以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、図1,2に示すように、車両Vにおける助手席PSの前方において、インストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)1の上面2の内部に配置されるトップマウントタイプとされている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の方向と一致するものである。
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、図1に示すように、第1実施形態の折り畳まれたエアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給する2つのインフレーター8(8L,8R)と、エアバッグ15及びインフレーター8(8L,8R)を収納保持する収納部位としてのケース12と、エアバッグ15及び各インフレーター8(8L,8R)をケース12に取り付けるための2つのリテーナ9(9L,9R)と、折り畳まれたエアバッグ15の上方を覆うエアバッグカバー6と、を備えて構成されている。
エアバッグカバー6は、合成樹脂製のインパネ1と一体的に形成されて、エアバッグ15の展開膨張時に、前後二枚の扉部6a,6bを、エアバッグ15に押されて開くように、構成されている。また、エアバッグカバー6における扉部6a,6bの周囲には、ケース12に連結される連結壁部6cが、形成されている。
2つのインフレーター8は、実施形態の場合、図13に示すように、左右方向側で並設されている。なお、実施形態では、左側に配置されるインフレーター8Lが、右側に配置されるインフレーター8Rよりも外形形状を小さく(出力を小さく)構成されるものを使用されているが、これらのインフレーター8L,8Rは、大きさが異なるのみであって、構成は同じである。各インフレーター8(8L,8R)は、図1に示すように、複数のガス吐出口8bを有した略円柱状の本体部8aと、インフレーター8をケース12に取り付けるためのフランジ部8cと、を備えて構成されている。各インフレーター8(8L,8R)は、実施形態の場合、車両Vの前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突の際に、作動するように構成されている。
収納部位としてのケース12は、上端側に上方形状の開口を有した板金製の略直方体形状に形成され、図1に示すように、各インフレーター8を下方から挿入させて取り付ける略長方形板状の底壁部12aと、底壁部12aの外周縁から上方に延びてエアバッグカバー6の連結壁部6cを係止する周壁部12bと、を備えて構成されている。実施形態の場合、エアバッグ15と各インフレーター8(8L,8R)とは、エアバッグ15内に配置させた各リテーナ9(9L,9R)の各ボルト9aを取付手段として、エアバッグ15におけるガス流入口21の周縁、ケース12の底壁部12a、及び、インフレーター8(8L,8R)のフランジ部8cを、貫通させて、ナット10止めすることにより、ケース12の底壁部12aに取り付けられている。また、実施形態では、図13に示すように、左側に配置されるリテーナ9Lを利用して、エアバッグ15の後述するアウタテザー76が、先端78側を、ケース12の底壁部12aに連結される構成である。なお、このリテーナ9L,9Rも、インフレーター8L,8Rに対応して、左側に配置されるものを右側に配置されるものより小さく設定されている(図13参照)。さらに、ケース12の底壁部12aには、車両Vのボディ側に連結される図示しないブラケットが、配設されている。
第1実施形態のエアバッグ15は、実施形態の場合、図3〜9に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体16と、バッグ本体16内に配置されてバッグ本体16の膨張完了形状を規制するテザー43,47,49,52,58,60,64,66,68,72と、アウタテザー76と、を備える構成とされている。
バッグ本体16は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされるもので、実施形態の場合、図3,4に示すように、本体膨張部17と、膨張完了時の本体膨張部17の後面側から後方に突出するように配置される突出膨張部29と、を備えている。
本体膨張部17は、図1の二点鎖線に示すように、膨張完了時に、インパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置可能な構成とされている。具体的には、本体膨張部17は、図3,5,6に示すように、膨張完了時の形状を、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱状とされるもので、膨張完了時の右前端側に、ケース12に取り付けられる取付部20を、備える構成とされている(図5参照)。すなわち、本体膨張部17は、膨張完了時の右前端側をケース12に取り付けられて、膨張完了時に、図8,13に示すように、後側の領域を、運転席DS側となる左側に張り出させるように、配置される構成である。この本体膨張部17は、膨張完了時に乗員MP側である後面側に配置される後側壁部26と、後側壁部26の周縁から前方に延びるとともに前端側にかけて上下左右の幅寸法を小さくするように収束される先細り形状の周壁部18と、を備えている。
周壁部18は、エアバッグ15の膨張完了時に、主にインパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように配置される部位であり、上下方向側で対向して配置される上壁部18a,下壁部18bと、左右方向側で対向して配置される左壁部18c,右壁部18dと、を備えている。実施形態のエアバッグ15では、膨張完了時に、左壁部18cが、後端側を左方に向けるように、前後方向に対して大きく傾斜して配置される(図8参照)。実施形態のエアバッグ15では、周壁部18における膨張完了時の前端側の部位が、エアバッグ15をケース12に取り付けるための取付部20とされている(図8参照)。この取付部20は、エアバッグ15の膨張完了時には、ケース12内に配置される部位である。取付部20における膨張完了時の下面側(下壁部18b側)には、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して、周縁をケース12の底壁部12aに取り付けられるガス流入口21が、インフレーター(8L,8R)に対応して、左右方向に沿って二つ並設されている。実施形態では、図8に示すように、左側に配置されるガス流入口21Lは、インフレーター8Lに対応して、内径寸法を、右側のガス流入口21Rより小さく設定されている。各ガス流入口21(21L,21R)の周縁には、リテーナ9(9L,9R)のボルト9aを挿通させて、各ガス流入口21(21L,21R)の周縁をケース12の底壁部12aに取り付けるための複数(実施形態の場合、4個)の取付孔22が、それぞれ、形成されている。実施形態の場合、エアバッグ15は、取付部20の左右方向の中心(ガス流入口21L,21Rの中心間の中央となる部位)を、取付中心C1(図8参照)とし、この取付中心C1を助手席PSの左右方向の中心と一致させるようにして、ケース12に取り付けられ、車両Vに搭載されている(図13参照)。また、周壁部18における左壁部18cと右壁部18dとには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気させるためのベントホール24,24が、形成されている。
また、実施形態の本体膨張部17は、図8に示すように、膨張完了時に、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1よりも左側に位置する領域を、中心線CL1より右側に位置する領域より大きくして、左側(運転席DS側)に大きく膨出するように構成されている。
後側壁部26は、エアバッグ15の膨張完了時に、乗員MP側となる後面側において、上下方向に略沿うように配置されている。実施形態の場合、後側壁部26は、図1の二点鎖線及び図5に示すように、上下の中央を後方に位置させるように、上下方向に沿って湾曲されつつ、下端側を後方に向けるように上下方向に対して僅かに傾斜して、配置されている。また、この後側壁部26は、エアバッグ15の膨張完了時の前後方向に沿った横断面において、左右方向に略沿うように配置されている(図8参照)。この後側壁部26において、左右の中央(中心線CL1)より左側の領域には、エアバッグ15の膨張完了時に、後側壁部26より後方に突出するように膨張する突出膨張部29が、配置されている(図8参照)。詳細には、突出膨張部29は、後側壁部26において、膨張完了時の左上側の部位に形成されるもので、エアバッグ15の膨張完了時に、助手席PSに着座した乗員MPの頭部MHの左斜め前方となる位置に、配置されることとなる(図13参照)。
突出膨張部29は、膨張完了時の外形形状を略直方体状として、膨張完了時の前端側で、本体膨張部17と連通されて、この前端側の連通部30を経て、本体膨張部17から内部に膨張用ガスを流入させる構成であり(図8参照)、上下両側で左右方向に略沿って配置される上壁部29a,下壁部29bと、左右両側で前後方向に略沿って配置される左壁部29c,右壁部29dと、後側において上下方向に略沿って配置される後壁部29eと、を備えている。実施形態の場合、左壁部29cは、本体膨張部17における周壁部18の左壁部18cから連なるように、構成されている(図3,8参照)。また、詳細には、突出膨張部29は、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を略一定として、上下方向側の幅寸法を、後壁部29e側にかけて僅かに小さくされるように、左右方向側から見た外形形状を、略台形状とされている(図6参照)。
突出膨張部29は、エアバッグ15の膨張完了時における前後方向に沿った横断面において、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1よりも左側(運転席DS側)の領域に、形成されるもので(図8参照)、詳細には、上下方向側から見た状態(前後方向の横断面)において、左側のガス流入口21Lよりも左方側の領域に配置される構成である。すなわち、突出膨張部29は、右壁部29dを、ガス流入口21Lより左方に位置させるように、構成されている。また、突出膨張部29は、実施形態の場合、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、本体膨張部17における後端側の領域(後側壁部26側)の膨張完了時の左右方向側の幅寸法の2/5程度に設定されている。さらに、突出膨張部29は、膨張完了時における前端側(本体膨張部17との連通部30側)の上下方向側の幅寸法L1を、本体膨張部17における後端側の領域(後側壁部26)の膨張完了時の上下方向側の幅寸法L2の1/2程度に、設定されている(図6参照)。さらに、実施形態の場合、この突出膨張部29は、エアバッグ15の膨張完了時に、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグよりも後方に突出して、配置されることとなる(図2参照)。
そして、実施形態のエアバッグ15では、突出膨張部29と、本体膨張部17における後側壁部26と、が、エアバッグ15の膨張完了時に乗員MPを保護可能な乗員保護部32を構成している。乗員保護部32は、車両Vの前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な前突用拘束面33と、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを保護可能な斜突用拘束面34と、を備える構成とされており、また、前突用拘束面33と斜突用拘束面34との間には、乗員MPの頭部MHを進入させて拘束させるための拘束用凹部35が、形成されている。
実施形態の場合、前突用拘束面33は、後側壁部26の上側の領域から構成されるもので、膨張完了時のエアバッグ15において、突出膨張部29の右側に配置される領域から、構成されている。すなわち、実施形態の場合、前突用拘束面33は、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1を超えて左側(運転席DS側)に延びる領域を備える構成とされるもので、前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを支障なく保護可能に構成されている。この前突用拘束面33は、実施形態の場合、エアバッグ15の膨張完了時に、前後方向に略沿った横断面において、中心線CL1上となる左右の中央付近を前方側に向かって僅かに凹ませるように、構成されている(図8参照)。
斜突用拘束面34は、突出膨張部29の右壁部29dから構成されている。すなわち、斜突用拘束面34は、前突用拘束面33から後方に向かって突出するように形成されるもので、実施形態の場合、斜突用拘束面34の運転席DS側となる左側のみに、配置されている。実施形態の場合、斜突用拘束面34は、エアバッグ15の膨張完了時に、前後方向に略沿うように、配置される。また、実施形態のエアバッグ15において、後側壁部26における下側の領域は、前突時に前進移動する乗員MPが頭部MHを乗員保護部32に拘束された際に、主に、乗員MPの胸部を受け止めることとなる。
前突用拘束面33と斜突用拘束面34との間に形成される拘束用凹部35は、乗員MPの頭部MHを進入させて拘束するためのものであり、実施形態の場合、突出膨張部29の右側の領域と、本体膨張部17における後側壁部26と、の境界部位に、上下方向に略沿うように形成されるとともに、実施形態の場合、図4,6,9に示すように、斜突用拘束面34よりも下方に延びるように、形成されている。拘束用凹部35は、図6,8に示すように、後端35b側のみを開口させるとともに、この開口36から連なるように配設されて頭部MHの左右に接触可能な左側壁40(中央側壁部)と右側壁41(車外側壁部)とを備える略ポケット状として構成されている。中央側壁部としての左側壁40は、図6に示すように、左右方向側から見て上下に幅広とした長尺状として、突出膨張部29の右壁部29d側から延びるように形成される。車外側壁部としての右側壁41は、左側壁40と外形形状を同一として、左右方向側から見て上下に幅広とした長尺状とされるとともに、後側壁部26側から延びるように形成される。そして、拘束用凹部35は、この左側壁40と右側壁41との上縁40a,41a相互、下縁40b,41b相互、前縁40c,41c相互を、それぞれ、結合(縫着)させることにより、上縁35c側,下縁35d側,前端35a側を閉塞させ、後端35b側を開口させたポケット状に、構成されている(図6,8参照)。拘束用凹部35は、上縁35c側を、突出膨張部29の上端と略一致させ、下縁35d側を、突出膨張部29より下方に位置させるように構成されるとともに、前端35a側(凹みの先端側)にかけての幅寸法を一定として、構成されている。拘束用凹部35は、図6に示すように、上下方向側の長さ寸法(開口36の開口幅寸法)L3を、本体膨張部17における後端側の領域(後側壁部26)の膨張完了時の上下方向側の幅寸法L2の2/3程度として、突出膨張部29における膨張完了時における前端側(元部側)の上下方向側の幅寸法L1よりも大きく、設定されている。具体的には、拘束用凹部35の上下方向側の長さ寸法は、500mm程度に設定されている。また、拘束用凹部35の前後方向側の幅寸法(深さ)W1(図6参照)は、乗員MPの頭部MHの前側を進入可能な寸法に設定されており、実施形態の場合、具体的には、100mm程度に設定されている。
また、実施形態のエアバッグ15では、内部に、拘束用凹部35の凹みの先端側(前端35a側)と、本体膨張部17の外周壁(具体的には、実施形態の場合、左壁部18cにおける前側部位18cf)とを連結する規制テザー72が、配設されており、拘束用凹部35は、エアバッグ15の膨張完了時に、この規制テザー72によって、車内側(左側)斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHの移動方向D(図14参照)に略沿って配置される構成である(図8参照)。具体的には、実施形態では、拘束用凹部35は、前後方向(取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1)に対する傾斜角度θ(図8参照)を、20°前後(15〜25°程度)として、左側斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHの移動方向Dに略沿うように、前後方向に対して傾斜して、配置される。また、実施形態の場合、拘束用凹部35は、図6,8に示すように、凹みの先端側(前端35a側)を規制テザー72に連結されて、この規制テザー72によって、エアバッグ15の膨張完了時に、上下の略全域にわたって前方に牽引されるような態様となり、エアバッグ15の膨張完了時には、図4,9,10に示すように、後端35b側の開口36の周縁部位37において右側(前突用拘束面33側)となる右側部位39(車外側縁部)における上下の中央部位付近をやや口開きさせるようにして、配置されることとなる。
バッグ本体16内には、実施形態の場合、図3〜9に示すように、テザー43,47,49,52,58,60,64,66,68,72が、配置されている。具体的には、バッグ本体16内には、本体膨張部17の領域内に配置される前後テザー43と、本体膨張部17の領域内に配置される2つの上下テザー47,49と、本体膨張部17の領域内に配置される3つの左右テザー52,58,60と、突出膨張部29の前端側における連通部30付近に配置される規制テザー64と、突出膨張部29の領域内に配置される2つの左右テザー66,68と、本体膨張部17の領域内に配置されて拘束用凹部35の向きを規制する規制テザー72と、が、配置されている。
前後テザー43は、実施形態の場合、図8に示すように、エアバッグ15の膨張完了時に、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1上に位置するように配置されるもので、ガス流入口21の周縁から延びる前側部位44と、後側壁部26側から延びる後側部位45と、を連結させるようにして、構成されている(図5,8参照)。
前側部位44は、ガス流入口21の周縁から延びるように配置されるとともに、実施形態の場合、図11に示す前側部位用基材46を折って構成されるもので、左右対称形として、バッグ本体16の膨張完了時における外形形状を、前端側を左右方向に略沿わせ、後端側を上下方向に略沿わせるような略三角錐形状に近似した立体形状とされている。実施形態の場合、前側部位44は、図8,11に示すように、前端側の領域を、バッグ本体16への連結部44aとして、この連結部44aにガス流入口21及び取付孔22に対応する開口(図符号省略)を配置させて、ガス流入口21の周縁の部位で、本体膨張部17における取付部20の下面側の部位に縫着されている。そして、前側部位44において、ガス流入口21から後方に延びる領域が、本体部44bを構成し、この本体部44bの外形形状を、略三角錐形状に近似した立体形状としている(図5,8参照)。本体部44bは、後側部位45の前端45a側に縫着される後端44c側の部位の上下の幅寸法を、後側部位45における前端45a側の部位の上下の幅寸法と、略一致させるように構成されている。
後側部位45は、シート状として、実施形態の場合、本体膨張部17における後側壁部26を構成する後中パネル93の右縁93e,後右パネル96の左縁96cから延びて、後中パネル93及び後右パネル96と一体的に構成される延設部93f,96eから、構成されている(図8,12参照)。換言すれば、後側部位45は、二枚重ね状として、それぞれ、後中パネル93,後右パネル96と一体的に構成されている。詳細には、実施形態の場合、後側部位45は、前側部位44に連結される前端45a側を狭幅として、後端45b側にかけて上下に拡開されるような略台形状として、構成されている。
この前後テザー43は、エアバッグ15の膨張完了時に、後側壁部26において前面衝突時に乗員MPを保護するための保護中心、すなわち、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1と交差する部位と、ガス流入口21の周縁部位と、の離隔距離を規制するもので、換言すれば、前突用拘束面33の左右方向の略中央と、エアバッグ15(本体膨張部17)の前端側とを連結して、膨張完了時の前突用拘束面33の後方への移動を抑制するために、配置されている。そして、実施形態では、後側壁部26は、この前後テザー43に牽引されるようにして、エアバッグ15の膨張完了時に、中心線CL1上となる位置を、上下の略全域にわたって、僅かに車両前方側に向かって凹ませて、配設されることとなる(図8参照)。
本体膨張部17内に配置される2つの上下テザー47,49は、実施形態の場合、図8に示すように、前後方向側の位置を一致させるようにして、左右方向側で並設されている。具体的には、上下テザー47,49は、本体膨張部17の前後の略中央となる位置において、間に前後テザー43を挟むようにして、前後テザー43の左右両側に、配置されている。各上下テザー47,49は、それぞれ、上壁部18aと下壁部18bとを連結するように、上下方向に略沿って配置される帯状とされている(図5参照)。また、各上下テザー47,49は、それぞれ、上下方向側で並設される2枚のテザー用基布48U,48D,50U,50Dの端部相互を結合させて構成されている(図5,11参照)。実施形態の場合、これらの上下テザー47,49は、幅方向を左右方向に略沿わせるように配置されるもので、実施形態の場合、左側に配設される上下テザー47を、若干幅広として、構成されている。これらの上下テザー47,49は、エアバッグ15の膨張完了時に、本体膨張部17における上壁部18aと下壁部18bとの離隔距離を規制して、本体膨張部17の膨張完了形状を規制するために、配置されている。
本体膨張部17内に配置される3つの左右テザー52,58,60は、実施形態の場合、図3,5,8に示すように、上下テザー47,49の前側の領域に配置されるもので、それぞれ、左壁部18cにおける前側部位18cfと右壁部18dとを連結している。これらの左右テザー52,58,60は、エアバッグ15の膨張完了時に、本体膨張部17における左壁部18cと右壁部18dとの離隔距離を規制して、本体膨張部17の膨張完了形状を規制するために、配置されている。
上側に配置される左右テザー52は、本体膨張部17の上下の中央よりやや上側となる位置に、配設されるもので、幅方向を上下方向に略沿わせるように配置される。この左右テザー52において、左壁部18c側に配設される左側部位53は、右壁部18d側から延びる右側部位54との連結部位から二又状に延ばした前側部53aと後側部53cとを有する構成とし、この前側部53aと後側部53cとの先端53b,53dを、前後方向側で並設させるようにして、左壁部18cに、前後の2箇所で連結される構成とされている(図3,6及び図8の二点鎖線参照)。この左右テザー52は、図11,12に示すように、右側部位用基材57と、2枚の左側部位用基材55,56と、から構成されている。右側部位用基材57は、両方の端部57a,57b側の幅寸法を略一致させた、略帯状として、構成されている。左側部位用基材55,56は、それぞれ、外形形状を、左壁部18cに連結される端部55a,56a側の部位を幅広として、右側部位用基材57の端部57aと連結される端部55b,56b側から拡開されるような略台形状として、構成されている。そして、後側に配設される左側部位用基材56は、端部56a側の部位を、前側に配設される左側部位用基材55における端部55a側の部位よりも幅広として、構成されている(図6,11参照)。
下側に配置される左右テザー58は、上側の左右テザー52の略直下となる部位において、本体膨張部17の上下方向の中央よりやや下方となる位置に配置されるもので、幅方向を上下方向に略沿わせるように配置される構成である(図6参照)。この左右テザー58は、図11,12に示すように、左右方向側で並設される2枚のテザー用基布59L,59Rの端部相互を結合させて構成されている。この左右テザー58は、上側の左右テザー52における右側部位用基材57よりも、幅寸法を、若干大きくして、構成されている(図12参照)。
左右テザー60は、本体膨張部17の上下方向の略中央となる位置において、左右テザー52,58間となる位置に、配置されている。この左右テザー60は、幅方向を前後方向に略沿わせるように配置されている。この左右テザー60は、図8,11,12に示すように、左右方向側で並設される2枚のテザー用基布61L,61Rの端部相互を結合させて構成されるもので、実施形態の場合、左端60a側は、エアバッグ15の製造時に、上パネル82,下パネル83の左前縁82c,83cの縫合作業時に、共縫いされて、左壁部18cの前側部位18cfに連結されている。この左右テザー60は、幅寸法を、下側の左右テザー58よりも若干大きくして、構成されている。
突出膨張部29の連通部30の部位に配置される規制テザー64は、連通部30の左右の略中央となる位置において、上下方向に略沿って配置されている(図7〜9参照)。詳細には、規制テザー64は、突出膨張部29における上壁部29aと下壁部29bとの前縁近傍部位を連結するように配置されるもので、外形形状を略帯状として、実施形態の場合、図9,11に示すように、上下方向側で並設される2枚のテザー用基布65U,65Dの端部相互を結合させて、構成されている。この規制テザー64は、突出膨張部29における本体膨張部17との境界部位付近(連通部30付近)の上壁部29aと下壁部29bとの離隔距離を規制して、突出膨張部29の膨張完了形状を規制するために、配置されている。
突出膨張部29内に配置される2つの左右テザー66,68は、前後方向側で並設されるもので、図7,8に示すように、それぞれ、突出膨張部29における左壁部29cと右壁部29dとを連結するように、幅方向を上下方向に略沿わせるようにして、左右方向に略沿って配置されている。実施形態の場合、図8に示すように、前側に配置される左右テザー66は、規制テザー64の後側に近接して配設されるもので、右端66b側を、突出膨張部29の右壁部29dの前端側であって、拘束用凹部35の開口36付近、詳細には、拘束用凹部35における左側壁40の後縁40d付近に連結させ、左端66a側を、突出膨張部29の左壁部29cにおける前端付近であって、本体膨張部17と突出膨張部29との境界部位付近に連結させて、エアバッグ15の膨張完了時に、左端66a側を後方に位置させるように、左右方向に対して僅かに傾斜して配置される(図8参照)。後側に配置される左右テザー68は、右端68b側を、左右テザー66の右端66bの後側となる位置であって、突出膨張部29の右壁部29dにおける前後の略中央となる位置に連結させ、左端68a側を、左右テザー66の左端66aとともに、本体膨張部17と突出膨張部29との境界部位付近に連結させて、エアバッグ15の膨張完了時に、右端68b側をやや後方に位置させるように、左右方向に対して僅かに傾斜して配置される(図8参照)。実施形態の場合、各左右テザー66,68は、図8,9,12に示すように、それぞれ、左右方向側で並設される2枚のテザー用基布67L,67R,69L,69Rの端部相互を結合させて、構成されている。これらの左右テザー66,68は、幅方向を上下方向に略沿わせるように配置されるとともに、右端66b,68bを、前後にずらした状態で、それぞれ、突出膨張部29の右壁部29dに連結させていることから、エアバッグ15の膨張完了時における右壁部29dの前半分程度の領域を、前後上下に広い範囲で規制することができて(図10参照)、エアバッグ15の膨張完了時に、斜突用拘束面34を構成する右壁部29dを、前後方向に略沿わせるようにして配置させることができる。
エアバッグ15の膨張完了時における拘束用凹部35の向きを規制する規制テザー72は、実施形態の場合、図8に示すように、本体膨張部17の領域内において拘束用凹部35から左斜め前方に延びるように、配設されている、この規制テザー72は、拘束用凹部35の凹みの先端側(前端35a側)と、本体膨張部17の膨張完了時における左壁部18cの前側部位18cfと、を連結するようにして、エアバッグ15の膨張完了時において、拘束用凹部35から連なって延びるように、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHの移動方向Dに略沿って配置される構成である。具体的には、実施形態では、規制テザー72及び拘束用凹部35は、上述したごとく、前後方向(取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1)に対する傾斜角度θ(図8参照)を、20°前後(15〜25°程度)として、前後方向に対して傾斜して、配置される。実施形態では、規制テザー72は、図6,8に示すように、本体膨張部17側から延びる前側部位73と、拘束用凹部35側から延びる後側部位74と、を連結させるようにして、構成されている。前側部位73は、帯状の一枚の前側部位用基材75から、構成されている。後側部位74は、拘束用凹部35の左側壁40及び右側壁41を構成する凹部用部位91,94から延びる延設部91e,94dから、構成されている(図6,12参照)。後側部位74(延設部91e,94d)は、実施形態の場合、凹部用部位91,94の上下の略全域から前方に延びて、先端74a側にかけて狭幅とされる略台形状として、先端74a側を、前側部位73(前側部位用基材75)の後端73b側に連結される構成である。前側部位73(前側部位用基材75)の前端73a側は、実施形態の場合、左壁部18cにおける前側部位18cfに、結合(縫着)されるもので、エアバッグ15の製造時に、左壁部18cの前側部位18cfを構成する上パネル82,下パネル83の左前縁82c,83cの縫合作業時に、共縫いされて、左壁部18cの前側部位18cfに連結されている(図8参照)。また、この前側部位73(前側部位用基材75)は、左右テザー60におけるテザー用基布61Lに一部を重ねられるように配置されて、左前縁82c,83cと共縫いされることとなる。そして、規制テザー72は、エアバッグ15の膨張完了時に、図6,8に示すごとく、前側部位73を中間部位で捩るようにして、後側部位74を上下方向に略沿わせ、前側部位73の前端73a側を左右方向に略沿わせるようにして配置されることとなる。この規制テザー72は、長さ寸法(前側部位73の前端73aから後側部位74の元部74bまでの距離)を、実施形態の場合、エアバッグ15の膨張完了時に、拘束用凹部35を前方に牽引しつつ、かつ、拘束用凹部35の後端35b側の開口36の周縁部位37の口開きを抑制しないような寸法に、設定されている。
アウタテザー76は、バッグ本体16の膨張完了時の前左側の領域を、ケース12側に連結させるもので、実施形態の場合、図3,8に示すように、本体膨張部17における左壁部18cの前側部位18cfから、エアバッグ15の外方に延びるように、突出して形成されている。このアウタテザー76は、左壁部18cの前側部位18cfから、ケース12側となる右斜め前方に向かって延びるように、バッグ本体16の下面側に配置されるもので、先端78側を、エアバッグ15をケース12に取り付けるリテーナ9Lを利用して、エアバッグ15の取付部20とともに、ケース12側に固定される構成である(図13参照)。実施形態の場合、アウタテザー76の元部端77は、エアバッグ15の製造時に、上パネル82,下パネル83の左前縁82c,83cの縫合時に、共縫いされて、左壁部18cの前側部位18cfに連結されている。詳細には、実施形態の場合、アウタテザー76の元部端77は、左右テザー60におけるテザー用基布61L、及び、規制テザー72を構成する前側部位用基材75(前側部位73)の一部に、重ねられるようにして、左前縁82c,83cと共縫いされる構成である。すなわち、アウタテザー76は、規制テザー72の前端73a近傍となる位置から延びるように、配設される構成である。アウタテザー76の先端78側には、インフレーター8Lの本体部8aを挿通可能な略半円形状に切り欠かれた凹部78aと、リテーナ9Lのボルト9aを挿通可能な2つの挿通孔78b,78bと、が、形成されている。このアウタテザー76は、左壁部18cの前側部位18cfとケース12とを連結することにより、ケース12から後左方に向かって大きく突出するように展開するエアバッグ15(バッグ本体16)を、後方への過度の突出を抑制して、安定して膨張させるために、配置されている。
バッグ本体16は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に構成されるもので、実施形態の場合、図11,12に示すように、膨張完了時に上側に配置される上パネル82、膨張完了時に下側に配置される下パネル83、膨張完了時に左側に配置される左パネル84、膨張完了時に右側に配置される右パネル87、膨張完了時に後側に配置される後左パネル89,後中パネル93,後右パネル96、突出膨張部29の上側から後側を経て下側にかけての部位を構成する突出部用メインパネル97、突出膨張部29の右側の部位を構成する突出部用右パネル103、の9枚の基布から、構成されている。なお、ガス流入口21の周縁や取付部20を構成する部位等には、これらの部位を補強する補強布が、適宜配設される構成であるが、実施形態では、図示を省略する。
上パネル82は、膨張完了時の本体膨張部17における上壁部18aと、左壁部18cの前側部位18cfにおける上側の領域と、を、構成するもので、下パネル83は、膨張完了時の本体膨張部17における下壁部18bと、左壁部18cの前側部位18cfにおける領域と、を構成している。上パネル82と下パネル83とは、外形形状を略同一として、略六角形状とされている。
左パネル84は、膨張完了時の本体膨張部17において左壁部18cの後側の領域から突出膨張部29の左壁部29cにかけての部位を、構成するもので、図12に示すように、本体膨張部17の左壁部18cの後側の領域を構成する略平行四辺形状の本体部85の後端側に、突出膨張部29の左壁部29cを構成する略長方形状の突出部86を、連結させて構成されている。右パネル87は、膨張完了時の本体膨張部17における右壁部18dの領域を構成するもので、外形形状を扁平な略三角形状とされている。
後左パネル89,後中パネル93,後右パネル96は、膨張完了時の本体膨張部17における後側壁部26の部位を、左右で分割するように構成されている。実施形態の場合、後左パネル89と後中パネル93とが、後側壁部26において、取付中心C1を通る前後方向に沿った中心線CL1から左側の領域を構成し、後右パネル96が、後側壁部26において、中心線CL1から右側の領域を構成している。後左パネル89は、後側壁部26において、突出膨張部29の下側に配置される部位を構成するもので、後側壁部26における突出膨張部29の下側の領域を構成する本体部90と、拘束用凹部35の左側壁40を構成する凹部用部位91と、を備える構成とされている。本体部90は、略長方形状とされている。凹部用部位91は、外形形状を長手方向を上下方向に沿わせた略長方形状とされて、本体部90の右上側から右上方に突出するように、配設される。また、後左パネル89において凹部用部位91の左上側には、突出部用右パネル103に形成される連結片104とともに、後中パネル93の上左縁93cに連結される連結片92が、上方に突出するように、形成されている。後中パネル93は、後側壁部26において、突出膨張部29の右側の部位を構成するもので、外形形状を、長手方向を上下方向に沿わせた略長方形状とされている。後中パネル93の左縁側には、拘束用凹部35の右側壁41を構成する凹部用部位94が、左方に突出するように、形成されている。また、後中パネル93の右縁93e側には、前後テザー43の後側部位45を構成する延設部93fが、形成されている。後右パネル96は、外形形状を、長軸を上下方向に沿わせた略半楕円形状として構成されるもので、左縁96c側に、前後テザー43の後側部位45を構成する延設部96eを、配設させている。
突出部用メインパネル97は、膨張完了時の突出膨張部29において、上壁部29aの部位を構成する上壁用部位98と、後壁部29eの部位を構成する後壁用部位99と、下壁部29bの部位を構成する下壁用部位100と、を備える構成であり、この上壁用部位98,後壁用部位99,下壁用部位100を直列的に並べた略帯状として構成されている。突出部用右パネル103は、膨張完了時の突出膨張部29における右壁部29dの部位を構成するもので、外形形状を、後縁103d側にかけて僅かに狭幅とされる略台形状として、構成されている。また、突出部用右パネル103の上端側には、後左パネル89に形成される連結片92とともに、後中パネル93の上左縁93cに連結される連結片104が、上方に突出するように、形成されている。
実施形態では、バッグ本体16を構成する上パネル82,下パネル83,左パネル84,右パネル87,後左パネル89,後中パネル93,後右パネル96,突出部用メインパネル97,突出部用右パネル103、前後テザー43の前側部位44を構成する前側部位用基材46、上下テザー47,49を構成するテザー用基布48U,48D,50U,50D、左右テザー52を構成する左側部位用基材55,56,右側部位用基材57、左右テザー58,60を構成するテザー用基布59L,59R,61L,61R、規制テザー64を構成するテザー用基布65U,65D、左右テザー66,68を構成するテザー用基布67L,67R,69L,69R、規制テザー72の前側部位73を構成する前側部位用基材75、及び、アウタテザー76は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。
そして、実施形態のバッグ本体16は、図5〜9,11,12に示すように、上パネル82,下パネル83,左パネル84,右パネル87,後左パネル89,後中パネル93,後右パネル96,突出部用メインパネル97,突出部用右パネル103の対応する縁部相互を、縫合糸を用いて縫着(結合)させることにより、袋状とされている。具体的には、上パネル82の前縁82a,左前縁82c,右前縁82eは、それぞれ、下パネル83の前縁83a,左前縁83c,右前縁83eと結合される。上パネル82の後縁82bは、突出部用メインパネル97における上壁用部位98の前縁98a、突出部用右パネル103の連結片104、後左パネル89における連結片92、後中パネル93の上縁93a、及び、後右パネル96の上縁96aと、結合される。上パネル82の左後縁82dは、左パネル84における本体部85の前上縁85aと結合され、上パネル82の右後縁82fは、右パネル87の上縁87aと結合される。下パネル83の後縁83bは、後左パネル89における本体部90の下縁90b、後中パネル93の下縁93b、及び、後右パネル96の下縁96bと、結合される。下パネル83の左後縁83dは、左パネル84における本体部85の前下縁85bと結合され、下パネル83の右後縁83fは、右パネル87の下縁87bと結合される。左パネル84における本体部85の後縁85cは、後左パネル89における本体部90の左縁90cと結合される。左パネル84における突出部86の上縁86a,下縁86b,後縁86cは、それぞれ、突出部用メインパネル97における上壁用部位98の左縁98b,下壁用部位100の左縁100b,後壁用部位99の左縁99aと、結合される。右パネル87の後縁87cは、後右パネル96の右縁96dと、結合される。後左パネル89における本体部90の上縁90aは、突出部用メインパネル97における下壁用部位100の前縁100aと結合され、本体部90の右縁90dは、後中パネル93の下左縁93dと結合される。後左パネル89における凹部用部位91の上縁91a,下縁91b,右縁91dは、それぞれ、後中パネル93における凹部用部位94の上縁94a,下縁94b,左縁94cと、結合される。凹部用部位91の左縁91cは、突出部用右パネル103の前縁103cと結合される。後中パネル93の上左縁93cは、後左パネル89の連結片92及び突出部用右パネル103の連結片104と、結合される。後中パネル93の右縁93eは、後右パネル96の左縁96cと結合される。突出部用メインパネル97における上壁用部位98の右縁98c,後壁用部位の右縁99b,下壁用部位100の右縁100cは、それぞれ、突出部用右パネル103の上縁103a,後縁103d,下縁103bと、結合される。
助手席PSの左側の運転席DSの前方に配置されるステアリングホイール105には、ステアリングホイール用エアバッグ装置108が、搭載されている。ステアリングホイール用エアバッグ装置108は、ステアリングホイール105の中央のボス部106に折り畳まれて収納されるステアリングホイール用エアバッグ109(以下「エアバッグ」と省略する)と、エアバッグ109に膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、を備えている。エアバッグ109は、可撓性を有したシート体から形成される袋状として、図示しないインフレーターの作動時に、インフレーターからの膨張用ガスを内部に流入させて、ステアリングホイール105の上面(後面)を全面にわたって覆うように膨張する構成である(図2の二点鎖線及び図15参照)。なお、ステアリングホイール用エアバッグ装置108の図示しないインフレーターも、助手席用エアバッグ装置Mのインフレーター8L,8Rと同様に、車両Vの前面衝突時と、斜め衝突時と、オフセット衝突時と、の際に、作動するように構成されている。
次に、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。まず、エアバッグ15をリテーナ9L,9Rを内部に挿入させた状態で、ケース12内に収納可能に折り畳み、エアバッグ15から突出しているリテーナ9Lのボルト9aを、アウタテザー76の挿通孔78bに挿通させる。そして、折り畳んだエアバッグ15の周囲を、折り崩れしないように、破断可能な図示しないラッピングシートによりくるむ。次いで、折り畳んだエアバッグ15をケース12の底壁部12aに載置させる。インフレーター8L,8Rの本体部8aを、底壁部12aの下方から、ケース12内に挿入させるとともに、底壁部12aから下方に突出している各リテーナ9L,9Rのボルト9aを、インフレーター8L,8Rのフランジ部8cに挿通させる。その後、インフレーター8L,8Rのフランジ部8cから突出した各ボルト9aにナット10を締結させれば、折り畳んだエアバッグ15とインフレーター8L,8Rとを、ケース12に取り付けることができる。また、このとき、アウタテザー76の先端78側も、ケース12に連結させることができる。
そして、車両Vに搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー6の連結壁部6cに、ケース12の周壁部12bを係止させ、ケース12の図示しないブラケットを、車両Vのボディ側に固定させれば、助手席用エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、車両Vに搭載した状態で、車両Vの前面衝突時、斜め衝突時、若しくは、オフセット衝突時に、インフレーター8(8L,8R)のガス吐出口8bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開かせることとなる。そして、エアバッグ15は、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開いて形成される開口を経て、ケース12から上方へ突出するとともに、車両後方側に向かって突出しつつ展開膨張して、図1,2の二点鎖線及び図13,15に示すように、インパネ1の上面2とインパネ1上方のウィンドシールド4との間を塞ぐように、膨張を完了させることとなる。また、このとき、ステアリングホイール105用のエアバッグ109も、内部に膨張用ガスを流入させて、ステアリングホイール105の上面(後面)を覆うように、膨張を完了させることとなる(図15参照)。
そして、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、第1実施形態のエアバッグ15の乗員保護部32において、前突用拘束面33と斜突用拘束面34との間に、乗員MPの頭部MHを進入させて拘束するための拘束用凹部35が、前方側に凹んで形成されている。そのため、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時におけるエアバッグ15の膨張完了時に、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを、図14及び図15のBに示すように、拘束用凹部35内に進入させるようにして拘束することができる。このとき、乗員MPの頭部MHの少なくとも一部が、拘束用凹部35を左右に押し開きつつ、拘束用凹部35内に進入することとなり、拘束用凹部35の左右方向側で対向する中央側壁部としての左側壁40と車外側壁部としての右側壁41との内側面から構成される広い拘束面によって、乗員MPの頭部MHを、前側から、左右両側にかけて、受け止めることができ、拘束用凹部35によって、頭部MHの前方移動する運動エネルギーを的確に吸収しつつ、頭部MHを内部に進入させるように、受け止めることができる。
さらに、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ15内に、拘束用凹部35の凹みの先端(前端35a)側と、エアバッグ15の外周壁(左壁部18cの前側部位18cf)と、を連結する規制テザー(テザー)72が、配設されていることから、エアバッグ15の膨張完了時に、規制テザー72によって、拘束用凹部35の凹んだ状態を的確に維持することができ、また、エアバッグ15の展開膨張時における拘束用凹部35の前後移動(前後の揺動)も、防止することができて、迅速に拘束用凹部35を所定位置に配置させることができる。さらにまた、この規制テザー72によって、拘束用凹部35は、図13に示すように、エアバッグ15の膨張完了時に、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHの移動方向に略沿うように、配置される構成であることから、乗員MPの頭部MHは、図14に示すように、拘束用凹部35の凹みの方向に略沿うように、拘束用凹部35内に進入することとなる。そのため、乗員MPの頭部MHが、拘束用凹部35の左右の左側壁40,右側壁41のどちらか一方に大きく干渉することを、抑制され、拘束用凹部35は、左右の左側壁40,右側壁41で略均等に、乗員MPの頭部MHを受け止めることが可能となる。その結果、拘束用凹部35により、左右方向への回転を抑制して、乗員MPの頭部MHを受け止めることができる。
したがって、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、斜め前方に向かって移動する乗員MPを、膨張を完了させたエアバッグ15によって円滑に保護することができる。また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、車両Vの前面衝突時には、前突用拘束面33によって、乗員MPの頭部MHを受け止めることとなる。
また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ15が、先端78側をケース12側に連結されるアウタテザー76を、備える構成とされ、このアウタテザー76は、エアバッグ15の外周壁(左壁部18cの前側部位18cf)において、規制テザー72の前端73aを縫着(連結)させている部位の近傍から延びるように、配設される構成である(図3,8,13参照)。そのため、エアバッグ15の膨張完了時において、規制テザー72の前端73a近傍の部位を、アウタテザー76によってケース12側に牽引させることができることから、エアバッグ15の展開膨張時に、規制テザー72自体の前後移動を抑制することができて、エアバッグ15の展開膨張時における拘束用凹部35の前後移動(前後の揺動)を、一層的確に抑制することができる。
さらに、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、エアバッグ15が、本体膨張部17の後側壁部26から突出する突出膨張部29を備える構成とされ、この突出膨張部29の右壁部29dを、斜突用拘束面34としている。すなわち、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、斜突用拘束面34は、後側壁部26から構成される前突用拘束面33から後方に向かって突出するように、配置される構成である。そのため、エアバッグ15の膨張完了時に、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを、拘束用凹部35より後方に突出して配置される斜突用拘束面34によって受け止め、この斜突用拘束面34に沿って前方に移動させることにより、拘束用凹部35側に案内させることができることから、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを、拘束用凹部35によって一層安定して受け止めることができる。
さらにまた、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、拘束用凹部35が、斜突用拘束面34よりも上下方向の少なくとも一方側に延びるように、形成されている。実施形態の場合、拘束用凹部35は、上端側を、斜突用拘束面34(突出膨張部29)の上端と略一致させ、斜突用拘束面34(突出膨張部29)よりも下方に延びるように、形成されている。すなわち、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、拘束用凹部35が、斜突用拘束面34よりも上下方向側の幅寸法を大きく設定されることから、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHが、上下方向側で多少ずれても、乗員MPの頭部MHを、上下に長く延びるように形成されている拘束用凹部35の内部に、円滑に進入させることができる。さらに、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、拘束用凹部35が、斜突用拘束面34に対して上下方向の幅寸法を大きくして、上下に長く配置されていることから、膨張完了時に、図4,10,13に示すように、後端35b側(開口36の周縁部位37)を口開きさせやすく、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHが、左右方向側で多少ずれるようにして、拘束用凹部35近傍の部位に当接することとなっても、乗員MPの頭部MHを、拘束用凹部35の内部に円滑に進入させることができる。実施形態のエアバッグ15では、膨張完了時に、拘束用凹部35の開口36周縁における右側の領域(周縁部位37の右側部位39)が、大きく口開されることとなる。
詳細に説明すれば、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mに使用されるエアバッグ15では、拘束用凹部35における開口36の周縁部位37において、左側部位38(中央側縁部)側には、突出膨張部29が近接して配置される構成である。拘束用凹部35を設ける場合、拘束用凹部35における開口36の周縁部位37には、エアバッグ15の膨張に伴って、後側壁部26の外周面に左右方向に略沿うように発生する張力が、周縁部位37を外方に引っ張るように作用することとなり、拘束用凹部35を上下方向の幅寸法を大きくして、長尺状とすれば、このような張力が、周縁部位37の上下の中央付近に大きく作用することとなって、開口36の周縁部位37は、上下の中央付近を離隔させるようにして大きく口開きされるような態様となる。しかしながら、実施形態のエアバッグ15では、拘束用凹部35における開口36の周縁部位37における左側部位38(中央側縁部)側には、突出膨張部29が近接して配置されることから、このような張力は、左側部位38側には作用し難く、開口36の周縁部位37における右側部位39(車外側縁部)側に大きく作用することとなる。そして、実施形態のエアバッグ15では、膨張完了時に、拘束用凹部35における開口36の右側の領域、すなわち、周縁部位37における右側部位39が、上下の中間部位を左側部位38から離隔させるように、口開きされるようにして、配置されることとなる。
次に、第2実施形態のエアバッグ115について、説明をする。この第2実施形態のエアバッグ115は、図16〜18に示すように、拘束用凹部35Aの外形形状を異ならせるとともに、拘束用凹部35Aの開口36Aの周縁部位37Aと前後テザー43Aとの離隔距離を規制する規制テザー117を配設させる以外は、第1実施形態のエアバッグ15と同一の構成である。そのため、このエアバッグ115において、拘束用凹部35Aを含めて、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。
この第2実施形態のエアバッグ115における乗員保護部32Aにおいて、前突用拘束面33Aと斜突用拘束面34Aとの間に形成される拘束用凹部35Aは、図16,17に示すように、上下方向側の長さ寸法(開口36Aの開口幅寸法)を、突出膨張部29Aの前端側(元部側)の部位の上下方向側の幅寸法より、若干小さくされて、突出膨張部29Aと上下の中心を略一致させるように、配置されている。この拘束用凹部35Aは、上下方向側の幅寸法を異ならせている以外は、前述のエアバッグ15における拘束用凹部35と同様の構成である。拘束用凹部35Aは、後述する後左パネル121の凹部用部位123と、突出部用右パネル125に形成される凹部用部位126と、の、上縁123a,126a相互、下縁123b,126b相互、前縁123c,126c相互を、結合させることにより、後端35b側を開口させたポケット状とされている。また、この第2実施形態のエアバッグ115では、膨張完了時に拘束用凹部35Aの向きを規制する規制テザー72Aにおいて、後側部位74を構成する各延設部123d,126dは、下端近傍部位に、前側部位73Aを連結させる構成とされている(図20参照)。すなわち、エアバッグ115では、規制テザー72Aは、拘束用凹部35Aの前端35a側における下端側の領域から延びるように、配設される構成である。
第2実施形態のエアバッグ115において、拘束用凹部35Aの開口36Aの周縁部位37Aと前後テザー43Aとの離隔距離を規制する規制テザー117は、実施形態の場合、図18に示すように、開口36Aの周縁部位37Aにおける右側部位39A(前突用拘束面33Aとの境界部位)と、前後テザー43Aにおける後側部位45Aの前端45a側と、を連結して、両者の離隔距離を規制している。具体的には、規制テザー117は、拘束用凹部35A側から延びる左側部位118と、前後テザー43A側から延びる右側部位119と、の端部相互を連結させるように構成されるもので、規制テザー117は、図20に示すように、左側部位118の一端側となる左端117a側を幅広として、この左端117a側を、拘束用凹部35Aの右側壁41の後縁41d(周縁部位37Aにおける右側部位39A付近の部位)の上下の中央付近に、縫合糸を用いて縫着される構成である。規制テザー117の右縁117bは、前後テザー43Aにおける後側部位45Aの前端45a側に、縫着される。この規制テザー117は、エアバッグ115の膨張完了時に、左端117aを後上側に位置させるように、傾斜して配置される構成である。また、この規制テザー117は、長さ寸法を、エアバッグ115の膨張完了時に、拘束用凹部35Aの開口36Aの周縁部位37における右側部位39A(前突用拘束面33Aとの境界部位)を、前右側に向かって牽引して、口開きさせて配置可能な長さ寸法に、設定されている。
この第2実施形態のエアバッグ115を構成する基布は、図19,20に示すように、後側壁部26Aにおける左側の領域を構成する後左パネル121と、突出膨張部29Aの右壁部29dを構成する突出部用右パネル125以外は、前述のエアバッグ15を構成する基布と同様の構成であることから、同一の部材には同一の図符号の末尾に「A」を付して、詳細な説明を省略する。
後左パネル121は、膨張完了時の本体膨張部17Aにおける後側壁部26Aにおいて、取付中心C2を通る前後方向に沿った中心線CL2(図21参照)から左側の領域を構成するもので、図20に示すように、突出膨張部29Aを連通させるように、左上側の領域を切り欠かれたような形状とされ、この切欠凹部122の領域に、拘束用凹部35Aの左側壁40Aを構成する凹部用部位123を、配設させて構成されている。後左パネル121の右縁121d側には、前後テザー43Aの後側部位45Aを構成する延設部121eが、形成されている。
突出部用右パネル125は、膨張完了時の突出膨張部29Aにおける右壁部29dの部位を構成するもので、図20に示すように、拘束用凹部35Aの右側壁41Aを構成する凹部用部位126を備える以外は、外形形状を、前述の突出部用右パネル103と略同一とされている。凹部用部位126は、突出部用右パネル125の前縁125dから突出するように、形成される。
この第2実施形態のエアバッグ115のバッグ本体16Aにおいて、後左パネル121の上縁121aは、上パネル82Aの後縁82bの一部と結合され、下縁121bは、下パネル83Aの後縁83bの一部と結合される。後左パネル121の左縁121cは、左パネル84Aにおける本体部85Aの後縁85cと結合される。後左パネル121の右縁121dは、後右パネル96Aの左縁96cと結合される。後左パネル121における切欠凹部122の下縁122aは、突出部用メインパネル97Aにおける下壁用部位100Aの前縁100aと結合される。切欠凹部122の右縁122bは、突出部用右パネル125における前縁125dと結合される。突出部用右パネル125の上縁125a,後縁125c,下縁125bは、それぞれ、突出部用メインパネル97Aにおける上壁用部位98Aの右縁98c,後壁用部位99Aの右縁99b,下壁用部位100Aの右縁100cと、結合される。
この第2実施形態のエアバッグ115を使用した助手席用エアバッグ装置において、エアバッグ115の膨張完了時に、拘束用凹部35Aは、図21に示すように、規制テザー72Aによって、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHの移動方向に略沿うように、配置されるとともに、後端35b側の開口36Aを、周縁部位37Aにおける右側部位39A(前突用拘束面33Aとの境界部位付近)を斜突用拘束面34A側(突出膨張部29A)から離隔させるように、口開きされた状態で、配置されることとなる。詳細には、第2実施形態のエアバッグ115では、膨張完了時に、拘束用凹部35Aが、規制テザー117によって、開口36Aの周縁部位37Aにおける前突用拘束面33Aとの境界部位付近(右側部位39A)を、前後テザー43A側に牽引されるような態様となって、周縁部位37Aにおける右側部位39A(前突用拘束面33Aとの境界部位付近)を斜突用拘束面34A側(突出膨張部29A)から離隔させるようにして、後端35b側の開口36Aが、口開きされるような状態で、配置されることとなる。そのため、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHが、左右方向側で多少ずれるようにして、拘束用凹部35A近傍の部位に当接することとなっても、乗員MPの頭部MHを、後端側の開口36Aを口開きさせるように配置されている拘束用凹部35Aの内部に円滑に進入させることができる。
次に、第3実施形態のエアバッグ130について、説明をする。この第3実施形態のエアバッグ130は、図22〜24に示すように、拘束用凹部132における開口133の周縁部位134の外形形状を異ならせるとともに、拘束用凹部132の開口133の周縁部位134における右側部位136と後側壁部26Bとを連結するテザー138を配設させる以外は、第1実施形態のエアバッグ15と同一の構成である。そのため、このエアバッグ130において、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「B」を付して、詳細な説明を省略する。
この第3実施形態のエアバッグ130における乗員保護部32Bにおいて、前突用拘束面33Bと斜突用拘束面34Bとの間に形成される拘束用凹部132は、図22,23に示すように、開口133の周縁部位134における右側部位136の外形形状を異ならせる以外は、外形形状を、前述のエアバッグ15における拘束用凹部35と同様に構成されることから、開口133の周縁部位134以外は、図符号の末尾に「B」を付して、詳細な説明を省略する。この第3実施形態のエアバッグ130における拘束用凹部132では、開口133の周縁部位134における右側部位136が、左側部位135と比較して、上縁134aと下縁134bとを結ぶ膜長を長くするように、湾曲して形成される構成である。詳細に説明すれば、この第3実施形態のエアバッグ130では、拘束用凹部132における開口133の周縁部位134において、左側部位135は、上縁134aと下縁134bとを結ぶように直線状に構成され、右側部位136は、上下の中央側を右側に突出させるように、湾曲して、上縁134aと下縁134bとを結ぶ膜長を、左側部位135よりも長く設定される構成である(図23参照)。さらに詳細には、右側部位136は、上下の中央側において上下方向に略沿って配設される直線部136aと、直線部136aの両端末と上縁134a若しくは下縁134bとを結ぶように略円弧状に湾曲している上側湾曲部136b及び下側湾曲部136cと、を、備える構成とされている。
開口133の周縁部位134における右側部位136と後側壁部26Bとを連結させるテザー138は、図23,26に示すように、上下方向側を幅広とした長尺状として構成されるもので、構成されるもので、右側部位136における上下の中央側の領域と、後側壁部26Bにおける中心線CL3を通る部位(中央部位)と、を連結して、両者の離隔距離を規制している(図23,24参照)。具体的には、テザー138は、左端138a側を、右側部位136の上下の中央側の直線部136aに、縫合糸を用いて縫着され、右端138b側を、後側壁部26Bにおける中央部位に、縫着される構成である。さらに詳細には、テザー138の左端138aは、後述する後中パネル140における切欠凹部143の左縁143aと右縁143bとを縫着させて開口133の周縁部位134における右側部位136を形成する際に共縫いされ、右端138bは、後中パネル140における本体部141の右縁141eと後右パネル96Bの左縁96cとを縫着させる際に共縫いされる構成である。このテザー138は、長さ寸法(左端138aと右端138bとの離隔距離)を、後中パネル140において、切欠凹部143の右縁143bと、本体部141の右縁141eと、の離隔距離と略一致させて構成される。そして、このテザー138は、エアバッグ130の膨張完了時に、後側壁部26Bの内周面側において、左右方向に略沿って配設されて、拘束用凹部132の開口133の周縁部位134における右側部位136を、右方に向かって牽引することとなり、拘束用凹部132は、エアバッグ130の膨張完了時に、左側部位135と右側部位136との間に開口133を設けるようにして、配置されることとなる(図24参照)。この拘束用凹部132は、後左パネル89Bの凹部用部位91Bと、後述する後中パネル140の凹部用部位142と、の、上縁91a,142a相互、下縁91b,142b相互、右縁91d,左縁142c相互を、結合させ、また、後中パネル140における切欠凹部143の左縁143a,右縁143b相互を結合させることにより、開口133の周縁部位134における右側部位136を湾曲させて、後端132b側を大きく開口させたポケット状とされている。この拘束用凹部132は、上下方向側の長さ寸法(開口133の開口幅寸法)及び前後方向側の幅寸法(深さ)を、前述のエアバッグ15における拘束用凹部35と略同一に設定されている。
この第3実施形態のエアバッグ130を構成する基布は、図25,26に示すように、後中パネル140以外は、前述のエアバッグ15を構成する基布と同様の構成であることから、同一の部材には同一の図符号の末尾に「B」を付して、詳細な説明を省略する。
後中パネル140は、図26に示すように、後側壁部26Bを構成する本体部141と、凹部用部位142と、を跨ぐように切欠凹部143を備えている以外は、外形形状を、前述のエアバッグ15を構成する後中パネル93と同一とされている。切欠凹部143は、中心を凹部用部位142と本体部141との境界部位に一致させて、長手方向を上下方向側に沿わせた略長円状として、凹部用部位142と本体部141との一部を均等に切り欠くように形成されるもので、この切欠凹部143の左縁143aと右縁143bとを縫着させることにより、拘束用凹部132の開口133の周縁部位134における右側部位136が、形成される。
この第3実施形態のエアバッグのバッグ本体16Bにおいて、後中パネル140における本体部141の上縁141aは、上パネル82Bの後縁82bの一部と結合され、下縁141bは、下パネル83Bの後縁83bの一部と結合される。本体部141の右縁141eは、後右パネル96Bの左縁96cと結合される。本体部141の上左縁141cは、後左パネル89の連結片92B及び突出部用右パネル103Bの連結片104Bと結合され、下左縁141dは、後左パネル89Bにおける本体部90Bの右縁90dと結合される。
この第3実施形態のエアバッグ130を使用した助手席用エアバッグ装置におていて、エアバッグ130の膨張完了時に、拘束用凹部132は、図27に示すように、規制テザー72Bによって、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHの移動方向に略沿うように、配置されるとともに、後端132b側の開口133を、周縁部位134における右側部位136を左側部位135から離隔させるように、口開きされた状態で、配置されることとなる。詳細には、この第3実施形態のエアバッグ130では、拘束用凹部132の開口133の周縁部位134を構成する車外側縁部としての右側部位136が、中央側縁部としての左側部位135よりも膜長を長く設定されていることから、エアバッグ130の膨張完了時に、この右側部位136を左側部位135に対して離隔させるように、拘束用凹部132の後端132b側の開口133を口開きさせやすい。そのため、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHが、左右方向側で多少ずれるように当接することとなっても、乗員MPの頭部MHを、この口開きするように配置される開口133から、一層円滑に、拘束用凹部132の内部に進入させることができる。特に、この第3実施形態のエアバッグ130では、膜長を長く設定される右側部位136が、テザー138によって、右方(後側壁部26B側、すなわち、前突用拘束面33B側)に牽引される構成であることから、エアバッグ130の膨張完了時に、右側部位136を左側部位135に対して離隔させた口開き状態を、安定して維持させることができる。また、この第3実施形態のエアバッグ130においても、拘束用凹部132が、斜突用拘束面34Bよりも上下方向方向側の幅寸法を大きく設定されて、斜突用拘束面34Bより下方に延びるように配設されていることから、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHが、上下方向側で多少ずれることとなっても、拘束用凹部132の内部に円滑に進入させることができる。
次に、第4実施形態のエアバッグ150について、説明をする。この第4実施形態のエアバッグ150は、図28〜31に示すように、拘束用凹部152の外形形状を異ならせる以外は、第1実施形態のエアバッグ15と同一の構成である。そのため、このエアバッグ150において、同一の部材には、同一の図符号の末尾に「C」を付して、詳細な説明を省略する。
この第4実施形態のエアバッグ150における乗員保護部32Cにおいて、前突用拘束面33Cと斜突用拘束面34Cとの間に形成される拘束用凹部152は、前述のエアバッグ15と同様に、突出膨張部29Cの右側の領域と、本体膨張部17Cにおける後側壁部26Cと、の境界部位に、上下方向に略沿うように形成されて、斜突用拘束面34Cよりも下方に延びるように、形成されている(図28,29参照)。この拘束用凹部152は、図30に示すように、後端152b側のみを開口させるとともに、この開口153から連なるように配設されて頭部MHの左右に接触可能な左側壁155(中央側壁部)と右側壁156(車外側壁部)とを備える略ポケット状として構成されている。中央側壁部としての左側壁155は、左右方向側から見て上下に幅広とした長尺状として、突出膨張部29Cの右壁部29d側から延びるように形成される。車外側壁部としての右側壁156は、左側壁155と外形形状を同一として、左右方向側から見て上下に幅広とした長尺状とされるとともに、後側壁部26C側から延びるように形成される。また、第4実施形態のエアバッグ150では、拘束用凹部152の上縁側と下縁側と、に、左側壁155及び右側壁156と連結されて、エアバッグ150の膨張完了時に、それぞれ、凹みの先端側にかけて狭幅とされる天井壁157と底壁158とが、配設される構成である(図30,31参照)。すなわち、第4実施形態のエアバッグ150では、拘束用凹部152は、後端152b側の開口153を、周縁部位154を略長方形状とするように幅広に開口させ、先端(前端152a)側にかけて収束させるような断面略V字形状として、構成される。天井壁157及び底壁158は、後縁157c,158c側を後側壁部26Cと連結されて、それぞれ、エアバッグ150の膨張完了時に、後側壁部26Cから連なって前方に延びるように形成されるもので、先端(前端)側にかけて収束されるような略三角形状とされている。
そして、拘束用凹部152は、左側壁155の上縁と天井壁157の左縁、左側壁155と右側壁156との前縁相互、左側壁155の下縁と底壁158の左縁、右側壁156の上縁と天井壁157の右縁、右側壁156の下縁と底壁158の右縁、を、それぞれ、結合(縫着)させることにより、上縁152c側,下縁152d側,前端152a側を閉塞させ、後端152b側を大きく開口させたポケット状に、構成されている(図30,31参照)。この拘束用凹部152は、上下方向側の長さ寸法(開口153の開口幅寸法)及び前後方向側の幅寸法(深さ)を、前述のエアバッグ15における拘束用凹部35と略同一に、設定されている。また、この拘束用凹部152も、エアバッグ150の内部に配設される規制テザー74Cによって、凹みの向きを規制されて、エアバッグ150の膨張完了時に、車内側(左側)斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHの移動方向Dに略沿って配置される構成である(図34参照)。
この第4実施形態のエアバッグ150を構成する基布は、図32,33に示すように、後中パネル160、拘束用凹部152の右側壁156、天井壁157、及び、底壁158を、それぞれ、構成する右側壁用基材163、天井壁用基材164、及び、底壁用基材165以外は、前述のエアバッグ15を構成する基布と同様の構成であることから、同一の部材には同一の図符号の末尾に「C」を付して、詳細な説明を省略する。
後中パネル160は、図33に示すように、後側壁部26Cを構成するもので、長手方向を上下方向に略沿わせた略長方形状として、左上側の領域に、拘束用凹部152の開口153を構成する切欠凹部161を、備える構成とされている。この第4実施形態のエアバッグ150では、この切欠凹部161の周縁(上縁161a,下縁161b,右縁161c側の部位)と、後左パネル89Cにおける凹部用部位91Cの左縁91c側の部位と、が、拘束用凹部152における開口153の周縁部位154を構成することとなる。
右側壁用基材163は、外形形状を、拘束用凹部152の左側壁155を構成する後左パネル89Cの凹部用部位91Cと略同一とした長方形状とされている。天井壁用基材164と底壁用基材165とは、外形形状を同一として、実施形態の場合、底辺を後縁側に配置させた略二等辺三角形状とされている。
この第4実施形態のエアバッグ150のバッグ本体16Cにおいて、後中パネル160における上縁160aは、上パネル82Cの後縁82bの一部と結合され、下縁160bは、下パネル83Cの後縁83bの一部と結合される。後中パネル160の右縁160eは、後右パネル96Cの左縁96cと結合される。後中パネル160の上左縁160cは、後左パネル89Cの連結片92C及び突出部用右パネル103Cの連結片104Cと結合され、下左縁160dは、後左パネル89Cにおける本体部90Cの右縁90dと結合される。
そして、この第4実施形態のエアバッグ150のバッグ本体16Cにおいて、拘束用凹部152は、後左パネル89Cの凹部用部位91Cの上縁91a,下縁91bと天井壁用基材164の左縁164a,底壁用基材165の左縁165a、右側壁用基材163の上縁163a,下縁163bと天井壁用基材164の右縁164b,底壁用基材165の右縁165b、凹部用部位91Cの右縁91dと右側壁用基材163の左縁163c、右側壁用基材163の右縁163dと後中パネル160における切欠凹部161の右縁161c、天井壁用基材164の後縁164cと切欠凹部161の上縁161a、底壁用基材165の後縁165cと切欠凹部161の下縁161bを、それぞれ、結合させることにより構成されるもので、周縁部位154の外形形状を長方形状とした開口153を有し、後端152b側を大きく開口させたポケット状とされる。
この第4実施形態のエアバッグ150を使用した助手席用エアバッグ装置におていて、エアバッグ150の膨張完了時に、拘束用凹部152は、図34に示すように、規制テザー72Cによって、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHの移動方向に略沿うように、配置されるとともに、後端152b側の開口153を、略長方形状に大きく開口させた状態で、配置されることとなる。すなわち、この第4実施形態のエアバッグ150では、膨張完了時に、拘束用凹部152が、凹みの先端側にかけて狭幅とされる天井壁157と底壁158とを有して、後端152b側を開口させつつ、先端(前端152a)側にかけて狭まるように立体的に凹んだ状態で配置されることとなる。そのため、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHが、左右方向側で多少ずれるように当接することとなっても、乗員MPの頭部MHを、大きく開口している開口153から拘束用凹部152の内部に一層円滑に進入させることができる。そのため、また、この第4実施形態のエアバッグ150においても、拘束用凹部152が、斜突用拘束面34Cよりも上下方向方向側の幅寸法を大きく設定されて、斜突用拘束面34Cより下方に延びるように配設されていることから、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHが、上下方向側で多少ずれることとなっても、拘束用凹部152の内部に円滑に進入させることができる。
なお、実施形態では、エアバッグ15,115,130,150は、突出膨張部29,29A,29B,29Cを備える構成として、斜突用拘束面34,34A,34B,34Cを、前突用拘束面33,33A,33B,33Cから後方に向かって突出させる構成としているが、図35に示すエアバッグ15Dのように、突出膨張部を備えず、斜突用拘束面34Dを、拘束用凹部35Dを間にして、前突用拘束面33Dと略面一として、乗員保護部32Dを構成してもよい。このような構成としても、乗員保護部32Dに斜突用拘束面34Dを設けて、前突用拘束面33Dとの間に拘束用凹部35Dを配置させることができ、また、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を拘束用凹部35Dに進入させて拘束できない場合にも、斜突用拘束面34Dによって、乗員の頭部を受け止めることができる。
また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、斜突用拘束面34と拘束用凹部35とを、前突用拘束面33の運転席DS側に配置させていることから、車両Vの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、助手席PSに着座した乗員MPが、左右方向の中央側でかつ前方となる斜め前方側に移動する場合に、乗員MPの頭部MHを的確に保護することができる。なお、実施形態では、エアバッグ15の乗員保護部32が、斜突用拘束面34と拘束用凹部35とを、前突用拘束面33の運転席DS側(左側)のみに配置させている構成とされているが、勿論、上記のような点を考慮しなければ、斜突用拘束面と拘束用凹部とを、運転席側には設けず、前突用拘束面の車外側となる右側のみに配置させる構成としてもよく、さらには、斜突用拘束面と拘束用凹部とを、前突用拘束面の左右両側に配置させる構成としてもよい。