JP6579889B2 - 炭化珪素単結晶基板の製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化珪素単結晶基板の製造方法に関し、詳しくは、略円柱状の炭化珪素単結晶インゴットの側面を概ね一様に取り除く外形加工を施して、炭化珪素単結晶基板を製造する方法に関するものである。
炭化珪素(SiC)は、優れた半導体特性等を有するため、例えば、従来のシリコン半導体デバイスの特性が大きく改善された半導体デバイス、特に、大電力を制御するパワーデバイス製造用の基板用材料として近年大きな注目を集めている。このようなSiCデバイスの製造に適した、SiC単結晶インゴットは、目下のところ、改良レーリー法と称される昇華再結晶法、あるいは技術的には同義であるが、種結晶を用いる昇華法と呼ばれる製造方法によって作製されることが一般的になっている(非特許文献1参照)。
近年、SiC単結晶の製造技術も大きく技術進捗し、SiC単結晶の半導体基板としての各種特性も改善が推し進められている。SiC単結晶基板の口径についても、100mm(以下、4インチと称する)口径のものがSiC基板の主流となっているが、150mm(同、6インチと称する)に及ぶ高品質大口径のSiC結晶が実現しつつある状況にある(非特許文献2参照)。そして、これらの基板を応用した、窒化ガリウム(GaN)系青色発光ダイオードやSiCショットキーバリアダイオード等の量産開発も進められており、また他方で、MOSFET(Metal Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)に代表される低損失パワーデバイス等々も試作されるに至っている。
大きな耐電圧特性や長期動作信頼性に優れるSiCパワーデバイスを製造するためには、SiC単結晶基板の転位欠陥密度が十分に小さく、結晶品質に優れることが必要である。SiC単結晶基板の場合、特徴的な欠陥の一つとして、マイクロパイプ欠陥が挙げられる。マイクロパイプ欠陥とは、バーガースベクトルが大きな螺旋転位の転位芯部分に微細な穴が貫通したものであり、マイクロパイプ欠陥が存在すると、高電圧印加下で電流リークの発生原因となるため、デバイスの高耐圧特性等が著しく劣化してしまう。従って、マイクロパイプ欠陥密度をできる限り低減化することが応用上重要であり、マイクロパイプ欠陥が発生する原因の一つである異種ポリタイプの発生を極力抑制可能な安定成長製造法の確立が必須である。近年、この安定製造技術の進歩があり、単位面積(1cm2)当たりのマイクロパイプ欠陥の数が1個以下の良質単結晶が報告されるに及んでいる(非特許文献3参照)。
他方、転位欠陥密度以外にも、高品質パワーデバイスを効率的に製造するために必要な基板特性がいくつか存在する。例えば、SiC単結晶基板の反りや表面平坦度等のような形状精度がその一例として挙げられる。反りがデバイス製造上の観点から重要視されている理由は、半導体デバイス製造時の、特に露光プロセスにおいて、反りが大きくなると、基板の場所に依存して露光距離が光学系の焦点距離から外れ、焦点位置から外れるために、基板全面で明確なマスク像を形成しなくなるという事情があるためである。このような問題を回避するためには、素子の微細化度や基板口径にもよるが、一般的には反りを50μm以下とすることが望ましい。このため、例えばインゴットの加工精度に十分な技術的配慮をもって最終的に基板化すことが必要であり、特にSiC単結晶を切断後に最終的に研磨加工する場合、切断した基板を両面同時に研磨する、いわゆる両面ラップ研磨によって実施することが行われている。
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol.52 (1981) pp.146 C. H. Carter, et al., FEDジャーナル, vol.11 (2000) pp.7 A. H. Powell, et al., Material Science Forum, vol.457-460 (2004) pp.41
近年の昇華法による成長技術の進化により、現在市場の主流である4インチ基板を超える6インチ以上の口径を有するSiC単結晶インゴットの開発が進められている。しかしながら、SiC単結晶は、モース式硬度で9に及ぶ硬度を有しているために非常に硬く、その難加工性材料特性に起因する加工効率の低下、あるいはコスト増がインゴットの口径増加に伴って問題となっている。従って、半導体デバイスの製造効率改善を意図した単結晶インゴットの口径拡大を、実際として基板製造性に反映させた形で実現するためには、インゴット口径の増大に伴って増加する加工コストや効率の劣化を回避することが極めて重要になる。
上記の問題を解決するために、本発明者らは、略円柱状の6インチ(〜150mm)を超えるSiC単結晶インゴットの口径を、該インゴットより最終的に製造する基板の口径にでき得る限り近くする、いわゆるニアネット成長法を考案した。この方法によれば、得られた略円柱状の単結晶インゴットを基板に加工する際、特にインゴット側面の外周研削(外形加工)において、加工量を最小化することが可能になり、加工負荷を軽減すると同時に、硬脆材料であるSiC単結晶インゴットに過度な加工負荷を加えることによるクラック発生のリスクを最小限に抑制することが可能になる。
しかしながら、本発明者らの詳しい調査の結果、ニアネット形状で製造した略円柱状のSiC単結晶インゴットから、加工量を最小にしたプロセスで基板を作製すると、製造した基板表面の大局的な幾何学的形状、すなわち反りが50μmを超えて大きなってしまう問題が発現することが明らかになった。特に、大口径の基板を得る場合に、このような問題はより一層顕著になる。基板に大きな反りが発生すると、基板の形状が悪いために、例えばデバイス製造時の露光プロセスに大きな影響を及ぼすことになり、デバイス製造効率が著しく低下してしまう。
本発明は、このような問題を解決するものであり、実質的にニアネット形状の状態で製造したSiC単結晶インゴットから6インチ以上の所望の大口径基板を作製する場合であっても、反りを抑えた高品質のSiC単結晶基板を製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述した従来技術の問題を解決し、特に大口径基板において、加工効率化を可能にするニアネット形状のSiC単結晶インゴットから反りの小さい高品質なSiC単結晶基板を製造することができる方法に関し、その要旨としては、
(1)炭化珪素単結晶インゴットの側面を外形加工する工程を含んで、炭化珪素単結晶基板を製造する方法であって、得られる炭化珪素単結晶基板の口径dに対して、炭化珪素単結晶インゴットの口径Dを1.05倍以上1.15倍以下に成長させて、これら口径の差分(D−d)を外形加工により取り除くことを特徴とする炭化珪素単結晶基板の製造方法、
(2)前記炭化珪素単結晶インゴットが、種結晶を用いた昇華再結晶法により得られたものである(1)に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法、
(3)炭化珪素単結晶基板の口径dが150mm以上である(1)又は2に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法、
(4)炭化珪素単結晶インゴットを外形加工した後に、所定の厚みに切断し、研磨して炭化珪素単結晶基板を製造するか、又は、炭化珪素単結晶インゴットを所定の厚みに切断した後に、外形加工し、研磨して炭化珪素単結晶基板を製造する(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法、
である。
本発明によれば、6インチ以上の大口径を有する場合であっても、加工負荷を低減化可能なネアネット形状のSiC単結晶インゴットから反りを抑えたSiC単結晶基板を得ることが可能になる。そして、本発明によって得られたSiC単結晶基板を用いれば、極めて高性能な電力制御用パワーデバイスを高効率で作製することができるようになる。
図1は、基板のSORI値を説明するための模式図である。 図2は、昇華再結晶法(改良レーリー法)の原理を説明するための模式図である。 図3は、インゴットの外形加工による外周研削量と得られた基板の反りとの関係を調べた実験結果である。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明においては、炭化珪素単結晶インゴットの側面を外形加工する工程を含んで炭化珪素単結晶基板を製造するにあたり、炭化珪素単結晶インゴットの口径Dを炭化珪素単結晶基板の口径dに対して1.05倍以上1.15倍以下(1.05×d≦D≦1.15×d)に成長させて、これら口径の差分(D−d)を外形加工により取り除くようにする。
ここで、SiC単結晶インゴットからSiC単結晶基板(ウエハと呼ばれる場合もある)を製造する場合、その基板の表面の大局的な幾何学的形状を規定する評価指標には複数の指標が存在する。その中で、一般的に、「反り」や「うねり」として表現されているものがあり、本指標が小さい程、基板は完全平坦面に近い表面を有していることを示す。このような「反り」(以下、SORIと表記する場合もある)は、JEIDA規格「JEIDA-43-1999、シリコンウエハ平たん度に関する用語」(社団法人日本電子工業振興協会)によって明確に規定されており、それによれば基板平坦度とは、吸着固定しない状態で静置された基板(ウエハ)について、基準平面から基板表面までの距離の最大値と最小値の差として定義され、基準平面はその値が最小となるように選ばれる。
他方で、反りの測定方法の実際としては、基板を、平坦で十分に硬い測定台に静置した状態で、鋼あるいはダイヤモンド等からなる硬い触針を基板表面に接触させ、基板の直径方向に沿って、測定台面に平行に触針を接触させた状態で移動させ、測定台面に対して垂直方向の変位の最大値を表面平坦度として測定する方法が一般的に採用されている。図1に、本法によって決定される表面平坦度を模式的に示す。この方法によって決定される表面平坦度は、厳密にはJEIDA規格とは一致するものではない。しかしながら、得られた測定データより、最小二乗法などの方法によって、測定台面(図1中の4)に対する、基板の被測定面の平均傾き(同図中の2)を算出し、それをバックグラウンドとして測定データより差し引く処理をした後に、改めて変位の最大値(同図中の3)を計算することで、JEIDA規格の定義に極めて近い、意味のある簡便な測定方法とすることができる。一般的に、表面平坦度は本方法で決定された値を言及するものであり、本発明中においても、特に説明がある場合を除き全て本方法によって測定した表面平坦度を採用し、これを上記と同様にSORIと記載する。
ところで、基板のSORIを決めている要因には大別して、SiC単結晶成長時における温度分布に起因する成長要因と、基板加工時の加工精度や機械加工に因る表面ダメージ等の加工要因とが存在する。前者は、SiC単結晶が成長時に存在する温度勾配や等温線の曲率に依存して単結晶内部に熱応力が発生し、それが室温まで冷却した後にも単結晶内に残存する、いわゆる残留熱応力が原因となる。残留熱応力を低減するためには、成長時に発生する熱応力を小さくすることが必要であり、具体的な成長条件としては、成長時の温度勾配を小さく、かつ等温線の形状をでき得る限り平坦化することが重要である。他方、後者の加工要因については、加工時の基準面が平坦面になるように加工法に留意すると同時に、或いは、単結晶の加工面に機械加工によって発生する加工ダメージ層が残存しないように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)等を行って加工ダメージ層を除去する処理を行うことが重要となる。
しかしながら、上記した二つの視点に十分に留意しても、最終的に作製する基板のSORIが50μmを大きく超えてしまう場合があることが本発明者らの種々の調査によって明らかになった。
その原因を具体的に調べた結果、製造したインゴットの最外周部(側面)に、主に引っ張り成分となっている大きな応力が偏在しており、この最外周部を完全に加工除去しなければ、上記の二視点の工夫を行ったとしてもSORIの小さい基板が作製できないことが判明した。この現象は、様々な口径(すなわち直径)のインゴットにおいて確認されるが、口径が大きくなるほど偏在する応力も増えて、SORIが大きくなる。特に、6インチを超える大口径のSiC単結晶においてSORIの増大が顕著になる。
このような、単結晶インゴットの最外周部に比較的大きな引張応力が発生する原因については、現時点では明らかはなっていない。しかしながら、昇華再結晶法により得られたSiC単結晶の側面(すなわち最外周部)は黒鉛坩堝等の坩堝容器と2000℃を越える高温で直接接触していることから、本発明者らの推測によれば、例えば、坩堝容器との相互作用により引張応力が発生したり、また成長後の冷却中に発生したりするほか、あるいは最外周部における極微量不純物等の影響が可能性として考えられる。
従って、ニアネット形状を前提としてSiC単結晶基板を製造する場合、製造する基板の口径に応じて、SiC単結晶インゴットの最外周部に存在する応力偏在部を除去できる最小限の口径を規定し、その口径になるようにSiC単結晶インゴットを製造することが重要になる。それと同時に、SORIの小さい大口径のSiC単結晶基板を低コストで効率的に提供することが可能になる。
ここで、種結晶を用いた昇華再結晶法(改良型レーリー法)について説明する。図2に、昇華再結晶法を利用する単結晶成長装置の概略図を示す。主として黒鉛からなる坩堝7を用い、この坩堝内にアチソン法等により作製したSiC結晶原料粉末6を充填し、その対向位置にSiC単結晶からなる種結晶5を配置する。原料については特にSiC結晶に限られる必要はなく、例えば、シリコン粉末と黒鉛粉末の混合粉のようなものであって、結晶成長が開始する温度までにSiCが合成可能な原料であってもよい。そして、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で、概ね133Pa〜13.3kPaの範囲の圧力に調整し、2000〜2400℃に加熱される。この際、原料粉末6と種結晶5との間に、原料粉末6の温度が高くなるように温度勾配を制御することにより、原料粉末の昇華及び種結晶上への再結晶化を誘起し、種結晶上への単結晶成長が実現される。成長するSiC単結晶への不純物ドーピングは、n型SiC単結晶を成長させる場合、成長中の雰囲気ガスへの窒素ガス添加によって実施される。例えば、デバイス応用として必要な体積電気抵抗率である0.0005Ωcm(=0.5mΩcm)以上、0.05Ωcm(=50mΩcm)以下のn型SiC単結晶の実現には、他の残留不純物元素の濃度にもよるが、アルミニウムやホウ素等のp型不純物濃度を、概ね5×1017cm-3以下に抑えることを前提に、3×1018cm-3以上6×1020cm-3以下の範囲で窒素原子をSiC単結晶中に添加することにより実現できる。
本発明では、このような方法によって、成長するSiC単結晶インゴットの口径Dが、製造する所望のSiC単結晶基板の口径dの1.05倍以上1.15倍以下、好ましくは1.05倍以上1.10倍以下、更に好ましくは1.05倍以上1.06倍以下となるようにする。インゴットの口径Dが基板の口径dの1.05倍未満では、上述したようなインゴット周辺に残存する応力の加工除去が不十分となり、SORIの小さな基板が製造できない。また、1.15倍を超えると、加工で除去する単結晶体積が大きくなり、加工負荷増大により高効率かつ低コストで基板が製造できない。このようなSORI低減化効果は、口径2インチ以上の全ての基板で発現するが、製造する基板の口径が150mm以上の場合に顕著になり、口径175mm(7インチ)、更に好ましくは、口径200mm(8インチ)基板で特に有効である。なお、基板口径の上限については特に技術的制約は無いが、現時点でのSiC単結晶製造技術の難易度増による製造コスト増加を避ける視点から、実質的には300mmが上限になる。
ここで、図3には、外形加工による外周研削量と基板の反りとの関係を調べた実験結果が示されている。この実験では、口径150mmを有する円柱状のSiC単結晶インゴットについて、先ず、昇華再結晶法による成長後の状態のままで外周研削せずに切断し、研磨して、厚さ350μmの試験基板を作製した。このときの研磨は表裏両面ともにCMPで仕上げており、加工ダメージ層を完全に除去した。そして、この状態で反りを計測し(すなわち外周研削量はゼロ)、このときの反り量を1とした。
次に、円筒研削盤を用いて上記試験基板の側面(外周部)を厚み1mmだけ研削して(研削後の基板直径は148mmになる)、反りを計測した。このときの反り量を外周研削量がゼロのときの試験基板の反りに対する相対値で記録し、以降、同様にして試験基板の側面を1mmずつ外周研削していき、最終的に外周研削の量が10mmになるまで試験基板を外形加工して、それらのときの反りの相対値を求めた。
この実験結果によれば、研削量4mm(加工後の基板直径は142mm)までは、外周研削量の増加と共に反りは急激に減少する。一方で、それ以上の外周研削量としても反りの低減効果はほとんど変わらない。つまり、4mmの外周研削量までの間(主には〜3mm)に基板の反りを過度に大きくしている残留応力(円周方向に沿う引張応力)が偏在していると考えられる。この結果(研削前口径/研削後口径=150/142=1.056)をもとに、目的の基板口径の少なくとも1.05倍の口径を有するSiC単結晶インゴットを成長させるようにし、その差分を外形加工により取り除けば、反りが抑えられたSiC単結晶基板が得られるようになる。
また、製造する基板の厚さについては1000μm以下であるのがよく、好ましくは200μm以上800μm以下、より好ましくは250μm以上650μm以下、更に好ましくは300μm以上550μm以下であるのがよい。200μm未満の場合、SiCの硬脆材料としての性質から基板加工時、特に研磨工程においてクラックが発生しやすくなり、生産効率が悪くなる。また1000μmを超えると、インゴット1個あたりからの製造可能な基板枚数が激減するため、生産性が悪くなる。
また、本発明におけるSiC単結晶インゴットの外形加工について、SiC単結晶基板を得るまでの加工プロセス手順には特に制約は無く、切断前に側面の外形加工を行ってもよく、外形加工を行う前に切断し、得られた切断後基板毎に外形加工を行ってもよい。すなわち、例えば、SiC単結晶インゴットを外形加工した後に、所定の厚みに切断し、研磨してSiC単結晶基板を製造するようにしてもよく、SiC単結晶インゴットを所定の厚みに切断した後に、外形加工し、研磨してSiC単結晶基板を製造するようにしてもよい。
外形加工をはじめとして、切断や研磨方法としては公知の方法と同様にすることができる。外形加工については、例えば、円筒状の研削砥石(円筒研削盤)や平面研削装置を用いた外周研削や、ワイヤー放電加工機等を用いたワイヤー加工等を挙げることができる。また、切断についてはマルチワイヤーソーやダイヤモンドブレードによる外周刃切断等を挙げることができ、研磨方法としては、ダイヤモンド粒子等を含む研磨液を用いた片面あるいは両面研磨のほか、これらに加えて更に最終段の研磨プロセスとしてコロイダルシリカ等の極微細懸濁粒子を含むスラリーを使用したCMP(Chemical-Mechanical polishingあるいはChemo-Mechanical Polishing)等を挙げることができ、これらに制限されない。
このようにして得られた、SORIの小さいSiC単結晶基板上には、例えば、化学気相蒸着法(CVD法)等によりSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させることで、実質的に基板の全領域において、極めてSORIの小さい、良好な形状精度を有するエピタキシャルウエハを作製することができる。このようなエピタキシャルウエハを使用することで、特性に優れた各種の電子デバイスが効率よく得ることが可能になる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図2に示す単結晶成長装置を用いて、以下のようなSiC単結晶成長を実施した。なお、図2は、種結晶を用いた昇華再結晶法によってSiC単結晶を成長させる装置の一例であり、本発明の構成要件を限定するものではない。
先ず、この単結晶成長装置について簡単に説明する。結晶成長は、種結晶として用いたSiC単結晶5の上に、原料であるSiC粉末6を昇華再結晶化させることにより行われる。種結晶のSiC単結晶5は、坩堝7(主として黒鉛製)の上部内面に取り付けられる。原料のSiC粉末6は、黒鉛製坩堝7の内部に充填されている。このような坩堝7は、二重石英管8の内部に設置され、円周方向の温度ムラを解消するために、1rpm未満の回転速度で坩堝を回転可能な機構になっており、結晶成長中はほぼ一定速度で常に回転できるようになっている。坩堝7の周囲には、熱シールドのための断熱保温材9が設置されている。二重石英管8は、真空排気装置10により高真空排気(10-3Pa以下)することができ、かつ内部雰囲気をアルゴンガスにより圧力制御することができる。また、二重石英管8の外周には、ワークコイル11が設置されており、高周波電流を流すことにより坩堝7を加熱し、原料及び種結晶を所望の温度に加熱することができる。坩堝温度の計測は、坩堝の上部方向の中央部に直径2〜4mmの光路12を設け坩堝上部からの輻射光を取り出し、二色温度計13を用いて行う。
この実施例1では、種結晶5として、口径175mmの{0001}面を有した4H−SiC単結晶基板を、(000-1)面、すなわち炭素原子終端面(C面)が成長面となるように坩堝内の対向面(上部内壁面)に取り付けた。二重石英管7内を真空排気した後、ワークコイル11に電流を流し、坩堝上部の表面温度を1700℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとして高純度アルゴンガス(純度99.9995%)と高純度窒素ガス(純度99.9995%)の混合ガスを流入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、坩堝温度を目標温度である2250℃まで上昇させた。雰囲気ガス中の窒素濃度は7%とした。その後、成長圧力である1.3kPaに約30分かけて減圧した。この際の坩堝内の原料粉末(SiC粉末)6と種結晶5との間の温度勾配は15℃/cmである。このような単結晶成長を、坩堝の成長空間の直径を変化させた種々の坩堝を作製して繰り返し、表1に示したように口径が151〜173mmの範囲で異なる8つのSiC単結晶インゴットを成長させた。得られたインゴットは全て単一の4H型ポリタイプを有する略円柱形の単結晶であり、成長方向の長さは概ね約20〜25mmであった。
得られた単結晶インゴットを、外周研削を行わずにワイヤーソーを用いて種結晶の成長面に並行になるように、厚さ約1mmの基板を切り出した。これらの基板の外周部は、成長した直後のas-grownインゴットの側面最表面である。次いで、両面研磨装置により基板の主面および裏面のみを研磨し、厚さを360μmとした。最終的にコロイダルシリカベースのスラリーを持いて両面にCMP処理を施した。最終的に得られた試験基板の厚さは全て350μmとした。
このようにして得られた種々の口径を有する試験基板について、円筒研削盤を用いて最外周部(側面)を研削除去して口径150mmの基板(外形加工済み試験基板)を作製した。その後、接触式形状測定装置を用いて基板中心と最外周部の高低差を計測し、簡易的なSORI量を評価した。表1にその結果を示す。なお、表1中の「口径D/150値」は、「成長させたインゴット口径D(mm)/外形加工済み試験基板の口径d(=150mm)」の値を表す。
Figure 0006579889
表1から判るように、外周研削(外形加工)前、すなわち成長した単結晶インゴットの口径Dを有する出発基板の口径が156mm(口径D/150値=1.040)以下では、作製した6インチ(〜150mm)基板のSORI値が50μmを大きく超えてしまう。これは、インゴットの最外周部に形成される応力偏在領域が、インゴットの口径が概ね150mmである場合には、半径方向の外周側に幅が約3mm程度の領域であることを意味しており、これを超える領域を円周方向全体に亘って除去しなければ、外周部に残存する応力によりSORI値が大きなってしまうことを意味している。他方、研削量が半径方向に幅4mm(口径D/150値=1.053)の場合、SORI値は50μm以下となっており、これ以上の研削量では研削量が大きくなるほどSORIは減少していが、その減少傾向は鈍化していることが判る。従って、本発明により、6インチ口径の基板を作製する場合、成長させる単結晶インゴットの口径が少なくとも約158mmとなるようにすることで、ニアネット、すなわち外形加工の側面研削量を最小にでき、かつ表面平坦度の優れた高品質なSiC単結晶基板が製造可能であることが判る。
(実施例2)
実施例1とほぼ同じ条件で4H型ポリタイプの単結晶インゴットを作製した。実施例1と同様な方法により、口径が4インチ(100mm)、5インチ(125mm)、及び7インチ(175mm)のSiC単結晶基板が作製できる単結晶インゴットをそれぞれ複数の口径で成長させて準備し、目的の口径を有する基板を得るにあたって、それぞれのインゴットでの複数の口径に対する外周研削量とSORI値との関係を調べた。ここで、各口径における外形加工済み試験基板を得るまでの手順は実施例1と同様にし、また、両面CMP処理後の基板の厚さは、全て350μmとした。
目的の各口径を有するSiC単結晶基板について、基板の口径ごとにそれぞれ複数準備したインゴットから外形加工済み試験基板を得たときのSORI値とインゴット口径との関係を実施例1と同様にして調べて、SORI値減少傾向が変化するとき(すなわちSORI値が50μm以下になったとき)の「インゴット口径D(mm)/外形加工済み試験基板の口径d」の値を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 0006579889
表2から明らかなように、いずれの基板口径においても、最終的に作製する基板口径dに対して、製造する単結晶インゴットの口径Dが1.05倍以上とすることで、インゴットの残留応力偏在部が加工除去できることが示されている。すなわち、少なくとも単結晶インゴットの直径Dを製造する基板の口径dの1.05倍に漸近するようにすることにより、周辺偏在応力による不要なSORI値の増加を回避し、加工工程負荷を抑えて効率的に形状精度に優れた高品質SiC単結晶基板を製造することが可能になる。
5 種結晶(SiC単結晶)
6 SiC結晶粉末原料
7 坩堝
8 二重石英管(水冷)
9 断熱材
10 真空排気装置
11 ワークコイル
12 測温用窓
13 二色温度計(放射温度計)

Claims (3)

  1. 炭化珪素単結晶インゴットの側面を外形加工する工程を含んで、炭化珪素単結晶基板を製造する方法であって、得られる炭化珪素単結晶基板の口径dに対して、炭化珪素単結晶インゴットの口径Dを1.05倍以上1.073倍以下に成長させて、これら口径の差分(D−d)を外形加工により取り除くことを特徴とし、
    前記炭化珪素単結晶インゴットが、種結晶を用いた昇華再結晶法により得られたものであって、
    SORIが50μm以下である炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  2. 炭化珪素単結晶基板の口径dが150mm以上である請求項1に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
  3. 炭化珪素単結晶インゴットを外形加工した後に、所定の厚みに切断し、研磨して炭化珪素単結晶基板を製造するか、又は、炭化珪素単結晶インゴットを所定の厚みに切断した後に、外形加工し、研磨して炭化珪素単結晶基板を製造する請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶基板の製造方法。
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