JP6548400B2 - フルベン類の製造方法 - Google Patents
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Description
また、抗不安薬としての薬理効果を示すN置換アリールピペラジン系化合物に置換される骨格の一つとして6,6−ジアリールフルベンが用いられている(非特許文献1)。
α−プロトンを有しないケトン類のジフェニルケトン誘導体と、シクロペンタジエンのアルカリ金属塩(以下、CpMと略する場合がある)との縮合により6,6−ジアリールフルベン類を合成できることが報告されている(非特許文献2、非特許文献3)。
例えば、当該置換基が電子吸引基である場合には、比較的容易に合成可能であり、従来の方法によって室温条件下でも高収率な製造が可能であるが、ジフェニルケトン誘導体のベンゼン環に電子供与基が置換されている場合および無置換の場合には、同様の製造方法を用いても、十分な反応性は得られず、さらに高温で長時間反応させても、低収率である。反応が低収率であると、原材料費だけでなく、未反応原料等との分離、精製にも手間や時間がかかり、製造コストが上昇するなどの問題が生じる。
[1] ルイス酸存在下、α−プロトンを有しないケトン類と、シクロペンタジエンのアルカリ金属塩とを縮合させる工程を含む、フルベン類の製造方法。
[2] ルイス酸存在下、下記一般式(1)
(式中、
R1、R2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい以下の基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜16のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のチオアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、トシル基、を示し、
lおよびmは、置換基R1またはR2の数を示し、それぞれ独立して0〜5の整数を示し、lまたはmが2以上の場合、複数あるR1またはR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、
Xは、存在しないか、あるいは、単結合、CR4R5、O、S、NまたはNR4であり、
R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい以下の基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜16のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のチオアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、トシル基を示し、
R3は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜10の炭化水素基を示し、
nはR3の数を示し、0〜4の整数を示し、nが2以上の場合、複数あるR3はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
Aは、アルカリ金属原子を示す)。
[3] R1およびR2の少なくとも一つが、炭素数1〜10のアルコキシ基または炭素数2〜10のジアルキルアミノ基を示す、[1]または[2]に記載の方法。
[5] さらに、環状エーテルを存在させる、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 環状エーテルがテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピランである、[5]に記載の方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の方法で製造されたフルベン類。
また、環状エーテルを存在させることにより、反応速度および収率を著しく向上することができる。
本発明によれば、高収率で目的物を得ることができるため、目的物の分離・精製が容易になり、ひいては製造コストの大幅な削減につながる。
Xは、存在しないか、あるいは、単結合、CR4R5、O、S、NまたはNR4であり、
R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい以下の基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜16のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のチオアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、トシル基を示す、
で表される化合物が挙げられる。
アルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよく、直鎖または分枝鎖の場合は、炭素数1〜10が好ましく、環状の場合は、炭素数3〜10が好ましい。
アルケニル基およびアルキニル基は、直鎖または分枝鎖であってもよく、炭素数2〜10が好ましい。
芳香族炭化水素基は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素が含まれ、具体的にはフェニル、ビフェニル、ナフチル、テルフェニル、アンスリル、アズレニル、フルオレニル、ピレニル、フェナンスリル、ナフスリル等が挙げられる。
lおよびmは、置換基R1またはR2の数を示し、それぞれ独立して0〜5の整数を示す。lまたはmが2以上の場合、複数あるR1またはR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
一般式(1)
式中、R1およびR2が、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい以下の基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜16のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のチオアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、トシル基を示し、
lおよびmは、置換基R1またはR2の数を示し、それぞれ独立して0〜5の整数を示し、lまたはmが2以上の場合、複数あるR1またはR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、
Xは、存在しないか、あるいは、単結合、CR4R5、O、S、NまたはNR4であり、
R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい以下の基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜16のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のチオアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、トシル基を示す、化合物である。
ルイス酸は、本発明の反応系に含まれるシクロペンタジエニルアニオンとペンタハプト型の安定なメタロセン種を形成し得る金属を含有しないものが好ましい。例えばTiCl4中のTiは、シクロペンタジエニルアニオンとチタノセンを形成し、促進効果が失われる場合があるため好ましくない。したがって、好ましくはルイス酸は、Ti、Fe等を含有しない。
本発明において、R3が炭化水素基であれば、反応に影響を与えることはないため、本発明の製造方法が実施できる範囲において、特に限定はされない。
アルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよく、直鎖または分枝鎖の場合は、炭素数1〜10が好ましく、環状の場合は、炭素数3〜10が好ましい。
アルケニル基およびアルキニル基は、直鎖または分枝鎖であってもよく、炭素数2〜10が好ましい。
芳香族炭化水素基は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素が含まれ、具体的にはフェニル、ビフェニル、ナフチル、テルフェニル、アンスリル、アズレニル、フルオレニル、ピレニル、フェナンスリル、ナフスリル等が挙げられる。
炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、複数置換されていてもよい。
典型的には、反応温度は−20〜40℃、好ましくは−10〜5℃であり、加熱還流を必要とせずに反応を進行させることができる。
反応時間も基質の反応性によって適宜決定することができるが、典型的には0.5〜5時間、好ましくは0.5〜1時間であり、短時間で反応を終了することができる。
下記反応により、化学式(4)に示される化合物を合成することができる。
下記反応により、化学式(5)に示される化合物を合成することができる。
下記反応により、化学式(6)に示される化合物を合成することができる。
下記反応により、化学式(7)に示される化合物を合成することができる。
比較例として、化学式(7)に示される化合物の合成について、ルイス酸を用いない反応例を示す。
比較例として、化学式(4)に示される化合物の合成について、ルイス酸を用いない反応例を示す。
50mlシュレンク管をアルゴン置換し、脱水テトラヒドロフラン:30mlを加え、氷水浴で冷却した。その後、ベンゾフェノン:3.00gを加えて攪拌した。また100mlシュレンク管をアルゴン置換し、シクロペンタジエン:1.4g(1.3eq.)をはかり取り、脱水テトラヒドロフラン:30ml加えた。5℃で冷却後、1.6M n−BuLiヘキサン溶液を12.9ml(1.25eq.)を滴下して、室温で一時間攪拌した(淡黄色懸濁液)。100mlシュレンク管を再び5℃に冷却し、50mlシュレンク管の溶液を滴下した(黄色溶液)。30分後、少量の溶液をサンプリングし、19wt%HClaqに加えて、トルエンで抽出した。GCを測定すると反応率7%であった。
化学式(5)に示される化合物の合成において、環状エーテルとしてTHPを添加し、溶媒にトルエンを用いた合成例を示す。
化学式(5)に示される化合物の合成において、環状エーテルとしてTHFを添加し、溶媒にEt2Oを用いた合成例を示す。
化学式(5)に示される化合物の合成において、環状エーテルとしてTHFを添加し、溶媒にトルエンを用いた合成例を示す。
化学式(5)に示される化合物の合成において、ルイス酸と環状エーテル以外のエーテルを添加した合成例を示す。
化学式(5)に示される化合物の合成において、ルイス酸と環状エーテル以外のエーテルを添加した合成例を示す。
化学式(5)に示される化合物の合成において、ルイス酸と環状エーテル以外のエーテルを添加した合成例を示す。
化学式(5)に示される化合物の合成において、ルイス酸を添加し、エーテル類を用いない合成例を示す。
50mlシュレンク管をアルゴン置換し、脱水ジエチルエーテル:30mlを加え、氷水浴で冷却した。4,4’−ジメチルベンゾフェノン:3.00gを加えて、攪拌した。また100mlシュレンク管をアルゴン置換し、シクロペンタジエン:1.23g(1.3eq.)をはかり取り、脱水ジエチルエーテル:30mlを加えた。5℃で冷却後、1.6M n−BuLiヘキサン溶液を11.12ml(1.25eq.)を滴下して、室温で一時間攪拌した(淡黄色懸濁液)。100mlシュレンク管を再び5℃に冷却し、50mlシュレンク管の溶液を滴下した(黄色懸濁液)。30分後、少量の溶液をサンプリングし、19wt%HClaqに加えて、トルエンで抽出した。GCを測定すると反応率1%であった。
50mlシュレンク管をアルゴン置換し、脱水テトラヒドロフラン:30mlを加え、氷水浴で冷却した。4,4’−ジメチルベンゾフェノン:3.00gを加えて、攪拌した。また100mlシュレンク管をアルゴン置換し、シクロペンタジエン:1.23g(1.3eq.)をはかり取り、脱水テトラヒドロフラン:30mlを加えた。5℃で冷却後、1.6M n−BuLiヘキサン溶液を11.12ml(1.25eq.)を滴下して、室温で一時間攪拌した(淡黄色懸濁液)。100mlシュレンク管を再び5℃に冷却し、50mlシュレンク管の溶液を滴下した(黄色懸濁液)。30分後、少量の溶液をサンプリングし、19wt%HClaqに加えて、トルエンで抽出した。GCを測定すると反応率1%であった。
化学式(5)に示される化合物の合成において、ルイス酸に塩化亜鉛を用いた合成例を示す。
化学式(5)に示される化合物の合成において、ルイス酸にBF3・OEt2を用いた合成例を示す。
化学式(7)に示される化合物の合成において、ルイス酸にBF3・OEt2を用いた合成例を示す。
Claims (4)
- ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化亜鉛および三フッ素化ホウ素からなる群から選択されるルイス酸存在下、
下記一般式(1)
(式中、
R1、R2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい以下の基、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のチオアルコキシ基、炭素数2〜10のジアルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基を示し、
lおよびmは、置換基R1またはR2の数を示し、それぞれ独立して0〜5の整数を示し、lまたはmが2以上の場合、複数あるR1またはR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、
Xは、存在しないか、あるいは、単結合、CR4 R 5 であり、
R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、
Aは、アルカリ金属原子を示す)。 - R1およびR2の少なくとも一つが、炭素数1〜10のアルコキシ基または炭素数2〜10のジアルキルアミノ基を示す、請求項1に記載の方法。
- さらに、環状エーテルを存在させる、請求項1または2に記載の方法。
- 環状エーテルがテトラヒドロフランまたはテトラヒドロピランである、請求項3に記載の方法。
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