 磁性トナー及び磁性トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、近年は、ユーザーの使用場所についても全世界に拡がる傾向をみせ、またその使用量も近年益々増加傾向にあることにより、輸送環境についても省エネルギーの観点から苛酷環境にまで耐えられるようなトナーが求められている。
磁性一成分現像方式では、磁性トナー層規制部材(以下、現像ブレードという)を用いて内部にマグネットロールなどの磁界発生手段を設けたトナー担持体(以下、現像スリーブという)の上に、磁性トナー層を形成させる。そして、この磁性トナー層を現像スリーブにより、現像領域に搬送し、現像する。
このとき磁性トナーへの電荷を付与するときは、現像ブレードと現像スリーブの当接部(以下、ブレードニップ部という)とで、現像ブレード及び現像スリーブを接触させる。この接触時に生じる摩擦によって磁性トナーが帯電する。
装置の高速化という点においては、スリーブ裏におけるトナーの迅速かつ均一な帯電立ち上がりが求められる。そのためには、磁性トナーの帯電特性を均一にする必要があり、トナー粒子間の材料分散性にはより高度な均一性を求められる。
特に、磁性トナーにおいては、トナー粒子内の磁性体分散性が高耐久性・保存安定性に大きく影響を与える。トナー粒子内の磁性体分散性が均一なトナーに、低温定着性のために結晶性ポリエステル樹脂を多量に含有させた場合、輸送環境を再現した高温高湿環境では結晶性ポリエステル樹脂がトナー表面に露出してしまうことがある。この結果、高温高湿環境下では露出した結晶性ポリエステル樹脂が現像器内の部材に付着してしまうことで、磁性トナーの帯電特性が不均一になり、様々な画像欠陥を生じやすい。本発明者らは、それら画像欠陥の中でも、現像スリーブから潜像担持体への現像工程において、帯電特性がトナー間で不均一になることにより、トナーが非画像部に現像されるカブリという問題に着目した。ところで、カブリが起きやすい環境であると、例えば、使用初期と長期使用後とで差が出るが、これは、磁性トナーとして長期使用によりトナー劣化が促進されることと、さらされる環境によっては磁性トナーの帯電特性が変化するためである。
例えば、特許文献1では、結晶性ポリエステル樹脂のモノマー組成を工夫し、トナーの保存性を改善する試みがなされている。また、特許文献2においても、非晶質ポリエステル樹脂のモノマー成分の工夫によって現像性を高める試みがなされている。
また、特許文献3においては、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂単体の溶解パラメーターを工夫することによって結晶性ポリエステル樹脂を含有しつつも、耐熱性・保存性を高める試みがなされている。
また、特許文献3には特に着色剤として磁性体を相当量含有させた場合や、輸送環境を想定した苛酷環境に長期放置した後、高温高湿環境で長期使用した場合の現像性については言及されておらず、所望の効果を得るには不十分であった。
以上より、輸送環境を想定した苛酷環境に長期放置した後、高温高湿環境で長期使用した際にも安定した現像特性と低温定着性を有する磁性トナーにより、高品位な画像を安定して得るには依然として改善の余地があった。
本発明は、上記のような問題点を解決できる磁性トナー、即ち、輸送環境を想定した苛酷環境に長期放置した後、高温高湿環境で長期使用した際にも安定した現像特性と低温定着性を有する磁性トナーを提供することを目的とするものである。
該磁性体は表面を疎水化処理剤で処理された疎水化処理磁性体であり、
該磁性トナー粒子は、懸濁重合トナー粒子であり、
該樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、及びスチレンを主成分とする重合性単量体の重合体を含み、
該非晶性ポリエステル樹脂AのSP値をSP1、該疎水化処理剤のSP値をSP2、該結晶性ポリエステル樹脂BのSP値をSP3とした際に、該SP1、SP2及びSP3が以下の式(1)と式(2)の関係を満たし、
式(1) 0.55<SP3−SP2<1.20
式(2) 2.00<SP1−SP3<3.00
該磁性トナーのルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー断面において、該疎水化処理磁性体の60面積%以上がトナー表面からトナー粒径の5%内側までの領域に存在していることを特徴とする磁性トナー。
本発明は、樹脂、磁性体、及び離型剤を含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであって、
該磁性体は表面を疎水化処理剤で処理された疎水化処理磁性体であり、
該磁性トナー粒子は、非晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、該疎水化処理磁性体、該離型剤、及びスチレンを主成分とする重合性単量体を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体を重合することによって製造されたものであり、
該非晶性ポリエステル樹脂AのSP値をSP1、該疎水化処理剤のSP値をSP2、該結晶性ポリエステル樹脂BのSP値をSP3とした際に、該SP1、SP2及びSP3が以下の式(1)と式(2)の関係を満たし、
式(1) 0.55<SP3−SP2<1.20
式(2) 2.00<SP1−SP3<3.00
該磁性トナーのルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー断面において、該疎水化処理磁性体の60面積%以上がトナー表面からトナー粒径の5%内側までの領域に存在していることを特徴とする。
テル樹脂や離型剤はトナー表層に染み出しやすくなる。結晶性ポリエステル樹脂が露出してしまうと、高温高湿環境下ではブレードニップ部での摺擦によっても帯電が十分行われなくなり、低帯電トナーが増加し、その結果、カブリが発生しやすい。
本発明者らは、上記手段により結晶性ポリエステル樹脂Bのトナー表面への染み出しを高度に抑制するとともに、疎水化処理磁性体の分散状態を高度に制御することで輸送環境を想定した苛酷環境に長期放置した後、高温高湿環境で長期使用した際にも、現像性と低温定着性を維持できることを見出し、本発明を完成させた。以下、本発明を詳細に説明する。
(1−1)疎水化処理磁性体と結晶性ポリエステル樹脂Bがトナー粒子内・トナー粒子間で均一に分散していること
(1−2)非晶性ポリエステル樹脂Aと結晶性ポリエステル樹脂Bの相溶化度が低いこと(1−3)疎水化処理磁性体がトナー粒子表面に偏在し、擬似的にシェルを形成していること(以下、このような状態をマグシェル構造と呼ぶ)
剤を構成するモノマーの種類と比率から算出する。SP値は、モノマーの種類と量によって制御することができる。SP値を大きくするためには、例えば、SP値の大きいモノマーを使用すればよい。一方、SP値を小さくするためには、例えば、SP値の小さいモノマーを使用すればよい。本発明におけるSP値の単位は、(cal/cm3)1/2である。
本発明の磁性トナーは磁性体の表面処理に用いる疎水化処理剤のSP値をSP2、結晶性ポリエステル樹脂BのSP値をSP3とした際に、下記式(1)で示される関係を満たす。
0.55<SP3−SP2<1.20 式(1)
SP3−SP2が0.67以上1.18以下であることが好ましく、SP3−SP2が0.80より大きく1.10より小さいことがより好ましい。
疎水化処理磁性体、結晶性ポリエステル樹脂B、及びスチレンポリマーとの親和性を考える上で、まず、本発明の磁性トナーの製造方法を考える。本発明に係る磁性トナー粒子は、非晶性ポリエステル樹脂A、疎水化処理磁性体、結晶性ポリエステル樹脂B、離型剤、及びスチレンを主成分とする重合性単量体を含有する磁性トナー組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体を重合することによって製造される。そのため、非晶性ポリエステル樹脂A、疎水化処理磁性体、結晶性ポリエステル樹脂B、離型剤、及びスチレンを主
成分とする重合性単量体を混合、溶解する工程がある。しかしながら、樹脂や重合性単量体と磁性体とは、疎水性や比重の違いから、溶解強度を高めたとしても不均一になりやすい。
本発明者らは、結晶性ポリエステル樹脂Bと、疎水化処理磁性体とが、溶解工程時にスチレンを主成分とする重合性単量体を介して親和性のバランスを保つことによって、溶液内で結晶性ポリエステル樹脂Bと疎水化磁性体を高度に均一化させることができると考えている。そのため、上記五成分の溶解に続く工程である水系媒体中での造粒工程においても、重合性単量体を介して結晶性ポリエステル樹脂Bと疎水化処理磁性体との相互作用が働き、各粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂Bと疎水化処理磁性体のバラツキを抑えた磁性トナー粒子が得られる。
そこで、各粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂Bと疎水化処理磁性体のバラツキを抑えた磁性トナー粒子が得られれば、高温高湿環境の長期使用においても、結晶性ポリエステル樹脂Bを多量に含有したトナー粒子の蓄積を抑制するとともに、結晶性ポリエステル樹脂Bを均一に溶融させることができる。その結果、高温高湿環境で長期使用しても、低温定着性と現像性の低下を抑制することができる。これは、磁性体の熱伝導率が樹脂や離型剤と比較して高く、その結果、定着時に短時間で急速にトナーが加熱されると、磁性体を介して結晶性ポリエステル樹脂Bに均一に熱を伝導させることができるからだと考えている。
即ち、式(1)を満たす磁性トナーは(1−1)の条件を満たし、高温高湿環境で長期使用した際にも、「カブリ」を抑制し、「低温定着性」を良化させることができる。
一方、SP3−SP2が1.20以上になるとスチレンを主成分とする重合性単量体を介した結晶性ポリエステル樹脂Bと磁性体との相互作用が弱まり、トナー粒子間の結晶性ポリエステル樹脂Bと磁性体の分散性が低下する。これにより、高温高湿環境で長期使用した際、現像性の劣るトナーが蓄積されることで、カブリの発生を抑制できない場合がある。特に、SP3−SP2を1.20以上にするために、結晶性ポリエステル樹脂BのSP値を大きくした場合、結晶性ポリエステル樹脂Bの炭素鎖長が短くなり、結晶性ポリエステル樹脂Bの分散性低下、及び低分子量成分の増加により、高温高湿環境で長期使用した際、トナー劣化が促進されやすくなる。その結果、現像性の劣るトナーが蓄積されることで、高温高湿環境で長期使用した際にカブリが発生しやすくなる場合がある。
2.00<SP1−SP3<3.00 式(2)
SP1−SP3が2.05以上2.94以下であることが好ましく、SP1−SP3が2.06以上2.40以下であることがより好ましい。
まず、前記記載のように、本発明の磁性トナー粒子は、水系媒体中で造粒し、該重合性単量体を重合することによって製造される。そのため、式(2)の関係式を満たすよう制御することで、水系媒体中で造粒する工程においては、SP値の大きい非晶性ポリエステル樹脂Aがトナー表層にシェル層を形成し、保存性を良化させる。さらに、式(2)の範囲にSP値差を制御することにより、非晶性ポリエステル樹脂Aと結晶性ポリエステル樹脂Bの親和性を下げて、相溶化度を低下させることができる。
ここで、SP1−SP3が2.00以下になると、非晶性ポリエステル樹脂Aに結晶性ポリエステル樹脂Bが一部相溶してしまい、結晶性ポリエステル樹脂Bがトナー表層に露出してきやすくなる。
一方、SP1−SP3が3.00以上の場合、結晶性ポリエステル樹脂BのSP値が必要以上に小さく、かつ、非晶性ポリエステル樹脂AのSP値が必要以上に大きいことを意味する。結晶性ポリエステル樹脂BのSP値を小さくすることは、すなわち、結晶性ポリエステル樹脂Bの炭素鎖長が長くなることを意味する。また、非晶性ポリエステル樹脂A
のSP値を大きくすることは、すなわち、溶解工程時に非晶性ポリエステル樹脂Aと他の材料とのSP値差が大きくなることになることを意味する。これにより、溶解強度を高めたとしても結晶性ポリエステル樹脂Bの溶解度が低下すると共に、非晶性ポリエステル樹
脂Aと他の材料との疎水性の違いにより材料分散性が不均一になりやすい。これにより、
非晶性ポリエステル樹脂Aがトナー表層を均一に被覆することができなくなり、苛酷環境に放置した際にカブリが発生しやすくなる場合がある。
TEM観察により得られたトナー断面画像において、トナー断面の最大径を求め、その中点を基準点とする。基準点からトナーの断面画像における粒子表面まで直線を引き、その直線を、基準点を始点として9:1に分割する点をトナーの全周に対して求める。求められた点を繋ぎ、トナーの形状を5%縮小した環状の図形を描く。トナーの表面と上記環状の図形との間の領域が、「トナーの表面からトナー粒径の5%内側までの領域」である(図2参照)。この領域に存在する磁性体の割合は、トナー断面画像を2値化し、磁性体の占める面積により算出する。1つのトナー断面から観察される磁性体のうち70面積%が上述の領域に存在する場合は、ほとんどの磁性体が表層近傍に存在し、トナー中心方向へ散らばっている磁性体が少ないことを表している。
トナー断面における該疎水化処理磁性体の面積のうち、トナー表面からトナー粒径の5%内側までの領域における該疎水化処理磁性体の面積の割合は、該磁性体表面を疎水化処理剤により均一に処理することにより制御することができる。
カップリング剤があり、中でも下記式(I)で示されるアルキルアルコキシシランに加水分解処理を施して使用するのが好ましい。
CpH2p+1−Si−(OCqH2q+1)3 式(I)
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]
磁性体の1次粒子の個数平均径は150nm以上220nm以下であることが好ましい。また、本発明のトナーにおいて磁性体の好ましい含有量は、重合性単量体100質量部に対して50質量部以上150質量部以下である。50質量部以上であると、トナー表層部に含有される磁性体量適切となり耐熱保存性が向上する。また150質量部以下で、トナー表層部の磁性体が適量で、低温定着性能が低下しにくくなる。
なお、磁性トナーに含まれる磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は以下の通りである。窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱する。そして100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とする。
具体的には、式(1)、及び式(2)を満たすことで、疎水化処理磁性体はスチレンポリマーを介して結晶性ポリエステル樹脂Bと相互作用できる、一方、疎水化処理磁性体は、非晶性ポリエステル樹脂Aとは疎水性や比重の点で親和性が低くなる。結晶性ポリエステル樹脂Bは、造粒工程時、スチレンを主成分とする重合性単量体中でスチレンとの親和性が高いため、結晶性ポリエステル樹脂Bはトナー粒子内で均一に分散する。一方、疎水化処理磁性体は造粒工程時に疎水性、及び比重の観点からトナー粒子表層に疎水化磁性体のマグシェル構造を形成する。即ち、造粒工程時に結晶性ポリエステル樹脂Bに対して非晶性ポリエステル樹脂A、疎水化処理磁性体という親和性の異なる2重のシェルを形成することができると考える。
これにより、高温高湿環境において結晶性ポリエステル樹脂Bが疎水化処理磁性体近傍の樹脂に先に相溶するため、トナー表層に存在する非晶性ポリエステル樹脂Aに対する結晶性ポリエステル樹脂Bの相溶量を従来技術以上に抑制することができる。つまり、式(1)、及び式(2)を満たし、さらに、上記範囲のマグシェル構造を有することで、従来よりも結晶性ポリエステル樹脂Bの染み出しを防止することができ、輸送環境を想定した苛酷環境や高温高湿環境に長期放置した際にも「カブリ」の発生を抑制することができる。
本発明に使用される非晶性ポリエステル樹脂Aは、アルコール成分と酸成分から生成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、また下記(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;下記(B)式で示されるジオール類等が挙げられる。
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂Aは、式(A)のビスフェノール及びその誘
導体が反応性の観点から好ましく、より好ましくは、式(A)のビスフェノール及びその誘導体のうちx+yの平均値が1〜4である化合物である。
ポリエステル樹脂Aの調製で用いることができる三価以上のアルコールとして、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。本発明においては反応性や樹脂酸価の調整し易さの点から、トリメリット酸が好適に用いられる。
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂Aは、式(3)で示されるイソソルビドユニットを、非晶性ポリエステル樹脂Aを構成する全モノマーユニットを基準として、0.10mol%以上30.00mol%以下含有することが好ましく、1.00mol%以上15.00mol%以下含有することがより好ましい。なお、「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
また、非晶性ポリエステル樹脂AのSP値は、11.60以上12.45以下であることが好ましい。
本実施形態において、『結晶性』とは、後述する示差走査熱量測定(DSC)の測定において、明確な吸熱ピークを有する(融点Tm(C)を有する)ことを意味する。一方、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性であることを意味する。
本発明に用いる結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm(C)は、55℃以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上85℃以下であることがより好ましい。55℃以下の場合は、トナーの耐熱保存性が生じ難くなり、保存性が低下する可能性が低い。一方、融点が90℃以上の場合、低温定着性が良化し、所望の低温定着性が得られる。
HOOC−(CH2)m−COOH 式(5)
[式中、mは4〜14の整数を示す]
HO−(CH2)n−OH 式(6)
[式中、nは4〜16の整数を示す]
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の一価の酸や、シクロヘキサノールベンジルアルコール等の一価のアルコールも用いられる。
本発明に用いられる結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジアルコ−ル成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
前記触媒としてはチタン触媒を用いると望ましく、キレート型チタン触媒であると更に望ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、本発明において望ましい分子量分布のポリエステルが得られるためである。
本発明のトナーにおいて結晶性ポリエステルの好ましい含有量は、重合性単量体100
質量部に対して3質量部以上20質量部以下である。結晶性ポリエステルの含有量が3質量部以上であると、上述した本発明の効果が十分に得られやすい。また、結晶性ポリエステルの含有量が20質量部以下であると、結晶性ポリエステル中の低分子量成分のトナー中の含有量が多すぎず、耐熱保存性が低下しにくくなる。
また、結晶性ポリエステル樹脂BのSP値は、9.45以上9.80以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Bの使用量は、本発明の磁性トナーの低温定着性と保存性、及び耐久時の現像性の点から、重合性単量体100質量部あたり好ましくは3.0質量部以上15.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以上10.0質量部以下である。
トナー内部の結晶性ポリエステルを観察するには、トナーを切片に加工した後、四酸化ルテニウムで染色し、TEM観察を行う。四酸化ルテニウムで染色することで、TEM観察時に結着樹脂などの非晶性樹脂と結晶性ポリエステルとの間にコントラスト差が生じる。このため、結晶性ポリエステルを区別しやすく、さらには結晶性ポリエステルのラメラ構造まで観察することが可能である。このラメラ構造が観察できるドメインを、本発明では結晶性ポリエステルのドメインとしており、観察されるドメインの長径をそのドメインの大きさとしている(図1参照)。
磁性トナーに含有される結晶性ポリエステル樹脂Bのドメインが上記範囲内であることは、結晶性ポリエステル樹脂Bがトナー粒子内で微分散して存在していることを示す。そのため、定着時にトナーが短時間で急速に加熱された際にも結晶性ポリエステル樹脂Bの樹脂への可塑化速度を速めることができ、優れた低温定着性を満たすことができる。
長径が50nm以上300nm以下のドメインの個数%は、離型剤の種類、トナー製造方法により制御することができる。
エステル化合物としては、ベヘン酸ベヘニル、パルミチン酸パルミチル、ステアリン酸ステアリル、リグノセリン酸リグノセリル、グリセリントリベヘネート、カルナウバワックスなどの飽和脂肪酸モノエステル類が挙げられる。
この理由については明らかになっていないが、本発明者らは2官能エステルの構造が造核剤に適しているものと考えている。2官能のエステルワックスは、その分子構造に分岐点がなく、直鎖に近い折れ曲がり構造をしている。このため、3官能以上のエステルワックスと比べて結晶化しやすく、かつ、造核剤として結晶化ポリエステルの結晶化開始点となり得るものと考えられる。1官能のエステルワックスも直鎖構造であるが、本発明においては2官能のエステルワックスの方がより結晶化ポリエステルのドメイン形成に効果的である。この理由については、1官能エステルワックスよりも分子量が大きいことにより結晶径が大きいことで、やはり結晶化ポリエステルの結晶化開始点となりやすいと推察される。
これらの離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの離型剤の使用量は、本発明の磁性トナーの低温定着性の点から、重合性単量体100.0質量部あたり、好ましくは3.0質量部以上15.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以上10.0質量部以下である。
離型剤の最大吸熱ピーク温度は50℃以上80℃以下であることが好ましい。
本発明のトナーは、懸濁重合法を利用して製造することができる。懸濁重合法は、水とトナー材料との極性のバランスを利用して、トナー表面近傍におけるスチレンアクリル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂Aとの存在状態を容易に制御することができる。そのため懸濁重合法は、トナーの帯電性を良好なものとするという点で、より好ましい形態である。以下に懸濁重合法を利用したトナー製造方法について詳細を説明する。
本発明の磁性トナーの製造方法は、非晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、疎水化処理磁性体、離型剤、及びスチレンを主成分とする重合性単量体、並びに必要に応じて着色剤、その他の添加剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、前記重合性単量体を重合することによって磁性トナーを製造する方法である。
懸濁重合法を用いる際に、トナー中のスチレンアクリル樹脂の含有量を調整する方法としては、重合性単量体として、スチレンモノマー及びアクリルモノマーを用いてもよいし、懸濁重合を行う際に予めスチレン−アクリル樹脂を添加して調整してもよい。
本発明の磁性トナーを懸濁重合法で製造する場合に用いる重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中に重合性単量体組成物を造粒する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートの如き過酸化物系重合開始剤。
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、上記重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に選定され、一種類を単独で用いる態様又は二種類以上を混合して用いる態様で使用される。
無機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。
一方、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させるための分散剤として、市販のノニオン型、アニオン型及びカチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
また、これらの重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させるための分散剤の使用量は、重合性単量体100.0質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、重合性単量体組成物が水系媒体中に造粒された水系分散媒体において、重合性単量体組成物100質量部に対して、300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系分散媒体を調製することが好ましい。
とを混合することでリン酸三カルシウムの微粒子を形成することができる。
重合反応が終了して粒子を得た後、粒子が水系媒体に分散した状態で、結晶性ポリエステル樹脂B及び離型剤の融点を超える温度まで、昇温させる。重合温度が上述の融点を超えている場合、この操作は必要ない。
昇温操作の後、結晶性ポリエステル樹脂Bのドメインの分散状態を本発明の範囲に制御
するために、次のような冷却操作を行うことが好ましい。具体的には、晶性ポリエステル樹脂Bの結晶化温度(Tc)を通過する際、冷却速度を速くすることにより、結晶化度を上げることが好ましい。これにより、結晶性ポリエステル樹脂Bのドメインの長径の個数平均径を50nm以上300nm以下に制御しやすくなる。併せて、結晶性ポリエステルのドメインの個数を制御しやすくなる。
しかし、本発明者らの検討によると、懸濁重合法においては、結晶性ポリエステル樹脂Bと離型剤を併用した際、水系媒体の温度に関し、冷却速度を10℃/分以上という急速冷却を行うことで、結晶性ポリエステル樹脂Bの結晶化度が上昇する現象を見出した。結晶性ポリエステル樹脂Bの結晶化度が上昇する理由は、急速冷却により離型剤単独の結晶核の形成は行われるが、単独の結晶成長が妨げられ、その一方で、離型剤と結晶性ポリエステル樹脂Bが同時に結晶化しやすくなることが挙げられる。この現象をより顕著に発現させるためには、結晶性ポリエステル樹脂Bと構造が類似しているエステルワックスを用いることが好ましい。さらにその中では、2官能のエステルワックスを用いることで、結晶性ポリエステルの結晶化度を上げ、本発明の範囲に制御しやすくなる。
上記範囲内であれば、低温定着性を付与することを目的に結晶性ポリエステル樹脂Bを添加したとしても、保存性、及び耐久時の現像性が低下することなく、良好なトナーを得ることができる。
非晶性ポリエステル樹脂Aが1.0質量部以上で、シェル層が十分な厚さとなるため、結晶性ポリエステル樹脂Bが、トナー表面に露出しにくくなり、保存性及び耐久時の現像性が向上する。
非晶性ポリエステル樹脂Aが40.0質量部以下で、溶解工程において重合性単量体へ溶解しやすくなり、シェルの形成が安定し、保存性及び耐久時の現像性が良好になる。
具体的には、懸濁重合法では、水系媒体中で磁性体(好ましくは磁性酸化鉄)を含む単量体組成物を分散して、造粒し、造粒された粒子中に含有される重合性単量体を重合するため、使用される磁性体は、水系媒体に露出しないように表面を疎水化処理する必要がある。このように磁性体の表面処理(疎水処理)を行うのは、未処理の磁性体では、通常、表面に水酸基等の官能基が存在するため、親水性が高いからである。
また、疎水化処理剤のSP値は、8.60以上8.85以下であることが好ましい。
磁性体を表面処理する際に、好ましく用いられるアルコキシシランの加水分解は、以下のように行うことが好ましい。具体的には、pHを3.0以上6.5以下に調整した水溶液又はアルコールと水との混合溶液にアルコキシシランを徐々に投入し、例えば、ディスパー翼などを用いて均一に分散させる。この時、分散液の液温を35℃以上60℃以下にすることが好ましい。
一般的に、pHが低いほど、そして液温が高いほどアルコキシシランは加水分解しやすい。本発明者らが鋭意検討したところ、加水分解し難い条件であってもディスパー翼のように、高せん断を付与できる分散装置を用いると、アルコキシシランと水との接触面積が増加し、効率良く加水分解を促進させることができることがわかった。これにより、加水分解率を高めつつ、自己縮合を抑制することが可能となることもわかった。加水分解や撹拌条件が適正でないと、シラン化合物は自己縮合してシロキサンとなり、磁性体表面との反応性が低下してしまう。本発明者らの検討によると、シロキサン量は50%以下に抑える必要がある。
まず、第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7.0以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5.0以上10.0以下に維持し、空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5.0未満にしない方が好ましい。酸化反応終了後、ケイ酸ソーダ等のケイ素源を添加し、液のpH
を5.0以上8.0以下に調整する。このようにすることで、磁性酸化鉄粒子表面にケイ素の被覆層が形成される。以上のように得られた磁性酸化鉄粒子を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより表面にケイ素リッチな磁性酸化鉄を得ることができる。
このようにして得られた磁性酸化鉄に、シラン化合物にて疎水化処理をするには、上述に記載した気相中の処理を行うことにより、より均一で効率的なシランカップリング剤による疎水化処理を行うことができる。表面処理を施した後、乾燥工程を施すことで脱水縮合反応を進め、強固な結合をもつ疎水化処理磁性酸化鉄が得られる。
CpH2p+1−Si−(OCqH2q+1)3 式(3)
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す]
好ましく用いられるスチレン系樹脂として、具体的には、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。これら樹脂は、一種類を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
樹脂又は磁性トナーのガラス転移温度は、示差走査熱量計、例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン社製のDSC2920を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。
本発明の磁性トナーは、低温定着性の観点から、離型剤としてエステルワックスを含有し、磁性トナーが、示差走査熱量計(DSC)による測定において50℃以上80℃以下に最大吸熱ピークを有することが好ましい。
負帯電用の荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効である。これらの例としては、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸又は芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物などが挙げられる。
負帯電用の荷電制御剤として、例えば、Spilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−5
4、E−84、E−88、E−89(オリエント化学社)が挙げられる。
これらの荷電制御剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの荷電制御剤の使用量は、本発明の磁性トナーの帯電量の点から、重合性単量体100質量部あたり、好ましくは0.1質量部以上10.0質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5.0質量部以下である。
0m2/g以下のものが好ましい。より好ましくは25m2/g以上300m2/g以下で
ある。
上記窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)の測定は、JIS
Z8830(2001年)に準じて行う。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いることができる。
シリカ微粒子、その他無機微粒子は、疎水化処理を施したものであることが好ましく、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が40%以上、より好ましくは50%以上となるように疎水化処理したものが特に好ましい。
上記有機ケイ素化合物として、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどが挙げられる。これら有機ケイ素化合物は、一種類を用いてもよいし、二種類以上の混合物として用いてもよい。
上記シリコーンオイルとして、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
この中でも、炭素数が10〜22の直鎖の飽和脂肪酸は無機微粒子の表面を均一に処理しやすい点で、非常に好ましい。
直鎖の飽和脂肪酸として、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミルスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
ルとにより処理したものが疎水化度を好適に制御できるので、好ましい。
シリカ微粒子をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、ケイ素化合物で処理された無機微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて直接混合する方法や、無機微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法が挙げられる。あるいは、適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解又は分散させた後、無機微粒子を加えて混合し、溶剤を除去する方法でもよい。
シリコーンオイルの処理量は、良好な疎水性を得るために、シリカ微粒子100質量部に対して1質量部以上40質量部以下であることが好ましく、3質量部以上35質量部以下であることがより好ましい。
また、本発明の磁性トナーは、平均円形度が、好ましくは、0.955以上であり、より好ましくは、0.957以上である。
(1)結晶性ポリエステル樹脂Bの酸価の測定方法
本発明の磁性トナーに含まれる結晶性ポリエステル樹脂Bの酸価は、以下の操作により求められる。基本操作はJIS K0070に属する極性樹脂の酸価は以下の方法により測定することができる。
酸価は、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。樹脂の酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定した。具体的には、以下の手順に従って測定した。
(1−1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて液量を100mlとすることで、フェノールフタレイン溶液を得た。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて液量を1lとした。次に、この溶液を炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得た。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管した。なお、前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/lの塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定したときに、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求めた。このとき用いた0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作製されたものを用いた。
(1−2)操作
(A)本試験
粉砕した樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解させる。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(1−3)
得られた結果を下記式(*)に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S (*)
式(*)において、Aは、酸価(mgKOH/g)を表し、Bは、空試験の水酸化カリ
ウム溶液の添加量(ml)を表し、Cは、本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)を表す。fは、水酸化カリウム溶液のファクターを表し、Sは、試料の量(g)を表す。
磁性トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
ここで、D4の具体的な測定法は以下の通りである。
(2−2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(2−3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion
System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(2−4)前記(2−2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(2−5)前記(2−4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、磁性トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように適宜調節する。
(2−6)サンプルスタンド内に設置した前記(2−1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(2−5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(2−7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統
計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナーの透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察は以下のようにして実施することができる。
本発明のトナーは、トナー断面をルテニウム染色することによって観察を行う。本発明のトナーに含有される結晶性樹脂は、結着樹脂のような非晶性樹脂よりもルテニウムで染色されるため、コントラストが明瞭になり、観察が容易となる。染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分は、これらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では黒くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では白くなる。
まず、カバーガラス(松波硝子社、角カバーグラス 正方形 No.1)上にトナーを一層となるように散布し、オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。次に、PTFE製のチュー
ブ(Φ1.5mm×Φ3mm×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填し、チューブの上
に前記カバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(重量
平均粒径(D4)が8.0μmの場合は4.0μm)の長さだけ切削して、トナーの断面を出す。次に、膜厚250nmとなるように切削し、トナー断面の薄片サンプルを作製した。このよ
うな手法で切削することで、トナー中心部の断面を得ることができる。
得られた薄片サンプルを真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色し、TEM(JEOL社、JEM2800)を用いてSTEM観察を行った。
STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelにて画像を取得した。また、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Gammmaを1.00に調整して、画像を取得した
。
トナーの断面のTEM画像をもとに、結晶性ポリエステル及び離型剤のドメインの同定を、以下の手順により行う。
結晶性ポリエステル樹脂B及び離型剤を原材料として入手できる場合、それらの結晶構造を、上述のルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)におけるトナー断面の観察方法と同様にして、観察し、原材料それぞれの結晶のラメラ構造の画像を得る。それらと、トナーの断面におけるドメインのラメラ構造を比較し、ラメラの層間隔が誤差10%以下であった場合、トナーの断面におけるドメインを形成している原材料を特定することができる。
結晶性ポリエステル樹脂B及び離型剤の原材料を入手できない場合、次のように単離作業を行う。まず、トナーに対する貧溶媒であるエタノールにトナーを分散させ、結晶性ポリエステル及び離型剤の融点を超える温度まで、昇温させる。この時、必要に応じて、加圧してもよい。この時点で、融点を超えた結晶性ポリエステル樹脂B及び離型剤が溶融している。その後、固液分離することにより、トナーから、結晶性ポリエステル樹脂B及び離型剤の混合物を採取できる。この混合物を、分子量毎に分種することにより、結晶性ポリエステル樹脂B及び離型剤の単離が可能である。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂Bのドメインの個数平均径とは、TEM画像
をもとに、結晶性ポリエステル樹脂Bのドメインの長径から求められる個数平均径を意味する。
ルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)におけるトナー断面の観察により得られたTEM画像をもとに、結晶性ポリエステル樹脂Bのドメインの長径の個数平均径を計測する。その際、100個以上のトナーの断面を観察する。全てのドメインを計測し、個数平均径を算出する。得られた個数平均径を、結晶性ポリエステル樹脂Bのドメインの長径の個数平均径とする。また、計測したすべてのドメインの長径から、長径が50nm以上300nm以下であるドメインの割合を算出する。
上述の結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径の測定と同様にして、トナー断面当りに含まれる結晶性ポリエスエルのドメインの個数を計測する。これを100個以上のトナーの断面について行い、一つのトナー断面当りのドメインの個数を、結晶性ポリエステルのドメインの個数とする。
トナー内の磁性体の分散性の評価は、TEM観察によって得られた画像(明視野像)を、画像処理ソフト「Image J 1.48」にて2値化して行う。
まず、明るさ(階調255)の閾値を60に設定して2値化し、トナー断面における磁性体面積(pixel×pixel)を求める。次に、トナーの表面からトナー粒径の5%内側までの領域に位置する磁性体の面積(pixel×pixel)を求め、先に求めた磁性体全体の面積に対する割合(面積%)を算出する。
本発明では無作為に選んだ20個のトナー断面画像の2値化を行い数値化し、その平均値をもってトナーの磁性体分散性の比較評価を行った。
疎水化処理磁性体について、HORIBA製炭素・硫黄分析装置(EMIA−320V)を用いて単位重量あたりの炭素量を測定する。測定にあたっては、例えば、EMIA−320V測定時のサンプル仕込み量を0.20gとし、助燃剤としてタングステンとスズとの混合物を用いることができる。
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。本発明における水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
特級無水酢酸25.0gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
1.0モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子株式会社製 電位差滴定測定装置AT−510)を用いて求めることができる。1.00mol/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記1.00mol/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:80mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーター
終点判断電位:30dE
終点判断微分値:50dE/dmL
終点検出範囲の設定:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.5mL
粉砕した測定サンプル2.00gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.00mLを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1.00mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5.00mLで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
得られたサンプルを250mLのトールビーカーに移し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液100mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
結晶性ポリエステルBの融点は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、結晶性ポリエステル樹脂B1mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃から140℃の間で、下記の設定で測定を行う。
・昇温および降温速度10℃/min
・20℃から140℃に昇温後、140℃から20℃に降温する。更に20℃から140
℃に再昇温させる
結晶性ポリエステル樹脂Bの融点Tm(℃)は、再昇温過程の比熱変化曲線における最大吸熱ピーク温度とする。
本発明における上記非晶性ポリエステル樹脂A、及び結晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量(Mw)は、以下の手順に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定する。
室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー(株)製)で濾過して試料溶液を得る。試料溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調製する。この試料溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー(株)製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
(13−1)トナーから結着樹脂と離型剤の分離
トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、得られた可溶分から溶媒を減圧留去して、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分を得る。得られたトナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶成分をクロロホルムに溶解し、濃度25mg/mlの試料溶液を調製する。得られた試料溶液3.5mlを、下記装置に注入し、下記条件で、分子量2000未満の離型剤由来の低分子量成分と、分子量2000以上の結着樹脂由来の高分子量成分とを分取する。
分取GPC装置:日本分析工業(株)製 分取HPLC LC−980型
分取用カラム:JAIGEL 3H、JAIGEL 5H(日本分析工業(株)社製)
溶離液:クロロホルム
流速:3.5ml/min
結着樹脂由来の高分子量成分を分取した後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃雰囲気中、減圧下で24時間乾燥する。該結着樹脂成分が100mg程度得られるまで上記操作を繰り返す。
上記作業で得られた結着樹脂100mgにアセトン500mlを加え、70℃に加熱し完全に溶解させた後、徐々に25℃まで冷却して結晶性樹脂を再結晶させる。結晶性樹脂を吸引ろ過して、結晶性ポリエステル樹脂Bとろ液に分離する。
次いで、分離したろ液をメタノール500mlへ徐々に加えて、非晶性ポリエステル樹脂Aを再沈殿させる。その後、吸引ろ過器で非晶性ポリエステル樹脂Aを取り出す。
得られた非晶性ポリエステル樹脂A、及び結晶性ポリエステル樹脂Bを40℃で24時間減圧乾燥する。
試料の調製は、磁性トナー1.0gをトルエン120mlに投入したのち、超音波分散で10分間分散する。その後、マグネチックスターラーを入れて、フタをした状態で約10時間、撹拌溶解させる。上記、10時間撹拌後の試料溶液について磁力分離し、疎水化処理磁性体を得る。
非晶質ポリエステル樹脂A、及び結晶性ポリエステル樹脂Bのモノマーの種類は、トナーから分取した非晶質ポリエステル樹脂A、及び結晶性ポリエステル樹脂Bの試料を下記条件で熱分解GC/MS装置を用いて分析する。
測定装置:「Voyager」(商品名、サーモエレクトロン社製)
熱分解温度:600℃
カラム:HP−1(15m×0.25mm×0.25μm)
Inlet:300℃、Split:20.0
注入量:1.2ml/min
昇温:50℃(4min)−300℃(20℃/min)
また、非晶質ポリエステル樹脂A、及び結晶性ポリエステル樹脂Bに含有されるモノマーの質量基準の比率は、トナーから分取した非晶質ポリエステル樹脂A、及び結晶性ポリエステル樹脂Bの試料を下記条件で核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて分析する。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値から非晶質ポリエステル樹脂A、及び結晶性ポリエステル樹脂Bに含有されるモノマーの質量基準の比率を算出する。
トナーから分取した疎水化処理磁性体に含有される疎水化処理剤の種類は、トナーから分取した疎水化処理磁性体の試料を下記条件で核磁気共鳴分光分析(1H−NMR)[400MHz、CDCl3、室温(25℃)]を用いて分析する。なお、分析の前処理として、疎水化処理磁性体1gを重メタノール1mlに加え、一晩放置し、放置溶液から磁性体を除去したものを用いる。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルのピーク位置から疎水化処理剤の種類を分析して求める。
(樹脂A−1の製造)
無水トリメリット酸以外の原材料モノマーを、下記表1に示した仕込み量で混合した混合物100質量部と、触媒であるジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.52質量部と、を、
窒素導入ラインと、脱水ラインと、攪拌機と、を装備した重合タンクに入れた。次に、十号タンク内を窒素雰囲気にした後、200℃で加熱しながら6時間かけて重縮合反応を行った。更に、210℃に昇温した後、無水トリメリット酸を添加し、重合タンク内を40kPaまで減圧した後で更に縮合反応を行った。得られた樹脂の酸価、水酸基価、分子量は表1のようになった。この樹脂を樹脂A−1とする。
なお、表中のイソソルビドとは、上記式(4)の構造を持つ化合物である。
下記表1の原材料モノマー仕込み量にて、樹脂A−1と同様の操作を行い、樹脂A−2〜A−11を製造した。その際、逐次サンプリング及び測定を行い、所望の酸価になったところで重合反応を停止させ、重合タンクから取り出した。得られた樹脂の物性を下記表1に示す。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1モル当量の苛性ソーダ溶液と、鉄元素に対してケイ素元素換算で0.60質量%となる量のSiO2と、鉄元素に対してリン元素
換算で0.15質量%となる量のリン酸ソーダと、を混合した。このようにして、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。次に、水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0モル当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液のpHを7.5に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめることで、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し解砕処理することで、個数平均一次粒径(D1)が0.21μmの未処理磁性体を得た。
(シラン化合物1の調製)
イソブチルトリメトキシシラン20質量部をイオン交換水80質量部に対して攪拌しながら滴下して水溶液を調製した。その後、この水溶液のpHを5.5とし、温度40℃に保持ながら、ディスパー翼を用いて0.46m/sで2時間分散させて加水分解を行うことで、加水分解物を含有する水溶液であるシラン化合物1を得た。得られたシラン化合物の物性を表2に示す。
表2に記載するアルコキシシランを用い、加水分解率とシロキサン率とが所望の値となるように、加水分解時間及び水溶液のpHを適宜調整したこと以外は、シラン化合物1の製造方法と同様の方法により、シラン化合物2〜6を得た。得られたシラン化合物の物性
を表2に示す。
(疎水化処理磁性体1の製造)
未処理磁性体をヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社(旧三井三池化工機(株))に入れた後、回転速度34.5m/sで未処理磁性体を分散させた状態で、シラン化合物1(3.8質量部)を噴霧させながら加えた。次に、そのまま10分間分散させた後、シラン化合物1が吸着した磁性体を取り出し、160℃で2時間静かに置いた状態で処理後磁性体を乾燥すると共にシラン化合物の縮合反応を進行させた。その後、目開き100μmの篩を通過させた磁性体を疎水化処理磁性体1として得た。シラン化合物に由来する炭素量は0.53質量%であった。疎水化処理磁性体1の物性を表3に示す。
疎水化処理磁性体1の製造方法において、シラン化合物の種類を表3に記載したように適宜変更し、シラン化合物の噴霧量を適宜変更した。これにより、所望の「シラン化合物に由来する炭素量」が調整された疎水化処理磁性体2〜6を得た。なお、噴霧量及びシラン化合物が有する炭化水素基の長さと、上記炭素量は相関する。得られた疎水化処理磁性体の物性をそれぞれ下記表3に示す。
(樹脂B−1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、アルコールモノマーとして1,9−ノナンジオール185.5質量部、及びカルボン酸モノマーとしてセバシン酸230.3質量部を投入した。そして、触媒としてジオクチル酸スズをモノマー総量100質量部に対して1質量部添加し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら8時間反応させた。次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させ、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂B−1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂B−1の物性を表4に示す。
酸成分とアルコール成分の種類を表4のように変更し、各々の所望の重量平均分子量(Mw)になるまで反応を続けることを除いて、結晶性ポリエステル樹脂B−1の製造と同様に製造し、結晶性ポリエステル樹脂B−2〜B−11を製造した。結晶性ポリエステル樹脂B−1〜B−11の物性を表4に示す。
(セバシン酸ジベヘニルの製造)
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコにベンゼン1900部、セバシン酸(C10H18O4)1400部、ベヘニルアルコール(C22H46O
)、2600部、p−トルエンスルホン酸130部を加え、撹拌下10時間還流した後、水分離器より共沸留去を行った。炭酸水素ナトリウムで十分に洗浄した後、乾燥してベンゼンを留去した。生成物をベンゼンで再結晶、洗浄し、セバシン酸ジベヘニルを主体とするワックス得た。その後、減圧蒸留操作により3時間精製して、ワックス2(融点73℃)を得た。ワックス2の、DSC曲線における、最大級熱ピークの半値幅は6.0℃であった。
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコにベンゼン1900部、ベヘン酸(C22H44O2)1400部、ベヘニルアルコール(C22H46O)
1300部、p−トルエンスルホン酸130部を加え、撹拌下10時間還流した後、水分離器より共沸留去を行った。炭酸水素ナトリウムで十分に洗浄した後、乾燥してベンゼンを留去した。生成物をベンゼンで再結晶、洗浄し、ベヘン酸ベヘニルを主体とするワックス得た。その後、減圧蒸留操作により6時間精製して、ワックス1(融点71℃)を得た。ワックス1の、DSC曲線における、最大級熱ピークの半値幅は6.0℃であった。
(磁性トナー1の製造)
高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中に、0.1mol/L−Na3PO4水溶液850質量部を添加し、回転周速33m/sで撹拌しつつ60℃に加温した。ここに1.0mol/L−CaCl2水溶液68質量部を添加し、微少な
難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む水系媒体を調製した。
また、下記の材料を、プロペラ式攪拌装置を用いて混合・溶解することで溶解液を調製した。なお、下記材料を混合する際に、攪拌機の回転速度を100r/minとした。
・スチレン 75.0質量部
・n−ブチルアクリレート 25.0質量部
・非晶性ポリエステル樹脂A−1 3.0質量部
・疎水化処理磁性体1 90.0質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B−1 8.0質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.0質量部
・セバシン酸ジベヘニル 15.0質量部
その後、混合液を温度60℃に加温した後に、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社(旧特殊機化工業(株))製)にて、攪拌機の回転速度を9000r/minに設定したうえで攪拌し、固形分を溶解、分散させた。
これに重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を10.0質量部投入して混合液内で溶解させることで、重合性単量体組成物を調製した。次に、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃に加熱してからクレアミックスを回転周速33m/sで回転させながら15分間造粒させた。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100回転/minで攪拌しつつ、温度70℃で5時間反応させた後、温度85℃まで昇温し、更に4時間反応を行い、磁性トナー粒子を製造した。重合反応終了後、懸濁液を100℃まで昇温させ、2時間、保持し、加熱減圧下で残存モノマーを除去した。次いで、冷却工程として、懸濁液に氷を投入し、2分で懸濁液を100℃から20℃まで冷却した。冷却後に塩酸を添加してpHを2.0以下まで低下させることで無機微粒子を溶解させた。さらに水洗浄を数回繰り返した後、乾燥機を用いて40℃にて72時間乾燥し、その後、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級することで、磁性トナー粒子1を得た。
得られた磁性トナー粒子1(100質量部)に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ1.0部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式
会社(旧三井三池化工機(株))にて外添を行なうことで、重量平均粒径(D4)が8.1μmの磁性トナー1を得た。磁性トナー1の物性を下記表5に示す。なお、表中の非晶性ポリエステル樹脂A、疎水化処理磁性体、及び結晶性ポリエステル樹脂Bの添加量は重合性単量体を100質量部とした時の重合性単量体に対する量で得られる。
磁性トナー2の製造において、非晶性ポリエステル樹脂A−1、疎水化処理磁性体1、及び、結晶性ポリエステル樹脂B−1の種類及び量を表5のように変更したこと以外は同様に操作し、磁性トナー2〜12を得た。いずれのトナーも重量平均径(D4)は7.6μm〜8.5μmの範囲であった。
磁性トナー12の製造において、セバシン酸ジベヘニルをべヘン酸ベヘニルに変更した以外は同様に操作し、重量平均径(D4)が8.3μmの磁性トナー13を得た。
磁性トナー13の製造において、べヘン酸ベヘニルを炭化水素ワックスHNP−51(日本精蝋社製)に変更し、さらに、疎水化処理磁性体1を疎水化処理磁性体2に変更した以外は同様に操作し、重量平均径(D4)が8.2μmの磁性トナー14を得た。
磁性トナー14の製造において、冷却工程として、60分で懸濁液を100℃から20℃まで冷却するように変更した以外は同様に操作し、重量平均径(D4)が8.1μmの磁性トナー15を得た。
磁性トナー15の製造において、非晶性ポリエステル樹脂A−1、疎水化処理磁性体1、及び、結晶性ポリエステル樹脂B−7の種類及び量を表5のように変更したこと以外は同様に操作し、磁性トナー15〜26、及び、比較用磁性トナー3〜7を得た。いずれのトナーも重量平均径(D4)は7.6μm〜8.5μmの範囲であった。
下記に示される原材料を、ヘンシェルミキサーFM10C(日本コークス工業株式会社(旧三井三池化工機(株))で予備混合した。
・非晶性ポリエステル樹脂A−2 90.0質量部
・未処理磁性体 100.0質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B−8 8.0質量部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.0質量部
・炭化水素ワックスHNP−51(日本精蝋社製) 2.0質量部
その後、回転数200rpmに設定した二軸混練押し出し機(PCM−30:池貝鉄工所社製)により、混練物の出口付近における直接温度が150℃となるように設定温度を調節し、混練した。
得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物をカッターミルで粗粉砕した。その後、得られた粗粉砕物を、ターボミルT−250(ターボ工業社製)を用いて、フィード量を20kg/hrとし、排気温度が40℃になるようエアー温度を調整しながら微粉砕した。その後、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級することで、重量平均粒径(D4)が7.6μmである磁性トナー粒子28を得た。
得られた磁性トナー粒子28(100質量部)に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ1.0部をヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式
会社(旧三井三池化工機(株))にて外添を行ない、比較用磁性トナー1を得た。得られた比較用磁性トナー1の物性を表5に示す。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物704質量部、イソフタル酸296質量部及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧で230℃、8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた。これを160℃まで冷却して、30質量部の無水フタル酸を加え2時間反応させた。さらに、これを80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート188質量部と2時間反応を行い、イソシアネート含有プレポリマー(2)を得た。次にこのプレポリマー(2)267質量部とイソホロンジアミン14質量部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量66000のウレア変性ポリエステル(2)を得た。ガラス転移温度(Tg)は66℃であった。
得られたウレア変性ポリエステル(2)100質量部を酢酸エチル/エチルメチルケトン(MEK)(1/1)混合溶剤200質量部に溶解、混合した。
この溶解液に、炭化水素ワックスHNP−51(日本精蝋社製)12.0質量部、未処
理磁性体を90.0質量部、非晶性ポリエステル樹脂A−4を3.0質量部、結晶性ポリエステル樹脂B−8を8.0質量部入れてトナー材料液を得、該材料液の液温を60℃に加
温し、混合・溶解を行なった。
一方、ビーカー内にイオン交換水706質量部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム0.2質量部を入れ均一に溶解した。ついで73℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料液を投入し10分間攪拌して混合液を得た。ついで該混合液を攪拌棒及び温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、体積平均粒径が8.0μmの磁性トナー粒子29を得た。
この磁性トナー粒子29(100質量部)に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ1.0部をヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社
(旧三井三池化工機(株))にて外添を行ない、比較用磁性トナー2を得た。得られた比較用磁性トナー2の物性を表5に示す。
<輸送環境を想定した苛酷環境に放置後の凝集度変化率>
輸送環境を想定した苛酷環境に放置した後の保存安定性を評価するために凝集度変化率の評価を実施した。凝集度変化率はトナー表面への結晶性ポリエステル樹脂Bや離型剤の染み出し量を示す指標であり、凝集度変化率の大きい方が染み出し量が多く、部材に付着しやすくなることでカブリが発生しやすくなる傾向にある。本発明では、実際のカブリ評価だけでなく、凝集度変化率の評価も実施し、カブリと凝集度変化率の両方良いものを性能として優れる、として評価を行った。
約5gの磁性トナー1を100mlのポリカップに入れ、(30℃、85%RH)の環境下に10時間放置後、4時間かけて(50℃、55%RH)に変化させた。次に、1.5時間かけて(53℃、55%RH)に変化させた。さらに、1.5時間かけて(50℃、55%RH)に変化させ、4時間かけて(30℃、85%RH)に変化させた。この環境下に3時間放置させた。以上の操作を14サイクル繰り返した後トナーを取り出し凝集を確認した。ヒートサイクルのタイムチャートを図3に示す。トナーの凝集度は以下のようにして測定し、下記の基準にて評価を行った。
(1) デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2) 上記のように3日放置したトナーを、予め23℃、60%RH環境下において24時間放置し、そのうちトナー5gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3) 篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
凝集度変化率(%)=苛酷環境放置後の凝集度/苛酷環境放置前の凝集度×100
評価基準は下記の通り。
A:凝集度変化率が100%以上110%未満
B:凝集度変化率が110%以上120%未満。
C:凝集度変化率が120%以上130%未満。
D:凝集度変化率が130%以上140%未満。
E:凝集度変化率が140%以上。
約200gの磁性トナー1を500mlのポリカップに入れ、前記14サイクル(計14日間)の苛酷環境に静置して、輸送環境を想定した環境に長期静置した後のトナーを作成した。該14日間静置した後のトナーについて画像形成装置(LBP―3100、キヤノン製)を用いてカブリの評価を行った。評価にあたっては、印字速度を16枚/分から40枚/分に再設定(改造)し、さらに、トナー充填部の容積を1.5倍に変更した改造カートリッジを用いた。印字速度を40枚/分に、そしてトナー充填部の容積を1.5倍に変更する事で耐久性を厳しく評価できるからである。
この改造された画像形成装置を用いて、磁性トナー1を使用し、高温高湿環境下(32
.5℃/80%RH)にて、ベタ白画像を3枚連続で出力し、3枚目の画像を下記基準で輸送環境を想定した苛酷環境に静置後のカブリの評価に使用した。
カブリの測定では、東京電色社製の反射濃度計、REFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用した。標準紙及びプリントアウト画像の非画像部の反射率を測定し、測定結果から下記の式よりカブリを算出し、以下の基準で評価した。なお、測定で用いられるフィルターには、グリーンフィルターを用いた。
カブリ(反射率:%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
A:カブリが0.5%未満
B:カブリが0.5%以上、1.0%未満
C:カブリが1.0%以上、2.0%未満
D:カブリが2.0%以上、3.0%未満
E:カブリが3.0%以上
その後、印字率が1%の横線を1枚間欠モードで10000枚画出する試験を行った。10000枚画出する試験の後、さらにベタ白画像3枚の画出しを行い、3枚目の画像を下記基準による輸送環境を想定した苛酷環境に静置後、さらに高温高湿環境で長期使用した際のカブリの評価に使用した。
A:カブリが1.0%未満
B:カブリが1.0%以上、1.5%未満
C:カブリが1.5%以上、3.0%未満
D:カブリが3.0%以上、4.0%未満
E:カブリが4.0%以上
上記、「輸送環境を想定した苛酷環境に静置後、さらに高温高湿環境で長期使用した際のカブリ」に用いたトナーを使用して低温定着性の評価を行った。
低温定着性として低温低湿環境下(温度15℃/相対湿度10%RH)にて定着こすり試験を実施した。A4の複写機用普通紙(105g/m2)に濃度測定用の10mm×10mmの3ドット3スペース(600dpi)画像を多数有する画像(以下、ハーフトーン画像と呼ぶ)を出力し、画像濃度が0.75以上、0.80以下となるようにハーフトーン画像の濃度を調整した。次に定着器の温度を160℃に設定し直し、定着器全体が室温に冷えた状態からハーフトーン画像を出力した。得られた定着画像を、50g/cm2の加重をかけたシルボン紙で5回摺擦し、摺擦後の画像濃度の低下率を以下に基づいて評価した。なお、画像形成装置(LBP―3100、キヤノン製)は、印字速度を16枚/分から40枚/分に再設定(改造)した。
また、画像濃度の測定には、(マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用い、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、摺擦後の画像濃度の低下率を算出した。
A:2.0%未満
B:2.0%以上5.0%未満
C:5.0%以上10.0%未満
D:10.0%以上15.0%未満
E;15.0%以上
磁性トナー1の評価結果を表6に示す。
磁性トナーとして、磁性トナー2〜27、及び、比較用磁性トナー1〜8を使用し、実施例1と同様の条件で評価を行った。評価結果を表6に示す。
Claims (7)
- 樹脂、磁性体、及び離型剤を含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーであって、
該磁性体は表面を疎水化処理剤で処理された疎水化処理磁性体であり、
該磁性トナー粒子は、懸濁重合トナー粒子であり、
該樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、及びスチレンを主成分とする重合性単量体の重合体を含み、
該非晶性ポリエステル樹脂AのSP値をSP1、該疎水化処理剤のSP値をSP2、該結晶性ポリエステル樹脂BのSP値をSP3とした際に、該SP1、SP2及びSP3が以下の式(1)と式(2)の関係を満たし、
式(1) 0.55<SP3−SP2<1.20
式(2) 2.00<SP1−SP3<3.00
該磁性トナーのルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー断面において、該疎水化処理磁性体の60面積%以上がトナー表面からトナー粒径の5%内側までの領域に存在していることを特徴とする磁性トナー。 - 該結晶性ポリエステルBの酸価が、0.1mgKOH/g以上5.0mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載の磁性トナー。
- 該磁性トナーのルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー断面において、該結晶性ポリエステルBが複数のドメインを形成しており、
該ドメインのうち、長径が50nm以上300nm以下であるドメインの割合が90個数%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性トナー。 - 該離型剤が2官能のエステルワックスである請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁性トナー。
- 前記磁性トナー粒子は、前記非晶性ポリエステル樹脂A、前記結晶性ポリエステル樹脂B、前記疎水化処理磁性体、前記離型剤、及び前記スチレンを主成分とする重合性単量体を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体を重合することによって製造された磁性トナー粒子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性トナー。
- 樹脂、表面を疎水化処理剤で処理された疎水化処理磁性体、及び離型剤を含有する磁性トナー粒子を有する磁性トナーの製造方法であって、
該磁性トナー粒子は、非晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、該疎水化処理磁性体、該離型剤、及びスチレンを主成分とする重合性単量体を含有する重合性単量体組成物を調製する工程、
該重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する工程、及び
該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合する工程、
を有し、
該非晶性ポリエステル樹脂AのSP値をSP1、該疎水化処理剤のSP値をSP2、該結晶性ポリエステル樹脂BのSP値をSP3とした際に、該SP1、SP2及びSP3が以下の式(1)と式(2)の関係を満たし、
式(1) 0.55<SP3−SP2<1.20
式(2) 2.00<SP1−SP3<3.00
該磁性トナーのルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)で観察されるトナー断面において、該疎水化処理磁性体の60面積%以上がトナー表面からトナー粒径の5%内側までの領域に存在していることを特徴とする磁性トナーの製造方法。
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