JP2005154896A - 真空装置用部品及びその製造方法並びにそれを用いた装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体等のプラズマ処理装置や成膜装置に用いられる真空装置用の部品では、その使用中に部品自体の剥離、部品表面に付着する膜状物質の剥離、及びプラズマによる部品表面の腐食による製品の汚染、部品の短寿命化及び頻繁な部品交換による生産性の低下という問題があった。
【解決手段】半導体等の成膜装置及びプラズマ処理装置に用いる真空装置用部品において、表面がセラミック及び又は金属溶射膜で被覆され、該溶射膜の表面に幅10〜300μm、高さ4〜600μm、幅(W)と高さ(H)の比(H/W)が0.4以上の突起状粒子が、20個/mm〜20000個/mm以下の範囲で存在し、空孔率が10〜40%となるものは、膜状物質の付着性が高く、膜状物質の剥離に起因する発塵による製品汚染がなく、なおかつ長時間の連続使用が可能である。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、半導体等の製造における成膜装置、プラズマ処理装置(プラズマエッチング装置、プラズマクリーニング装置)に用いる真空装置用部品に係わるものである。本発明の真空装置用部品は、成膜、プラズマ処理の際に装置内の部品に付着する膜状物質の剥離による発塵を防止し、また装置内で発生するプラズマに対する部品の耐久性を著しく向上させるものである。
半導体等の製品基板の成膜、プラズマ処理を行う成膜装置、プラズマ処理装置では、その装置内部に用いられる部品上に膜状物質が付着する。このような状態で成膜、プラズマ処理を連続で行うと、付着した膜状物質が厚くなり、それらがやがて剥離して装置内の発塵となり、装置内及び製品基板を汚染することが知られている。また成膜装置、プラズマ処理装置では装置内でプラズマが発生するが、プラズマが部品の表面を腐食し、部品の劣化及びそれに伴う発塵の問題も生じていた。これらの現象は製品基板の品質低下や歩留まり低下の原因となり、大きな問題であった。
従来、膜状付着物の剥離による発塵を低減する方法としては、部品の表面にブラスト処理を施して表面を梨地状にして膜状物質の付着性を大きくする方法が知られている。例えば、石英ベルジャーの内面への飛来粒子の付着性を向上させる為、ブラスト処理を施すことや、セラミックシリンダーに堆積する膜状物質の付着性を向上させる為、表面にブラスト加工を施すことが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、石英ガラスをブラスト加工した粗面は、強度が弱い部分や割れて剥がれかけたかけらがあり、膜状物質が付着しにくい、或いは剥がれ易いという問題があった。
一方、石英ガラスをブラスト加工した後、フッ酸溶液でエッチング処理する方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、石英ガラスをブラストした表面をフッ酸溶液でエッチング処理した表面は、膜状物質が付着し易い場所とそうでない場所ができるために、直接その上に付着した場合、付着性が十分でないという問題があった。
部品への膜状物質の付着性を改善させるために、石英基材の表面をブラスト加工した後、少なくともフッ酸を含む酸でエッチング処理した基材とプラズマガンとの距離を制御して、プラズマガスに水素を添加してプラズマ溶射することも知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このような方法を用いた場合でも、膜状物質の付着性にある程度の改善効果は得られるものの、長時間の使用に耐えられるような十分な効果が期待できるものではなかった。
米国特許第5460689号明細書(第3欄) 特許公開平8−104541号公報(特許請求の範囲) 特許公開2003−212598号公報(実施例6)
真空装置に用いられる部品においては、膜状物質の付着性を更に向上させて、成膜又はプラズマ処理をより長時間連続的に実施可能とする技術を、市場から常に要求されてきた。そこで、本発明は、半導体等の製品基板の成膜やプラズマ処理装置内に用いる真空装置の部品において、従来よりもさらに膜状物質の付着性が高く、長時間の連続使用が可能な優れた部品を提供するものである。
本発明者は、上述のような現状に鑑み、鋭意検討を行った結果、基材上にセラミック溶射膜を形成した真空装置用部品であって、該溶射膜の表面に直径0.1〜5μmの粒子が集合した突起状粒子が分散して存在する真空装置用部品においては、堆積する膜状物質の付着性が従来よりも更に優れることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである(第1発明)。また、基材上に金属溶射膜を形成した真空装置用部品であって、該溶射膜の表面に直径0.1〜10μmの粒子が集合した突起状粒子が分散して存在する真空装置用部品においては、堆積する膜状物質の付着性が従来よりも更に優れることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである(第2発明)。
また、基材上にセラミック及び/又は金属溶射膜を形成した真空装置の部品であって、該溶射膜の表面に幅10〜300μm、高さ4〜600μm、幅(W)と高さ(H)の比(H/W)が0.4以上の突起状粒子が、20個/mm以上〜20000個/mm以下の範囲で存在し、該溶射膜の空孔率が10%〜40%であることを特徴とする真空装置の部品においては、堆積する膜状物質の付着性が従来よりも更に優れることを見出した(第3発明)。
さらに、この様な突起状粒子は、溶射粉末を半溶融状態で該基材上へ衝突させること、あるいは、溶射粉末を融点の小さい材料が融点の大きい材料を包み込む様に形成し、溶射時には融点の小さい材料を完全に溶融させ、融点の大きい材料を未溶融又は半溶融状態で該基材上へ衝突させることによって得られることを見出した。加えて本発明の真空装置を用いた成膜装置、プラズマエッチング装置、プラズマクリーニング装置では、パーティクルの発生が防止されることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
以下本発明を詳細に説明する。
第1の発明は、基材上にセラミック溶射膜を形成した真空装置用部品であって、溶射膜表面に、直径0.1〜5μmの粒子が集合した突起状粒子が分散して存在する真空装置用部品に関するものである。各粒子の直径が0.1μmより小さい場合には、それが集合してできる突起状粒子のサイズに分布が生じやすくなるため、好ましくなく、粒子の直径が5μmより大きい場合には、粒子が集合して構成される突起状粒子が生成しにくくなるため、好ましくない。これらの観点から、好ましい粒子の直径は0.2〜4.0μmである。
第2の発明は、基材上に金属溶射膜を形成した真空装置用部品であって、溶射膜表面に、直径0.1〜10μmの粒子が集合した突起状粒子が分散して存在する真空装置用部品に関するものである。各粒子の直径が0.1μmより小さい場合には、それが集合してできる突起状粒子のサイズに分布が生じやすくなるため、好ましくなく、粒子の直径が10μmより大きい場合には、粒子が集合して構成される突起状粒子が生成しにくくなるため、好ましくない。これらの観点から、好ましい粒子の直径は0.2〜5.0μmである。
なお、粒子の直径は、電子顕微鏡によって数百〜数千倍程度の写真を何枚か撮影し、100個の粒子の直径(同一方向)を測定して平均を計算するが、このとき最低10個以上の突起状粒子を選択し、それらの突起状粒子につき10個以下の粒子の直径を測定して、平均を計算する。
次に、粒子が集合して構成された突起状粒子の平均直径としては、5〜100μmであることが好ましい。突起状粒子の平均直径が5μmより小さい場合には、該溶射膜上に膜状物質が付着する際に、膜状物質が突起した突起状粒子の下側に入り込む余地が小さすぎるため、膜状物質の付着性が低下する。突起状粒子の平均サイズが100μmより大きい場合には、突起状粒子の下側に入り込む余地は大きくなるが、突起状粒子全体を完全に包み込むことが容易ではなくなり、膜状物質の堆積にムラができるため膜状物質の付着性が低下する。膜状物質の付着性がより強固になるためには、突起状粒子の平均直径としては、上述した理由により、10〜60μmであることがさらに好ましい。
突起状粒子の直径は、電子顕微鏡によって数十〜数百倍程度の写真を何枚か撮影し、100個の直径(同一方向)を測定して平均を計算することができる。
次に、粒子が集合して構成された突起状粒子の個数としては100〜20000個/mmであることが好ましい。突起状粒子の平均サイズが100個/mmより少ない場合には、膜状物質と突起状粒子とが絡み合って結合する頻度が少なくなるため、膜状物質の付着性が低下する。突起状粒子の平均サイズが20000個/mmより多い場合には、突起状粒子同士が重なり合うため、付着性の効果が低減する。膜状物質の付着性がより強固になるためには、突起状粒子の存在個数としては、上述した理由により、500〜10000個/mmであることがさらに好ましい。
突起状粒子の個数は、サイズと同様に、電子顕微鏡によって数十〜数百倍程度の写真を何枚か撮影し、複数の部分における任意の面積中に存在する突起状粒子の個数を測定して単位面積当たりの平均個数を求めることができる。
ここで、溶射膜上の粒子が集合して構成された突起状粒子の実例について図1、図2および図3に示す。本溶射膜は酸化イットリウムが5重量%含まれたジルコニアを原料としてプラズマ溶射されたものである。図1は、溶射膜上に形成された粒子が集合して形成された突起状粒子を示すものであり、図2は、突起状粒子がさらに集合した状態(突起状粒子の上に突起状粒子が重なっている状態)を示すものであり、図3は、図2中の突起状粒子部分を丸くマークしたものである。このようにして、適当な倍率の写真を撮影し、突起状粒子の個数および粒径を求めることができる。
また、金属溶射膜上の粒子が集合して構成された突起状粒子の実例について図4に示す。本溶射膜はアルミニウム粉末を原料として高速でプラズマ溶射されたものである。上述の酸化イットリウム添加ジルコニア溶射膜の場合と同様にして、突起状粒子の個数および粒径を求めることができる。
続いて、第3発明につき記述する。第3発明における真空装置用部品は、基材上にセラミック及び/又は金属溶射膜が形成されたものであり、該溶射膜の表面に突起状粒子が存在することを特徴とするものである。
第3発明の突起状粒子の一例を図5に示す。本溶射膜は、アルミナを原料としてプラズマ溶射されたものである。本発明の突起状粒子は、その形状が山形状を有しており、かつ角が丸みを帯びているものであり、好ましくは鋭角部分がないものである。突起の形状が鋭角であると、プラズマ処理に用いた場合、プラズマ中の電界が鋭角部分に集中して選択的にエッチングされ、パーティクルの発生原因となるからである。本発明ではこれらの突起は夫々独立したものであるか或いは幾つかの粒子が重なって形成されていても良い。好ましくは、セラミック溶射膜の場合には、突起状粒子が直径0.1〜5μmの粒子が集合して形成され、金属溶射膜の場合には、突起状粒子が直径0.1〜10μmの粒子が集合して形成されているものである。
第3発明の突起状粒子の幅、高さの測定実施例について図6に示す。測定には、例えば、レーザー共焦点顕微鏡、走査型電子顕微鏡のように、画像の観察と幅・高さの計測が同時に可能な装置を用いることができる。図5のような画像観察を行った後に、突起状粒子の頂上部にかかるように直線を引き、その直線下の高さプロファイルをプロットさせる。このプロファイル上に示された突起状粒子のバックグラウンド線を引き、幅を求める。次に、当該線と突起のピークトップ点との距離を算出することで高さを求める。このようにして、各々の突起状粒子の幅22と高さ23を計算し、さらに高さと幅の比を計算する。突起状粒子の測定には、数十から数百倍程度の写真を何枚か撮影し、100個の突起状粒子を任意に抽出して、幅と高さの値を求めることができる。
第3発明の空孔率の測定方法について説明する。 空孔率は、溶射膜の断面を研磨して鏡面状態に仕上げ、走査型電子顕微鏡等を用いて写真撮影することにより測定することができる。このとき、粒界を鮮明にして空孔率の測定をしやすくするために、溶射膜の断面をエッチングしてもよい。また、研磨の際に、研磨剤等が空孔の中に入り込んでしまう場合には、薬液等を使用して空孔内の清浄化処理を行ってもよい。数十から数百倍程度の写真画像から、溶射膜全体の面積と空孔の部分の面積を計算し、空孔の面積を全体の面積で割ることによって空孔率を計算することができる。このとき、空孔の数としては100個の空孔が抽出されるように、複数枚の写真を撮影する。
第3発明の突起状粒子1個あたりの大きさは、幅10〜300μm、高さ4〜600μmの範囲であることが好ましい。幅が10μmおよび高さが4μm未満の低くつぶれた突起物では、付着物の保持性が低下する。一方、幅が300μmおよび高さが600μmを越えても凹凸の間隔が長くなりすぎて付着膜の保持性が低下してパーティクルが発生し易くなる。以上のことから、突起状粒子の1個当たりの大きさは幅15〜200μm、高さ10〜400μmの範囲、さらに好ましくは、幅20〜100μm、高さ15〜200μmの範囲である。
突起状粒子の幅(W)と高さ(H)の比(H/W)については、1個当たりの大きさが上述したような理由により、0.4以上であることが好ましい。また、幅(W)と高さ(H)の比(H/W)の平均値としては、0.5〜2.0であることが好ましい。0.4未満ではつぶれすぎているため付着力が弱く、2.0より大きい場合では尖り過ぎているため付着力が弱くなる。こうした理由により、幅と高さの比は平均値として0.8〜1.5であることがさらに好ましい。
第3発明の突起状粒子の数は、1mm単位面積当たりの個数が20〜20000個の範囲であり、特に200〜10000個/mmであることが好ましい。20個/mm未満では付着物の保持性が低下し、20000個/mmを超えると、突起状粒子が重なり合うため、突起としての効果が低減し、パーティクルが発生し易くなる。
溶射膜の空孔率としては、10〜40%であることが好ましい。40%より大きい場合では溶射膜内部の粒子の結合力が弱く、該溶射膜が剥がれやすくなりパーティクル発生の原因となる。一方、10%より小さい場合では、該溶射膜が剥がれにくくなるが、突起状粒子の形状がつぶれやすくなるため、付着膜の保持性が低下する。こうした理由により、溶射膜の空孔率として15〜35%であることがさらに好ましい。
このとき、上記溶射膜の下に、即ち、基材と空孔率として10〜40%をもつ溶射膜との間に、空孔率の異なる別の溶射膜が形成されていてもよい。この中間の溶射膜は、上層の溶射膜よりも空孔率として低いほうが、溶射膜が剥がれにくくなるためよく、好ましくは3%以上10%未満である。
第1発明、第2発明および第3発明において、溶射膜の膜厚は特に限定されないが、50〜1000μmであることが好ましい。50μm未満では、突起状粒子を含む溶射膜が基材の凹凸をカバー仕切れない場合があり、また1000μmを超えると、溶射膜自体に応力が発生して剥がれやすくなる場合がある。こうした理由により、膜厚として70〜500μmであることがさらに好ましい。
第1発明、第2発明および第3発明における溶射膜は、半導体等の製品基板の成膜、スパッタリングターゲットやプラズマ処理装置等内に用いる真空装置用の部品において、少なくとも膜状物質が付着する可能性がある部分に対して、その部分を、例えば上記膜厚をもって、被覆するように形成すればよい。
第1発明、第2発明および第3発明における基材はガラス、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属、アルミナ、ジルコニア、ムライト等のセラミック等、いかなる物でも用いることができる。突起状粒子、基材は同じ材質であっても良いが、それぞれ異なる材質でも良い。溶射された粉末が基材上によく溶融して、突起状粒子が均一に生成しやすくなるように、基材の上に下地層を施してもよい。下地の種類、材質、膜厚については特に限定されないが、例えば、基材と同じ材質の材料をプラズマ溶射法により成膜したり、Ni−Cr合金層をスパッタリングや電解めっき等の方法により成膜してもよい。
第3発明の突起状粒子を構成する金属またはセラミックの材料としては、金属においてはAl、Ti、Cu、Mo、W等、セラミックにおいてはアルミナ、ジルコニア、チタニア、スピネル、ジルコン等いかなる材料でも良いが、融点が高い材料の方が、溶射過程で高さと幅の比の制御が容易である。
第3発明のもうひとつの突起状粒子部品は、突起状粒子を融点の小さい材料が融点の大きい材料を包み込む様な構造として、この様な構造により山形状とすることができる。図7に模式図を示す。基材30上に、融点の小さい材料32が融点の大きい材料31を包み込む様な構造の突起状粒子33が形成されている。融点の小さい材料32と融点の大きい材料31の融点の差は400℃以上あることが好ましく、さらに好ましくは1000℃以上である。
このようにすることで融点の大きい材料31の高さにより突起状粒子33の高さが制御できるため、突起状粒子をより再現性よく形成できる。融点の小さい材料と融点の大きい材料の組み合わせの例としては、金属の場合AlとMo、CuとW等が、セラミックの場合アルミナとジルコニア、コーディエライトとアルミナ等が挙げられる。また、金属とセラミックを組み合わせても良く、Alと窒化ホウ素、Coと炭化タングステンのような組み合わせでも良い。
さらに、第1発明の真空装置用部品の製造方法につき説明する。
直径0.1〜5μmの粒子を形成させるためのセラミック溶射材料として使用される原料粉末中には、粒成長を抑制する焼結助剤を添加すればよい。焼結助材が含まれていることによって、溶射膜中の粒子状突起の異常な粒成長を抑制することができ、さらに球状粒子が集合して構成された突起状粒子についても同様に異常な粒成長を抑制することができるため均一な組識を持つ溶射膜を得ることができる。
焼結助材としては、原料粉末として用いられるセラミックスに対して焼結助剤として知られているものを特に限定することなく用いることができる。例えば原料粉末としてジルコニアを用いる場合には、焼結助材として、酸化マグネシウム、酸化イットリム、酸化セリウム等を1〜20重量%添加すればよく、また、原料粉末としてアルミナを用いる場合には、酸化マグネシウム等を0.05〜10重量%添加すればよい。
第1発明のセラミック溶射膜を形成するには、特に高純度の原料を用いることが好ましい。特に99重量%以上、さらには99.9重量%以上の高純度品を用いることが好ましい。溶射原料粉末は電融粉砕法、造粒法などで製造することもでき、造粒顆粒を焼結して相対密度80%以上に緻密化した球状の粉末を用いてもよい。
さらに、原料粉末の一次粒子としては、平均粒径として0.1〜3μmであることが好ましく、0.2〜2μmであることがさらに好ましい。こうした一次粒子径を持つ原料粉末は、これが凝集して構成される二次粒子の均一性が向上し、本発明の粒子状突起が集合してできた突起状粒子の生成が可能となる。二次粒子の平均粒径としては、上記したような理由により5〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがさらに好ましい。
溶射の方式としては特に限定されず、フレーム溶射、アーク溶射、爆発溶射、プラズマ溶射などから選択することができる。例えば、プラズマ溶射を選択した場合、通常はアルゴンガス中で行われるが、アルゴンに水素を添加してもよい。水素を添加することでプラズマ炎の温度を高くすることが出来、特に先端部分のプラズマ温度の低下を抑制することが出来る。水素の添加は10〜50容量%、特に20〜40容量%の範囲が好ましい。
プラズマ溶射でセラミック溶射膜を形成する場合には、基材とプラズマ溶射ガンとの距離を60mm〜130mmの範囲で溶射して、溶射膜を製造することが好ましい。プラズマガンとセラミック溶射膜用基材との距離が60mmより短いと、基板上でプラズマ溶射した粒子が再溶融するため発明の要件となる突起状粒子が得られにくくなる。一方、130mmより長いと、突起状粒子が良く溶けすぎた状態となり、溶射膜の基材への密着性が低下し、さらに膜状物質の付着性も低下することがある。
セラミック溶射膜の形成後に1000〜1600℃で熱処理してもよい。1000℃以上に熱処理することにより、セラミック溶射膜の結晶欠陥が低減し、セラミック溶射膜の耐酸性が向上する。セラミック溶射膜の耐酸性が向上すると、真空装置の部品を成膜やプラズマ処理装置に用いた後、酸エッチングによって部品上の膜状付着物を除去する際に、セラミック溶射膜自身の溶解がなく、何回も繰り返し部品を使用することができる。熱処理の効果が発現する理由としては、例えばセラミック溶射膜がアルミナの場合、1000℃以上で熱処理することにより、溶射膜中のγ―アルミナの含有量が減ることが挙げられる。アルミナ以外の場合でも、結晶の格子欠陥の低減によって、同様の効果が得られる。一方、熱処理温度が1600℃を超えると、部品の割れ等の問題があり好ましくない。熱処理時間は、数分から10時間程度、30分から3時間程度の範囲であり、熱処理雰囲気は大気中或いは純酸素雰囲気中で行うことが好ましい。
続いて第2発明の真空装置用部品の製造方法につき説明する。
直径0.1〜10μmの粒子を形成させるための金属溶射材料として使用される原料粉末は、純金属粉末、合金粉末等、特に制限なく使用することができるが、粒成長を抑制する助剤を添加することが好ましい。助材が含まれていることによって、溶射膜中の粒子状突起の異常な粒成長を抑制することができ、さらに球状粒子が集合して構成された突起状粒子についても同様に異常な粒成長を抑制することができるため均一な組識を持つ溶射膜を得ることができる。
助材としては、原料粉末として用いられる金属に対して特に限定することなく用いることができる。例えば原料粉末としてアルミニウムを用いる場合には、助材として、シリコン、銅、チタン、ニッケル、鉄等を1〜50重量%添加すればよい。
本発明の金属溶射膜を形成するには、特に高純度の原料を用いることが好ましい。特に99重量%以上、さらには99.9重量%以上の高純度品を用いることが好ましい。溶射原料粉末はアトマイズ法電融粉砕法、造粒法などで製造することができる。
さらに、原料粉末の一次粒子としては、平均粒径として0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜5μmであることがさらに好ましい。こうした一次粒子径を持つ原料粉末は、これが凝集して構成される二次粒子の均一性が向上し、本発明の粒子状突起が集合してできた突起状粒子の生成が可能となる。二次粒子の平均粒径としては、上記したような理由により5〜120μmであることが好ましく、10〜100μmであることがさらに好ましい。
溶射の方式としては特に限定されず、フレーム溶射、アーク溶射、爆発溶射、プラズマ溶射などから選択することができる。例えば、プラズマ溶射を選択した場合、できるだけ高速で、フレームの温度を低くして成膜することが好ましい。このようにして成膜することにより、金属粉末の周囲のみをわずかに溶融させて、金属粉末が基材に到達したときに塑性変形を生じさせて、効率よく成膜することができる。
次に第3発明の突起状粒子部品の製造方法を説明する。
溶射時に溶射粉末を半溶融状態で該基材上へ衝突させることによって山形状の突起状粒子を製造することが出来る。用いる溶射法は、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法等が挙げられるが、溶射時に溶射粉末を半溶融状態、つまり溶射パワー、溶射距離、高速フレームの火力等を調整することで図7に示すように粉末の中心付近が未溶融(43)で周囲が溶融状態(44)となるようにする。溶射粉末としてセラミック粉末を使用する場合には、プラズマ溶射法を用いて溶射パワーを低くすることによって、溶射粉末を半溶融状態で基材に到達させることができる。溶射粉末として金属粉末を使用する場合にも同様の方法で、溶射粉末を半溶融状態で基材に到達させることができるが、ガス流量が高いプラズマ溶射法又は高速フレーム溶射法を用いることが好ましい。こうすることで、半溶融の粒子を高速で基材に衝突させることが可能となり、塑性変形により密着性のよい膜が得られる。溶射粉末の周囲のみを均一に溶けやすくして、密着性が良好でしかも幅と高さの比が大きい表面突起を形成するためには、溶射粉末の形状は球形であることが好ましく、例えばガスアトマイズ粉を使用することができる。
本発明のもうひとつの突起状粒子部品の製造方法としては、溶射粉末を融点の小さい材料が融点の大きい材料を包み込む様に形成し、溶射時には融点の小さい材料を完全に溶融させ、融点の大きい材料は未溶融又は半溶融状態で該基材上へ衝突させることである。
なお、本発明においては、基材上に、十分な量の突起状粒子をもった溶射膜を形成するために、溶射を2回以上行うことが好ましい。
また、溶融粉末を半溶融状態にするための溶射条件、または融点の小さい材料を完全に溶融させ、融点の大きい材料は未溶融もしくは半溶融状態にするための溶融条件は、使用する溶射粉末によっても異なり、一義的に規定することは困難であるが、当業者であれば複数回の溶射試験を行うことにより、容易に決定することが可能である。
粒子状突起の製造に用いる溶射粉末の粒径(二次粒径)は、平均粒径5〜100μmであることが好ましく、平均粒径10〜60μmであることがさらに好ましい。平均粒径5μm未満では原料粉末自身に十分な流動性がないためフレーム中に原料を均一に導入することが難しい。一方、平均粒径が100μmを超えると、溶射粒子の溶融が不均一となり、得られる突起状粒子の基材に対する密着性が悪くなり易い。また、溶射に用いる粒子の大きさはできるだけ揃っていることが、突起状粒子の形状を均一にして付着膜の保持性を高めることができる。
上述の各方法により得られた、第1発明、第2発明または第3発明にかかる真空装置用部品は、溶射膜を形成した後に、更に超純水等を使用した超音波洗浄を行い、乾燥すれば良い。最終の超音波洗浄に先立って、硝酸等の弱酸の中に真空装置用部品を浸漬して、溶射膜表面の清浄化処理を実施してもよい。
さらに本発明では、上記に示した真空装置用部品を用いた成膜装置を提案するものである。本発明でいう成膜装置の成膜方法は限定しないが、CVD法(Chemical Vapor Deposition)、スパッタ法等が例示できる。真空装置用部品の使用方法としては、当該装置内で成膜する製品基板以外で、膜状物質が堆積する部分に用いる部品として用いることが好ましい。例えばベルジャーまたは、シールドとして用いることが挙げられる。特にタングステンやチタンのCVD成膜装置や窒化チタンのスパッタ装置において、本発明の真空装置用部品をベルジャーやシールドに使用すれば、基材と突起状粒子の熱膨張率差による割れや剥がれがなく、付着した膜状物質の剥離によるパーティクルの発生がなく、長時間の連続成膜が可能な装置となり得る。
また、本発明では、上記に示した真空装置用部品を用いたプラズマエッチング装置とプラズマクリーニング装置を提案するものである。真空装置用部品の使用方法は、これらの装置の中で膜状物質が付着する部位、或いはプラズマと接触して部品表面が剥離し易い部位に用いることが好ましく、例えばリング状クランプ部品またはシールドとして用いることが挙げられる。
プラズマエッチング装置、プラズマクリーニング装置とは、装置内に設置した製品にプラズマを照射し、製品の表面を剥離、或いは清浄化する装置である。
ここで、プラズマエッチング装置で膜が堆積する部分とは、プラズマエッチング装置内で製品にプラズマを照射し、製品表面を剥離した際、剥離された物質が飛散して装置内に付着する部分のことである。本発明でいうプラズマによりエッチングされる部分とは、装置内の製品以外の部分でプラズマが接触してエッチングされる部分をさす。本来これらの装置ではプラズマを製品に照射して当該製品表面を剥離するものであるが、当該プラズマを製品だけに選択的に照射することは困難であり、装置内の製品周辺の装置部品にもプラズマが接触し、当該部分の表面が剥離される。そういう部分の部品に、本発明の部品を用いれば、プラズマによるエッチングがされ難く、パーティクルの発生が少ない。
次にプラズマクリーニング装置で膜が堆積する部分とは、プラズマクリーニング装置内で製品にプラズマを照射して逆スパッタ、即ち製品表面を清浄化した際、清浄化で除去された物質が飛散して装置内に付着する部分のことである。ここでプラズマクリーニング装置でもプラズマエッチング装置でも、製品表面をプラズマで剥離する原理は基本的に同じものである。本発明でいうプラズマクリーニングにより逆スパッタされる部分とは、製品以外の部品にプラズマが接触して逆スパッタ(エッチングによる清浄化)される部分をさす。本来これらの装置ではプラズマを製品に照射して当該製品表面を清浄化するものであるが、当該プラズマを製品だけに選択的に照射することは困難であり、装置内の製品周辺の装置部品にもプラズマが接触し、当該部分の表面も清浄化される。
本発明は、真空装置用部品として、上記した突起状粒子からなる溶射膜が形成されたスパッタリングターゲットを提案するものでもある。こうすることにより、スパッタされた粒子がターゲット上或いはバッキングプレート上に飛来した時、パーティクル発生の原因となるスパッタ粒子(再デポ粉末)を効率よく溶射膜表面上に付着させることができる。溶射膜が形成される材料としては、特に限定されないが、スパッタリング装置内の汚染を防止するため、ターゲット材料と同じ材料を使用することが好ましい。
スパッタリングターゲットにおいて、本発明の溶射膜が形成されている部分としては、ターゲット表面のスパッタされない部分(非エロージョン部)が好ましい。このとき、再デポ粉末の発生量に応じて、非エロージョン部の全面もしくは一部に本発明の溶射膜を施すことができる。再デポ粉末がターゲットだけでなく、バッキングプレート上にも発生する場合には、当該バッキングプレート表面にも本発明の溶射膜を形成してもよい。バッキングプレートに溶射膜を形成させる場合、溶射膜が形成される材料としては特に限定されないが、例えば無酸素銅の材質のバッキングプレートに、銅、アルミニウム、チタンなどの粉末を使用することができる。さらに、ターゲット或いはバッキングプレートの側面部分にも再デポ粉末が発生している場合には、発生量に応じて側面部分にも本発明の溶射膜を施してもよい。
本発明の真空装置用部品は、従来部品に比べて膜状物質の付着性に優れるため、成膜装置やプレクリーニング装置に使用した際に、膜状物質の剥離に起因する発塵による製品汚染がなく、なおかつ長時間の連続使用が可能である。
本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
石英ベルジャー内面をホワイトアルミナのグリットWA#60を用いて、圧力0.5MPaでブラスト後、純水で超音波洗浄し、オーブンで乾燥した。その後、石英ベルジャーの内面に、ArとHの流量比を80:20、投入電力:35kWでプラズマ溶射により、ジルコニア溶射膜を形成した。原料粉末としては、5重量%の酸化イットリウム(純度:99.9%)が添加された安定化ジルコニア顆粒粉末(一次平均粒径0.2μm、平均粒径50μm、純度:99.9%)を使用した。プラズマガンと石英ベルジャーとの距離は70mmとした。溶射後、温度40℃に保たれた5重量%の硝酸水溶液に1時間浸漬後、超純水で超音波洗浄し、クリーンオーブンで乾燥し、セラミック溶射膜が部分安定化ジルコニアである石英ベルジャーを完成した。
製品ベルジャーと同一の条件にて、5インチ角の石英基材にジルコニア溶射膜を製造した。基材からサンプルを切り出して、表面のSEM観察を実施したところ、0.2〜4.0μmの範囲にある微細な球状粒子からなる突起状粒子の存在が確認された。200倍にて撮影したSEM写真より、100個の突起状粒子を任意に抽出したところ、平均サイズは20μmであった。さらに、200倍にて撮影した10枚の当該写真から測定した突起状粒子の個数を測定したところ、平均個数は950個/mmであった。
上述した方法により製造した石英べルジャーをプレクリーニング装置に取り付けて使用した。使用開始から220時間を経過した後においても、装置内部に膜状物質の剥離による粒子は採取されなかった。
実施例2
実施例1において、プラズマガンと石英ベルジャーとの距離を120mmとした以外は、実施例1と同様の条件にて石英ベルジャー製品および5インチ角ジルコニア溶射膜を製造した。基材からサンプルを切り出して、表面のSEM観察を実施したところ、0.2〜3.6μmの範囲にある微細な球状粒子からなる突起状粒子の存在が確認された。200倍にて撮影したSEM写真より、100個の突起状粒子を任意に抽出したところ、平均サイズは32μmであった。さらに、200倍にて撮影した10枚の当該写真から測定した突起状粒子の個数を測定したところ、平均個数は400個/mmであった。
上述した方法により製造した石英べルジャーをプレクリーニング装置に取り付けて使用した。使用開始から250時間を経過した後においても、装置内部に膜状物質の剥離による粒子は採取されなかった。
実施例3
石英ベルジャー内面をホワイトアルミナのグリットWA#60を用いて、圧力0.5MPaでブラスト後、純水で超音波洗浄し、オーブンで乾燥した。その後、石英ベルジャーの内面に、ArとHの流量比を75:25、プラズマガンと石英ガラス基材の距離を65mm、投入電力:35kWとしてプラズマ溶射によりアルミナ溶射膜を形成した。プラズマ溶射には、1重量%のマグネシア(純度:99.9%)を添加したアルミナ顆粒粉末(一次平均粒径0.5μm、平均粒径25μm、純度:99.9%)を用いた。溶射後、超純水で超音波洗浄し、クリーンオーブンで乾燥し、石英ベルジャーを完成した。
製品ベルジャーと同一の条件にて、5インチ角の石英基材にマグネシア添加アルミナ溶射膜を製造した。基材からサンプルを切り出して、表面のSEM観察を実施したところ、0.5〜3.5μmの範囲にある微細な球状粒子からなる突起状粒子の存在が確認された。150倍にて撮影したSEM写真より、100個の突起状粒子を任意に抽出したところ、平均サイズは16μmであった。さらに、150倍にて撮影した10枚の当該写真から測定した突起状粒子の個数を測定したところ、平均個数は1080個/mmであった。
上述した方法により製造した石英べルジャーをCVDによる成膜装置に取り付けて使用した。使用開始から150時間を経過した後においても、装置内部に膜状物質の剥離による粒子は採取されなかった。
実施例4
実施例3において、プラズマガンと石英ベルジャーとの距離を125mmとした以外は、実施例3と同様の条件にて石英ベルジャー製品および5インチ角マグネシア添加アルミナ溶射膜を製造した。基材からサンプルを切り出して、表面のSEM観察を実施したところ、0.5〜3.9μmの範囲にある微細な球状粒子からなる突起状粒子の存在が確認された。150倍にて撮影したSEM写真より、100個の突起状粒子を任意に抽出したところ、平均サイズは22μmであった。さらに、150倍にて撮影した10枚の当該写真から測定した突起状粒子の個数を測定したところ、平均個数は860個/mmであった。
上述した方法により製造した石英べルジャーをCVDによる成膜装置に取り付けて使用した。使用開始から180時間を経過した後においても、装置内部に膜状物質の剥離による粒子は採取されなかった。
実施例5
ステンレス製のドーナツリング内面をホワイトアルミナのグリットWA#60を用いて、圧力0.5MPaでブラスト後、純水で超音波洗浄し、オーブンで乾燥した。その後、ドーナツリングの内面に、プラズマガスとしてNガスを使用し、プラズマガンとステンレス基材の距離を75mm、投入電力:40kWとしてプラズマ溶射によりイットリア溶射膜を形成した。原料粉末として純度99.9%のイットリア顆粒粉末(一次平均粒径0.3μm、平均粒径35μm)に純度99.9%の酸化ランタン顆粒粉末(一次平均粒径0.3μm、平均粒径30μm)が15重量%添加されたものを用いた。溶射後、超純水で超音波洗浄し、クリーンオーブンで乾燥し、セラミック溶射膜がイットリア−酸化ランタンであるスパッタリング用シールドを完成した。
スパッタリング用シールドと同一の条件にて、5インチ角のステンレス基材にイットリア−酸化ランタン溶射膜を製造した。基材からサンプルを切り出して、表面のSEM観察を実施したところ、0.3〜3.2μmの範囲にある微細な球状粒子からなる突起状粒子の存在が確認された。100倍にて撮影したSEM写真より、100個の突起状粒子を任意に抽出したところ、平均サイズは12μmであった。さらに、100倍にて撮影した10枚の当該写真から測定した突起状粒子の個数を測定したところ、平均個数は2200個/mmであった。
上述した方法により製造したシールドをスパッタリング装置に取り付けて使用した。使用開始から140時間を経過した後においても、装置内部に膜状物質の剥離による粒子は採取されなかった。
実施例6
実施例5において、プラズマガンとドーナツ状リングとの距離を115mmとした以外は、実施例5と同様の条件にてシールド製品および5インチ角イットリア−酸化ランタン溶射膜を製造した。基材からサンプルを切り出して、表面のSEM観察を実施したところ、0.3〜3.4μmの範囲にある微細な球状粒子からなる突起状粒子の存在が確認された。100倍にて撮影したSEM写真より、100個の突起状粒子を任意に抽出したところ、平均サイズは14μmであった。さらに、100倍にて撮影した10枚の当該写真から測定した突起状粒子の個数を測定したところ、平均個数は1600個/mmであった。
上述した方法により製造したシールドをスパッタリング装置に取り付けて使用した。使用開始から160時間を経過した後においても、装置内部に膜状物質の剥離による粒子は採取されなかった。
実施例7
実施例5において、プラズマガンとドーナツ状リングとの距離を180mmとした以外は、実施例5と同様の条件にてシールド製品および5インチ角イットリア−酸化ランタン溶射膜を製造した。基材からサンプルを切り出して、表面のSEM観察を実施したところ、0.3〜4.8μmの範囲にある微細な球状粒子からなる突起状粒子の存在が確認された。100倍にて撮影したSEM写真より、100個の突起状粒子を任意に抽出したところ、平均サイズは25μmであった。さらに、100倍にて撮影した10枚の当該写真から測定した突起状粒子の個数を測定したところ、平均個数は300個/mmであった。
上述した方法により製造したシールドをスパッタリング装置に取り付けて使用した。使用開始から100時間を経過した後において、装置内部に膜状物質が剥離しかかっている様子が観察された。
比較例1
石英ベルジャー内面をホワイトアルミナのグリットWA#60を用いて、圧力0.5MPaでブラスト後、純水で超音波洗浄し、オーブンで乾燥した。その後、石英ベルジャーの内面に、ArとHの流量比を70:30、投入電力:40kWとしてプラズマ溶射により、アルミナ溶射膜を形成した。原料粉末としては、純度99.99%のアルミナ顆粒粉末(一次平均粒径0.5μm、平均粒径45μm)を使用した。プラズマガンと石英ベルジャーとの距離は150mmとした。溶射後、超純水で超音波洗浄し、クリーンオーブンで乾燥し、セラミック溶射膜が高純度アルミナである石英ベルジャーを完成した。
製品ベルジャーと同一の条件にて、5インチ角の石英基材にアルミナ溶射膜を製造した。基材からサンプルを切り出して表面のSEM観察を実施したところ、溶射膜表面はよく溶融したスプラットで構成されており、5μm以下の球状粒子から構成される突起状粒子は観察されなかった。
上述した方法により製造した石英べルジャーをプレクリーニング装置に取り付けて使用した。使用開始から70時間を経過した後において、装置内部に膜状物質の剥離による粒子が観測された。
比較例2
比較例1と同様の方法で製造した石英ベルジャーをCVDによる成膜装置に取り付けて使用した。使用開始から70時間を経過した後において、装置内部に膜状物質の剥離による粒子が採取された。
実施例8
図8に示すようなプラズマ溶射装置を用いて、プラズマガス51としてアルゴンと水素の流量比80:20とし、溶射距離54を100mmとし、溶射ガンを600mm/秒の速度、5mmピッチで溶射ガンを移動させながら、平均粒径が40μmのアルミナ粉末の粉末供給量を20g/分として、25kWのパワーで2回溶射し、突起状粒子を有する表面層を、基材である石英上に形成した。
溶射した基材を顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、溶射膜の膜厚は、100μmであり、表面層には山形状の突起状粒子の存在が認められた。表面層の電子顕微鏡写真を図5に示す。
突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅10〜70μm、高さは5〜100μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は1.2であり、突起の数は1000個/mmであった。
溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は25%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部が溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
比較例3
溶射パワーを35kWとした以外は、実施例8と同条件で溶射して表面層を形成した。溶射した基材を顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、溶射膜の膜厚は、120μmであり、表面層には山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅20〜200μm、高さは4〜100μmであり、100個の突起状粒子の中には、幅と高さの比が0.3である偏平粒子が観察された。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は3%であった。この偏平粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、粒子中心部までも溶融していることが認められた。
実施例9
溶射パワーを30kWとして、平均粒径が60μmのアルミナ粉末を用いたこと以外は実施例8と同条件で試料を作製した。溶射した基材を顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、溶射膜の膜厚は、120μmであり、表面層には山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅15〜100μm、高さは5〜85μmであり、高さと幅の比の平均値は0.9であり、突起の数は730個/mmであった。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は18%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部が溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
実施例10
溶射パワーを32kWとして、平均粒径が50μmのアルミナ粉末を用いたこと以外は実施例8と同条件で試料を作製した。さらにこの溶射膜上に溶射パワーを20kwとして、平均粒径が25μmのアルミナ粉末を用いて、その他の条件は実施例8と同じ条件で試料を作製した。溶射した基材を顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、溶射膜の膜厚は、200μmであり、表面層には0.6〜3.6μmの範囲にある微細な球状粒子が集合してなる、山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅10〜65μm、高さは6〜120μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は1.6であり、突起の数は1300個/mmであった。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、上層の空孔率は32%であり、下層の空孔率は8%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部が溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
実施例11
図8に示すようなプラズマ溶射装置を用いて、プラズマガス52としてアルゴンと水素の流量比75:25とし、溶射距離54を100mmとし、溶射ガンを500mm/秒の速度、5mmピッチで溶射ガンを移動させながら、平均粒径が30μmの球状銅粉末の粉末供給量を15g/分として、20kWのパワーで2回溶射し、突起状粒子を有する表面層を基材であるステンレス上に形成した。
溶射した基材を顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、溶射膜の膜厚は、100μmであり、表面層には山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅15〜65μm、高さは10〜95μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は1.3であり、突起の数は1250個/mmであった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部が溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
実施例12
図8に示すようなプラズマ溶射装置を用いて、ガス流量を実施例8のときの2倍の80SLMとした。プラズマガス52としてアルゴンと水素の流量比90:10とし、溶射距離54を100mmとし、溶射ガンを1000mm/秒の速度、5mmピッチで溶射ガンを移動させながら、平均粒径が65μmの球状アルミニウム粉末の供給量を10g/分として、70kWのパワーで2回溶射し、突起状粒子を有する表面層を基材であるステンレス上に形成した。
溶射した基材を顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、溶射膜の膜厚は、150μmであり、表面層には2〜9μmの範囲にある微細な球状粒子が集合してなる、山形状の突起状粒子の存在が認められた。表面層の電子顕微鏡写真を図4に示す。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅20〜80μm、高さは25〜150μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は1.8であり、突起の数は320個/mmであった。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は30%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部がわずかに溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
比較例4
溶射パワーを35kWとした以外は実施例11と同条件で溶射して表面層を形成した。溶射した基材を顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面を観察したところ、溶射膜の膜厚は、110μmであり、表面層には。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅15〜180μm、高さは3〜70μmであり、100個の突起状粒子の中には、幅と高さの比(H/W)が0.2である偏平粒子が観察された。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は8%であった。この偏平粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、粒子中心部までも溶融していることが認められた。
実施例13
図8に示すようなプラズマ溶射装置を用いて、プラズマガス52としてアルゴンと水素の流量比90:10とし、溶射距離54を80mmとし、溶射ガンを400mm/秒の速度、5mmピッチで溶射ガンを移動させながら、平均粒径が35μmの安定化ジルコニア粉末の周囲に、平均粒径が30μmのアルミナ粉末を1:1の割合でコーティングさせた粉末を供給量15g/分として、25kWのパワーで2回溶射し、突起状粒子を有する表面層を形成した。
溶射した基材を顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、溶射膜の膜厚は、130μmであり、表面層には山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅10〜90μm、高さは10〜130μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は1.2であり、突起の数は1350個/mmであった。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は20%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部に存在するアルミナ粉末が溶融し、溶射粉末の中心部に存在するジルコニア粉末が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
実施例14
次に得られた試料の付着物に対する保持性を評価するため、スパッタ法を用いて実施例8から13及び、比較例3から4の試料に窒化珪素膜を直接成膜して付着性について試験を行った。到達真空5×10−5Paまで真空に引いた後、珪素のターゲットを用いてアルゴンガスと窒素ガスの混合ガスを0.3Paの圧力まで導入し、室温で窒化珪素の膜厚を100μm形成した。成膜後、大気に戻して1日放置後に各試料を600℃で1時間加熱し、室温に戻ってから顕微鏡で検査したところ、実施例8〜13の試料では剥離やパーティクルの発生は全く見られなかったが、比較例3〜4の試料では剥離が認められた。
実施例15
実施例8から9及び比較例3の方法により作製した石英ベルジャーをCVDによる成膜装置に取り付けて使用した。実施例8から9のシールドにおいては、使用開始から160時間を経過した後においても、装置内部に膜状物質の剥離による粒子は採取されなかったが、比較例3のシールドにおいては、使用開始から70時間を経過した後において、膜状物質の剥離による粒子が観測された。
実施例16
実施例10から13及び比較例4の方法により作製したシールドをスパッタリングによる成膜装置に取り付けて使用した。実施例10から13のシールドにおいては、使用開始から150時間を経過した後においても、装置内部に膜状物質の剥離による粒子は採取されなかったが、比較例4のシールドにおいては、使用開始から60時間を経過した後において、膜状物質の剥離による粒子が観測された。
実施例17
図8に示すようなプラズマ溶射装置を用いて、プラズマガス52としてアルゴンと水素の流量比95:5とし、溶射距離54を120mmとし、溶射ガンを400mm/秒の速度、5mmピッチで溶射ガンを移動させながら、平均粒径が15μmのITO粉末(酸化インジウムー酸化スズ10重量%)の粉末供給量を20g/分として、25kWのパワーでITOターゲット(酸化スズ10重量%)表面に2回溶射し、突起状粒子を有する表面層を形成した。このとき、ITOターゲット表面のエロージョン部には溶射されないようにマスキングをして、非エロージョン部のみにITO溶射膜を形成した。
溶射したターゲットを顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、膜厚は130μmであり、表面層には山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅10〜140μm、高さは8〜120μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は0.9であり、突起の数は1300個/mmであった。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は24%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部が溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
実施例18
図8に示すようなプラズマ溶射装置を用いて、プラズマガス52としてガス流量を70SLMとし、アルゴンと水素の流量比90:10とし、溶射距離54を125mmとし、溶射ガンを300mm/秒の速度、3mmピッチで溶射ガンを移動させながら、平均粒径が30μmの球状クロム粉末の粉末供給量を15g/分として、80kWのパワーでクロムターゲット表面に2回溶射し、突起状粒子を有する表面層を形成した。このとき、クロムターゲット表面のエロージョン部には溶射されないようにマスキングをして、非エロージョン部のみにクロム溶射膜を形成した。
溶射したターゲットを顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、膜厚は150μmであり、表面層には0.8〜6.7μmの範囲にある微細な球状粒子が集合してなる、山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅12〜130μm、高さは10〜140μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は1.1であり、突起の数は800個/mmであった。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は22%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部が溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
実施例19
図8に示すようなプラズマ溶射装置を用いて、プラズマガス52としてガス流量を90SLMとし、アルゴンと水素の流量比92:8とし、溶射距離54を100mmとし、溶射ガンを450mm/秒の速度、3.5mmピッチで溶射ガンを移動させながら、平均粒径が70μmの球状アルミニウム粉末の粉末供給量を8g/分として、70kWのパワーでアルミニウムターゲット表面および側面に4回溶射し、突起状粒子を有する表面層を形成した。このとき、アルミニウムターゲット表面のエロージョン部には溶射されないようにマスキングをして、非エロージョン部のみにアルミニウム溶射膜を形成した。
さらに、平均粒径が55μmの銅−アルミニウム混合粉末を用いたこと以外は、上記アルミニウム粉末と同条件で、無酸素銅製バッキングプレートの表面および側面に4回溶射し、突起状粒子を有する表面層を形成した。
溶射したターゲットを顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、膜厚は180μmであり、表面層には2.5〜10μmの範囲にある微細な球状粒子が集合してなる、山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅25〜200μm、高さは16〜130μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は0.8であり、突起の数は280個/mmであった。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は12%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部が溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
実施例20
高速で成膜可能な高速フレーム溶射装置を用いて、燃料ガスとして圧力0.7MPaのプロパンガス、燃焼ガスとして圧力1.0MPaの酸素ガスを使用し、溶射距離を140mmとし、溶射ガンを500mm/秒の速度、5mmピッチで溶射ガンを移動させながら、平均粒径が60μmの球状アルミニウム粉末の粉末供給量を10g/分として、アルミニウムターゲットおよびバッキングプレートの表面および側面に、4回溶射し、突起状粒子を有する表面層を形成した。このとき、アルミニウムターゲット表面のエロージョン部には溶射されないようにマスキングをして、非エロージョン部のみにアルミニウム溶射膜を形成した
溶射したターゲットを顕微鏡観察が可能なサイズに切り出し、超音波洗浄、乾燥後、レーザー共焦点顕微鏡で溶射膜表面および断面を観察したところ、膜厚は200μmであり、表面層には1.4〜5.0μmの範囲にある微細な球状粒子が集合してなる、山形状の突起状粒子の存在が認められた。突起状粒子100個を任意に抽出して測定した結果、突起1個当たりの大きさは幅20〜180μm、高さは25〜240μmであり、高さと幅の比(H/W)の平均値は1.6であり、突起の数は480個/mmであった。溶射膜の断面を研磨して鏡面に仕上げ、電子顕微鏡写真を撮影して空孔率の測定を行ったところ、空孔率は20%であった。突起状粒子の断面を研磨して偏光顕微鏡で観察したところ、大部分の突起状粒子には核のようなものが見られ、溶射粉末の周辺部がわずかに溶融し、中心部が未溶融のまま溶射されていることがわかった。
実施例21
実施例17〜20により作製したターゲットをスパッタリングによる成膜装置に取り付けて使用した。使用開始から100時間を経過した後においてターゲット表面を観察したところ、ターゲット表面に再デポ粉末が強固に付着しており、素手で剥離しようとしても剥がれない程度に付着していた。
比較例5
実施例17と同様の方法によりITOターゲット表面にITO粉末を溶射しないこと以外は、実施例21と同様の方法にて、ITOターゲットをスパッタリングによる成膜装置に取り付けて使用した。使用開始から50時間を経過した後においてターゲット表面を観察したところ、ターゲットの非エロージョン部から再デポ粉末が剥離しており、さらにターゲットのエロージョン部周辺には、再デポ粉末が散乱している様子が観察された。
本発明の突起状粒子の一例を示す電子顕微鏡写真からなる図である。 本発明の突起状粒子の一例を示す電子顕微鏡写真からなる図である。 図2中の突起状粒子部分をマークした電子顕微鏡写真からなる図である。 実施例12で得られた部品の表面構造を示す図である。 実施例8で得られた部品の表面構造を示す図である。 本発明における突起状粒子の幅と高さを示す図である。 融点の小さい材料が融点の大きい材料を包み込むような構造を有する突起状粒子を示す図である。 本発明の突起状粒子から構成される真空装置用部品の製造方法を示す図である。 本発明の突起状粒子から構成される真空装置用部品のプラズマ溶射による製造方法を示す図である。
符号の説明
20:突起状粒子
21:高さプロファイル
22:突起状粒子の幅
23:突起状粒子の高さ
30:基材
31:融点が高い溶射材料
32:融点が低い溶射材料
33:突起状粒子
40:溶射ガン
41:溶射フレーム
42:溶射粉末
43:飛行溶射粒子の未溶融部分
44:飛行溶射粒子の溶融部分
45:飛行溶射粒子の未溶融部分から成る突起状粒子の核
46:飛行溶射粒子の溶融部分から成る突起状粒子の皮
50:カソード
51:アノード
52:プラズマガス(供給口)
53:溶射粉末(供給口)
54:溶射距離
55:基材
56:突起状粒子層

Claims (15)

  1. 基材上に、セラミック溶射膜を形成した真空装置用部品であって、該溶射膜の表面に直径0.1〜5μmの粒子が集合した突起状粒子が、分散して存在することを特徴とする真空装置用部品。
  2. 基材上に、金属溶射膜を形成した真空装置用部品であって、該溶射膜の表面に直径0.1〜10μmの粒子が集合した突起状粒子が、分散して存在することを特徴とする真空装置用部品。
  3. 基材上に、セラミック及び/又は金属溶射膜が形成され、該溶射膜の表面に幅10〜300μm、高さ4〜600μm、幅(W)と高さ(H)の比(H/W)の平均値が0.4以上の突起状粒子が、20個/mm以上〜20000個/mm以下の範囲で存在し、該溶射膜の空孔率が10〜40%であることを特徴とする真空装置用部品。
  4. 基材と前記溶射膜との間に、空孔率が3%以上10%未満の、前記溶射膜とは異なる溶射膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の真空装置用部品。
  5. 突起状粒子の幅と高さの比の平均値が0.5以上2.0以下であることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載の真空装置用部品。
  6. 突起状粒子の中心部が未溶融のままであることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の真空装置用部品。
  7. 突起状粒子が融点の異なる材料からなり、融点の小さい材料が融点の大きい材料を包み込む様に形成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の真空装置用部品。
  8. セラミック及び/又は金属からなる溶射粉末を半溶融状態で基材上へ衝突させて、基材表面に幅10〜300μm、高さ4〜600μm、幅(W)と高さ(H)の比(H/W)の平均値が0.4以上の突起状粒子が20個/mm以上〜20000個/mm以下の範囲で存在し、該溶射膜の空孔率が10%〜40%となる溶射膜を設けたことを特徴とする真空装置用部品の製造方法。
  9. セラミック及び/又は金属からなる溶射粉末を、融点の小さい材料が融点の大きい材料を包み込む様に形成し、溶射時には融点の小さい材料を完全に溶融させ、融点の大きい材料は未溶融又は半溶融状態で基材上へ衝突させて、基材表面に幅10〜300μm、高さ4〜600μm、幅(W)と高さ(H)の比(H/W)の平均値が0.4以上の突起状粒子が20個/mm以上〜20000個/mm以下の範囲で存在し、該溶射膜の空孔率が10%〜40%となる溶射膜を設けたことを特徴とする真空装置用部品の製造方法。
  10. PVDまたはCVD処理中に生成する膜状物質が堆積される部分に、請求項1〜6のいずれかに記載の真空装置用部品を使用してなる成膜装置。
  11. プラズマエッチング処理中に生成する膜状物質が堆積またはエッチングされる部分に、請求項1〜6のいずれかに記載の真空装置用部品を使用してなるプラズマエッチング装置。
  12. プラズマエッチング処理中に生成する膜状物質が堆積またはエッチングされる部分に、請求項1〜6のいずれかに記載の真空装置用部品を使用してなるプラズマクリーニング装置。
  13. 真空装置用部品であるスパッタリングターゲット材上の非エロ−ジョン部分に、セラミック及び/又は金属溶射膜を形成し、該溶射膜の表面には幅10〜300μm、高さ4〜600μm、幅(W)と高さ(H)の比(H/W)の平均値が0.4以上の突起状粒子が、20個/mm以上〜20000個/mm以下の範囲で存在し、該溶射膜の空孔率が10%〜40%であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  14. ターゲット材がバッキングプレ−トに接合されてなることを特徴とする請求項13に記載のスパッタリングターゲット。
  15. スパッタリングタ−ゲットの非エロ−ジョン部分が、ターゲット材の非エロージョン部分、バッキングプレートの表面部分および側面部分から選ばれる少なくとも一種の部分である請求項14に記載のスパッタリングターゲット。
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