JP6485066B2 - 窒化鉄系磁石 - Google Patents

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本発明は、Fe16化合物相を主相とし、高い残留磁束密度かつ高い保磁力を有する窒化鉄系磁石を提供する。
近年、電気自動車やハイブリッド自動車などのモーター用磁石として、Nd−Fe−B系の磁石が広く使われている。しかしながら、Ndに代表されるレアアースは、産業分野を支える高付加価値な部材の原料であり、近年需要が拡大しているため、資源の枯渇や原料価格が不安定であることが懸念されている。さらには、途上国においても著しく需要が拡大していることや、その偏在性ゆえに特定の産出国への依存度が高いことから、安定供給確保に対する問題が生じている。
上記の問題より、自然界に無尽蔵に存在する元素(鉄、窒素)からなるFe16は、Feよりも巨大な飽和磁化を示す材料のひとつとして注目されている。
また,Fe16は準安定化合物であり、この化合物を単離した粉末として化学的に合成することは難しい。特許文献1では,共沈法により酸化鉄を合成し、還元・窒化する手法で窒化鉄系磁性粉末を合成している。しかしながら,得られた窒化鉄粉末の保磁力が低く、この磁性粉末を用いてバルク磁石を作成しても、高保磁力かつ高飽和磁化が要求されるモーター用途の磁性材料としての使用は困難である。
特開2009−84115号公報
本発明は、上記を鑑みたものであり、残留磁束密度(Br)350 mT以上を有し、かつ保磁力(HcJ)2.5 kOe以上を有する窒化鉄系磁石の提供を目的とする。
本発明は、Fe16相を含む窒化鉄系磁石であり、前記窒化鉄系磁石の相対密度が60%以上であり、Pを0.1〜4.5at%含有している、窒化鉄系磁石に関するものである。
本発明によれば、主成分としてFe16相を含む窒化鉄系磁石であり、前記Fe16相についてPを0.1〜4.5at%含有し、さらに窒化鉄系磁石がFe16相の理論密度に対し十分高い相対密度を有するため、350mT以上の高い残留磁束密度を維持しつつ、保磁力2.5 kOe 以上を示す前記窒化鉄系磁石を得ることができる。
この理由については定かではないが、PがFe16の格子間に侵入する、またはPがFe16を構成するNの一部を置換することにより、Fe16の格子が歪み、窒化鉄磁性粉末の異方性が増したため、高い残留磁束密度を維持しつつ、高い保磁力を得ることができたと考えられる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下に記載の実施形態及び実施例の内容により限定されるものではない。また、以下に記載の実施形態及び実施例にて示された構成要素は適宜組み合わせても良いし、適宜選択してもよい。
本発明に記載の窒化鉄磁石は、主相がFe16粒子からなる。また、前記主相以外に、Fe、Fe及びFeO等の酸化鉄相、FeN等の窒化鉄相、FeP等のリン化鉄相を有していてもよい。
前記Fe16粒子が、Mn、Ni、Co、Ti、Zn等の遷移金属を含んでいてもよい。
前記Fe16粒子の主相であるFe16相について、Pを0.1〜4.5at%含有している。Pの含有量がこの範囲にあることにより、高い残留磁束密度を維持しつつ、高い保磁力を得ることができる。前記Fe16相に含有されるPが0.1at%未満であると、Pの侵入もしくは置換による格子歪みが小さいために,十分な結晶磁気異方性を有さず,高い保磁力を得られない。4.5at%超では、Fe16の一部が不純物であるFePに変化してしまい、飽和磁化と保磁力の両方が低下する。また、Pは窒化鉄粒子内に存在しており、表面や特定箇所の偏析はない。
本発明に記載の窒化鉄系磁石は、相対密度が60%以上である。前記窒化鉄系磁石の相対密度が60%未満の場合、磁石素体に含まれる磁性成分密度が低くなり、十分な残留磁束密度を有さない。
本実施形態に係る窒化鉄系磁性粉末の平均粒径は、20nm以上60nm以下であることが好ましい。平均粒径が20nm未満では、粒子表面の酸化被膜の割合が大きくなるため窒化鉄系磁性粉末に含まれるFe16相が少なくなり、最終的に得られる残留磁束密度が低下する。また粒径が小さいことによって超常磁性が発現するため、保磁力が低下する傾向にある。平均粒径が60nm超では粒径が大きいため、単磁区臨界径以上の粒子割合が大きく、保磁力が低下する傾向にある。
本実施形態に係る窒化鉄系磁石の好適な製造法について述べる。本実施形態に係る窒化鉄系磁石は、酸化鉄粒子を合成した後、前記酸化鉄粒子に還元処理およびアンモニアガスとホスフィンガスの混合ガスによる窒化処理、を順に施して得た窒化鉄系磁性粒子を圧縮成形することにより得られる。
前記酸化鉄粒子は、第一鉄塩および/または第二鉄塩を含む鉄塩水溶液と、アルカリ水溶液とを混合させた後、熟成し、洗浄することにより製造することができる。
前記鉄塩としては、硫酸塩、塩化物、硝酸塩等を挙げることができ、これらを適宜組み合わせて使用してもよい。また、それらの水和物を使用することができる。
前記アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水、アンモニア塩水溶液、および尿素水溶液を1つ以上用いることができるが、この限りではない。
前記酸化鉄は、平均粒径が5〜25nmである。
平均粒径5〜10nmの酸化鉄は、前記沈殿反応時の液中熟成反応温度を制御することで作製できる。また、平均粒径10〜25nmの酸化鉄の粒径制御は、酸化鉄超微粒子を添加した溶液中で、第一鉄イオンを含有する溶液を等量以上のアルカリ存在下で酸化することで作製できる。
本発明に係る粒子の平均粒径の測定方法は、得られた粉末を、Φ6mmのディスク型ケースに秤量し、融点50〜52℃のパラフィンを加え、ホットプレートで加熱し、パラフィンが融解したしたのち、パラフィンを放冷し固化させ、粉末を含むパラフィンを作製した。得られた粉末を含むパラフィンを、粉末の断面が出るように削り出し、その断面を磁場型電子顕微鏡(TEM、日本電子製JEM−2000FX)にて観察した。TEM観察像の中から1000個の粒子の円面積相当径を算出し、その平均を平均粒径とした。
酸化鉄製造後、結晶性改良や粒子形状制御のために、オートクレーブによる水熱処理など液中熟成反応を行ってもよい。
酸化鉄製造後、水溶液をろ過し、必要に応じて水洗等の洗浄処理を施すことで酸化鉄粒子を回収することができる。
前記酸化鉄粒子は、還元処理によって粒子同士が焼結することを抑制するために、粒子表面をSi化合物で被覆する。Si化合物としては、コロイダルシリカ、シランカップリング剤、シラノール化合物等が使用できる。
Si化合物の被覆量は、酸化鉄粒子に対しSi換算で0.1質量%以上20質量%以下である。0.1質量%未満の場合には熱処理時に粒子間の焼結を抑制する効果が十分得られないため、最終的に得られる窒化鉄系磁性粒子が大きくなる。20質量%を超える場合には熱処理時に粒子間の焼結を抑制する効果が過剰となり、最終的に得られる窒化鉄系磁性粒子が小さくなる。また、非磁性成分が増加することとなり好ましくない。より好ましい表面被覆量は0.15質量%以上15質量%以下、更により好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
前記酸化鉄粒子は、マグネタイト、γ−Fe、α−Fe、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH、FeOなどであるが、この限りではない。
前記酸化鉄粒子の粒子形状に特に限定はないが、球状、針状、粒状、紡錘状、直方体状などいずれでもよい。
次に、得られた酸化鉄粒子の還元処理を行い、鉄粒子を得る。還元処理の温度は200〜400℃である。還元処理の温度が200℃未満の場合には酸化鉄粒子が十分に還元されない。還元処理の温度が400℃を超える場合には酸化鉄粒子は十分に還元されるが、粒子間の焼結が進行するため好ましくない。より好ましくは230〜350℃である。
還元処理の時間は特に限定されないが、1〜96時間が好ましい。96時間を超えると還元温度によっては焼結が進み後段の窒化処理が進みにくくなってしまう。1時間未満では十分に還元が進行しない。より好ましくは2〜72時間である。
還元処理の雰囲気は、水素雰囲気である。
還元処理を行った後、窒化処理を行う。窒化処理に使用するアンモニアとホスフィンガスの混合ガス中に占めるホスフィンガスの割合を制御することにより、本発明の窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量を制御することができる。
窒化処理は、アンモニアガスとホスフィンガスの混合ガスを使用する。アンモニアガスとホスフィンガスの混合ガス中に占めるホスフィンガスの割合が、0.8〜29mol%が望ましい。0.8mol% 以下では前記Fe16相に含有されるPを0.1 %以下となり、PのFe16への侵入および置換の十分な効果が得られない。ホスフィンガスの割合が29 mol% を超える場合は、前記Fe16相に含有されるPが4.5 %超となり、Fe16の一部が不純物であるFePに変化してしまう。
窒化処理の温度は100〜200℃である。窒化処理の温度が100℃未満の場合には窒化処理が十分に進行しない。窒化処理の温度が200℃を超える場合には、窒化が過剰に進行するため、磁気特性が低下する。より好ましくは120〜180℃である。
窒化処理の時間は特に限定されないが、1〜48時間が好ましい。48時間を超えると窒化温度によっては磁気特性が低下する。1時間未満では十分な還元ができない場合が多い。より好ましくは3〜24時間である。
この時、窒化鉄系磁性粒子が、粒子表面に酸化鉄相を有していてもよい。
得られた窒化鉄系磁性粒子を十分に脱水した有機溶剤と混合し、さらに分散剤を添加し、窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを作製する。
前記有機溶剤にはヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等のアルカン類や、シクロヘキサノン、MEK等のケトン類等のいずれか一つ以上を用いた、単体液体もしくは混合液体を用いることができるが、この限りではない。
前記分散剤には、オレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルアミン等の何れか一つ以上を用いることができるが、この限りではない。
次に、得られた窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを任意の形状及びサイズの金型に投入し、3〜20kgf/cmの荷重をかけながら溶剤を揮発させ、相対密度60%以上の窒化鉄系磁石を作製する。
圧縮成形の荷重が3kgf/cm未満の場合は、窒化鉄系磁石の相対密度が60%未満となり、20kgf/cmより大きい場合は残留応力が大きくなるため窒化鉄系磁石にクラックが発生する。
溶剤を揮発させる際は、金型を50〜150℃に加熱することが好ましい。50℃未満の場合は、溶剤を十分に揮発させることができず、150℃以上ではFe16相の分解が始まり磁気特性が低下する。
さらに、溶剤を揮発させる際は、加熱に加え真空ポンプ等を用いて減圧することにより、より短時間で溶剤を揮発させることができる。前記真空ポンプはドライポンプやロータリーポンプを用いることができるがこの限りではない。
窒化鉄系磁石の形状は特に限定されるものではなく、用途に応じて、例えば平板状、柱状、断面形状がリング状等、変更することができる。また、得られた窒化鉄系磁石は、その表面上に酸化層や樹脂層等の劣化を防止するためにめっきや塗装を施すようにしてもよい。
次に、本発明に記載の窒化鉄系磁石について、実施例・比較例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)
1mol/Lの硫酸第一鉄水溶液600mLと、1mol/Lの塩化第二鉄水溶液300mLとを30℃で混合撹拌し、これに5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を500mL加えた後、液中熟成反応として70℃で一定となるように温度コントロールし、30分撹拌後、ろ別、水洗し、平均粒径10nmの酸化鉄スラリーを作製した。
前記酸化鉄スラリーに、テトラエトキシシラン2.5g、エタノール21g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル78gを添加し、Si被着処理を施した。この酸化鉄スラリーを85℃で24時間乾燥し、Feを含む酸化鉄粒子を作製した。
前記酸化鉄粒子2gを焼成ボートに入れ、熱処理炉に静置した。炉内に窒素ガスを充填した後、水素ガスを1L/minの流量で流しながら、5℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、48時間保持して還元処理を行った。その後、水素ガスの供給を止めて窒素ガスを2L/minの流量で流しながら140℃まで降温し、鉄粉末を作製した。
続いて,アンモニアガス198mL/min,ホスフィンガス2mL/minの混合ガスを流し,140℃で24時間窒化処理を行った。その後,窒素ガスを2L/minの流量で流しながら50℃まで降温し,空気置換を24時間実施し,窒化鉄系磁性粉末を作製した。
得られた窒化鉄系磁性粒子100gを十分に脱水したオクタン60gと混合し、さらに分散剤としてオレイルアミンを3g添加し、窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを作製した。
次に得られた窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーをΦ10mmの円柱形状の金型に投入し、10kgf/cmの荷重をかけながら溶剤を加熱及び減圧雰囲気で揮発させ、窒化鉄系磁石を作製した。この時、荷重方向に対して垂直方向に磁場をかけることにより、窒化鉄系磁石を磁気配向させた。
(実施例2)
アンモニアガスを188mL/min、ホスフィンガスを12mL/minとした以外は,実施例1と同様にして作製した。
(実施例3)
アンモニアガスを180mL/min、ホスフィンガスを20mL/minとした以外は,実施例1と同様にして作製した。
(実施例4)
アンモニアガスを169mL/min、ホスフィンガスを31mL/minとした以外は,実施例1と同様にして作製した。
(実施例5)
アンモニアガスを155mL/min、ホスフィンガスを45mL/minとした以外は,実施例1と同様にして作製した。
(実施例6)
アンモニアガスを142mL/min、ホスフィンガスを58mL/minとした以外は,実施例1と同様にして作製した。
(実施例7、8、9、10)
圧縮成形の荷重を3、5、15、20kgf/cmとした以外は、実施例4と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
(実施例11、12、13、14、)
テトラエトキシシランの添加量を1.0、2.0、3.0、3.5gとした以外は、実施例4と同様にして作製した。
(比較例1)
アンモニアガスを200mL/min、ホスフィンガスを0mL/minとした以外は,実施例1と同様にして作製した。
(比較例2)
アンモニアガスを199mL/min、ホスフィンガスを1mL/minとした以外は,実施例1と同様にして作製した。
(比較例3)
アンモニアガスを135mL/min、ホスフィンガスを65mL/minとした以外は,実施例1と同様にして作製した。
(比較例4)
圧縮成形の荷重を、1kgf/cmとした以外は、実施例4と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
このようにして得られた窒化鉄系磁石の構成相、相対密度、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を以下の手法により測定した。結果を表1に示す。
≪窒化鉄系磁石の構成相≫
得られた窒化鉄系磁石の構成相は、粉末X線回折装置(XRD、リガク製RINT−2500)及びメスバウアー分光分析装置により同定を行った。メスバウアー測定は、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で窒化鉄系磁石をラミネートパックに入れて封止した状態で行った。メスバウアースペクトルのピーク解析は、スペクトルを理想線型の足し合わせと仮定してカーブフィッティングを行い、ピーク位置を定めて各成分のピーク面積を算出した。ピークは左右対称のローレンツ型とし、成分毎のピーク半値幅はすべて等しく、対称位置にあるピーク高さはそれぞれ等しいと仮定した。
≪窒化鉄系磁石の相対密度≫
得られた窒化鉄系磁石の相対密度は、窒化鉄系磁石をアルキメデス法による磁石素体の密度測定を行い、Fe16相の理論密度に対しての相対密度として求めた。
≪窒化鉄系磁石の残留磁束密度及び保磁力≫
得られた窒化鉄系磁石の残留磁束密度と保磁力をB−Hトレーサー(東英工業製TRF−5BH)による減磁曲線の測定結果から求めた。残留磁束密度が350mT以上、かつ、保磁力が2.5kOe以上の窒化鉄系磁石を許容とした。
≪窒化鉄系磁石中の平均粒径測定≫
得られた窒化鉄系磁石を、窒化鉄系磁性粉末の断面が出るように削り出し、その断面を磁場型電子顕微鏡(TEM、日本電子製JEM−2000FX)にて観察した。TEM観察像の中から1000個の粒子の円面積相当径を算出し、その平均を平均粒径とした。
≪窒化鉄系磁石のP含有量測定≫
前記窒化鉄系磁石の断面を走査透過型電子顕微鏡によるエネルギー分散型X線分析装置(STEM−EDS、日本電子製JEM2100F)を用いて元素マッピングを行い、窒化鉄系磁性粉末粒子内におけるPの分布が均一であることを確認したのち、1000個の粒子について、鉄とPの元素比の平均値を算出した。さらに、前記メスバウアー分光分析の結果を用いて、鉄、窒素及びPの元素比を算出した。


Figure 0006485066
全ての実施例と比較例で、Fe16相が主相であることが確認された。
窒化鉄系磁石の相対密度が60%以上で、Pを0.1〜4.5at%含有していることにより、残留磁束密度が350mT以上、保磁力が2.5kOe以上であることが確認できた。
実施例1、2、3、4、5、6のように、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量が0.1at%、0.7at%、1.2at%、2.0at%、3.2at%、4.5at%、窒化鉄系磁石の相対密度が65%、平均粒径が42nm、39nm、38nm、41nm、40nm、43nmの場合、残留磁束密度が350mT以上、保磁力が2.5kOe以上であることが確認できた。
実施例7、8、9、10のように、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量が2.0at%、窒化鉄系磁石の相対密度が60at%、63at%、67at%、70at%、平均粒径が41nmの場合、残留磁束密度が350mT以上、保磁力が2.8kOe以上であることが確認できた。
実施例11、12、13、14のように、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量が2.0at%、窒化鉄系磁石の相対密度が65%、平均粒径が16、22、59、74の場合、残留磁束密度が360mT以上、保磁力が2.6kOe以上であることが確認できた。特に平均粒径が20〜60nmの範囲において、残留磁束密度が370mT以上、保磁力が2.8kOe以上と良好な保磁力が確認できた。
比較例1、2のように、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量が0at%、0.05at%、窒化鉄系磁石の相対密度が65%、平均粒径が42nmの場合、残留磁束密度が370mT、保磁力が2.3kOe、2.4kOeと、十分に高い保磁力を得ることができなかった。これは、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量が少なく、Fe16相の結晶格子歪みが十分でなかったためであると考えられる。
比較例3のように、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量が4.6%、窒化鉄系磁石の相対密度が65%、平均粒径が43nmの場合、残留磁束密度が320mT、保磁力が2.4kOeと、十分に高い残留磁束密度、保磁力を得ることができなかった。これは、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量が多く、不純物成分であるFePが過剰に生成して強磁性成分が減少したためであると考えられる。
比較例4のように、窒化鉄系磁石の相対密度が58%、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子のP含有量が2.0at%、平均粒径が41nmの場合、残留磁束密度が320mT、保磁力が2.8kOeと、十分に高い残留磁束密度を得ることができなかった。これは、窒化鉄系磁石の相対密度が低いために,磁石素体に含まれるFe16相が少なくなったためであると考えられる。
以上のように、本発明に係る、窒化鉄系磁石は、十分な残留磁束密度及び保磁力を有することから、レアアースを使用しない高性能磁石として有用である。

Claims (2)

  1. Fe16相を含む窒化鉄系磁石であり、前記窒化鉄系磁石の相対密度が60%以上であり、前記Fe 16 相についてPを0.1〜4.5at%含有している、窒化鉄系磁石。
  2. 前記窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒径が20nm〜60nmである、請求項1に記載の窒化鉄系磁石。
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