JP6576004B2 - 環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、接着剤等に有用なエポキシ樹脂組成物に関する。
小型電子部品又は電気部品、特にリレーは、エレクトロニクス産業の発展とともにその生産量も順調に伸びており、通信機器、OA機器、家電機器、自販機等使用される分野も多岐にわたっている。これら用途に用いられるリレーの中でも、特にプリント配線基盤に搭載されるリレーが増加している。プリント配線基板用のリレーの必要特性として、半田フラックスの侵入防止、部品の溶剤洗浄が可能であること、あるいは半田リフロー処理後に気密性を保持できること等が求められることから、樹脂等による完全気密封止型のリレーが多く用いられており、この完全気密封止型リレーの封止材として、従来からエポキシ樹脂組成物が好適に用いられている。
一方、半田リフロー処理の際、急激に200℃以上の高温環境下に晒されることから、封止材とリレー部材との温度差によって熱収縮の差による応力が生じ、接合部が剥離し、封止材料としての電気的信頼性を著しく低下させるといった問題が知られている。特に昨今、鉛半田から鉛フリー半田へと移行するに伴い、半田リフロー処理温度が従来の約200℃からより更に高い温度である約260℃へと上昇し、リフロー時の熱収縮が増大することから、リフロー処理後も高い接着強度を有するエポキシ樹脂組成物が求められている。
前述の問題を解決し得るエポキシ樹脂組成物として例えば、オキシアルキレン基を有するビスアリールフルオレン類から誘導されるエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が開示されている(特許文献1)。しかしながら、該エポキシ樹脂組成物を用いてもリフロー処理温度が高い場合、半田リフロー処理後の樹脂組成物とリレー部材との接着強度が十分とは言えなかった。
特開2008−74910号公報
本発明は半田リフロー処理後、特に鉛フリー半田のリフロー温度である約260℃での処理後であっても高い接着強度を有するエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記一般式(1)で示す構造を有する環状炭化水素骨格含有エポキシ樹脂及び25℃で液状のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が半田リフロー処理後であっても高い接着強度を有することを見出した。具体的には以下の発明を含む。
[1]
(a)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、及び
(b)25℃で液状のエポキシ樹脂
を含むエポキシ樹脂組成物。
Figure 0006576004
Figure 0006576004

(上記一般式(1)において、Aは上記一般式(2)で表される化学構造を表し、nは0または1以上の整数である。上記一般式(2)において、xは1〜10の整数を示し、m1、m2は1以上の整数を示し、同一もしくは異なっていてもよい。k1、k2は0または1〜4の整数を示し、同一もしくは異なっていてもよい。R1a、R1bはそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R2a、R2bはそれぞれ独立に分岐を有しても良いアルキレン基を示す。)
[2]
(a)上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、及び(b)25℃で液状のエポキシ樹脂の含有比率が重量基準で(a):(b)=10:90〜90:10である[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
[3]
[1]または[2]記載のエポキシ樹脂組成物、及び硬化剤を含む接着剤。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、鉛フリー半田のリフロー処理後であっても高い接着強度を有するので、特に完全気密封止型リレーの封止材として好適に用いることができる。
合成例1で得られた下記式(6)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂のH−NMR(CDCl)チャートである。 合成例1で得られた下記式(6)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂の13C−NMR(CDCl)チャートである。 合成例2で得られた下記式(8)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂のH−NMR(CDCl)チャートである。 合成例2で得られた下記式(8)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂の13C−NMR(CDCl)チャートである。 合成例3で得られた下記式(10)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂のH−NMR(CDCl)チャートである。 合成例3で得られた下記式(10)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂の13C−NMR(CDCl)チャートである。
<上記一般式(1)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記一般式(1)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂及び25℃で液状のエポキシ樹脂を含んでいる。以下、上記一般式(1)で表される環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂について詳述する。
上記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂のn数は0または1以上の整数を表し、n数が単一のものを精製により得ることも可能ではあるが、通常は複数のn数を有するものが混合したものを本発明のエポキシ樹脂組成物として使用する。この際、n=0である樹脂の割合が高くなると上記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂自身の溶融粘度が低下することから、溶融粘度をできるだけ低下させたい場合、n=0である樹脂の割合を、後述する条件で分析した液体クロマトグラフにから得られる面積百分率値で通常65%以上とすれば良い。また、n数については上述の通りn=0の割合が高いほど溶融粘度が低下することから、溶融粘度をできるだけ低下させたい場合、通常0または1〜10の整数とし、好ましくは0または1〜2の整数、最も好ましくは0または1とする。なお、n数が3を超えるものの割合が高くなると、溶融粘度及び軟化点が高くなりすぎて、本発明のエポキシ樹脂組成物を製造する際のハンドリング性が悪くなる場合がある。また、中間体であるモノグリシジル体や少量の加水分解性塩素、α−グリコール等の不純物などが含まれる場合があるが、本発明のエポキシ樹脂組成物としての特性に影響を与えない範囲であれば、特に精製する必要はなく、これら不純物との混合物であってもよい。
上記一般式(2)で表される化学構造の内、環状炭化水素部分骨格のメチレン基数を表すxは1〜10の整数である。具体的にはシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロヘキサデシル基を表す。好ましくはシクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基であり、より好ましくはシクロヘキシル基、シクロドデシル基である。
上記一般式(2)におけるR1aおよびR1bは、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、これらは同一もしくは異なっていてもよい。また、置換基数を表すk1およびk2は0又は1〜4であり、好ましくは0又は1〜2、さらに好ましくは0又は1である。k1およびk2は同一もしくは異なっていてもよいが、通常、同一である。なお、置換基数を表すk1またはk2が2以上である場合、それぞれ対応する置換基は同一であっても異なっても良い。
上記一般式(2)におけるアルキル基として例えば、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げることができる。アルキル基は、好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基である。
上記一般式(2)におけるアルコキシ基として例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基が例示され、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
上記一般式(2)におけるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロペンチル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換シクロヘキシル基等の炭素数4〜16(好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキル基又はアルキル置換シクロアルキル基を挙げることができる。シクロアルキル基は、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。
上記一般式(2)におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、アルキル(例えば、炭素数1〜4のアルキル)置換フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。アリール基は、好ましくはフェニル基又はアルキル置換フェニル基(例えば、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等)であり、より好ましくはフェニル基である。
上記のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基は、アルキル基以外の置換基(例えば、アルコキシ基、アシル基、ハロゲン原子等)を有していてもよい。
以上詳述した上記一般式(2)における置換基R1aおよびR1b、並びに置換基数を表すk1及びk2について、原料である下記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物の入手性の観点から、これら置換基の中でも置換基数が一個(k1=k2=1であるもの)であって、該置換基がメチル基、エチル基、フェニル基であるもの、置換基数が2個(k1=k2=2であるもの)であって、該置換基が全てメチル基であるもの、又は置換基を有さないもの(k1=k2=0であるもの)が好ましく、置換基数が一個であって該置換基がメチル基であるもの、または置換基を有さないものが特に好ましい。
上記一般式(2)におけるR2aおよびR2bは分岐を有しても良いアルキレン基を表し、具体的に例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられ、原料であるアルキレンカーボネート類の入手性の観点から、好ましくは分岐を有しても良い炭素数1〜6のアルキレン基を表し、さらに好ましくは分岐を有しても良い炭素数2〜3のアルキレン基を表す。R2aおよびR2bは互いに同一もしくは異なっていてもよいが、通常、同一である。
上記一般式(2)においてアルキルオキシ基(OR2a、OR2b)の数を表すm1およびm2は同一もしくは異なっていてもよく、1以上である。好ましくは1〜5、さらに好ましくは1である。なお、m1(又はm2)が2以上である場合、同一のアルキルオキシ基で構成されていてもよく、異種のアルキルオキシ基(例えばエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基)が混在して構成されていてもよいが、通常、同一のアルキルオキシ基で構成される。
<上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の製造方法>
上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の製造方法として例えば、下記一般式(3)
Figure 0006576004
(上記式(3)における、x、m1、m2、k1、k2、R1a、R1b、R2a及びR2bの意味は上記の通りである。)
で表される環状炭化水素化合物とエピハロヒドリンとを反応させることによって得られる。なお、上記一般式(2)で表される化学構造は上記一般式(3)で表される炭化水素化合物の構造に対応している。
原料として使用する、上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物は市販品を用いてもよく、また、慣用の方法、例えば、アルカリ及び不活性溶媒存在下、下記一般式(4)
Figure 0006576004
(上記一般式(4)における、x、k1、k2、R1a、R1bの意味は上記の通りである。)
で表されるビスフェノール環状炭化水素化合物と上記一般式(3)中のR2aおよび/またはR2b基に対応するアルキレンカーボネートとを反応させたものを用いても良い。
上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物として例えば、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルキルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシジアルキルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアルコキシフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシシクロアルキルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリールフェニル)シクロヘキサデカン等が例示される。
具体的に例えば、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロノナン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロヘキサデカンが挙げられ、これらのうち、入手性の点から1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロドデカンが好ましく、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)シクロドデカンが特に好ましい。
上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物とエピハロヒドリンとの反応は例えば、上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物とエピハロヒドリンとの混合物に通常20〜120℃、好ましくは40〜80℃でアルカリ金属水酸化物を添加し、その後、20〜120℃で、好ましくは40〜80℃で1〜48時間反応させることにより実施される。なお、アルカリ金属水酸化物は一括添加しても良いが、所定の反応温度を維持する為、一定時間、例えば1〜10時間かけて連続、あるいは必要量を分割添加することが好ましい。
本発明で使用されるアルカリ金属水酸化物としては具体的に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が例示され、その使用量は上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物の水酸基1モルに対し通常0.8〜4.0モル、好ましくは1.0〜2.5モルである。アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法としてもよい。
本発明で使用されるエピハロヒドリンとして具体的には、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等が例示され、その使用量は上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物の水酸基1モルに対し通常2〜30モル、好ましくは3〜20モル使用する。なお、上記一般式(1)におけるn数は、上記一般式(3)で表わされる環状炭化水素化合物とエピハロヒドリンのモル比により調整が可能である。すなわち、上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物に対してエピハロヒドリンを大過剰に使用すると、nが0の化合物が主成分として得られ、エピハロヒドリンの使用量を下げていけば、nが0より大きい化合物の割合を高くすることが可能である。
上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物とエピハロヒドリンとを反応させる際は、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、アミルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、アリルトリフェニルホスホニウムクロリド等の4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩を用いることにより、反応速度を向上させることが可能となる。これらの塩の使用量は、上記一般式(3)で表わされる環状炭化水素化合物1モルに対し、通常0.01〜0.50モル、好ましくは0.02〜0.20モルである。また、これらの塩を使用する場合、通常、アルカリ金属水酸化物を上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物とエピハロヒドリンとの混合物へ添加する前に、添加する。
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどの非プロトン性極性溶媒を添加することは反応を促進させる上で好ましい。非プロトン性極性溶媒を添加する場合は、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対して通常10〜150重量%、好ましくは15〜120重量%である。
上述した反応を実施することにより、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を含む反応液を得ることができる。上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を含む反応液はそのまま25℃で液状のエポキシ樹脂と混合してエポキシ樹脂組成物としても良いし、更に硬化剤、必要に応じて反応希釈剤、硬化促進剤、溶剤等の慣用の添加剤等を添加することによってエポキシ樹脂組成物としても良い。
また、必要に応じ得られた反応液を濾過もしくは水洗し、不溶解分や無機塩、アルカリ金属水酸化物を除去したり、エピハロヒドリンを過剰量使用している場合、加熱減圧下、100〜180℃、内圧30mmHg以下、好ましくは、内圧10mmHg以下でエピハロヒドリンを除去することにより、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の純度を向上させることも可能である。
更には、加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を含む反応液、或いは上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂をベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類をはじめとする炭化水素系溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に閉環反応を行い、閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した上記一般式(3)で表される環状炭化水素化合物の水酸基1モルに対して通常0.01〜15.0モル、好ましくは0.20〜7.5モルである。反応温度は通常20〜120℃、反応時間は通常0.5〜6時間である。
閉環反応終了後、副生成したタール分、塩を濾過して除去、及び/または、水洗処理により除去した後、樹脂溶液のpHが8.0〜4.0になるようにリン酸、リン酸ナトリウム、シュウ酸、酢酸、炭酸等を添加して中和を行い、水洗を繰り返した後、濾過して、更に、加熱減圧下、上記記載の反応や抽出等で用いた溶媒を留去することにより加水分解性ハロゲンの少ない、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂が得られる。
<本発明のエポキシ樹脂組成物>
以下、本発明の上記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂及び25℃で液状のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物について詳述する。
本発明で用いられる上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の溶融粘度が低い場合、本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度が低下する傾向があることから、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の溶融粘度は低い方が好ましい。本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度を低下させることにより、後述する各種充填剤、特に無機充填剤の充填量を増やすことができ、無機充填剤の充填により本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の強度を高めることが可能であることから、該硬化物の吸湿率及び熱膨張率が低減可能となる。
本発明のエポキシ樹脂組成物で用いられる25℃で液状のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の他、カテコール、レゾルシン等の多価フェノール又はグリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピハロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、p−オキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸とエピハロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、フタル酸、テレフタル酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル、又は4,4−ジアミノジフェニルメタン、m−アミノフェノール等から誘導されるグリシジルアミン型エポキシ樹脂等が例示される。これらエポキシ樹脂の中でも、安価であり、入手性が良いことからビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は単独あるいは必要に応じ2種類以上混合して使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物における、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂及び25℃で液状のエポキシ樹脂の含有比率は、上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を含んでいれば本発明の課題が解決可能であるが、通常、重量基準で上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂:25℃で液状のエポキシ樹脂=10:90〜90:10、好ましくは25:75〜90:10とすることにより本発明のエポキシ樹脂組成物の流動性が向上することから好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、上述したエポキシ樹脂の他、硬化剤、硬化促進剤、さらに、必要に応じて添加剤(例えば、ガラス繊維や無機フィラー、難燃剤、サイジング剤やカップリング剤、着色材、安定材、帯電防止材など)などを含んでいても良い。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることができる硬化剤として例えば、各種フェノール樹脂類や酸無水物類、アミン類等の通常使用されるエポキシ樹脂用硬化剤を使用することができる。用い得る硬化剤の具体例としては、1,12−ジアミノドデカン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル類、エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物、エポキシ樹脂アミンアダクト化合物、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシレン変性フェノール樹脂、縮合環芳香族炭化水素変性ノボラック樹脂(ビフェニル単位を含有するノボラック樹脂、ナフタレン環含有ノボラック樹脂など)、フェノール類と芳香族アルデヒド類(ベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒドなど)との縮合物、トリフェノールアルカン型ノボラック樹脂(トリフェノールメタン型ノボラック樹脂など)、多官能型フェノール樹脂などが例示される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
これら硬化剤の中でも、本発明のエポキシ樹脂及び硬化剤を含む接着剤の取扱性の観点から、潜在性硬化剤として使用可能なものが望ましく、特にジシアンジアミド、エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物、エポキシ樹脂アミンアダクト化合物、およびイミダゾール類が好ましい。
硬化剤を使用する場合の使用量は、硬化剤の種類によって変化するが、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100重量部に対して、通常、1重量部から30重量部であり、好ましくは1重量部から25重量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることができる硬化促進剤としては前述した硬化剤と同様のものが使用可能であり、具体的には2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、エポキシ樹脂イミダゾールアダクト化合物、エポキシ樹脂アミンアダクト化合物が挙げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂100重量部に対して通常0.2〜5.0重量部用いる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることができる添加剤として例えば、無機充填剤、カップリング剤、着色剤、チクソトロピー剤が例示される。具体的には、無機充填剤として炭酸カルシウム、硫酸バリウム、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラスフィラー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ等が例示され、カップリング剤としては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が例示され、着色剤としてはカーボンブラック、酸化チタン等が例示され、チクソトロピー剤としては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300、アエロジル380、楠本化成(株)製ディスパロンC−308、ディスパロン4110、ディスパロン4300、ディスパロン6500、ディスパロン6600等が例示される。
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製方法は、通常のエポキシ樹脂組成物の調製方法と同様に一般的な撹拌混合装置と混合条件が適用される。使用される装置としては、ミキシングロール、ディゾルバ、プラネタリミキサ、ニーダ、押出機等が例示される。混合条件としてはエポキシ樹脂等を溶解および/または低粘度化し、撹拌混合効率を向上させるために加熱してもよい。また、摩擦発熱、反応発熱等を除去するために必要に応じて冷却してもよい。撹拌混合の時問は必要により定めればよく、特に制約されることはない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は優れた半田耐熱性、かつ低い溶融粘度を有する。そのため、電子材料の接着剤、小型電子部品又は電気部品の気密封止材や絶縁封止材等に好適に用いることが出来る。しかし、その用途はこれらに制限されず、熱硬化性樹脂が使用される一般の用途、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム等)やFRP、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等の様々な用途にも適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下製造例における各測定値は、次の方法、測定条件に従った。
〔1〕HPLC純度
以下記測定条件でHPLC測定を行ったときの面積百分率値を各成分の残存率、純度(各エポキシ樹脂のn=0であるものの割合)とした。
・装置:(株)島津製作所製「LC−2010AHT」
・カラム:一般財団法人 化学物質評価研究機構製「L−column ODS」
(5μm、4.6mmφ×250mm)
・カラム温度:40℃
・検出波長:UV 254nm
・移動相:A液=30%メタノール、B液=メタノール
・移動相流量:1.0ml/分
・移動相グラジエント:B液濃度:30%(0分)→100%(25分後)→100%(35分後)
〔2〕エポキシ当量
自動滴定装置(京都電子製 AT−5100)を用いて、JIS K7236による方法で測定した。
〔3〕溶融粘度
B型粘度計(TOKIMEC INC製、MODEL:BBH)を用いて、ローターHH−1にて、20〜100rpmで150℃に加熱して測定した。
〔4〕NMR測定
H−NMR及び13C−NMRは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒としてCDClを用いて、JEOL−ESC400分光計によって記録した。
<上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂化合物の合成例>
<合成例1>
攪拌器、冷却器及び温度計を備えた2000mlのガラス製反応容器に、下記式(5)
Figure 0006576004
で表される1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロドデカンを150.0g(0.34mol)、エピクロルヒドリン787.4g(8.51mol)を仕込み、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド7.8g(0.03mol)を添加した。65℃に昇温し、同温度で粒状水酸化ナトリウム56.5g(1.41mol)を90分かけて分割添加し、更に同温度で6時間攪拌した。撹拌後、HPLCにより反応液の分析を行ったところ、原料1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロドデカンは0.1%以下であった。
反応後、反応液を70℃まで加熱した後、内圧を15mmHgとし、同圧力下で過剰のエピクロルヒドリンの一部を留去した後、残留物にトルエンを加え溶解した。得られたトルエン溶液に水を加え撹拌後、水層を分液除去した。この操作を3回繰り返した後、酸を加えて中和し、水層を分液除去した。次いで、有機層を水で洗浄した後、有機層を濾過し、不溶解分を除去した後、減圧下濃縮することによりトルエンを留去して、黄褐色粘調性液体の下記式(6)
Figure 0006576004
(式中、nは0または1以上の整数を表す。)
で表されるエポキシ樹脂186.7gを得た。得られた環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂(6)をHPLCで分析した所、上記式(6)においてn=0のものが79.05%、エポキシ当量は275g/eqであった。また、150℃溶融粘度は、26mPa・sであった。
得られたエポキシ樹脂のH−NMR、13C−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl,400MHz,TMS)δ(ppm):0.92(s、4H)、1.29−1.35(m、14H)、2.00(s、4H)、2.63(dd、J=2.8、2.8、2H)、2.80(dd、J=5.2、4.0、2H)、3.16−3.20(m、2H)、3.49(dd、J=6.0、6.0、2H)、3.83−3.90(m、6H)、4.09−4.11(m、4H)、6.79(d、J=8.4、4H)、7.04−7.07(m、4H)。
13C−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):19.94、22.00、22.18、26.15、26.47、33.21、44.15、47.07、50.76、67.13、69.85、71.97、113.54、128.42、142.32、156.18。
<合成例2>
合成例1において、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロドデカンの代わりに下記式(7)
Figure 0006576004
で表される1,1−ビス(3−メチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロドデカンを125.0g(0.27mol)、エピクロルヒドリン493.5g(5.33mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド3.0g(0.01mol)、粒状水酸化ナトリウム37.0g(0.93mol)を用いた以外は、合成例1と同様にして、下記式(8)
Figure 0006576004

(式中、nは0または1以上の整数を表す。)
で表されるエポキシ樹脂126.2gを得た。得られた環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂(8)をHPLCで分析した所、上記式(8)においてn=0のものが95.1%、エポキシ当量は279g/eqであった。また、150℃溶融粘度は、35mPa・sであった。
得られたエポキシ樹脂のH−NMR、13C−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl,400MHz,TMS)δ(ppm):0.90(s、4H)、1.29−1.36(m、14H)、1.98(s、4H)、2.17(s、6H)、2.64(dd、J=2.8、2.8、2H)、2.79−2.81(m、2H)、3.16−3.19(m、2H)、3.54(dd、J=5.2、6.0、2H)、3.85−3.89(m、6H)、4.08−4.11(m、4H)、6.67(d、J=8.4、4H)、6.87−6.93(m、4H)。
13C−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):16.72、20.22、22.29、22.48、26.44、26.77、33.44、44.40、47.10、51.07、67.79、70.30、72.20、110.29、125.68、125.85、130.25、142.25、154.47。
<合成例3>
合成例1において、合成例1において、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)シクロドデカンの代わりに下記式(9)
Figure 0006576004
で表される1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロヘキサンを45.0g(0.13mol)、エピクロルヒドリン292.0g(3.16mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド2.9g(0.01mol)、粒状水酸化ナトリウム21.0g(0.52mol)を用いた以外は合成例1と同様にして、下記式(10)
Figure 0006576004
(式中、nは0または1以上の整数を表す。)
で表されるエポキシ樹脂55.2gを得た。得られた環状炭化水素骨格を有するエポキシ樹脂(10)をHPLCで分析した所、上記式(10)においてn=0のものが86.2%、エポキシ当量は248g/eqであった。また、150℃溶融粘度は、13mPa・sであった。
得られたエポキシ樹脂のH−NMR、13C−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl,400MHz,TMS)δ(ppm):1.47−1.53(m、6H)、2.17−2.20(m、4H)、2.62(dd、J=4.8、2.8、2H)、2.79(dd、J=4.8、4.8、2H)、3.16−3.20(m、2H)、3.49(dd、J=11.6、6.0、2H)、3.80−3.90(m、6H)、4.10(t、J=4.8、4H)、6.82(d、J=8.8、4H)、7.15(d、J=8.8、4H)。
13C−NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):23.05、26.55、37.53、44.37、45.21、50.96、67.41、70.06、72.16、114.30、128.23、141.45、156.41。
<実施例1〜5、比較例1〜3>
以下表1に示す配合物、配合量でホモディスパーを用いて各成分を撹拌混合し、エポキシ樹脂組成物を調製し、得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、後述する条件にて熱暴露後接着強度試験を実施した。なお、表中配合量は質量部を示す。
<熱暴露後強度試験>
上述した方法で得られた各エポキシ樹脂組成物を、被着剤である銅(1.6×25×100mm)に塗布し100℃で120分硬化させて試験片を作成した。作成した試験片を270℃温風循環式恒温槽で10分暴露させたものにつき、銅−銅接着力をJISK6850における引張剪断接着強さの測定方法に準拠して実施し、以下<式1>に従って接着強度の増加率を計算した。
<式1>
[増加率(%)]=[各実施例、比較例に記載した各エポキシ樹脂組成物の熱暴露後引張剪断接着強さ/比較例1で表されるエポキシ樹脂組成物の熱暴露後引張剪断接着強さ]×100
Figure 0006576004
上記表1中における各成分については下記の通り。
<上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂>
エポキシ樹脂A:合成例1で得られた、上記式(6)で表されるエポキシ樹脂
エポキシ樹脂B:合成例2で得られた、上記式(8)で表されるエポキシ樹脂
エポキシ樹脂C:合成例3で得られた、上記式(10)で表されるエポキシ樹脂
<その他のエポキシ樹脂>
エポキシ樹脂D:以下式(11)
Figure 0006576004
で表される構造で表されるエポキシ樹脂。
エポキシ樹脂E:以下式(12)
Figure 0006576004
で表される構造で表されるエポキシ樹脂。
<25℃で液状のエポキシ樹脂>
ダウケミカル社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名「DER331」
<硬化剤>
TCI社製、2−エチル−4−メチルイミダゾール(略称:2E4MZ)

Claims (3)

  1. (a)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、及び
    (b)25℃で液状のエポキシ樹脂
    を含むエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0006576004
    Figure 0006576004

    (上記一般式(1)において、Aは上記一般式(2)で表される化学構造を表し、nは0または1以上の整数である。上記一般式(2)において、xは1〜10の整数を示し、m1、m2は1以上の整数を示し、同一もしくは異なっていてもよい。k1、k2は0または1〜4の整数を示し、同一もしくは異なっていてもよい。R1a、R1bはそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表し、R2a、R2bはそれぞれ独立に分岐を有しても良いアルキレン基を示す。)
  2. (a)上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、及び(b)25℃で液状のエポキシ樹脂の含有比率が重量基準で(a):(b)=10:90〜90:10である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物、及び硬化剤を含む接着剤。
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