JP6579317B2 - 焼却灰の脱塩方法 - Google Patents

焼却灰の脱塩方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6579317B2
JP6579317B2 JP2015186175A JP2015186175A JP6579317B2 JP 6579317 B2 JP6579317 B2 JP 6579317B2 JP 2015186175 A JP2015186175 A JP 2015186175A JP 2015186175 A JP2015186175 A JP 2015186175A JP 6579317 B2 JP6579317 B2 JP 6579317B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slurry
ash
added
chlorine
washing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015186175A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017060903A (ja
Inventor
大輔 原口
大輔 原口
林 浩志
浩志 林
達哉 矢島
達哉 矢島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2015186175A priority Critical patent/JP6579317B2/ja
Publication of JP2017060903A publication Critical patent/JP2017060903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6579317B2 publication Critical patent/JP6579317B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、塩素を含有する焼却灰を効果的に脱塩してセメント原料化する焼却灰の脱塩方法に関する。
一般廃棄物や産業廃棄物の焼却によって発生する焼却灰(主灰、飛灰、燃殻、煤塵)、最終処分場再生の際に発生する掘り起こし灰、セメント工場などから発生する塩素バイパスダストなどには塩素が多量に含まれている。
高塩素濃度の焼却灰等を洗浄して脱塩した後にセメント原料として再利用することが知られているが、可溶性の塩素化合物は除去できるものの、難溶性塩素化合物(例えば、Friedel氏塩、Kuzel氏塩など)は水洗だけでは除去できないので多量の塩素が残留しており、セメント原料として利用できない。
このため、難溶性塩素化合物を溶出させる方法として炭酸化処理、酸処理などが知られている。炭酸化処理は焼却灰に含まれるFriedel氏塩(CaAl(OH)Cl・2HO)などを炭酸と反応させて塩素を溶出させる方法であり、酸処理は焼却灰スラリーに酸を添加してpHを調整し、焼却灰の塩素成分を浸出することによって脱塩効果を高める方法である。
従来、炭酸化処理または酸処理に基づく以下の脱塩方法が知られている。
(イ) 灰塵の洗浄懸濁液に二酸化炭素を導入することによって、灰塵に含まれるFriedel氏塩から塩素イオンを溶出させて灰塵の脱塩を促進し、さらに塩素イオン濃度を2.0wt%以上に調整することによって灰塵からの重金属類の溶出を促進する灰塵の洗浄処理方法(特許第3924822号公報)。
(ロ) 焼却灰と水を混合したスラリーに二酸化炭素を導入して20℃以上70℃以下の温度で洗浄し、固液分離し、加水する洗浄工程を多段で繰り返す処理方法(特許第4482636号公報)。
(ハ) 焼却灰をpH制御せずに水で洗浄する第1洗浄工程の後に、この洗浄灰に酸および洗浄水を添加してpHを9〜11に制御する第2洗浄工程を有する焼却灰処理方法(特開2008−55395号公報)。
上記(イ)の方法は、一次洗浄時に二酸化炭素を吹き込んでおり、また重金属を浸出させるために洗浄懸濁液の塩素濃度を2.0wt%以上にしているので脱塩効率が非常に低い。上記(ロ)の方法は、一次洗浄時に二酸化炭素を吹き込んでいるので脱塩効果が低く、多段処理において全ての段において二酸化炭素を添加しているので、塩素浸出は進むが、洗浄灰の過剰な増量(セメント処理コストの増大)が発生しやすい。炭酸コストも増大する。上記(ハ)の方法は、二段目以降において酸を添加するので、液相中のカルシウム濃度および塩素濃度は低下することが期待されるが、焼却灰のカルシウム量が多くて塩基性が強い場合には、酸の添加量が非常に多くなり処理コストが増大する。
特許第3924822号公報 特許第4482636号公報 特開2008−55395号公報
一般に焼却灰にはかなりのカルシウムと塩素が含まれている。例えば、焼却灰には概ね1.0〜25wt%の塩素が含まれており、これに水を加えた焼却灰スラリーの塩素濃度は約5〜30g/Lであり、カルシウム濃度は約3〜10g/Lである。この塩素濃度およびカルシウム濃度の焼却灰スラリーを水洗して脱塩処理した洗浄焼却灰には概ね5000〜15000ppmの塩素が残留している。一方、セメント原料の塩素濃度としては3500ppm以下が望ましいとされているので、上記洗浄焼却灰はセメント原料として利用できる量が大きく制限され、セメント処理費用が甚大になる。また、焼却灰スラリーを水洗して脱塩処理するときに炭酸を導入することで難溶性塩素化合物の浸出を促進する方法が知られるが、水中の塩素やカルシウム濃度が高いと難溶性塩素化合物と炭酸の反応効率が非常に低いため、処理時間が長くなり、処理コストが増大する。
本発明の脱塩方法は、従来の上記問題を解決したものであり、焼却灰を効果的に脱塩してセメント原料に適する塩素濃度まで低減する焼却灰の脱塩方法を提供する。
本発明は以下の焼却灰の脱塩方法に関する。
〔1〕焼却灰スラリーに炭酸源を加えて焼却灰に含まれる難溶性塩素化合物と反応させて塩素を溶出させる炭酸化処理による脱塩方法において、
炭酸源を導入する前に焼却灰を洗浄処理して塩素濃度およびカルシウム濃度を予め低減した後に炭酸源を導入して炭酸化処理する脱塩方法であり、
焼却灰に水を加えて一次スラリーにし、その上澄液を除去して濃縮スラリーにし、
該濃縮スラリーに水を添加して攪拌洗浄した後に固液分離する洗浄処理を行い、
該洗浄処理の後に固液分離して回収した固形分に水を加えて二次スラリーにし、
該二次スラリーに炭酸源を加え撹拌して炭酸化処理するときに、撹拌開始時の該二次スラリーの塩素濃度およびカルシウム濃度が何れも2.0g/L以下の状態で炭酸化処理を進めることを特徴とする焼却灰の脱塩方法。
〔2〕上記一次スラリーに高分子凝集剤を添加して凝集フロックを生成させ、その凝集フロックを沈降分離させ、上澄液を除去して濃縮スラリーにする上記[1]に記載する焼却灰の脱塩方法。
〔3〕上記二次スラリーに炭酸源を加えて炭酸化処理した後に固液分離して二次固形分を回収し、該二次固形分をケーキ洗浄して、該二次固形分に付着した塩分を洗浄除去して洗浄焼却灰を回収する上記[2]に記載する焼却灰の脱塩方法。
〔4〕上記二次スラリーに可溶性炭酸塩を添加し、あるいは炭酸を含むガスを吹き込んで炭酸処理を行う上記[1]に記載する焼却灰の脱塩方法。
〔5〕上記二次スラリーを25℃〜80℃に加温して炭酸処理する上記[1]または上記[3]または上記[4]の何れかに記載する焼却灰の脱塩方法。
〔具体的な説明〕
本発明の脱塩方法は、焼却灰スラリーに炭酸源を加えて焼却灰に含まれる難溶性塩素化合物と反応させて塩素を溶出させる炭酸化処理による脱塩方法において、
炭酸源を導入する前に焼却灰を洗浄処理して塩素濃度およびカルシウム濃度を予め低減した後に炭酸源を導入して炭酸化処理する脱塩方法であり、
焼却灰に水を加えて一次スラリーにし、その上澄液を除去して濃縮スラリーにし、
該濃縮スラリーに水を添加して攪拌洗浄した後に固液分離する洗浄処理を行い、
該洗浄処理の後に固液分離して回収した固形分に水を加えて二次スラリーにし、
該二次スラリーに炭酸源を加え撹拌して炭酸化処理するときに、撹拌開始時の該二次スラリーの塩素濃度およびカルシウム濃度が何れも2.0g/L以下の状態で炭酸化処理を進めることを特徴とする焼却灰の脱塩方法である。


本発明の処理対象である焼却灰は、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却によって発生する焼却灰(主灰、飛灰、燃殻、煤塵など)、最終処分場再生の際に発生する掘り起こし灰、セメント工場などから発生する塩素バイパスダストなどを広く含む。
〔炭酸化処理〕
本発明の脱塩方法は、焼却灰のスラリーに炭酸源を加えて焼却灰に含まれる難溶性塩素化合物と反応させて塩素を溶出させる炭酸化処理に基づく脱塩方法である。炭酸源は炭酸ナトリウム(NaCO)や炭酸水素ナトリウム(NaHCO)などの可溶性炭酸塩、あるいは炭酸ガス(CO)や炭酸ガスを多量に含む産業系ガス(燃焼ガス,焼却炉排ガス,セメントキルン排ガス)などを用いることができる。
例えば、難溶性塩素化合物のFriedel氏塩(CaAl(OH)Cl・2HO)は次式(1)のように炭酸と反応して分解し、塩素が溶出するので、溶出した塩素を洗浄除去することができる。
2CaAl(OH)Cl・2HO + 4CO 2− → 4CaCO + 2Cl + AlO + 6OH+ 5HO・・・(1)
〔スラリーの塩素濃度、カルシウム濃度〕
本発明の脱塩方法は、焼却灰スラリーの塩素濃度およびカルシウム濃度が何れも2.0g/L以下になるまで該焼却灰スラリーを水洗浄した後に炭酸源を加えて炭酸化処理する。炭酸源を導入する焼却灰スラリーの塩素濃度およびカルシウム濃度が何れも2.0g/Lより高いと、難溶性塩素化合物と炭酸の反応が抑制されるために、洗浄焼却灰の塩素濃度を3500ppm以下に低減することが難しい。
焼却灰スラリーの炭酸化処理において、炭酸導入時のスラリーの塩素濃度と炭酸化処理後の洗浄焼却灰の残留塩素濃度の関係を試験すると図1に示す結果が得られる。未洗浄の焼却灰に水を加えた一次スラリーの塩素濃度は概ね10〜30g/Lであり、焼却灰スラリーの洗浄を繰り返してスラリーの塩素濃度を低減した後に炭酸化処理すると、図1のグラフに示すように、炭酸導入時のスラリーの塩素濃度が4g/L〜約20g/Lの範囲では、炭酸処理した洗浄焼却灰の残留塩素は約6000ppm〜約7000ppmであるが、炭酸導入時のスラリーの塩素濃度が4g/L以下になると、洗浄焼却灰の残留塩素は急激に減少し、炭酸導入時のスラリーの塩素濃度が2g/L以下になると、洗浄焼却灰の残留塩素は概ね3500ppm以下に低減し、脱塩効果が大幅に向上する。
従来の炭酸化による脱塩処理は、炭酸導入時のスラリーの塩素濃度が4g/L以下になると、洗浄焼却灰の残留塩素が急激に減少することは知られていない。一方、本発明の脱塩方法は、図1に示す結果に基づき、炭酸源を導入する前の焼却灰スラリーの塩素濃度を2.0g/L以下に低減することで炭酸化反応を促進することができる。
焼却灰スラリーの炭酸化処理において、炭酸導入時のスラリーのカルシウム濃度と炭酸化処理後の洗浄焼却灰の残留塩素濃度の関係を試験すると図2に示す結果が得られる。未洗浄の焼却灰に水を加えた一次スラリー液相中のカルシウム濃度は、灰の種類にもよるが、概ね3〜10g/Lである。そのため、一次スラリーに炭酸源を添加すると、スラリー液相中のカルシウムと炭酸が反応して炭酸カルシウムを生成する反応が進行し、難溶解性塩素化合物と炭酸との反応が競合して進行し難く、炭酸が消費されて脱塩が効率よく進まない。また、炭酸カルシウムが過剰に生成するので、洗浄焼却灰の重量が増し、処理コストが嵩むようになる。本発明の脱塩方法は、焼却灰スラリーに導入する炭酸の脱塩効果を高め、かつ洗浄焼却灰の重量増を抑制するため、炭酸源を導入する前の焼却灰スラリーのカルシウム濃度を2.0g/L以下に低減する。
〔洗浄方法〕
未洗浄の焼却灰に水を加えて一次スラリーにし、該焼却灰一次スラリーに高分子凝集剤を添加して凝集フロックを生成させ、その凝集フロックを沈降分離させ、上澄液を除去して濃縮スラリーにし、該濃縮スラリーを洗浄して塩素濃度およびカルシウム濃度を低減すると良い。一次スラリーに凝集剤を添加して凝集フロックを生成させ、その凝集フロックを沈降分離させることによって固液分離を迅速に進め、可溶性塩類が溶出している上澄液を除去して脱塩を進めることができる。
焼却灰の濃縮スラリーに水を加えて撹拌して洗浄した後に、固液分離して固形分を回収する洗浄処理を、処理後液の塩素濃度およびカルシウム濃度が何れも2.0g/L以下になるまで行う。処理後液の塩素濃度およびカルシウム濃度を測定し、上記塩素濃度およびカルシウム濃度になるまで洗浄処理を繰り返すと良い。濃縮スラリーの洗浄後に固液分離して固形分を回収することによって、フロックの沈降濃縮よりも更に脱水することができる。
処理後液の塩素濃度およびカルシウム濃度が何れも2.0g/L以下になるまで洗浄した後に、固液分離して回収した一次固形分に水を加えて二次スラリーにする。該二次スラリーに炭酸源を導入して炭酸化処理を進める。炭酸源は炭酸ナトリウム(NaCO)や炭酸水素ナトリウム(NaHCO)などの可溶性炭酸塩、あるいは炭酸ガス(CO)や炭酸ガスを多量に含む産業系ガス(燃焼ガス,焼却炉排ガス,セメントキルン排ガス)などを用いることができる。
焼却灰に含まれているFriedel氏塩(CaAl(OH)Cl・2HO)は上記式(1)のように炭酸と反応して分解し、塩素が溶出する。ここで、二次スラリーの塩素濃度およびカルシウム濃度は2.0g/L以下に低減されているので、導入した炭酸源がスラリー中のカルシウムによって消費される割合が少なく、また式(1)に示した化学反応式から明らかなように、Cl-の量が少ない方がFriedel氏塩の分解反応が進行しやすいので、脱塩効果を大幅に高めることができる。
炭酸化処理する二次スラリーの固形分濃度は20〜400g/Lが好ましい。固形分濃度が20g/Lより少ないと処理するスラリー量が膨大になり、400g/Lより多いと反応が長時間になったり、スラリー粘性が増加するために反応効率が低下する。また、炭酸化処理は二次スラリーを25℃〜80℃に加温して行うと良い。加温して炭酸化処理することによって、Friedel氏塩の分解が促進されて脱塩効果が向上する。また、生成する炭酸カルシウム(CaCO)の結晶成長が促され,個々の粒子径が大きくなるため、固液分離するときの脱水性も大幅に改善する。
上記炭酸化処理の後に、二次スラリーを固液分離し、炭酸化処理によって溶出した塩素を含む液分は系外に除去し、二次固形分を回収する。さらに、該二次固形分をケーキ洗浄して、該二次固形分に付着した塩分を洗浄除去して洗浄焼却灰を回収する。このような操作は、ケーキ洗浄機能付きの加圧ろ過装置を用いて実施するとよい。回収した洗浄焼却灰は、セメント原料として再利用することができる。
本発明の脱塩方法は、炭酸源を導入する前の焼却灰スラリーの液相中の塩素濃度およびカルシウム濃度を何れも2.0g/L以下に低減するので、導入した炭酸源がスラリー中のカルシウムによって消費される割合が少なく、また化学平衡論上でも焼却灰に含まるFriedel氏塩の分解反応が進行しやすいので、脱塩効果を大幅に高めることができる。
加温して炭酸化処理することによって、洗浄焼却灰の結晶性が増大し、スラリーの粘性が低下することによって濾過特性が大幅に向上する。濾過性の向上により加圧ろ過装置等の固液分離設備がコンパクトになり、ケーキ洗浄における脱塩効率化および処理の安定化が図られる。
本発明の脱塩方法によれば、概ね1.0〜25wt%の塩素を含む焼却灰の塩素量を3500ppm以下に低減することができ、回収した洗浄焼却灰をセメント原料として再利用することができる。また、本発明の脱塩方法は、炭酸源を導入する前の焼却灰スラリーの液相中の塩素濃度およびカルシウム濃度を何れも2.0g/L以下に低減して炭酸源を導入し、効率的に脱塩処理を実施できるため、洗浄水量や使用する炭酸源の添加量などに関わるランニングコストを低減することができる。
炭酸導入時のスラリーの塩素濃度に対する炭酸化処理後の洗浄焼却灰の残留塩素濃度を示すグラフ。 炭酸導入時のスラリーのカルシウム濃度に対する炭酸化処理後の洗浄焼却灰の残留塩素濃度を示すグラフ。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。
スラリーの塩素濃度およびカルシウム濃度はICP発光分光分析法によって測定した。洗浄焼却灰に残留塩素濃度は銀電極による電量滴定法によって測定した。
〔実施例1〕
20L容器に10Lのイオン交換水を入れ,そこに都市ゴミ焼却場からの焼却飛灰A(初期塩素濃度22.3wt%)1000gを添加して一次スラリーにし、撹拌機で30分間撹拌した。このときの液温は25℃であった。撹拌終了後、アニオン系高分子凝集剤(商品名ダイヤフロック:AP-825B)を3ppm添加して緩速撹拌し、凝集フロックを形成させ、30分間静置沈降させた。上澄液を除去し、濃縮スラリー2.5Lを回収した。この濃縮スラリーに、新しいイオン交換水5.0Lを添加して再度30分間撹拌した。撹拌終了後、スラリーを全量濾過して固形分を回収した。この固形分を60℃に加温したイオン交換水5.0Lに懸濁して二次スラリーにし、この二次スラリーに1.0NL/minの流量でCOガスを吹き込みながら30分間撹拌した。撹拌開始時のスラリー液相中の塩素濃度は2.0g/L、カルシウム濃度は1.7g/Lであった。反応終了後、撹拌を停止し、スラリーを全量濾過した。次いで、ろ紙上に回収されたケーキにイオン交換水を注ぎながら濾過を続けて、ケーキ洗浄を行い、灰に付着した塩分を洗浄した。ケーキ洗浄に用いた水量は5.0Lであった。この洗浄焼却灰を回収して105℃で乾燥し、塩素濃度を測定した。洗浄焼却灰の残留塩素濃度は3400ppmであった。
〔実施例2〕
濃縮スラリーの洗浄後に濾過して回収した固形分を60℃に加温したイオン交換水10.0Lに懸濁して二次スラリーにし、撹拌開始時のスラリー液相中の塩素濃度を0.7g/L、カルシウム濃度は1.0g/Lにした以外は実施例1と同様にして焼却灰を脱塩処理した。洗浄焼却灰の残留塩素濃度は3100ppmであった。
〔比較例1〕
20L容器に60℃に加温した10Lのイオン交換水を入れ、そこに都市ゴミ焼却場からの焼却飛灰A(初期塩素濃度22.3wt%)1000gを添加し、1.0NL/minの流量でCOガスを吹き込みながら撹拌機で30分間撹拌した。撹拌開始時のスラリー液相中の塩素濃度は22.0g/L、カルシウム濃度は10.0g/Lであった。撹拌終了後、アニオン系高分子凝集剤(商品名ダイヤフロック:AP-825B)を3ppm添加して緩速撹拌し、凝集フロックを形成させて30分間静置沈降させた。上澄液を除去し、濃縮スラリー2.5Lを回収した。その後は、実施例1と同様にして、この濃縮スラリーに新しいイオン交換水5.0Lを添加し、再度30分間撹拌し、濃縮スラリーの濾過による固形分の回収、および固形分のケーキ洗浄を行い、洗浄焼却灰を回収した。洗浄焼却灰の残留塩素濃度は7100ppmであった。
〔比較例2〕
20L容器に60℃に加温した20Lのイオン交換水を入れ、そこに都市ゴミ焼却場からの焼却飛灰A(初期塩素濃度22.3wt%)1000gを添加し、1.0NL/minの流量でCOガスを吹き込みながら撹拌機で30分間撹拌した。撹拌開始時のスラリーの液相中の塩素濃度は11.0g/L、カルシウム濃度は5.1g/Lであった。撹拌終了後、アニオン系高分子凝集剤(商品名ダイヤフロック:AP-825B)を3ppm添加して緩速撹拌し、凝集フロックを形成させて30分間静置沈降させた。上澄液を除去し、濃縮スラリー2.5Lを回収した。その後は、実施例1と同様にして、この濃縮スラリーに新しいイオン交換水5.0Lを添加し、再度30分間撹拌し、濃縮スラリーの濾過による固形分の回収、および固形分のケーキ洗浄を行い、洗浄焼却灰を回収した。洗浄焼却灰の残留塩素濃度は6500ppmであった。
〔比較例3〕
20L容器に10Lのイオン交換水を入れ、そこに都市ゴミ焼却場からの焼却飛灰A(初期塩素濃度22.3wt%)1000gを添加し、撹拌機で30分間撹拌した。このときの液温は25℃であった。撹拌終了後、アニオン系高分子凝集剤(商品名ダイヤフロック:AP-825B)を3ppm添加して緩速撹拌し、凝集フロックを形成させて30分間静置沈降させた。上澄液を廃棄し、濃縮スラリー2.5Lを回収した。この濃縮スラリーに、60℃に加温した新しいイオン交換水10.0Lを添加し、1.0NL/minの流量でCOガスを吹き込みながら撹拌機で30分間撹拌した。撹拌開始時のスラリー液相中の塩素濃度は4.3g/L、カルシウム濃度は4.2g/Lであった。その後は、実施例1と同様にして、濃縮スラリーの濾過による固形分の回収、および固形分のケーキ洗浄を行い、洗浄焼却灰を回収した。洗浄焼却灰の残留塩素濃度は5700ppmであった。
実施例1〜2、比較例1〜3の結果を図1および図2に示した。図1および図2のグラフに示すように、炭酸導入時のスラリーの塩素濃度、カルシウム濃度が4g/L〜約20g/Lの範囲では、炭酸処理した洗浄焼却灰の残留塩素は約6000ppm〜約7000ppmであるが、炭酸導入時のスラリーの塩素濃度、カルシウム濃度が4g/L以下になると、洗浄焼却灰の残留塩素は急激に減少し始め、炭酸導入時のスラリーの塩素濃度、カルシウム濃度が2g/L以下になると、洗浄焼却灰の残留塩素は概ね3500ppm以下に低減し、脱塩効果が大幅に向上する。
〔比較例4〕
20L容器に10Lのイオン交換水を入れ,そこに都市ゴミ焼却場からの焼却飛灰A(初期塩素濃度22.3wt%)1000gを添加して撹拌機で30分間撹拌した。このときの液温は25℃であった。撹拌終了後、アニオン系高分子凝集剤(商品名ダイヤフロック:AP-825B)を3ppm添加して緩速撹拌し、凝集フロックを形成させ、30分間静置沈降させた。上澄液を除去し、濃縮スラリー2.5Lを回収した。この濃縮スラリーに、新しいイオン交換水5.0Lを添加して再度30分間撹拌した。撹拌終了後、スラリーを全量濾過して固形分を回収した。この固形分を60℃に加温したイオン交換水5.0Lに懸濁して二次スラリーにし、この二次スラリーに1.0NL/minの流量でCOガスを吹き込みながら30分間撹拌した。なお撹拌開始時にスラリーに塩化ナトリウムを添加し、スラリー液相中の塩素濃度の調整を行なった。この時、撹拌開始時のスラリー液相中の塩素濃度は4.0g/L、カルシウム濃度は1.7g/Lであった。反応終了後、撹拌を停止し、スラリーを全量濾過した。次いで、ろ紙上に回収されたケーキにイオン交換水を注ぎながら濾過を続けて、ケーキ洗浄を行い、灰に付着した塩分を洗浄した。ケーキ洗浄に用いた水量は5.0Lであった。この洗浄焼却灰を回収して105℃で乾燥し、塩素濃度を測定した。洗浄焼却灰の残留塩素濃度は4000ppmであった。
〔比較例5〕
20L容器に10Lのイオン交換水を入れ,そこに都市ゴミ焼却場からの焼却飛灰A(初期塩素濃度22.3wt%)1000gを添加して撹拌機で30分間撹拌した。このときの液温は25℃であった。撹拌終了後、アニオン系高分子凝集剤(商品名ダイヤフロック:AP-825B)を3ppm添加して緩速撹拌し、凝集フロックを形成させ、30分間静置沈降させた。上澄液を除去し、濃縮スラリー2.5Lを回収した。この濃縮スラリーに、新しいイオン交換水5.0Lを添加して再度30分間撹拌した。撹拌終了後、スラリーを全量濾過して固形分を回収した。この固形分を60℃に加温したイオン交換水5.0Lに懸濁して二次スラリーにし、この二次スラリーに1.0NL/minの流量でCOガスを吹き込みながら30分間撹拌した。なお撹拌開始時にスラリーに硝酸カルシウム四水和物を添加し、スラリー液相中の塩素濃度の調整を行なった。この時、撹拌開始時のスラリー液相中の塩素濃度は2.0g/L、カルシウム濃度は4.2g/Lであった。反応終了後、撹拌を停止し、スラリーを全量濾過した。次いで、ろ紙上に回収されたケーキにイオン交換水を注ぎながら濾過を続けて、ケーキ洗浄を行い、灰に付着した塩分を洗浄した。ケーキ洗浄に用いた水量は5.0Lであった。この洗浄焼却灰を回収して105℃で乾燥し、塩素濃度を測定した。洗浄焼却灰の残留塩素濃度は4100ppmであった。比較例4〜5より、炭酸化処理の際のスラリー液相中の塩素濃度、カルシウム濃度のいずれか一方が2.0g/L以下が達成されてないと塩素除去効率が低下し、特にセメント原料に望ましいとされる塩素濃度3500ppm以下まで低減できないことが確認された。
〔実施例3〕
都市ゴミ焼却場からの焼却飛灰B(初期塩素濃度18.9wt%)1000gと10Lのイオン交換水を30分混合撹拌して一次スラリーにした後に、洗浄水を固液分離して一次洗浄灰(濃縮スラリー)を得た。この一次洗浄灰に5Lのイオン交換水を添加し30分混合撹拌して二次洗浄し、洗浄水を固液分離して得た二次洗浄灰に、再度、5Lのイオン交換水を添加して洗浄灰スラリー(二次スラリー)を得た。この洗浄灰スラリー液相中のカルシウム濃度は1.2g/L、塩素濃度は2.0g/Lであった。この洗灰スラリー(二次スラリー)について、表1に示す温度に加温し、表1に示す量の炭酸ソーダ(NaCO)を添加し、1時間撹拌し、濾過、イオン交換水による十分なケーキ洗浄後、105℃で乾燥し、洗浄焼却灰を得た。この洗浄焼却灰の残留塩素濃度を表1に示した。表1に示すように、10000ppmの炭酸ソーダを添加した試料は残留塩素濃度が3400ppm以下に低減している。

Figure 0006579317
〔実施例4〕
実施例3の洗灰スラリーを用い、表2に示す温度に加温し、1.0NL/minの流量で炭酸ガスを吹き込み、表2に示す時間撹拌し、濾過、イオン交換水による十分なケーキ洗浄後、105℃で乾燥し、洗浄焼却灰を得た。この洗浄焼却灰の残留塩素濃度を表2に示した。
表2に示すように、撹拌時間が長いほど残留塩素濃度が低減し、スラリー温度が高いほど残留塩素濃度が低減する傾向がある。
Figure 0006579317
〔比較例6〕
実施例3の洗灰スラリーを用い、25℃、40℃、60℃、80℃に加温し、炭酸ソーダ(NaCO)あるいは炭酸ガスを添加せずに、1時間撹拌し、濾過、イオン交換水による十分なケーキ洗浄後、105℃で乾燥し、洗浄焼却灰を得た。この洗浄焼却灰の残留塩素濃度は、上記スラリー温度に対応して、5800ppm、4800ppm、4800ppm、4700ppmであった。これにより、常温25℃における水洗浄の限界到達塩素濃度は5800ppm、加温処理による洗浄の限界到達塩素濃度は4700ppmであり、炭酸化処理を行わない洗浄灰の塩素濃度は高いことが確認された。
〔比較例7〕
実施例3の洗灰スラリーを80℃に加温し、硝酸を1500ppm、3000ppm、7500ppm添加して1時間撹拌し、濾過、イオン交換水による十分なケーキ洗浄後、105℃で乾燥し、洗浄焼却灰を得た。硝酸添加量に対応する洗浄焼却灰の塩素濃度は、4200ppm、4200ppm、4500ppmであった。これらは加温処理による洗浄の限界到達塩素濃度4700ppmよりもわずかに脱塩が進行した程度であり、脱塩効果が大幅に低い。また、硝酸7500ppm添加した場合には、難溶性塩素化合物の溶解だけでなく、塩素以外の成分の酸溶解も同時に進行するため、洗浄灰の残留塩素濃度が高くなってしまった。このように酸による溶解反応による処理では焼却灰の性状によってはかえって塩素が洗浄灰に濃縮してしまい、洗浄灰の品質が低下することも確認された。

Claims (5)

  1. 焼却灰スラリーに炭酸源を加えて焼却灰に含まれる難溶性塩素化合物と反応させて塩素を溶出させる炭酸化処理による脱塩方法において、
    炭酸源を導入する前に焼却灰を洗浄処理して塩素濃度およびカルシウム濃度を予め低減した後に炭酸源を導入して炭酸化処理する脱塩方法であり、
    焼却灰に水を加えて一次スラリーにし、その上澄液を除去して濃縮スラリーにし、
    該濃縮スラリーに水を添加して攪拌洗浄した後に固液分離する洗浄処理を行い、
    該洗浄処理の後に固液分離して回収した固形分に水を加えて二次スラリーにし、
    該二次スラリーに炭酸源を加え撹拌して炭酸化処理するときに、撹拌開始時の該二次スラリーの塩素濃度およびカルシウム濃度が何れも2.0g/L以下の状態で炭酸化処理を進めることを特徴とする焼却灰の脱塩方法。
  2. 上記一次スラリーに高分子凝集剤を添加して凝集フロックを生成させ、その凝集フロックを沈降分離させ、上澄液を除去して濃縮スラリーにする請求項1に記載する焼却灰の脱塩方法。
  3. 上記二次スラリーに炭酸源を加えて炭酸化処理した後に固液分離して二次固形分を回収し、該二次固形分をケーキ洗浄して、該二次固形分に付着した塩分を洗浄除去して洗浄焼却灰を回収する請求項2に記載する焼却灰の脱塩方法。
  4. 上記二次スラリーに可溶性炭酸塩を添加し、あるいは炭酸を含むガスを吹き込んで炭酸処理を行う請求項1に記載する焼却灰の脱塩方法。
  5. 上記二次スラリーを25℃〜80℃に加温して炭酸処理する請求項1または請求項3または請求項4の何れかに記載する焼却灰の脱塩方法。
JP2015186175A 2015-09-23 2015-09-23 焼却灰の脱塩方法 Active JP6579317B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015186175A JP6579317B2 (ja) 2015-09-23 2015-09-23 焼却灰の脱塩方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015186175A JP6579317B2 (ja) 2015-09-23 2015-09-23 焼却灰の脱塩方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017060903A JP2017060903A (ja) 2017-03-30
JP6579317B2 true JP6579317B2 (ja) 2019-09-25

Family

ID=58428587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015186175A Active JP6579317B2 (ja) 2015-09-23 2015-09-23 焼却灰の脱塩方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6579317B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6989844B2 (ja) * 2017-11-16 2022-01-12 公立大学法人北九州市立大学 フリーデル氏塩の除去方法及びフリーデル氏塩の除去システム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002254041A (ja) * 2001-03-01 2002-09-10 Maezawa Ind Inc 焼却灰の洗浄装置
JP4482636B2 (ja) * 2004-03-31 2010-06-16 旭化成エンジニアリング株式会社 焼却灰の洗浄処理方法及び装置
JP5994826B2 (ja) * 2013-09-13 2016-09-21 Jfeスチール株式会社 高炉灰の再利用方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017060903A (ja) 2017-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5023469B2 (ja) 塩素含有廃棄物の処理方法及び処理装置
JP6350379B2 (ja) フッ素含有排水からのフッ素分離方法
JP2004141799A (ja) シリカを含有する排水の処理方法
EA010106B1 (ru) Способ комплексного использования составляющих оливина
JP6485290B2 (ja) フッ素含有排水からのフッ素分離方法
JP4954131B2 (ja) ホウフッ化物含有水の処理方法
JPH11137958A (ja) 排煙脱硫排水の処理方法
JP6579317B2 (ja) 焼却灰の脱塩方法
JP4306422B2 (ja) セメントキルン抽気ダストの処理方法
JP6269651B2 (ja) ホウフッ化物含有水の処理方法及び処理装置
JP4536257B2 (ja) 塩化ナトリウム水溶液の製造方法
JP6873112B2 (ja) 金属水銀を安定化する方法
JP5167448B2 (ja) 水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの除去方法
JP7102876B2 (ja) フッ素除去方法
JP2010075928A (ja) フッ素含有排水の処理方法及び処理装置
JP6866726B2 (ja) 石膏の製造方法及びセメント組成物の製造方法
JPH06191852A (ja) 廃水スラッジから無機顔料を製造する方法
JP2002143607A (ja) 水処理凝集剤及びその製造方法並びに水処理方法
JP4246648B2 (ja) ゼオライト化改質土の製造方法
JP5057955B2 (ja) 汚泥濃縮方法及び汚泥濃縮装置
JP4524796B2 (ja) フッ素含有排水の処理方法及び処理装置
JP2008178860A (ja) ホウ素処理剤およびホウ素含有排水の処理方法
JP2023056767A (ja) 塩素含有灰の脱塩とCa回収方法。
JPS6046930A (ja) 改良された重油灰の処理方法
JP2022057081A (ja) 塩素含有灰の脱塩とCa回収方法。

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180914

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181112

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190619

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20190626

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190731

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190813

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6579317

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150