一般式(1)において、R1は、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は炭素数6〜13のアリール基を表す。炭素数1〜13のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2級ペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、2級ヘキシル基、ヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、2級オクチル基、ノニル基、2級ノニル基、デシル基、2級デシル基、ウンデシル基、2級ウンデシル基、ドデシル基、2級ドデシル基、トリドデシル基、イソトリドデシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2,2,4,4−テトラメチルペンチル基等が挙げられる。炭素数5〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、プソイドクミル基、t−ブチルフェニル基、フェニルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。R1としては、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂のエマルションへのMFT低減効果が大きいことから、aが0の数の場合には、炭素数4〜10のアルキル基が好ましく、炭素数8〜9のアルキル基がより好ましく、オクチル基、ノニル基、2−エチルヘキシル基、2,2,4,4−テトラメチルペンチル基が更に好ましく、2−エチルヘキシル基が最も好ましい。また、aが1〜2の数の場合には、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、ブチル基が更に好ましい。
一般式(1)のR2は、炭素数2〜3のアルキレン基を表す。炭素数2〜3のアルキレン基としては、1,2−エタンジイル基、1,3−プロパンジイル基、1−メチル−1,2−エタンジイル基、2−メチル−1,2−エタンジイル基が挙げられ、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂のエマルションへのMFT低減効果が大きく、エマルションへの混和性が良好であることから、1,2−エタンジイル基が好ましい。
一般式(1)のaは0〜2の数を表す。R2は、炭素数2〜3のアルキレン基を表す。aとしては、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂のエマルションへのMFT低減効果が大きいことから、0の数が好ましい。
一般式(1)のR3〜R7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、R1で開示した基のうち、炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。R3〜R7としては、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂のエマルションへのMFT低減効果が大きいことから、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子が更に好ましい。R3〜R7のいずれかが水素原子以外の基である場合は、R3〜R7のうち1つのみが水素原子以外の基で、他の4つは水素原子であることが好ましい。この場合、水素原子以外の基は、カルボニル基に対してオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよい。
本発明の成膜助剤は、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂のエマルションに対して、MFT低減効果が大きく、少量の添加でもMFTを大きく低下させることが可能である。このため、(A)成分としてシリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂と(B)成分として本発明の成膜助剤を含有するエマルション組成物は、MFTが低く、(A)成分から得られる塗膜の物性への悪影響が少ない塗膜を得ることができる。
〔シリコーン系樹脂エマルション〕
本発明において、シリコーン系樹脂エマルションとはシリコーン系樹脂のエマルションをいい、シリコーン系樹脂とは、シロキサン結合を有し、ケイ素原子の含量が少なくとも1質量%である樹脂をいう。シリコーン系樹脂としては、シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂、シリコーン変性アルキッド樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等が挙げられる。
〔シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂〕
シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂としては、シラノール基含有シロキサン化合物やラジカル重合性基含有シロキサン化合物の重合物を主成分(少なくともこれらの化合物を50質量%で構成される)とする樹脂が挙げられる。シリコーン系樹脂エマルションのシリコーン系樹脂に使用されるシラノール基含有シロキサン化合物は、下記の一般式(2)で表すことができる。
(R8)bSi(OH)cO(4−b−c)/2 (2)
(式中、R8は、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は炭素数6〜13のアリール基を表し、bは0.5〜1.8の数を表し、cは0.01〜1.3の数を表す。)
一般式(2)において、R8は、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は炭素数6〜13のアリール基を表し、このような基としては、一般式(1)のR1で、例示した基が挙げられる。R8としては、耐候性に優れた塗膜が得られることからメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基が好ましく、メチル基、フェニル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。R8は1種の基のみでもよいし、2種以上の組合せでもよい。R8が2種以上の組合せである場合は、R8中のメチル基の含量が、モル比で50%以上であることが好ましい。bは0.5〜1.8の数を表す。bが0.5よりも小さい場合は塗膜の硬度が硬くなりすぎて塗膜にクラックが入る場合があり、1.8よりも大きい場合は塗膜が軟らかすぎる場合がある。bは0.5〜1.8の数を表し、bが0.5よりも小さい場合は塗膜の硬度が硬くなりすぎて塗膜にクラックが入る場合があり、1.8よりも大きい場合は塗膜が軟らかくなりすぎる場合がある。bは0.6〜1.5の数が好ましく、0.65〜1.3が更に好ましい。cは0.01〜1.3の数を表す。cが0.01よりも小さい場合及び1.3よりも大きい場合は塗膜の硬化性が不良となる場合がある。cは0.02〜1.2が好ましく、0.03〜1.1が更に好ましい。
一般式(2)で表されるシロキサン化合物は、下記一般式(2a)〜(2c)のシラン化合物を公知の方法により加水分解・縮合することにより得ることができる。
R8SiX1 3 (2a)
(R8)2SiX1 2 (2b)
(R8)3SiX1 (2c)
(式中、R8は一般式(2)と同義であり、X1は塩素原子、臭素原子又は加水分解性基を表す。)
一般式(2a)〜(2c)において、R8は一般式(2)と同義であり、X1は塩素原子、臭素原子又は加水分解性基を表す。加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。X1は加水分解の反応性、工業的な価格等を考慮し決定すればよい。
ラジカル重合性基含有シロキサン化合物としては、ビニルヘプタメチルテトラシロキサン、ジビニルヘキサメチルテトラシロキサン、トリビニルペンタメチルテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルテトラシロキサン等のビニル基含有環状シロキサン化合物;1,3−ジビニルテトラメチルトリシロキサン、1,5−ジビニルヘキサメチルトリシロキサン、1,7−ジビニルオクタメチルテトラシロキサン、α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン等の両末端ビニルシロキサン化合物;1,3−ビス(2−(メタ)アクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン等の両末端3−(メタ)アクリロキシプロピルシロキサン化合物;ラジカル重合性基を有するシラノール基含有シロキサン化合物、ビニル基含有環状シロキサン化合物の開環反応物、環状シロキサン化合物と、加水分解性基とラジカル重合性基を有するシラン化合物との反応物等が挙げられる。
ラジカル重合性基を有するシラノール基含有シロキサン化合物は、シラノール基含有シロキサン化合物に、ラジカル重合性基と加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解・縮合反応させたり、一般式(2a)〜(2c)のシラン化合物とラジカル重合性基と加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解・縮合反応させることにより製造することができる。ラジカル重合性基と加水分解性基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルエチルジメトキシシラン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。加水分解・縮合反応の方法は公知の方法に従えばよい。
ビニル基含有環状シロキサン化合物を開環反応する場合は、公知の方法によればよいが、水分散性に優れた反応物が得られることから、ビニル基含有環状シロキサン化合物を界面活性剤で乳化し、酸触媒で反応させることが好ましく、酸触媒としては、水分散性に優れた反応物が得られることから、アルキルベンゼンスルホン酸及び長鎖アルキルスルホン酸が好ましい。反応物のビニル含有があまりに多い場合には、塗膜の物性が低下する場合があることから、反応物のビニル基含量を調整する目的でビニル基含有環状シロキサン化合物の一部を、ラジカル反応性基を有しない環状シロキサン化合物に置換えて反応をおこなってもよい。ラジカル反応性基を有しない環状シロキサン化合物としては、オクタメチルテトラシロキサン、フェニルペンタメチルテトラシロキサン、ジフェニルヘキサメチルテトラシロキサン、テトラフェニルテトラメチルテトラシロキサン等が挙げられる。
環状シロキサン化合物と、加水分解性基とラジカル重合性基を有するシラン化合物とを反応させる場合は、公知の方法によればよいが、水分散性に優れた反応物が得られることから、環状シロキサン化合物と、加水分解性基とラジカル重合性基を有するシラン化合物とを界面活性剤で乳化し、酸触媒で反応させることが好ましく、酸触媒としては、水分散性に優れた反応物が得られることから、アルキルベンゼンスルホン酸及び長鎖アルキルスルホン酸が好ましい。
ラジカル重合性基含有シロキサン化合物を重合する方法は限定されず、公知の方法によればよいが、分散安定性のよい重合物が得られることから乳化重合により重合することが好ましい。
〔シリコーン変性アルキッド樹脂〕
シリコーン変性アルキッド樹脂としては、アルキッド樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を配合又は反応させた樹脂等が挙げられる。シラノール基含有シロキサン化合物としては、シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂で例示した化合物が挙げられる。アルキッド樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を配合する場合は、アルキッド樹脂の水分散物にシラノール基含有シロキサン化合物を配合すればよい。アルキッド樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を反応させる場合は、アルキッド樹脂の製造中又は製造後に、シラノール基含有シロキサン化合物を添加し脱水反応させ、その後に水に分散させればよい。
〔シリコーン変性エポキシ樹脂〕
シリコーン変性エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を配合した樹脂、エポキシ樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を反応した樹脂、エポキシ樹脂にエポキシ基を含有するシロキサン化合物を配合した樹脂、アリル基含有エポキシ樹脂にヒドロシリル基含有シロキサン化合物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂にカルボキシル基又はフェノール基含有シロキサン化合物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂にアミノ基含有シロキサン化合物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤としてアミノ基含有シロキサン化合物を使用した樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を配合する場合は、エポキシ樹脂の水分散物にシラノール基含有シロキサン化合物を配合すればよい。シラノール基含有シロキサン化合物としては、シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂で例示した化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を反応する場合は、エポキシ樹脂とシラノール基含有シロキサン化合物を常法(例えば、特開昭56−103224号公報等)により反応した後、水に分散すればよい。シラノール基含有シロキサン化合物としては、シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂で例示した化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂にエポキシ基を含有するシロキサン化合物を配合する場合は、エポキシ樹脂とエポキシ基を含有するシロキサン化合物とを混合し、水に分散すればよい。エポキシ基を含有するシロキサン化合物としては、下記一般式(3)で表されるシロキサン化合物、下記一般式(4)で表されるシロキサン化合物、エポキシ基を有するシラノール基含有シロキサン化合物等が挙げられる。
(式中、Eはエポキシ含有基を表し、R9〜R11はメチル基又はフェニル基を表し、dは1〜6の数を表し、eは0〜5の数を表す。但し、d+eは4〜6の数である。)
(式中、Eはエポキシ含有基を表し、R12〜R16はメチル基又はフェニル基を表し、X2はメチル基、フェニル基又はエポキシ含有基を表し、gは0〜100の数を表し、hは0〜1000の数を表す。但し、gが0の場合、X2はエポキシ含有基を表す。)
一般式(3)において、Eはエポキシ含有基を表す。エポキシ含有基としては、3,4−エポキシブチル基、3−グリシジロキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、2−(グリシドキシフェニル)エチル基、3−(グリシドキシフェニル)プロピル基等が挙げられる。R9〜R11はメチル基又はフェニル基を表す。dは1〜6の数を表し、eは0〜5の数を表すが、d+eは4〜6の数である。
一般式(4)において、Eはエポキシ含有基を表す。エポキシ含有基としては、一般式(3)で例示した基が挙げられる。R12〜R16はメチル基又はフェニル基を表し、gは0〜100の数を表し、hは0〜1000の数を表す。X2はメチル基、フェニル基又はエポキシ含有基を表すが、gが0の場合はエポキシ含有基を表す。
エポキシ基を有するシラノール基含有シロキサン化合物は、シラノール基含有シロキサン化合物に、エポキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解・縮合反応させたり、一般式(2a)〜(2c)のシラン化合物と、エポキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解・縮合反応させたりすることにより製造することができる。エポキシ基と加水分解性基を有するシラン化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、ビス(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、ビス(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)ジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、ビス(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、ビス(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)ジエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。加水分解・縮合反応の方法は公知の方法に従えばよい。
アリル基含有エポキシ樹脂にヒドロシリル基含有シロキサン化合物を反応する場合は、アリル基含有エポキシ樹脂とヒドロシリル基含有シロキサン化合物とをヒドロシリル化触媒を用いて常法により反応した後、水に分散すればよい。アリル基含有エポキシ樹脂としては、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ基や3−(2−アリルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ基を有するエポキシ樹脂(例えば、特開2004−359855号公報)が挙げられる。ヒドロシリル基を含有するシロキサン化合物としては、下記一般式(5)で表されるシロキサン化合物、下記一般式(6)で表されるシロキサン化合物等が挙げられる。
(式中、R17〜R19はメチル基又はフェニル基を表し、iは1〜6の数を表し、jは0〜5の数を表す。但し、i+jは4〜6の数である。)
(式中、R20〜R24はメチル基又はフェニル基を表し、X3はメチル基、フェニル基又は水素原子を表し、kは0〜100の数を表し、mは0〜1000の数を表す。但し、kが0の場合、水素原子を表す。)
一般式(5)において、R17〜R19はメチル基又はフェニル基を表す。iは1〜6の数を表し、jは0〜5の数を表すが、i+jは4〜6の数である。
一般式(6)において、R20〜R24はメチル基又はフェニル基を表し、kは0〜100の数を表し、mは0〜1000の数を表す。X3はメチル基、フェニル基又は水素原子を表すが、kが0の場合は水素原子を表す。
エポキシ樹脂にカルボキシル基又はフェノール基含有シロキサン化合物を反応させる場合は、エポキシ樹脂とカルボキシル基又はフェノール基含有シロキサン化合物とを、酸触媒を用いて常法により反応した後、水に分散すればよい。カルボキシル基又はフェノール基含有シロキサン化合物としては、下記一般式(7)で表されるシロキサン化合物、下記一般式(8)で表されるシロキサン化合物等が挙げられる。
(式中、Aはカルボキシル含有基又はフェノール含有基を表し、R25〜R27はメチル基又はフェニル基を表し、nは1〜6の数を表し、oは0〜5の数を表す。但し、n+oは4〜6の数である。)
(式中、Aはカルボキシル含有基又はフェノール含有基を表し、R28〜R32はメチル基又はフェニル基を表し、X4はメチル基、フェニル基、カルボキシル含有基又はフェノール含有基を表し、pは0〜100の数を表し、qは0〜1000の数を表す。但し、pが0の場合、カルボキシル含有基又はフェノール含有基を表す。)
一般式(7)において、Aはカルボキシル含有基又はフェノール含有基を表す。カルボキシル含有基としては、2−カルボキシエチル基、2−カルボキシプロピル基等が挙げられる。フェノール含有基としては、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基、3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル基、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル基等が挙げられる。R25〜R27はメチル基又はフェニル基を表し、nは1〜6の数を表し、oは0〜5の数を表す。但し、n+oは4〜6の数である。
一般式(8)において、Aはカルボキシル含有基又はフェノール含有基を表す。カルボキシル含有基及びフェノール含有基としては一般式(8)のAで例示した基が挙げられる。R28〜R32はメチル基又はフェニル基を表し、pは0〜100の数を表し、qは0〜1000の数を表す。X4はメチル基、フェニル基、カルボキシル含有基又はフェノール含有基を表すが、pが0の場合はカルボキシル含有基又はフェノール含有基を表す。
エポキシ樹脂にアミノ基含有シロキサン化合物を反応する場合は、エポキシ樹脂とアミノ基含有シロキサン化合物とを常法により反応した後、水に分散すればよい。アミノ基含有シロキサン化合物としては、3−アミノプロピルヘプタメチルテトラシロキサン、ビス(3−アミノプロピル)ヘキサメチルテトラシロキサン、トリス(3−アミノプロピル)ペンタメチルテトラシロキサン、テトラキス(3−アミノプロピル)テトラメチルテトラシロキサン等のアミノ基含有環状シロキサン化合物;1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルトリシロキサン、1,5−ビス(3−アミノプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、1,7−ビス(3−アミノプロピル)オクタメチルテトラシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン等の両末端アミノ基シロキサン化合物;アミノ基を有するシラノール基含有シロキサン化合物等が挙げられる。
アミノ基を有するシラノール基含有シロキサン化合物は、シラノール基含有シロキサン化合物に、アミノ基と加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解・縮合反応させたり、一般式(2a)〜(2c)のシラン化合物と、アミノ基と加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解・縮合反応させたりすることにより製造することができる。アミノ基と加水分解性基を有するシラン化合物としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシシラン、ビス(3−アミノプロピル)ジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(3−アミノプロピル)ジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、ビス(3−(2−アミノエチル)アミノプロピル)ジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(3−(2−アミノエチル)アミノプロピル)ジエトキシシラン等が挙げられる。加水分解・縮合反応の方法は公知の方法に従えばよい。
エポキシ樹脂の硬化剤としてアミノ基含有シロキサン化合物を使用する場合は、エポキシ樹脂の硬化剤の一部又は全部をアミノ基含有シロキサン化合物に置換えてを使用すればよい。
〔シリコーン変性アクリル樹脂〕
シリコーン変性アクリル樹脂としては、アクリル樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を配合した樹脂、アクリル樹脂に加水分解性シラン化合物を添加し、加水分解・縮合させた樹脂、アクリル樹脂にラジカル重合性基含有シロキサン化合物を添加し重合させた樹脂、シラノール基含有シロキサン化合物にラジカル重合性モノマーを添加し重合させた樹脂、ラジカル重合性モノマーとラジカル重合性基含有シロキサン化合物を共重合させた樹脂、ラジカル重合性基含有シロキサン化合物を重合させた後、ラジカル重合性モノマーを添加し重合させた樹脂、及びこれらを組み合わせた樹脂等が挙げられる。本発明の成膜助剤によるMFTの低減効果が大きいことから、これらのシリコーン系樹脂の中でも、アクリルシリコーン樹脂が好ましく、アクリル樹脂にラジカル重合性基含有シラン化合物を添加し重合させた樹脂、ラジカル重合性基含有シロキサン化合物を重合させた後、ラジカル重合性モノマーを添加し重合させた樹脂が更に好ましい。
アクリル樹脂にシラノール基含有シロキサン化合物を配合する場合は、アクリル樹脂の水分散物にシラノール基含有シロキサン化合物を配合すればよい。シラノール基含有シロキサン化合物としては、シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂で例示した化合物が挙げられる。
アクリル樹脂に加水分解性シラン化合物を添加し、加水分解・縮合させる場合は、アクリル樹脂の水分散物に加水分解性シラン化合物を添加し、常法により加水分解・縮合させればよい。加水分解性シラン化合物としては、前記一般式(2a)〜(2c)のシラン化合物が挙げられる。
アクリル樹脂にラジカル重合性基含有シロキサン化合物を添加し重合させる場合は、アクリル樹脂の水分散物にラジカル重合性基含有シロキサン化合物を添加し、常法により重合させればよい。ラジカル重合性基含有シロキサン化合物としては、前記シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂で例示した化合物が挙げられる。
シラノール基含有シロキサン化合物にラジカル重合性モノマーを添加し重合させる場合は、シラノール基含有シロキサン化合物を水に分散させ、常法によりラジカル重合性モノマーを乳化重合すればよい。シラノール基含有シロキサン化合物としては、シリコーンが主成分であるシリコーン樹脂で例示した化合物が挙げられる。ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸ジブチル等が挙げられる。
ラジカル重合性モノマーとラジカル重合性基含有シロキサン化合物を重合する場合は、ラジカル重合性モノマーとラジカル重合性基含有シロキサン化合物を混合して、常法により乳化重合するか、ラジカル重合性基含有シロキサン化合物の乳化物にラジカル重合性モノマーを添加して、常法により乳化重合すればよい。ラジカル重合性基含有シロキサン化合物を重合させた後、ラジカル重合性モノマーを添加し重合する場合は、ラジカル重合性基含有シロキサン化合物の乳化物をラジカル重合させた後、ラジカル重合性モノマーを添加して、常法により乳化重合すればよい。
シリコーン系樹脂エマルションのシリコーン系樹脂としては、エマルションの安定性に優れ、(B)成分によるMFTの低下が大きいことからアクリルシリコーン樹脂が好ましく、ラジカル重合性モノマーとラジカル重合性基含有シロキサン化合物を共重合させた樹脂、ラジカル重合性基含有シロキサン化合物を重合させた後、ラジカル重合性モノマーを添加し重合させた樹脂が更に好ましい。
〔フッ素系樹脂エマルション〕
フッ素系樹脂エマルションとは、フッ素系樹脂のエマルションをいい、フッ素系樹脂とは、重合性フッ素系モノマーを重合させて得られる樹脂をいう。重合性フッ素系モノマーとしては、1,1−ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。フッ素系樹脂としては、重合性フッ素系モノマーの重合物、重合性フッ素系モノマーとビニルエーテル類との共重合物、重合性フッ素系モノマーとビニルエステル類との共重合物、重合性フッ素系モノマーを重合した後にラジカル重合性モノマーを重合させた重合物、ラジカル重合性モノマーを重合させた後に重合性フッ素系モノマーを重合させた重合物等が挙げられる。
なお、上記のフッ素系樹脂は樹脂中にフッ素原子を少なくとも0.2質量%含むことが好ましい。
重合性フッ素系モノマーと重合可能なビニルエーテル類としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。
重合性フッ素系モノマーと重合可能なビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、t−ブチル安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル等が挙げられる。
重合性フッ素系モノマーの重合及び、重合性フッ素系モノマーとビニルエーテル類又はビニルエステル類との共重合は、常法により乳化重合すればよい。
本発明のエマルション組成物において、(A)成分と(B)成分の含量の比が、あまりに小さい場合にはMFTの低下が少なく、あまりに多い場合には、他の物性への悪影響があることから、(A)成分中の樹脂成分100質量部に対する(B)成分の含量が0.5〜20質量部であることが好ましく、2〜17質量部であることが更に好ましく、3〜15質量部であることが最も好ましい。
樹脂を含むエマルションを塗料として使用する場合には、適度な粘度と粘性を必要とすることから、粘性調整剤の使用が配合される。粘性調整剤としては、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース等の天然系の粘性調整剤、ポリアクリル酸やポリアクリル酸含有コポリマー等のアルカリで増粘するタイプのアルカリ増粘型粘性調整剤、ウレタン変性ポリエーテル等のウレタン型粘性調整剤等が知られている。本発明のエマルション組成物では、(A)成分と(B)成分に加えて、粘性調整剤を配合する場合は、耐水性の低下が少ないことから、(C)成分として、ウレタン型粘性調整剤を配合することが好ましい。ウレタン型粘性調整剤の中でも、粘度や粘性の調整効果に優れることから、下記の一般式(9)又は一般式(10)で表されるウレタン型粘性調整剤が好ましい。
(式中、R33は炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基を表し、R34及びR36はそれぞれ炭素数2〜3のアルキレン基を表し、R35はジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を表し、rは3〜30の数を表し、sは5〜500の数を表し、tは0〜8の数を表す。)
(式中、R37は、炭素数1〜36の1〜2価のヒドロキシ化合物からヒドロキシ基を除いた残基を表し、R38は炭素数2〜3のアルキレン基を表し、R39はモノイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を表し、uは20〜800の数を表し、vは1〜2の数を表わす)
一般式(9)において、R33は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基又は炭素数6〜24のアリール基を表す。炭素数1〜36のアルキル基としては、R1で例示したアルキル基に加えて、トリデシル基、イソトリデシル基、2級トリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、2級テトラデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、2級ヘキサデシル基、ステアリル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、トリアコンチル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、モノメチル分枝−イソステアリル基等のアルキル基等が挙げられる。炭素数5〜12のシクロアルキル基としては、R1で例示したシクロアルキル基が挙げられる。炭素数6〜24のアリール基としては、R1で例示したアリール基に加えて、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ジノニルフェニル基、クミルフェニル基、スチレン化フェニル基等が挙げられる。R33としては、増粘効果が大きいことから、炭素数10〜30のアルキル基及び炭素数10〜24のアリール基が好ましく、炭素数12〜24のアルキル基及び炭素数14〜20のアリール基が更に好ましい。
R34及びR36はそれぞれ炭素数2〜3のアルキレン基を表す。炭素数2〜3のアルキレン基としてはR2で例示したアルキレン基が挙げられる。R34及びR36としては増粘効果が大きいことから、1,2−エタンジイル基が好ましく、1,2−エタンジイル基と他のアルキレン基の混合である場合には、1,2−エタンジイル基の割合が少なくとも50質量%であることが好ましい。
一般式(9)において、R35はジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を表す。ジイソシアネート化合物としては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;
メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアネート、2,5,2',5'−テトラメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4−イソシアントフェニル)メタン、3,3'−ジメトキシジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジメトキシジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、4,4'−ジエトキシジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチル−5,5'−ジメトキシジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、3,3'−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3'−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;
水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。
R35としては増粘効果が大きいことから、脂肪族ジイソシアネート化合物の残基及び脂環族ジイソシアネート化合物の残基が好ましく、脂肪族ジイソシアネート化合物の残基がより好ましく、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネート化合物の残基が更に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートの残基が最も好ましい。
一般式(10)において、R37は、炭素数1〜36の1〜2価のヒドロキシ化合物からヒドロキシ基を除いた残基を表す。炭素数1〜36の1〜2価のヒドロキシ化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、2級ドデカノール、2−ブチルオクタノール、トリデカノール、イソトリデカノール、2級トリデカノール、テトラデカノール、2級テトラデカノール、ヘキサデカノール、2級ヘキサデカノール、2−ヘキシルデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、2−デシルテトラデカノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、2−ドデシルヘキサデカノール、トリアコンタノール、ドトリアコンタノール、2−テトラデシルオクタデカノール、テトラトリアコンタノール、ヘキサトリアコンタノール、2−ヘキサデシルエイコサノール、アリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の1価アルコール化合物;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の2価アルコール化合物;
フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ターシャルブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、パラクミルフェノール等の1価フェノール化合物;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の2価フェノール化合物等が挙げられる。R37としては、増粘効果が大きいことから、2価アルコール化合物の残基が好ましく、エチレングリコール及びプロピレングリコールの残基が更に好ましい。
R38は炭素数2〜3のアルキレン基を表す。炭素数2〜3のアルキレン基としてはR2で例示したアルキレン基が挙げられる。R38としては増粘効果が大きいことから、1,2−エタンジイル基が好ましく、1,2−エタンジイル基と他のアルキレン基の混合である場合には、1,2−エタンジイル基の割合が少なくとも50質量%であることが好ましい。
R39はモノイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を表す。モノイソシアネート化合物としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、t−ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等の脂肪族モノイソシアネート化合物;シクロヘキシルイソシアネート等の脂環族モノイソシアネート化合物;フェニルイソシアネート、メチルフェニルイソシアネート、イソプロピルフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、メチルベンジルイソシアネート等の芳香族モノイソシアネート化合物等が挙げられる。R39としては、増粘効果が大きいことから、脂肪族モノイソシアネート化合物の残基が好ましく、炭素数13〜20の脂肪族モノイソシアネート化合物の残基が更に好ましく、オクタデシルイソシアネートの残基が最も好ましい。
uは20〜800、好ましくは100〜300の数を表し、vは1〜2の数を表わす。
(C)成分の含量は、塗料としての適正な粘度や粘性が得られることから、エマルション組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることが更に好ましい。
本発明のエマルション組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で公知の添加剤、例えば、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カオリンなどの白色顔料;カーボンブラック、ベンガラ、シアニンブルーなどの有色系顔料などの顔料;酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、防腐防菌剤、殺虫殺菌剤、溶剤、可塑剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、消臭剤、香料、増量剤、染料などを使用することもできる。なお、本発明のエマルション組成物は、水系塗料、粘着剤、接着剤などに利用することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、実施例では、反応性乳化剤として、株式会社ADEKA製の、アデカリアソープSR−10(商品名)を用いた。
[反応に用いた混合モノマー]
・混合モノマーM1:ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン=100/30/26質量比の混合物
・混合モノマーM2:メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/メトキシポリエチレングリコール400メタクリレート(日油株式会社製、商品名ブレンマーAE−400)/反応性乳化剤/脱イオン水=75/15/10/0.4/40質量比の乳化物
・混合モノマーM3:オクタメチルテトラシロキサン/γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン/脱イオン水/ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム/ドデシルベンゼンスルホン酸=95/5/250/0.4/0.4質量比の強制乳化物(圧力式ホモジナイザー使用)
・混合モノマーM4:n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=100/30/4質量比の混合物
・混合モノマーM5:t−ブチルメタクリレート/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸/脱イオン水/反応性乳化剤=30/38/26.5/3/2.5/43/2.5質量比の乳化物
合成例1
攪拌機、温度計、圧力計を備えた耐圧反応容器に、脱イオン水500g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム塩0.5g、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE40)0.05gを仕込み、溶存空気を除去したのち、混合モノマーM1を30gフィードし30分撹拌した。次に、過硫酸アンモニウム0.2gを仕込み、60℃まで加熱し30分撹拌した後、槽内温度が60℃となるよう調整しながら、槽内圧力9〜10MPaとなるように混合モノマーM1を270gフィードした。フィード終了後、55〜60℃で30時間撹拌を続け反応を完結させることにより、エマルションa1(固形分含量は38質量%)を得た。
攪拌機、冷却管、温度計を備えた反応容器に、エマルションa1を100g、アニオン性反応性乳化剤0.4gを仕込み、撹拌しながら、混合モノマーM2を2.6g滴下した。60℃まで加熱してから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液1gを添加し、23.6gの混合モノマーM2を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、60℃で3時間撹拌を続け反応を完結させることにより、フッ素系樹脂エマルションであるエマルションA1(固形分含量は45質量%)を得た。
合成例2
攪拌機、冷却管、温度計を備えた反応容器に、脱イオン水55g、ドデシルベンゼンスルホン酸5gを仕込み、85℃に加熱し、250gの混合モノマーM3を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間撹拌を続け反応を完結させてから、アンモニアで中和した。この後、固形分含量が20質量%となるように脱イオン水で希釈し、エマルションa2を得た。
攪拌機、冷却管、温度計を備えた反応容器に、脱イオン水33.5g、エマルションa2を50gを仕込み、撹拌しながら3gの混合モノマーM4を滴下した。60℃まで加熱してから、過硫酸アンモニウムの2%水溶液1gを添加し、27gの混合モノマーM4を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に60℃で1時間撹拌した。更に、過硫酸アンモニウムの2%水溶液1gを添加し、60℃で、60gの混合モノマーM5を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、60℃で3時間撹拌を続け反応を完結させることにより、シリコーン系樹脂エマルションであるエマルションA2(固形分含量は50質量%)を得た。
<本発明品>
B1:安息香酸2−エチルヘキシル
B2:安息香酸2,2,4,4−テトラメチルペンチル
B3:安息香酸ブトキシエチル
B4:p−メチル安息香酸2−エチルヘキシル
<比較品>
B’1:フタル酸ジブチル
B’2:フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)
B’3:ブチルセロソルブ
B’4:ブチルカルビトール
B’5:N−メチルピロリドン
<粘性調整剤>
C1:特開平9−71766号公報の製造例Aに準じ、ポリエチレングリコール6000(数平均分子量6000)を480質量部、2−オクチルドデカノールのエチレンオキシド20モル付加物を198部及びヘキサメチレンジイソシアネ−トを29.6部を用いて、粘性調整剤C1を合成した。粘性調整剤C1は一般式(9)において、R33が2−オクチルドデシル基、R34及びR36がエチレングリコールの残基、R35がヘキサメチレンジイソシアネ−トの残基、rが20、sが137、tが1の化合物である。
C2:特開平9−67562号公報の合成例Aに準じ、ポリエチレングリコール15000(数平均分子量15000)660質量部とオクタデシルイソシアネ−ト30質量部を用いて、粘性調整剤C2を合成した。粘性調整剤C2は一般式(10)において、R37及びR38がエチレングリコールの残基、R39がオクタデシル基、uが170、vが2の化合物である。
C3:ポリアクリル酸ナトリウム(質量平均分子量約15万)
C4:ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル化学製、商品名:HECダイセルSP200)
<最低造膜温度(MFT)>
MFT測定装置であるMINIMUM FILUM FORMING TEMPRATURE BAR(PHOPOINT Instrumentation Ltd製)を使用してMFTを測定した。
具体的には、試験用エマルション(樹脂1及び樹脂2)に本発明品1〜16及び比較品1〜12をそれぞれ5質量%になるように配合し、温度勾配のかけられたMFT測定装置上に、専用のアプリケーターで75μmの塗膜を作成する。1時間後に塗膜の状態を観察し、ひび割れが生じずに成膜している最低温度を読み、これをMFTとした。MFTが低いほど成膜助剤としての性能に優れる。結果を表1に示す。
<耐水性試験>
サンディング処理したアルミニウム板上に、実施例1〜16の組成物を、アプリケーターを用いて厚さ0.5mmとなるように塗布した後、40℃で48時間乾燥して試験片とした。試験片を60℃の温水に24時間間浸漬した後、塗膜を目視で観察し以下の基準で耐水性を評価した。結果を表1に示す。
○:塗膜に異状が見られず耐水性が高い
△:塗膜に若干の白濁が見られ耐水性がやや低い
×:塗膜に明らかな白濁が見られ耐水性が低い