JP6552801B2 - 圧電トランス及びこれを用いた電源用回路モジュール - Google Patents
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Description
さらに本発明の圧電トランスでは、基板の厚みが圧電体の厚みより大きい態様とすることにより、一方の外面(例えば表面)を基準として圧電体と基板の位置(厚み方向でみた位置)を合わせれば、圧電体の他方の外面(例えば裏面)は基板の他方の面から奥まった位置にある(浮いている)ことになる。この場合、圧電体及び基板の全体を1つのモジュールとして構成しても、圧電体が基板の他方の面側で露出することがないことから、これを圧電トランスのモジュールとして他の回路基板上に面実装する用途に好適する。
上述したように、圧電体が一対をなす外面の両方に電極(入力)を有する場合は以下の構成とする。すなわち、2つの電極を「第1の入力電極」及び「第2の入力電極」とすると、「第1の入力電極」は、圧電体の厚み方向で一対をなす外面のうち、一方の外面上のみに形成されている。また「第2の入力電極」は、圧電体の厚み方向で一対をなす外面のうち他方の外面から長手方向又は幅方向の一端にて側面に連なり、かつ、一方の外面上にまで延長して形成されている。なお、ここでいう「長手方向又は幅方向」については、(1)長手方向の一端で側面に連なる態様、(2)幅方向の一端で側面に連なる態様、及び(3)長手方向及び幅方向それぞれの一端で側面に連なる態様を含む(これ以降も同様)。
導電体が突起上で接着剤により接着される態様であれば、基板の外面上では圧電体により近接した位置で導電体の保持が可能となるため、それだけ導電体にかかる負荷を軽減することができる。
図1は、第1実施形態の圧電トランス10を構成要素に分けて示した分解斜視図である。圧電トランス10は、主に圧電体20及び回路基板40から構成されており、回路基板40に圧電体20が支持されることで、モジュール化された圧電トランス10を構成する。
圧電体20は、長細い平板状をなす圧電セラミックス(例えばPZT)で構成されている。圧電体20の厚み方向で対をなす一方の外面(以下では上面とする)には、長手方向の中央から一端までの範囲内に1次側電極22(第1の入力電極)が形成されている他、他端部には2次側電極26(出力電極)が形成されている。また同じ圧電体20の上面には、先の1次側電極22から距離を置いて長手方向の一端部に別の1次側電極24(第2の入力電極)が形成されている。
圧電体20の上面にて、2つの1次側電極22,24及び2次側電極26にはそれぞれ導電体の一例である導電線28,30,32が固着されている。図では棒状に示されているが、導電線28,30,32は、極細(例えば直径数+μm)の金フィラメントを撚り合わせた金糸線である。したがって導電線28,30,32は、いずれも適度な柔軟性や可撓性を有した導電性線材料である。なお、導電線28,30,32の固着には、いずれも半田23,25,27が用いられている(半田付けされている)。
回路基板40は、例えば長細い平板状をなす積層セラミック基板で構成されている。第1実施形態で用いる回路基板40は、圧電体20の厚みよりも大きい厚みを有している。また回路基板40は、幅方向及び長手方向でみて圧電体20の外形よりも一回り大きい外形を有している。さらに回路基板40には、その上面視で真ん中の部分に孔42が形成されており、孔42は回路基板40を厚み方向に貫通(開口)して形成されている。
孔42は、その内側に圧電体20を配置可能な大きさ及び形状に形成されており、孔42内に圧電体20が配置された状態で、圧電体20の外周面と孔42の内周面との間には適度なクリアランスが確保されるものとなっている。なお、孔42内には、図1に示されるように圧電体20が厚み方向(基板40の厚みと平行)に受け入れられるものとなっている。
回路基板40には、孔42内の複数箇所(ここでは8箇所)に突起44,46,48,50が形成されており、これら突起44,46,48,50は、いずれも孔42の内周面(内側面)から内側に向けて突出するようにして形成されている。また突起44,46,48,50は、幅方向の両側で互いに対(ここでは4対)をなしている。
回路基板40の厚み方向で対をなす一方の面(以下では上面とする)には、長手方向でみて孔42の両側に複数(ここでは6個)の回路電極52,54,56が形成されている。これら回路電極52,54,56は、回路基板40の上面に導電パターンとして形成されたランドであり、孔42内に圧電体20が配置された状態では、導電線28,30,32の張り出し部分が半田付けされるものとなっている。特に図示されていないが、回路基板の内層には圧電トランス10を用いた電源回路の構成に必要な各種の配線パターンが形成されており、回路電極52,54,56は、回路基板40の内層にて各種の配線パターンと導通している。
図2中(A):上記のように、回路基板40の孔42内に圧電体20が配置された状態で、各導電線28,30,32は圧電体20から幅方向の両側へ張り出すようにして延び、回路基板40の上面にてそれぞれ対応する回路電極52,54,56に固着されている。なお導電線28,3,32と回路電極52,54,56との固着には、半田53,55,57が用いられている(半田付けされている)。この状態で、圧電体20は回路基板40の上面側のみにて、導電線28,30,32を介して回路基板40に保持されている。
図4中(A):上記のように導電線28,30,32は、回路基板40の上面にてそれぞれ対応する回路電極52,54,56に半田付けされている。その上で第1実施形態では、例えば回路基板40上面の各突起44上で導電線28を接着剤S(図中に2点鎖線で示す)により接着することができる。これにより、導電線28の接着強度を高めるとともに、導電線28にかかる圧電体20の負荷を軽減することができる。また、上記のように突起44の対は圧電体20の振動の節の位置に対応しているため、接着剤Sを用いても圧電体20の振動を阻害しにくいという利点がある。
図4中(A):上記のように各導電線28,30,32は、1次側電極22,24及び2次側電極26に半田付けされた状態で、いずれも圧電体20の幅方向の両側に大きく張り出している。各導電線28,30,32の張り出しは、回路基板40の上面で対応する回路電極52,54,56との半田付けを行うためであるが、第1実施形態では、各導電線28,30,32が回路電極52,54,56よりさらに両側に張り出すだけの全長を有するものとなっている。ただし、各導電線28,30,32の両端の位置は、回路基板40の幅方向でみた両側縁の位置にちょうど重なっている(一致している)。これにより、例えば圧電トランス10の製造過程で動作試験を行う際、回路基板40の両側縁を図示しない検査プローブ等で挟み込むだけで、各導電線28,30,32の両端への導通を容易に図ることができる。これにより、動作試験の作業性を高め、最終的な製造効率の向上や検査コストの低減に寄与することができる。
図6は、一実施形態の圧電トランス10をモジュールとして面実装した例を示す図である。
また、圧電トランス10は電源用回路ブロックを構成するモジュールとしてマザー基板60に実装することができる。このため基板40には、入力電圧を圧電トランス10の1次側電極22,24に入力し、2次側電極26から変圧された電圧を出力する電源回路(図示していない)が形成されている。
また、圧電トランス10の面実装はリフローにより対応することができる。例えば、マザー基板60上の図示しないパターン上にメタルマスク等を介してクリーム半田を塗布し、実装位置に圧電トランス10をモジュールとしてマウントしてリフローを行う。このとき、リフロー時の熱が圧電体20に加わるが、マウント状態で既に圧電トランス10の回路が導通しているため、いわゆる焦電対策を考慮する必要がない。この点、リード端子を介してスルーホール実装する形態であれば、フロー槽を通す過程で焦電対策を施しておく必要があるが、第1実施形態では面実装対応によりリフローが可能である。
図6中(B):また、圧電トランス10を面実装とする場合でも、マザー基板60からの実装高さ(図中符号Ht)は、回路基板40の厚みに半田53,55,57等の盛り上がり分を加えただけとなる。このため、ケース体等(図示していない)に圧電体20を収容した形態と比較して大幅な薄型化を実現することができる。
図7は、圧電体20を圧電トランス素子の発明として、一般的なタイプの圧電トランス素子との対比により示した図である。
図7中(A):一般的なタイプの圧電トランス素子200は、厚み方向で対をなす外面にそれぞれ1次側電極220,240が形成されており、1次側電極220,240は、長手方向の中央から一端部までの範囲内(駆動部)に形成される。このとき各電極220,240への導電線の接続(半田付け等)は、両面のそれぞれで行われる。また2次側電極260,290は、長手方向の一端部(発電部の振幅最大位置付近)に形成される例が一般的である。
図7中(B):上述したように、圧電体20は、上面のみに形成された1次側電極22,24及び2次側電極26に導電線28,30,32を固着(半田付け)し、上面側だけで回路基板40に保持させることを可能とするため、下面に形成されている1次側電極24を上面にまで延長させている。このとき1次側電極24の延長部分は、圧電体20の上面で導電線30を確実に固着(半田付け)するために必要な長さ(図中符号P)と、片方の1次側電極22との間に確保すべきクリアランス(図中符号C)となる。なお、クリアランスは通常、圧電体20の厚みより大きく確保されている。
ここで、図7中(A)に示される一般的な圧電トランス素子200を所定の振動モード(例えば、λモード)で作動させて得られる特性(以下、一般特性とする)を想定した場合を考える。このとき、一般的な圧電トランス素子200を基準として圧電体20(圧電トランス素子の発明)を長手方向に延長することにより、圧電体20を同様のλモードで作動させ、一般特性と同等の特性(例えば、外部負荷に対する昇圧比)を発揮させることができる。また、圧電体20の延長は、駆動部及び発電部となる領域の両方について施されており、図7中(B)に示される例では、長手方向の一端部及び他端部にそれぞれ一対の延長部(図中符号E1,E2)が形成されている。
図7では、圧電体20の長手方向に1次側電極24を延長し、長手方向へ圧電体20を延長した形態を例に挙げているが、1次側電極24を圧電体20の幅方向に延長し、その延長方向である幅方向に圧電体20を延長してもよい。この場合、下面に形成されている1次側電極24は、圧電体20の幅方向の一端で側面に連なり、かつ、上面に折り返された形態となる。ここでも同様に1次側電極24の延長部分は、圧電体20の上面で導電線30を確実に固着(半田付け)するために必要な長さ(図中符号Pに相当)と、片方の1次側電極22の幅方向の一端との間に確保すべきクリアランス(図中符号Cに相当)となる。そして、圧電体20は、一般的な圧電トランス素子200を基準として幅方向に延長されることにより、圧電体20を同様のλモードで作動させ、一般特定と同等の特性を発揮させることができる。同様に圧電体20の延長は、駆動部及び発電部となる領域の両方に施される結果、全長にわたって圧電体20が幅方向に延長されることになる。
図8は、第2実施形態の圧電トランス100を主な構成要素に分けて示した分解斜視図である。
圧電体20の構成は第1実施形態と共通するが、第2実施形態では異なる態様の導電線281,301,321が用いられている。すなわち、各導電線281,301,321は、圧電体20の幅方向のいずれか片側に張り出すだけの長さを有しており、第1実施形態(導電線28,30,32)のように両側にまで張り出していない。また、3本ある導電線281,301,321の張り出し方向は皆同じではなく、例えば、圧電体20の長手方向の両端部に位置(1次側電極24及び2次側電極26に対応)する2本の導電線301,321は幅方向の一方の側に張り出しているが、これらの間に位置(1次側電極22に対応)する1本の導電線281は幅方向の他方の側に張り出している。このため3本の導電線281,301,321は、圧電体20の幅方向へ互い違いに張り出している。
なお、各導電線281,301,321が金糸線で構成されている点は第1実施形態と同じである。
第2実施形態で用いる回路基板400もまた、例えば長細い平板状をなす積層セラミック基板で構成されているが、回路基板400の厚みは圧電体20の厚みよりも小さい。また回路基板400は、圧電体20の他にも電源回路の構成要素となる各種の電子部品を実装できる大きさを有している。例えば回路基板400には、入力コネクタ402や出力バス線404、抵抗(又はコンデンサ、コイルでもよい)406,408、チップ部品410,412等が実装されている。このうち1つのチップ部品412は回路基板400の裏面に実装されている。また、出力バス線404は回路基板400にスルーホール実装されており、その末端(基端)が裏面にて固定されている。これら電子部品と圧電体20は回路基板400に形成された配線パターン(図示されていない)により接続されることにより、圧電トランス100を用いた電源回路を構成している。
回路基板400の孔421は、圧電体20を厚み方向に受け入れて配置可能な大きさと形状を有する他、上記の抵抗406を同じく厚み方向に受け入れて配置できる領域分だけ拡張(第1実施形態の孔42との比較)されている。その他に、回路基板400には幅方向の一方の側縁部に切り欠き414が形成されており、この切り欠き414は、別の抵抗408を厚み方向に受け入れて配置可能な大きさと形状を有している。なお、孔421内に突起44,46,48,50が形成されている点は第1実施形態と同様である。
回路基板400の上面には、第1実施形態と同様に回路電極52,54,56が形成されているが、第2実施形態では各回路電極52,54,56が対をなしておらず、いずれも単一で配置されている。なお、各回路電極52,54,56の配置は、上述した導電線281,301,321の張り出し方向に対応している。また、回路基板400の内層に図示しない配線パターンが形成されている点、及び、回路電極52,54,56が突起44,46,48の配置に対応している点は第1実施形態と同様である。
図9中(A):第2実施形態では、回路基板400の孔421内に圧電体20が配置された状態で、各導電線281,301,321が圧電体20から幅方向のいずれか一方の側方へ張り出すようにして延び、回路基板400の上面にてそれぞれ対応する回路電極52,54,56に固着(半田付け)されている。この状態で、圧電体20は回路基板400の上面側のみにて、導電線281,301,321を介して回路基板400に保持されている。このとき、上記のように3本の導電線281,301,321が互い違いに張り出しており、圧電体20は幅方向の両側でバランスよく3点支持されるため、回路基板400から落下することはない。
特に図示されていないが、第1実施形態と同様に、接着剤を用いて導電線281を突起44の部分で回路基板400の上面に接着することができる。また、その他の導電線301,321をそれぞれ対応する突起46,48の部分で回路基板400の上面に接着してもよい。なお、第2実施形態の圧電トランス100は実装部品として使用されないため、リフローによる半田23,25,27,53,55,57の溶融を考慮しなければ、接着剤による固定を省略することもできる。
20 圧電体
22,24 1次側電極
26 2次側電極
28,30,32 導電線
40 回路基板
42 孔
44,46,48,50 突起
52,54,56 回路電極
100 圧電トランス
281,301,321 導電線
400 回路基板
421 孔
Claims (9)
- 厚み方向で一対をなす外面に電極が形成された平板状の圧電体と、
前記圧電体を厚み方向に受け入れて配置可能な孔が形成された平板状の基板とを備え、
前記圧電体は、
前記基板の孔内に配置された状態で、一方の外面に形成された電極に固着された導電体のみを介して前記基板に保持されることを特徴とする圧電トランス。 - 請求項1に記載の圧電トランスにおいて、
前記基板は、
前記圧電体の厚みより大きい厚みを有することを特徴とする圧電トランス。 - 請求項1又は2に記載の圧電トランスにおいて、
前記基板は、
厚み方向で一対をなす一方の外面にのみ前記導電体を固着させて前記圧電体を保持していることを特徴とする圧電トランス。 - 請求項1から3のいずれかに記載の圧電トランスにおいて、
前記圧電体は、
厚み方向で一対をなす外面のうち、一方の外面上のみに形成された第1の入力電極と、
厚み方向で一対をなす外面のうち他方の外面から長手方向又は幅方向の一端にて側面に連なり、かつ、前記一方の外面上にまで延長して形成された第2の入力電極と
を有することを特徴とする圧電トランス。 - 請求項4に記載の圧電トランスにおいて、
前記圧電体は、
前記一方の外面上にて延長された前記第2の入力電極の延長部分に対応して設けられ、入力電圧の印加に伴い駆動及び発電を行う領域をそれぞれ前記延長部分の延長方向である長手方向又は幅方向に延長した延長部を含むことを特徴とする圧電トランス。 - 請求項1から5のいずれかに記載の圧電トランスにおいて、
前記基板は、
前記孔内に前記圧電体が配置された状態でみて、前記電極に固着された前記導電体に対応する位置で前記孔の内周面から内側に向けて突出して形成され、前記孔内での前記圧電体の配置を案内する突起を有することを特徴とする圧電トランス。 - 請求項6に記載の圧電トランスにおいて、
前記導電体は、
前記基板の厚み方向で一対をなす一方の外面の前記突起上で接着剤により接着されていることを特徴とする圧電トランス。 - 請求項1から7のいずれかに記載の圧電トランスにおいて、
前記導電体は、
前記一方の外面に沿って前記圧電体の幅方向の両側に張り出して延び、かつ、両端の位置が前記基板の幅方向でみた両側縁の位置に重なることを特徴とする圧電トランス。 - 請求項1から8のいずれに記載の圧電トランスを用いて入力電圧を変圧して出力する電源回路を備えた電源用回路モジュール。
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