JP6569605B2 - 積層基板の製造方法および積層基板 - Google Patents

積層基板の製造方法および積層基板 Download PDF

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Description

本発明は、積層基板の製造方法および積層基板に関し、特に、基板上に単結晶ダイヤモンド層が設けられた積層基板の製造方法およびその製造方法より得られる積層基板に関する。
近年、パワー半導体デバイスなどに用いる半導体材料として、単結晶ダイヤモンドの利用が注目されている。これは、ダイヤモンドは、シリコンや炭化ケイ素、窒化ガリウム等の半導体材料に比べて、絶縁耐圧および熱伝導率などの物理特性が優れているためである。
従来、単結晶ダイヤモンドはHPHT(High Pressure High Temperature;高温高圧)法を用いた合成によって得られている。HPHT法により得られる単結晶ダイヤモンドは結晶性が高いとされるものの、この方法により得られる単結晶ダイヤモンドはせいぜい5mm四方程度であり、大型化は現状困難である。
そこで近年、大面積の単結晶ダイヤモンドを作製するために、ダイヤモンドの格子定数に近い格子定数を有する材料層の表面に、CVD法を用いて単結晶ダイヤモンド層をヘテロエピタキシャル成長させる技術が検討されつつある。
例えば、特許文献1には、単結晶ダイヤモンドを成長させるための基材が開示されている。特許文献1に開示される単結晶ダイヤモンド成長用基材は、単結晶SiC基板と、該単結晶SiC基板にヘテロエピタキシャル成長させたイリジウム膜又はロジウム膜とを有する。特許文献1によると、この単結晶ダイヤモンド成長用基材を用いて、単結晶タイヤモンド層をヘテロエピタキシャル成長させることができる。
特開2011−84411号公報
特許文献1に開示される技術を用いることで、単結晶SiC基板の上に単結晶タイヤモンド層が形成された積層基板を作製することはできる。しかしながら、現在利用可能な単結晶SiC基板は4インチ基板が中心であり、大口径基板であってもせいぜい6インチ基板である。そのため、単結晶タイヤモンド層が形成された積層基板の大口径化および低コスト化が希求される。
そこで、本発明は、大口径化および低コスト化が可能な、単結晶タイヤモンド層を有する積層基板の製造方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、この製造方法により得られる積層基板の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。そして、比較的安価に入手でき、かつ大口径ウェーハとして利用可能なシリコン基板を、単結晶ダイヤモンドの成長用基板として用いることをまず着想した。ここで、シリコンの格子定数は0.543nm(5.43Å)である一方、ダイヤモンドの格子定数は0.356nm(3.56Å)であり、両者の格子定数の差は大きい。そのため、シリコン基板の表面に、単結晶ダイヤモンド層を直接ヘテロエピタキシャル成長させることは難しい。そこで、本発明者は、特許文献1に開示されているように、シリコンとダイヤモンドとの格子不整合を緩和する酸化マグネシウム層を、シリコン基板と単結晶ダイヤモンド層の間とに設けることを試みた。しかしながら、酸化マグネシウムの格子定数は0.421nm(4.21Å)であり、シリコンと酸化マグネシウムでも格子不整合を起こしてしまうため、単結晶ダイヤモンド層を得ることはできなかった。
そこで本発明者はさらに検討し、シリコンの格子定数と、酸化マグネシウムの格子定数との間の格子定数を有する緩和層を更に設けることを検討した。しかしながら、格子定数条件を満足する緩和層を設けたとしても、適切な材料を用いなければ、充分な品質の単結晶タイヤモンド層を有する積層基板が得られないことが本発明者により確認された。そこで本発明者は、シリコン基板の表層部に適切な改質層を設け、その表面に酸化マグネシウム層を形成することで、大口径化および低コスト化が可能な、単結晶タイヤモンド層を有する積層基板が得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)シリコン基板の表層部に、3C−SiCからなる改質層を形成する改質層形成工程と、前記シリコン基板の前記改質層側の表面に、酸化マグネシウム層を形成する酸化マグネシウム層形成工程と、前記酸化マグネシウム層の上に、単結晶ダイヤモンド層を形成する単結晶ダイヤモンド層形成工程と、を含むことを特徴とする積層基板の製造方法。
(2)前記単結晶ダイヤモンド層形成工程に先立ち、前記酸化マグネシウム層の上にイリジウム層を形成するイリジウム層形成工程を更に含む、前記(1)に記載の積層基板の製造方法。
(3)前記改質層形成工程において、前記シリコン基板を炭化処理することにより前記改質層を形成する、前記(1)または(2)に記載の積層基板の製造方法。
(4)前記炭化処理を、炭化水素ガス雰囲気下にて、1000℃以上の温度で30分以上行う、前記(3)に記載の積層基板の製造方法。
(5)シリコン基板と、該シリコン基板の表面に設けられた酸化マグネシウム層と、該酸化マグネシウム層の上に設けられた単結晶ダイヤモンド層と、を有する積層基板であって、前記シリコン基板は、前記表面側の表層部に、3C−SiCからなる改質層を有することを特徴とする積層基板。
(6)前記酸化マグネシウム層と、前記単結晶ダイヤモンド層との間に、イリジウム層を有する、前記(5)に記載の積層基板。
なお、本明細書において、基板または所定層の「表面」に層を設ける(あるいは、形成する)とは、別の層を介することなく、基板または所定層の露出面に層を直接設けることを意味する。ただし、基板表面または所定層表面に、自然酸化膜等の製造工程上不可避に生ずる層の形成は排除されない。一方、所定層の「上に」層を設けるとは、所定層の上方に層を設けることを意味するものである。この場合、別の層を介して、所定層の上に層が設けられていてもよいし、別の層を介することなく、所定層の表面に層が設けられていてもよい。
本発明によれば、大口径化および低コスト化が可能な、単結晶タイヤモンド層を有する積層基板の製造方法および積層基板を提供することができる。
本発明の一実施形態に従う積層基板100の製造方法を説明するフローチャートである。 本発明の好適実施形態に従う積層基板200の製造方法を説明するフローチャートである。 実施例における膜厚の測定位置を説明するための模式図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。また、図1,2では図面の簡略化のため、シリコンウェーハ10および各層の厚さについて、実際の厚さの割合と異なり誇張して示す。また、各層の厚み(膜厚)にばらつきがある場合は、算術平均値を用いて厚みを定義するものとする。
(積層基板の製造方法)
初めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に従う積層基板100の製造方法を説明する。本実施形態に従う積層基板100の製造方法は、シリコン基板10の表層部に、3C−SiCからなる改質層12を形成する改質層形成工程(図1(A),(B))と、シリコン基板10の改質層12側の表面10Aに、酸化マグネシウム層20を形成する酸化マグネシウム層形成工程(図1(C))と、酸化マグネシウム層20の上に、単結晶ダイヤモンド層40を形成する単結晶ダイヤモンド層形成工程(図1(D))と、を含む。以下、各工程の詳細を順次説明する。
<改質層形成工程>
改質層形成工程(図1(A),(B))では、シリコン基板10の表層部に、3C−SiC(「β−SiC」とも呼ばれる)からなる改質層12を形成する。なお、ここで言うシリコン基板10の表層部とは、シリコン基板10の表面10Aから、3C−SiCが検出される部分までの厚み範囲を指すものとする。シリコン基板10の表層部における3C−SiCは、例えばX線回折により確認することができる。本工程の技術的意義の詳細については後述する。
本工程において、シリコン基板10を炭化処理することにより、改質層12を形成することが好ましい。なお、炭化処理は一般的な手法により行うことができる。例えば、熱処理炉内にプロパンガス、メタンガス、エタンガス等の炭素系ガスと、キャリアガスとしての水素ガスを導入し、炭素雰囲気で、シリコン基板10の温度を1000〜1300℃として、1〜60分の炭化処理を行うことにより、改質層12を形成することができる。なお、バルクの状態のシリコン基板10の欠陥密度が少ないほど、改質層12の欠陥密度を少なくすることができる。
また、改質層12をより確実に形成するために、炭化水素ガス雰囲気下にて、1000℃以上の温度で30分以上行うことが好ましい。
一方、本工程では、上述の炭化処理に替えて、構成元素に炭素を含むクラスターイオンをシリコン基板10の表面に照射し、照射後にアニール処理することによって、改質層12を形成することができる。このようなクラスターイオン照射を行うには、例えば、原料ガスを炭化水素系ガスとして、日新イオン機器株式会社製のCLARIS(登録商標)を用いることができる。この場合、クラスターイオンの炭素ドーズ量を1×1017atoms/cm以上とすることが好ましい。
また、クラスターイオンは結合様式によって多種のクラスターが存在し、例えば以下の文献に記載されるような公知の方法で生成してもよい。ガスクラスタービームの生成法として、(1)特開平9−41138号公報、(2)特開平4−354865号公報、イオンビームの生成法として、(1)荷電粒子ビーム工学:石川順三:ISBN978−4−339−00734−3:コロナ社、(2)電子・イオンビーム工学:電気学会:ISBN4−88686−217−9:オーム社、(3)クラスターイオンビーム基礎と応用:ISBN4−526−05765−7:日刊工業新聞社。また、一般的に、正電荷のクラスターイオンの発生にはニールセン型イオン源あるいはカウフマン型イオン源が用いられ、負電荷のクラスターイオンの発生には体積生成法を用いた大電流負イオン源が用いられる。
このようにして、本工程により、シリコン基板10の表層部に、3C−SiCからなる改質層12を形成することができる。なお、次工程においてシリコン基板10の表面10Aに形成する酸化マグネシウム層との密着性を確実にするため、改質層12の厚みは10nm以上あることが好ましい。さらに、改質層12の結晶性を高めるため、改質層12の厚みは100nm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。改質層12の厚みの上限は特に制限されない。工業的な生産を考慮すると800nm程度とすることができる。なお、改質層12の厚みは、例えば炭化処理の処理時間を延すことで、厚くすることができる。
<酸化マグネシウム層形成工程>
改質層形成工程に続き、本実施形態では、シリコン基板10の改質層12側の表面10Aに、酸化マグネシウム(MgO)層20を形成する酸化マグネシウム層形成工程を行う(図1(C))。
酸化マグネシウム層20は、一般的な成膜法によりヘテロエピタキシャル成長させて形成することができ、例えば、スパッタ成膜法および電子ビーム蒸着法などを用いることができる。スパッタ成膜法を用いる場合、1Pa〜100Pa程度の真空下にアルゴンガスを流入させて、1〜10kV程度の負の直流高電圧を印加して放電させ、ターゲットをスパッタリングして酸化マグネシウムを成膜すればよい。なお、スパッタ成膜中、シリコン基板10の基板温度800℃〜1000℃とすることが好ましい。
<単結晶ダイヤモンド層形成工程>
最後に、酸化マグネシウム層形成工程に続き、酸化マグネシウム層20の上に、単結晶ダイヤモンド層40を形成する単結晶ダイヤモンド層形成工程を行う(図1(D))。こうして、単結晶ダイヤモンド層40を有する積層基板100を製造することができる。
単結晶ダイヤモンド層40は、CVD法によりヘテロエピタキシャル成長させて形成することができ、例えば、熱フィラメントCVD法およびプラズマCVD法などを用いることができる。熱フィラメントCVD法を用いる場合、タングステン、タンタル、レニウム、モリブデン、イリジウムなどからなるフィラメントを用いて、フィラメント温度を1900℃〜2300℃程度とし、メタンなどの炭化水素系原料ガスから炭素ラジカルを生成すればよい。なお、フィラメントと、シリコン基板10との距離は、5mm〜20mmとすることができる。
ここで、本実施形態において、シリコン基板10の表層部に改質層12を形成することの技術的意義について説明する。実施例において実験条件の詳細を後述するが、本発明者の検討によると、上述の改質層12を形成することなく、バルクのシリコン基板10の表面に酸化マグネシウム層を形成しようとしても、格子不整合により酸化マグネシウム層を形成することはできなかった。
そこで、シリコンの格子定数と、酸化マグネシウムの格子定数との間の格子定数を有する緩和層として、格子定数が0.481nm(4.81Å)の酸化カルシウム(CaO)層をシリコン基板の表面に設けることを本発明者は検討した。酸化カルシウム層の表面に酸化マグネシウム層を形成した場合、最終的に単結晶ダイヤモンド層を形成することはできた。しかしながら、積層基板の最表面の形成される単結晶ダイヤモンド層の膜厚均一性は、半導体デバイス用としては不十分であった。また、酸化カルシウム層に替えて格子定数が0.514nm(5.14Å)の、酸化ストロンチウム(SrO)層を形成した場合でも、単結晶ダイヤモンド層の膜厚均一性は不十分なものであった。
本発明者は、これらの緩衝層を設けた場合に、膜厚均一性が不十分であった理由について鋭意検討したところ、CaOおよびSrOは、MgOとの反応性が乏しいことが原因ではないかと考えた。反応性が乏しいために、酸化マグネシウム層の膜厚均一性が悪化し、その膜厚均一性が最表面の単結晶ダイヤモンド層まで引き継がれてしまう。そこで、これらの酸化物層に替えて、SiとMgOとの格子不整合を緩和する緩衝層として、炭素を構成元素に含む、3C−SiCを用いることを、本発明者は着想した。そして、シリコン基板10の表層部に、既述の改質層12を形成することで、積層基板の最表面の形成される単結晶ダイヤモンド層の膜厚均一性を良好にできることを実験的に明らかにした。このような効果が得られる理由を、本発明者は、3C−SiCは、CaOおよびSrOに比べて、MgOとの密着性が高いからではないかと考えている。
以上のように、本実施形態により、大口径化および低コスト化が可能な、単結晶タイヤモンド層を有する積層基板の製造方法を提供することができる。そして、こうして得られた積層基板100は、単結晶ダイヤモンド層の膜厚均一性も優れている。
<積層基板200の製造方法>
次に、本発明の好適実施形態に従う積層基板200の製造方法について、図2を用いて説明する。なお、前述の積層基板100の製造方法に従う実施形態と同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。以降も、同様に、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図2(D)に示すように、積層基板200の製造方法の実施形態は、単結晶ダイヤモンド層形成工程(図2(E))に先立ち、酸化マグネシウム層20の上にイリジウム層30を形成するイリジウム層形成工程を更に含むことが好ましい。
イリジウム層30は、一般的な成膜法によりヘテロエピタキシャル成長させて形成することができ、例えば、スパッタ成膜法および電子ビーム蒸着法などを用いることができる。スパッタ成膜法を用いる場合、1Pa〜100Pa程度の真空下にアルゴンガスを流入させて、1〜10kV程度の負の直流高電圧を印加して放電させ、ターゲットをスパッタリングしてイリジウムを成膜すればよい。なお、スパッタ成膜中、シリコン基板10の基板温度700℃〜900℃とすることが好ましい。
イリジウム(Ir)の格子定数は0.384nm(3.84Å)であるため、酸化マグネシウム層20と、単結晶ダイヤモンド層40との格子不整合を緩和する緩衝層として機能することができる。そのため、イリジウム層30を設けることにより、積層基板200における単結晶ダイヤモンド層40の結晶性をより高めることができる。
以下、積層基板100,200の製造方法における好適態様について述べる。
シリコン基板10としては、チョクラルスキ法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスして得られるシリコンウェーハを使用することができる。なお、シリコン基板10には、炭素および/または窒素が添加されていてもよい。さらに、シリコン基板10は、任意のドーパントが所定濃度添加されていてもよく、いわゆるn型またはp型であってもよい。シリコン基板10の主面は特に制限されず、例えば(100)面、(110)面および(111)面のいずれかとすることができる。
上記実施形態に用いることのできるシリコン基板10の口径は任意である。すなわち、直径20mm(0.75インチ)以上のウェーハ(例えば、直径100mm(4インチ)、直径150mm(6インチ)、直径200mm(8インチ))のシリコンウェーハに適用することが可能であり、例示した口径よりも大きなシリコンウェーハにも適用可能である。例えば、直径300mmおよび直径450mmのシリコンウェーハにも適用可能である。
また、転位クラスターおよび空孔凝集欠陥(COP:Crystal Originated Particle)を含まないシリコンウェーハをシリコン基板10として用いることが好ましい。このようなシリコンウェーハであれば、欠陥密度が小さいため、改質層12をはじめ、シリコン基板10の上に形成される層の欠陥密度を低減することができ、最表層として形成される単結晶ダイヤモンド層の欠陥密度も低減できるからである。
なお、本明細書において「COPを含まないシリコンウェーハ」とは、以下に説明する観察評価により、COPが検出されないシリコンウェーハを意味するものとする。すなわち、まず、CZ法により育成された単結晶シリコンインゴットから切り出し加工されたシリコンウェーハに対して、SC−1洗浄(すなわち、アンモニア水と過酸化水素水と超純水とを1:1:15で混合した混合液による洗浄)を行い、洗浄後のシリコンウェーハ表面を、表面欠陥検査装置として例えばKLA-Tenchor社製:Surfscan SP-2を用いて観察評価し、表面ピットと推定される輝点欠陥(LPD:Light Point Defect)を特定する。その際、観察モードはObliqueモード(斜め入射モード)とし、表面ピットの推定は、Wide Narrowチャンネルの検出サイズ比に基づいて行うものとする。こうして特定されたLPDに対して、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて、COPか否かを評価する。この観察評価により、COPが観察されないシリコンウェーハを「COPを含まないシリコンウェーハ」とする。
一方、転位クラスターは、過剰な格子間シリコンの凝集体として形成されるサイズの大きな(10μm程度)の欠陥(転位ループ)であり、セコエッチングなどのエッチング処理を施したり、Cuデコレーションしたりして顕在化させることにより、目視レベルで転位クラスターの有無を簡単に確認することができる。
また、酸化マグネシウム層20の膜厚は、例えば0.5μm〜3μmとすることができる。成膜法により酸化マグネシウム層20を形成する場合、所望の膜厚が得られるまで成膜を行えばよい。また、イリジウム層30の膜厚を、例えば0.5μm〜3μmとすることができる。そして、単結晶ダイヤモンド層40の膜厚を、例えば0.5μm〜10μmとすることができる。各層の膜厚は、例えば成膜法により形成するのであれば、成膜時間を調整すればよい。
なお、上述の積層基板100,200から、単結晶ダイヤモンド層40を剥離すれば、単結晶ダイヤモンド基板を得ることができる。
(積層基板)
本発明の一実施形態に従う積層基板100は、前述の積層基板100の実施形態により作製することができる。この積層基板100は、図1(D)に示すように、シリコン基板10と、シリコン基板10の表面に設けられた酸化マグネシウム層20と、酸化マグネシウム層20の上に設けられた単結晶ダイヤモンド層40と、を有する。そして、この積層基板100において、シリコン基板10は、酸化マグネシウム層20が設けられる表面側の表層部に、3C−SiCからなる改質層12を有する。
そして、本発明の好適実施形態に従う積層基板200は、前述の積層基板200の実施形態により作製することができ、図2(E)に示すように、酸化マグネシウム層20と、単結晶ダイヤモンド層40との間に、イリジウム層30を有することが好ましい。
本実施形態において、酸化マグネシウム層20、イリジウム層30および単結晶ダイヤモンド層40はいずれもヘテロエピタキシャル成長により形成することができる。そのため、大口径のシリコンウェーハをシリコン基板に用いることができる。このように、本実施形態により、大口径化および低コスト化が可能な、単結晶タイヤモンド層を有する積層基板100,200を提供することができる。また、積層基板100,200は、単結晶ダイヤモンド層の膜厚均一性も優れている。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(発明例1)
図2に示したフローチャートに従って、発明例1に係る積層基板を製造した。まず、CZ法により製造した、COPフリーの直径200mmの単結晶シリコンインゴットから、p型のシリコンウェーハを用意し、シリコン基板とした。このシリコンウェーハの主面の面方位は(100)面であり、酸素濃度は1.2×1018atoms/cmであり、抵抗率は10Ω・cmである。
次いで、このシリコンウェーハに対して、メタンガス雰囲気下で、1160℃の炭化処理を20分施し、3C−SiCからなる改質層を形成した。
その後、基板温度を900℃に維持した状態で、チャンバ内を12Paとし、ArによりMgOターゲットをスパッタリングし、目標膜厚1.1μmの酸化マグネシウム層を成膜した。
次に、基板温度を800℃に維持した状態で、チャンバ内を10.7Paとし、ArガスによりIrターゲットをスパッタリングし、目標膜厚1.2μmのイリジウム層を成膜した。
最後に、フィラメント型ダイヤモンド成膜装置を用いて、目標膜厚5μmの単結晶ダイヤモンド層を成膜した。なお、フィラメント温度を2000℃とし、フィラメントと、シリコンウェーハとの間の距離を1.5cmとした。こうして、発明例1に係る積層基板を作製した。
(従来例1)
発明例1におけるシリコンウェーハに替えて、4インチの3C−SiC基板を用い、3C−SiC基板の表層部は改質層を形成しなかった以外は、発明例1と同様にして、従来例1に係る積層基板を作製した。
(比較例1)
発明例1における改質層の形成に替えて、スパッタ成膜法により酸化ストロンチウム(SrO)層を形成した以外は、発明例1と同様にして、比較例1に係る積層基板を作製した。なお、酸化ストロンチウム層の成膜にあたり、基板温度を800℃に維持した状態で、チャンバ内を10.2Paとし、ArによりSrOターゲットをスパッタリングして酸化ストロンチウム層を成膜した。
(比較例2)
発明例1における改質層の形成に替えて、スパッタ成膜法により酸化カルシウム層(CaO)を形成した以外は、発明例1と同様にして、比較例2に係る積層基板を作製した。なお、酸化カルシウム層の成膜にあたり、基板温度を800℃に維持した状態で、チャンバ内を10.3Paとし、ArによりCaOターゲットをスパッタリングして酸化カルシウム層を成膜した。
(比較例3)
発明例1において改質層を形成しなかった以外は、発明例1と同様にして、比較例3に係る積層基板を作製した。
<評価1:ラマン分光法>
発明例1、従来例1および比較例1〜3のそれぞれの積層基板に対して、ラマン分光法により分光分析を行った。発明例1、従来例1および比較例1〜2のいずれも、sp3構造を示すDバンドが検出され、単結晶ダイヤモンドが形成されていることを確認した。一方、比較例3では、sp2構造を示すGバンド(1580cm−1)のスペクトルが検出された。
<評価2:膜厚分布測定>
発明例1、従来例1および比較例1〜2のそれぞれの積層基板に対して、膜厚均一性を評価するために、図3に示すP1〜P5のそれぞれの位置における単結晶ダイヤモンド層の膜厚を分光エリプソ法を用いて測定した。なお、図3におけるP1はウェーハのノッチ側のエッジ(すなわち、切り欠きがないと仮定した場合のウェーハエッジ位置)から、ウェーハの中心方向へ1mm内側の位置である。そして、P2〜P4は、P1をウェーハ中心位置から反時計回りに90度ずつ回転させた位置であり、P5はウェーハ中心位置である。結果を、下記の表1に示す。なお、比較例3に関しては、単結晶ダイヤモンド膜を形成できなかったため、膜厚測定を実施しなかった。そのため、表中には(測定不可)と記載している。
Figure 0006569605
表1の結果から、発明例1では、従来例1および比較例1〜2に比べ、標準偏差σが小さく、膜厚のばらつきが抑制できていることがわかった。このように、発明例1の膜厚均一性は、従来例1および比較例1〜2に比べて良好であることが確認された。また、比較例1と比較例2とでは、単結晶ダイヤモンド層成膜時の目標膜厚の5μmに対して、膜厚平均値が4.4μmであったため、目標膜厚に対して10%以上薄く形成されたことが確認された。この結果は、3C−SiCからなる改質層を形成した発明例1と異なり、SrOやCaOではMgOとの反応性が乏しいため、単結晶ダイヤモンド層の膜厚が薄くなったからだと考えられる。一方、発明例1では、3C−SiCからなる改質層にはCが存在するため、Mgとの反応性が高く、目標膜厚の5μmの膜厚の単結晶ダイヤモンド層が成膜できたと考えられる。
<評価3:結晶性評価>
さらに、発明例1および従来例1の単結晶ダイヤモンド層の結晶性を、ラマン分光法により評価した。ラマンスペクトルにおける1333cm−1の位置での半値幅(FWHM)を発明例1と従来例1とで比較したところ、発明例1の半値幅は従来例1より狭く、結晶性が良いことが確認された。この結果は、単結晶ダイヤモンド層の下方の3C−SiC領域における欠陥密度の違いが反映したと考えられる。すなわち、COPフリーのシリコンウェーハに形成した3C−SiCからなる改質層は、3C−SiC基板よりも欠陥が少ないからであると考えられる。
本発明によれば、大口径化および低コスト化が可能な、単結晶タイヤモンド層を有する積層基板の製造方法および積層基板を提供できるため、半導体産業において有用である。
10 シリコン基板
12 改質層
20 酸化マグネシウム層
30 イリジウム層
40 単結晶ダイヤモンド層
100 積層基板
200 積層基板

Claims (5)

  1. シリコン基板の表層部に、3C−SiCからなる改質層を形成する改質層形成工程と、
    前記シリコン基板の前記改質層側の表面に、酸化マグネシウム層を形成する酸化マグネシウム層形成工程と、
    前記酸化マグネシウム層の上に、単結晶ダイヤモンド層を形成する単結晶ダイヤモンド層形成工程と、を含み、
    前記改質層形成工程において、前記シリコン基板を炭化水素ガス雰囲気下にて、1000℃以上1300℃以下の温度で30分以上炭化処理することにより前記改質層を形成することを特徴とする積層基板の製造方法。
  2. 前記単結晶ダイヤモンド層形成工程に先立ち、前記酸化マグネシウム層の上にイリジウム層を形成するイリジウム層形成工程を更に含む、請求項1に記載の積層基板の製造方法。
  3. シリコン基板と、
    該シリコン基板の表面に設けられた酸化マグネシウム層と、
    該酸化マグネシウム層の上に設けられた単結晶ダイヤモンド層と、を有する積層基板であって、
    前記シリコン基板は、前記表面側の表層部に、3C−SiCからなる改質層を有することを特徴とする積層基板。
  4. 前記酸化マグネシウム層と、前記単結晶ダイヤモンド層との間に、イリジウム層を有する、請求項に記載の積層基板。
  5. 前記シリコン基板は、COPを含まないシリコンウェーハである請求項3または4に記載の積層基板。

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