JP6461471B2 - 酸化劣化が抑制された乳製品 - Google Patents

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Description

光や熱、酸素といった様々な要因から酸化劣化が抑制された乳製品に関する。
乳製品が製造から消費者の手元へ渡る迄の間、製造中の殺菌工程の熱に因る酸化や、包装中の酸素に因る酸化、またコンビニエンスストアやスーパーマーケット等でのショーケースに陳列される事に因る光酸化等、様々な酸化要因に因って異味、異臭が生じている。
これらは製品の商品価値を著しく低下させるため、製造工程中の殺菌を低温で処理する、包材の機密性や遮光性を向上させる、製品中にビタミンC等の抗酸化素材を添加するなどの対策が取られてきたが、十分な効果は得られなかった。
例えばカロテノイド類とトコフェロールを併用して経口組成物に添加する技術(例えば、特許文献1参照。)や、カロテノイド類を食品の着色安定化剤として使用する技術(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。しかしながら、前者に挙げられる技術は生体内での酸化抑制や着色剤の安定を目的とするものであり、乳製品の酸化劣化に対して十分な効果を得られていない。
特開2008−179632号公報 特許第4149561号公報
本発明は、乳製品の様々な酸化劣化に対して、従来の抗酸化剤と比較して有効な製剤を組み合わせた乳製品を提供することを課題とする。
発明者らは、乳製品の様々な要因に因る酸化劣化を抑制するため鋭意検討を行った結果、カロテノイド類、トコフェロール類及び茶抽出物を添加することにより、従来の乳製品と比較して乳製品特有の酸化劣化による劣化臭などの抑制において著しい効果を発揮することを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明はカロテノイド類、トコフェロール類及び茶抽出物を添加することを特徴とする乳製品に関するものである。
本発明により、光や熱、酸素といった様々な要因から酸化劣化が抑制された優れた乳製品を提供することができる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明におけるカロテノイド類とは特に限定されるものではないが、一般的には8個のイソプレン単位からなる化合物であり、天然に存在する黄色から赤のテルペノイド類で、α‐カロテン、β‐カロテン、リコピン、フィトエンなどの炭化水素類(カロテン類)やそのエポキシ体(キサントフィル類)としてアスタキサンチン、ゼアキサンチン、アクチニオエリスロール、ルテイン、クリプトキサンチン、ツナキサンチン、サルモキサンチン、パラシロキサンチン、ビオラキサンチン、アンテラキサンチン、ククルビタキサンチン、ディアトキサンチン、アロキサンチン、ペクテノール、ペクテノロン、マクトラキサンチン、カプサンチン、カプサンチノール、フコキサンチン、フコキサンチノール、ペリジニン、ハロシンチアキサンチン、アマロウシアキサンチン、カンタキサンチン、エキネノン、ロドキサンチン、ビキシン、ノルビキシン、さらには、ノルカロテノイド類やアポカロテノイド類が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を組み合わせて使用されるが、好ましくはβ‐カロテンやルテイン、リコピンであり、更に好ましくはルテインである。
これらのカロテノイドは、植物、動物、微生物などの天然物から抽出されたものや化学合成品を用いることができる。天然の抽出物は、その原料種類、産地及び製造方法は特に限定されない。また、抽出物をそのまま利用することもできる
本発明におけるカロテノイド類の添加量は特に限定するものではないが、乳製品中に0.000001〜0.001重量%含まれることが好ましく、更に好ましくは0.00001〜0.0001重量%である。0.000001重量%未満では期待される効果は得られにくく、0.001重量%を超える濃度の添加では乳製品の外観や風味に影響を及ぼすことや、安定に添加することが難しい場合がある。
本発明におけるトコフェロール類は、植物原料由来の油脂から抽出、精製されたもの又は化学的に合成されたものを指す。抽出される植物油脂の種類は、特に限定されるものではないが、代表例として大豆油、小麦胚芽油、パーム油などが挙げられる。また、抽出トコフェロールは、d−α,β,γ,δの同族体が混在するが、その成分比率は、植物の種類や品種、産地などにも影響される。
また、工業的に分子蒸留などの工程により特定の同族体の成分比率を上げた製品も市販されている。抽出トコフェロール中の各同族体の含量を測定するには、食品添加物公定書に記載の測定方法(高速液体クロマトグラフ法)により測定が可能である。
本発明における抽出トコフェロールの添加量は特に限定するものではないが、乳製品中に0.0001〜0.05重量%含まれることが好ましく、更に好ましくは0.001〜0.005重量%である。0.0001重量%未満では期待される効果は得られにくく、0.05重量%を超える濃度の添加では安定に添加することが難しい場合がある。
本発明で用いる茶抽出物の原料は、特に限定するものではなく、植物学的にはツバキ科の植物であるCamellia Sinensisの葉より製造される不発酵茶である緑茶、半発酵茶である烏龍茶、発酵茶である紅茶が挙げられる。それらの中で、好ましくは不発酵茶である緑茶を用いるのが良い。
抽出物は、茶葉または茶葉を粉砕したものを、水または熱水もしくはグリセリンやエタノールなどのアルコールにより抽出した画分、または酢酸エチル可溶画分、アセトン可溶画分より得たものなどが挙げられ、さらに好ましくは、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート及び(−)−エピガロカテキンガレートからなる群より選ばれるカテキン類の1種又は2種以上が挙げられる。上記カテキン類の含量は特に限定するものではないが、使用する茶抽出物中に60%以上含有されていることが好ましく、さらに好ましくは70%以上含有されていることがよい。これらカテキン類の総含量は、酒石酸鉄を用いた比色定量法により測定可能であるが、各カテキン類の組成を詳細に測定するには、高速液体クロマトグラフィーで測定することが好適である。
本発明における茶抽出物の添加量は特に限定するものではないが、乳製品中に0.00001〜0.01重量%含まれることが好ましく、更に好ましくは0.0001〜0.005重量%が好ましい。0.00001%未満では期待される効果は得られにくく、0.01%を超える濃度の添加では茶抽出物の香味が食品の風味に影響を及ぼす場合がある。
本発明におけるカロテノイド類、トコフェロール類、茶抽出物の添加方法は、特に限定されるものではないが、カロテノイド類やトコフェロール類は水に溶解し難いため界面活性剤を併用して分散性を高めたり、乳製品の種類によっては、水及び/又は多価アルコールにカロテノイド類、トコフェロール類、茶抽出物を界面活性剤で予め乳化した後に乳製品へ添加することが望ましい。
本発明における界面活性剤とは、特に限定されるものではないが、好ましくは炭素数8〜22の飽和ないし不飽和脂肪酸で、単品又は混合した構成脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベートの1種または2種以上を含むことが望ましく、さらに好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことが望ましい。また、乳化剤の親水性、親油性の度合いはHLB(Hydrophile‐Lipophile Balance)で表されるが、本発明の目的を達成するためにはHLBが9以上、好ましくは12以上であることが望ましい。HLBが9より小さいと、油溶性物質であるカロテノイド類や、トコフェロール類を水系の乳製品に安定に添加することが難しい場合がある。HLBの求め方は特に限定するものではなく、既存の種々の手法が利用できる。例えばエステル型の乳化剤の場合、けん化価と構成脂肪酸の酸価から次式によって算出できる。また、該劣化防止剤の乳化に使用される界面活性剤は他の乳化剤の1種または2種以上を併用してもよい。そのような乳化剤としてモノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、モノグリセリド誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン、キラヤ抽出物などが例示できる。
HLB=20×(1−S/A)
S: けん化価、A: 構成脂肪酸の酸価
また、親水基としてポリオキシエチレン鎖だけを持つものは次式で算出できる。
HLB=E/5
E: ポリオキシエチレン基の重量分率
これらの算術的な方法の他、実験的にHLBを求めることもできる。すなわちHLB既知の界面活性剤と未知の界面活性剤を組み合わせて、HLB既知の油脂と水を乳化し、もっとも乳化状態が良い混合比のものを選定して、次式より算定できる。
{(Wu×HLBu)+(Wa×HLBa)}/(Wu+Wa)=HLBo
Wu:HLB未知の界面活性剤の重量分率
Wa:HLB既知の界面活性剤の重量分率
HLBu:HLB未知の界面活性剤のHLB(求める界面活性剤のHLB)
HLBa:HLB既知の界面活性剤のHLB
HLBo:油脂の所要HLB
本発明に記載される水及び/又は多価アルコールとは、1つの分子内に2個以上の水酸基を有する化合物の総称であり、特にその種類を限定するものではない。例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、乳糖、砂糖、カップリングシュガー、ブドウ糖、酵素水飴、酸糖化水飴、麦芽糖水飴、麦芽糖、異性化糖、果糖、還元麦芽糖、還元澱粉水飴、蜂蜜などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、より利用しやすくする目的で、乳化に影響を及ぼさない範囲において、エタノールなどを混合しても良い。
本発明における水及び/又は多価アルコールと界面活性剤で乳化物を調製する場合は、水及び/又は多価アルコール中に界面活性剤を溶解させた後、カロテノイド類やトコフェロール類を含む油相を添加し、乳化装置を用い乳化することにより得られる。乳化装置は、特に限定されるものではないが、具体的には、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーなどが挙げられる。茶抽出物の添加方法は特に限定されるものではなく、乳化の前後の何れでも良いが、好ましくは乳化前に添加し、水及び/又は多価アルコール中によく溶解させておくのが望ましい。なお、素材の劣化を防ぎ、製剤の安定性を向上させる目的で、全ての工程を通じて、窒素、ヘリウムといった不活性ガス気流下での調製が望ましい。
本発明における水及び/又は多価アルコールと界面活性剤で酸化防止製剤を調製する場合は、好ましくは平均粒子径1.0μm以下の微細な乳化粒子とすることによって、油溶性であるカロテノイド類やトコフェロール類の分離がなく、分散性が向上するため、効果的に乳製品の劣化を防止することができる。さらに好ましくは0.4μm以下が望ましい。0.4μm以下の微細な乳化にすることよって、さらに乳化安定性に優れるものとなる。また、平均粒子径が小さくなればなるほど、カロテノイド類トコフェロール類と乳タンパクや乳脂肪の接する表面積が大きくなることから、酸化劣化防止の効果も増大し、少量の添加で効果を十分に発揮することができる。
本発明におけるカロテノイド類やトコフェロール類を水に分散させた時の平均粒子径はベックマンコールター社の粒度分布測定器(L−230)などを用いて容易に測定することができる。
本発明において、一重項酸素クエンチャーであるカロテノイド類を含有することで、光エネルギーに起因する乳製品中のリボフラビンの励起から生じる特異的な酸化劣化メカニズムを抑制し、ラジカル消去能を有する油溶性物質であるトコフェロール類、水溶性物質である茶抽出物を含有することで、乳タンパク、乳脂肪のどちらの酸化劣化に対しても抑制効果を発揮する。さらに界面活性剤で微細かつ安定な乳化物とすることで、熱や酸素、光などに因る酸化劣化防止効果や、長期保存により発現する異臭成分を抑制する効果の向上を期待することができる。
本発明はカロテノイド類、トコフェロール類、茶抽出物を乳製品に添加することで所望の効果が得られるが、必要に応じて公知の酸化防止剤を併用してもよい。例として油溶性酸化防止剤(カンゾウ油抽出物、ゴマ油不けん化物、γ−オリザノール、ナタネ油抽出物)、水溶性酸化防止剤(L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸、クロロゲン酸、酵素処理ルチン、ブドウ種子抽出物、ローズマリー抽出物、ヒマワリ抽出物、クエルセチン、ヤマモモ抽出物、食用カンナ抽出物、ブルーベリー葉抽出物等)、また、水、油に難溶である酸化防止剤(ドクダミ抽出物、アオイ花抽出物、ピメンタ抽出物等)、金属封鎖剤(グルコン酸、コウジ酸、フィチン酸、ポリリン酸、キチン、キトサン等)、アミノ酸類、クエン酸等の有機酸類又その塩類、ヘスペリジン、ヘスペレチン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用配合してもよい。
本発明において、乳製品とは特に限定されるものではなく、熱や酸素、光などの影響で酸化劣化する乳製品すべてに効果を発揮するが、例えばチーズ、バター、ヨーグルト、ケフィア、カッテージチーズ(Quark)、サワークリーム、バターミルク、クリーム、アイスクリーム、乳飲料、コンデンスミルク、粉ミルク、ホエー、乳糖、乳タンパク質、乳混合物、低脂肪乳、ホエーミックス又は乳脂肪の製品又は調理品などを挙げることができる。さらにこれらを使用したプリン、ゼリー、ババロアといったデザート類、菓子類、冷凍食品類もその範疇である。
本発明において乳製品へのカロテノイド類、トコフェロール類、茶抽出物の添加、混合方法は、特に限定するものではなく、それぞれを別々に添加しても、最終の乳製品に全て含まれておれば良いが、好ましくは、水及び/又は多価アルコール中にカロテノイド類、トコフェロール類、茶抽出物を界面活性剤で乳化及び/又は分散した製剤を添加する方が分散性に優れ、製品の劣化をより効果的に抑制することができる。
また添加のタイミングとしては乳製品の製造工程において加熱及び/又は殺菌工程による製品の劣化が考えられるため、加熱及び/又は殺菌工程の前に添加することが好ましい。
以下、本発明の態様を実施例によりさらに記載し、開示する。この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。
実施例1
市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)にルテインを0.00001%、抽出トコフェロール0.001%、茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.0001%を添加した生クリームを100g得た。
実施例2
市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)にルテインを0.005%、抽出トコフェロール0.001%、茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.0001%を添加した生クリームを100g得た。
実施例3
市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)にルテインを0.00001%、抽出トコフェロール0.06%、茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.0001%を添加した生クリームを100g得た。
実施例4
市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)にルテインを0.00001%、抽出トコフェロール0.001%、茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.02%を添加した生クリームを100g得た。
実施例5
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)83.89gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール1.0gとルテイン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.1μm以下であった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例6
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)82.9gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール1.0gとルテイン1.0gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.1μm以下であった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例7
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)74.89gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール10.0gとルテイン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.3μmであった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例8
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)77.99gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)6.0gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール1.0gとルテイン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.1μm以下であった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例9
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)78.9gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール1.0gとルテイン5.0gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.4μmであった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例10
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)64.89gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール20.0gとルテイン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.4μmであった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.7gに0.3g添加した生クリームを得た。
実施例11
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)63.99gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)20.0gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール1.0gとルテイン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.1μm以下であった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例12
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)79.89gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリントリミリステート(太陽化学(株)製、HLB値10)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール5.0gとルテイン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.8μmであった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例13
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)83.89gにイオン交換水10gとポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルであるポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(花王(株)製、HLB値15)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール1.0gとルテイン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.1μm以下であった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例14
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)83.89gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール1.0gとβカロテン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.1μm以下であった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例15
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)83.89gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロー1.0gとリコピン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.1μm以下であった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
実施例16
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)83.89gにイオン交換水10gとポリグリセリン脂肪酸エステルであるデカグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14)5gと茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール1.0gとアスタキサンチン0.01gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数9000rpmで乳化させて、本発明品1の酸化防止剤100gを得た。そのようにして得られた酸化防止剤を水に分散させたときの平均粒子径は0.1μm以下であった。これを市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)99.9gに0.1g添加した生クリームを得た。
比較例1
市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)に抽出トコフェロール0.001%、茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.001%を添加した生クリームを100g得た。
比較例2
市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)にルテインを0.00001%、茶抽出物(カテキン含量90%以上、太陽化学(株)製)0.001%を添加した生クリームを100g得た。
比較例3
市販品の生クリーム(乳脂肪分45%)にルテインを0.00001%、抽出トコフェロール0.001gを添加した生クリームを100g得た。
試験例
このように得た生クリームを官能評価した後に、300mlのPETボトル容器に移し、蛍光灯下で12℃、10000Lxの条件で8時間の照射を行った。そうして得られた生クリームの乳脂肪分を抽出し、過酸化物価、ヘキサナール量、トコフェロールの残存量を測定した。各実施例、比較例における過酸化物価、ヘキサナール量、トコフェロール残存量、生クリームの劣化前、劣化後の風味を含め、総合評価を表1に記載した。一般的に過酸化物価は油脂類の酸化度合いを表す指標として用いられており、数値が高い方が酸化が進んでいることを示す。ヘキサナールは乳製品の代表的な劣化臭の一つであり、数値が高い方が酸化が進んでいることを示す。トコフェロールの残存量は油脂の劣化防止に使用されたかを示す値であり、数値が低い方が劣化防止に働いた事を示す。尚、表1の総合評価は劣化前の風味で4.0以上かつ、劣化後の風味で3.0以上を◎、劣化前の風味で3.5以上かつ、劣化後の風味で2.5以上を○、それ以外を×とした。風味の評価は専門パネラー20人による官能評価で、以下の基準での点数を平均化した。
劣化前
1: 著しく生クリームの風味が損なわれている。
2: 生クリームの風味が損なわれている。
3: 少し生クリームの風味が損なわれている。
4: 殆ど生クリームの風味は損なわれていない。
5: 生クリームの風味は損なわれていない。
劣化後
1: 著しく生クリームの劣化を感じる。
2: 生クリームの劣化を感じる。
3: 少し生クリームの劣化を感じる。
4: 殆ど生クリームの劣化を感じない。
5: 生クリームの劣化を感じない。
Figure 0006461471
表1より明らかなように、乳製品の様々な酸化劣化に対して、カロテノイド類、トコフェロール類、茶抽出物を添加した乳製品は、従来の乳製品と比較して酸化劣化に対して有効な乳製品であることは明らかである。
乳製品が製造から消費者の手元へ渡る迄の間、製品の殺菌工程の熱による酸化や、包装中の酸素に因る酸化、またコンビニエンスやスーパーマーケット等でのショーケースに陳列される事に因る光酸化等、光や熱、酸素といった様々な要因からなる乳製品の酸化劣化を抑制することに優れた乳製品を提供することがで、産業上貢献大である。

Claims (4)

  1. 水及び/又は多価アルコール中に(a)ルテイン又はβ−カロテン、(b)トコフェロール、及び(c)茶抽出物を構成脂肪酸が炭素数8〜22の飽和及び/又は不飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリソルベートからなる群の少なくとも1種以上である界面活性剤で乳化及び/又は分散した製剤を含有することを特徴とする乳製品中のヘキサナール上昇抑制剤。
  2. 請求項1記載のヘキサナナール上昇抑制剤を含有することを特徴とする乳製品。
  3. 請求項1記載のヘキサナール上昇抑制剤を添加する工程を有することを特徴とする乳製品の製造方法。
  4. 請求項1記載のヘキサナール上昇抑制剤を添加することを特徴とする乳製品のヘキサナール上昇抑制方法。
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