JP6581166B2 - 把持ツールおよび把持システム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、把持ツールおよび把持システムに関する。
搬送ロボットはアームを有し、アームの先端にはワークを把持するための把持ツールが取り付けられている。搬送ロボットは、把持ツールにより取り出し位置にあるワークを把持し、把持したワークを所定の位置まで搬送する。
ワークを把持する方法として、チャック方式、吸着方式、支持方式、多指方式およびジャミング方式などの種々の方式が知られている。中でも、種々の形状のワークを把持可能な方式として、ジャミング方式がある。
ジャミング方式とは、粉粒体を入れた柔軟な気密袋をワークに密着させて形状を倣わせた後、気密袋内部を減圧することで、粉粒体を固化してワークを把持する方式である。
ジャミング方式の把持ツールには、一端に受圧面を有する固定部材と、受圧面に密着して取り付けられ、内部に粉粒体を充填させた中空バックを有するものがある。然しながら、ワークを保持するのに十分な把持力が得られないという問題がある。
特開2012−176476号公報
十分な把持力を有する把持ツールおよび把持システムを提供する。
一つの実施形態によれば、把持ツールは、第1部分と、前記第1部分を囲む第2部分と、前記第1部分および前記第2部分の一端に連接する第3部分と、前記第1部分および前記第2部分の他端に連接する第4部分とを有し、前記第1乃至第4部分に囲まれた中空部に粉粒体が充填され、可撓性および気密性を有する把持部と、前記把持部を囲み、前記把持部を、前記把持部の周囲で保持する固定部と、を具備し、前記把持部が、ワークに密着し、かつ前記中空部内が減圧されて、前記ワークを把持し、前記把持部は、前記第2部分および前記第4部分が互いに接する位置から前記固定部側に延在する鍔状の第5部分を有し、前記第5部分が前記固定部に保持される。
実施形態1に係る把持ツールを示す断面斜視図。 実施形態1に係る把持ツールを示す斜視図。 実施形態1に係る把持ツールの動作を順に示す断面図。 実施形態1に係る比較例の把持ツールを示す断面図。 実施形態1に係る把持ツールの把持メカニズムと比較例の把持ツールの把持メカニズムを対比して示す断面図。 実施形態1に係る把持ツールの形成方法を示す断面斜視図。 実施形態1に係る別の把持ツールを示す断面斜視図。 実施形態2に係る把持ツールを示す断面斜視図。 実施形態2に係る把持ツールを示す斜視図。 実施形態2に係る把持ツールの把持メカニズムを示す断面図。 実施形態2に係る別の把持ツールを示す断面斜視図。 実施形態3に係る把持システムを示すブロック図。 実施形態3に係る把持システムを示す外観図。 実施形態3に係る把持システムの動作を示すフローチャート。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
本実施形態に係る把持ツールについて、図1乃至図3を用いて説明する。図1は把持ツールを示す断面斜視図、図2は把持ツールを示す斜視図、図3は把持ツールの動作を順に示す断面図である。なお本実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
始めに、把持ツールの概要を説明する。
図1および図2に示すように、把持ツール10は、ワーク(図示せず)を把持するための把持部11と、把持部11を保持するための固定部12とを有している。把持部11は、例えば、環状(トーラス状)であり、厚みを有し、その内部は中空である。また、把持部11の中心部には凹部状の部分が形成されている。本実施の形態では、例えば、把持部11は、外形が厚さ方向(図のZ方向)に扁平なドーナツ状であり、把持部11の凹部状の部分には、貫通孔が形成されている。また、固定部12は、例えば把持部11を囲むリング状のフランジである。
本実施の形態では、固定部12は、必ずしも全体が繋がったリング状である必要はない。例えば、固定部12は、中空部を気密状態になるように密封した状態で、把持部11の周囲に円弧状の固定部材を複数、各々、所定の間隔を置いて、全体がリング状を描くように配置してあってもよい。
把持部11がワークに密着すると中空部13内が減圧され、把持部11がワークの密着した部分に応じて変形する。把持部11は、Z方向の上部がオープンなので、上方向に延びてワークを包み込むように変形することが可能である。
把持部11の中空部13には、粉粒体14が設けられている。粉粒体14は、例えば、中空部13に所定の充填率で充填されている。粉粒体14は、中空部13の減圧により凝集して固化するので、把持部11はワークを包み込んだ形状に固定される。
把持部11がワークに密着すると、中心の貫通孔15はワークによって一端が塞がれるので、貫通孔15内を吸引して減圧することができる。貫通孔15内を吸引して減圧することで、ワークに対する吸着効果を生じさせることができる。把持力として、吸引によるワークの吸着効果を付加することが可能である。
例えば、把持部11の全周がリング状の固定部12で保持されているので、ワークへの把持力が、周方向においてより均等に生じる。後述するように、例えば、搬送ロボットのアームに把持ツール10を取り付けることにより、ワークをより安定に把持して搬送することが可能になる。
把持ツールの詳細を説明する。
把持部11は、第1部分11aと、第2部分11bと、第3部分11cと、第4部分11dと、を有する。第2部分11bは、第1部分11aを囲む。第2部分11bは、第1部分11aから離間している。第3部分11cは、第1部分11aの一端および第2部分11bの一端に連接する。第4部分11dは、第1部分11aの他端および第2部分11bの他端に連接する。把持部10は、第3部分11cと第4部分11dを結ぶ線方向において変形できる。この線方向は、例えば、図1に表したZ方向(以下、+Z方向とする。)と、このZ方向と反対の方向(以下、−Z方向とする。)と、を含む。本実施形態においては、把持部11に対して上方、あるいは下方とは、実質的に、この線方向に沿った方向の一例として表している。第3部分11cと第4部分11dを結ぶ線方向は、第1部分11aと第2部分11bを結ぶ線方向と交差する。第3部分11cと第4部分11dを結ぶ線方向は、例えば図1に表した、R方向に略平行である。
第1部分11a乃至第4部分11dで囲まれた空間が、中空部13である。第1部分11aで囲まれた空間が、貫通孔15である。中空部13は閉じた空間である。貫通孔15両側が開かれた空間である。
本実施形態では、第1部分11aおよび第2部分11bは円筒状である。第3部分11cは、中空部13の外側(−Z方向)に向かう下凸形状である。第4部分11dは、略扁平な形状である。第4部分11dは、中空部13の外側(+Z方向)に向かう上凸形状であってもよい。
第4部分11dは、中空部13内を減圧するための排気口となる第1ポート16と、貫通孔15内を減圧するための排気口となる第2ポート17とを有している。第1ポート16は、第4部分11dの中央と外周との間に位置している。第2ポート17は、第4部分11dの中央に位置している。
第1ポート16には、第1配管18が接続される。第2ポート17には、第2配管19が接続される。第1配管18および第2配管19は、例えば樹脂製のフレキシブルチューブが適している。
更に、把持部11は、第2部分11bと第4部分11dの連接部から固定部12の方向(図のR方向)に延在する鍔状の第5部分11eを有している。鍔状の第5部分11eは、固定部12に把持部11を保持させるためのものである。
固定部12は、リング状の第1フランジ12aと第2フランジ12bとを有している。第1フランジ12aには、内周側に第5部分11eの厚さより浅い切欠きと、外周側に有頭のネジ20、例えば六角ボルトが挿通される貫通孔と、ネジ20の頭部を収納するザグリ部とが設けられている。第2フランジ12bには、第1フランジ12aの貫通孔に対向する位置にネジ20に螺合する複数のネジ穴が設けられている。ネジ穴は、第2フランジ12bを貫通しているが、貫通していなくてもよい。
第1フランジ12aと第2フランジ12bは、第1フランジ12aの切欠きと第2フランジ12bとの間に鍔状の第5部分11eを挟んでネジ20により締結される。これにより、把持部11が全周に亘って均等に固定部12に保持される。
把持部11は、可撓性および気密性を有する材料、例えばアクリル樹脂で形成されている。把持部11は、シリコーン樹脂、ゴム等で形成することもできる。粉粒体14は、例えばマイクロビーズである。粉粒体14は、シリコーン樹脂ビーズ、コーヒ豆、ガラスビーズ等も使用することができる。粉粒体14は、表面摩擦の大きい物質であればよい。
図3は把持ツール10の動作を示す断面図である。ここでは、三角形が3個連接した断面を有する円盤状のワーク30を把持する場合の例である。把持部11のサイズ(筒状の第2部分11bの直径)はワーク30のサイズより大きく、把持部11と三角形の頂点が対向しているものとする。
図3(a)に示すように、始めに、把持部11の水平方向における位置とワーク30の水平方向における位置が合わせられた後、把持部11をワーク30に向かって降下させる。
図3(b)に示すように、把持部11は可撓性を有しているので、把持部11はワーク30に当接すると、ワーク30の外周の三角形の斜辺に沿って押し広げられ、ワーク30を包み込むように密着する。貫通孔15の一端はワーク30によって塞がれる。
図3(c)に示すように、把持部11の降下を停止し、中空部13内を吸引し、例えば0.1気圧程度に減圧する。中空部13内の粉粒体14が凝集して固化するので、ワーク30を包み込むように密着している把持部11の形状が固定され、ワーク30を把持する力が生じる。
図3(d)に示すように、貫通孔15内を吸引し、例えば0.1気圧程度に減圧する。ワーク30の吸着効果により、把持部11の把持力が高められる。
図3(e)に示すように、ワーク30を把持する把持ツール10を上昇させ、把持ツール10を水平方向に移動させることによりワーク30が別の場所に搬送される。
次に把持ツール10の把持メカニズムを比較例の把持ツールの把持メカニズムと対比して説明する。図4は比較例の把持ツールを示す断面図である。比較例の把持ツールとは、固定部が把持部を囲んで保持しておらず、排気口が設けられている側を保持している把持ツールのことである。
図4に示すように、比較例の把持ツール40は、一端に受圧面41aを有する固定部41と、把持部として受圧面に密着して取り付けられた中空バック42とを有している。中空バック42の内側面に囲まれて貫通孔43が形成されている。中空バック42内に粉粒体44が充填されている。中空バック42内を減圧するための排気口となる第1ポート45と、貫通孔43内を減圧するための排気口となる第2ポート46とは、固定部41に設けられている。
図5は把持ツールの把持メカニズムを示す図で、図5(a)が本実施形態の把持ツールの把持メカニズムを示す図、図5(b)が比較例の把持ツールの把持メカニズムを示す図である。ここで、ワークは球体であり、球体の直径は、固定部12の内径および固定部41の直径より小さいものとする。始めに比較例の把持ツールの把持メカニズムを説明する。
図5(b)に示すように、比較例の把持ツール40では、中空バック42は固定部41の受圧面41aに密着して取り付けられている。中空バック42が降下し、ワーク50に接触しても、中空バック42は上方に延びることができないので、矢印51で示すように横方向に広がるように変形する。
その結果、中空バック42とワーク50との接触部52における接触面積が十分に確保できなくなる。中空バック42はワーク50を浅くしか包み込めない。従って、中空バック42内の粉粒体44が固化してワークを把持する把持効果が得られにくい。エア漏れ等により、貫通孔43の気密性が十分に得られない場合、ワーク50が滑落する恐れもある。
一方、例えば、図5(a)に示すように、本実施形態の把持ツール10では、把持部11が降下し、ワーク50に接触すると、把持部11は矢印53で示すように上方向に延びるように変形する。把持部11は全周を固定部12で保持されているので、横方向には広がりにくい。
その結果、把持部11とワーク50との接触部54における接触面積が大きくなる。把持部11はワーク50を深く包み込むことができる。従って、十分な把持効果が得られる。
把持部11は、例えば以下の様にして形成することかできる。図6は把持部11の形成方法を示す断面斜視図である。
図6に示すように、第1部分11a、第2部分11b、第3部分11cおよび第2部分11bから延在する第5部分11eの一部を有する第1成形体55を、第1金型(図示せず)を用いて一体に形成する。第1ポート16と第2ポート17とを含む第4部分11dおよび第4部分11dから延在する第5部分11eの一部有する第2成形体56を、第2金型(図示せず)を用いて一体に形成する。
第1成形体55と第2成形体56とを接着剤を用いて接合することにより、把持部11が得られる。第1成形体55と第2成形体56との接合は、熱圧着によりおこなってもよい。
以上説明したように、本実施形態の把持ツール10は、環状(トーラス状)であって、例えば、所謂厚さ方向に扁平なドーナツ状の把持部11と、把持部11を囲み、把持部11を全周で保持する固定部12とを有している。その結果、把持部11は、ワークに接触すると上方向に延びるように変形できる。従って、把持部11はワークを深く包み込むことができるので、十分な把持効果が得られる。本実施の形態では、粉粒体の量が同等であった場合には、従来のものに比べ、より大きな把持力を得ることができる。
更に、ワークで一端が塞がれた貫通孔15内を減圧することにより、ワークの吸着効果が加わるので、より確実に把持力を向上させることができる。
ここでは、第1部分11aおよび第2部分11bが円筒状であるとして説明したが、筒の形状は中空部13および貫通孔15が得られる形状であればよく、特に限定されない。例えば、多角形の筒状とすることも可能である。但し、ワークに均等に密着させやすい観点からは、円筒状であることが好ましい。
把持ツール10は、固定部12を有していなくても、ワークを把持することは可能である。図7は、固定部を有しない把持ツールを示す断面斜視図である。図7に示すように、把持ツール60は、固定部12を有しないこと以外は、図1に示す把持ツール10と同様の構成であり、その説明は省略する。把持ツール60の把持力は、把持ツール10の把持力と同等である。
鍔状の第5部分11eは、設けられていなくても良い。但し、把持ツール60の形成時に、第1成形体および第2成形体を接合する際の糊代としてあった方が好ましい。
(実施形態2)
本実施形態に係る把持ツールについて図8および図9を用いて説明する。図8は本実施形態の把持ツールを示す断面斜視図である。図9は把持ツールを示す斜視図である。図9(a)は、把持ツールを斜め上方から観た斜視図である。図9(b)は、把持ツールを斜め下から観た斜視図である。
本実施形態が実施形態1と同様の部分の説明は省略し、異なる点について説明する。本実施形態が実施形態1と異なる点は、把持部が中央部において、凹部、さらには貫通孔を有していないことにある。
即ち、図8および図9に示すように本実施形態の把持ツール70は、ワーク(図示せず)を把持するための把持部71と、把持部71を保持するための固定部12とを有している。把持部71は、外形が両凸レンズ状であり、内部は中空である。
把持部71がワークに密着すると中空部72内が減圧され、把持部71がワークの密着した部分に応じて変形する。把持部71は、可撓性および柔軟性を有しているので、ワークを包み込むように変形可能である。
把持部71の中空部72には、粉粒体14が設けられている。粉粒体14は、例えば、中空部13に所定の充填率で充填されている。粉粒体14は減圧により凝集して固化するので、把持部71はワークを包み込んだ形状で固定される。
把持部71の全外周は、固定部12に保持されているので、ワークを均等に把持することが可能である。後述するように、搬送ロボットのアームに把持ツール70を取り付けることにより、ワークを均等に把持して搬送することが可能になる。
具体的には、把持部71は、凸状の第1湾曲面を有する第1部分71aと、凸状の第2湾曲面を有する第2部分71bとを有している。第1部分71aと第2部分71bとは、第1湾曲面と第2湾曲面とが対向するように重ね合わされている。第1部分71aと第2部分71bで囲まれた空間が、中空部72である。中空部72は閉じた空間である。把持部71は、第2部分71bの中央に中空部72内を減圧するための排気口となるポート73を有している。ポート73には、配管74が接続される。
更に、把持部71は、第1部分71aおよび第2部分71bから固定部12の方向(図のR方向)に延在する鍔状の第3部分71cを有している。鍔状の第3部分71cは、固定部12に把持部11を保持させるためのものである。
固定部12の第1フランジ12aと第2フランジ12bは、第1フランジ12aの切欠きと第2フランジ12bとの間に鍔状の第3部分71cを挟んでネジ20により締結される。これにより、把持部71が全外周に亘って均等に固定部12に保持される。
図10は、把持ツール70の把持メカニズムを示す断面図である。図10に示すように、把持ツール70の把持メカニズムは、図5(a)に示す把持ツール11の把持メカニズムと基本的に同じである。異なるのは、把持部71は貫通孔を有していないので、貫通孔内を吸引することによるワークの吸着効果が得られないことである。
以上説明したように、本実施形態の把持ツール70は、外形が両凸レンズ状であり、内部が中空の把持部71と、把持部71を保持するための固定部12とを有している。把持ツール70は、ワーク50の吸着効果が得られないこと以外、図1に示す把持ツール10と同様の効果が得られる。
把持ツール70は、固定部12を有しなくても、ワークを把持することは可能である。図11は固定部を有しない把持ツールを示す断面斜視図である。図11に示すように、把持ツール80は、固定部12を有しないこと以外は、図7に示す把持ツール70と同様であり、その説明は省略する。把持ツール80の把持力は、把持ツール70の把持力と同等である。
鍔状の第3部分71cは、設けられていなくても良い。但し、把持ツール80の形成時に、第1成形体および第2成形体を接合する際の糊代としてあった方が好ましい。
(実施形態3)
本実施形態に係る把持システムについて図12乃至図14を用いて説明する。本実施形態では、例えば、前述の実施形態1及び2の把持ツールを用いることができる。図12は本実施形態の把持システムを示すブロック図、図13は把持システムの外観図、図14は把持システムの動作を示すフローチャートである。
本実施形態の把持システム90は、アーム91aを有し、取り出し位置にあるワークを所定の場所に搬送する搬送ロボット91と、アーム91aの先端に取り付けられる把持ツール10と、中空部13内を第1の所定の圧力に減圧するための第1減圧装置92と、貫通孔15内を第2の所定の圧力に減圧するための第2減圧装置93と、搬送ロボット91、第1減圧装置92および第2減圧装置93を制御するための指令を送出するコントローラ94と、を有している。
なお、前述の実施の形態では、把持ツール10は、貫通孔15内を減圧せずに、中空部13内を第1の所定の圧力に減圧してワークを把持することもできる。従って、本実施形態の形態では、把持システム90は、第2の減圧装置93を有さず、第1減圧装置92、搬送ロボット91、及び第1減圧装置92を制御するための指令を送出するコントローラ94を有する構成としても良い。
図12および図13に示すように、本実施形態の把持システム90は、アーム91aを有し、取り出し位置にあるワークを所定の場所に搬送する搬送ロボット91と、アーム91aの先端に取り付けられる把持ツール10と、中空部13内を第1の所定の圧力に減圧するための第1減圧装置92と、貫通孔15内を第2の所定の圧力に減圧するための第2減圧装置93と、搬送ロボット91、第1減圧装置92および第2減圧装置93を制御するための指令を送出するコントローラ94と、を有している。
搬送ロボット91は、多関節ロボットである。搬送ロボット91は、コントローラ94からの指令に従って、アーム91aを自在に操って把持したワークを搬送する。搬送ロボット91は、ワークを認識するための画像処理システムを有していてもよい。
搬送ロボット91は、架台95のテーブル上に据え付けられている。第1減圧装置92、第2減圧装置93およびコントローラ94は架台95の内側に収納されている。架台95のテーブル上には、取り出し位置にあるワーク96を収納するトレー97と、搬送されるワーク96を収納するトレー98が配置されている。
第1減圧装置92は、真空ポンプ、例えばロータリーボンプと、真空引き用バルブと、大気圧に開放するためのリークバルブ等を備えている。第1減圧装置92は、コントローラ94からの指令に従って、リークバルブを閉、真空引き用バルブを開にして真空ポンプをオンすることにより、中空部内13を真空引きする。また、コントローラ94からの指令に従って、真空ポンプをオフし、リークバルブを開にすることにより、中空部内13を大気圧に開放する。第2減圧装置93についても第1減圧装置92と同様であり、その説明は省略する。
コントローラ94は、各種演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、搬送ロボット91、第1減圧装置92および第2減圧装置93との入出力インターフェイス、制御アリゴリズムや各種定数等を記憶したROM(Read Only Memory)、作業領域となるRAM(Random Access Memory)、ワーク96の搬送手順、搬送状況等を適宜記憶し保存するための不揮発性NANDフラッシュメモリ等を有している。
コントローラ94は、NANDフラッシュメモリに記憶されている搬送手順に従って、搬送ロボット91、第1減圧装置92、第2減圧装置93に指令を送出し、搬送ロボット91、第1減圧装置92、第2減圧装置93を制御する。
図14は搬送システム90の動作を示すフローチャートである。
図14に示すように、搬送ロボット91にトレー97に収納されているワーク96の上方にアーム91aを移動し、アーム91aを降下する指令を送出する。搬送ロボット91は、アーム91aをトレー97に収納されているワーク96の上方に移動し、アーム91aを降下する(ステップS10)。
搬送ロボット91に把持部11をワーク96に密着させる指令を送出する。搬送ロボット91は、アーム91aがワーク96に接触した位置から更に所定の距離だけ降下させ、把持部11がワーク96に密着するとアーム91aの降下を停止する(ステップS11)。
第1減圧装置92に中空部13内を減圧する指令を送出する。第1減圧装置92は、中空部13内を第1圧力、例えば0.1気圧程度に減圧する。これにより、粉粒体14が固化して、把持力が生じる(ステップS12)。
第2減圧装置93に貫通孔15内を減圧する指令を送出する。第2減圧装置93は、貫通孔15内を第2圧力、例えば0.1気圧程度に減圧する。これにより、ワークの吸着効果が加算され、把持力が増大する(ステップS13)。
搬送ロボット91にアームを上昇し、所定の位置に搬送する指令を送出する。搬送ロボット91はアーム91aを上昇し、把持したワーク96を所定の位置搬送する(ステップS14)。
第2減圧装置93に貫通孔15内を大気圧に開放する指令を送出する。続いて、第1減圧装置92に中空部13内を大気圧に開放する指令を送出する。これにより、把持力が開放されてワーク96が把持部11から離れ、トレー98に収納される(ステップS15、16)。
以上説明したように、本実施形態の把持システム90では、搬送ロボット91のアーム91aに把持ツール10が装着されているので、十分な把持力を有してワークを搬送することができる。
ここでは、中空部13内を減圧するステップS12の後に、貫通孔15内を減圧するステップS13を実行する場合について説明したが、ステップS12とステップS13を同時に実行してもよい。また、ステップS13の後にステップS12を実行することも可能である。
貫通孔15内を大気圧に開放するステップS15と中空部13内を大気圧に開放するステップS16についても同様であり、その説明は省略する。
搬送ロボット91のアーム91aに把持ツール10が装着されている場合について説明したが、把持ツールは図8に示す把持ツール70としてもよい。また、把持ツールは、図7に示す把持ツール60および図11に示す把持ツール80とすることも可能である。その場合は、例えば配管の先方を金属管および硬質樹脂管等とし、ポートと配管の接続部近傍をアーム91aに固定するとよい。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10、40、60、70、80 把持ツール
11、71 把持部
11a〜11e 第1〜第5部分
12、41 固定部
12a、12b第1、第2フランジ
13、72 中空部
14、44 粉粒体
15、43 貫通孔
16、17、45、46 第1、第2ポート
18、19 第1、第2配管
20 ネジ
30、50、96 ワーク
41a 受圧面
42 中空バック(把持部)
52、54 接触部
55、56 第1、第2成形体
71a〜71c 第1〜第3部分
73 ポート
74 配管
90 把持システム
91 搬送ロボット
92、93 第1、第2減圧装置
94 コントローラ
95 架台
97、98 トレー

Claims (7)

  1. 第1部分と、前記第1部分を囲む第2部分と、前記第1部分および前記第2部分の一端に連接する第3部分と、前記第1部分および前記第2部分の他端に連接する第4部分とを有し、前記第1乃至第4部分に囲まれた中空部に粉粒体が充填され、可撓性および気密性を有する把持部と、
    前記把持部を囲み、前記把持部を、前記把持部の周囲で保持する固定部と、
    を具備し、
    前記把持部が、ワークに密着し、かつ前記中空部内が減圧されて、前記ワークを把持し、
    前記把持部は、前記第2部分および前記第4部分が互いに接する位置から前記固定部側に延在する鍔状の第5部分を有し、前記第5部分が前記固定部に保持される把持ツール。
  2. 前記第1部分は凹部状を呈し、前記把持部が前記ワークに密着した状態で、前記凹部状内が減圧される請求項記載の把持ツール。
  3. 前記第1部分および前記第2部分は筒状であり、前記第3部分は凸状であり、前記第4部分に前記中空部内を減圧するための配管が接続される第1ポートが設けられている請求項記載の把持ツール。
  4. 前記第4部分に、前記凹部状内を減圧するための配管が接続される第2ポートが設けられている請求項記載の把持ツール。
  5. 前記凹部状には貫通孔が形成されており、前記把持部が前記ワークに密着した状態で、前記貫通孔内が減圧される請求項乃至のいずれか一つに記載の把持ツール。
  6. アームを有するロボット機構と、
    前記アームの先端に取り付けられた、請求項1乃至のいずれか一つに記載の把持ツールと、
    前記中空部内を所定の第1圧力に減圧する第1減圧装置と、
    前記ロボット機構と、前記第1減圧装置とを制御するコントローラと、
    を具備する把持システム。
  7. アームを有するロボット機構と、
    前記アームの先端に取り付けられた、請求項乃至のいずれか一つに記載の把持ツールと、
    前記中空部内を所定の第1圧力に減圧する第1減圧装置と、
    前記凹部状内を所定の第2圧力に減圧する第2減圧装置と、
    前記ロボット機構と、前記第1減圧装置と、前記第2減圧装置とを制御するコントローラと、
    を具備する把持システム。
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