JP2014086247A - 超音速ビーム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音速ビーム中で生成したクラスターを効率良く取り出すことができる超音速ビーム装置を提供する。
【解決手段】真空中に超音速でガスを噴射するノズルと、該ノズルの下流に設置されたスキマーと、該ノズルを格納する真空容器と、該スキマーが該ノズルより噴射されたガスから形成した超音速ビーム中の粒子をイオン化してクラスターイオンビームを形成するイオン化部とを有し、該スキマーの設置位置は、該ノズルと該スキマーとの間の距離に対するクラスター生成量の関係におけるクラスター生成量が最大になる位置または該位置よりも該ノズルに接近している超音速ビーム装置。
【選択図】図1

Description

本発明は真空中にガスを噴射することで超音速の分子またはクラスターイオンビームを生成する装置に関する。
クラスターイオンビームは、高圧の気体をノズルから真空中に噴射することで超音速ビームを形成し、その際の断熱膨張による冷却でクラスター化した粒子を電子衝撃や光イオン化で得られるイオンビームである。
固体表面へのクラスターイオン照射はエッチング、スパッタリング、成膜等に表面プロセスに用いられる。さらに、クラスターイオンを高分子に照射すると、フラグメントを抑制しつつ高分子をイオン化できる効果を有することから、表面分析装置への応用も有効である。
クラスターイオンを生成する超音速ビーム装置は、クラスター生成部、イオン化部、ビーム制御部及び照射部を有する。各部は真空ポンプで排気される真空容器を構成する。
クラスター生成部にはノズルが配置されており、ノズルを通してクラスター生成部に噴出されたガスが減圧雰囲気下で自由膨張し、超音速ビームを形成する。
超音速ビーム中ではガスが冷却され、クラスターが生成する。
クラスター生成部において、ノズル下流に配設されたスキマーがクラスターを含む超音速ビームからクラスタービームを形成する。クラスタービームの一部はイオン化部に導かれ、イオン化されることでクラスターイオンビームを生成させる。
クラスターイオンビームは、ビーム制御部で加減速、収束又は発散の制御が行われた後、照射室に配置した加工対象物または試料に照射される(特許文献1)。
この種のクラスターイオンビームを照射する装置では、エッチングレート向上や成膜速度の高速化が求められる。さらに表面分析においても、感度向上や、測定時間を短縮することが求められる。いずれの要求に応えるためには、クラスターイオンビームの電流量を増やす必要がある。またクラスターのサイズも大きくした方が有利な場合もある。
超音速ビーム中のクラスターの生成量を増やす、あるいはクラスターサイズを増大させるためには、ノズルに導入するガス圧を増加させることが有効であることが知られている(非特許文献1参照)。
米国特許第6486478号明細書
Journal of Chemical Physics, 56, 1793 (1972)
前記の理由により、ノズルに導入するガス導入圧を増加させると、真空容器内に流入するガス量が増大するため、真空容器内の圧力が増大する。
一方、超音速ビーム中に存在するクラスターの密度は一様ではなく、ガス種やガス導入圧、および真空容器内の圧力等により決定される。したがって、所望のクラスターを得るためにガス導入圧を増大させても、スキマーが超音速ビーム中でクラスター密度が高い位置に設置されず、スキマーが超音速ビームからクラスターを充分取りだすことが困難な場合があった。
また、真空容器内の圧力上昇は残留ガスの平均自由行程を短縮させるため、残留ガスとクラスターイオンとの衝突する頻度が増加する。
残留ガスとの衝突はクラスターイオンの分解を招く。そのため、超音速ビームにより生成したクラスターイオンビームが残留ガスによって加工対象物または試料に照射される前に減衰してしまうという問題が存在した。
かかるように従来の超音速ビーム装置では、クラスターイオンビームの強度を増加させるため真空容器へのガス導入圧力を増大させると、真空容器内に圧力が上昇するため、クラスターイオンビームの利用効率が低下するという課題があった。
本発明は上記課題に鑑み、超音速ビーム中で生成したクラスターを効率良く取り出すことができる超音速ビーム装置を提供することを目的とする。
真空中に超音速でガスを噴射するノズルと、該ノズルの下流に設置されたスキマーと、該ノズルを格納する真空容器と、該スキマーが該ノズルより噴射されたガスから形成した超音速ビーム中の粒子をイオン化してクラスターイオンビームを形成するイオン化部とを有し、該スキマーの設置位置は、該ノズルと該スキマーとの距離に対するクラスター生成量の関係におけるクラスター生成量が最大になる位置または該位置よりも該ノズルに接近している超音速ビーム装置。
超音速ビーム中で生成したクラスターを効率良く取り出すことができる超音速ビーム装置を提供することができる。
(a)は本発明による超音速ビーム装置、(b)はノズルによる超音速ビーム、(c)はスキマーとノズルの位置、(d)はクラスター収量をあらわす。 (a)はクラスター生成部、(b)は第2の実施形態によるクラスター生成部、(c)は第3の実施形態によるクラスター生成部、(d)はスキマーを稼働させるクラスター生成部をあらわす。 (a)は第5の実施形態によるクラスター生成部、(b)は第6の実施形態によるクラスター生成部をあらわす。 (a)は第2の実施形態による平均自由行程と圧力の関係、(b)は第3の実施形態による平均自由行程と圧力の関係をあらわす。
本発明による超音速ビーム装置によるクラスターイオンビームの照射方法を図1(a)に基づき説明する。
超音速ビーム装置は、クラスター生成部2、イオン化部3、及び照射部4を有する。各部は真空容器1を構成し、真空ポンプ5を含む真空排気系および図示されない信号処理系を有する。
クラスター生成部2は、ガス圧計9、ガス導入配管10、真空容器1内に格納されたノズル12、およびスキマー13を有する(図2(a))。
ガス導入配管10はノズル12に、(Ar、Ne、He、Kr)等の希ガスや、(CO、CO、N、O、NO、SF、Cl、NH)等の分子性ガス、(エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール)等のアルコール、および水等を供給する。また水やアルコールには、酸や塩基を混ぜても良い。
ガス導入圧はガス導入配管10に接続されたガス圧計9で測定される。ガス導入圧は0.1〜20気圧が好ましいが、0.001〜0.1気圧でも良く、20〜100気圧であっても良い。
図1(b)に示すように、ノズル12からガスがクラスター生成部2の真空容器内部の真空中に噴射されると、超音速となったガスは衝撃波の一種であるバレル衝撃波14とマッハディスク15を発生させる。マッハディスク15とノズル12との距離Xは式1で表わされる。またマッハディスク15の直径Dは式2で表わされる。
ここで、dはノズル12の直径、Pはノズル12へのガス導入圧、Pはクラスター生成部2の真空容器内の圧力である。
超音速ビーム16の進行方向に対して動径方向に着目すると、バレル衝撃波14の外側ではガスは音速以下となるが、バレル衝撃波14より内側ではガスは音速を超えている。一方、超音速ビームの進行方向に着目すると、ノズル12とマッハディスク15の間では、ガスは音速を超えているが、マッハディスク15を境にしてノズル12の反対側(つまり下流方向)では、ガスは音速以下となる。
ノズル12、バレル衝撃波14およびマッハディスク15で囲まれた超音速領域では断熱膨張によりガスが冷却され、式3で表わされるようにクラスターを含んだ超音速ビームが生成される。
ここで、Iはクラスターの流束、Xはノズル12とスキマー13との距離、ηは超音速領域でのガス密度、kはガス種に依存する係数である。σはクラスターとガスとの衝突断面積に相当する物理量であり、kが1のときは面積の次元を有する。
ノズル12からの距離とクラスター流束との関係を図1(d)に示す。第一の部分34ではクラスター流束は式3の関係でノズル12から離れるにつれて上昇する。
一方、第二の部分35では、クラスターがマッハディスク15に到達する際に、衝撃波により加熱され分解することでクラスター流束は減少する(式4)。したがって、クラスター流束はマッハディスクの上流側で最大となる。
ここで、Γはクラスター表面からのガス蒸発量、pは蒸気圧、mはガス分子の質量、 k’はボルツマン定数、Tは温度である。
第一および第二の部分は、式3と式4から計算しても良い。また、例えばノズル12とスキマー13との距離を変えた時のクラスターイオン生成量を測定すること等の方法で、図1(d)の関係を実験的に求めても良い。
ノズル12の下流に設置されたスキマー13は、図1(c)のように前記超音速ビーム16中の粒子からクラスタービーム17を生成する。
ノズル12とスキマー13との位置関係は、式5の関係を満たすよう設定される。
式5が満たされない場合は、スキマー13がノズル12に対してマッハディスク15の下流に位置することになる。かかる場合、生成したクラスター17が、衝撃波面であるマッハディスク15を通過するため、衝撃波により加熱されクラスターが分解し、利用可能なクラスターイオンの電流値が低下してしまうことになる。
したがって式5の条件を満たすことにより、図1(c)のようにクラスターがマッハディスク15を通過する前に、スキマー13がクラスタービームを形成できるため、衝撃波による加熱分解を抑制し、クラスターを効率良く利用できるという効果を有する。
スキマー13の設置位置は、ノズル12とスキマー13との間の距離に対するクラスター生成量の関係におけるクラスター生成量が最大になる位置または該位置よりもノズル12に接近した位置とする。
尚、図1(d)の関係から、スキマー13の位置はXよりもガスの平均自由行程だけ上流にあっても良く、さらにXよりも平均自由行程の10倍程度上流にあっても良い。平均自由行程程度、あるいはその10倍程度の距離では、クラスターの分解の影響は比較的小さいからである。
またスキマー13の位置を、前記第一の部分が曲線になったときに、該曲線をXについて二階微分した値が0になる位置XとXの間としても良い。かかる場合、スキマー13の位置に対するクラスター収量の変化は緩やかになるという効果を有する。
また、スキマー開口部とノズル12の中心軸間との距離Dが式6の関係を満たすことにより、生成したクラスター15がバレル衝撃波14を通過する際の加熱分解を抑制できるという効果を有する。
クラスタービーム17はイオン化部3に入射する。イオン化部には、例えば熱フィラメントなどの電子源が配置されている。そして、電子源で発生した電子をクラスタービーム17に衝突させ、クラスターを構成する一部の原子又は分子を電子衝撃によりイオン化し、クラスターイオンビーム18を生成させる。
尚、イオン化は電子衝撃の他、レーザー等の電磁波、励起原子・分子や、電離放射線を用いても良い。
その後、クラスターイオンビームは照射部4に入射する。照射部4は質量選別器20、収束レンズ21、照射ステージ22、および分析装置23を有する。
クラスターイオンは質量選別器20で適当なサイズを持つものが選別され、収束レンズ21で加減速およびフォーカスされた後、照射ステージ22に保持された被照射物24に照射される。
被照射物24はクラスターイオンによりスパッタまたはエッチングされる。また、被照射物24から生じた二次イオンや中性粒子は、必要に応じて分析装置23で分析される。
分析装置23として質量分析器を用いれば、クラスターイオンによる二次イオン質量分析が可能となる。分析装置23にイオン化装置付きの中性粒子検出器を用いれば、クラスターイオンによる中性粒子質量分析が可能となる。
(第2の実施形態)
本実施形態による超音速ビーム装置のクラスター生成部201を図2(b)に示す。
本装置は、クラスター生成部201がガス流量制御部11を有することを除き、前記の超音速ビーム装置と同様である。
本実施形態では、図4(a)のようにガス流量制御部11がノズル12の供給するガス流量を変動させている。ガス流量制御部11は真空容器の外に設置しても良い。また、ガス流量制御部11をクラスター生成部201の真空容器中に設置すると、ノズル12とガス流量制御部11間の配管の長さを小さく、ガス流量制御の応答速度が早いため有利である。
ガス流量が大きい第一の状態においては、ノズルに印加されるガス圧が高く(P0H)、断熱膨張による冷却効果が高いため、クラスターの密度が高くなる。
一方、第一の状態が継続するとクラスター生成部201の真空容器内の圧力が上昇するだけでなく、スキマー13の開口部を通じてガスが流入することでイオン化部3や、ビーム制御部4の圧力も上昇する。
その結果、残留ガスの平均自由行程が短くなり、クラスタービームと残留ガスとの衝突頻度が増すため、クラスタービームが減衰するという問題が生じてしまう。なお、クラスターイオンビームも減衰する。
そこで本実施形態では、ガス流量制御部11がノズルに印加されるガス圧を低い第二の状態(P0L)へ変化させ、ノズルの供給するガス流量を低減させている。ガス生成部の圧力が過度に上昇することを防ぐためである。
クラスター生成部201の真空容器内における残留ガスの平均自由行程が所定の値(λH)以上になるよう維持することができる。当該所定の値とは、クラスター生成部201の真空容器の幾何学的サイズでも良く、例えば、ノズル12とスキマーとの距離Xでも良く、クラスター生成部201の真空容器の内径または長さでも良い。尚、イオン化部3や照射部4内での残留ガスの平均自由行程が所定の値以上になるようガス流量を制御しても良い。
尚、平均自由行程は式7で計算できる窒素ガスの値を用いても良い。λの単位は[mm]、Pの単位は[Pa]である。
かかる制御により、クラスターの密度を向上させるとともに、クラスタービームの残留ガスによる減衰を抑制するという効果を有する。
(第3の実施形態)
本実施形態によるクラスター生成部202の真空容器を図2(c)に示す。
本装置は、クラスター生成部202が、ノズル12とスキマー13との間の距離を調整する距離調整機構として、ノズル12の位置を調整するノズル駆動機構25を有することを除き、第2の実施形態の超音速ビーム装置と同様である。
本実施形態では、第二の実施形態と同様にガス流量制御部11がノズル12の供給するガス流量を変動させている。
クラスター生成部202の真空容器内の圧力は、図4(b)に示すように、ノズルからガスを噴射すると上昇する。すると式1の関係により、マッハディスク15はノズル12に近づくことになる。
スキマー13がノズル12に対してマッハディスクよりも下流に位置すると、前記のようにクラスターが衝撃波の加熱作用により減衰する問題が生じる。
そこで本実施形態では、予め式1を用いてガス導入圧およびクラスター生成部202の真空容器内の圧力の変動範囲からマッハディスク15の位置の変動範囲をもとめる。そしてマッハディスク15とノズル12との間の最小距離よりも、ノズル12とスキマー13との距離が小さくなる位置にスキマー13を設置する。
また、予めノズル12とスキマー13との距離を変えた時のクラスターイオン生成量を測定すること等の方法で図1(d)の関係を実験的に求め、マッハディスク15の位置を求めても良い。クラスターイオン生成量が最大となる位置をマッハディスク15の位置として扱うこともできる。
また、図2(d)のようにスキマー駆動機構26を用いてノズル12に対するスキマー13の位置を調整しても良い。
ノズル駆動機構25やスキマー駆動機構26などのノズル12に対するスキマー13の距離を調整する距離調整機構は、ノズル12から噴射されるガスの流量が増加したときに、ノズル12から噴射されるガスの流量が増加する前よりもノズル12とスキマー13との距離を増大させ、あるいは、ノズル12から噴射されるガスの流量が減少したときに、ノズル12から噴射されるガスの流量が減少する前よりもノズル12とスキマー13との距離を短縮する。
ガス導入圧は、ガス導入配管10に接続したガス圧計9で測定しても良い。
クラスター生成部202の真空容器内の圧力は、該真空容器に接続した真空計8によって測定してもよい。またガス導入圧とノズル12のコンダクタンスから求めたガス導入量を真空ポンプの排気速度で除することで求めた計算値をもってクラスター生成部202の真空容器内の圧力としても良い。
かかる配置では、ノズル12の供給するガス流量が変動しても、クラスターがマッハディスク15を通過する前に、スキマー13がクラスタービームを形成できるため、衝撃波による加熱分解を抑制し、クラスターを効率良く利用できるという効果を有する。
(第4の実施形態)
本実施形態では、スキマー13の設置位置をのぞき第3の実施形態と同様である。
ノズル12からガスを噴射しても、クラスター生成部202の真空容器内の圧力が実質的に変動しない場合、あるいは変動が無視できる場合は、ガス導入圧が最小になったときのマッハディスク15とノズル12との間の距離よりも、ノズル12とスキマー13との距離が小さくなる位置にスキマー13を設置しても良い。また前記の場合で、ガス導入量が最小になったときでも良い。
本実施形態でも衝撃波による加熱分解を抑制し、クラスターを効率良く利用できるという効果を有するが、スキマー15の位置決めが容易であるという特長を有する。
(第5の実施形態)
本実施形態による超音速ビーム装置のクラスター生成部203を図3(a)に示す。
本装置は、ガス圧計9と真空計8に接続された第一の処理部30、データ記憶部31、判別制御部32、判別制御部32と接続されたガス流量制御部11をのぞき、第2の実施形態の超音速ビーム装置と同様である。
ノズル12からガスがクラスター生成部203の真空容器中に噴射される際に、ガス圧計9からガス導入圧データが処理部30に送られる。また真空計8からはクラスター生成部203の真空容器内の圧力データが処理部30に送られる。
処理部30はガス導入圧データと、予めデータ記憶部31に記録されていたノズル12の開口部16の口径データと、ノズル12とスキマー13との距離データから、マッハディスク15の位置が式(3)の関係を満たすクラスター生成部203の真空容器内の設定圧力を求める。設定圧力は1個の値でも、第一の実施形態で述べたように幅を持つものであっても良い。
尚、式1を用いてマッハディスク15の位置を逐次算出させても良いし、データ記憶部31にマッハディスク15の位置とガス圧データ、および真空データの関係を予め記憶させておいても良い。
また、例えばノズル12とスキマー13との距離を変えた時のクラスターイオン生成量を測定すること等の方法で、図1(d)の関係を実験的に求め、ガス圧データ、および真空データとともにデータ記憶部31に記憶させても良い。
クラスター生成部2内の設定圧力のデータは判別制御部32に送られる。判別制御部32は真空計8から実際のクラスター生成部203の真空容器内の圧力データを受け取り、両者を比較する。
例えば、クラスター生成部203の真空容器内の実際の圧力が設定圧力を超える場合は、判別制御部32がガス流量制御部にガス流量を低減させるよう指令を送信する。
尚、ガス流量の制御は、コンダクタンスを連続的に増減させるものでも良いし、パルス的に制御するものであっても良い。またガス導入圧を変動させても良い。
かかる機能により、ノズル12とスキマー13との距離を調整しなくても、式3の関係を満たすことでクラスターを効率良く利用できるという効果を発揮する。
(第6の実施形態)
本実施形態による超音速ビーム装置のクラスター生成部204を図3(b)に示す。
本装置は、ガス圧計9と真空計8に接続された処理部30、データ記憶部31、処理部30およびノズル12の位置検出部33と接続されたノズル駆動機構25をのぞき、第2の実施形態の超音速ビーム装置と同様である。
ノズル12からガスがクラスター生成部204の真空容器に噴射される際に、ガス圧計9からガス圧データが処理部30に送られる。また真空計8からはクラスター生成部204の真空容器内の真空データが処理部30に送られる。
処理部30は前記2種類のデータと、予めデータ記憶部31に記録されていたノズル12の開口部16の口径データから、マッハディスク15の位置を求める。
尚、式1を用いてマッハディスク15の位置Xを逐次算出させても良いし、データ記憶部31にマッハディスク15の位置Xとガス圧データ、および真空データの関係を予め記憶させておいても良い。
また、ノズル12とスキマー13との距離を変えた時のクラスターイオン生成量を測定すること等の方法で、図1(d)の関係を実験的に求め、ガス圧データ、および真空データとともにデータ記憶部31に記憶させても良い。クラスターイオン生成量が最大となる位置をマッハディスク15の位置としても扱うこともできる。
マッハディスク位置のデータは処理部30からノズル駆動機構25に送られる。ノズル駆動機構25はマッハディスクの位置データと、ノズル12の位置検出部33から受け取ったノズル位置データに基づき、スキマー13がマッハディスク15よりもノズル12に近くなるようノズル12の位置を調整する。
尚、第1の実施形態と同様に、スキマー13の位置はXよりもガスの平均自由行程だけ上流にあっても良く、さらにXよりも平均自由行程の10倍程度上流にあっても良い。さらに、スキマー13の位置をXとXの間としても良い。
また、ノズル12の位置を調整する代わりに、図2(d)のようなスキマー駆動機構26によりスキマー13の位置を調整しても良い。
かかる機能により、ガス導入圧やクラスター生成部204の真空容器内の圧力が変動しても、クラスターを効率良く利用できるという効果を発揮する。
1 真空容器
2 クラスター生成部
3 イオン化部
4 照射部
5 真空ポンプ
8 真空計
9 ガス圧計
10 ガス導入系
11 ガス流量制御部
12 ノズル
13 スキマー
14 バレル衝撃波
15 マッハディスク
16 超音速ビーム
17 クラスタービーム
18 クラスターイオンビーム
20 質量選別器
21 収束レンズ
22 照射ステージ
23 分析装置
24 被照射物
25 ノズル駆動機構
26 スキマー駆動機構
30 処理部
31 データ記憶部
32 判別制御部
33 ノズル位置検出部
34 第一の部分
35 第二の部分
201 第2の実施形態のクラスター生成部
202 第3の実施形態のクラスター生成部
203 第5の実施形態のクラスター生成部
204 第6の実施形態のクラスター生成部
205 スキマー位置を調整できるクラスター生成部

Claims (17)

  1. 真空中に超音速でガスを噴射するノズルと、
    該ノズルの下流に設置されたスキマーと、
    該スキマーが該ノズルより噴射されたガスから形成した超音速ビーム中の粒子をイオン化してクラスターイオンビームを形成するイオン化部とを有し、
    該スキマーの設置位置は、該ノズルと該スキマーとの間の距離に対するクラスター生成量の関係におけるクラスター生成量が最大になる位置または該位置よりも該ノズルに接近している超音速ビーム装置。
  2. 前記スキマーの設置位置は、
    該ノズルと該スキマーとの間の距離に対するクラスター生成量の関係におけるクラスター生成量が最大になる位置と、該最大になる位置からガスの平均自由行程だけ該ノズルに接近した位置との間であること、
    を特徴とする請求項1に記載の超音速ビーム装置。
  3. 前記スキマーの設置位置は、
    該ノズルと該スキマーとの間の距離に対するクラスター生成量の関係におけるクラスター生成量が最大になる位置と、該ノズルと該スキマーとの間の距離に対するクラスター生成量の関係におけるクラスター生成量の二階微分値が0になる位置との間であること、
    を特徴とする請求項1に記載の超音速ビーム装置。
  4. 前記のクラスター生成量が最大になる位置は、
    前記スキマーが無いときに該ノズルからから噴射されたガスが形成するマッハディスクの位置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  5. 前記スキマーの開口部の直径は、前記マッハディスクの直径よりも小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  6. 前記ノズルが噴射するガスの流量を制御するガス流量制御部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  7. 前記ノズルと前記スキマーとの少なくとも一方の設置位置を変化させることで、該ノズルと該スキマーとの間の距離を調整する距離調整機構を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  8. 前記距離調整機構が、該ノズルの設置位置を前記真空容器に対して調整するノズル駆動機構であること、
    を特徴とする請求項7に記載の超音速ビーム装置。
  9. 前記距離調整機構が、該スキマーの設置位置を前記真空容器に対して調整するスキマー駆動機構であること、
    を特徴とする請求項7に記載の超音速ビーム装置。
  10. 前記距離調整機構が、前記ノズルから噴射されるガスの流量が増加したときに、該ノズルから噴射されるガスの流量が増加する前よりも該ノズルと該スキマーとの距離を増大させることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  11. 前記距離調整機構が、前記ノズルから噴射されるガスの流量が減少したときに、該ノズルから噴射されるガスの流量が減少する前より該ノズルと該スキマーとの距離を短縮することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  12. 前記スキマーの位置は、前記マッハディスクが前記ノズルに対して最も接近したときの位置よりも該ノズルに近いことを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  13. 前記スキマーの位置は、前記ノズルが噴射するガス流量が最大であるときのマッハディスクの位置よりも該ノズルに近いことを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  14. 前記ガス流量制御部が、前記マッハディスクが形成される位置が前記スキマーの位置よりも該ノズルに近くなるよう該ガスの流量を制限することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  15. 前記真空容器に設置された真空計と、
    前記ノズルから噴射されるガス圧力を測定する圧力計と、
    該真空計から出力された真空データと該圧力計から出力された圧力データを受け取って、該ノズルと該スキマーとの間の距離に対するクラスター生成量の関係におけるクラスター生成量が最大になる位置を算出する処理部と、
    該ノズルと前記スキマーとの間の距離を測定する距離測定部と、
    を有し、
    該処理部からの該クラスター生成量が最大になる位置の位置データを受け取った前記距離調整機構は、該スキマーが該クラスター生成量が最大になる位置または所定の位置に近くなるよう、該測定部の出力した距離データに基づき、該ノズルまたは前記スキマーの位置を調整することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  16. 前記真空容器に設置された真空計と、
    前記ノズルから噴射されるガス圧力を測定する圧力計と、
    該ノズルと該スキマーとの間の距離を測定する距離測定部と、
    該距離測定部からの距離データおよび該圧力計から出力された圧力データからクラスター生成量が最大または所定の値になる前記真空容器内の第一の圧力を計算する前記処理部を有し、
    前記ガス流量制御部は、該真空容器内の圧力が該第一の圧力を超えないようガス流量を制御することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の超音速ビーム装置。
  17. ノズルからガスを真空中に超音速で噴射することで超音速ビームを発生するステップと、
    該ノズルと超音速ビームが形成するマッハディスクとの間に配置したスキマーで粒子を含有する超音速ビームを生成するステップと、
    該スキマーを通過した超音速ビーム中の粒子をイオン化部でイオン化するステップと、
    を有することを特徴とするクラスターイオンビームを形成する方法。
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