JP6549430B2 - スパッタリングターゲットおよびスパッタリングターゲットの製造方法 - Google Patents
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Description
これに対して、従来のブラスト処理においては、鋭角部を有する先鋭な砥粒を被処理材の表面に衝突させたり、球状のメディアを表面で破砕させているため、砥粒の被処理材への食込みが生じ易く、被処理材の表面に破砕層が形成されるなど傷が付き易い。そのため前記表面を粗くできるが、傷が多数残存するので、微小なパーティクルの発生を皆無にすることは不可能であった。
また、スパッタリングターゲットとスパッタ装置との間での異常放電に関しては、スパッタリングターゲットの表面、外周面等に存在する異常な突起状部分を低減することはなされてきたが、スパッタリングターゲットの形状・デザインそのもの及び材質の影響については、あまり検討がなされていない。
そのため、ダストの低減や、ターゲットライフを伸ばすことが難しかった。
本発明は、前記の微細パーティクル発生要因を対策・改善して、スパッタリングターゲットおよびそのバッキングプレートからのダストの脱落を防止して微細なパーティクルを低減するとともにスパッタリングターゲット自体のデザインの最適化により、スパッタ装置とスパッタリングターゲットとの間で発生する異常放電の発生を抑制することによって、異常放電による微細なパーティクルを低減することおよびそれによってターゲットライフを伸ばすことを目的としている。
さらに、前記スパッタリングターゲットにおいて、前記外周部の断面形状が前記外周部の角部からバッキングプレートのターゲット側立ち上がり開始部に向けての寸法(テーパ寸法:図2のh)が0.3mm以上である逆テーパ形状であることを特徴とするスパッタリングターゲットである。
但し、S1は縦210μm×横270μmの視野面積(μm2)で、S2は縦210μm×横270μmの視野内における空孔の合計面積(μm2)である。
図2は、本発明の第一の発明に係るスパッタリングターゲット本体1およびバッキングプレート本体2からなるスパッタリングターゲットの構成の1例を示す部分断面図である。スパッタ装置のシールド部品3に近接する角部がR2.5以上である。hは、外周部の角部からバッキングプレートのターゲット側立ち上がり開始部に向けての寸法(テーパ寸法)を示す。図3は、本発明の第二の発明を示しており、スパッタリングターゲット本体1およびバッキングプレート本体2の表面の再付着膜が付着する領域4に複数の球状凹みを有している。スパッタ装置のシールド部品3に近接する角部がR2.5以上である。hは、外周部の角部からバッキングプレートのターゲット側立ち上がり開始部に向けての寸法(テーパ寸法)を示す。さらに、図4は、本発明の第三の発明を示しており、スパッタリングターゲット本体1およびバッキングプレート本体2の溶射被膜5を含む再付着膜が付着する領域4に複数の球状凹みを有している。スパッタ装置のシールド部品3に近接する角部がR2.5以上である。hは、外周部の角部からバッキングプレートのターゲット側立ち上がり開始部に向けての寸法(テーパ寸法)を示す。
実施例1,2は、ターゲット角部RをR2.5、R3に加工し、テーパ寸法hは0.30mm,0.39mmの2種類とした。実施例3,4は、ターゲット角部RをR2.5、R3に加工し、テーパ寸法hは0.39mmとし、ボールショット処理を実施した。実施例5,6は、ターゲット角部RをR3に加工し、テーパ寸法hは0.39mmとし、アークAl溶射して表1に示す厚さを有する溶射被膜を形成した後ボールショット処理を実施した。実施例7,8は、ターゲット角部RをR3に加工し、テーパ寸法hは0.39mmとし、アークAl溶射して表1に示す厚さを有する溶射被膜を形成した後ボールショット処理とドライアイス処理を実施した。バッキングプレートは、実施例1〜8まで全てAl合金とし、各Al合金の成分は表1に示す。
比較例1は、ターゲット角部RをR2に加工し、テーパがないスパッタリングターゲット。比較例2は、ターゲット角部をR2に加工し、テーパ寸法hを0.39mmとした。比較例3,4,5は、ターゲット角部をR3に加工し、比較例3はSiCnによるブラスト処理、比較例4はワイヤーショット(ワイヤーを表面にブラスト処理)、比較例5はバッキングプレート材質をCu合金として、ボールショット処理を実施した。比較例6,7,8は、ターゲット角部をR3に加工し、テーパ寸法hを0.39mmとし、アークAl溶射して表1に示す厚さを有する溶射被膜を形成した。比較例7は、SiCでブラスト処理を実施した。比較例8は、ワイヤーショット処理を実施した。比較例1〜4、6〜8のバッキングプレートはAl合金とし、各Al合金の成分は表1に示す。
2 バッキングプレート本体
3 スパッタ装置のシールド部品
4 再付着膜が付着する領域
5 溶射膜
6 ステンレス製ボール
7 噴射ノズル
8 球状凹み
D 球状凹み8の直径
d 球状凹み8の深さ
t 溶射膜5の厚さ
h テーパ寸法
R2 従来のターゲット角部の1例としてR2を示す
R2.5≦ 本発明に係るターゲット角部Rが2.5以上であることを示す
Claims (15)
- スパッタリングターゲット本体と、前記スパッタリングターゲット本体を保持するバッキングプレートとを具備するスパッタリングターゲットであって、
前記スパッタリングターゲット本体の外周部のスパッタ装置のシールド部品に近接する角部のRがR2.5以上であり、
前記スパッタリングターゲット本体の前記外周部の断面形状が前記外周部の角部から前記バッキングプレートのターゲット側立ち上がり開始部に向けての寸法(テーパ寸法)が0.3mm以上の逆テーパ形状である、スパッタリングターゲット。 - 前記スパッタリングターゲット本体の表面または前記バッキングプレートの表面の少なくともいずれか一方に、表面粗さが算術平均粗さRaで20μm以下である複数の球状凹みを有する、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記球状凹みの平均直径が50μm以上300μm以下である、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記球状凹みの平均深さが5μm以上30μm以下である、請求項2または請求項3に記載のスパッタリングターゲット。
- さらに、前記スパッタリングターゲット本体の表面または前記バッキングプレートの表面の少なくともいずれか一方に設けられた溶射被膜を備え、
前記溶射被膜は表面粗さが算術平均粗さRaで20μm以下である複数の球状凹みを有する、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。 - 前記球状凹みの平均直径が50μm以上300μm以下である、請求項5に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記球状凹みの平均深さが5μm以上30μm以下である、請求項5に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記バッキングプレートの材質がAl合金である、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のスパッタリングターゲット。
- 前記バッキングプレートの材質は、Mnを0.4wt%以上1.0wt%以下、Mgを4.0wt%以上4.9wt%以下、Crを0.05wt%以上0.25wt%以下の範囲で含み、残部がAlからなるAl合金、またはMgを0.8wt%以上1.2wt%以下、Siを0.4wt%以上0.8wt%以下、Cuを0.15wt%以上0.4wt%以下の範囲で含み、残部がAlからなるAl合金である、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のスパッタリングターゲット。
- スパッタリングターゲット本体と、前記スパッタリングターゲット本体を保持するバッキングプレートとを具備するスパッタリングターゲットの製造方法において、
前記スパッタリングターゲット本体の外周部のスパッタ装置のシールド部品に近接する角部のRをR2.5以上となるように加工し、
前記スパッタリングターゲット本体の前記外周部を、前記外周部の断面形状が前記外周部の角部からバッキングプレートのターゲット側立ち上がり開始部に向けての寸法(テーパ寸法)が0.3mm以上の逆テーパ形状となるよう加工する、スパッタリングターゲットの製造方法。 - 前記スパッタリングターゲット本体の表面および前記バッキングプレート本体の表面の少なくともいずれか一方に、複数の球状凹みを塑性加工により形成する、請求項10に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記スパッタリングターゲット本体の前記表面および前記バッキングプレート本体の前記表面の少なくともいずれか一方に、ボールショット処理またはドライアイス処理により前記球状凹みを形成する、請求項11に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記スパッタリングターゲット本体の表面および前記バッキングプレート本体の表面の少なくともいずれか一方に溶射被膜を形成し、前記溶射被膜の表面に複数の球状凹みを形成する、請求項10に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記溶射被膜の表面にボールショット処理またはドライアイス処理により前記球状凹みを形成する、請求項13に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記溶射被膜をアーク溶射またはプラズマ溶射により形成する、請求項13に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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