JP6566683B2 - 基板洗浄方法および基板洗浄装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスクラスターを用いた基板洗浄方法および基板洗浄装置に関する。
半導体デバイスの製造過程においては、基板に付着しているパーティクルが製品の欠陥につながるため、基板に付着したパーティクルを除去する洗浄処理が行われる。このような基板洗浄技術としては、基板表面にガスクラスターを照射して、その物理的な作用により基板表面のパーティクルを除去する技術が注目されている。
ガスクラスターを用いて基板表面を洗浄する方法としては、CO等のクラスター生成用ガスを高圧にしてノズルから噴射し、断熱膨張によりガスクラスターを生成させ、生成されたガスクラスターをイオン化部でイオン化し、これを加速電極により加速して形成されたガスクラスターイオンビームを基板に照射する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、基板洗浄に関するものではないが、断熱膨張により生成された中性のガスクラスターを基板に照射する技術も知られており(例えば特許文献2)、このような技術を基板の洗浄処理に適用して、基板への電気的ダメージを低減することも検討されている。
特開平4−354865号公報 国際公開第2010/021265号パンフレット
ところで、上記特許文献1のようにガスクラスターイオンビームを用いて基板の洗浄を行う場合、および特許文献2のように中性のガスクラスタービームを用いて基板の洗浄を行った場合のいずれも、ガスクラスタービームによりパーティクルが除去される際に、基板とパーティクルとの摩擦によりこれらが帯電し、パーティクルが基板に再付着する可能性があることが判明した。
また、特許文献2のような中性のガスクラスタービームを用いてパーティクルを物理的に除去する場合には、ガスクラスターが加速されないため、物理的作用を十分に引き出せない可能性があり、洗浄が十分に行われないおそれがある。クラスターサイズを大きくすることにより物理力を向上させることができるが、この場合、クラスターサイズより小さいパーティクルの除去率を効果的に向上させることは難しい。またクラスターサイズを大きくすることは、基板上の微細な構造物(パターン)にダメージを与える可能性も大きくなる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、ガスクラスターを用いて、被処理基板に対するパーティクルの再付着を抑制しつつ、被処理基板に付着したパーティクルを高い除去率で除去することができる基板洗浄方法および基板洗浄装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、ガスクラスターを用いて基板を洗浄する基板洗浄方法であって、処理容器内に被処理基板を配置し、その中を排気して真空に保持することと、前記処理容器内にクラスター生成ガスを高圧力で噴射させて断熱膨張させることによりガスクラスターを生成し、前記被処理基板に向けて照射することと、前記ガスクラスターに電磁波を照射し、前記ガスクラスターの少なくとも一部を荷電ガスクラスターにすることと、前記荷電ガスクラスターを前記被処理基板に到達する前に加速させることと、前記加速された荷電ガスクラスターが前記被処理基板に到達する前に、前記荷電ガスクラスターに電磁波を照射して前記荷電ガスクラスターを除電し、前記被処理基板のチャージダメージを抑制することと、前記ガスクラスターを前記被処理基板に衝突させて前記被処理基板上のパーティクルを除去することと、前記被処理基板上のパーティクルを除去した際に、帯電した前記被処理基板およびパーティクルに電磁波を照射して除電することと、前記被処理基板から除去され、除電されたパーティクルを排気流とともに前記処理容器から排出させることとを含み、前記前記荷電ガスクラスター、前記被処理基板および除去されたパーティクルを除電する際に、前記荷電ガスクラスターを生成する際の電磁波源から放射される電磁波を用いることを特徴とする基板洗浄方法を提供する。
本発明の第2の観点は、ガスクラスターを用いて基板を洗浄する基板洗浄装置であって、被処理基板が配置され、真空に保持される処理容器と、前記処理容器内を排気する排気機構と、前記処理容器内にクラスター生成ガスを高圧力で噴射させて断熱膨張させることによりガスクラスターを生成し、前記被処理基板に向けて照射するガスクラスター生成機構と、前記ガスクラスターに電磁波を照射することにより前記ガスクラスターの少なくとも一部を荷電ガスクラスターにする荷電手段と、前記荷電ガスクラスターを、前記被処理基板に到達する前に加速させる手段と、前記被処理基板に到達する前の前記荷電ガスクラスターに電磁波を照射して除電し、かつ前記加速されたガスクラスターを含む前記ガスクラスターにより前記被処理基板上のパーティクルが除去された際に、帯電した前記被処理基板および前記パーティクルに電磁波を照射して除電する除電手段とを具備し、前記荷電手段および前記除電手段は、共通の電磁波源を有し、前記電磁波源から照射される電磁波により荷電および除電を行い、前記被処理基板に到達する前の前記荷電ガスクラスターを前記除電手段により除電することにより、前記被処理基板のチャージダメージを抑制するとともに、前記被処理基板から除去され、前記除電手段により除電されたパーティクルを、前記排気機構により排気流とともに前記処理容器から排出させることを特徴とする基板洗浄装置を提供する。
本発明において、前記電磁波として真空紫外線を用いることができる。
さらに、前記荷電ガスクラスターの加速は、前記荷電ガスクラスターが前記被処理基板に到達するまでの間で、前記荷電ガスクラスターと逆の極性を有する電荷により前記荷電ガスクラスターを引き込むことにより行うことができる。
さらにまた、前記処理容器内の基板配置領域を覆う着脱可能なカバーを有することが好ましい。また、前記被処理基板は、接地された基板保持体に保持され、前記基板保持体を通して接地されていることが好ましい。
本発明によれば、被処理基板に向けて照射された荷電ガスクラスターを被処理基板に到達する前に加速させ、加速された荷電ガスクラスターを被処理基板に衝突させるので、ガスクラスターのエネルギーが高く、除去しづらい形態のパーティクルをも除去することができ、パーティクルの除去率を高くすることができる。また、帯電した被処理基板やパーティクルを除電し、被処理基板から除去されたパーティクルを排気流とともに排出するので、被処理基板に対するパーティクルの再付着を抑制することができる。また、被処理基板を除電することにより、被処理基板のチャージダメージを抑制することもできる。さらに荷電クラスターを被処理基板衝突前に除電することで、被処理基板へのチャージダメージや過剰な電荷の付加を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置の処理動作を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。 Heガスの混合比とガスクラスター速度(供給ガス:CO100%で生成したガスクラスターの速度を1とした相対値)との関係を示す図である。 第4の実施形態により荷電ガスクラスターが生成されることを検証した実験に用いた計測システムを示す模式図である。 クラスター生成ガスであるCOガスのみを供給した場合と、COガスにHeを混合して供給した場合(CO:He=1:1およびCO:He=1:9)と、Heのみを供給した場合とについて、ガスの供給圧力を変化させた際の図7の計測システムにより計測されるイオン電流を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。 ガス速度の一次理論式のモデルを説明するための図である。 本発明の第6の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。 荷電ガスクラスターを加速させる手段の他の例を示す断面図である。 荷電ガスクラスターを加速させる手段のさらに他の例を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。
基板洗浄装置100は、基板に付着したパーティクルをガスクラスターにより除去して基板の洗浄処理を行うものである。
この基板洗浄装置100は、洗浄処理を行うための処理室を区画する処理容器1を有している。処理容器1内には被処理基板Sを載置する基板載置台2が設けられている。被処理基板Sとしては、半導体ウエハや、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板等、種々のものを挙げることができ、付着したパーティクルを除去する必要があるものであれば特に限定されない。基板載置台2は駆動機構3により駆動されるようになっている。
処理容器1の側壁下部には排気口4が設けられており、排気口4には排気配管5が接続されている。排気配管5には、真空ポンプ6が設けられており、この真空ポンプ6により処理容器1内が真空排気されるようになっている。このときの真空度は排気配管5に設けられた圧力制御バルブ7により制御可能となっている。これらにより排気機構が構成され、これにより処理容器1内が所定の真空度に保持される。
基板載置台2の上方には、被処理基板Sに洗浄用のガスクラスターを照射するガスクラスター照射機構10が配置されている。ガスクラスター照射機構10は、処理容器1内の上部に基板載置台2に対向して設けられたクラスターノズル11と、処理容器1外に設けられた、クラスターノズル11にクラスターを生成するためのガスを供給するクラスター生成ガス供給部12と、クラスター生成ガス供給部12からのガスをクラスターノズル11へ導くガス供給配管13とを有している。ガス供給配管13には、開閉バルブ14および流量制御器15が設けられている。クラスターノズル11は、先端が末広がりのコニカルノズルとして構成されているが、形状はこれに限定されない。
クラスター生成ガス供給部12からクラスター生成ガスを供給する際には、図示していない昇圧器(ガスブースター)により昇圧され、例えば5MPa以下の高圧にされる。また、やはり図示はしていないが、ガス供給配管13には圧力計が設けられており、その圧力計が計測した圧力値に基づいて供給圧力が制御される。クラスターノズル11からクラスター生成ガスが真空に保持された処理容器1(処理室)内に噴射されると、クラスター生成ガスが断熱膨張し、ガスの原子または分子の一部がファンデルワールス力により数個から約10個凝集し、ガスクラスターが生成される。
クラスター生成ガスは特に限定されないが、COガス、Arガス、Nガス、SFガス、CFガス等が例示される。これらは単独でも、混合したものでも適用可能である。
生成されたガスクラスターを破壊させずに被処理基板Sに噴射させるためには、処理容器1内の圧力は低いほうがよく、例えば、クラスターノズル11に供給するガスの供給圧力が1MPa以下では10Pa以下、供給圧力が1〜5MPaでは300Pa以下であることが好ましい。
処理容器1の一方の側壁には、処理容器1の内部に真空紫外線(VUV)を放射するVUVランプ20が設けられている。VUVランプ20から放射されたVUVは、そのエネルギーによって照射領域の気体をイオン化させる作用を有する。したがって、クラスターノズル11から噴射されたガスクラスターCにVUVが照射されることによりガスクラスターCの少なくとも一部が、マイナスまたはプラスに荷電され、荷電粒子となる。
また、クラスターノズル11から噴射されたガスクラスターCが被処理基板Sに衝突し、被処理基板Sに付着しているパーティクルが除去される際に、被処理基板Sとパーティクルの摩擦等により、これらが帯電して、パーティクルが被処理基板Sに再付着するおそれがあるが、VUVランプ20からのVUVは、被処理基板Sの近傍雰囲気にも照射されてイオンが生成され、生成されたイオンにより、帯電した被処理基板Sおよびパーティクルが除電され、パーティクルの再付着が抑制される。
すなわち、VUVランプ20は、ガスクラスターCを荷電させる荷電手段(イオン化手段)、ならびに、被処理基板Sおよび被処理基板Sから除去されたパーティクルおよび荷電クラスターを除電する除電手段として機能する。なお、このような荷電手段や除電手段としては、VUVに限らず、気体をイオン化させるエネルギーを有する波長の電磁波であれば使用することができ、X線やガンマ線、紫外線の一部等、波長が300nm以下の電磁波を好適に用いることができる。
処理容器1内におけるクラスターノズル11と基板載置台2上の被処理基板Sとの間には、VUV照射により荷電されたガスクラスターCを加速する加速手段としての加速用電極21が設けられている。加速用電極21には電源22から電圧が印加される。この際の電圧は、0.1〜20kV程度が好ましい。
また、加速用電極21の下には、接地された接地電極23が設けられている。処理容器1および基板載置台2も接地されている。これらが接地されていることにより、パーティクルに作用する静電気的な力の影響を小さくすることができる。
上述した駆動機構3は、クラスターノズル11から噴射されたガスクラスターCが被処理基板Sの全面に照射されるように基板載置台2を一平面内で移動させるものであり、例えばXYテーブルからなっている。なお、このように駆動機構3により基板載置台2を介して被処理基板Sを平面移動させる代わりに、クラスターノズル11を平面移動させてもよく、また、基板載置台2とクラスターノズル11との両方を平面移動させてもよい。また、基板載置台2を回転させて、クラスターノズルを移動させてもよい。
処理容器1の側面には、被処理基板Sの搬入出を行うための搬入出口(図示せず)が設けられており、この搬入出口を介して真空搬送室(図示せず)に接続されている。搬入出口はゲートバルブ(図示せず)により開閉可能となっており、真空搬送室内の基板搬送装置により、処理容器1に対する被処理基板Sの搬入出が行われる。
基板洗浄装置100は、制御部30を有している。制御部30は、基板洗浄装置100のガスの供給(開閉バルブ14および流量制御器15)、ガスの排気(圧力制御バルブ7)、駆動機構3による基板載置台2の駆動、VUVランプ20によるVUVの照射、電源22の電圧等を制御する、マイクロプロセッサ(コンピュータ)を備えたコントローラを有している。コントローラには、オペレータが基板洗浄装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、基板洗浄装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等が接続されている。また、コントローラには、基板洗浄装置100における処理をコントローラの制御にて実現するための制御プログラムや処理条件に応じて基板洗浄装置100の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムである処理レシピや、各種データベース等が格納された記憶部が接続されている。レシピは記憶部の中の適宜の記憶媒体に記憶されている。そして、必要に応じて、任意のレシピを記憶部から呼び出してコントローラに実行させることで、コントローラの制御下で、基板洗浄装置100での所望の処理が行われる。
次に、以上のような基板洗浄装置100の処理動作について、図2を参照して説明する。
まず、ゲートバルブを開けて搬入出口を介して被処理基板Sを搬入し、基板載置台2上に載置し、処理容器1内を真空ポンプ6により真空引きして所定圧力の真空状態とするとともに、クラスター生成ガス供給部12からCOガス等のクラスター生成ガスを、所定流量で昇圧器(ガスブースター)により昇圧して、所定の供給圧力でクラスターノズル11から噴射する。これにより、クラスターノズル11から噴射されたクラスター生成ガスが断熱膨張し、ほぼ中性のガスクラスターCが生成される(図2(a))。なお、昇圧器を用いずにクラスター生成ガスの流量のみで供給圧力を調整してもよい。
クラスターノズル11から噴射されたガスクラスターCに、VUVランプ20から放射されたVUVが照射されることにより、ガスクラスターCの少なくとも一部はマイナスまたはプラスに帯電される。そして、加速用電極21に例えば正電荷が供給されることにより、マイナスに帯電したガスクラスターCは、加速用電極21に引き込まれて加速される。一方、プラスに帯電したガスクラスターCは、加速用電極21と反発し、加速用電極21外へ移動して排気される(図2(b))。加速用電極21に引き込まれて加速された荷電ガスクラスターを含むガスクラスターCは、保有するエネルギーが増加し、洗浄力が増大する。
この際に、被処理基板Sに照射されるガスクラスターCの数は、プラスに帯電したガスクラスターCの数だけ減少するが、被処理基板Sに到達するガスクラスターCの数が基板洗浄に十分な数になるように、クラスターノズル11から噴射されるガスクラスターCの数を調整すればよい。
加速用電極21を通過したガスクラスターCのうち荷電ガスクラスターは、加速時の速度をそのまま維持して高いエネルギーを保持したまま、VUVランプ20によるVUV照射雰囲気中のプラスチャージ(プラスイオン)により電気的に中和される(図2(c))。これにより、被処理基板Sへのチャージダメージや過剰な電荷の付加を抑制することができる。
そして、加速用電極21で加速された高エネルギーの荷電ガスクラスターを含むガスクラスターCを被処理基板Sに衝突させることにより、ガスクラスターCの物理的エネルギーによって基板Sの表面に付着するパーティクルPを高い除去率で除去することができる。
ところで、パーティクルPが被処理基板Sから除去される際に、被処理基板SとパーティクルPとの摩擦により、基板SおよびパーティクルPがプラスまたはマイナスに帯電するため、被処理基板Sから除去されたパーティクルPが被処理基板Sへ再付着することが懸念される。しかし、本実施形態では、VUVランプ20からのVUVが被処理基板Sの近傍雰囲気にも照射され、それにより生成されたイオンにより、帯電された被処理基板SおよびパーティクルPが中和されて除電され、除電されたパーティクルPは排気口4から排気される(図2(d))。したがって、被処理基板Sへのパーティクルの再付着を極めて有効に抑制することができる。
このとき、パーティクルPは完全に中和されずに一部電荷が残る可能性があるが、被処理基板S(基板載置台2)や処理容器1は接地されており、パーティクルへの静電的な影響は小さいため、その場合でもパーティクルは被処理基板Sや処理容器1に再付着することなく排気流とともに排気される。
なお、被処理基板Sが接地されていることにより、仮に被処理基板S以外から帯電したパーティクルが発塵した場合も、それらの再付着を極めて有効に抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、被処理基板Sに向けて照射されたガスクラスターの少なくとも一部をVUVにより荷電させ、加速用電極21で加速して被処理基板Sに衝突させるので、ガスクラスターCのエネルギーが高く、より小さいパーティクルや、膜状に形成されたパーティクル(膜状不純物)等、除去しづらい形態のパーティクルをも除去することができ、パーティクルの除去率を高くすることができる。また、帯電した被処理基板やパーティクルをVUVにより除電し、被処理基板Sから除去されたパーティクルを排気流とともに排出するので、被処理基板Sに対するパーティクルの再付着を抑制することができる。さらに、VUVランプ20からのVUVにより、被処理基板Sに衝突する前の荷電ガスクラスターを電気的に中和(除電)することにより、被処理基板Sのチャージダメージ(イオンダメージ)を抑制することもできる。
また、一つのVUVランプ20が、ガスクラスターCを荷電させる手段、ならびに、被処理基板Sおよび被処理基板Sから除去されたパーティクルを除電する手段および荷電クラスターを除電する手段として機能するので、装置構成を簡易にすることができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。
本実施形態においては、第1の実施形態のVUVランプ20の代わりに、ガスクラスターCを荷電する手段としてのVUVランプ20aと、被処理基板Sおよび被処理基板Sから除去されたパーティクルおよび荷電クラスターを除電する手段としてのVUVランプ20bの2つのVUVランプを設け、さらに、処理容器1内の加速用電極21より下の基板配置領域を着脱可能なカバー41で覆うようにし、カバー41を接地している。その他の構成は第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
本実施形態の基板洗浄装置101においては、クラスターノズル11から被処理基板Sに向けて照射されガスクラスターCの少なくとも一部はVUVランプ20aからのVUVにより荷電され、この荷電ガスクラスターは加速用電極21で加速された状態で被処理基板Sに衝突する。このため、荷電ガスクラスターを含むガスクラスターCは高い物理的エネルギーを保有し、この物理的エネルギーによって被処理基板Sの表面に付着するパーティクルPを高い除去率で除去することができる。また、VUVランプ20bからのVUVにより、帯電された被処理基板Sおよびパーティクルを除電し、除去したパーティクルを排気流とともに排出するので、パーティクルの再付着を抑制することができる。また、VUVランプ20bからのVUVにより、被処理基板Sに衝突する前の荷電ガスクラスターを電気的に中和(除電)することにより、被処理基板Sのチャージダメージを抑制することもできる。
このとき、処理容器1内の基板配置領域を着脱可能なカバー41で覆うようにしたので、被処理基板Sから除去されたパーティクルをカバー41に付着させることができ、処理後にカバー41を取り外して洗浄した後、再度設置することにより、清浄度の高い洗浄プロセスを継続的に実施することができる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。
本実施形態の基板洗浄装置102においては、第2の実施形態のガスクラスターCを荷電させる手段としてのVUVランプ20aの代わりに、処理容器1外にイオン化源42を設け、イオン化源42により生成したイオン成分を、処理容器1内のガスクラスター通過部に導入するようにしている。また、第1の実施形態と同様の接地電極23が設けられている。その他の構成は第2の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
イオン化源42は、容器43と、容器43内にArガスのようなイオン化ガスを導入するイオン化ガス導入部44と、容器43内に設けられたプラズマ源45とを有する。容器43内でプラズマ源45により生成されたプラズマ中のイオンおよび電子が、プラズマ導入管46を経て、処理容器1内において区画部材47で区画されたガスクラスター通過領域に導入される。これにより、クラスターノズル11から被処理基板Sに向けて照射されたガスクラスターCの少なくとも一部がイオン化されて荷電ガスクラスターとなり、加速用電極21で加速され、加速された荷電ガスクラスターを含むガスクラスターCが被処理基板に衝突する。これにより、その際の物理的エネルギーによって基板Sの表面に付着するパーティクルPを高い除去率で除去することができる。また、VUVランプ20bからのVUVにより、帯電された被処理基板Sおよび除去されたパーティクルを除電し、排気流とともに排出するので、被処理基板Sに対するパーティクルの再付着を抑制することができる。また、VUVランプ20bからのVUVにより、被処理基板Sに衝突する前の荷電ガスクラスターを電気的に中和(除電)することにより、被処理基板Sへのチャージダメージ等を抑制することもできる。
このとき、区画部材47で区画されたガスクラスター通過領域に反応性ガスを導入し、イオン化されたガスクラスターCとともに反応性ガスを被処理基板Sに照射することにより、ガスクラスターによる洗浄処理と、反応性ガスによる洗浄処理を併用して行うことも可能となる。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第4の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。
本実施形態の基板洗浄装置103においては、第1〜第3の実施形態とは異なり、VUVランプ等のガスクラスターを荷電させる手段を用いることなく、荷電ガスクラスターを生成させる。すなわち、第1〜第3の実施形態で用いたガスクラスター照射機構10の代わりに、クラスターガス生成ガスとHeガスとを供給可能なガスクラスター照射機構50を用いることにより、クラスターノズルから荷電ガスクラスターを噴射する。Heガスは後述するようにガスクラスターを帯電させるためのガスとして機能する。
具体的には、本実施形態のガスクラスター照射機構50は、処理容器1内の上部に基板載置台2に対向して設けられたクラスターノズル51と、処理容器1外に設けられた、クラスターノズル51にクラスターを生成するためのガスを供給するクラスター生成ガス供給部52およびHeガスを供給するHeガス供給部53と、クラスター生成ガス供給部52に接続されたクラスター生成ガス供給配管54およびHeガス供給部53に接続されたHeガス供給配管55と、クラスター生成ガス供給配管54およびHeガス供給配管55が合流してクラスター生成ガスおよびHeガスをクラスターノズル51へ導く混合ガス供給配管56とを有している。クラスター生成ガス供給配管54には開閉バルブ57および流量制御器58が設けられており、Heガス供給配管55には開閉バルブ59および流量制御器60が設けられている。クラスターノズル51は、第1〜第3の実施形態と同様、先端が末広がりのコニカルノズルとして構成されているが、形状はこれに限定されない。
図示はしていないが、混合ガス供給配管56には、混合ガスを昇圧する昇圧器(ガスブースター)が設けられ、これにより供給圧力を0.1〜5MPaの高圧にされる。また、やはり図示はしていないが、クラスター生成ガス供給配管54およびHeガス供給配管55には圧力計が設けられており、その圧力計が計測した圧力値に基づいて供給圧力が制御される。
なお、本実施形態は、ガスクラスターを荷電する手段としてのVUVランプが存在せず、除電する手段として第2の実施形態と同様のVUVランプ20bを有している点、およびガスクラスター照射機構10の代わりに、ガスクラスター照射機構50を用いる点以外は、第1の実施形態と同様に構成されているため、説明は省略する。
本実施形態においては、まず、ゲートバルブを開けて搬入出口を介して被処理基板Sを搬入し、基板載置台2上に載置し、処理容器1内を真空ポンプ6により真空引きして所定圧力の真空状態とするとともに、ガスクラスター照射機構50のクラスターノズル51から、上述したCOガス等のクラスター生成ガスとHeガスを、所定流量で、必要に応じて昇圧器(ガスブースター)により昇圧して、0.1〜5MPaの範囲の供給圧力で噴射する。これにより、クラスター生成ガスは断熱膨張によってクラスター化するが、Heガスはクラスター化し難く、ほぼガスのままクラスターノズル51から噴射される。
このときのクラスターノズル51からの噴射速度は、ガスクラスターよりもクラスター化していないHeガスのほうが速くなる。このため、Heガスがガスクラスターを押し出してガスクラスターの速度を上昇させる。実際に、クラスター生成ガスであるCOガスにHeガスを混合してクラスターノズルから噴射した際のガスクラスターの速度を試算した結果を図6に示す。図6は、Heガスの混合比とガスクラスターの速度との関係を示す図であるが、Heガスの混合比が大きくなることにより、ガスクラスターの速度が上昇していることがわかる。
このようにガスクラスターの速度が上昇すると、ガスクラスターとクラスターノズル51の内壁との間に摩擦が生じ、電荷を帯びた荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1が生成され、そのように生成された荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1が被処理基板Sに向けて照射される。このとき、ガスクラスターの速度が大きいほど荷電ガスクラスターの数が多くなる。なお、ガスクラスターとHeガスとの摩擦によっても電荷が生じる。
このときのHeガスの流量とクラスター生成ガスの流量との比率は、10〜99%の範囲が好ましい。また、クラスターノズル51からの供給圧力は0.1〜5MPaであることが好ましい。さらに、処理容器1内の圧力は、300Pa以下であることが好ましい。
以上のようにして形成された荷電ガスクラスターのうち、加速用電極21と反対の極性のものは引き込まれて加速された状態で被処理基板Sに衝突する。このため、荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1は高い物理的エネルギーを保有し、この物理的エネルギーによって、保有するエネルギーが増加して洗浄力が増大した状態で被処理基板Sに衝突する。したがって、荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1の物理的エネルギーによって被処理基板Sの表面に付着するパーティクルPを高い除去率で除去することができる。
加速用電極21で加速された高エネルギーの荷電ガスクラスターは、加速時の速度をそのまま維持して高いエネルギーを保持したまま、VUVランプ20bによるVUV照射雰囲気中のイオンにより電気的に中和される。これにより、被処理基板Sへのチャージダメージや過剰な電荷の付加を抑制することができる。また、パーティクルが被処理基板Sから除去された際の摩擦により、被処理基板Sおよび除去されたパーティクルが帯電してパーティクルが再付着するおそれがあるが、VUVランプ20bからVUVが照射されることにより、被処理基板S近傍に生成されたイオンにより被処理基板Sおよび除去されたパーティクルが除電され、除電されたパーティクルPは排気口4から排気流とともに排出されるため、被処理基板Sへのパーティクルの再付着を極めて有効に抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、クラスターノズル51から荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1を噴射し、荷電ガスクラスターを加速用電極21で加速して被処理基板Sに衝突させるので、ガスクラスターC1のエネルギーが高く、除去しづらい形態のパーティクルをも除去することができ、パーティクルの除去率を高くすることができる。また、帯電した被処理基板やパーティクルをVUVにより除電し、被処理基板Sから除去されたパーティクルを排気流とともに排出するので、被処理基板Sに対するパーティクルの再付着を抑制することができる。さらに、VUVランプ20bからのVUVにより、被処理基板Sに衝突する前の荷電ガスクラスターを電気的に中和(除電)することができるので、被処理基板Sのチャージダメージを抑制することもできる。
また、COガスのようなクラスター生成ガスにHeガスを混合してクラスターノズル51から噴射するという、簡易な手法により荷電ガスクラスターを生成することができるので、ガスクラスターを荷電させる荷電手段が不要であり、装置構成を簡易にすることができる。
次に、本実施形態により荷電ガスクラスターが生成されることを検証した実験について説明する。図7は、この実験に用いた計測システムを示す模式図である。ガスクラスター照射機構200は、COガスボンベ201とHeガスボンベ202を有し、これらから供給されたCOガスとHeガスを混合し、混合ガスをガスブースター203で昇圧し、クラスターノズル204から所定の供給圧で第1チャンバー207内に噴射し、ガスクラスターを生成させる。符号205はマスフローコントローラ、206は圧力計である。第1チャンバー207内は真空ポンプ208により真空雰囲気とされる。クラスターノズル204から噴射されるガスクラスターは直進してスキマーコーン209を通過し、第2チャンバー210に至る。第2チャンバー210は真空ポンプ211により真空雰囲気とされる。第2チャンバー210には、その中を直進したガスクラスターが到達する位置にファラデーカップ213が設けられている。ファラデーカップ213には、電流計214が接続されている。また、第2チャンバー210内には、ファラデーカップ213へのガスクラスターの通路を遮断するシャッター212が開閉可能に設けられている。
このような計測システムを用い、COガスのみを供給した場合と、COガスにHeを混合して供給した場合(CO:He=1:1およびCO:He=1:9)と、Heのみを供給した場合とで、供給圧力を変化させた場合のイオン電流を求めた。イオン電流は、以下のように計算した。
イオン電流=[シャッター閉の時の電流値]−[シャッター開の時の電流値]
その結果を図8に示す。この図に示すように、Heガスのみを供給した場合にはガス供給圧力が増加してもイオン電流の増加がみられず、COガスのみを供給した場合は、ガス供給圧力増加にともないイオン電流はわずかに増加するにとどまったが、COガスにHeを混合することにより、供給圧力の増加にともなって、イオン電流が大きく増加し、その増加量はHeの割合が多いほど多いことが確認された。すなわち、COガスにHeガスを混合することによって、ガスクラスターを効果的に荷電できることが確認された。
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第5の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。
本実施形態の基板洗浄装置104では、第4の実施形態と同様、クラスター生成ガスにガスクラスターを帯電させるためのガスを混合して荷電ガスクラスターを形成するが、ガスクラスターを帯電させるためのガスとして水素ガス(Hガス)を用いる点が第4の実施形態とは異なっている。
したがって、図9では、図5の装置のHeガス供給部53におよびHeガス供給配管55の代わりに、Hガス供給部53′およびHガス供給配管55′が設けられているが、他の構成は図5の装置と同様であるため、説明は省略する。
本実施形態においては、まず、ゲートバルブを開けて搬入出口を介して被処理基板Sを搬入し、基板載置台2上に載置し、処理容器1内を真空ポンプ6により真空引きして所定圧力の真空状態とするとともに、ガスクラスター照射機構50のクラスターノズル51から、上述したCOガス等のクラスター生成ガスとHガスを、所定流量で、必要に応じて昇圧器(ガスブースター)により昇圧して、0.1〜5MPaの範囲の供給圧力で噴射する。これにより、クラスター生成ガスは断熱膨張によってクラスター化するが、HガスはHeガスと同様クラスター化し難く、ほぼガスのままクラスターノズル51から噴射される。
このときのクラスターノズル51からの噴射速度は、ガスクラスターよりもクラスター化していないHガスのほうが速くなる。このため、Hガスがガスクラスターを押し出してガスクラスターの速度を上昇させる。このときのクラスター生成ガスであるCOガスにHガスを混合してクラスターノズルから噴射した際のガスクラスターの速度は、図10のモデルにおけるガス速度の一次理論式から算出することができる。図10において、Pは導入ガス圧力、Tは導入ガス温度、ρはガス密度、Pは生成部真空度である。このとき、ガス速度νは、以下の(1)式で与えられる。
Figure 0006566683
ただし、k:ボルツマン定数
γ:導入ガスの比熱比
m:導入ガス分子の質量
である。
上記(1)式において、1−(P/P)の値は、クラスター生成圧力ではほぼ1であることから、ガスクラスターの速度は以下の(2)式で表すことができる。
Figure 0006566683
ここで、第4の実施形態のようにガスクラスターを帯電させるためのガスとしてHeガスを用いた場合と本実施形態のようにHガスを用いた場合とについて、それぞれクラスター生成ガスであるCOガスとの比率を1:1として上記(2)式からガスクラスターの速度νを計算すると、Heガスを混合した場合のガスクラスターの速度を1としたときに、Hガスを混合した場合のガスクラスターの速度は約1.2となり、速度比は約1.2倍となる。
すなわち、帯電させるためのガスとしてHガスを用いることにより、第4実施形態のHeガスを用いる場合よりも、10〜20%程度ガスクラスターの速度を大きくなることが計算により求められた。
次に、熱流体シミュレーションにより、HeおよびHガスのノズル出口付近のガス温度を計算した結果、いずれも−200℃以下になり、断熱膨張後にCOの沸点である−78.5℃(194.5K)以下になっていることが確認された。このことから、第4の実施形態のようにクラスター生成ガスにHeガスを混合した場合と同様、Hガスを混合した場合もクラスター生成条件を満たしていることがわかる。
以上のように、クラスター生成ガスにHガスを混合することによりガスクラスターを生成することができ、第4の実施形態と同様、クラスターノズル51から荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1を噴射し、荷電ガスクラスターを加速用電極21で加速して被処理基板Sに衝突させるので、ガスクラスターC1のエネルギーが高く、除去しづらい形態のパーティクルをも除去することができ、パーティクルの除去率を高くすることができる。また、帯電した被処理基板やパーティクルをVUVにより除電し、被処理基板Sから除去されたパーティクルを排気流とともに排出するので、被処理基板Sに対するパーティクルの再付着を抑制することができる。さらに、VUVランプ20bからのVUVにより、被処理基板Sに衝突する前の荷電ガスクラスターを電気的に中和(除電)することができるので、被処理基板Sのチャージダメージを抑制することもできる。
また、第4の実施形態と同様、簡易な手法により荷電ガスクラスターを生成することができるので、ガスクラスターを荷電させる荷電手段が不要であり、装置構成を簡易にすることができる。また、帯電させるためのガスとしてHガスを用いることにより、第4実施形態のHeガスを用いる場合よりも、10〜20%程度ガスクラスターの速度を大きくすることができ、ガスクラスターの帯電量を多くして洗浄効果をより高くすることができる。
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第6の実施形態に係る基板洗浄装置を示す断面図である。
本実施形態の基板洗浄装置105においても第4および第5の実施形態と同様、VUVランプ等のガスクラスターを荷電させる手段を用いることなく、荷電ガスクラスターを生成させるが、その手法は第4および第5の実施形態とは異なっている。
本実施形態では、クラスターガス生成ガスとしてアルコールを供給可能なガスクラスター照射機構60を用いることにより、クラスターノズルから荷電ガスクラスターを噴射する。
具体的には、本実施形態のガスクラスター照射機構60は、処理容器1内の上部に基板載置台2に対向して設けられたクラスターノズル61と、処理容器1外に設けられた、クラスターノズル61にクラスターを生成するためのガスであるアルコールを供給するクラスター生成ガス供給部62と、クラスター生成ガス供給部62に接続されたクラスター生成ガス供給配管63とを有している。クラスター生成ガス供給配管63には開閉バルブ64および流量制御器65が設けられている。クラスターノズル61は、第1〜第5の実施形態と同様、先端が末広がりのコニカルノズルとして構成されているが、形状はこれに限定されない。
図示はしていないが、クラスター生成ガス供給部62からクラスター生成ガスであるアルコールガスを供給する際には、アルコール供給ラインの温度を上げてアルコールの蒸気圧を上昇させる事で、ノズルへの供給圧力を増加させる事ができる。また不活性ガス供給ラインをアルコール供給ラインに接続することで、不活性ガス供給圧力を調整して、ノズルの供給圧力を調整してもよい。アルコールのように原料が液体の場合は、高圧条件下で液化することが懸念されるため、前述のような昇温機構を設けてもよい。また、やはり図示はしていないが、クラスター生成ガス供給配管63には圧力計が設けられており、その圧力計が計測した圧力値に基づいて供給圧力が制御される。
なお、本実施形態においても第4の実施形態と同様、ガスクラスターを荷電する手段としてのVUVランプが存在せず、除電する手段として第2の実施形態と同様のVUVランプ20bを有している点、およびガスクラスター照射機構10の代わりに、ガスクラスター照射機構60を用いる点以外は、第1の実施形態と同様に構成されているため、説明は省略する。
本実施形態においては、まず、ゲートバルブを開けて搬入出口を介して被処理基板Sを搬入し、基板載置台2上に載置し、処理容器1内を真空ポンプ6により真空引きして所定圧力の真空状態とするとともに、ガスクラスター照射機構60のクラスターノズル61から、上述したアルコールガスを、所定流量で、必要に応じて昇温機構や昇圧器(ガスブースター)により昇圧して、所定の供給圧力で噴射する。これにより、アルコールガスは断熱膨張によってクラスター化し、クラスターノズル61から噴射される。
アルコールガスは、分子が極性分子であるため、無極性分子であるCOガスとは異なり、アルコール分子で形成されたクラスター表面には、極性分子の負電荷を外側(空間側)に向けて配列する可能性があり、帯電しやすくなる。このため、アルコールガスをクラスター化するだけで、荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1を形成することができ、そのように生成された荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1が被処理基板Sに向けて照射される。
アルコールガスとしてはメタノールガスおよびエタノールガスを好適に用いることができる。これらは、蒸気圧が20℃のときを基準にして50℃で5倍程度、70℃で12倍程度、100℃で50倍程度となり、液体状態で加温してバブリングすることにより比較的多量に供給することができる。このため、荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1を多く供給することができる。また、第4の実施形態と同様、Heガス供給源およびHeガス供給配管を設けてHeガスを混合することにより、さらにガスクラスターの帯電量を増加させることができる。
本実施形態においても、クラスターノズル61から荷電ガスクラスターを含むガスクラスターC1を噴射し、荷電ガスクラスターを加速用電極21で加速して被処理基板Sに衝突させるので、ガスクラスターC1のエネルギーが高く、除去しづらい形態のパーティクルをも除去することができ、パーティクルの除去率を高くすることができる。また、帯電した被処理基板やパーティクルをVUVにより除電し、被処理基板Sから除去されたパーティクルを排気流とともに排出するので、被処理基板Sに対するパーティクルの再付着を抑制することができる。さらに、VUVランプ20bからのVUVにより、被処理基板Sに衝突する前の荷電ガスクラスターを電気的に中和(除電)することができるので、被処理基板Sのチャージダメージを抑制することもできる。
また、アルコールガスを噴射するだけの簡易な手法により荷電ガスクラスターを生成することができるので、ガスクラスターを荷電させる荷電手段が不要であり、装置構成を簡易にすることができる。
<他の適用>
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施の形態においては、クラスター生成ガスを断熱膨張させることによりガスクラスターを生成したが、これに限るものではない。また、荷電ガスクラスターを生成する手法も上記実施形態に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、荷電ガスクラスターを加速させる手段として、クラスターノズルと被処理基板との間に加速用電極を設けたが、第4の実施形態のように、クラスターノズルから荷電ガスクラスターを噴射する場合は、これに限らず、例えば、図12や図13に示すようなものを用いることもできる。
図12の例では、処理容器1内を、ガスクラスターを生成する部分と荷電ガスクラスターを被処理基板に照射する部分に仕切る金属製の仕切り部材71を設け、仕切り部材71を絶縁部材72により処理容器1から絶縁した状態で、電源73から仕切り部材71に電荷を与える構成としている。これにより、仕切り部材71と接地電位であるクラスターノズル51との間に電位差が生じ、仕切り部材71を通過する荷電ガスクラスターC1が加速される。
また、図13では、クラスターノズル51を碍子等の絶縁部材81により、処理容器1から絶縁した状態で、電源82からクラスターノズル51に電荷を与える構成としている。これにより、クラスターノズル51と接地電位である被処理基板Sとの間に電位差が生じ、荷電ガスクラスターC1が加速される。
さらに、上記実施形態では、被処理基板や被処理基板から除去されたパーティクルを除電する手段として、VUVランプのような電磁波照射手段を用いた例を示したが、これに限るものではない。
さらにまた、本発明は、上記複数の実施形態を適宜組み合わせて実施することも可能である。
1;処理容器
2;基板載置台
3;駆動機構
4;排気口
5;排気配管
6;真空ポンプ
7;圧力制御バルブ
10,50,60;ガスクラスター照射機構
11,51,61;クラスターノズル
12,52,62;クラスター生成ガス供給部
20,20a,20b;VUVランプ
21;加速用電極
22;電源
30;制御部
42;イオン化源
45;プラズマ源
53;Heガス供給部
53′:Hガス供給部
100,101,102,103,104,105;基板洗浄装置
C,C1;荷電ガスクラスター
S;被処理基板

Claims (9)

  1. ガスクラスターを用いて基板を洗浄する基板洗浄方法であって、
    処理容器内に被処理基板を配置し、その中を排気して真空に保持することと、
    前記処理容器内にクラスター生成ガスを高圧力で噴射させて断熱膨張させることによりガスクラスターを生成し、前記被処理基板に向けて照射することと、
    前記ガスクラスターに電磁波を照射し、前記ガスクラスターの少なくとも一部を荷電ガスクラスターにすることと、
    前記荷電ガスクラスターを前記被処理基板に到達する前に加速させることと、
    前記加速された荷電ガスクラスターが前記被処理基板に到達する前に、前記荷電ガスクラスターに電磁波を照射して前記荷電ガスクラスターを除電し、前記被処理基板のチャージダメージを抑制することと、
    記ガスクラスターを前記被処理基板に衝突させて前記被処理基板上のパーティクルを除去することと、
    前記被処理基板上のパーティクルを除去した際に、帯電した前記被処理基板および前記パーティクルに電磁波を照射して除電することと、
    前記被処理基板から除去され、除電されたパーティクルを排気流とともに前記処理容器から排出させることと
    を含み、
    前記荷電ガスクラスター、前記被処理基板および除去されたパーティクルを除電する際に、前記荷電ガスクラスターを生成する際の電磁波源から放射される電磁波を用いることを特徴とする基板洗浄方法。
  2. 前記電磁波は真空紫外線であることを特徴とする請求項に記載の基板洗浄方法。
  3. 前記荷電ガスクラスターの加速は、前記荷電ガスクラスターが前記被処理基板に到達するまでの間で、前記荷電ガスクラスターと逆の極性を有する電荷により前記荷電ガスクラスターを引き込むことにより行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載に基板洗浄方法。
  4. 前記被処理基板は、接地された基板保持体に保持され、前記基板保持体を通して接地されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の基板洗浄方法。
  5. ガスクラスターを用いて基板を洗浄する基板洗浄装置であって、
    被処理基板が配置され、真空に保持される処理容器と、
    前記処理容器内を排気する排気機構と、
    前記処理容器内にクラスター生成ガスを高圧力で噴射させて断熱膨張させることによりガスクラスターを生成し、前記被処理基板に向けて照射するガスクラスター生成機構と、
    前記ガスクラスターに電磁波を照射することにより前記ガスクラスターの少なくとも一部を荷電ガスクラスターにする荷電手段と、
    前記荷電ガスクラスターを、前記被処理基板に到達する前に加速させる手段と、
    前記被処理基板に到達する前の前記荷電ガスクラスターに電磁波を照射して除電し、かつ前記加速されたガスクラスターを含む前記ガスクラスターにより前記被処理基板上のパーティクルが除去された際に、帯電した前記被処理基板および前記パーティクルに電磁波を照射して除電する除電手段と
    を具備し、
    前記荷電手段および前記除電手段は、共通の電磁波源を有し、前記電磁波源から照射される電磁波により荷電および除電を行い、
    前記被処理基板に到達する前の前記荷電ガスクラスターを前記除電手段により除電することにより、前記被処理基板のチャージダメージを抑制するとともに、
    前記被処理基板から除去され、前記除電手段により除電されたパーティクルを、前記排気機構により排気流とともに前記処理容器から排出させることを特徴とする基板洗浄装置。
  6. 前記電磁波源は、真空紫外線を照射する真空紫外線ランプであることを特徴とする請求項に記載の基板洗浄装置。
  7. 前記荷電ガスクラスターを加速させる手段は、前記荷電ガスクラスターが前記被処理基板に到達するまでの間で、前記荷電ガスクラスターと逆の極性を有する電荷により前記荷電ガスクラスターを引き込むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の基板洗浄装置。
  8. 前記処理容器内の基板配置領域を覆う着脱可能なカバーをさらに具備することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の基板洗浄装置。
  9. 前記被処理基板は、接地された基板保持体に保持され、前記基板保持体を通して接地されていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の基板洗浄装置。
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