JP6569208B2 - 被膜形成型窒化鉄系磁性粉末及びそれを用いた磁石 - Google Patents

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本発明は、Fe16化合物相を主相とし、高い飽和磁化を維持しつつ、かつ高い保磁力を有する被膜形成型窒化鉄系磁性粉末および該窒化鉄系磁性粉末を用いた磁石を提供する。
近年、電気自動車やハイブリッド自動車などのモーター用磁石として、Nd−Fe−B系の磁石が広く使われている。しかしながら、Ndに代表されるレアアースは、産業分野を支える高付加価値な部材の原料であり、近年需要が拡大しているため、資源の枯渇や原料価格が不安定であることが懸念されている。さらには、途上国においても著しく需要が拡大していることや、その偏在性ゆえに特定の産出国への依存度が高いことから、安定供給確保に対する問題が生じている。
上記問題を回避するため、レアアースを使用しない、自然界に無尽蔵に存在する元素(鉄、窒素)から高性能磁石を開発することが求められている。
Fe−N系の化合物、特にFe16は、Feよりも巨大な飽和磁化を示す材料のひとつとして注目されている。しかしながら、Fe16は準安定化合物であるため、この化合物を単離した粉末として化学的に合成することは困難である。
このような問題に対し、特許文献1では、共沈法により酸化鉄を合成し、還元・窒化する手法を用いて、Fe16を含む窒化鉄系磁性粉末を単離した粉末として化学的に合成することに成功している。しかしながら、得られた窒化鉄系磁性粉末の保磁力が低いために、高保磁力かつ高飽和磁化が要求されるモーター用途の磁性材料としての使用には不十分である。
特開2000−277311号公報
本発明は、上記を鑑みたものであり、高い飽和磁化(120emu/g以上)を有し、かつ高い保磁力(2.5kOe以上)を有する窒化鉄系磁性粉及び該磁性粉を用いた磁石の提供を目的とする。
本発明は、Fe16相を含む窒化鉄系磁性粉末であり、前記窒化鉄系磁性粉末の窒化鉄相の粒子径が15nm以上100nm以下であって、前記窒化鉄系磁性粉末の表面にO及びHを含む被膜が形成されており、前記被膜の厚みが1nm以上5nm以下であることを特徴とする被膜形成型窒化鉄系磁性粉末に関するものである。(本発明1)
本発明1によれば、Fe16相を含む窒化鉄系磁性粉末の窒化鉄相の粒子径が15nm以上100nm以下であって、前記窒化鉄系磁性粉末の表面にO及びHを含む被膜が形成されており、前記被膜の厚みが1nm以上5nm以下であれば、高い飽和磁化(120emu/g以上)を維持しつつ、高い保磁力(2.5kOe以上)を有する被膜形成型窒化鉄系磁性粉末が得られる。
また、本発明は、本発明1に記載の被膜形成型窒化鉄系磁性粉末であり、窒化鉄系磁性粉末の表面に形成された被膜中のH量が粒子全体の0.02質量%以上1.5質量%以下であって、前記被膜の構成相にFeOOHを含むことを特徴とする被膜形成型窒化鉄系磁性粉末に関するものである。(本発明2)
本発明2によれば、本発明2に記載の被膜形成型窒化鉄系磁性粉末の表面に形成された被膜中のH量が粒子全体の0.02質量%以上1.5質量%以下であって、前記被膜の構成相にFeOOHを含むことで、さらに高い飽和磁化及び高い保磁力を有する被膜形成型窒化鉄系磁性粉末が得られる。
さらに、本発明は、本発明1又は本発明2に記載の被膜形成型窒化鉄系磁性粉末を用いた磁石に関するものである。(本発明3)
本発明3によれば、高い飽和磁化(120emu/g以上)を維持しつつ、高い保磁力(2.5kOe以上)を有する被膜形成型窒化鉄系磁性粉末を用いた磁石を得ることができる。
本発明によれば、高い飽和磁化(120emu/g以上)を有し、かつ高い保磁力(2.5kOe以上)を有する被膜形成型窒化鉄系磁性粉末及び該磁性粉末を用いた磁石を得ることができる。
本発明の実施形態に係る窒化鉄系磁性粉末中の一粒子を示した図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下に記載の実施形態及び実施例の内容により限定されるものではない。また、以下に記載の実施形態及び実施例にて示された構成要素は適宜組み合わせても良いし、適宜選択してもよい。
本実施形態に係る磁性粉は、図1に示すように窒化鉄相1及びO及びHを含む被膜2を備える。窒化鉄相1はFe16相を含む窒化鉄系磁性粉末であり、前記窒化鉄系磁性粉末の窒化鉄相の粒子径が15nm以上100nm以下であって、前記窒化鉄系磁性粉末の表面にO及びHを含む被膜2が形成されており、前記被膜の厚みが1nm以上5nm以下である。窒化鉄相の粒子径が15nm未満では超常磁性が発現するため、飽和磁化および保磁力が低下する傾向がある。窒化鉄相の粒子径が100nmを超える場合には、粒子サイズが大きいため、単磁区臨界径以下の粒子割合が小さく、保磁力が低下する。O及びHを含む被膜の厚みが1nm未満では、保磁力向上の効果は十分とは言い難い。O及びHを含む被膜の厚みが5nmを超えると、前記O及びHを含む被膜の体積比率が大きいため、飽和磁化が大幅に低下する。窒化鉄相の粒子径が15nm以上100nm以下であって、前記窒化鉄系磁性粉末の表面にO及びHを含む被膜が形成されており、前記被膜の厚みが1nm以上5nm以下であれば、高い飽和磁化を維持しつつ、高い保磁力が得られる。これは、FeOOHやFe(OH)などのO及びHを含む化合物及びその混相となることで、粒子間焼結を起こしている粒子同士を磁気的に分断できるためである。
また、本実施形態に係る磁性粉末は、窒化鉄系磁性粉末の表面に形成された被膜中のH量が粒子全体の0.02質量%以上1.5質量%以下であって、前記被膜の構成相にFeOOHを含むことが好ましい。H量が粒子全体の0.02質量%以上1.5質量%以下であれば、FeOOHやFe(OH)などのO及びHを含む化合物及びその混相がより生成しやすく、特にFeOOHが生成しやすくなり、粒子間焼結を起こしている粒子同士の磁気的な分断効果が大きくなる。
本実施形態に係る磁性粉末は、120emu/g以上の飽和磁化を有し、かつ2.5kOe以上の保磁力を有する。好ましくは飽和磁化が140emu/g以上で、かつ保磁力が2.8kOe以上である。窒化鉄相の粒子径を20nm以上80nm以下としたとき、より高い飽和磁化および保磁力が得られる。また、前記O及びHを含む被膜の厚みを2nm以上4nm以下としたとき、より高い飽和磁化及びより高い保磁力が得られる。
窒化鉄系磁性粉末の表面に形成するO及びHを含む被膜の構成相は、特に限定されないが、O及びHを含んでいればFe、γ−Fe、α−Fe、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH、FeOなどいずれの化合物の混相でもよい。
次に、本実施形態に係る磁性粉末の好適な製造法について述べる。
本実施形態に係る磁性粉末は、酸化鉄を原料として用いて、還元処理を行い、続いて窒化処理を行ったのちに、O及びHを含む被膜を形成させる処理を施すことで得ることができる。
原料である酸化鉄は、特に限定されないが、Fe、γ−Fe、α−Fe、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH、FeOなどが挙げられる。
原料である酸化鉄の粒子形状には特に限定はないが、針状、粒状、紡錘状、直方体状などいずれでもよい。
本実施形態においては、必要により、還元処理によって粒子同士が焼結することを抑制するために原料である酸化鉄の表面をSi化合物で被覆してもよい。
酸化鉄粒子を分散して得られる水懸濁液のpHを調整した後、Si化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記酸化鉄粒子の表面をSi化合物で被覆し、その後、水洗、乾燥、粉砕することで粉末が得られる。
Si化合物としては、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ、シランカップリング剤等が使用できる。
Si化合物の被覆量は、酸化鉄に対しSi換算で0.1質量%以上20質量%以下が好ましい。0.1質量%未満の場合には熱処理時に粒子間の焼結を抑制する効果が十分とは言い難い。20質量%を超える場合には、非磁性成分が増加することとなり好ましくない。より好ましい表面被覆量は0.15質量%以上15質量%以下、更により好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
次に、酸化鉄又は粒子表面がSi化合物によって被覆された酸化鉄について還元処理を行う。
還元処理の温度は200〜600℃が好ましい。還元処理の温度が200℃未満の場合には酸化鉄が十分に金属鉄に還元されない。還元処理の温度が600℃を超える場合には酸化鉄は十分に還元されるが、粒子間の焼結も進行することになり、好ましくない。より好ましい還元温度は250〜450℃である。
還元処理の時間は特に限定されないが、1〜96時間が好ましい。96時間を超えると還元温度によっては焼結が進み、窒化処理が進みにくくなる。1時間未満では十分な還元ができない場合が多い。より好ましくは2〜72時間である。
還元処理の雰囲気は、水素雰囲気が好ましい。
還元処理を行った後、窒化処理を行う。
窒化処理の温度は100〜200℃である。窒化処理の温度が100℃未満の場合には窒化処理が十分に進行しない。窒化処理の温度が200℃を超える場合には、窒化が進行しすぎるため、Fe16化合物相の割合が著しく低下する。より好ましい窒化温度は120〜180℃である。
窒化処理の時間は特に限定されないが、1〜48時間が好ましい。48時間を超えると窒化温度によってはFe16化合物相の割合が著しく低下する。1時間未満では十分な窒化ができない場合が多い。より好ましくは3〜24時間である。
窒化処理の雰囲気は、NH雰囲気が望ましく、NHの他、N、Hなどを混合させてもよい。
窒化処理を行った後、O及びHを含む被膜を形成させる処理を行う。この処理によって、窒化鉄相の表面を酸素ガス及びHOと同時に反応させることで、FeOOHやFe(OH)などのO及びHを含む化合物及びその混相を含む被膜を形成させる。
O及びHを含む被膜を形成させる処理の温度は10〜70℃である。前記処理の温度が10℃未満の場合には処理が十分に進行しない。前記処理の温度が70℃を超える場合には、被膜の厚みが大きくなり、Fe16化合物相の割合が著しく低下する。より好ましい温度は20〜50℃である。
O及びHを含む被膜を形成させる処理の時間は特に限定されないが、1〜24時間が好ましい。1時間未満では十分な被膜の形成ができない場合が多い。24時間を超えると、温度によっては被膜の厚みが大きくなり、Fe16化合物相の割合が著しく低下する。
O及びHを含む被膜を形成させる処理の雰囲気は、HO及び酸素ガスを含む窒素雰囲気が望ましい。被膜中のH量を変えるには、露点か酸素ガスの濃度を変更すればよい。露点はガスをウェッターに通すことで制御することが可能で、露点の範囲は−50〜−10℃が好ましい。露点が−50℃未満では、被膜に十分な量のHが取り込まれない。ウェッターを通さずに酸素ガスと窒素ガスを流すと、露点は−50℃未満となる。露点が−10℃を超えると、被膜に含まれるH量が過剰になる。酸素ガスの濃度は、窒素ガスに対して0.05〜3%が好ましい。酸素ガスの濃度が0.05%未満では十分な厚みの被膜の形成ができない場合が多い。酸素ガスの濃度が3%を超えると、温度によっては被膜の厚みが大きくなり、Fe16化合物相の割合が著しく低下する。
本実施形態によって得られた窒化鉄系磁性粉末を用いて、バルク磁石や異方性ボンド磁石といった磁石を得ることができる。以下、その製造方法を述べる。
まず、バルク磁石の製造方法について一例を説明する。本実施形態によって得られた窒化鉄系磁性粉末は圧縮成形をすることにより、圧粉磁石とすることが可能である。ここで、圧縮成形の条件は、特に限定されず、作製するバルク磁石の要求特性値になるよう調整すればよい。例えば、圧縮成形圧力を1〜10ton/cmとすることができる。また、成形時に磁場配向をおこなってもよい。さらに、窒化鉄系磁性粉末表面に潤滑剤や樹脂を付与してもよい。
また、作製したバルク磁石に樹脂を含む樹脂バインダーを含浸させ、ボンド磁石としてもよい。樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系のエラストマー、アイオノマー、エチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレン−エチルアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂がある。必要に応じて、カップリング剤やその他の添加材を加えてもよい。
ボンド磁石における磁性粉末と樹脂との含有比率は、磁性粉末100質量%に対して、樹脂を例えば0.5質量%以上20質量%以下含むことが好ましい。磁性粉末100質量%に対して、樹脂の含有量が0.5質量%未満であると、保形性が損なわれる傾向があり、樹脂が20質量%と超えると、十分に優れた磁気特性が得られ難くなる傾向がある。
得られる磁石の形状は特に限定されるものではなく、用いる金型の形状に応じて、例えば平板状、柱状、断面形状がリング状等、変更することができる。また、得られた磁石は、その表面上に酸化層や樹脂層等の劣化を防止するためにめっきや塗装を施すようにしてもよい。
以下、本発明について、実施例・比較例を用いてさらに詳細に説明する。
実施例1
<出発原料の調整>
硫酸第一鉄、塩化第二鉄、水酸化ナトリウムを用いて酸化鉄を作製した。その後、試料1gに対して50mL相当の純水を加えて攪拌しながら、オルトケイ酸ナトリウム水溶液をSiが1.0質量%となるように加えた。得られた分散液を数時間静置して上澄み液を除去した。続けて、得られた試料1gに対して200mL相当の純水を加えて上澄み液を除去する作業を7回繰り返した。85℃の真空乾燥機で乾燥し、乳鉢及び乳棒を用いて解砕を行った。得られた試料のSi含有量は1.0質量%であった。
<出発原料の還元処理及び窒化処理>
上記で得られた粉末5gを灰分測定用灰皿(50mm×30mm×深さ10mm)に入れ、熱処理炉に静置した。炉内に窒素ガスを充填した後、水素ガスを1L/minの流量で流しながら、5℃/minの昇温速度で300℃まで昇温し、24時間保持して還元処理を行った。その後、水素ガスの供給を止めて窒素ガスを2L/minの流量で流しながら150℃まで降温した。続いて、アンモニアガスを0.1L/minにて流しながら、150℃で9時間窒化処理を行った。その後、窒素ガスを2L/minの流量で流しながら40℃まで降温し、40℃に保持しながらO及びHを含む被膜形成させる処理を行った。具体的には、ウェッターを通して露点を−20〜−30℃に制御しながら流量2L/minの窒素ガスと流量2mL/minの酸素ガスを1時間流した。
熱処理炉から試料を取り出した後、遠心分離機(日立工機製CR22GIII)を用いて分級操作を行って15nm程度の粒子を分離した。遠心分離は5000rpm30min、5000rpm60min、8000rpm30min、10000rpm30min、12000rpm30min、16000rpm30min、18000rpm30min、20000rpm60minの順で行い、平均粒子径105nm、100nm、80nm、60nm、40nm、20nm、15nm、10nmの粒子をそれぞれ分離した。得られた粒子のうち、15nmの粒子のみを取り出した。
<被膜の構成相の同定>
得られた磁性粉末の被膜の構成相は、粉末X線回折装置(XRD、リガク製RINT−2500)及びメスバウアー分光分析装置により同定を行った。メスバウアー測定は、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で磁性粉末をラミネートパックに入れて封止した状態で行った。メスバウアースペクトルのピーク解析は、スペクトルを理想線型の足し合わせと仮定してカーブフィッティングを行い、ピーク位置を定めて各成分のピーク面積を算出した。ピークは左右対称のローレンツ型とし、成分毎のピーク半値幅はすべて等しく、対称位置にあるピーク高さはそれぞれ等しいと仮定した。XRDパターン及びメスバウアースペクトルより、被膜の構成相はFeOOHを含有することがわかった。
<粒子の組成と粒子径、被膜の厚みの評価>
得られた磁性粉末を透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子製JEM−2000FX)により観察し、EDSを用いて粒子組成を分析した。TEM観察像の中から無作為に選別した100個の粒子のコントラストの異なる外殻部を被膜として組成分析を行い、O及びHが含まれることを確認した。得られた磁性粉末のH量は、発生ガス分析(CHN元素分析)により行った。サンプルを正確に秤量してスズカプセルに入れ、燃焼管内で酸素とともに燃焼させて発生したガスを熱伝導度検出器によって検出することで元素含有量を求めた。前処理として試料乾燥を行うことで吸着水分を除去し、Hは全量被膜由来であると仮定して算出した。求めた被膜のH量は0.24質量%であった。次に、画像処理により、TEM観察像の中から無作為に選別した1000個の粒子の円面積相当径を粒子径として算出した。続いて、前記1000個の粒子のコントラストの異なる内殻部を窒化鉄相として円面積相当径を算出した。粒子の円面積相当径の平均から窒化鉄相の円面積相当径の平均を減算した値を被膜の厚みとして算出した。前記の方法により算出した窒化鉄相の円面積相当径の平均は15nm、被膜の厚みは1nmであった。
<磁気特性の評価>
得られた窒化鉄系磁性粉末の飽和磁化と保磁力を振動試料型磁力計(VSM、東英工業製VSM−5−20)を用いて296Kにて、−20〜20kOeの磁場中で測定した。飽和磁化は140emu/g、保磁力は2.61kOeであった。
実施例2〜16及び比較例1〜8についても、ウェッターを通した窒素ガスと酸素ガスの流す時間を変更して、表1に示す通りの窒化鉄相の粒子径及び被膜の厚みとし、露点を−50〜−10℃の範囲で調整することにより表1に示す通りの被膜のH量を得たこと以外は実施例1と同様にして試料を作製した。ウェッターを通した窒素ガスと酸素ガスを流す時間は、被膜の厚みを0nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、5.5nmとするとき、それぞれ0時間、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、30時間とした。
比較例9〜10については、ウェッターを通した窒素ガスと酸素ガスを流す工程をウェッターを通さずに行い、ガスを流す時間と酸素ガスの流量を変更して、表1に示す通りの窒化鉄相の粒子径及び被膜の厚みとしたこと以外は実施例1と同様にして試料を作製した。ウェッターを通さず露点を−50℃未満とすることで、被膜にHが取り込まれないようにした。窒素ガスと酸素ガスを流す時間は、6時間とした。酸素ガス流量は2mL/minとした。
<評価結果>
実施例1〜28及び比較例1〜10で得られた試料について、窒化鉄相の粒子径と被膜の厚み、被膜のH量、飽和磁化と保磁力を表1に示す。実施例1〜28及び比較例1〜10のいずれも被膜にOを含有し、実施例1〜28及び比較例2、比較例3、比較例5〜6、比較例8はいずれも被膜にHを含有していた。比較例9〜10については、被膜中にHは検出されなかった。また、実施例1、実施例3〜5、実施例7〜11、実施例13〜15、実施例17〜22、実施例24〜26、実施例28、比較例2〜3、比較例5〜6、比較例8はいずれもXRD及びメスバウアー分光分析よりFeOOHを含有していることがわかった。比較例9〜10については、いずれもXRD及びメスバウアー分光分析より被膜の構成相はFeであることがわかった。
Figure 0006569208
実施例と比較例を比べると、実施例では高い飽和磁化(120emu/g以上)を維持しつつ、かつ高い保磁力(2.5kOe以上)が得られている。窒化鉄相の粒子径が15nm以上100nm以下の範囲では、単磁区臨界径以下の粒子割合が大きく、高い保磁力が得られる。また、O及びHを含む被膜の厚みが1nm以上5nm以下であれば、飽和磁化の低減を最低限に抑えつつ、粒子間焼結を起こしている粒子同士をO及びHを含む被膜により磁気的に分断することで高い保磁力が得られる。
比較例1〜8のように、窒化鉄相の粒子径またはO及びHを含む被膜の厚みが請求の範囲外であると、高い飽和磁化を維持しつつ高い保磁力を実現できない。比較例1〜3は、窒化鉄相の粒子径が15nm未満では超常磁性が発現するため、飽和磁化および保磁力が低下した。比較例4〜6は、窒化鉄相の粒子径が100nmを超えており、粒子サイズが大きいため、単磁区臨界径以下の粒子割合が小さく、保磁力が低下した。比較例7のように、O及びHを含む被膜の厚みが1nm未満では、保磁力は向上しなかった。比較例8のように、O及びHを含む被膜の厚みが5nmを超えると、前記O及びHを含む被膜の体積比率が大きいため、飽和磁化が大幅に低下した。
比較例9〜10のように、窒化鉄相の粒子径と被膜の厚みが請求の範囲内でも、被膜にO及びHの両方が含まれない場合は高い飽和磁化を維持しつつ高い保磁力を実現できない。これは、FeOOHやFe(OH)などのO及びHを含む化合物及びその混相が存在しない場合は、粒子間焼結を起こしている粒子同士を磁気的に分断する効果が小さいためである。
1・・・窒化鉄相、2・・・O及びHを含む被膜。

Claims (2)

  1. Fe16相を含む窒化鉄系磁性粉末であり、前記窒化鉄系磁性粉末の窒化鉄相の粒子径が15nm以上100nm以下であって、前記窒化鉄系磁性粉末の表面にO及びHを含む被膜が形成されており、前記被膜の厚みが2nm以上4nm以下であり、
    窒化鉄系磁性粉末の表面に形成された被膜中のH量が粒子全体の0.02質量%以上1.5質量%以下であって、前記被膜の構成相にFeOOHを含むことを特徴とする被膜形成型窒化鉄系磁性粉末。
  2. 請求項1に記載の被膜形成型窒化鉄系磁性粉末を用いた磁石。

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