JP4138511B2 - 色素の退色防止剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素の退色防止剤(以下退色防止剤と略す)、およびこれを含有する色素、または飲食品に関する。詳しくは、総トコフェロール中、45重量%(以下%とする)以上がd−δ−トコフェロールである抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、HLBが9以上の乳化剤を用い水および/または多価アルコール中油型とした微細な乳化物を含有することを特徴とする退色防止剤に関し、さらには該乳化物と茶抽出物を含有することを特徴とする退色防止剤に関し、またさらには該退色防止剤を含有する色素、飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲食品には色素が使用される場合が多く、食品を特徴づけるものであるが、加工、流通および保存中の各要因において経時劣化しやすいものである。色素の劣化要因はさまざまであり、殺菌等の加工工程や、飲食品の流通、保管、販売などの各段階において、光、熱、酸素などの影響を受け著しく退色し品質の低下を引き起こす。さらに、近年の透明、又は半透明プラスチック容器入り飲料や、透明袋入り食品の普及、コンビニエンスストアのショーケースにおける販売などにより飲食品が光にさらされる機会は急激に増え、光による色素の退色が起こりやすい状況となっている。また、プラスチック容器入り飲食品のホット販売など、酸素透過性の高い容器による高温販売によって、熱、酸素などの影響も受けやすい状況となっている。
【0003】
これを解決するために、短時間での殺菌、低温での流通、UV吸収能を持つ機能性容器の開発、酸化防止剤の添加など様々な対策が検討され、その中でも酸化防止剤の添加としては古くから合成品であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、エリソルビン酸およびその誘導体が添加されてきた。しかし、近年、これらの合成の酸化防止剤は健康に好ましくない影響を与えることが指摘され、敬遠されるようになった。そこで、これら合成の酸化防止剤に代わる各種天然抗酸化剤を単独で又は併用して使用する方法が知られている。例えば、クロロゲン酸、カフェー酸、フェルラ酸などのポリフェノール(クロロゲン酸類)を有効成分とするクチナシ黄色色素の退色防止剤(例えば、特許文献1参照。)、ヤマモモ科植物を含む色素の安定化法(例えば、特許文献2参照。)、南天の葉の抽出エキスを有効成分とするアントシアニン系色素および/またはカロテノイド系色素の退色防止剤(例えば、特許文献3参照。)など数多く提案されている。しかし、これらの退色防止剤の多くは、退色防止剤そのものの風味が飲食品に悪影響を与えるという欠点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−93199号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開平6−234935号公報(第2−4頁)
【特許文献3】
特開平8−224068号公報(第2−3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、飲食品、および飲食品用色素の保存中における色素の退色を抑制し、さらに飲食品の外観、風味を損ねることがなく、食品中での分散性、乳化安定性に優れた退色防止剤の開発を目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、総トコフェロール中にd−δ−トコフェロールを45%以上含有する抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、さらにHLBが9以上の乳化剤を用い微細かつ安定な水および/または多価アルコール中油型の乳化物とすることによって得られた退色防止剤が、風味的にも優れ、かつ飲食品、色素の加工または保存中における光、熱、酸素などの影響による退色を顕著に抑制し得ることを見出した。また、該乳化物にさらに茶抽出物を併用することにより、上記退色防止効果をさらに高めることができることを見出した。
【0007】
本発明は、これらの知見に基づき完成されたものであり、総トコフェロール中にd−δ−トコフェロールを45%以上含有する抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、さらにHLBが9以上の乳化剤を用い微細かつ安定な、水および/または多価アルコール中油型の乳化物とした飲食品用の退色防止剤を提供するものである。
【0008】
また本発明は、抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、HLBが9以上の乳化剤を用い微細かつ安定な乳化物としたものに茶抽出物を含有することにより、さらに顕著に色素の退色を抑制し、長期間の保存に対しても効果を持続することができる退色防止剤を提供するものである。
【0009】
さらに本発明は、上記退色防止剤を含有する色素、または飲食品に関する。以下に本発明を詳しく説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の退色防止剤とは飲食品、および色素の加工または保存中における光、熱、酸素などの影響による色素の退色を顕著に抑制し得る製剤である。
【0011】
本発明に使用される抽出トコフェロールは、植物原料由来の油脂から抽出、精製したものを指し、さらには、総トコフェロール中、d−δ−トコフェロールを45%以上含有するものを指す。抽出される植物原料の種類は、特に限定されるものではないが、代表例として大豆油、小麦胚芽油、パーム油などが挙げられる。中でも、大豆油由来の抽出トコフェロールは、他の植物に比べてd−δ−トコフェロールを多く含有し、また、工業的な供給面からも好適である。
【0012】
一般に抽出トコフェロールは、d−α,β,γ,δが混在するが、その成分比率は、植物の種類や品種、産地などにも影響される。また、工業的に分子蒸留などの工程により特定の同族体組成の成分比率を上げた製品も市販されている。
【0013】
本発明に使用される抽出トコフェロールは、その精製方法などは特に限定はしないが、総トコフェロール中、d−δ−トコフェロールを45%以上含有するものを必須とし、好ましくは、d−δ−トコフェロールを70%以上含有するものが望ましく、さらに好ましくは、d−δ−トコフェロールを85%以上含有するものが望ましい。抽出トコフェロールの各同族体の内、d−δ−トコフェロールが特に色素の退色抑制に効果があり、総トコフェロール中、d−δ−トコフェロールの比率が高いほど有効である。総トコフェロール中、d−δ−トコフェロールが45%未満であると、色素の退色抑制効果が低くなる。
【0014】
抽出トコフェロールの各同族体の含量を測定するには、食品添加物公定書に記載の測定方法(高速液体クロマトグラフ法)により可能である。
【0015】
本発明の退色防止剤における抽出トコフェロールの含量は特に限定するものではないが、0.001%から50%が好ましい。さらに好ましくは、0.01%から10%が望ましい。0.001%未満では期待される効果は得られにくく、50%を超える濃度の添加では水または多価アルコール中油型の乳化物とした場合、安定な乳化系とすることが困難となる。
【0016】
本発明に使用されるフェルラ酸は、特に限定されるものではなく、ほとんどの植物のさまざまな器官に広く分布しているものであり、原料としてチョウジノキ、トウモロコシ、コーヒー豆、大麦、小麦、米、ゴム樹脂等が挙げられる。フェルラ酸はフトモモ科チョウジノキのつぼみ及び葉より水蒸気蒸留で得られた丁子油、または丁子油から精製して得られたオイゲノールを含む培養液で細菌(Pseudomonas)を培養し、その培養液を分離、精製して得られたもの、または米糠油を、室温時弱アルカリ性下で含水エタノールおよびヘキサンで分配した後、含水エタノール画分に得られたγ―オリザノールを、加圧下熱時硫酸で加水分解し、精製して得られたものなどが挙げられる。フェルラ酸は精製品でも未精製品でもよいが、抗酸化能力はその純度に依存するため、フェルラ酸含量80%以上、好ましくは95%以上の精製品を用いることが望ましい。
【0017】
本発明の退色防止剤におけるフェルラ酸の含量は特に限定するものではないが、0.005%から10%が好ましい。さらに好ましくは、0.01%から5%が望ましい。0.005%未満では期待される効果は得られにくく、10%を超える濃度の添加ではフェルラ酸の結晶化が起こり退色防止剤の安定性に影響する。
【0018】
本発明で用いる茶抽出物の原料は、特に限定するものではなく、植物学的にはツバキ科の植物であるCamellia Sinensisの葉より製造される不発酵茶である緑茶、半発酵茶である烏龍茶、発酵茶である紅茶が挙げられる。それらの中で、好ましくは不発酵茶である緑茶を用いるのが良い。抽出物は、茶葉または茶葉を粉砕したものを、水または熱水もしくはグリセリンやエタノールなどのアルコールにより抽出した画分、または酢酸エチル可溶画分、アセトン可溶画分より得たものなどが挙げられ、さらに好ましくは、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレートおよび(−)−エピガロカテキンガレートからなる群より選ばれるカテキン類の1種または2種以上が挙げられる。上記カテキン類の含量は特に限定するものではないが、使用する茶抽出物中に60%以上含有されていることが好ましく、さらに好ましくは70%以上含有されていることがよい。
【0019】
これらカテキン類の総含量は、酒石酸鉄を用いた比色定量法により測定可能であるが、各カテキン類の組成を詳細に測定するためには、高速液体クロマトグラフィーで測定することが好適である。
【0020】
本発明の退色防止剤中における茶抽出物の含量は特に限定するものではないが、0.005%から20%が好ましい。さらに好ましくは、0.1%から10%が望ましい。0.005%未満では期待される効果は得られにくく、20%を超える濃度の添加では退色防止剤の香味が食品の風味に影響する。
【0021】
本発明の乳化剤は、同一分子内に親水基と親油基を有する化合物の総称であり、親水性のものであることが望まれる。乳化剤の親水性、親油性の度合いはHLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)で表されるが、本発明の目的を達成するためにはHLBが9以上、好ましくは12以上、さらに好ましくは14以上であることが望ましい。HLBが9より小さいと、酸化防止剤成分を水に微細に分散させることができず退色防止効果が劣るものとなる。HLBの求め方は特に限定するものではなく、既存の種々の手法が利用できる。例えばエステル型の乳化剤の場合、けん化価と構成脂肪酸の酸価から次式によって算出できる。
【0022】
HLB=20×(1−S/A)
S:けん化価、A:構成脂肪酸の酸価
また、親水基としてポリオキシエチレン鎖だけを持つものは次式で算出できる。
HLB=E/5
E:ポリオキシエチレン基の重量分率
これらの算術的な方法の他、実験的にHLBを求めることもできる。すなわちHLB既知の乳化剤と未知の乳化剤を組み合わせて、HLB既知の油脂と水を乳化し、もっとも乳化状態が良い混合比のものを選定して、次式より算定できる。
【0023】
{(Wu×HLBu)+(Wa×HLBa)}/{Wu+Wa}=HLBo
Wu:HLB未知の乳化剤の重量分率
Wa:HLB既知の乳化剤の重量分率
HLBu:HLB未知の乳化剤のHLB(求める乳化剤のHLB)
HLBa:HLB既知の乳化剤のHLB
HLBo:油脂の所要HLB
【0024】
HLBが9以上の一般的な乳化剤としてはポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、脂肪酸塩といった合成乳化剤の他、酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチン、ヒドロキシレシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、アセチル化レシチンといった天然由来のレシチン類を化学的あるいは酵素処理することで得られたレシチンの誘導体、ダイズサポニンやキラヤサポニン等の天然由来のサポニン類等が挙げられる。なお、レシチンの起源としてはダイズ、コメ、ナタネ、サフラワーといった植物由来のものや、卵黄、脳といった動物由来のものが利用できる。
特にポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリンの縮合度、脂肪酸の種類、エステル化度を変化させることで、目的達成に適する性質をもつものが得られるため、好適に本発明に利用される。
【0025】
本発明に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されるものではないが、その原料となるポリグリセリンの組成分布が後述する乳化粒子径に大きな影響を及ぼす。好ましくはポリグリセリンの組成において、グリセリンの縮合度がトリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35%以上であることが望ましく、より好ましくは45%以上がよい。この組成分布はガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーにより分析でき、特にポリグリセリンをトリメチルシリル化誘導体とした後、ガスクロマトグラフィーに付すことにより簡便に分析することができる。
【0026】
油相に抽出トコフェロールを含有し、さらに水相中にフラボノイド類やカテキン類等を含有するような乳化物は、一般に乳化安定性が悪く、油相が分離するような問題を生じるが、このような乳化にポリグリセリン脂肪酸エステルが有効である。ポリグリセリン組成中、グリセリンの縮合度がトリ以上の1種の含量が35%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に乳化安定性に優れ、さらに可溶化も可能となるので、その応用範囲を拡大することができる。さらに好ましくは、ポリグリセリン組成中、グリセリンの縮合度がペンタ以上の1種の含量が35%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルが良い。
【0027】
本発明に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、炭素数8〜22の直鎖の飽和ないし不飽和脂肪酸であり、1種又は2種以上の脂肪酸を用いることができる。エステル化度については特に限定するものではないが、モノエステル含量の高い、低エステル化度のものが好ましい。
【0028】
また、該退色防止剤の乳化に使用される乳化剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルのみに限らず、他の乳化剤の1種または2種以上を併用してもよい。そのような乳化剤としてモノグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、モノグリセリド誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、酵素分解レシチン、キラヤ抽出物などが例示できる。
【0029】
本発明に使用される多価アルコールとは1つの分子内に2個以上の水酸機を有する化合物の総称であり、特にその種類を限定するものではない。例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、乳糖、砂糖、カップリングシュガー、ブドウ糖、酵素水飴、酸糖化水飴、麦芽糖水飴、麦芽糖、異性化糖、果糖、還元麦芽糖、還元澱粉水飴、蜂蜜などが挙げられる。乳化物の経時安定性の点より、好ましくはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、還元澱粉糖化物が挙げられ、さらに好ましくはグリセリンがよい。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができ、また水溶液としてもよい。また、退色防止剤の粘度を低下させ、より利用しやすくする目的で、乳化に影響を及ぼさない範囲において、水やエタノールなどを混合しても良い。
【0030】
本発明の水および/または多価アルコール中油型の退色防止剤は、水および/または多価アルコール中に乳化剤を溶解させた後、抽出トコフェロールを含む油相を添加し、乳化装置を用い乳化することにより得られる。乳化装置は、特に限定されるものではないが、具体的には、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーなどが挙げられる。フェルラ酸の添加方法は特に限定されるものではなく、乳化の前後の何れでも良いが、好ましくは乳化前に添加し、水および/または多価アルコール中によく溶解させておくのが望ましい。茶抽出物の添加方法は特に限定されるものではなく、乳化の前後の何れでも良いが、好ましくは製造時における簡便性の面からもフェルラ酸と同時に添加し、水および/または多価アルコール中によく溶解させておくのが望ましい。なお、素材の劣化を防ぎ、製剤の安定性を向上させる目的で、全ての工程を通じて、窒素、ヘリウムといった不活性ガス気流下での調製が望ましい。
【0031】
本発明における水および/または多価アルコール中油型の退色防止剤は、乳化剤を用いて平均粒子径1.0μm以下の微細な乳化粒子とすることによって、油性酸化防止剤であるトコフェロールの分離がなく、水に難溶であるフェルラ酸の結晶化が抑えられ分散性が向上するため、飲食品の外観を損ねることがなく効果的に色素の退色を防止することができる。粒子径が1.0μmを超えると油溶性の酸化防止剤である抽出トコフェロールの分離や浮上が認められ、退色防止の効果を十分発揮しないばかりでなく、飲食品の外観を損ねるおそれがある。好ましくは、0.6μm以下であることが望ましく、さらに好ましくは0.4μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下が望ましい。0.4μm以下の微細な乳化にすることよって、さらに乳化安定性に優れ、0.2μm以下においては可溶化も可能となるので透明飲料などへも使用できるものとなる。また、平均粒子径が小さくなればなるほど、退色防止剤と飲食品中の色素成分の接する表面積が大きくなることから、退色防止の効果も増大し、少量の添加で効果を十分に発揮することができる。
【0032】
本発明における退色防止剤を水に分散させた時の平均粒子径はベックマンコールター社製(L−230)などの粒度分布測定器を用いて容易に測定することができる。
【0033】
本発明の退色防止剤において、抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを用い微細かつ安定な乳化物とすることで、色素の退色を防止することは勿論であるが、フェルラ酸を乳化物として本発明の退色防止剤に含有させることでフェルラ酸の起源に由来する発酵臭、米糠臭や渋みといった好ましくない風味が抑えられまろやかになるため、フェルラ酸単独では使用することが困難であった飲食品への利用範囲を広げることができる。
【0034】
また、抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、乳化剤を用いた乳化物に、さらに茶抽出物を併用することにより、フェルラ酸に対する上記効果を高めることができ、さらには光、熱、酸素などによる色素の退色防止効果を顕著に向上することができる。
【0035】
本発明の退色防止剤は、総トコフェロール中、45%以上がd−δ−トコフェロールである抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、乳化剤を用い水および/または多価アルコール中油型の乳化物とし、またはさらに茶抽出物を併用することによって、所望の効果が得られるが、必要に応じて公知の酸化防止剤を併用してもよい。例えば油溶性酸化防止剤(カンゾウ油抽出物、ゴマ油不けん化物、γ−オリザノール、ナタネ油抽出物)、水溶性酸化防止剤(L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸、クロロゲン酸、酵素処理ルチン、ブドウ種子抽出物、ローズマリー抽出物、ヒマワリ抽出物、クエルセチン、ヤマモモ抽出物、食用カンナ抽出物、ブルーベリー葉抽出物等)、また、水、油に難溶である酸化防止剤(ドクダミ抽出物、アオイ花抽出物、ピメンタ抽出物等)、金属封鎖剤(グルコン酸、コウジ酸、フィチン酸、ポリリン酸、キチン、キトサン等)、アミノ酸類、クエン酸等の有機酸類又その塩類、ヘスペリジン、ヘスペレチン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を併用配合してもよい。
【0036】
本発明において、色素とは特に限定されるものではないが、カロテノイド系色素、アントシアニン系色素、キノン系色素、フラボノイド系色素、ベタイン系色素、モナスカス色素その他天然物を起源とする色素が挙げられる。また、天然色素を含む植物体、動物体、微生物体またはその加工品、搾汁液、水もしくは有機溶剤による抽出液または上記搾汁液、抽出液の精製加工品にも適用し得る。上記色素の具体例は次の通りである。
【0037】
カロテノイド系色素としては、アナトー色素、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、カニ色素、β−カロテン、イモカロテン、デュナリエラカロテン、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、トマト色素、パプリカ色素、ファフィア色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素の他、動物、植物または微生物由来のカロテノイド色素などが挙げられる。
【0038】
アントシアニン系色素としては、アカキャベツ色素、アカゴメ色素、アカダイコン色素、エルダーベリ色素、カウベリー色素、グーズベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、ストロベリー色素、ダークスイートチェリー色素、チェリー色素、デュベリー色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、プラム色素、ブルーベリー色素、ボイセンベリー色素、ホワートルベリー色素、マルベリー色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、モレロチェリー色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素などが挙げられる。
【0039】
キノン系色素としては、コチニール色素、シコン色素、ラック色素などが挙げられる。フラボノイド系色素としては、カキ色素、カロブ色素、カンゾウ色素、シタン色素、スオウ色素、ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色素などが挙げられる。ベタイン系色素としてはビートレッドなどが挙げられる。モナスカス色素としては、ベニコウジ色素、ベニコウジ黄色素などが挙げられる。その他、ウコン色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素などが挙げられる。
【0040】
本発明の退色防止剤とこれら食用色素との混合方法は、特に限定するものではないが、色素の退色を効果的に抑制するために、油溶性の色素は、乳化前に予め抽出トコフェロールと混合する方がよく、水溶性の色素は乳化後に混合する方がよい。
【0041】
本発明の退色防止剤とこれら色素との混合割合は、特に限定されるものではなく、使用される食品の種類などによって異なるので一概には決定できないが、一般的には色素99:1〜1:99の範囲で混合するのが好ましい。
【0042】
本発明において、飲食品とは特に限定されるものではなく、光、熱、酸素などの影響を受け色素成分が退色する飲食品すべてに効果を発揮するが、例えば無果汁飲料、果汁入り飲料、野菜飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、ミネラル含有飲料、ビタミン含有飲料、機能性食品素材の含有飲料等の飲料類、乳飲料、乳酸菌飲料、はっ酵乳、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳及び、乳を主原料とする製品、ゼリー、ババロア、プリン等のデザート食品類、キャンディー、スナック食品等の菓子類などを挙げることができる。
【0043】
本発明の退色防止剤のこれら飲食品に対する添加量は、特に限定されるものではなく、使用する退色防止剤中の成分の純度、配合割合や、添加する飲食品の種類等により変動するが、一般的には飲食品の0.005〜0.5%の範囲で添加するのが好ましい。さらに好ましくは0.01〜0.3%が好ましい。0.005%未満では期待される効果は得られにくく、0.5%を超える濃度の添加では退色防止剤の香味が飲食品の風味に影響する。
【0044】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみ限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
実施例1
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)2gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)2gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、d−δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、本発明品1の退色防止剤100gを得た。
【0046】
実施例2
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)2gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)1gと緑茶抽出物(商品名:サンフェノンBG、カテキン類含量70%、太陽化学(株)製)1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、本発明品2の退色防止剤100gを得た。
【0047】
実施例3
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gにショ糖脂肪酸エステルであるDKエステルSS(第一工業製薬(株)製、HLB値19、モノエステル含量95%)2gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)1gと緑茶抽出物(商品名:サンフェノンBG、カテキン類含量70%、太陽化学(株)製)1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、本発明品3の退色防止剤100gを得た。
【0048】
実施例4
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gに脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンであるレオドールTW−L120(ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(エチレンオキサイド20モル付加物)、花王(株)製、HLB値16.7)2gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)1gと緑茶抽出物(商品名:サンフェノンBG、カテキン類含量70%、太陽化学(株)製)1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、本発明品4の退色防止剤100gを得た。
【0049】
比較例1
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gに、大豆レシチン(太陽化学(株)製、HLB値7)2gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)2gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品1の退色防止剤100gを得た。
【0050】
比較例2
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gに、有機酸モノグリセリドであるクエン酸モノステアリン酸グリセリン(太陽化学(株)製、HLB値8)2gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)1gと緑茶抽出物(商品名:サンフェノンBG、カテキン類含量70%、太陽化学(株)製)1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品2の退色防止剤100gを得た。
【0051】
比較例3
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gに、アラビアガム(三協食品工業(株)製)2gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)1gと緑茶抽出物(商品名:サンフェノンBG、カテキン類含量70%、太陽化学(株)製)1gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品3の退色防止剤100gを得た。
【0052】
実施例5
果糖ブドウ糖液糖100g、クエン酸2.5gおよびクエン酸ナトリウム0.5gを水に溶解させて1000mlとし、Bx.7.5、pH2.8の酸糖液を調製した。この酸糖液に実施例1〜4で得られた本発明品1〜4をそれぞれ0.1%添加し、93℃達温にて加熱殺菌後、無色透明の200mlガラス瓶にホットパック充填し、冷却して本発明品5〜8の酸糖液を得た。また本発明品1〜4を0.1%添加の代わりに比較例1〜3にて得られた比較品1〜3をそれぞれ0.1%添加した比較品4〜6の酸糖液を得た。
【0053】
試験例1
実施例5で得られたそれぞれの退色防止剤入り酸糖液の濁度を、分光光度計((株)日立製作所製:U−3210)を用いて波長650nmにおける吸収光度として測定し、状態を目視にて確認した。また、その平均粒子径を粒度分布測定器(ベックマンコールター社製:L−230)にて測定した。さらに、その酸糖液を55℃にて2週間保存し、保存後の濁度、平均粒子径を同様にして測定し、状態を目視にて確認した。
【0054】
【表1】
【0055】
表1より明らかなように、本発明品は、比較品に比べ、乳化粒子径が1μm以下となり、55℃、2週間の保存後も分離等が認められず安定であった。
また、比較品1〜3の退色防止剤は保存中に不均一になり、フェルラ酸由来と思われる針状結晶が認められたが、本発明品1〜4の退色防止剤は分離、結晶等が認められず安定であった。
【0056】
比較例4
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)2gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)3gを添加し、65℃に加温溶解した。これをホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品7の退色防止剤100gを得た。
【0057】
比較例5
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)2gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)3gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品8の退色防止剤100gを得た。
【0058】
比較例6
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製))95gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)2gと緑茶抽出物(商品名:サンフェノンBG、カテキン類含量70%、太陽化学(株)製)3gを添加し、65℃に加温溶解した。これをホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品9の退色防止剤100gを得た。
【0059】
比較例7
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)2gと酵素処理ルチン(キリヤ化学(株)製、酵素処理ルチン50%)2gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品10の退色防止剤100gを得た。
【0060】
比較例8
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)95gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)2gとヤマモモ抽出物(三栄原エフエフアイ(株)製、ヤマモモ抽出物20%)2gを添加し、65℃に加温溶解した。抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品11の退色防止剤100gを得た。
【0061】
実施例6
グラニュー糖100g、クエン酸1.5gおよびクエン酸ナトリウム0.2g、クチナシ黄色色素1g、レモンエッセンス1gを水に溶解させて1000mlとし、Bx.10.0、pH3のレモン飲料ベースを調製した。このレモン飲料ベースに実施例1〜4で得られた本発明品1〜4をそれぞれ0.1%添加し、93℃達温にて加熱殺菌後、無色透明の350mlペットボトルにホットパック充填し、冷却して本発明品9〜12のレモン飲料を得た。また本発明品1〜4を0.1%添加の代わりに比較例4〜8にて得られた比較品7〜11をそれぞれ0.1%添加した比較品12〜16のレモン飲料を得た。また、同様にして退色防止剤を含まない比較品17のレモン飲料を得た。
【0062】
試験例2
実施例5で得られたそれぞれのレモン飲料を光照射した。照射条件は温度10℃、蛍光灯10000ルクス、4日間であり、光照射したレモン飲料の440nmにおける吸光度を測定して色素の残存率を次式により算出し、結果を表2に示す。
【0063】
色素残存率(%)=光照射後の吸光度/光照射前の吸光度×100
測定機器は分光光度計((株)日立製作所製:U−3210)を使用した。
【表2】
【0064】
表2より明らかなように、本発明品は比較品と比べ、顕著にクチナシ黄色素の退色を抑制した。
【0065】
実施例7
グラニュー糖80g、クエン酸3gおよびクエン酸ナトリウム5gを水に溶解させて1000mlとし、Bx.8.0、pH4.5に調整したシロップに下記(A)〜(E)の各色素0.1%添加したものを調製した。このシロップに実施例1〜4で得られた本発明品1〜4をそれぞれ0.1%添加し、93℃達温にて加熱殺菌後、無色透明の350mlペットボトルにホットパック充填し、冷却して本発明品13〜16のシロップを得た。また本発明品1〜3を0.1%添加の代わりに比較例4〜8にて得られた比較品7〜11をそれぞれ0.1%添加した比較品18〜22のシロップを得た。また、同様にして退色防止剤を含まない比較品23のシロップを得た。
【0066】
試験例3
実施例7で得られたそれぞれのシロップを光照射した。照射条件は温度10℃、蛍光灯10000ルクス、4日間であり、光照射したシロップの吸光度を測定して色素の残存率を次式により算出し、結果を表3に示す。
色素残存率(%)=光照射後の極大吸収波での吸光度/光照射前の極大吸収波での吸光度×100
測定機器は分光光度計((株)日立製作所製:U−3210)を使用した。
【0067】
色素の種類
(A)パプリカ橙色色素(極大吸収波での吸光度480nm)
(B)クチナシ青色色素(極大吸収波での吸光度600nm)
(C)ベニコウジ色素 (極大吸収波での吸光度500nm)
(D)アカキャベツ色素(極大吸収波での吸光度530nm)
(E)ブルーベリー色素(極大吸収波での吸光度520nm)
【0068】
【表3】
【0069】
表3より明らかなように、本発明品は比較品と比べ、(A)〜(E)の各色素の退色を抑制した。
【0070】
実施例8
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)86gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノステアレート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)5gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)5gを添加し、65℃に加温溶解した。β−カロテン30%懸濁液(ロシュ・ビタミン・ジャパン(株)製)3gと抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを混合し、これを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、本発明品17のβ−カロチン製剤100gを得た。
【0071】
実施例9
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)86gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノステアレート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)5gとフェルラ酸(フェルラ酸含量98%以上 築野食品工業(株)製)2gと緑茶抽出物(商品名:サンフェノンBG、カテキン類含量70%、太陽化学(株)製)3gを添加し、65℃に加温溶解した。β−カロテン30%懸濁液(ロシュ・ビタミン・ジャパン(株)製)3gと抽出トコフェロール(タマ生化学(株)製、δ−トコフェロール含量86%)1gを混合し、これを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、本発明品18のβ−カロチン製剤100gを得た。
【0072】
比較例9
多価アルコールとして、グリセリン(日本油脂(株)製)92gにポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノステアレート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)5gを65℃に加温溶解した。β−カロテン30%懸濁液(ロシュ・ビタミン・ジャパン(株)製)3gを油相とし、これを多価アルコール中に添加し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)にて回転数7000rpmで乳化させて、比較品24のβ−カロチン製剤100gを得た。
【0073】
実施例9
グラニュー糖100g、クエン酸1.5gおよびクエン酸ナトリウム0.2g、オレンジエッセンス1gを水に溶解させて1000mlとし、Bx.10.0、pH3のオレンジ飲料ベースを調製した。このオレンジ飲料ベースに実施例8、9で得られた本発明品17、18をそれぞれ0.01%添加し、93℃達温にて加熱殺菌後、無色透明の350mlペットボトルにホットパック充填し、冷却して本発明品19、20のオレンジ飲料を得た。また本発明品17、18を0.01%添加の代わりに比較例9にて得られた比較品24を0.01%添加した比較品25のオレンジ飲料を得た。
【0074】
試験例4
実施例9で得られたそれぞれのオレンジ飲料を直射日光に8時間曝した後、オレンジ飲料の460nm吸光度を測定して色素の残存率を次式により算出し、結果を表4に示す。
色素残存率(%)=光照射後の吸光度/光照射前の吸光度×100
測定機器は分光光度計((株)日立製作所製:U−3210)を使用した。
【0075】
【表4】
【0076】
表4から明らかなように、本発明品は比較品に比べ、直射日光におけるβ−カロチンの退色を抑制した。
【0077】
本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げれば以下のとおりである。
(1)総トコフェロール中、45重量%以上がd−δ−トコフェロールである抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、HLB9以上の乳化剤を用い水および/または多価アルコール中油型の乳化物を含有することを特徴とする色素の退色防止剤。
(2)総トコフェロール中、45重量%以上がd−δ−トコフェロールである抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、HLB14以上の乳化剤を用い水および/または多価アルコール中油型の乳化物を含有することを特徴とする色素の退色防止剤。
(3)抽出トコフェロール中のd−δ−トコフェロール含量が85%以上である(1)または(2)記載の色素の退色防止剤。
(4)茶抽出物を含有することを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(5)緑茶抽出物を含有することを特徴とする(1)〜(3)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(6)乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルである(1)〜(5)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(7)ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリン組成中、グリセリンの縮合度がトリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35重量%以上である(6)記載の色素の退色防止剤。
(8)乳化剤がショ糖脂肪酸エステルである(1)〜(5)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(9)乳化剤がポリオキシエチレン誘導体である(1)〜(5)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(10)乳化剤が脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンである(1)〜(5)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(11)乳化剤がポリソルベート65である(1)〜(5)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(12)乳化剤がポリソルベート80である(1)〜(5)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(13)乳化剤がポリソルベート60である(1)〜(5)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(14)乳化剤がポリソルベート20である(1)〜(5)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(15)多価アルコールがグリセリンである(1)〜(14)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(16)多価アルコールがプロピレングリコールである(1)〜(14)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(17)多価アルコールが糖アルコールである(1)〜(14)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(18)多価アルコールが糖アルコールの水溶液である(1)〜(14)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(19)多価アルコールがソルビトールである(1)〜(14)いずれか記載の色素の退色防止剤。
(20)水および/または多価アルコール中油型の乳化物を水に分散させた時の粒子径が1.0μm以下である(1)〜(19)のいずれか記載の色素の退色防止剤。
(21)水および/または多価アルコール中油型の乳化物を水に分散させた時の粒子径が0.6μm以下である(1)〜(19)のいずれか記載の色素の退色防止剤。
(22)水および/または多価アルコール中油型の乳化物を水に分散させた時の粒子径が0.4μm以下である(1)〜(19)のいずれか記載の色素の退色防止剤。
(23)水および/または多価アルコール中油型の乳化物を水に分散させた時の粒子径が0.2μm以下である(1)〜(19)のいずれか記載の色素の退色防止剤。
(24)(1)〜(23)いずれか記載の色素の退色防止剤を含有する色素。
(25)(1)〜(23)いずれか記載の色素の退色防止剤を含有する飲食品。
(26)(1)〜(23)いずれか記載の色素の退色防止剤を含有する色素を含有する飲食品。
【0078】
【発明の効果】
本発明により、色素または飲食品に総トコフェロール中にd−δ−トコフェロールを45%以上含有する抽出トコフェロールとフェルラ酸、さらにHLBが9以上の乳化剤を用い微細かつ安定な、水および/または多価アルコール中油型の乳化物とすることによって、飲食品及び色素の退色を効果的に防止することができる。また、該乳化物にさらに茶抽出物を含有することによって目的とする効果が顕著に向上し、長期間の保存に対しても効果を持続することができる。
Claims (7)
- 総トコフェロール中、45重量%以上がd−δ−トコフェロールである抽出トコフェロールとフェルラ酸を含有し、HLBが9以上の乳化剤を用い水および/または多価アルコール中油型とした乳化物であって、水に分散させた時の粒子径が1.0μm以下である乳化物を含有することを特徴とする色素の退色防止剤。
- 請求項1記載の乳化物に茶抽出物を含有することを特徴とする色素の退色防止剤。
- 茶抽出物が(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレートおよび(−)−ガロカテキンガレートからなる群より選ばれる1種または2種以上である請求項2記載の色素の退色防止剤。
- 乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルである請求項1〜3記載の色素の退色防止剤。
- ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリン組成中、グリセリンの縮合度がトリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35重量%以上である請求項4記載の色素の退色防止剤。
- 請求項1〜5のいずれか記載の色素の退色防止剤を含有する色素。
- 請求項1〜5のいずれか記載の退色防止剤、または請求項7に記載の色素を含有する飲食品。
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