図1は、本発明が適用された基板処理装置の一実施形態である塗布、現像装置1の概略図である。この塗布、現像装置1は、ウエハWに夫々薬液を供給して処理を行うレジスト塗布モジュール1A、1B、反射防止膜形成モジュール1C、1D、保護膜形成モジュール1E、1Fを備えている。これらモジュール1A〜1Fは、背景技術の項目で述べた薬液供給装置に相当し、レジスト塗布モジュール1A、1Bはレジスト塗布モジュールに相当する。塗布、現像装置1は、これらモジュール1A〜1FにてウエハWに各種の薬液を供給し、反射防止膜の形成、レジスト膜の形成、露光時にレジスト膜を保護するための保護膜の形成を順に行った後、例えば液浸露光されたウエハWを現像する。
上記のモジュール1A〜1Fは薬液の供給路を備えており、塗布、現像装置1はこの供給路を流通する薬液中の異物を検出できるように構成されている。上記の供給路を流通した薬液は、ウエハWに供給される。つまり、ウエハWへの薬液の供給と異物の検出とが互いに並行して行われる。異物とは、例えばパーティクルや気泡であり、異物の検出とは具体的には、例えば所定の期間中に供給路の所定の箇所を流れる異物の総数と各異物の大きさの検出と異物の種別の判別である。異物の種別の判別とは、例えば異物が気泡であるかパーティクルであるかの判別である。
塗布、現像装置1には、光供給部2が設けられ、図2は光供給部2の構成を示している。光供給部2は、レーザー光を出力する光源21と、分光路形成部であるスプリッタ22と、を備えており、スプリッタ22により光源21から出力されたレーザー光は6つに分けられ、6本のファイバー23を介してモジュール1A〜1Fに設けられる異物検出ユニット4に各々分光される。図1では点線の矢印で、分光されるレーザー光を示している。
モジュール1A〜1Fは略同様に構成されており、ここでは図1に示したレジスト塗布モジュール1Aの概略構成について説明する。レジスト塗布モジュール1Aは、例えば11本のノズル11A〜11Kを備えており、そのうちの10本のノズル11A〜11JはウエハWに薬液としてレジストを吐出し、レジスト膜を形成する。ノズル11KはウエハWにシンナーを吐出する。シンナーは、レジストが供給される前のウエハWに供給され、レジストの濡れ性を高めるプリウエット用の薬液である。
ノズル11A〜11Jには薬液の供給路をなす薬液供給管12A〜12Jの下流端が接続され、薬液供給管12A〜12Jの上流端は、バルブV1を介して、レジストの供給源13A〜13Jに夫々接続されている。各レジストの供給源13A〜13Jは、例えばレジストが貯留されたボトルと、ボトルから供給されたレジストをノズル11A〜11Jに圧送するポンプと、を備えている。レジスト供給源13A〜13Jの各ボトルに貯留されるレジストの種類は互いに異なり、ウエハWには10種類のレジストから選択された1種類のレジストが供給される。
ノズル11Kには薬液供給管12Kの下流端が接続され、薬液供給管12Kの上流端はバルブV1を介して、供給源13Kに接続されている。供給源13Kはレジストの代わりに上記のシンナーが貯留されることを除いて、供給源13A〜13Jと同様に構成されている。つまり、ウエハWを処理するにあたり、薬液供給管12A〜12Kを薬液が流れるタイミングは互いに異なる。薬液供給管12A〜12Jは可撓性を有する材質、例えば樹脂により構成され、後述するノズル11A〜11Jの移動を妨げないように構成されている。
また、モジュール1Aには薬液供給管12A〜12Kと同様に構成された試験液供給管12Lが設けられ、この試験液供給管12Lの下流端は、例えば図示しない排液路に接続されている。試験液供給管12Lの上流端は例えばバルブV1を介してn個(n=整数)に分岐し、複数の試験液供給源14に各々接続されている。なお、図1ではnを3以上であるように表示しているが、2でもよい。試験液供給源14におけるレジストの供給源13A〜13Jとの差異点としては、レジストの代わりに純水からなる試験液が貯留されていることが挙げられ、当該試験液には異物として所定の粒径を有する試験用粒子が、所定の割合で含まれている。試験液に含まれる試験用粒子の粒径、割合は夫々試験液供給源14毎に異なっている。各試験液は、後述するようにウエハWの処理が行われていないときに、異物の検出に用いるための基準データを校正するために用いられる。
薬液供給管12A〜12Kにおけるノズル11A〜11KとバルブV1との間、及び試験液供給管12LにおけるバルブV1の下流側にはキュベット15A〜15Lが介設されている。キュベット15A〜15Kは、異物の測定用の流路部として構成され、その内部は異物の測定領域をなす。キュベット15Lは、試験用粒子の測定用の流路部として構成され、試験液中の試験用粒子の測定領域をなす。キュベット15A〜15Lについては後に詳述する。
図3ではレジスト塗布モジュール1Aについて、より詳しい構成の一例を示している。図中31、31はスピンチャックであり、各々ウエハWの裏面中央部を水平に吸着保持すると共に、保持したウエハWを鉛直軸回りに回転させる。図中32、32はカップであり、スピンチャック31、31に保持されたウエハWの下方及び側方を囲み、薬液の飛散を抑える。
図中33は鉛直軸回りに回転する回転ステージであり、回転ステージ33上には、水平方向に移動自在で垂直な支柱34と、ノズル11A〜11Kのホルダ35とが設けられている。36は支柱34に沿って昇降自在な昇降部であり、37は昇降部36を支柱34の移動方向とは直交する水平方向に移動自在なアームである。アーム37の先端には、ノズル11A〜11Kの着脱機構38が設けられている。回転ステージ33、支柱34、昇降部36及びアーム37の協働動作により、各スピンチャック31上とホルダ35との間でノズル11A〜11Kが移動する。
図4は、レジスト塗布モジュール1Aに設けられる異物検出ユニット4の概略構成を示している。異物検出ユニット4は、光給断部41と、検出部本体42と、を備えている。光給断部41は、例えば既述のファイバー23に介設され、シャッタ43を備えている。シャッタ43は、ファイバー23の上流側と下流側との間の光路を遮蔽する遮蔽位置(図4中に二点鎖線で表示している)と、当該光路から退避する開放位置(図4中に実線で表示している)との間で移動し、当該光路を開閉する。例えば塗布、現像装置1の稼働中、光供給部2からは常時、ファイバー23に光が供給され、シャッタ43の光路の開閉により、検出部本体42へ光が供給された状態と、検出部本体42への光の供給が停止した状態とが切り替えられる。シャッタ43が、上記の遮蔽位置及び開放位置のうちの一方から他方へ移動する速度は、例えば100ミリ秒である。
検出部本体42は例えば筐体44を備えており、当該筐体44は回転ステージ33及びカップ32の側方に、移動するアーム37や支柱34に干渉しないように設けられている。検出部本体42は、筐体44内に移動機構であるスライダ機構45、光照射部51及び受光部52を備えている。筐体44内の構成を詳細に示す斜視図である図5も参照しながら説明する。筐体44内には既述した供給管12A〜12Lが引き回されており、キュベット15A〜15Lが配置されている。キュベット15A〜15Lは細長の起立したチューブとして、互いに同様に構成されている。
また、キュベット15A〜15Lは、光供給部2から検出部本体42に導光される光を透過できるように例えば透明な石英により構成され、水平方向に互いに近接して一列に配置されており、流路アレイ16を構成している。例えば図4中、L1として示す互いに隣接するキュベット15の間隔は10mm以下である。
図5中17、18は、キュベット15A〜15Lの上流側、下流側を夫々供給管12A〜12Lに接続するための継手である。キュベット15A〜15L及び継手17、18は、支持台19上に設けられている。上記のスライダ機構45は、例えば支持台19の下方に設けられる移動台46と、モータを含む駆動機構47と、移動台46に接続されると共に駆動機構47により回転することで当該移動台46を移動させるボールねじ48と、移動台46の移動をガイドするレール49と、により構成される。このような構成により、移動台46をキュベット15A〜15Lの配列方向に沿って、水平に移動させることができる。移動台46上には、光照射部51と受光部52とが、キュベット15A〜15Lを側方から挟むと共に、互いに対向するように設けられている。
光照射部51は光照射用の光学系を構成し、図4に示すように集光レンズである対物レンズ53及び移動ミラー54を備えている。ところで、筐体44内にはファイバー23の下流端をなすコリメータ55と、固定ミラー56とが設けられている。コリメータ55からは、例えばビーム径が7mmの平行光が固定ミラー56に向けて水平に照射される。そして、この固定ミラー56により反射された光は、上記の光照射部51の移動ミラー54に向けて、キュベット15Aの配列方向に沿って水平に照射される。さらにこの光は、移動ミラー54により反射されて、対物レンズ53を介してキュベット15A〜15Lのうちの一つに水平に照射される。なお、図5では、コリメータ55及び固定ミラー56の図示は省略している。
受光部52は受光用の光学系を構成し、受光用レンズ57と例えばフォトダイオードにより構成された受光素子58とを備える。光照射部51からキュベット15A〜15Lのうちの一つに照射された光は、受光用レンズ57を介して受光素子58に導光され、この光を受光した受光素子58は、電気信号を後述の制御部5に出力する。対物レンズ53、受光用レンズ57の夫々のフォーカスは、光照射部51の光の照射方向を前後方向とすると、各キュベット15A〜15Lの前後の中心部に位置している。なお、図5中51A、52Aは、光照射部51、受光部52に夫々設けられる開口部であり、対物レンズ53からキュベット15に照射される光、キュベット15を透過した光が夫々通過する。
スライダ機構45によって、図6に示すように光照射部51及び受光部52は、15A〜15Lうちの任意のキュベット15を挟む位置に移動することができる。そして、そのように移動することで、対物レンズ53、受光用レンズ57の夫々のフォーカスは、当該任意のキュベット15の左右方向(キュベット15A〜15Lの配列方向)の中心部に位置する。そして、そのようにフォーカスが位置した状態で、光照射部51は当該キュベット15を介して受光部52に光を照射し、光照射部51と受光部52との間においてキュベット15を透過する光路が形成される。
ところで、光を照射するキュベット15に応じた位置に移動ミラー54が位置するので、各キュベット15A〜15Lへの光照射時において移動ミラー54と固定ミラー56との間の距離は夫々異なる。しかし上記のコリメータ55により、これらミラー54、56間の光が平行光となっているため、そのようにミラー54、56間の距離が異なっても対物レンズ53に導光される光の変化が抑えられる。従って、各キュベット15A〜15Lに光照射部51から光が照射される際、当該光照射部51と受光部52との間には夫々同様の光路が形成される。代表して、図4では一点鎖線により、キュベット15Aに形成される光路を概略的に示している。この光照射部51からの光照射は、光照射の対象となるキュベット15に液が流通している間に行われ、後述の制御部5は、この光照射中に受光素子58から出力される信号を取得する。
そして、光照射部51から光が照射されているキュベット15を流通する液中に異物が含まれ、光路上に位置すると、当該異物の大きさに応じて受光素子58から出力される信号が変化する。また、このとき出力される信号は、異物の種別に応じたものとなる。従って、受光素子58からの出力信号は、光を遮った異物の粒径と、当該異物の数と、異物の種別との情報を含んでおり、制御部5は、この出力信号に基づいて異物の数及び異物の大きさの検出と、異物の種別の判別とを行うことができる。なお、異物の検出として、これら異物の数の検出、異物の大きさの検出、異物の種別の判別のうちの一つのみを行う場合、例えば異物の種別の判別のみを行う場合であっても、本発明の権利範囲に含まれる。この受光素子58からの出力に基づいた異物の数、異物の大きさの検出及び異物の種別の判別としては、例えばPML(Particle Monitoring Technologies Ltd.)社のIPSA(登録商標)法を用いてもよいし、光散乱法に基づくものであってもよい。
上記の筐体44について補足して説明しておくと、各ノズル11A〜11Kから吐出されて飛散した薬液が上記の筐体44内への進入を防ぎ、当該薬液によって駆動機構47及び受光部52などの各動作が影響されないように、図4に示すように筐体44内へのN2ガスの供給と筐体44内の排気とが行われる。ただし、筐体44内の各部について他の被液対策を行うことで、このN2ガスの供給及び排気については行われなくてもよい。
レジスト塗布モジュール1A以外のモジュールについて説明しておくと、レジスト塗布モジュール1Bは、モジュール1Aと同様に構成されている。反射防止膜形成モジュール1C、1D及び保護膜形成モジュール1E、1Fは、例えばレジスト及びシンナーの代わりに反射防止膜形成用の薬液、保護膜形成用の薬液を供給することを除いて、モジュール1A、1Bと同様に構成されている。例えばモジュール1C〜1Fにおいても、モジュール1A、1Bと同様に複数の薬液から、選択された一つの薬液がウエハWに供給される。
続いて、塗布、現像装置1に設けられる制御部5について説明する。制御部5は例えばコンピュータからなり、不図示のプログラム格納部を有している。このプログラム格納部には、各モジュールでのウエハWの処理、及び異物の検出、後述する搬送機構による塗布、現像装置1内でのウエハWの搬送などの各動作が行われるように命令(ステップ群)が組まれたプログラムが格納されており、当該プログラムによって、制御部5から塗布、現像装置1の各部に制御信号が出力されることで、上記の各動作が行われる。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクまたはメモリーカードなどの記憶媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
また、制御部5に含まれるメモリには、上記の異物の検出を行うための基準データが格納されている。この基準データとしては、受光素子58からの出力信号に基づいて、異物の粒径を算出するための当該出力信号と粒径との関係を規定した第1の対応関係が含まれる。ところで、上記のように対物レンズ53の焦点はキュベット15の前後、左右の各中心部であり、キュベット15内の限定された領域に光路が形成される。従って、キュベット15の一部のみを流通する異物が光路上に位置して、検出されることになる。異物の粒径毎にキュベット15全体を流れる異物の数を算出するために、上記の基準データとしてはそのように異物の粒径毎のキュベット15の一部を流れて検出された異物の数と、実際にキュベット15全体を流れる異物の数と、の関係を規定した第2の対応関係が含まれる。基準データはモジュール1A〜1Fについて夫々設定されており、個別に校正される。この校正については後述する。
続いて図7のタイミングチャートを参照しながら、上記のレジスト塗布モジュール1Aにおいて行われるウエハWの処理及び異物の検出について説明する。このタイミングチャートでは、13A〜13Lのうちの一の供給源13におけるポンプの圧力が整定されるタイミング、光照射部51及び受光部52が移動するタイミング、12A〜12Lのうちの一の供給源13に対応する供給管12のバルブV1が開閉するタイミング、光照射部51からレーザー光が照射される状態と当該レーザー光の照射が停止した状態とが切り替えられるタイミング、制御部5により受光素子58からの信号が取得されるタイミングを夫々示している。上記のレーザー光が照射される状態と照射が停止した状態とが切り替えられるタイミングは、異物検出ユニット4のシャッタ43が開閉するタイミングとも言える。
先ず、塗布、現像装置1に設けられる後述の搬送機構F3により、ウエハWがスピンチャック31上に搬送され、当該スピンチャック31に保持される。アーム37によりシンナーを供給するノズル11JがウエハW上に搬送されると共に、供給源13Kのポンプがシンナーの吸引を行い、それによって所定の圧力となるように整定が開始される(時刻t1)。また、このポンプの整定の開始と共に光照射部51及び受光部52が、キュベット15Kを挟む位置に向けて移動を開始する。このとき異物検出ユニット4のシャッタ43は閉じられている。
光照射部51及び受光部52がキュベット15Kを挟む位置で停止し(時刻t2)、続いて供給管12KのバルブV1が開かれ、ポンプからシンナーがノズル11Jへ向けて所定の流量で圧送されると共にシャッタ43が開かれ、光照射部51から光が照射されて、光照射部51と受光部52との間にキュベット15Jを透過する光路が形成される(時刻t3)。そして、圧送されたシンナーはキュベット15Kを通過し、ノズル11JからウエハWの中心部へ吐出される。バルブV1の開度が上昇して、所定の開度になると開度の上昇が停止し(時刻t4)、然る後、制御部5による受光素子58からの出力信号の取得が開始される(時刻t5)。その後、制御部5による出力信号の取得が停止し(時刻t6)、続いてシャッタ43が閉じられて光照射部51からの光照射が停止すると共に供給管12JのバルブV1が閉じられ(時刻t7)、ウエハWへのシンナーの吐出が停止する。そして、ウエハWが回転し、遠心力によりシンナーがウエハWの周縁部に展伸される。
時刻t5〜t6間に取得された出力信号と、基準データとに基づいて、時刻t5〜t6でキュベット15Kを流通した異物の総数と各異物の粒径とが算出されると共に異物の種別の判別が行われる。然る後、算出された異物の総数がしきい値以上であるか否かの判定と、所定の粒径より大きい異物の数がしきい値以上であるか否かの判定とが、例えば異物の種別毎に行われる。そして、上記の異物の総数がしきい値以上であると判定された場合、及び/または、所定の粒径より大きい異物の数がしきい値以上であると判定された場合、アラームが出力されると共に、モジュール1Aの動作が停止し、ウエハWの処理が中止される。このアラームは、具体的には、例えば制御部5を構成するモニターへの所定の表示や、制御部5を構成するスピーカーからの所定の音声の出力である。また、このアラームの出力には、例えば15A〜15Kのうち異常が検出されたキュベット15や検出された異物の種別をユーザーに報知するための表示や音声の出力が含まれる。
異物の総数がしきい値以上ではないと判定され、且つ所定の粒径より大きい異物の数がしきい値以上では無いと判定された場合、アラームの出力は行われず、モジュール1Aの動作も停止しない。なお、上記の各演算及び各判定は制御部5により行われる。また、算出された異物の総数及び所定の粒径より大きい異物の数についての判定結果が異常とはならなくても、例えば検出された異物の種別、種別毎の異物の総数、及び/または種別ごとの所定の粒径より大きい異物の数について、上記の画面表示や音声出力によりユーザーに報知されるようにしてもよい。なお、上記の算出された異物の総数がしきい値以上であるか否かの判定及び所定の粒径より大きい異物の数がしきい値以上であるか否かの判定は、上記のように異物の種別毎に行うことには限られず、全ての種別の異物の総数及び全ての種別の異物について所定の大きさ以上の粒径を持つ数について、しきい値と比較することで行われてもよい。
続いて、ウエハWへのレジストの吐出及びこのレジスト中の異物の検出が、上記のシンナーの吐出及びシンナー中の異物の検出と同様に、図7のタイミングチャートに沿って行われる。例えば供給源13AのレジストがウエハWに吐出されるものとして説明すると、シンナーが塗布されたウエハW上にノズル11Aが移動すると共に、供給源13Aのポンプの圧力が整定される(時刻t1)。その一方で、光照射部51及び受光部52がキュベット15Aを挟む位置に移動を開始し(時刻t2)、当該位置で停止する。その後、供給管12AのバルブV1が開かれ、ポンプからレジストがノズル11Aへ向けて圧送されると共にシャッタ43が開かれ、キュベット15Aを介して光照射部51と受光部52との間に光路が形成される(時刻t3)。
レジストがキュベット15Aを通過し、ウエハWの中心部へ吐出され、バルブV1の開度が所定の開度になると(時刻t4)、受光素子58からの出力信号の取得が開始される(時刻t5)。出力信号の取得が停止した後(時刻t6)、シャッタ43が閉じられると共にバルブV1が閉じられ、ウエハWへのレジストの吐出が停止する(時刻t7)。ウエハWが回転し、遠心力によりレジストがウエハWの周縁部に展伸されて、レジスト膜が形成される。そのようにレジスト膜が形成される一方で、時刻t5〜t6間に取得された出力信号と基準データと、に基づいて、時刻t5〜t6でキュベット15Aを流通した異物の総数と各異物の粒径とが算出され、これらの算出値が上記のようにしきい値以上であるか否かの判定が行われる。そして、この判定結果によっては、既述のようにアラームの出力及びモジュールの動作の停止がなされる場合がある。
ウエハWに供給源13A以外に含まれるレジストが吐出される場合も、供給源13Aとは異なる供給源のポンプが動作すること、供給管12Aとは異なる供給管12AのバルブV1が開閉すること、キュベット15Aとは異なるキュベットに光が照射されることを除いて、レジスト塗布モジュール1Aにおいて供給源13Aのレジストが塗布される場合と同様の動作が行われる。
なお、既述のアラームの出力及びモジュールの動作停止は1回の測定結果に基づいて行われることに限られない。例えば、上記のようにウエハWへの薬液の吐出及び異物の検出を行う度に、算出された異物の総数、及び所定の粒径より大きい異物の数が、異物の検出を行ったキュベット15毎に制御部5のメモリに記憶されるようにする。そして、一つのキュベット15について、新たに取得された測定値と過去に取得された所定の回数分の測定値との移動平均を算出し、この算出した移動平均値をしきい値と比較して上記の各判定を行うようにしてもよい。また、新たに取得された測定値と過去に取得された所定の回数分の測定値との積算値をしきい値と比較して、上記の判定を行うようにしてもよい。
上記の図7のチャートで説明した異物の検出では、キュベット15Jの液流が安定した状態での異物の検出を行うことで測定精度を高めるために、上記のようにバルブV1を開閉するタイミングと、制御部5が出力信号の取得を開始及び終了するタイミングとが互いにずれている。例えば上記の時刻t4〜t5間は10ミリ秒〜1000ミリ秒であり、時刻t6〜t7間は10〜100ミリ秒である。
続いて、レジスト塗布モジュール1Aで行われる基準データの校正について説明する。この校正は、レンズ53、57の表面に設けられる反射防止膜の劣化などによる光学系の経時変化、光源21の強度の低下、受光素子58の感度の低下などが起きたとしても、既述の異物の検出を精度高く行うために行われるものである。この校正を行うためのモジュール1Aの動作は、例えばモジュール1AにウエハWが搬送されておらず、モジュール1Aが待機状態になっているときに自動で行われる。ただし、そのようなタイミングで行われることに限られず、塗布、現像装置1の電源投入後の立ち上げ時や、塗布、現像装置1のユーザーが指定する任意のタイミングで行われるようにしてもよい。
以下、校正の手順について説明すると、例えば、光照射部51及び受光部52がキュベット15Lを挟む位置に移動し、試験液供給源(第1の試験液供給源とする)14からキュベット15Lに試験液が供給され、当該キュベット15Lを試験液が流通する間、キュベット15Lを通過するように光照射部51と受光部52との間で光路が形成され、受光素子58からの出力信号が取得される。
続いて、第1の試験液供給源14とは異なる試験液供給源(第2の試験液供給源とする)14から、キュベット15Lに所定の流速で当該試験液が供給される。そして、第1の試験液供給源14から試験液が供給された場合と同じく、キュベット15Lに光が照射され、受光素子58からの出力信号が取得される。これ以降も互いに異なる試験液供給源14から順番に所定の流速で試験液が供給され、キュベット15Lに試験液が供給される度にキュベット15Lを透過するように光路が形成され、受光素子58からの出力信号が取得される。このようにして、n個の試験液供給源14の全てからキュベット15Lへの試験液の供給と受光素子58からの信号の取得とを行う。このキュベット15Lへの試験液の供給、光照射部51からの光照射、及び出力信号の取得は、既述のシンナー及びレジストの異物の検出時と同様に、図7のタイミングチャートに沿って行われる。
各試験液に含まれる異物である試験用粒子の粒径は既知であるため、制御部5は、各試験液をキュベット15Lに供給して取得された各出力信号に基づいて、当該出力信号と異物の粒径との関係である既述の第1の対応関係を取得することができる。また、各試験液に含まれる試験用粒子については粒径の他に含まれる割合が既知であり、試験液は容積が一定のキュベット15Lを所定の流速で流れることから、制御部5は、当該含まれる割合に基づいて受光素子58からの出力信号を取得中にキュベット15Lを流れる試験用粒子の総数を算出可能である。さらに、制御部5は既述したように出力信号を取得中に、光路上に位置した試験用粒子の数を検出することができる。従って、制御部5は、異物の粒径ごとにおける、光路上を流れて検出される異物の数と、キュベット15L全体を流れる異物の総数との対応関係である、上記の第2の対応関係を取得することができる。なお、キュベット15Lに供給されていない粒径の異物と、この粒径の異物から得られる出力信号との対応関係については、上記のようにしてキュベット15Lに供給された既知の粒径の異物と、この粒径の異物から得られた出力信号との対応関係から、所定のアルゴリズムに従って算出されることで、上記の第1の対応関係及び第2の対応関係が取得される。
このように基準データである第1の対応関係及び第2の対応関係が取得されると、メモリ内の基準データが新たに取得されたものに校正され、以降に行われるレジスト塗布モジュール1Aにおけるレジスト及びシンナーの吐出時の異物の検出では、校正された基準データに基づいて行われる。なお上記の基準データの取得及び校正は、制御部5により行われる。
代表してモジュール1Aの動作について説明したが、他のモジュールについてもモジュール1Aと同様に、薬液の供給及び異物の検出と、基準データの校正とが行われる。
この塗布、現像装置1に設けられるモジュール1A〜1Fにおいては、薬液の供給源13A〜13Kとノズル11A〜11Kとを接続する薬液供給管12A〜12Kにキュベット15A〜15Kが介設され、このキュベット15A〜15Kが互いに近接して配置されている。そして光照射部51及び受光部52が、キュベット15の配列方向に移動可能に構成され、ノズル11A〜11Kのうちの一つのノズル11から薬液が吐出されるタイミングに応じて、当該ノズルに対応するキュベット15を透過するように光照射部51及び受光部52間に光路が形成され、光学的な異物の検出が行われる。このようにキュベット15A〜15Kが互いに近接し、さらに光照射部51及び受光部52が各キュベット15に共用されることで、各モジュール1A〜1Fについては大型化が抑えられると共に、製造コストの上昇を抑えることができる。また、この異物検出用のデータの校正を行うための試験液が流通するキュベット15Lも、キュベット15A〜15Kに近接して設けられ、光照射部51及び受光部52はこのキュベット15Lに対しても共用されるので、この点からもモジュール1A〜1Fの大型化が抑えられている。
また、このように異物の検出を行うことで、ウエハWに供給する薬液の清浄度が監視される。そして薬液の清浄度が所定の基準より低下したときには、上記のようにモジュールの動作を停止され、それによって当該モジュールで後続のウエハWの処理が中止される。従って、当該後続のウエハWに清浄度が低い薬液が供給されることが防がれ、歩留りが低下することを防ぐことができる。さらに、薬液供給管12A〜12Kのうち、異物が検出された供給管12が特定されるため、塗布、現像装置1のユーザーは、モジュールの動作停止後のメンテナンスや修理を速やかに行うことができる。従って、モジュールの動作が停止している時間が長くなることを抑え、塗布、現像装置1における半導体製品の生産性の低下を抑えることができる。
ところで、上記のバルブV1やポンプが異物の発生源となる場合がある。そのため、上記の薬液供給管12A〜12Kにおいては、これらバルブV1及びポンプの下流側にキュベット15A〜15Kが設けられ、ウエハWに吐出される薬液中の異物が正確性高く検出されるようにしている。ただし、薬液供給管12A〜12Kにおいて、バルブV1またはポンプより上流側にキュベット15A〜15Kを設けて、異物の検出を行うようにしてもよい。
また、上記のモジュール1A〜1Fにおいては、コリメータ55を用いて、各キュベット15A〜15Lに同様に光を照射しているため、各キュベット15A〜15K間で検出精度がばらつくことが抑えられると共に、既述の校正をより精度高く行うことができる。ただし、そのようにコリメータ55を設けず、例えばファイバー23の下流端を光照射部51に接続し、当該下流端から直接レンズ53に導光するようにしてもよい。そのため、キュベット15の配列方向に沿って移動する光照射用の光学系としては、光を集中、発散、反射、屈折などさせるためのレンズ、反射鏡及びプリズムなどの部材を組み合わせたものに限られず、1つのレンズにより構成される場合も含まれる。同様にキュベット15の配列方向に沿って移動する受光用の光学系としても、反射鏡などが含まれずに1つのレンズ57のみによって構成されたものが含まれる。
また、供給管12A〜12Lにキュベット15を介設する代わりに、供給管12A〜12Lを光照射部51からの光を透過可能な材質により構成することで、供給管12A〜12Lを透過するように光照射部51、受光部52間に光路を形成して異物の検出を行うことができる。つまり、キュベット15A〜15Lが設けられなくてもよい。さらに、上記のモジュール1Aにおいて、光照射部51及び受光部52が流路アレイ16に対して移動する代わりに、流路アレイ16が光照射部51及び受光部52に対して移動するようにスライダ機構45を構成してもよい。なお、例えば上記のモジュール1Aにおいて、例えば受光部52はキュベット15毎に個別に設けられ、キュベット15に対して移動しない構成であってもよい。
さらに、上記のようにキュベット15を流通する異物の総数がしきい値以上であると判定された場合、及び/または、所定の粒径より大きい異物の数がしきい値以上であると判定された場合の対処としては、アラームの出力及びモジュールの動作停止に限られない。例えば、そのように判定がなされたキュベット15に対応する薬液供給源13から、薬液を供給管12の洗浄液としてノズル11に供給し、薬液供給管12に含まれる異物をノズル11から除去するようにする。つまり、自動で供給管12が洗浄されるようにする。この動作後、後続のウエハWに対して処理が再開されるようにしてもよい。
そして、このように供給管12の洗浄を行う場合、洗浄液のノズルへの供給中、ウエハWへ薬液を供給して処理を行う際と同様に、キュベット15に光を照射して、制御部5が、異物の総数がしきい値以上であるか否かの判定と、所定の粒径より大きい異物の数がしきい値以上であるか否かの判定を行うようにしてもよい。そして、これらの判定結果によって、制御部5が、薬液供給管12の洗浄を継続して行うか、終了するかの決定を行うようにしてもよい。
続いて、検出部本体42の変形例について、図8を参照しながら説明する。この例では、上記したキュベット15の配列方向に移動する移動台46上に、レンズ変位機構を構成する移動台64、65及びスライダ機構66、67が設けられている。スライダ機構66、67は、スライダ機構45と同様に例えばモータ、ボールねじ及びガイドレールを備えており、移動台64、65を夫々前後方向に水平移動させる。この移動台64、65上に光照射部51、受光部52が夫々設けられている。つまり、スライダ機構66、67は、光照射部51、受光部52を、夫々前後方向(光路方向)に移動させる。
このように光照射部51及び受光部52を移動可能に構成する理由を説明する。上記のように各キュベット15には互いに異なる種類の薬液が流通するが、そのように種類が異なるため、各薬液の屈折率が互いに異なる場合がある。その場合、光照射部51及び受光部52の前後の位置が固定されているとすると、対物レンズ53及び受光用レンズ57の焦点の位置が、キュベット15毎に前後にずれ、キュベット15間で異物の測定精度が変動するおそれがある。しかし、図8で説明した検出部本体42では、光照射部51と受光部52との間で光路を形成するにあたり、対物レンズ53及び受光用レンズ57の各焦点の位置がキュベット15A〜15Lの前後の中心部に位置するように、光路を形成するキュベット15を流通する液の屈折率に応じて、光照射部51及び受光部52の前後の位置が変移する。
一例として、図8、図9では互いに屈折率が異なるレジストが供給されるように構成されたキュベット15A、15Bに夫々光路が形成された状態を示しており、各図では光路を鎖線で表している。キュベット15Aへの光路形成時と、15Bへの光路形成時とで、光照射部51の前後の位置及び受光部52の前後の位置は互いに異なっており、それによって各レンズ53、54の焦点の位置がキュベット15A、15B間で揃えられている。このように焦点の位置が揃えられることで、キュベット15間で異物の検出の精度のばらつきが抑えられる。
また、キュベット15A〜15Lを流通する各液の屈折率が互いに異なる場合、図8、図9のように検出部本体42を構成する代わりに、図10に示すように互いに焦点距離が異なる12個の対物レンズ53をキュベット15A〜15Lの配列方向に沿って配置すると共に、互いに焦点距離が異なる12個の受光用レンズ57をキュベット15A〜15Lの配列方向に沿って配置することで、各キュベット15間で前後方向におけるレンズ53、54の焦点の位置が揃うようにしてもよい。この図10に示す例では、光照射部51は、図4などで説明した例と異なり、対物レンズ53及び移動ミラー54のうち、移動ミラー54のみが上記の配列方向に移動され、移動ミラー54により各対物レンズ53のうちの任意の1つに導光される。また、受光部52は、受光用レンズ57及び受光素子58のうち、受光素子58の位置のみを配列方向に移動させるように構成されている。
流路アレイの他の構成について図11、12を参照しながら説明する。この図11、図12は流路アレイ71の斜視図、分解斜視図である。流路アレイ71は直方体のブロックとして構成されており、起立した板状の支持体72、73と、支持体72、73間に挟まれるように設けられる複数の角型の起立した棒状の隔壁形成部材74と、を備えている。隔壁形成部材74は、支持体72、73が配置される方向と直交するように配列される。支持体72、73及び棒状部材74は、例えば石英により構成されている。
支持体72、73及び棒状部材74が互いに接合されることで、支持体72、73の表面及び隔壁形成部材74の側面により囲まれると共に互いに区画された複数の流路が形成される。図11、図12では、これらの区画された流路についてキュベット15A〜15Lとして示しており、これらのキュベット15A〜15Lには、既述の流路アレイ16のキュベット15と同様に薬液及び試験液が流通する。この図11、図12のキュベット15A〜15Lは横断面が長方形であるように構成されており、各キュベット15の前後方向の幅L2、左右方向(キュベット15の配列方向)の幅L3、高さL4は、例えば夫々0.2mm、2.0mm、25.0mmであり、隣接するキュベット15間の距離L5は例えば3.0mmである。
また、流路アレイ71について、前後方向の幅L6、左右方向の幅L7、高さL8は、例えば夫々3.2mm、63.0mm、25.0mmである。この流路アレイ71は、例えば樹脂や、アルミニウムなどの金属からなるケースに格納されて検出部本体42に搭載される。光照射部51と受光部52との間で既述の光路が形成できるように、当該ケースには各キュベット15に対応する位置に開口部が設けられる。
続いて、塗布、現像装置1の具体的な構成例について、図13、図14を参照しながら説明する。図13、14は夫々当該塗布、現像装置1の平面図、概略縦断側面図である。この塗布、現像装置1は、キャリアブロックD1と、処理ブロックD2と、インターフェイスブロックD3と、を直線状に接続して構成されている。インターフェイスブロックD3に露光装置D4が接続されている。キャリアブロックD1は、キャリアCを塗布、現像装置1内に対して搬入出し、キャリアCの載置台81と、開閉部82と、開閉部82を介してキャリアCからウエハWを搬送するための搬送機構83とを備えている。
処理ブロックD2は、ウエハWに液処理を行う第1〜第6の単位ブロックE1〜E6が下から順に積層されて構成されている。各単位ブロックE1〜E6は互いに区画されると共に、搬送機構F1〜F6を夫々備え、各単位ブロックEにおいて互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。
ここでは単位ブロックのうち代表して第3の単位ブロックE3を、図15を参照しながら説明する。キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD3へ向かって搬送領域84が延びるように形成されており、当該搬送領域84には、上記の搬送機構F3が設けられている。また、キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD3へ向かって見て、搬送領域84の左側には棚ユニットUが配置されている。棚ユニットUは、加熱モジュールを備えている。また、キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD3へ向かって見て搬送領域84の右側には、上記のレジスト塗布モジュール1A、保護膜形成モジュール1Eが、搬送領域84に沿って設けられている。
第4の単位ブロックE4は第3の単位ブロックE3と同様に構成されており、レジスト塗布モジュール1B及び保護膜形成モジュール1Fが設けられている。単位ブロックE1、E2には、レジスト塗布モジュール1A、1B及び保護膜形成モジュール1E、1Fの代わりに反射防止膜形成モジュール1C、1Dが夫々設けられることを除き、単位ブロックE3、E4と同様に構成される。単位ブロックE5、E6は、ウエハWに現像液を供給してレジスト膜を現像する現像モジュールを備える。現像モジュールは薬液としてウエハWに現像液を供給することを除いてモジュール1A〜1Fと同様に構成されている。
処理ブロックD2におけるキャリアブロックD1側には、各単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT1と、タワーT1に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な搬送機構85とが設けられている。タワーT1は互いに積層された複数のモジュールにより構成されており、単位ブロックE1〜E6の各高さに設けられるモジュールは、当該単位ブロックE1〜E6の各搬送機構F1〜F6との間でウエハWを受け渡すことができる。これらのモジュールとしては、各単位ブロックの高さ位置に設けられた受け渡しモジュールTRS、ウエハWの温度調整を行う温調モジュールCPL、複数枚のウエハWを一時的に保管するバッファモジュール、及びウエハWの表面を疎水化する疎水化処理モジュールなどが含まれている。説明を簡素化するために、前記疎水化処理モジュール、温調モジュール、前記バッファモジュールについての図示は省略している。
インターフェイスブロックD3は、単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT2、T3、T4を備えており、タワーT2とタワーT3に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡し機構である搬送機構86と、タワーT2とタワーT4に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡し機構である搬送機構87と、タワーT2と露光装置D4の間でウエハWの受け渡しを行うための搬送機構88が設けられている。
タワーT2は、受け渡しモジュールTRS、露光処理前の複数枚のウエハWを格納して滞留させるバッファモジュール、露光処理後の複数枚のウエハWを格納するバッファモジュール、及びウエハWの温度調整を行う温調モジュールなどが互いに積層されて構成されているが、ここでは、バッファモジュール及び温調モジュールの図示は省略する。
処理ブロックD2の上方に既述の光供給部2が設けられ、光供給部2から単位ブロックE1〜E4のモジュール1A〜1Fに接続されるように、ファイバー23が下方へ向けて引き回されている。また、処理ブロックD2の上方には上記の制御部5を構成し、既述の受光素子58からの出力信号に基づいて、キュベット15を流通した異物の総数と各異物の粒径との算出を行う演算部61が設けられており、図示しない配線により演算部61とモジュール1A〜1Fとが接続されている。このような構成により、互いに離れた箇所に配置されたモジュール1A〜1Fにおいて、夫々既述の異物の検出が行われる。
この塗布、現像装置1におけるウエハWの搬送経路について説明する。ウエハWは、キャリアCから搬送機構83により、処理ブロックD2におけるタワーT1の受け渡しモジュールTRS0に搬送される。この受け渡しモジュールTRS0からウエハWは、単位ブロックE1、E2に振り分けられて搬送される。例えばウエハWを単位ブロックE1に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE1に対応する受け渡しモジュールTRS1(搬送機構F1によりウエハWの受け渡しが可能な受け渡しモジュール)に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。またウエハWを単位ブロックE2に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE2に対応する受け渡しモジュールTRS2に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。これらのウエハWの受け渡しは、搬送機構85により行われる。
このように振り分けられたウエハWは、TRS1(TRS2)→反射防止膜形成モジュール1C(1D)→加熱モジュール→TRS1(TRS2)の順に搬送され、続いて搬送機構85により単位ブロックE3に対応する受け渡しモジュールTRS3と、単位ブロックE4に対応する受け渡しモジュールTRS4とに振り分けられる。
このようにTRS3(TRS4)に振り分けられたウエハWは、TRS3(TRS4)→レジスト塗布モジュール1A(1B)→加熱モジュール→保護膜形成モジュール1E(1F)→加熱モジュール→タワーT2の受け渡しモジュールTRSの順で搬送される。然る後、このウエハWは、搬送機構86、88により、タワーT3を介して露光装置D4へ搬入される。露光後のウエハWは、搬送機構88、87によりタワーT2、T4間を搬送されて、単位ブロックE5、E6に対応するタワーT2の受け渡しモジュールTRS15、TRS16に夫々搬送される。然る後、加熱モジュール→現像モジュール→加熱モジュール→受け渡しモジュールTRS5(TRS6)に搬送された後、搬送機構83を介してキャリアCに戻される。
上記の単位ブロックE5,E6の現像モジュールに本発明を適用し、現像液中の異物の検出を行ってもよい。その他に、例えばウエハWに絶縁膜を形成するための薬液を供給する装置や、ウエハWを洗浄するための薬液である洗浄液を供給する洗浄装置、複数のウエハWを互いに貼り合わせるための接着剤を薬液としてウエハWに供給する装置などの各薬液供給装置に本発明を適用することができる。なお、上記の洗浄装置としては、例えば純水、IPA(イソプロピルアルコール)、またはSC1と呼ばれるアンモニア水及びフッ酸の混合液がウエハWに供給される。そこで、1つの流路アレイ16を構成する複数のキュベット15には、これら純水、IPA、SC1が夫々通流する構成であってもよい。
また、1つの流路アレイ16の各キュベット15には、1つのモジュールで使用される薬液のみが通流することに限られず、例えばレジスト塗布モジュール1Aで使用されるレジストと、保護膜形成モジュール1Eで使用される保護膜形成用の薬液とが、1つの流路アレイ16の各キュベット15を通流するように構成されていてもよい。つまり、ウエハWに夫々薬液を供給して液処理を行うための第1の処理部及び第2の処理部(複数の処理部)が装置に設けられ、例えば第1の処理部にはウエハWに各々薬液を供給する複数の第1の流路が設けられ、第2の処理部にはウエハWに各々薬液を供給する複数の第2の流路が設けられているとした場合、第1の流路及び第2の流路の異物の検出を、これら第1及び第2の流路に共通化された光供給部51及び受光部52によって行うことができる。この場合、複数の第1の流路のうちの一つと複数の第2の流路のうちの一つとで光供給部51及び受光部52が共通化された構成としてもよいし、複数の第1の流路と複数の第2の流路とで光供給部51及び受光部52が共通化された構成としてもよいし、複数の第1の流路のうちの一つと、複数の第2の流路とで光供給部51及び受光部52が共通化されていてもよい。なお、上記のように光供給部51及び受光部52のうち、共通化されるものは光供給部51のみであってもよい。
また、本発明は、薬液供給装置に適用されることに限られない。例えば流路アレイ16に、薬液が通流するキュベット15とは別の気体供給用のキュベット15を設ける。そして、塗布、現像装置1における搬送領域84などのウエハWが搬送される領域の雰囲気を吸引ポンプなどにより、当該気体供給用のキュベット15に供給できるようにする。ウエハWが搬送される領域には、レジスト塗布モジュール1AなどのウエハWが処理される領域も含まれる。そして、薬液中の異物を検出する場合と同様に、気体供給用のキュベットを気体が通流中に、当該キュベットに光路を形成して異物の検出を行う。つまり、本発明は、ウエハWに供給される流体に含まれる異物を検出することができる。
上記のようにウエハの搬送雰囲気を形成する気体の他にウエハWの処理を行う気体中の異物の検出を行ってもよい。例えば、上記の現像モジュールにおいて、ウエハWへ現像液を供給し、表面洗浄用の純水を供給した後に、ノズルからウエハW表面を乾燥させるためのN2ガスが供給される。このノズルへの供給路を流れるN2ガスに含まれる異物の検出を、上記のレジストに含まれる異物の検出と同様に行ってもよい。
なお、各キュベット15は直線上に配置されることに限られず、曲線上に配置されるようにしてもよい。さらに、既述した各例は互いに組み合わせてもよい。