JP4719125B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶基板 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法及び炭化珪素単結晶基板 Download PDF

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Description

本発明は、炭化珪素単結晶の製造方法に関するものである。本発明で得られる炭化珪素単結晶基板は、主として各種電子デバイス等の製造用基板として用いられる。
炭化珪素(SiC)は、従来のシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)と比較して、優れた半導体特性や、耐熱特性及び機械的強度等を有しており、これらの特長を利用して、各種の半導体パワーデバイスを製造するための基板材料として大きな注目を集めている。基板の直径が2インチ(約50mm)以上の大口径を有する単結晶インゴットは、改良レーリー法(昇華再結晶法)によって、製造されることが一般的になっているが(非特許文献1)、近年ではSiC単結晶の高品質化、及び口径4インチ(約100mm)に及ぶSiC結晶の更なる大口径化が実現しつつある(非特許文献2)。デバイス実用化に関しても、窒化ガリウム(GaN)系青色発光ダイオードやショットキーバリアダイオード等が既に商品化されており、また他方で、GaN系高周波デバイス、及びJFETやMOSFETに代表される低損失パワーデバイス等々も試作されるに至っている。
SiC単結晶に特徴的な欠陥として、マイクロパイプ欠陥が知られている。マイクロパイプ欠陥とは、大型の螺旋転位の中心部分に微細な穴が貫通したものであり、このような欠陥が存在すると、高電圧印加下で電流リークの発生原因となるため、デバイスの耐圧特性が大きく劣化し、動作信頼性に深刻な問題を引き起こす。したがって、マイクロパイプ欠陥密度をできる限り低減化することが応用上重要である。
マイクロパイプ欠陥が発生する原因の一つとして、成長中に異種ポリタイプが発生することが挙げられる。マイクロパイプの新たな発生を抑えて、高い結晶性を有するSiC単結晶を製造するためには、異種ポリタイプの発生が皆無な安定成長製造法の確立が必須である。近年、安定製造技術の進歩があり、最近では単位面積(1cm2)当たりのマイクロパイプ欠陥の数が数個以下の良質なSiC単結晶基板が報告されるに及んでいる(非特許文献3)。
他方、小傾角粒界あるいは亜粒界についても、それらを含む基板上にデバイスを構成すると、大きな電流リークが発生するため、デバイス動作の信頼性を大きく損ねる原因となる。このような小傾角粒界や亜粒界は、昇華再結晶法等々によるSiC単結晶成長においては、結晶の周辺端近傍の領域で発生し易い。この原因は、SiC単結晶成長に使用する種結晶に既に存在しているものが、成長時にgrown-in欠陥として成長結晶中に引き継がれることが一因となっている。また、結晶成長時に不慮発生した成長温度不均一化等々が原因となり、成長時に新たに結晶内に発生する場合もある。後者の場合、そのようなインゴットから種結晶を取り出し、その種結晶を用いてSiC単結晶成長を行うと、生成した小傾角粒界や亜粒界がgrown-in欠陥として成長結晶中に引き継がれ、結果としてSiC単結晶の結晶品質を劣化させてしまう。
このような、小傾角粒界あるいは亜粒界を排除、あるいは低減化することについては、特許文献1、特許文献2、又は、特許文献3等に開示されている。しかしながら、これらの方法は、成長結晶面を変換する等の特殊な方法から構成されており、所望の基板口径を得るに十分な長さのSiC単結晶インゴットの安定成長技術を実現する必要がある等、工業的見地から、簡便かつ有効な手段であるとは必ずしも成り得ていないのが実情である。
特開平5-262599号公報 特開平8-143396号公報 特開2003-119097号公報 特許第2804860号公報 特開2006-124244号公報 Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol.52 (1981) pp.146 C. H. Carter, et al., FEDジャーナル, vol.11 (2000) pp.7 A. H. Powell, et al., Material Science Forum, vol.457-460(2004) pp.41 N. Ohtani, et al., Materials Science Forum, Vol.389-393 (2002) p.29 S. Wang, et al., Materials Science Forum, Vol.389-393 (2002) p.35 T. Fujimoto, et al., Materials Science Forum, Vol.457-460 (2004) p.79
発明者らは、4Hあるいは6H-SiC等のSiC単結晶について、種結晶よりも結晶口径が大きくなる、いわゆる口径拡大成長において、特に結晶周辺の口径拡大領域では、マイクロパイプ欠陥が大きく減少することを報告している(非特許文献4)。本結果は、口径拡大領域においては、種結晶からgrown-in欠陥的に進展して本領域に侵入する一部のマイクロパイプ欠陥を除き、成長時に異種ポリタイプの発生等々による新たなマイクロパイプ欠陥の発生がなければ、基本的に口径拡大領域はマクロパイプ欠陥が原理的には皆無な結晶領域になることを示している。また、特許文献4では、SiC単結晶が[0001]方向に対して垂直方向(c面内方向)へ成長する場合、マイクロパイプ欠陥は成長結晶部分へ全く進展しないことが開示されているが、口径拡大領域においても、c面内方向への成長成分が併存している可能性があると考えられ、マイクロパイプ欠陥を消滅させる成長駆動が少なからず関与しているものと考えられる。同様なメカニズムは、微細な空洞を付随しない螺旋転位についても働いている可能性が高い(非特許文献5)。
一方、小傾角粒界あるいは亜粒界の場合であるが、口径拡大成長時の進展現象はマイクロパイプ欠陥の場合と異なっており、種結晶中に小傾角粒界あるいは亜粒界が存在する場合には、単純な口径拡大成長では、口径拡大領域内を結晶周辺端部へ向かって進展してしまう(非特許文献6)。即ち、種結晶の周辺端に小傾角粒界あるいは亜粒界が存在すると、これらの粒界を挟んで結晶方位が異なる結晶領域がそれぞれ口径拡大領域へ向かって成長するため、小傾角粒界あるいは亜粒界も結晶方位が異なる結晶領域の境界としてそのまま引き継がれるためである。したがって、小傾角粒界あるいは亜粒界の進展を口径拡大成長時に抑制するためには、種結晶に存在するそれら小傾角粒界あるいは亜粒界を取り除くことが必要である。
特許文献5では、結晶の周辺部分に形成される小傾角粒界を、部分的に切除するか、あるいは溝切り加工し、しかる後に該基板を種結晶として結晶成長させることで、成長結晶への小傾角粒界の進展を抑制する製造方法が提案されている。ここで、特許文献5における周辺領域とは、小傾角粒界の基板中心方向の終点と基板中心点を結ぶ線分の内の最短のものを半径とし、基板中心を中心とする仮想円の外側の領域であると定義されている。上述した観点から小傾角粒界を取り除くために、この周辺領域内に存在する小傾角粒界を含む結晶領域を、基板周辺端から切れ込みを入れて部分的に切除するか、あるいはその表面部分の一部を残して溝切り加工し、しかる後に該種結晶基板上にSiC単結晶を成長させることで小傾角粒界が除去された単結晶インゴットが得られるとしている。
しかしながら、発明者らの調査によれば、このように結晶の一部が切除された種結晶上にSiC単結晶を成長させると、切除部分の直上部に結晶成長異常が発生する傾向が強くなり、このような場合には切除部分に沿ってマイクロパイプ列が発生してしまう。このため、切除部分を有する種結晶上にSiC単結晶を成長させる方法は、欠陥の少ない高品質単結晶を安定的に製造する方法としては工業上の問題点を有している。
また、小傾角粒界あるいは亜粒界のように、刃状転位や基底面転位などの転位欠陥が点列状、あるいは線状に配列しない場合でも、それらがSiC単結晶基板の中で部分的に密集した場合には大きな問題を引き起こす原因となるため、そのような密集領域は極力除去することが望まれていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、小傾角粒界や亜粒界が大幅に低減されたSiC単結晶インゴットを安定的かつ簡便に成長できるSiC単結晶の製造方法を提供するものである。
本発明は、上記の従来技術の問題を解決し、高品質な結晶性を有する炭化珪素単結晶基板を取り出せる炭化珪素単結晶インゴットを安定に製造する方法に関するものであって、
(1)小傾角粒界あるいは亜粒界を含む周辺領域を除去して得られる最大円形領域の直径が70%以上である炭化珪素単結晶基板の周辺領域を除去して得られる円形領域を種結晶基板とし、しかる後に該種結晶基板の表面上に、炭化珪素単結晶インゴットを成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法、
(2)前記最大円形領域の直径が85%以上である(1)に記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
)前記最大の円形領域を種結晶基板とすることを特徴とする(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
)前記周辺領域除去後の種結晶基板は、その中心が除去前の種結晶基板の中心と一致しない(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
)前記周辺領域は、ワイヤー放電加工、ダイシングソー及び外周研削加工から選ばれた加工手段による切断及び/又は研削により除去される(1)〜()のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
)前記炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程が、昇華再結晶法によって行われる(1)〜()のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
(7)前記炭化珪素単結晶インゴットの直径が50mm以上である(1)〜(6)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
(8)前記炭化珪素単結晶インゴットの直径が100mm以上である(1)〜(7)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法、
である。
本発明によれば、結晶品質に優れたSiC単結晶が製造可能になる。本発明の製造方法により作製されたSiC単結晶インゴットを用いて作製されるSiC単結晶基板についても、小傾角粒界あるいは亜粒界が少なく、高品質な結晶性を有する。
本発明における、小傾角粒界あるいは亜粒界を含む周辺領域を定義する。SiC単結晶からなる種結晶について、種結晶の周辺端近傍に存在する小傾角粒界あるいは亜粒界を含まない最大円形領域の外部を周辺領域とする。
また、小傾角粒界あるいは亜粒界のように、刃状転位や基底面転位等の転位欠陥が列状、あるいは線状に配列せず、それらがSiC単結晶基板の中で部分的に密集した密集領域を形成している場合には、その密集領域について、小傾角粒界あるいは亜粒界の場合と同様に、密集領域を含まない最大円形領域の外部を周辺領域とする。ここで、密集領域とは、基板表面に終端を有する転位の中で、表面終端における転位の位置の間隔が5μm以下となっている面積領域を指す。したがって、本発明の最大円形領域の定義は、この周辺領域以外の円形領域とする。
以下、本発明の実施形態について、小傾角粒界あるいは亜粒界が種結晶周辺領域に存在する場合について詳説する。転位密集領域についても、ほぼ同様の製造方法によって除去することが可能である。
SiC単結晶成長においては、全円周方向に亘って、完全に同一の長さを有する小傾角粒界あるいは亜粒界が生成されることは極めて稀であり、このため、本発明の定義による最大円形領域の中心は、円形の種結晶の中心には一致しない。また、定義内容の性質から容易に理解されるように、特許文献5の定義による円形領域の半径よりも、本発明の最大円形領域の半径は一般的に大きくなる。ここで、特許文献5の定義による円形領域の半径とは、小傾角粒界の基板中心方向の終点と基板中心点を結ぶ線分の内の最短の線分を指す。図1に本発明の定義による最大円形領域と、特許文献5の定義による円形周辺領域について示した。このような最大円形領域の決定であるが、小傾角粒界あるいは亜粒界の種結晶面内分布については、X線トポグラフによる撮像画像、あるいはより簡便には、透過偏光観察像によって可視化が可能であり、その画像から最大円形領域を決定することが可能である。また、約500℃に加熱して溶融した水酸化カリウム溶液中で5分間エッチングを施し、主として基板のSi終端面側に現れるエッチピット分布を調べることによっても可能である。
前記した小傾角粒界あるいは亜粒界の性質から、これらをSiC単結晶成長によって成長時にその成長結晶内への進展を阻止するためには、種結晶中の小傾角粒界あるいは亜粒界を完全に除去する処理を行ってやればよい。以下に、小傾角粒界あるいは亜粒界を含む周辺領域を除去する方法について述べる。
X線トポグラフあるいは透過偏光観察によって予め最大円形領域を決定し、その最大円形領域を残すように、その外側の結晶領域を除去する。その方法としては、ワイヤー放電加工、ダイシングソー及び外周研削加工から選ばれた加工手段による切断及び/又は研削が挙げられる。ワイヤー放電加工の方法によれば、任意の位置からの円形切断を簡便に行うことが可能である。また、通常行われている外周研削機によっても、最大円形領域の中心を研削盤の試料固定台回転中心となるように設置して、偏心加工することにより可能である。また、更には、ダイシングソーにより、数回に亘って円形領域の外側結晶領域を切断除去してもよい。この場合、切断後の種結晶の外形は多角形になるが、外周研削機等により円形になるように外周研削を更に実施すれば良い。この場合のメリットとしては、小傾角粒界や亜粒界は加工時にクラック発生の起点となり易く、これらを予めダイシングソーにより取り除くことにより、外周研削機等による偏心加工時のクラック発生確率を低減することが挙げられる。
大円形領域の直径が種結晶の直径の70%以上、より望ましくは85%以上である場合には、通常のSiC単結晶成長により、ほぼ元の種結晶の直径へ、新たな小傾角粒界あるいは亜粒界等々の転位欠陥を発生させることなく口径拡大成長が可能である。しかしながら、最大円形領域の直径が上記よりも小さい場合、除去処理前の種結晶の直径へ拡大する過度な口径拡大を行うと、成長結晶の周辺領域に多結晶粒が生成する等の異常が発生し、結果としてインゴットの結晶性が劣化してしまう。このような場合には、まず、上記の口径拡大率を維持してSiC単結晶成長後のインゴットの直径が、除去前の種結晶の直径よりも小さいインゴットを製造し、小傾角粒界あるいは亜粒界を除去する。しかる後に、再度上記の口径拡大率を維持しながら、口径拡大成長を1回、又は段階的に複数回実施することで、結晶品質を劣化させることなく、除去処理前の初期の種結晶の直径に戻すことが可能である。
小傾角粒界あるいは亜粒界が成長時に新たに成長結晶内に生成される原因の一つである成長時の不慮の温度不均一化は、成長結晶の直径が50mm以上の場合に起こり易く、特に100mm以上の場合にはこの傾向が更に強くなる。したがって、直径が50mm以上の良質単結晶、より望ましくは100mm以上のSiC単結晶インゴット成長を行う場合に、小傾角粒界あるいは亜粒界の低減化施策として、本発明は特に有効である。SiC単結晶インゴットの直径の上限については、特に制限は無いものの、安定製造のためには300mm程度が目安となる。
このようにして作製されたSiC単結晶インゴットを、通例のウェハ化加工、即ちワイヤーソー等々によるスライス切断後、研磨加工を実施することにより、小傾角粒界あるいは亜粒界が低減された高品質の単結晶基板を作製することができる。作製されたSiC単結晶基板は、小傾角粒界あるいは亜粒界が大幅に低減化されており、その本数については15本以下である。ここで、小傾角粒界あるいは亜粒界とは、基板表面に終端を有する転位の中で、終端の転位の位置の間隔が5μm以下であり、かつ基板の周辺端より中心方向へ長さ2mm以上のものを指す。デバイス作製時に基板をハンドリングする必要がある等々の事情を考慮し、基板の周辺端から約2mmの周辺端近傍領域はedge exclusion領域と称されて、デバイスプロセッシングには使用しないことが通例となっているため、上記のような小傾角粒界あるいは亜粒界であればデバイスへ与える影響は寡少である。なお、本数が15本を越えると、これらの微小な小傾角粒界あるいは亜粒界がクラックの発生起点となって、デバイスプロセス中に基板が破損する確率が激増するため、本数は15本以下、望ましくは5本以下であることが好ましい。
以下に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
直径が76mmの4H-SiC単結晶インゴットから、切断及び研磨加工により、(0001)面を有する、直径が76mmの円形状の種結晶基板を準備した。厚さは1.1mmである。この種結晶を透過偏光観察によって小傾角粒界と亜粒界の分布を同定した。図2にその分布の概略図を示す。使用した種結晶内には小傾角粒界と亜粒界がかなり密集した領域が存在しており、このため厳密に小傾角粒界と亜粒界の本数を数えることは不可能であったため、図2では、小傾角粒界と亜粒界の存在領域を示している。簡単な計算の結果、この種結晶の小傾角粒界あるいは亜粒界を含まない最大円形領域は62.5mmであり、その中心は種結晶基板の中心から約6.25mm移動した位置に相当することが判明した。このように決定された最大円形領域を残すように、ワイヤー放電加工を用いて切断加工を行い、その結果として、直径が約62.2mmの種結晶を改めて作製した。
このようにして作製された種結晶を用い、図3に示す単結晶成長装置によってSiC単結晶インゴットを成長させた。即ち、黒鉛からなる坩堝3内にアチソン法等々により作製したSiC結晶原料粉末2を充填し、その対向位置に、上記にて予め作製した直径62.2mmの種結晶1を設置した。黒鉛坩堝3は、二重石英管4の内部に、黒鉛の支持棒上に静置され、坩堝周囲は、熱シールドのための断熱材5によって覆われている。石英管の内部を真空排気した後、ワークコイル7に電流を流し、坩堝上部の表面温度を1700℃まで上げた。その後、雰囲気ガスとして高純度Arガス(純度99.9995%)を流入させ、石英管内圧力を約80kPaに保ちながら、温度を目標温度である2250℃まで上昇させた。成長圧力である1.3kPaには約30分かけて減圧し、その後、約30時間成長を継続した。この成長中に、雰囲気ガス中に窒素ガスを体積比で約7%混合し、結晶中に窒素原子をドープした。成長終了後、坩堝内より成長結晶と取り出したところ、結晶の口径は77.5mmで、成長結晶の高さから計算される成長速度は約0.85mm/hであった。
この結晶の成長端表面を図4(a)に示す。また、比較例として、使用した種結晶を取り出した元のインゴットの成長端表面を図4(b)に示した。ここで、図4(a)及び図4(b)に示す写真では、密集領域を視覚的により容易に判別できるように、白黒反転像を示している。図4(b)において、成長端表面に露出していた小傾角粒界あるいは亜粒界の密集領域が確認できるが、本発明のSiC単結晶成長を行った後では、それらの密集領域がほぼ消えていることが分かる(図4(a)参照)。更に詳しく調べるために、得られたインゴットを、ワイヤーソーを用いて成長方向にほぼ垂直に切断し、研磨加工を施して厚さ約1.0mmの単結晶基板を取り出した。しかる後に、透過偏光観察によって小傾角粒界と亜粒界の分布を調べたところ、単結晶基板の円周端から伸びた長さ約1.2mmの2本の亜粒界以外には認められず、本発明の製造方法が、小傾角粒界及び亜粒界の低減化に有効であることを確認した。
(実施例2)
直径が76mmの4H-SiC単結晶からなる、円形状の(0001)面種結晶基板を2枚準備した。厚さは1.0mmである。これらの種結晶基板は、同一のインゴットよりワイヤーソー切断よって得られたスライス基板の中から、特に成長端側より選択された隣接する2枚であり、研磨加工後にこれらの種結晶基板について透過偏光観察によって小傾角粒界と亜粒界の分布を同定したところ、分布はほぼ同一で、簡単な計算の結果、この種結晶基板の小傾角粒界あるいは亜粒界を含まない最大円形領域はどちらも約65.0mmであり、その中心は種結晶基板の中心から約7.5mm移動した位置に相当する。一方、特許文献5の定義、即ち、小傾角粒界の基板中心方向の終点と基板中心点を結ぶ線分の内の最短のものを半径とする円形領域を計算すると、円形領域の直径はやはりどちらも約45.0mmとなった。
上述の2枚の種結晶基板A及びBについて、種結晶基板Aより最大円形領域を、また種結晶基板Bより特許文献5の定義による円形領域を、それぞれ円筒加工機を用いて研削加工により取り出した。ここで、種結晶基板Aの円筒加工については、種結晶基板内の最大円形領域の中心が回転試料台の回転中心になるように種結晶基板を固定することで、偏心加工を行った。最終的に得られた種結晶A及びBの直径は、実測したところ、それぞれ59.7mm、44.8mmであった。
これらの種結晶を用いて、実施例1とほぼ同様の方法により、種結晶上にSiC単結晶インゴットを成長させた。種結晶A及びBより得られたインゴットの直系は、それぞれ77.2mm、77.3mmであった。得られたインゴットの結晶品質を目視にて精査したところ、本発明の種結晶Aを用いたインゴットでは、実施例1に示す結果と同様に、小傾角粒界及び亜粒界の密集領域がほぼ低減された良質のSiC単結晶が得られた。しかしながら、特許文献5の定義による円形領域の種結晶Bを用いて成長したインゴットの周辺部には、過度の口径拡大成長が原因と推定される多結晶粒が発生しており、これを起点とする亜粒界の密集領域が多数生成し、結果としてインゴットの結晶品質が著しく劣化していることが判明した。
更に詳しく調べるために、得られたインゴットについて、ワイヤーソーを用いて成長方向にほぼ垂直に切断し、研磨加工を施して厚さ約1.0mmの単結晶基板を取り出した後、実施例1と同様にして、透過偏光観察によって小傾角粒界と亜粒界の分布を調べたところ、本発明の製造方法によって得られたインゴットより作製した基板には、基板の円周端から伸びた長さ約1.2mmの1本の亜粒界以外には認められなかったが、種結晶Bより得られたインゴットから取り出した基板には、小傾角粒界及び亜粒界が密集した領域が多結晶粒付近に生成しており、その本数を数えることは実質的に不可能であった。
(実施例3)
直径が100mmの4H-SiC単結晶インゴットからなる、円形状の(0001)面を有する種結晶基板を準備した。厚さは1mmである。この種結晶を透過偏光観察によって小傾角粒界と亜粒界の分布を同定したところ、この種結晶の最大円形領域は89mmであり、その中心は種結晶基板の中心から約4.5mm移動した位置に相当することが判明した。この最大円形領域を残すように、ダイシングソーを用いて切断加工を行い、その結果、図5に示す多角形状の種結晶が得られた。更に円筒加工機による外周研削を行って外周を円形形状に整えた。この種結晶を用い、実施例1とほぼ同様な方法でSiC単結晶インゴットを成長させ、口径が約95mmのSiC単結晶インゴットを得た。このインゴットから、ワイヤーソーを用いて成長方向にほぼ垂直に切断し、研磨加工を施して直径95mm、厚さ約1mmの単結晶基板を取り出し、この単結晶基板を種結晶としてそのまま用いて、さらに実施例1とほぼ同様な方法でSiC単結晶インゴットを成長させ、最終的に直径が約102mmのSiC単結晶インゴットを得た。
得られたインゴットを、ワイヤーソーを用いて成長方向にほぼ垂直に切断し、研磨加工を施して厚さ約1mmの単結晶基板を取り出した。しかる後に、透過偏光観察によって小傾角粒界と亜粒界の分布を調べたところ、小傾角粒界及び亜粒界の密集領域の存在は認められず、本発明の製造方法が、小傾角粒界及び亜粒界の大幅な低減化に有効であることを確認した。
(実施例4)
直径が50.8mmの6H-SiC単結晶からなる、円形状の(0001)面種結晶基板を準備した。厚さは1.5mmである。この種結晶基板を520℃に溶融した水酸化カリウム溶液中で5分間エッチングを施し、エッチピット分布を調べたところ、貫通刃状転位と基底面転位が密集している領域が存在しており、その領域内ではそれら転位欠陥の間隔は、概ね3μm以下であった。簡単な計算の結果、この種結晶基板の転位密集領域を含まない最大円形領域は約47.5mmであり、その中心は種結晶基板の中心から約1.65mm移動した位置に相当する。
上述の種結晶基板より最大円形領域を、円筒加工機を用いて研削加工により取り出した。この結晶板に、再び研磨を施して鏡面加工して種結晶とし、その種結晶の厚さ及び直径を実測したところ、それぞれ1.1mm、47.3mmであった。
この種結晶を用いて、実施例1とほぼ同様の方法により、種結晶上にSiC単結晶インゴットを成長した。その結果、単一の6H-SiCポリタイプからなるSiC単結晶インゴットが得られた。このインゴットからワイヤーソーを用いて成長方向にほぼ垂直に切断し、研磨加工を施して厚さ約1mmの単結晶基板を取り出した後、520℃に溶融した水酸化カリウム溶液中で5分間エッチングを施し、エッチピット分布を調べたところ、転位密集領域はSiC単結晶成長によりほぼ除去されていることが確認できた。
図1は、本発明の最大円形領域を説明するための説明図である。
図2は、実施例1において使用した種結晶中の小傾角粒界及び亜粒界の密集領域の存在箇所を説明するための説明図である。
図3は、実施例で使用したSiC単結晶成長装置の概略説明図である。
図4は、SiC単結晶インゴットの成長端表面の白黒反転写真であり、(a)は本発明の製造方法によって得られたSiC単結晶インゴットの成長端表面を示し、また、(b)は成長時に使用した種結晶を取り出す前のSiC単結晶インゴットの成長端表面を示す。
図5は、実施例3におけるダイシングソーによって周辺部を切断除去した種結晶の外観を説明するための説明図である。
符号の説明
1…種結晶(SiC単結晶)
2…SiC結晶粉末原料
3…坩堝
4…二重石英管(水冷)
5…断熱材
6…真空排気装置
7…ワークコイル
8…測温用窓
9…二色温度計(放射温度計)

Claims (8)

  1. 小傾角粒界あるいは亜粒界を含む周辺領域を除去して得られる最大円形領域の直径が70%以上である炭化珪素単結晶基板の周辺領域を除去して得られる円形領域を種結晶基板とし、しかる後に該種結晶基板の表面上に、炭化珪素単結晶インゴットを成長させることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記最大円形領域の直径が85%以上である請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 記最大の円形領域を種結晶基板とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記周辺領域除去後の種結晶基板は、その中心が除去前の種結晶基板の中心と一致しない請求項1〜3のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記周辺領域は、ワイヤー放電加工、ダイシングソー及び外周研削加工から選ばれた加工手段による切断及び/又は研削により除去される請求項1〜のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 前記炭化珪素単結晶インゴットを成長させる工程が、昇華再結晶法によって行われる請求項1〜のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 前記炭化珪素単結晶インゴットの直径が50mm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  8. 前記炭化珪素単結晶インゴットの直径が100mm以上である請求項1〜7のいずれかに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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