JP6500470B2 - 窒化鉄系磁石 - Google Patents

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本発明は、Fe16化合物相を主相とし、高い残留磁束密度かつ高い保磁力を有する窒化鉄系磁石を提供する。
近年、電気自動車やハイブリッド自動車などのモーター用磁石として、Nd−Fe−B系の磁石が広く使われている。しかしながら、Ndに代表されるレアアースは、産業分野を支える高付加価値な部材の原料であり、近年需要が拡大しているため、資源の枯渇や原料価格が不安定であることが懸念されている。さらには、途上国においても著しく需要が拡大していることや、その偏在性ゆえに特定の産出国への依存度が高いことから、安定供給確保に対する問題が生じている。
上記問題を回避するため、レアアースを使用しない、自然界に無尽蔵に存在する元素(鉄、窒素)から高性能磁石を開発することが求められている。
Fe−N系の化合物、特にFe16は、Feよりも巨大な飽和磁化を示す材料のひとつとして注目されている。
しかしながら、Fe16は200℃以上の温度で分解し、巨大な飽和磁化が消失することより、通常の焼結等のプロセスを経る緻密化したバルク磁石を作製することができない。このような問題があるため、例えば、特許文献1にあるように、Fe16を用いた磁石はボンド磁石として用いることが知られているが、ボンド磁石では、素体中のFe16の含有率を十分に上げることができないため、磁石が十分な残留磁束密度を有さないという問題があり、高性能なモーターに用いることができない。
特開2009−84115号公報
本発明は、上記を鑑みたものであり、高い残留磁束密度を有し、かつ高い保磁力を有する高性能な窒化鉄系磁石の提供を目的とする。
すなわち本発明は、Fe16相を含む窒化鉄系磁石であり、前記窒化鉄系磁石の相対密度が90〜100%であり、前記窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の形状が磁気配向方向に長い円板型異方形状であり、前記Fe16粒子の平均粒子長径/平均粒子短径であらわされる形状アスペクト比が2〜8である窒化鉄系磁石。
さらに、前記窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が30〜150nmである窒化鉄系磁石。
前記窒化鉄系磁石の相対密度を90%以上とすることで、磁石素体中の強磁性成分が多くなり良好な残留磁束密度を得ることができる。
前記窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の形状が円板型異方形状であるため、前記Fe16粒子が形状異方性を有し、前記Fe16粒子の形状アスペクト比を2〜8とすることで、良好な保磁力を得ることができる。
前記Fe16粒子の平均粒子長径を30〜150nmとすることで、窒化鉄系磁石がさらに良好な保磁力を得ることができる。
本発明によれば、Fe16相を含む窒化鉄系磁石がFe16粒子で構成されており、窒化鉄系磁石がFe16相の理論密度に対し十分高い相対密度を有するため、良好な残留磁束密度を得ることができる。さらに、前記Fe16粒子が形状異方性を有し、平均粒子長径/平均粒子短径であらわされる形状アスペクト比が2〜8であることにより、結晶磁気異方性に加え形状磁気異方性を有し、磁気配向処理を行うため、良好な保磁力を有する窒化鉄系磁石を得ることができる。
また、前記Fe16粒子の平均粒子長径が30〜150nmであることにより、さらに良好な保磁力を有する窒化鉄系磁石を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下に記載の実施形態及び実施例の内容により限定されるものではない。また、以下に記載の実施形態及び実施例にて示された構成要素は適宜組み合わせても良いし、適宜選択してもよい。
本実施形態に係る窒化鉄磁石は、主相がFe16粒子からなる。また、前記主相以外に、Fe、Fe及びFeO等の酸化鉄相を有していてもよい。
前記Fe16粒子が、Mn、Ni、Co、Ti、Zn等の遷移金属を含んでいてもよい。
本実施形態に係る窒化鉄系磁石は、相対密度が90〜100%である。前記窒化鉄系磁石の相対密度が90%未満の場合、磁石素体に含まれる磁性成分密度が低くなり、十分な残留磁束密度を有さない。さらに好ましくは、前記窒化鉄系磁石の相対密度が95〜100%である。
本実施形態に係る窒化鉄系磁石は、主相であるFe16粒子の形状が磁気配向方向に長い円板型異方形状である。前記Fe16粒子の形状が円板型異方形状であるため、圧縮成形時にFe16粒子が一方向に整列しやすくなるため、窒化鉄系磁石の相対密度を90%以上とすることができる。
本実施形態に係る窒化鉄系磁石は、前記Fe16粒子の平均粒子長径/平均粒子短径であらわされる形状アスペクト比が2〜8である。形状アスペクト比が2未満の場合は十分な形状異方性を得ることができないため、十分な保磁力を有さず、さらに圧縮成形時にFe16粒子が一方向に整列しにくくなるため、窒化鉄系磁石の相対密度が90%未満となってしまう。形状アスペクト比が8を超える場合はFe16粒子の結晶構造が歪むため、十分な保磁力を有さない。また好ましくは、前記Fe16粒子の平均粒子長径が30〜150nmである。前記平均粒子長径をこの範囲とすることで、単磁区臨界径以上の粒子の割合を小さくすることができ、より良好な保磁力を得ることができる。
本実施形態に係る窒化鉄系磁石の好適な製造法について述べる。本実施形態に係る窒化鉄系磁石は、酸化鉄粒子を合成した後、前記酸化鉄粒子に還元処理および窒化処理を順に施して得た窒化鉄系磁性粒子を圧縮成形することにより得られる。
前記酸化鉄粒子は、第一鉄塩および/または第二鉄塩を含む鉄塩水溶液と、アルカリ水溶液とを混合させた後、熟成し、洗浄することにより製造することができる。
前記鉄塩としては、硫酸塩、塩化物、硝酸塩等を挙げることができ、これらを適宜組み合わせて使用してもよい。また、それらの水和物を使用することができる。
前記アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水、アンモニア塩水溶液、および尿素水溶液を1つ以上用いることができるが、この限りではない。
また、酸化鉄製造後、結晶性改良や粒子サイズ、粒子形状制御のために、オートクレーブによる水熱処理など液中熟成反応を行ってもよい。
酸化鉄製造後、水溶液をろ過し、必要に応じて水洗等の洗浄処理を施すことで酸化鉄粒子を回収することができる。
前記酸化鉄粒子は、還元処理によって粒子同士が焼結することを抑制するために、粒子表面をSi化合物で被覆する。Si化合物としては、コロイダルシリカ、シランカップリング剤、シラノール化合物等が使用できる。
Si化合物の被覆量は、酸化鉄粒子に対しSi換算で0.1質量%以上20質量%以下である。0.1質量%未満の場合には熱処理時に粒子間の焼結を抑制する効果が十分得られないため、最終的に得られる窒化鉄系磁性粒子が大きくなる。20質量%を超える場合には熱処理時に粒子間の焼結を抑制する効果が過剰となり、最終的に得られる窒化鉄系磁性粒子が小さくなる。また、非磁性成分が増加することとなり好ましくない。より好ましい表面被覆量は0.15質量%以上15質量%以下、更により好ましくは0.2質量%以上10質量%以下である。
前記酸化鉄粒子は、平均粒子径は10nm以上150nm以下が好ましい。平均粒子径をこの範囲とすることで、最終的に得られる円板型異方形状のFe16粒子の平均粒子長径を30〜150nmとすることができる。
前記酸化鉄粒子は、マグネタイト、γ−Fe、α−Fe、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH、FeOなどである、この限りではない。
前記酸化鉄粒子の粒子形状に特は、球状、針状、粒状、紡錘状、直方体状などいずれでもよい。
次に、得られた酸化鉄粒子の還元処理を行い、鉄粒子を得る。還元処理の温度は200〜400℃である。還元処理の温度が200℃未満の場合には酸化鉄粒子が十分に還元されない。還元処理の温度が400℃を超える場合には酸化鉄粒子は十分に還元されるが、粒子間の焼結が進行するため好ましくない。より好ましくは230〜350℃である。
還元処理の時間は特に限定されないが、1〜96時間が好ましい。96時間を超えると還元温度によっては焼結が進み後段の窒化処理が進みにくくなってしまう。1時間未満では十分に還元が進行しない。より好ましくは2〜72時間である。
還元処理の雰囲気は、水素雰囲気である。
次に、得られた鉄粒子の窒化処理を行い、窒化鉄系磁性粒子を得る。窒化処理の温度は100〜200℃である。窒化処理の温度が100℃未満の場合には窒化が十分に進行しない。窒化処理の温度が200℃を超える場合には、窒化が過剰に進行するため、磁気特性が低下する。より好ましくは120〜180℃である。
窒化処理の時間は特に限定されないが、1〜48時間が好ましい。48時間を超えると窒化温度によっては磁気特性が低下する。1時間未満では十分な還元ができない場合が多い。より好ましくは3〜24時間である。
窒化処理の雰囲気は、NH雰囲気が望ましく、NHの他、N、Hなどを混合させてもよい。
この時、窒化鉄系磁性粒子が、粒子表面に酸化鉄相を有していてもよい。
得られた窒化鉄系磁性粒子を十分に脱水した有機溶剤と混合し、さらに分散剤を添加し、窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを作製する。
前記有機溶剤にはヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等のアルカン類や、シクロヘキサノン、MEK等のケトン類等のいずれか一つ以上を用いた、単体液体もしくは混合液体を用いることができるが、この限りではない。
前記分散剤には、オレイン酸、オレイルアミン、トリオクチルアミン等の何れか一つ以上を用いることができるが、この限りではない。
前記分散剤の添加量は、前記窒化鉄系磁性粒子に対して0.1質量%以上5質量%以下である。分散剤量をこの範囲にすることにより後段のカレンダー処理時に窒化鉄系磁性粒子の平均粒子長径/平均粒子短径であらわされる形状アスペクト比を制御することができる。
前記窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを、粒子カレンダー処理機で処理し、窒化鉄系磁性粒子を扁平させることにより、円板型異方形状の窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを作製する。
この時、前記粒子カレンダー処理機のカレンダー方向に対して垂直方向に磁場を印加する。磁場中で窒化鉄系磁性粒子が回転し、窒化鉄系磁性粒子の磁化容易軸方向と磁場印加方向が同一になる。これにより、磁化容易軸方向に長い円板型異方形状の窒化鉄系磁性粒子を作製することができる。
前記円板型異方形状の窒化鉄系磁性粒子の平均粒子長径/平均粒子短径であらわされる形状アスペクト比が2〜8となるようにする。前記スラリー中の分散剤量が窒化鉄系磁性粒子に対して0.1質量%未満の場合、カレンダー処理時に窒化鉄系磁性粒子の形状が著しく変形し、形状アスペクト比が8を超え、さらに窒化鉄磁性粒子同士の連結粒子を生成してしまうため、好ましくない。また、前記スラリー中の分散剤量が窒化鉄系磁性粒子に対して5質量%を超える場合、窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーの粘度が低下し、カレンダー処理時に窒化鉄系磁性粒子に対し圧力が十分にかからず、形状アスペクト比が2未満となり、窒化鉄系磁性粒子が十分な形状磁気異方性を有することができないため、好ましくない。
次に、得られた円板型異方形状の窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを任意の形状及びサイズの金型に投入し、3〜20kgf/cmの荷重をかけながら溶剤を揮発させ、相対密度90%以上の窒化鉄系磁石を作製する。より好ましくは、圧縮成形の荷重を10〜20kgf/cmとすることで、相対密度95%以上の窒化鉄系磁石を作製することができる。
圧縮成形の荷重が3kgf/cm未満の場合は、窒化鉄系磁石の相対密度が90%未満となり、20kgf/cmより大きい場合は残留応力が大きくなるため窒化鉄系磁石にクラックが発生する。
溶剤を揮発させる際は、金型を50〜150℃に加熱することが好ましい。50℃未満の場合は、溶剤を十分に揮発させることができず、150℃以上ではFe16相の分解が始まり磁気特性が低下する。
さらに、溶剤を揮発させる際は、加熱に加え真空ポンプ等を用いて減圧することにより、より短時間で溶剤を揮発させることができる。前記真空ポンプはドライポンプやロータリーポンプを用いることができるがこの限りではない。
窒化鉄系磁石の形状は特に限定されるものではなく、用途に応じて、例えば平板状、柱状、断面形状がリング状等、変更することができる。また、得られた窒化鉄系磁石は、その表面上に酸化層や樹脂層等の劣化を防止するためにめっきや塗装を施すようにしてもよい。
次に、本発明に記載の窒化鉄系磁石について、実施例・比較例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)まず、硫酸鉄七水和物(FeSO・7HO)167gと塩化鉄六水和物(FeCl・6HO)85gをイオン交換水に溶解し、鉄塩水溶液を作製した。2.5molアンモニア水溶液600gを30℃に保持し、先に調整した鉄塩水溶液を添加した後、液中熟成反応として70℃で一定となるように温度コントロールし、30分撹拌後、遠心分離機にて2Lのイオン交換水で3回洗浄を行い、酸化鉄スラリーを作製した。
前記酸化鉄スラリーに、テトラエトキシシラン2.5g、エタノール21g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル78gを添加し、Si被着処理を施した。この酸化鉄スラリーを85℃で24時間乾燥し、Feを含む酸化鉄粒子を作製した。
前記酸化鉄粒子2gを焼成ボートに入れ、熱処理炉に静置した。炉内に窒素ガスを充填した後、水素ガスを1L/minの流量で流しながら、5℃/minの昇温速度で250℃まで昇温し、48時間保持して還元処理を行った。その後、水素ガスの供給を止めて窒素ガスを2L/minの流量で流しながら140℃まで降温した。続いて、アンモニアガスを0.2L/minにて流しながら、140℃で24時間窒化処理を行った。その後、窒素ガスを2L/minの流量で流しながら50℃まで降温し、空気置換を24時間実施し、窒化鉄系磁性粒子を得た。
得られた窒化鉄系磁性粒子100gを十分に脱水したオクタン60gと混合し、さらに分散剤としてオレイルアミンを3g添加し、窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを作製した。得られた窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを粒子カレンダー処理機に投入し、窒化鉄系磁性粒子を扁平させ、円板型異方形状の窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを得た。この時、磁化容易軸方向に長い円板型異方形状の窒化鉄系磁性粒子を得るため、カレンダーロールの上下に電磁石による磁気回路を設置し、カレンダーの圧力方向に対して垂直方向に磁場を発生させた。
次に得られた円板型異方形状の窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーをΦ10mmの円柱形状の金型に投入し、3kgf/cmの荷重をかけながら溶剤を加熱及び減圧雰囲気で揮発させ、窒化鉄系磁石を作製した。この時、荷重方向に対して垂直方向に磁場をかけることにより、窒化鉄系磁石を磁気配向させた。アルキメデス法による密度測定の結果、窒化鉄系磁石の相対密度は90%であることがわかった。後段の観察方法により、前記窒化鉄磁石を構成する窒化鉄系磁性粒子は、円板型異方形状であり、平均粒子長径は約72nmで、粒子の平均粒子長径/平均粒子短径であらわされる形状アスペクト比は4.1であることがわかった。
(実施例2、3、4、5)圧縮成形の荷重を5、10、15、20kgf/cmとした以外は、実施例1と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
(実施例6、7、8、9)酸化鉄スラリーに添加するテトラエトキシシランの量を5.0、4.0、1.0、0.5gとした以外は、実施例3と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
(実施例10、11、12)酸化鉄スラリーに添加するテトラエトキシシランの量を4.0、2.5、1.0gとし、窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーに添加するオレイルアミンの量を5gとした以外は、実施例5と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
(実施例13、14、15)酸化鉄スラリーに添加するテトラエトキシシランの量を4.0、2.5、1.0gとし、窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーに添加するオレイルアミンの量を1gとした以外は、実施例3と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
(比較例1)圧縮成形の荷重を、1kgf/cmとした以外は、実施例1と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
(比較例2)窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーに添加するオレイルアミンの量を7gとした以外は、実施例5と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
(比較例3)窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーに添加するオレイルアミンの量を0.5gとした以外は、実施例3と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
(比較例4)窒化鉄系磁性粒子を含むスラリーを粒子カレンダー処理しなかった以外は、実施例5と同様の方法で窒化鉄系磁石を作製した。
このようにして得られた窒化鉄系磁石の構成相、相対密度、粒子長径、形状アスペクト比、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を以下の手法により測定した。結果を表1に示す。
≪窒化鉄系磁石の構成相≫
得られた窒化鉄系磁石の構成相は、粉末X線回折装置(XRD、リガク製RINT−2500)により同定を行った。
≪窒化鉄系磁石の相対密度≫
得られた窒化鉄系磁石の相対密度は、窒化鉄系磁石をアルキメデス法による磁石素体の密度測定を行い、Fe16相の理論密度に対しての相対密度として求めた。
≪窒化鉄系磁石中の粒子長径、形状アスペクト比≫
図1に示すとおり、得られた窒化鉄系磁石を、磁気配向方向2に対して垂直な方向に断面が出るように削り出した。得られた断面を磁場型電子顕微鏡(TEM、日本電子製JEM−2000FX)にて観察した。TEM観察像の中から1000個の粒子を選び、粒子の中心をとおる弦の長さが最も長い径3を粒子長径とし、粒子の中心をとおり粒子長径に対して垂直に交わる径4を粒子短径とし、それぞれの平均値を算出した。また、平均粒子長径/平均粒子短径で表される形状アスペクト比とした。J
≪窒化鉄系磁石の残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)≫
得られた窒化鉄系磁石の残留磁束密度Brと保磁力HcJをB−Hトレーサー(東英工業製TRF−5BH)による減磁曲線の測定結果から求めた。残留磁束密度Brが500mT以上、かつ、保磁力HcJが2.8kOe以上の窒化鉄系磁石を許容とした。
Figure 0006500470
全ての実施例と比較例で、Fe16相が主相であることが確認された。
実施例1、2、3、4、5のように、窒化鉄系磁石の相対密度が90%、93%、95%、97%、99%、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が72nm、アスペクト比が4.1の場合、残留磁束密度(Br)が510mT以上、保磁力(HcJ)が3.0kOe以上であることが確認できた。また、相対密度が95%以上である実施例3、4、5において、残留磁束密度(Br)が580mT以上となり、さらに高い残留磁束密度がられた。
実施例6、7、3、8、9のように、窒化鉄系磁石の相対密度が95%、前記窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が24nm、31nm、72nm、148nm、155nm、アスペクト比が4.1、4.3、4.1、4.2、4.3の場合、残留磁束密度(Br)が570mT以上、保磁力(HcJ)が2.8kOe以上であることが確認できた。特に平均粒子長径が30〜150nmの範囲にある場合、残留磁束密度(Br)が580mT以上、保磁力(HcJ)が3.1kOe以上の良好な特性が得られた。
実施例10、11、12のように、窒化鉄系磁石の相対密度が95%、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が32nm、68nm、148nm、アスペクト比が2.1、2.2、2.1の場合、残留磁束密度(Br)が580mT、保磁力(HcJ)が3.0kOe以上であることが確認できた。
実施例13、14、15のように、窒化鉄系磁石の相対密度が95%、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が35nm、74nm、150nm、アスペクト比が8.0、7.8、7.8の場合、残留磁束密度(Br)が580mT、保磁力(HcJ)が3.1kOe以上であることが確認できた。
比較例1のように、窒化鉄系磁石の相対密度が89%、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が72nm、アスペクト比が4.1の場合、残留磁束密度(Br)が490mT、保磁力(HcJ)が3.5kOeと、十分に高い残留磁束密度を得ることができなかった。これは、磁石素体に含まれるFe16相が少ないためであると考えられる。
比較例2のように窒化鉄系磁石の相対密度が87%、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が68nm、アスペクト比が1.7の場合、残留磁束密度(Br)が470mT、保磁力(HcJ)が2.8kOeと、十分に高い残磁束密度と保磁力を得ることができなかった。これは、窒化鉄系磁石中のFe16粒子のアスペクト比が2未満では、圧縮成形時にFe16粒子が一方向に整列しにくくなるため、窒化鉄系磁石の相対密度が90%未満となってしまい、残留磁束密度が低下し、さらに、Fe16粒子が十分な形状異方性を有さないため、保磁力が低下したと考えられる。
比較例3のように窒化鉄系磁石の相対密度が95%、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が73nm、アスペクト比が8.3の場合、残留磁束密度(Br)が580mT、保磁力(HcJ)が2.8kOeと、十分に高い保磁力を得ることができなかった。これは窒化鉄系磁石中のFe16粒子のアスペクト比が8を超える場合では、窒化鉄系磁石中のFe16粒子の結晶構造が歪むため、保磁力が低下したと考えられる。
比較例4のように窒化鉄系磁石の相対密度が70%、窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が71nm、アスペクト比が1の場合、残留磁束密度(Br)が380mT、保磁力(HcJ)が2.5kOeと、十分に高い残留磁束密度と保磁力を得ることができなかった。これは窒化鉄系磁石中のFe16粒子の形状が円板型異方形状でないため、圧縮成形時にFe16粒子が球状粒子の最密充填構造しか形成できず、窒化鉄系磁石の相対密度が90%未満となってしまい、残留磁束密度が低下し、さらに、Fe16粒子が形状異方性を有さないため、保磁力が低下したと考えられる。
以上のように、本発明に係る、窒化鉄系磁石は、十分な残留磁束密度及び保磁力を有することから、レアアースを使用しない高性能磁石として有用である。
本発明に従う、窒化鉄系磁石を磁気配向方向に対して垂直な方向に削り出した断面の概略図である。
1 窒化鉄系磁性粒子
2 磁気配向方向
3 粒子長径
4 粒子短径

Claims (2)

  1. Fe16相を含む窒化鉄系磁石であり、前記窒化鉄系磁石の相対密度が90〜100%であり、前記窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の形状が磁気配向方向に長い円板型異方形状であり、
    前記磁気配向方向に対して垂直な断面において、前記Fe 16 粒子の中心をとおる弦の長さが最も長い径を粒子長径、前記Fe 16 粒子の中心をとおり前記粒子長径に対して垂直に交わる径を粒子短径として、前記Fe16粒子の平均粒子長径/平均粒子短径であらわされる形状アスペクト比が2〜8である、窒化鉄系磁石。
  2. 前記窒化鉄系磁石を構成するFe16粒子の平均粒子長径が30〜150nmである、請求項1に記載の窒化鉄系磁石。
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