JP6562005B2 - 車両用シートの乗降サポート構造 - Google Patents

Description

本発明は、車両用シートの乗降サポート構造に関する。

下記特許文献１には、車両への乗車及び車両からの降車をし易くするためのシートクッションのサイドサポート構造が開示されている。この文献に記載された構造によれば、シートクッションの幅方向の側部に設けられたサイドサポート部が上下方向に傾動可能とされている。そして、シートの位置を乗降時のポジションまでスライドさせることで、サイドサポート部のロックが解除されて、当該サイドサポート部を下方側へ傾動させることが可能となっている。これにより、サイドサポート部が、乗員の車両への乗車及び車両からの降車の妨げになることを抑制する（乗降性が低下することを抑制する）ことが可能となっている。

特開平５−２２００２５号公報

しかしながら、上記特許文献１に記載された構成では、シートの位置が所定の位置に位置している場合にのみサイドサポート部を下方側へ傾動させることが可能とされているため、乗員の乗降性を向上させるという観点で改善の余地がある。

本発明は上記事実を考慮し、乗員の乗降性を向上させることができる車両用シートの乗降サポート構造を得ることが目的である。

請求項１記載の車両用シートの乗降サポート構造は、乗員が着座するシートクッションのシート幅方向の少なくとも一方側に設けられ、シート上下方向に変位可能とされたサイドサポート部と、前記シートクッションをシート前後方向にスライド可能に支持すると共に前記シートクッションのシート前後方向へのスライドを規制するロック装置を有するシートスライド機構と、乗員によって操作される解除操作部を有し、該解除操作部がロック位置に位置している状態では、前記サイドサポート部のシート上下方向への変位が規制され、前記解除操作部が解除位置に位置している状態では、前記サイドサポート部のシート上下方向への変位が許容されかつ前記シートクッションのシート前後方向へのスライドが許容されるサイドサポート部規制機構と、を備えている。

請求項１記載の車両用シートの乗降サポート構造によれば、乗員が着座するシートクッションのシート幅方向の少なくとも一方側には、シート上下方向へ変位可能とされたサイドサポート部が設けられている。このサイドサポート部は、シート上下方向へ変位可能とされている。また、シートクッションは、シートスライド機構によってシート前後方向へスライド可能に支持されている。
ここで、サイドサポート部規制機構の解除操作部が規制位置に位置している状態では、シート上下方向への変位が規制されている。また、乗員が操作すること等により、解除操作部が許容位置に位置している状態では、サイドサポート部のシート上下方向への変位が許容されることに加えて、シートクッションのシート前後方向へのスライドが許容される。これにより、シートクッションをシート前後方向の所望の位置に移動させた状態で、サイドサポート部をシート下方側へ変位させることができる。これにより、サイドサポート部が、乗員の車両への乗車及び車両からの降車の妨げになることを抑制することができ、乗降性が低下することを抑制することができる。

請求項２記載の車両用シートの乗降サポート構造は、請求項１記載の車両用シートの乗降サポート構造において、サイドサポート部付勢部材が前記サイドサポート部の回りに設けられており、前記サイドサポート部付勢部材は、前記サイドサポート部がシート下方側へ変位される方向へ付勢する。

請求項２記載の車両用シートの乗降サポート構造によれば、サイドサポート部付勢部材が設けられていることにより、解除操作部を許容位置に移動させた際に、サイドサポート部をシート下方側へ変位させ易くすることができる。

請求項３記載の車両用シートの乗降サポート構造は、請求項１又は請求項２記載の車両用シートの乗降サポート構造において、前記解除操作部が、前記サイドサポート部のシート下方側に設けられている。

請求項３記載の車両用シートの乗降サポート構造によれば、解除操作部が上記位置に配置されていることにより、乗員が解除操作部を操作しながらサイドサポート部を変位させることができる。

請求項４記載の車両用シートの乗降サポート構造は、請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の車両用シートの乗降サポート構造において、スライド許容操作部が、前記解除操作部とは異なる位置である前記シートクッションの下方側に設けられており、前記スライド許容操作部が操作されることで、前記サイドサポート部のシート上下方向への変位が規制された状態での前記シートクッションのシート前後方向へのスライドが許容される。

請求項４記載の車両用シートの乗降サポート構造によれば、スライド許容操作部を操作することで、サイドサポート部の変位が規制された状態でシートクッションをシート前後方向へスライドさせることができる。

本発明に係る車両用シートの乗降サポート構造は、乗員の乗降性を向上させることができる、という優れた効果を有する。

車両用シートを斜め前方側から見た斜視図である。 図１に示された２−２線と対応する線に沿って切断した車両用シートのサイドサポート部等を示す断面図である。 （Ａ）〜（Ｄ）は、乗員が車両に乗車する際のサイドサポート部を模式的に示した平面図である。 （Ａ）〜（Ｄ）は、図３の（Ａ）〜（Ｄ）のそれぞれの状態におけるサイドサポート部を模式的に示した背面図である。 （Ａ）〜（Ｄ）は、乗員が車両から降車する際のサイドサポート部を模式的に示した平面図である。 （Ａ）〜（Ｄ）は、図５の（Ａ）〜（Ｄ）のそれぞれの状態におけるサイドサポート部を模式的に示した背面図である。

図１及び図２を用いて本発明の実施形態に係る車両用シートの乗降サポート構造が適用された車両用シートについて説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両用シートに着座した乗員から見た前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印ＦＲは前方向、矢印ＵＰは上方向、矢印ＲＨは右方向、矢印ＬＨは左方向をそれぞれ示すものとする。

図１に示されるように、本実施形態に係る車両用シート１０は、運転席に用いられ、この車両用シート１０は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション１２と、乗員の上体を支持するシートバック１４と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト１６と、を備えている。

シートクッション１２のシート幅方向の両端部には、シート前後方向に沿って延びるサイドサポート部１８，２０が設けられている。さらに、シート右側に設けられたサイドサポート部１８は、後述するサイドサポート部規制機構としてのサイドサポート部可動装置３８によって傾動可能（変位可能）に構成されている。その結果、サイドサポート部１８のシート幅方向外側の端部がシート上下方向に昇降することが可能となっている。なお、本実施形態では、運転席に用いられる車両用シート１０への乗降をし易くするために、右側のサイドサポート部１８を傾動可能としたが、左右のサイドサポート部１８、２０の両方を傾動可能としてもよい。

図１及び図２に示されるように、車両用シート１０は、シートクッション１２の下方側に設けられたシートスライド機構の一部を構成するアッパレール２２及びロアレール２４等を介して車体のフロア２６に固定されている。また、アッパレール２２がロアレール２４に沿って移動されることで、車両用シート１０（シートクッション１２）を前後方向へスライドさせることが可能となっている。ここで、本実施形態では、スライドロック装置２８が作動されることで、アッパレール２２のロアレール２４に対する移動が規制されるようになっている。また、第１ケーブル３０やスライド許容操作部としてのループハンドル３２を介してスライドロック装置２８のスライドロック解除レバー３４が一方側へ傾動されることで、スライドロック装置２８によるアッパレール２２のロアレール２４に対する移動の規制が解除されて、車両用シート１０を前後方向へスライドさせることが可能となっている。なお、ループハンドル３２は、シートクッション１２の前端部の下方側に設けられることで、車両用シート１０に着座した乗員によって操作されるようになっている。また、第１ケーブル３０が引かれていない状態又はループハンドル３２が操作されていない状態では、傾動されたスライドロック解除レバー３４は、ロアレール２４内に設けられたロックスプリング３６によってもとの位置へ復帰するようになっている。

次に、本実施形態の要部であるサイドサポート部可動装置３８について説明する。

図２に示されるように、サイドサポート部可動装置３８は、サイドサポート部１８を前後方向を軸方向として傾動可能に支持する軸部４０と、サイドサポート部１８が上方側へ傾動された状態（サイドサポート部１８の右側の端部１８Ａが上方側へ位置している状態）に保持するサイドサポート部ロック装置４２と、を備えている。また、サイドサポート部可動装置３８は、操作されることでサイドサポート部ロック装置４２によるサイドサポート部１８の保持を解除する解除操作部としてのサポートロック解除レバー４４と、を備えている。

サイドサポート部ロック装置４２は、基端側が軸部４０に接合されていると共に当該軸部４０の径方向外側へ延びる板状に形成されたロック板４６と、ロック板４６の先端部４６Ａが係合されることで軸部４０の回動を規制するロック孔４８Ａを有する被係合板４８と、を備えている。この被係合板４８は、ピン５０を介して傾動可能に支持されている。そして、被係合板４８が第２ケーブル５２を介して引かれると、当該被係合板４８が一方側へ傾動されて、ロック板４６の先端部４６Ａが被係合板４８のロック孔４８Ａから抜け出す。これにより、軸部４０の回動の規制が解除されて、即ち、サイドサポート部１８の保持が解除されて、当該サイドサポート部１８を下方側へ傾動させることが可能となる。なお、被係合板４８は、図示しない付勢部材によって他方側へ傾動される方向へ付勢されている。

ここで、本実施形態では、軸部４０とサイドサポート部１８との間には、当該サイドサポート部１８が下方側へ傾動させる方向へ付勢するサイドサポート部付勢部材としてのサイドサポート部付勢スプリング５４が設けられている。そのため、サイドサポート部ロック装置４２によるサイドサポート部１８の保持が解除されると、サイドサポート部１８はサイドサポート部付勢スプリング５４の付勢力によって下方側へ傾動される。

サポートロック解除レバー４４は、シート幅方向外側の端部がＬ字状に折り曲げられた板状に形成されており、このサポートロック解除レバー４４は、サイドサポート部１８の下方側の端部にスライド可能に支持されている。このサポートロック解除レバー４４には、第１ケーブル３０及び第２ケーブル５２が接続されている。そして、サポートロック解除レバー４４がロック位置Ｐ１から解除位置Ｐ２にスライドされて、第１ケーブル３０及び第２ケーブル５２が、サポートロック解除レバー４４を介して引かれることで、車両用シート１０を前後方向へスライドさせることが可能となると共にサイドサポート部１８を下方側へ傾動させることが可能となる。

（本実施形態の作用並びに効果）
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。

先ず、図３及び図４を用いて乗員が車両へ乗車する際について説明する。

図３（Ａ）及び図４（Ａ）に示されるように、乗員が運転席である車両用シート１０に着席するために、フロントサイドドアを開けた状態では、シートクッション１２の右側のサイドサポート部１８は、下降した状態となっている。そのため、本実施形態では、右側のサイドサポート部１８が乗員の車両への乗車の妨げとなることを抑制することができる。

図３（Ｂ）及び図４（Ｂ）に示されるように、乗員が車両用シート１０に着席した後に、乗員がサポートロック解除レバー４４を解除位置Ｐ２にスライドさせることで、右側のサイドサポート部１８を上昇させる（引き起こす）ことができると共に、図３（Ｃ）及び図４（Ｃ）に示されるように、車両用シート１０の前後位置を運転し易い位置に調節することができる。

そして、図３（Ｄ）及び図４（Ｄ）に示されるように、乗員がサポートロック解除レバー４４を離して、サポートロック解除レバー４４が解除位置Ｐ２からロック位置Ｐ１に移動されることで、右側のサイドサポート部１８が上方側へ傾動された状態に保持されると共に、車両用シート１０の前後方向へのスライドが規制される。

次に、図５及び図６を用いて乗員が車両から降車する際について説明する。

図５（Ａ）及び図６（Ａ）には、乗員が車両用シート１０に着座した状態の当該車両用シート１０が示されている。この状態で、乗員が図５（Ｂ）及び図６（Ｂ）に示されるように、乗員がサポートロック解除レバー４４を解除位置Ｐ２にスライドさせることで、右側のサイドサポート部１８を下降させる（倒す）ことができると共に、図５（Ｃ）及び図６（Ｃ）に示されるように、車両用シート１０の前後位置を降車し易い位置に調節することができる。

そして、図５（Ｄ）及び図６（Ｄ）に示されるように、乗員がサポートロック解除レバー４４を離して、サポートロック解除レバー４４が解除位置Ｐ２からロック位置Ｐ１に移動されることで、車両用シート１０の前後方向へのスライドが規制される。これにより、本実施形態では、右側のサイドサポート部１８が乗員の車両からの降車の妨げとなることを抑制することができる。

以上説明したように、本実施形態の車両用シート１０によれば、乗員の乗降性を向上させることができる。

また、本実施形態の車両用シート１０によれば、サイドサポート部付勢スプリング５４が設けられていることにより、サイドサポート部１８をサイドサポート部付勢スプリング５４の付勢力によって下降させることができる。

さらに、本実施形態では、サポートロック解除レバー４４がサイドサポート部１８の下方側に設けられていることにより、乗員がサポートロック解除レバー４４を操作しながらサイドサポート部１８を傾動させることができる。

また、本実施形態では、サポートロック解除レバー４４に加えてループハンドル３２（図２参照）が設けられていることにより、サイドサポート部１８の変位が規制された状態で（サイドサポート部１８が下降されない状態で）車両用シート１０を前後方向へスライドさせることができる。

なお、本実施形態では、ループハンドル３２を設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ループハンドル３２を設けるか否かについては、車両用シート１０が設けられる位置等を考慮して適宜設定すればよい。

また、本実施形態では、サポートロック解除レバー４４をサイドサポート部１８の下方側に設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。サポートロック解除レバー４４を設ける位置は、乗員によるサポートロック解除レバー４４の操作性等を考慮して適宜設定すればよい。

さらに、本実施形態では、サイドサポート部１８がサイドサポート部付勢スプリング５４の付勢力によって下降される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。サイドサポート部付勢スプリング５４の付勢力は、乗員がサイドサポート部１８を倒す際のアシスト程度の付勢力であってもよい。また、サイドサポート部付勢スプリング５４を設けない構成としてもよい。

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。

１０ 車両用シート
１２ シートクッション
１８ サイドサポート部
２０ サイドサポート部
２２ アッパレール（シートスライド機構）
２４ ロアレール（シートスライド機構）
３２ ループハンドル（スライド許容操作部）
４４ サポートロック解除レバー（解除操作部）
５４ サイドサポート部付勢スプリング（サイドサポート部付勢部材）
Ｐ１ ロック位置
Ｐ２ 解除位置

Claims (4)

1. 乗員が着座するシートクッションのシート幅方向の少なくとも一方側に設けられ、シート上下方向に変位可能とされたサイドサポート部と、
   前記シートクッションをシート前後方向にスライド可能に支持すると共に前記シートクッションのシート前後方向へのスライドを規制するロック装置を有するシートスライド機構と、
   乗員によって操作される解除操作部を有し、該解除操作部がロック位置に位置している状態では、前記サイドサポート部のシート上下方向への変位が規制され、前記解除操作部が解除位置に位置している状態では、前記サイドサポート部のシート上下方向への変位が許容されかつ前記シートクッションのシート前後方向へのスライドが許容されるサイドサポート部規制機構と、
   を備えた車両用シートの乗降サポート構造。
2. サイドサポート部付勢部材が前記サイドサポート部の回りに設けられており、
   前記サイドサポート部付勢部材は、前記サイドサポート部がシート下方側へ変位される方向へ付勢する請求項１記載の車両用シートの乗降サポート構造。
3. 前記解除操作部が、前記サイドサポート部のシート下方側に設けられた請求項１又は請求項２記載の車両用シートの乗降サポート構造。
4. スライド許容操作部が、前記解除操作部とは異なる位置である前記シートクッションの下方側に設けられており、
   前記スライド許容操作部が操作されることで、前記サイドサポート部のシート上下方向への変位が規制された状態での前記シートクッションのシート前後方向へのスライドが許容される請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の車両用シートの乗降サポート構造。