JP6564201B2 - 酸化防止用乳化組成物 - Google Patents

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本発明は、酸化防止剤およびこれを含有する食品香料、または飲食品に関する。詳しくは、透明分散が可能であって、フリーラジカルとの反応性に富むことを特徴とする酸化防止用乳化組成物に関し、さらには該酸化防止用乳化組成物を供した食品香料、または飲食品に関する。
飲食品において香味や色調は非常に重要な要素であり、飲食品を特徴づけるものであるが、加工、流通および保存中の各要因において経時劣化しやすい成分である。また、近年コンビニエンスストアのショーケースにおける販売や、酸素透過性の高い容器による高温販売が増え、熱や光、酸素の影響も受けやすい状況となっている。また、遮光および気密性容器に充填されたレトルト食品であっても、常温で流通可能とするため高温で加熱殺菌処理されるのが一般的である。その結果レトルト臭とされる風味劣化が生じ、その後の長期間保存によって更に品質の低下が認められる。これら熱や酸素、光などによる酸化反応は、主に飲食品中に発生するフリーラジカルが関与している。飲食品の酸化劣化を抑制するためには、これらフリーラジカルを速やかに捕捉し、安定化させることが求められる。
これら飲食品の酸化的劣化の改善策として、数多くの酸化防止剤が開発され、報告されている。例えば、リゾチーム、グリシン乃至その塩、有機酸乃至その酸性塩、酢酸ナトリウム、酸化防止剤、および炭酸塩を含有することを特徴とする緑色野菜の日持向上および退色防止剤(例えば、特許文献1参照。)、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、エタノール、およびジアシルグリセロール含有液状油脂を含み、常温で透明な液状であることを特徴とする酸化防止剤製剤(例えば、特許文献2参照。)、ローズマリー水溶性抽出物とカテキンを含有することを特徴とする酸化防止剤(例えば、特許文献3参照。)などが提案されている。
しかし、これらの酸化防止剤の多くは、透明分散が困難であり飲食品の外観を損ねる、酸化防止剤そのものの風味が飲食品に悪影響を与える、有効な条件が常温保存時など比較的酸化劣化の緩やかな条件に限られる、飲食品のpHや温度によって酸化防止剤の安定性が損なわれる、酸化防止効果を発揮するためには高濃度の添加を要する、といった欠点がある。また、酸化防止素材としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、トコフェロールなどが古くから用いられている。
しかし、ジブチルヒドロキシトルエンや、ブチルヒドロキシアニソールといった合成の酸化防止剤は健康に好ましくない影響を与えることが指摘され、添加量、添加する食品の種類などが現在厳しく制限されている。また、アスコルビン酸は油溶性物質への親和性が低く、飲食品に含まれる脂質類の酸化防止効果が劣り、加えて高濃度では劣化を促進する場合があることも知られている。油溶性の酸化防止物質であるトコフェロールは安全で且つ脂質類の酸化劣化に対して優れた抑制効果を示すことから、様々な分野で幅広く利用されているが、油溶性の酸化防止物質を水系の飲食品に添加する場合、乳化状態によっては本来のフリーラジカル捕捉能、すなわち酸化防止効果を十分に発揮することができない。このように、飲食品の酸化劣化防止において従来の酸化防止剤で十分な効果と実用性を有する場合は少ない。特に飲食品製造時の加熱殺菌工程や、日光や強い照明下、あるいは高温加熱条件での飲食品販売時のような、短期的に強い虐待に晒される場合には、従来の酸化防止剤のフリーラジカル捕捉反応速度では飲食品の酸化劣化速度に追いつかず、十分な酸化防止効果が認められない。このように、従来の技術では十分に抑制できていない飲食品劣化条件において、よりフリーラジカルとの反応性に優れた酸化防止剤の開発が求められている。
特開2015−18号公報 特開2012−7125号公報 特開2011−80086号公報
本発明は、フリーラジカルとの反応性に富むことで短期的な強い虐待に対する優れた酸化防止効果を有し、さらに飲食品の外観、風味を損ねることがなく、食品中での分散性、乳化安定性に優れた酸化防止用乳化組成物の開発を目的とする。
発明者らは、より効果的に飲食品の酸化劣化を抑制するため研究を重ねた結果、ある特定の範囲のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて油溶性酸化防止素材を水中に分散した際に、粒子径を微細に制御することで、油溶性酸化防止素材の酸化防止能を十分に引き出し、従来の酸化防止剤と比較して優れた酸化防止効果を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、油溶性酸化防止素材の粒子径制御によりフリーラジカルとの反応性を向上させることを特徴とするものである。
本発明の酸化防止用乳化組成物は、従来の酸化防止剤と比較して反応性に優れるという利点がある。本発明の酸化防止用乳化組成物を用いることにより、飲食品製造時の加熱殺菌工程や、日光や強い照明下、あるいは高温加熱条件での飲食品販売時のような、短期的な強い酸化劣化に対しても酸化防止効果を得ることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本願発明における酸化防止用乳化組成物とは、飲食品の製造または保存中における光、熱、酸素などの影響による食品成分の酸化劣化を顕著に抑制し得る製剤である。本発明が酸化劣化を防止する食品成分とは、例えば各種の香味成分、色素成分、栄養成分であり、特に限定されるものではない。
本発明の酸化防止用乳化組成物は、適切な乳化粒子径を維持するといった観点から、乳化剤として炭素数12以上の飽和脂肪酸で構成されるポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする。炭素数12以上の飽和脂肪酸とはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などを挙げることができ、好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、特に好ましくはミリスチン酸である。一方で、炭素数が12に満たない脂肪酸や不飽和脂肪酸を用いた場合、酸化防止用乳化組成物の香味が飲食品の風味に影響する場合がある。
また、本発明で用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは、構成するポリグリセリンの平均重合度が3以上、好ましくは5以上、より好ましくは8以上である。平均重合度はポリグリセリンの水酸基価から次式によって算出できる。原料となるポリグリセリンの水酸基価は基準油脂分析試験法(2,3,6,2−1996ヒドロキシル価(ピリジン−無水酢酸法))を用いて測定することができる。
m=74n+18
OHV=56110(n+2)/m
n:ポリグリセリンの平均重合度
m:ポリグリセリンの平均分子量
OHV:ポリグリセリンの水酸基価
本発明の酸化防止用乳化組成物には上記ポリグリセリン脂肪酸エステルに加え、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤の1種または2種以上を併用してもよいが、ポリグリセリン脂肪酸エステルは乳化剤全量中、50重量%以上の割合で含まれることが望ましく、乳化粒子径を適切に維持するといった観点から75重量%以上であることがより望ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤は特に限定するものではないが、そのような乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、モノグリセリド誘導体、ポリオキシエチレン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵素分解レシチンなどが例示できる。
また、界面活性剤の親水性、親油性の度合いはHLB(Hydrophile‐Lipophile Balance)で表されるが、本発明の中の水および/または多価アルコール中油型乳化物を得るためにはHLBが10以上であればよいが、好ましくは12以上、より好ましくは14以上であることが望ましい。HLBが10より小さい場合、油溶性酸化防止素材を水中に微細分散することが困難であり、酸化防止素材の十分な反応性向上効果が得られにくい。
HLBの求め方は特に限定するものではなく、既存の種々の手法が利用できる。例えばエステル型の界面活性剤の場合、けん化価と構成脂肪酸の酸価から次式によって算出できる。
HLB=20×(1−S/A)
S:けん化価、A:構成脂肪酸の酸価
また、親水基としてポリオキシエチレン鎖だけを持つものは次式で算出できる。
HLB=E/5
E:ポリオキシエチレン基の重量分率
これらの算術的な方法の他、実験的にHLBを求めることもできる。すなわちHLB既知の界面活性剤と未知の界面活性剤を組み合わせて、HLB既知の油脂と水を乳化し、もっとも乳化状態が良い混合比のものを選定して、次式より算定できる。
{(Wu×HLBu)+(Wa×HLBa)}/(Wu+Wa)=HLBo
Wu:HLB未知の界面活性剤の重量分率
Wa:HLB既知の界面活性剤の重量分率
HLBu:HLB未知の界面活性剤のHLB(求める界面活性剤のHLB)
HLBa:HLB既知の界面活性剤のHLB
HLBo:油脂の所要HLB
本発明における油溶性酸化防止素材とは特に限定されるものではないが、トコフェロール類、ビタミンCの脂肪酸エステル類、カロチノイド類、油溶性植物エキス類、ユビキノール、没食子酸プロピル等を例示することができ、その1種または2種以上を併用してもよいが、好ましくはトコフェロール類を含むことが望ましい。本願の発明に用いるトコフェロール類は、抽出および合成トコフェロールであって、特に限定されるものではない。一般に抽出トコフェロールは、植物原料由来の油脂から抽出、精製したものを指す。抽出される植物原料の種類は、特に限定されるものではないが、代表例として大豆油、小麦胚芽油、パーム油などが挙げられる。
本願の発明に用いるビタミンCの脂肪酸エステル類は、特に限定されるものではないが、一般的に用いられるものとしてL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル等が挙げられる。本願の発明に用いるカロチノイド類は、特に限定されるものではないが、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、δ−カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、フコキサンチン、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、ビオラキサンチンなどが挙げられる。本願の発明に用いる油溶性植物エキス類は、酸化防止能を有する成分を含有していれば良く、抽出方法や抽出溶剤など特に限定されるものではないが、ローズマリー、レモングラス、セージ、ハッカ、シソ、バジル、ショウガ、わさび、ごぼう、にんじん、ねぎ、玉ねぎ等のスパイスまたは野菜類のアルコール抽出物等を例示することができる。
本発明における油溶性酸化防止素材にトコフェロール類を使用する場合、その精製方法などは特に限定しないが、総トコフェロール中、α−トコフェロールを3%以上含有することが好ましく、より好ましくはα−トコフェロールを10%以上含有するものであり、さらに好ましくはα−トコフェロールを20%以上含有するものが望ましい。これはトコフェロール同族体の中でフリーラジカルとの反応速度はα−トコフェロールが最も高く、総トコフェロール中のα−トコフェロールの配合比率が高いほど有効であるためである。抽出トコフェロールの各同族体の含量を測定するには、食品添加物公定書に記載の測定方法(高速液体クロマトグラフ法)により可能である。
本発明の酸化防止用乳化組成物に含まれる油溶性酸化防止素材の含量は特に限定されるものではないが、好ましくは4〜20重量%が含まれることが望ましく、さらに好ましくは6〜20重量%が含まれることが望ましい。2%未満では使用する酸化防止素材の反応性向上効果は得られるが、酸化防止剤としての効果は十分ではない場合がある。また、20重量%を超える濃度の添加では水または多価アルコール中油型の乳化物とした場合、安定に添加することが困難となる。
本発明に記載される多価アルコールとは、1つの分子内に2個以上の水酸機を有する化合物の総称であり、特にその種類を限定するものではない。例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、乳糖、砂糖、カップリングシュガー、ブドウ糖、酵素水飴、酸糖化水飴、麦芽糖水飴、麦芽糖、異性化糖、果糖、還元麦芽糖、還元澱粉水飴、蜂蜜などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、より利用しやすくする目的で、乳化に影響を及ぼさない範囲において、エタノールなどを混合しても良い。
本発明における水および/または多価アルコールと界面活性剤で酸化防止用乳化組成物を調製する場合は、水および/または多価アルコール中に界面活性剤を溶解させた後、油溶性酸化防止素材を含む油相を添加し、乳化装置を用いて乳化することにより得られる。乳化装置は、特に限定されるものではないが、具体的には、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーなどが挙げられる。なお、素材の劣化を防ぎ、製剤の安定性を向上させる目的で、全ての工程を通じて、窒素、ヘリウムといった不活性ガス気流下での調製が望ましい。
本発明における酸化防止用乳化組成物は、平均粒子径200nm以下の微細な乳化粒子とすることによって、油溶性酸化防止素材の分離がなく、最終製品の外観を損ねることなく効果的に酸化防止効果を発揮することができる。好ましくは150nm以下が望ましく、さらに好ましくは100nm以下が望ましい。平均粒子径が小さいほど、水中分散時における油溶性酸化防止素材の表面積が大きくなることから、反応性が向上し、酸化防止効果を十分に発揮することができる。
また、微細な乳化とすることによってさらに乳化安定性に優れるものとすることができる。粒子径が200nmを超える場合、酸化防止素材の反応性向上効果が十分でないことに加え、高濃度の添加時には最終製品に濁りを生じ、外観を損ねるおそれがある。本発明における油溶性酸化防止素材を水に分散させた時の平均粒子径は、ベックマンコールター社の粒度分布測定器(L−230)などを用いて容易に測定することができる。
本発明における酸化防止用乳化組成物は、水中におけるフリーラジカルとの反応速度定数を向上させることにより、油溶性酸化防止素材の活性を効果的に引き出し、効率的にフリーラジカルを消去することが可能となる。反応速度定数はフリーラジカルおよび酸化防止素材濃度に依存しない酸化防止用乳化組成物毎に求められる定数であり、酸化防止用乳化組成物中に含まれる酸化防止素材のフリーラジカル消去活性を示す値である。
本発明において、反応速度定数は水中におけるフリーラジカルと酸化防止用乳化組成物中に含まれる酸化防止素材の初期濃度、およびフリーラジカルと酸化防止素材の反応初速度から次式によって算出できる。フリーラジカルの種類は特に限定されるものではないが、代表例として水に溶解し濃度測定が容易であるABTS(2,2’−アジノビス−3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ラジカルが挙げられる。ABTSラジカルの濃度は420nmにおける吸光度から、モル吸光係数36,000M−1cm−1を用いて求めることができる。
k=V/[F][A]
k:フリーラジカルと酸化防止用乳化組成物中に含まれる酸化防止素材の反応速度定数
V:フリーラジカルと酸化防止用乳化組成物中に含まれる酸化防止素材の反応初速度
[F]:水中における初期フリーラジカル濃度
[A]:水中における酸化防止用乳化組成物中に含まれる酸化防止素材の初期濃度
フリーラジカルと酸化防止素材の反応初速度は既存の種々の方法で測定できる。例えばフリーラジカルとしてABTSを使用する場合、ABTSの極大吸収波長734nmにおける吸光度変化を経時的にプロットし、酸化防止用乳化組成物との混合直後における接線の傾きから求めることができる。測定波長の吸光度において酸化防止用乳化組成物の持つ吸収波長の影響がある場合には、測定可能な任意の波長を設定してもよい。吸光度の時間変化は日立ハイテクサイエンス社製の分光光度計(U−3900)などを用いて容易に測定することができる。
本発明の反応速度定数の測定において、フリーラジカルとしてABTSを使用する場合、その反応速度定数の値を16000M−1−1以上とすることにより、効率的にフリーラジカルを消去することが可能となる。好ましくは19000M−1−1以上が望ましく、さらに好ましくは22000M−1−1以上がより望ましい。反応速度定数が16000M−1−1に満たない場合、食品の酸化劣化速度に対して十分な反応速度を得るために高濃度の酸化防止用乳化組成物添加を要し、添加濃度に対して十分な酸化防止効果が得られないばかりか、酸化防止用乳化組成物の香味が飲食品の風味に影響する場合がある。
本発明において、飲食品とは特に限定されるものではなく、光、熱、酸素などの影響を受け風味劣化の生じる飲食品すべてに効果を発揮するが、例えば無果汁飲料、果汁入り飲料、野菜飲料、炭酸飲料、コーヒー、アルコール飲料、ミネラル含有飲料、ビタミン含有飲料、機能性食品素材の含有飲料等の飲料類、乳飲料、乳酸菌飲料、はっ酵乳、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳および、乳を主原料とする製品、ゼリー、ババロア、プリン等のデザート食品類、牛丼、豚丼、親子丼、中華丼、スープ、パスタソース、カレー、シチュー、雑炊、缶入り飲料、缶詰め食品、ビン詰め飲料、ビン詰め食品等の加熱処理された加工調理食品およびレトルト処理食品、キャンディー、スナック食品等の菓子類、などを挙げることができる。
本発明の酸化防止用乳化組成物のこれら飲食品に対する添加量は、特に限定されるものではなく、使用する酸化防止用乳化組成物中の成分の純度、配合割合や、添加する飲食品の種類等により変動するが、一般的には飲食品の0.005〜0.5重量%の範囲で添加するのが好ましい。さらに好ましくは0.01〜0.1重量%が望ましい。0.005重量%未満では期待される効果は得られにくく、0.5重量%を超える濃度の添加では酸化防止用乳化組成物の香味が飲食品の風味に影響する場合もある。
以下、本発明の態様を実施例によりさらに記載し、開示する。この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。
実施例1
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は80nmであった。
実施例2
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)810gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)50gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は80nmであった。
実施例3
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)830gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)30gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は80nmであった。
実施例4
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量15%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は80nmであった。
実施例5
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量5%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は80nmであった。
実施例6
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)24gとショ糖ステアリン酸エステル(HLB値15)16gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は100nmであった。
実施例7
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)12gとショ糖ステアリン酸エステル(HLB値15)28gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は120nmであった。
実施例8
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値13)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は120nmであった。
実施例9
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値11)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は160nmであった。
実施例10
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるヘキサグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値13)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は130nmであった。
実施例11
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるテトラグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値11)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は180nmであった。
実施例12
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させ、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は130nmであった。
実施例13
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数6000rpmで予備乳化させ、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は180nmであった。
比較例1
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量0%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は80nmであった。
比較例2
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)610gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)250gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は240nmであった。
比較例3
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノオクタノエート(太陽化学(株)製、HLB値16)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は80nmであった。
比較例4
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノオレート(太陽化学(株)製、HLB値14)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は100nmであった。
比較例5
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるジグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値7)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は610nmであった。
比較例6
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとショ糖ステアリン酸エステル(HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は120nmであった。
比較例7
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであるポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(花王(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は80nmであった。
比較例8
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値9)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで予備乳化させた後、湿式微粒化装置((株)スギノマシン製)にて圧力150MPaで微細乳化し、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は510nmであった。
比較例9
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)780gにイオン交換水100gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値15)40gを添加し、65℃に加温溶解した。油溶性酸化防止素材として抽出トコフェロール(d−α−トコフェロール含量25%)80gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させ、乳化組成物を得た。そのようにして得られた乳化組成物を水に分散させたときの平均粒子径は420nmであった。
試験例1
実施例1〜13、比較例1〜9中で得られた酸化防止用乳化組成物は、ABTSラジカル溶液に0.02%となるように添加した。ABTSラジカル溶液は7mMのABTSと2.45mMのK2S2O8を混合し、室温暗所で12時間静置後に734nmにおける吸光度が0.8となるように水で希釈したものである。ABTSラジカルの吸光度は日立製U−3900を用い室温にて測定し、酸化防止用乳化組成物添加直後より吸光度変化をプロットした。得られた吸光度変化曲線の、酸化防止用乳化組成物添加時における接線の傾きからABTSラジカルと油溶性酸化防止素材の反応初速度を算出した。算出された反応初速度および反応溶液中におけるABTSラジカルと油溶性酸化防止素材濃度から、反応速度定数を求めた。結果を表1に示す。
また、反応速度定数の評価は、22000M−1−1以上を◎、16000M−1−1以上を○、14000M−1−1以上を△、14000M−1−1未満を×とした。結果を表2に示す。
試験例2
実施例1〜14、比較例1〜3中で得られた酸化防止用乳化組成物を0.1%となるように水に分散させ、試験溶液を得た。試験溶液はその平均粒子径を粒度分布測定器(ベックマンコールター社製:L−230)にて測定し、状態を目視にて確認した。さらに、各試験溶液200gをそれぞれ金属缶に封入し、121℃で30分間レトルト殺菌後、平均粒子径を同様に測定した。結果を表1に示す。
また、レトルト殺菌耐性の評価は、レトルト殺菌の前後で平均粒子径に変化がないものを◎、平均粒子径の変化が僅かなものを○、平均粒子径が大きく変化したものを△、分離が認められるものを×とした。結果を表2に示す。
試験例3
果糖ブドウ糖液糖10%、クエン酸0.25%およびクエン酸ナトリウム0.05%を水90%に溶解してBx.7.5、pH:2.8の酸糖液を調製した。この酸糖液に実施例1〜13および比較例1〜9で得られた乳化組成物をそれぞれ0.1%添加し、酸化防止用乳化組成物入りの酸糖液を得た。それぞれの酸化防止用乳化組成物入り酸糖液の平均粒子径を、試験例2と同様の方法で測定した。さらに、その酸糖液を55℃にて2週間保存し、保存後の濁度、平均粒子径を同様にして測定し、状態を目視にて確認した。結果を表1に示す。
また、耐酸性の評価は、55℃にて2週間保存時に平均粒子径に変化がないものを◎、平均粒子径の変化が僅かなものを○、平均粒子径が大きく変化したものを△、分離が認められるものを×とした。結果を表2に示す。
試験例4
市販インスタントコーヒー1%および市販コーヒーホワイトナー1%を沸騰水98%に溶解し、評価用コーヒー液を得た。評価用コーヒー液200gに、実施例1〜13および比較例1〜9で得られた酸化防止用乳化組成物をそれぞれ0.1%添加し、金属缶に封入した。酸化防止用乳化組成物入りの評価用コーヒー液はそれぞれ121℃で30分間レトルト殺菌後、異臭の発生強度について官能評価を行った。評価は専門パネル10名で行い、評価用コーヒー液と比較し5段階でスコア付けをした。結果を表1に示す。
なお、表1中の評価点数は、下記の基準で採点した各パネルの平均点である。また、コーヒー液劣化抑制評価はレトルト殺菌後の平均点が4点以上を◎、3点以上を○、2.5点以上を△、2.5点未満を×とした。結果を表2に示す。
(評価基準)
評価用コーヒー液と同等( 変化なし) : 5 点
評価用コーヒー液と比べわずかに変化している: 4 点
評価用コーヒー液と比べ少し変化している : 3 点
評価用コーヒー液と比べかなり変化している : 2 点
評価用コーヒー液と比べ著しく変化している : 1 点
各試験の総合評価として、試験例4のレトルト殺菌後の平均点に、試験例1〜3で◎もしくは○であったものをそれぞれ1点として加点した総合点を表2に示す。
Figure 0006564201
Figure 0006564201
表1および表2の結果より、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用い、油溶性酸化防止素材の水中における乳化粒子径を200nm以下に制御することで、乳化安定性に優れ、かつ酸化防止素材のフリーラジカルとの反応性が明確に向上することは明らかである。これにより、飲食品の加熱殺菌工程や加熱販売時といった劣化の進みやすい条件下において、飲食品の外観、風味を損ねることがなく、従来の酸化防止剤と比較し効率的・効果的に酸化防止効果を発揮することができる。
本発明の酸化防止用乳化組成物を用いることにより、飲食品製造時の加熱殺菌工程や、日光や強い照明下、あるいは高温加熱条件での飲食品販売時のような、短期的な強い酸化劣化に晒される飲食品の酸化防止に応用することができ、多くの飲食品の酸化劣化防止、品質保持効果を提供することが可能となり、産業上貢献大である。

Claims (7)

  1. HLB10以上、平均重合度が3以上、構成脂肪酸の炭素鎖が12以上の飽和脂肪酸で構成されるポリグリセリン脂肪酸エステル、およびα−トコフェロールを3〜25%含有するトコフェロールを含有し、水100に対しグリセリン780〜830を配合したグリセリン溶液中油型の酸化防止用乳化組成物であって、水中に分散させたときの平均粒子径が200nm以下で、α−トコフェロールを3〜25%含有するトコフェロールのフリーラジカルとの反応速度定数が16000M−1−1以上であるグリセリン溶液中油型の酸化防止用乳化組成物。
  2. 請求項1記載のポリグリセリン脂肪酸エステルの平均重合度が4〜10であることを特徴とする、請求項1記載の酸化防止用乳化組成物。
  3. 請求項1または2記載のポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素鎖が14の飽和脂肪酸であり、飲食品用であることを特徴とする、請求項1または2記載の酸化防止用乳化組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか記載の酸化防止用乳化組成物を含有する飲食品。
  5. 請求項1〜3の何れか記載の酸化防止用乳化組成物を含有する食品香料。
  6. 水100に対しグリセリン780〜830を配合したグリセリン溶液と、HLB10以上、平均重合度が3以上、構成脂肪酸の炭素鎖が12以上の飽和脂肪酸で構成されるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する水相を10〜90℃に加温し、該水相と、α−トコフェロールを3〜25%含有するトコフェロールを含有する油相を混合してグリセリン中油型乳化物とし、水中に分散させたときの平均粒子径が200nm以下かつα−トコフェロールを3〜25%含有するトコフェロールのフリーラジカルとの反応速度定数が16000M−1−1以上とすることを特徴とする酸化防止用乳化組成物の製造方法。
  7. 水100に対しグリセリン780〜830を配合したグリセリン溶液と、HLB10以上、平均重合度が3以上、構成脂肪酸の炭素鎖が12以上の飽和脂肪酸で構成されるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する水相を10〜90℃に加温し、該水相と、α−トコフェロールを3〜25%含有するトコフェロールを含有する油相を乳化装置を用いて混合し、得られた酸化防止用乳化組成物を水中に分散させたときの平均粒子径を200nm以下にすることを特徴とする、α−トコフェロールを3〜25%含有するトコフェロールのフリーラジカルとの反応速度を向上させる方法。
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