JP6570939B2 - トンネル支保工の仮固定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネルに配置する支保工の仮固定方法に関する。
トンネルの掘削断面を維持するために、トンネルの進行方向に所定間隔を設けて支保工を複数設置する場合がある。
この支保工の間隔を調整したり、新設の支保工を仮固定したりするために、既設の支保工と、新設の支保工との間に継ぎ材(特許文献1)を設置する場合がある。
図5に、従来の継ぎ材の一例を示す。
図5(a)に示す継ぎ材aは、棒材の両端を折曲して係止部bを形成しており、定められている支保工の間隔長に合った長さとなるよう、事前に製作しておく構成態様を呈する。
図5(b)に示す継ぎ材aは、図5(a)に係る継ぎ材を中間部分で切断したような分割片c同士を、互いにラップさせて溶接部分dとし、該溶接部分を現場溶接で接合することで一体化した構成態様を呈する。
特開平9−235823号公報
しかし、実際の施工においては、以下の要因から、現場で継ぎ材の切断や溶接加工を行わなければならない。
(要因1)地山の条件に合わせて支保工の間隔が変化する場合がある。
(要因2)当初予定していた支保工の間隔から誤差が生じる場合がある。
そうすると、予め長めの継ぎ材を用意したり、それぞれの支保工間隔に合わせた継ぎ材を用意したりしていたとしても、結局施工現場において継ぎ材の長さ調整を行わなければならない。
この場合、図5(a)に示す構成であれば、継ぎ材aの切断や溶接加工を行わなければならない。また、図5(b)に示す構成であっても、継ぎ材aの溶接加工を行わなければならない点に変わりは無い。
これらの作業を次の支保工の建て込みまでの限られた時間内で行うには、時間的な余裕が無く、作業現場において大きな負担となっていた。
よって、本発明は、現場にて簡易に長さ調整が可能な継ぎ材を用いたトンネル支保工の仮固定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、トンネル内に設ける支保工の仮固定方法であって、支保工に設けた、鞘管と、各支保工を繋ぐ、継ぎ材と、を用い、前記継ぎ材は、前記支保工に設けた鞘管に差し込み可能な係止部を一端に有する二つの連結具と、前記連結具の他端を前記継ぎ材の長手方向に摺動自在に収容しつつ、任意の位置で固定可能に構成した収容具と、からなり、既設の支保工に、前記継ぎ材の一端を係止しておき、新設の支保工の組み上がり後に、全長を調整した前記継ぎ材の他端を新設の支保工に係止することで、新設の支保工を仮固定可能としたことを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記収容具が、一方の連結具を収容する筒部と、他方の連結具を収容する筒部とを、互いの周面が接するように接合してなることを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記記二つの連結具および収容具のうち、少なくとも何れか1つに目盛りを設けたことを特徴とする。
本発明によれば、現場の支保工の間隔長に合わせて、簡易かつ早期に、継ぎ材の長さを調整できるため、現場での継ぎ材の切断や溶接加工などが不要であり、利便性が非常に高い。
本発明の第1実施例に係る継ぎ材の概略斜視図。 支保工に継ぎ材を取り付ける際のイメージ図。 本発明の第2実施例に係る継ぎ材の概略斜視図。 本発明の第3実施例に係る継ぎ材の概略斜視図。 従来の継ぎ材を示す概略図。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る継ぎ材について説明する。
<1>全体構成
図1に、本発明の第1実施例に係る継ぎ材の概略斜視図を示す。
本発明に係る継ぎ材Aは、一端に支保工との連結機構を備えた二つの連結具10(10a,10b)から構成することができる。
<2>連結具
各連結具10は、棒状の基部20と、基部20の一端に設ける係止部30を少なくとも有する。
[基部]
基部20は、棒状を呈する長手部材であり、この長手方向が支保工の間隔長の方向と同一となる。基部20の素材や断面形状等は特段限定しない。
[係止部]
係止部30は、前記支保工との連結のために設ける箇所である。
図1では、基部20の一端を略直交に折曲して係止部30を形成しているが、基部20の一端に別部材の掛止具を取り付けて構成することもできる。
[筒部]
一方の連結具10aの基部20には、他方の連結具10bの基部20を挿通可能な筒部40を設ける。なお、図1では、一方の連結具10aの基部20の上部に筒部40を設けているが、本発明は、この配置形態に限定するものではない。
筒部40の周壁には、貫通するネジ穴41を設けておき、当該ネジ穴41にボルト50を締結可能に構成する。
この筒部40内に挿通した他方の連結具10の基部20に対し、前記ネジ穴に螺合したボルト50の先端で押し込むことによって、連結具10a,10b同士を所定の長さを維持した状態で位置決め(固定)することができる。
<3>機能・作用
上記構成により、ボルト50の締結(緩める)動作または開放動作によって、一方の連結具10aを他方の連結具10bに対して前記継ぎ材Aの長手方向に摺動自在とし、且つ任意の位置で位置決めすることが可能となる。
<4>取付イメージ
本発明に係る継ぎ材の使用状態を図2に示す。
本発明に係る継ぎ材Aは、トンネル内に設ける複数の支保工Bの仮固定等のために、当該支保工B同士の間を繋ぐ部材である。
支保工Bを構成する鋼材には、前記継ぎ材Aの係止部30を係止するための鞘管Cを設けておく。この鞘管Yに係止部30を差し込むことで、継ぎ材Aを支保工Bに連結することができる。
継ぎ材Aの連結手順としては、まず既設の支保工B1に対して、継ぎ材Aの一端にある係止部30を係止しておき、新設の支保工B2が組み上がったときに、前記継ぎ材Aの他端にある係止部30を新設の支保工B2へと連結する。
このとき、継ぎ材Aに係るボルト50を緩めたり、締結したりすることで、現場での実際の間隔長に合わせて継ぎ材Aの長さを簡易に調整することができる。
よって、本発明に係る継ぎ材によれば、現場での継ぎ材の切断作業や溶接作業が不要であり、利便性が非常に高い。また、継ぎ材を構成する部材の点数が過大となることもない。
<5>その他の変形例
本発明に係る継ぎ材の長さ調整機構は、前記実施例に記載の構造に限られない。現場での調整が容易であれば、公知の長さ調節機構のうち何れかの機構を用いることができる。
以下に、本発明に係る継ぎ材の別実施例を示す。
図3に、本発明の第2実施例に係る継ぎ材の概略斜視図を示す。
本実施例に係る継ぎ材Aは、一端に支保工との連結機構を備えた二つの連結具10(10a,10b)と、前記連結具10の他端を収容する収容具60と、からなる。
本実施例に係る収容具60は、前記連結具10の他端を収容可能な筒部40を二個上下に連結して構成する。筒部40の構成は、実施例1の記載と同様である。
この筒部40それぞれに、連結具10を収容して摺動自在に固定して使用する。
上記構成によれば、収容具60に対して、各連結具10を個別に長さ調整することができ、使用時の利便性が向上する。また、両連結具10とも従来の連結具をそのまま用いつつ、収容具60のみを新たに製作すれば良いため、筒部を二連に接合するだけで良いため、部材コストを抑えることもできる。
図4に、本発明の第3実施例に係る継ぎ材の概略斜視図を示す。
本実施例に係る継ぎ材Aは、一端に支保工との連結機構を備えた二つの連結具10(10a,10b)と、前記連結具10の他端を収容する収容具60と、からなる。
本実施例に係る収容具60は、前記連結具10の他端を収容可能な筒部40を長尺化したものである。筒部40の構成は、実施例1の記載と同様である。
この筒部40の両端からそれぞれ連結具10を収容して摺動自在に固定して使用する。
上記構成によれば、各連結具10の基部20の軸線を一致させた状態で、継ぎ材Aの長さを調整することができる。
本発明は、前記実施例1〜3に記載の継ぎ材において、連結具10や収容具60の長手方向に目盛りを付しておくこともできる。
この目盛りを設けておくことにより、筒部40や収容具60に対する、各連結具10の挿入長のバランスをとったり、支保工間の距離を計測したりすることができる。
10 連結具
20 基部
30 係止部
40 筒部
41 ネジ穴
50 ボルト
60 収容具
A 継ぎ材
B 支保工
C 鞘管
a 継ぎ材
b 係止部
c 分割片
d 溶接部分

Claims (3)

  1. トンネル内に設ける支保工の仮固定方法であって、
    支保工に設けた、鞘管と、
    各支保工を繋ぐ、継ぎ材と、を用い、
    前記継ぎ材は、
    前記支保工に設けた鞘管に差し込み可能な係止部を一端に有する二つの連結具と、
    前記連結具の他端を前記継ぎ材の長手方向に摺動自在に収容しつつ、任意の位置で固定可能に構成した収容具と、からなり、
    既設の支保工に、前記継ぎ材の一端を係止しておき、
    新設の支保工の組み上がり後に、全長を調整した前記継ぎ材の他端を新設の支保工に係止することで、新設の支保工を仮固定可能としたことを特徴とする、
    支保工の仮固定方法。
  2. 前記収容具が、一方の連結具を収容する筒部と、他方の連結具を収容する筒部とを、互いの周面が接するように接合してなることを特徴とする、
    請求項1に記載の支保工の仮固定方法。
  3. 前記二つの連結具および収容具のうち、少なくとも何れか1つに目盛りを設けたことを特徴とする、
    請求項1または2に記載の支保工の仮固定方法。
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