以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
[第1の形態]
図1に,本形態の画像形成装置1の概略構成を示す。画像形成装置1は,内部に中間転写ベルト21を有する,いわゆるタンデム型のカラープリンターである。中間転写ベルト21は,導電性を有する無端状のベルト部材であり,その図1中両端部がローラー22,23によって支持されている。画像形成時には,図1中右側のローラー22が,反時計回りに回転駆動される。これにより,中間転写ベルト21および図1中左側のローラー23はそれぞれ従動回転する。
中間転写ベルト21のうち,図1中右側のローラー22に支持されている部分の外周面には,2次転写ローラー25が設けられている。2次転写ローラー25は,中間転写ベルト21へ向けて軸と垂直の方向(図1中左向き)に圧接されている。中間転写ベルト21と2次転写ローラー25とが接触している部分には,中間転写ベルト21上のトナー像を用紙Sに転写させる2次転写ニップN1が形成されている。2次転写ローラー25は,画像形成時には,回転する中間転写ベルト21への圧接による摩擦力によって従動回転する。
また,中間転写ベルト21のうち,図1中左側のローラー23に支持されている部分の外周面には,ベルトクリーナー26が設けられている。本形態のベルトクリーナー26は,中間転写ベルト21の表面に付着しているトナーを回収することのできるものである。つまり,ベルトクリーナー26は,2次転写ニップN1において用紙Sに転写されなかった転写残トナーの回収等を行うことのできるものである。
中間転写ベルト21の図1中下部には左から右に向かって順に,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kが配置されている。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kはいずれも,該当色のトナー像を形成して中間転写ベルト21上に転写することのできるものである。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kはいずれも,その構成は同じである。このため,図1では,画像形成ユニット10Yによって代表して符号をつけている。
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは,円筒状の静電潜像担持体である感光体11,および,その周囲に配置された帯電装置12,露光装置13,現像装置14,1次転写ローラー15,および感光体クリーナー16を有している。帯電装置12は,感光体11の表面を均一に帯電させるためのものである。露光装置13は,該当色の画像データに基づいたレーザー光を感光体11の表面に照射させ,静電潜像を形成するためのものである。現像装置14は,収容しているトナーを感光体11の表面に付与するためのものである。
1次転写ローラー15は,感光体11と中間転写ベルト21を挟んで対向する位置に配置されている。1次転写ローラー15は,中間転写ベルト21へ向けて軸と垂直の方向(図1中下向き)に圧接されている。この圧接により,中間転写ベルト21と感光体11とが接触している部分にはそれぞれ,各色の感光体11上のトナー像を中間転写ベルト21上に転写させる1次転写ニップが形成されている。
感光体クリーナー16は,感光体11上から中間転写ベルト21上に転写されなかったトナーを回収するためのものである。なお,感光体11上の未転写トナーを現像装置14により回収するクリーナーレス方式を採用すれば,感光体クリーナー16はなくてもよい。
また,中間転写ベルト21の図1中上方には,各色のトナーを収容したホッパー17Y,17M,17C,17Kが配置されている。これらに収容されている各色のトナーはそれぞれ,各色の現像装置14へと適宜補給される。
そして,本形態の画像形成装置1では,画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K,中間転写ベルト21,2次転写ローラー25などにより,トナー像を形成する画像形成部20が構成されている。
本形態の画像形成装置1は,画像形成部20の下方に,第1給紙カセット40,第2給紙カセット50を有している。第1給紙カセット40,第2給紙カセット50のそれぞれの用紙収容部41,51には,用紙Sが積載により収容されている。図1に示すように,用紙収容部41,51の図1中右側にはそれぞれ,用紙収容部41,51に収容されている用紙Sが搬送される給紙経路45,55が設けられている。つまり,用紙収容部41,51はそれぞれ,給紙経路45,55における最も上流に位置している。なお,給紙経路45,55における用紙Sの搬送方向の下流側は,画像形成経路30に接続されている。
第1給紙カセット40には,用紙収容部41に収容された用紙Sを,その最上部のものより順に1枚ずつ給紙経路45に給紙により供給するため,給紙ローラー42,ピックアップローラー43,分離ローラー44が設けられている。第2給紙カセット50には,用紙収容部51に収容された用紙Sを,その最上部のものより順に1枚ずつ給紙経路55に給紙するため,給紙ローラー52,ピックアップローラー53,分離ローラー54が設けられている。
第1給紙カセット40の給紙ローラー42は,用紙収容部41より用紙Sを給紙経路45に給紙する際には,回転駆動されることにより給紙動作を行う。第1給紙カセット40のピックアップローラー43は,給紙ローラー42が給紙動作を行う際には,用紙収容部41の最上の用紙Sに接触しつつ回転駆動されることにより,給紙ローラー42へと用紙Sを搬送する。第1給紙カセット40の分離ローラー44は,給紙ローラー42と対向して設けられたトルクリミッター付きのローラーである。そして,分離ローラー44は,ピックアップローラー43により複数の用紙Sが搬送される重送が生じた場合には,その最上のもののみが給紙ローラー42の給紙動作により給紙経路45に搬送されるようにするためのものである。
第2給紙カセット50の給紙ローラー52,ピックアップローラー53,分離ローラー54についても,第1給紙カセット40のものと同様である。また,第2給紙カセット50の給紙経路55には,給紙ローラー52の下流に,給紙経路55に沿って用紙Sを搬送するための一対の2段搬送ローラー71を有する2段搬送ユニット70が設けられている。本形態の2段搬送ユニット70は,画像形成装置1の小型化に伴い,搬送方向における長さが,用紙収容部51に収容される用紙Sの搬送方向の長さである用紙長よりも短いものとされている。
そして,給紙経路45に設けられた給紙ローラー42,ピックアップローラー43は,用紙Sを給紙経路45に沿って搬送する搬送部である。また,給紙経路55に設けられた給紙ローラー52,ピックアップローラー53,2段搬送ローラー71は,用紙Sを給紙経路55に沿って搬送する搬送部である。
また,図1に示すように,画像形成経路30には,垂直搬送ユニット60,レジストローラー27,2次転写ニップN1,定着装置28がこの順で配置されている。垂直搬送ユニット60は,第1搬送ローラー61および第2搬送ローラー62を有している。第1搬送ローラー61,第2搬送ローラー62,レジストローラー27はいずれもローラー対であり,用紙Sを画像形成経路30に沿って重力に抗う向きに搬送する搬送部である。さらに,レジストローラー27は,用紙Sを2次転写ニップN1へ送り出すタイミングを微調整するためのものである。定着装置28は,用紙Sを加熱しつつ加圧することにより,用紙Sに転写されたトナー像の定着処理を行うためのものである。
画像形成経路30の定着装置28のさらに下流側には,排紙経路31と両面搬送経路32とが設けられている。また,画像形成経路30と排紙経路31と両面搬送経路32とが接続されている位置には,切替爪39が設けられている。切替爪39は,画像形成経路30を搬送されてきた用紙Sのその後の搬送先を,排紙経路31と両面搬送経路32との間で切り替えることのできるものである。
排紙経路31は,画像形成の完了した用紙Sを,排紙部29へと搬送するためのものである。つまり,画像形成の完了した用紙Sは,画像形成経路30の通過後,切替爪39によって排紙経路31へと搬送される。そして,排紙経路31へと搬送された用紙Sは,排紙部29へと排出される。
一方,両面搬送経路32は,画像形成経路30を通過した用紙Sを再度,画像形成経路30に搬送するためのものである。これにより,画像形成装置1は,用紙Sの両面に画像を形成する両面印刷を行うことができる。すなわち,一度,画像形成経路30を通過したことにより第1面側に画像が形成された用紙Sの第2面側に画像を形成する場合には,用紙Sは,画像形成経路30の通過後,切替爪39によって両面搬送経路32へと搬送される。両面搬送経路32へと搬送された用紙Sは,表裏が反転された後,再度,画像形成経路30へと搬送される。
また,本形態の画像形成装置1には,図1に示すように,画像形成経路30の側壁の一部を構成する第1扉65および第2扉75が設けられている。第1扉65は,図1に実線で示す閉状態では,画像形成装置1内部の垂直搬送ユニット60の付近を,画像形成装置1の外部から区画している。一方,第1扉65は,図1に二点鎖線で示す開状態では,垂直搬送ユニット60の付近を,画像形成装置1の外部に開放することができる。また,第2扉75は,図1に実線で示す閉状態では,画像形成装置1内部の2段搬送ユニット70の付近を,画像形成装置1の外部から区画している。一方,第2扉75は,図1に二点鎖線で示す開状態では,2段搬送ユニット70の付近を,画像形成装置1の外部に開放することができる。
また,画像形成装置1には,第1扉検出センサー66および第2扉検出センサー76が設けられている。第1扉検出センサー66は,第1扉65が閉状態および開状態のいずれの状態であるかを検出することができるものである。第2扉検出センサー76は,第2扉75が閉状態および開状態のいずれの状態であるかを検出することができるものである。
なお,用紙Sを搬送する給紙経路45,55,画像形成経路30,排紙経路31,両面搬送経路32などの搬送経路上には,用紙Sを搬送するための搬送ローラーよりなる搬送部が,上記で説明した第1搬送ローラー61等の他にも複数,設けられている。また,用紙Sを搬送する給紙経路45,55,画像形成経路30,排紙経路31,両面搬送経路32などの搬送経路上には,その位置での用紙Sの到達や通過を確認することができる複数の用紙検出センサー35が配置されている。
また,画像形成装置1において,第1給紙カセット40,垂直搬送ユニット60は,給紙経路45および画像形成経路30に沿って,用紙Sの搬送方向における上流から下流に向けて連続して設けられているユニットである。また,画像形成装置1において,第2給紙カセット50,2段搬送ユニット70,垂直搬送ユニット60は,給紙経路55および画像形成経路30に沿って,用紙Sの搬送方向における上流から下流に向けて連続して設けられているユニットである。
さらに,本形態の画像形成装置1において,第1給紙カセット40,第2給紙カセット50はそれぞれ,画像形成装置1から引き出すことができるようにされている。これにより,第1給紙カセット40,第2給紙カセットはそれぞれ,搬送可能位置と引出位置とをとることができるようにされている。
具体的に,第1給紙カセット40は,搬送可能位置では,収容されている用紙Sが給紙動作によって給紙経路45に給紙されることができるようにされている。また,第2給紙カセット50は,搬送可能位置では,収容されている用紙Sが給紙動作によって給紙経路55に給紙されることができるようにされている。すなわち,第1給紙カセット40,第2給紙カセットはそれぞれ,搬送可能位置では,用紙Sを給紙経路45,55に沿って通過させることができる。
一方,第1給紙カセット40,第2給紙カセットはそれぞれ,搬送可能位置から用紙Sの幅方向(図1における紙面奥行き方向)に画像形成装置1から引き出されることにより,引出位置をとることができる。第1給紙カセット40が引出位置をとっているとき,収容されている用紙Sは,給紙動作によって給紙経路45に給紙されることはない。また,第2給紙カセット50が引出位置をとっているとき,収容されている用紙Sは,給紙動作によって給紙経路55に給紙されることはない。
また,本形態の画像形成装置1において,垂直搬送ユニット60,2段搬送ユニット70はそれぞれ,画像形成装置1から引き出すことができるようにされている。これにより,垂直搬送ユニット60,2段搬送ユニット70はそれぞれ,搬送可能位置と引出位置とをとることができるようにされている。
具体的に,垂直搬送ユニット60は,搬送可能位置では,用紙Sを画像形成経路30に沿って通過させることができる。2段搬送ユニット70は,搬送可能位置では,用紙Sを給紙経路55に沿って通過させることができる。
一方,垂直搬送ユニット60,2段搬送ユニット70はそれぞれ,搬送可能位置から用紙Sの幅方向(図1における紙面奥行き方向)に画像形成装置1から引き出されることにより,引出位置をとることができる。垂直搬送ユニット60が引出位置をとっているとき,画像形成経路30は,垂直搬送ユニット60の位置で分断されてしまう。このため,引出位置をとっている垂直搬送ユニット60は,画像形成経路30に沿って用紙Sを搬送することができない状態となる。また,2段搬送ユニット70が引出位置をとっているとき,給紙経路55は,2段搬送ユニット70の位置で分断されてしまう。このため,引出位置をとっている2段搬送ユニット70は,給紙経路55に沿って用紙Sを搬送することができない状態となる。
図2に,本形態の画像形成装置1の制御構成の概略を示す。画像形成装置1は,各部の制御を行うために,エンジン部80とコントローラー部81とを有している。エンジン部80は,全体の制御処理を行うCPU90と,本体に付属されている不揮発性メモリ82とを有している。
不揮発性メモリ82には,例えば,画像形成装置1により適切な画像を形成するための種々の値が記憶されている。例えば,ローラー22の回転速度や各感光体11の回転速度,用紙Sの搬送速度などの値が記憶されている。また,本形態の不揮発性メモリ82は,引出記憶部83を有している。引出記憶部83は,引出テーブルを記憶しているものである。引出テーブルについては,後に詳述する。
CPU90は,不揮発性メモリ82に記憶されている値に基づいて,画像形成装置1の各部を制御する。例えば,各露光装置13による静電潜像の形成開始のタイミングを調整することにより,中間転写ベルト21上にズレのないカラートナー像を形成する。また,各露光装置13により静電潜像を形成するタイミングと,用紙収容部から用紙Sを給紙するタイミングとを調整する。これにより,中間転写ベルト21上のトナー像と用紙Sとの2次転写ニップN1への突入タイミングが合うように制御する。また,CPU90は,給紙経路45,55,画像形成経路30,排紙経路31,両面搬送経路32などの搬送経路上に設けられている複数の用紙検出センサー35の検出値により,搬送中の用紙Sの位置を把握することができる。
さらに,本形態のCPU90は,搬送制御部91,未到達出力部92,扉状態出力部93,装置異常出力部94を有している。搬送制御部91は,画像形成装置1における用紙Sを搬送するローラーの回転を制御することができるものである。すなわち,搬送制御部91は,例えば,給紙ローラー52を制御することにより,用紙収容部51から用紙Sを給紙経路55へと給紙することができる。また,例えば,搬送制御部91は,2段搬送ローラー71を制御することにより,給紙経路55に給紙された用紙Sを給紙経路55に沿って画像形成経路30へと搬送することができる。
また,搬送制御部91は,例えば,垂直搬送ユニット60等を制御することにより,用紙Sを画像形成経路30に沿って搬送することができる。また,搬送制御部91は,用紙検出センサー35の検出値によって用紙Sの位置を把握しているCPU90より,画像形成装置1内に搬送されている用紙Sの位置情報を受信することもできる。
未到達出力部92は,用紙Sの搬送不良が生じている場合に,これを検出して出力することができるものである。具体的に,本形態の未到達出力部92は,給紙とともに用紙Sの搬送が開始されてから予め定めた到達時間が経過するまでに,用紙検出センサー35によって用紙Sの到達が検出されない未到達状態であるとき,その未到達状態であることを出力する。また,本形態の未到達出力部92は,それぞれ異なる搬送経路上の位置を検出位置とする複数の用紙検出センサー35ごとに,未到達状態を出力することができる。さらに,本形態の未到達出力部92は,それぞれ異なる位置を検出位置とする複数の用紙検出センサー35ごとの未到達状態を,その未到達状態に係る用紙検出センサー35の検出位置の情報である未到達位置情報とともに出力することができるものである。
扉状態出力部93は,第1扉65,第2扉75のそれぞれの閉状態または開状態を検出して出力することができるものである。すなわち,扉状態出力部93は,例えば,第1扉65が閉状態から開状態となったとき,第1扉検出センサー66の検出値によって,第1扉65の開状態を検出して出力することができる。一方,第2扉75が閉状態から開状態となったとき,第2扉検出センサー76の検出値によって,第2扉75の開状態を検出して出力することができる。つまり,本形態の扉状態出力部93は,第1扉65および第2扉75のどちらが開状態であるかを出力することができる。すなわち,扉状態出力部93は,開状態を,その開状態である扉の位置の情報である開状態位置情報とともに出力することができるものである。
装置異常出力部94は,画像形成装置1における各機器が正常に動作してない異常状態であるとき,これを検出して出力することができるものである。例えば,第1搬送ローラー61を回転駆動するモーターが,その駆動信号が出力されているにもかかわらず動作していない場合に,そのモーターの異常状態を検出することができる。また,本形態の装置異常出力部94は,画像形成装置1におけるどの箇所が異常状態であるかについても出力することができる。つまり,画像形成装置1の異常状態を,その異常箇所情報とともに出力することができるものである。
また,エンジン部80は,画像形成装置1に含まれている各種ユニット84を制御するとともに,各種ユニット付属の不揮発性メモリ85の書き込みや読み出しを行う。各種ユニット84には例えば,トナーボトルやイメージングユニットなどが含まれる。また,各種ユニット付属の不揮発性メモリ85には,例えばトナーボトルに付属のメモリや,イメージングユニットに付属のメモリがある。そして,例えばトナーボトルに付属のメモリにはトナー残量など,イメージングユニットに付属のメモリには印刷枚数などが記憶されている。
また,コントローラー部81は,外部のパソコンなどに接続されて指示入力を受けるものである。例えば,画像形成指令をパソコンから受信することにより,画像形成装置1には画像形成ジョブが発生する。さらに,エンジン部80とコントローラー部81とで,ドットカウンタ値などの各種の情報がやりとりされる。
次に,本形態の画像形成装置1による,通常の画像形成動作の一例について簡単に説明する。以下の説明は,第2給紙カセット50に収容されている用紙Sに,4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラーモードにおける画像形成動作の一例である。
通常のカラー画像の形成時には,まず,中間転写ベルト21および各色の感光体11がそれぞれ,図1に矢印で示す向きに所定の周速度で回転される。そして,感光体11の外周面は,帯電装置12によりほぼ一様に帯電される。帯電された感光体11の外周面には,露光装置13によって画像データに応じた光が投射され,静電潜像が形成される。
続いて,静電潜像は現像装置14によって現像され,感光体11上にはトナー像が形成される。各色のトナー像は,感光体11と中間転写ベルト21とにより形成されている1次転写ニップにおいて,中間転写ベルト21上に転写(1次転写)される。すなわち,中間転写ベルト21上には,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像がこの順で重ね合わされる。
また,中間転写ベルト21に転写されず,1次転写ローラー15を過ぎた後も感光体11上に残留している転写残トナーは,感光体クリーナー16によって掻き取られ,感光体11上から除去される。そして,重ね合わされた4色のトナー像は,中間転写ベルト21の回転によって2次転写ニップN1に搬送される。
一方,第2給紙カセット50の用紙収容部51に収容されている用紙Sは,最上部のものから1枚ずつ,給紙ローラー52の給紙動作によって給紙経路55に引き出される。引き出された用紙Sは,給紙経路55,画像形成経路30に沿って2次転写ニップN1に搬送される。用紙Sの2次転写ニップN1への突入タイミングは,中間転写ベルト21上のトナー像の2次転写ニップN1への突入タイミングと一致するように,レジストローラー27により微調整される。これにより,2次転写ニップN1において,重ね合わされた4色のトナー像が用紙Sに転写(2次転写)される。
トナー像が転写された用紙Sは,さらに画像形成経路30の下流側へと搬送される。つまり,用紙Sは,定着装置28によってトナー像が定着された後,切替爪39によって排紙経路31へと搬送されて排紙部29に排出される。なお,2次転写ニップN1を通過した後も中間転写ベルト21上に残留する転写残トナーは,ベルトクリーナー26によって回収される。これにより,中間転写ベルト21上から除去される。
なお,両面印刷を行う場合,画像形成経路30を通過することにより第1面に画像が形成された用紙Sは,切替爪39によって両面搬送経路32に搬送される。これにより,用紙Sは搬送方向に対する表裏が反転される。さらに,両面搬送経路32を通過した用紙Sは再度,レジストローラー27より画像形成経路30に搬送される。これにより,用紙Sの第1面とは反対の第2面に画像を形成することができる。このようにして両面に画像が形成された用紙Sはその後,排紙部29へと排出される。
ここで,本形態の画像形成装置1では,用紙Sの給紙がなされてから,その用紙Sが排紙部29に排出されるまでの間に,用紙Sの搬送を停止することがある。具体的に,本形態の搬送制御部91は,未到達出力部92により未到達状態が出力されたとき,用紙Sの搬送を停止する。また,本形態の搬送制御部91は,扉状態出力部93により開状態が出力されたときにも,用紙Sの搬送を停止する。さらに,本形態の搬送制御部91は,装置異常出力部94により異常状態が出力されたときにも,用紙Sの搬送を停止する。
そして,用紙Sの搬送を停止したとき,その用紙Sの停止位置は,2段搬送ユニット70に重なっていることがある。例えば,先の用紙Sの定着装置28への張り付きによる未到達状態により,後の用紙Sの搬送をも停止する場合である。このような場合,後の用紙Sの先端が2段搬送ユニット70に突入後,その用紙Sの後端が2段搬送ユニット70を脱出するまでに用紙Sの搬送を停止する残留停止を行わなければならないことがある。
そして,残留停止の場合,本形態の画像形成装置1では,残留停止に係る用紙Sである残留用紙Sを,2段搬送ユニット70内に収めることができない。前述したように,搬送方向について,2段搬送ユニット70の長さは,用紙Sの用紙長よりも短いからである。つまり,残留停止を行う場合,残留用紙Sの先端側および後端側の少なくとも一方は,2段搬送ユニット70からはみ出すこととなる。
そこで,本形態の搬送制御部91は,残留停止である場合,残留用紙Sが図3に示す給紙2段位置Aと,残留用紙Sが図4に示す2段垂直位置Bとのいずれか一方の位置をとるようにする残留停止制御を行う。図3に示す給紙2段位置Aでは,残留用紙Sは,第2給紙カセット50および2段搬送ユニット70に跨っている。一方,図4に示す2段垂直位置Bでは,残留用紙Sは,2段搬送ユニット70および垂直搬送ユニット60に跨っている。
そして,図3に示す給紙2段位置Aでは,残留停止後,ユーザーは,垂直搬送ユニット60を,残留用紙Sが引っかかることなく円滑に引出位置まで引き出すことができる。また,図3に示す給紙2段位置Aでは,垂直搬送ユニット60が引出位置まで引き出されたときに,残留用紙Sが破けてしまうおそれがない。
一方,図4に示す2段垂直位置Bでは,残留停止後,ユーザーは,第2給紙カセット50を,残留用紙Sが引っかかることなく円滑に引出位置まで引き出すことができる。また,図4示す2段垂直位置Bでは,第2給紙カセット50が引出位置まで引き出されたときに,残留用紙Sが破けてしまうおそれがない。
ただし,図3に示す給紙2段位置Aでは,ユーザーが第2給紙カセット50を引出位置まで引き出したときに,残留用紙Sが破けてしまうおそれがある。また,図4に示す2段垂直位置Bでは,ユーザーが垂直搬送ユニット60を引出位置まで引き出したときに,残留用紙Sが破けてしまうおそれがある。このため,本形態の搬送制御部91は,残留停止制御では,第2給紙カセット50と垂直搬送ユニット60とのうち,引出位置をとる可能性が低いものに残留用紙Sが跨るようにする。
そのため,本形態の引出記憶部83には,図5に示す引出テーブルが記憶されている。引出テーブルには,図5に示すように,第2給紙カセット50の引出頻度値と,垂直搬送ユニット60の引出頻度値とが示されている。第2給紙カセット50の引出頻度値は,第2給紙カセット50が,残留停止中に引出位置まで引き出される頻度を指標する値である。垂直搬送ユニット60の引出頻度値は,垂直搬送ユニット60が,残留停止中に引出位置まで引き出される頻度を指標する値である。
また,図5に示す引出テーブルには,第2給紙カセット50の引出頻度値は,垂直搬送ユニット60の引出頻度値よりも高いものとして予め記憶されている。第2給紙カセット50は,第2給紙カセット50への用紙Sを補充する際にも引き出されるものである。これに対し,垂直搬送ユニット60は,用紙Sのジャム等のトラブルが生じない限り,普段,引き出す必要のないものである。つまり,ユーザーは,普段から引き出しを頻繁に行っている第2給紙カセット50を,残留停止中にも,垂直搬送ユニット60よりも引き出す可能性が高いと考えられる。このため,本形態の引出テーブルにおいては,第2給紙カセット50の引出頻度値が,垂直搬送ユニット60の引出頻度値よりも高いものとされている。
そして,本形態の搬送制御部91は,残留停止制御では,まず,引出記憶部83に記憶されている引出テーブルを参照する。そして,残留用紙Sが,引出テーブルに示されている引出頻度値が高い方に跨らず,低い方に跨るようにする。具体的に,図5の引出テーブルにおいては,垂直搬送ユニット60の引出頻度値が,第2給紙カセット50の引出頻度値よりも低いため,残留用紙Sが垂直搬送ユニット60に跨るようにする。すなわち,図5の引出テーブルにおいては,図4に示す2段垂直位置Bを,残留用紙Sを停止させる残留位置として定める。
次に,図6のフローチャートにより,本形態に係る残留停止時における処理手順について説明する。まず,画像形成装置1において画像形成のジョブが発生した場合,搬送制御部91は,用紙Sの給紙および搬送を開始する(S101)。
例えば,画像形成ジョブが第2給紙カセット50に係る用紙Sの第1面に画像形成を行うものである場合,用紙収容部51に収容されている用紙Sの給紙経路55への給紙を行い,給紙した用紙Sを給紙経路55に沿って搬送する。また,給紙経路55を搬送された用紙Sを,画像形成経路30に沿って搬送する。そして,画像形成経路30を搬送された用紙Sは,2次転写ニップN1においてトナー像が転写され,定着装置28においてトナー像が定着される。そして,トナー像の定着によって画像形成がなされた用紙Sは,排紙部29へと排紙される。
また,用紙Sの給紙および搬送の開始(S101)後,搬送制御部91は,用紙Sの搬送を停止させる停止要因が発生したか否かを判定する(S102)。停止要因としては,前述したように,用紙Sの未到達状態,第1扉65や第2扉75の開状態,装置に異常状態などが考えられる。なお,これらの停止要因が発生した場合には,未到達出力部92,扉状態出力部93,装置異常出力部94によって停止要因が発生したことが出力される。よって,その出力により,搬送制御部91は停止要因が発生したか否かを判定することができる。
停止要因が発生していない場合には(S102:NO),画像形成の終了に伴い,搬送を終了させるか否かを判定する(S103)。画像形成の終了でなく,搬送を継続する場合(S103:NO),再度,停止要因が発生したか否かを判定する(S102)。そして,画像形成の終了に伴い,搬送を終了する場合には,図6のフローを終了する。すなわち,停止要因が発生したか否かを監視しつつ(S102),画像形成が終了するまで,画像形成に伴う搬送を行う(S103)。
そして,用紙Sの搬送中に停止要因が発生した場合(S102:YES),搬送制御部91は,その停止要因による停止が,残留停止であるか否かを判定する(S104)。すなわち,用紙Sの先端が2段搬送ユニット70に突入後,その用紙Sの後端が2段搬送ユニット70を脱出するまでに用紙Sの搬送を停止する必要があるかを判定する。さらに,残留停止である場合(S104:YES),残留停止制御を行う(S105)。
残留停止制御では,搬送制御部91は,まず,引出記憶部83の引出テーブルを参照し,第2給紙カセット50の引出頻度値と垂直搬送ユニット60の引出頻度値とを比較する。図5の引出テーブルにおいては,垂直搬送ユニット60の引出頻度値が第2給紙カセット50の引出頻度値よりも低いため,残留用紙Sを停止させる残留位置を2段垂直位置B(図4)に定める。そして,定めた2段垂直位置Bに残留用紙Sを停止させる。これにより,残留停止中に引出頻度の高い第2給紙カセット50がユーザーによって引き出されたときにも,残留用紙Sが破けてしまうことを回避することができる。これにより,残留用紙Sが破けて除去が困難になってしまうことを回避することができる。すなわち,搬送経路の途中で停止した残留用紙Sを,ユーザーが容易に除去することができる。そして,残留停止制御の実行後,図6のフローを終了する。
一方,残留停止でない場合には(S104:NO),残留停止制御を行わずに,図6のフローを終了する。残留用紙Sが存在しない場合,第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60のどちらが引き出された場合であっても,2段搬送ユニット70の位置で残留用紙Sが破けてしまうおそれがないからである。
なお,図5の引出テーブルは,垂直搬送ユニット60の引出頻度値が,第2給紙カセット50の引出頻度値よりも低いものである。しかし,例えば,装置構成やユーザー等によっては,残留停止中における引き出しの頻度について,垂直搬送ユニット60の方が第2給紙カセット50よりも高いこともある。このような場合,当然,引出記憶部83には,図5とは逆に,第2給紙カセット50の引出頻度値が,垂直搬送ユニット60の引出頻度値よりも低い引出テーブルを,記憶させておけばよい。そして,搬送制御部91は,残留停止制御では,第2給紙カセット50の引出頻度値が垂直搬送ユニット60の引出頻度値よりも低いため,残留用紙Sを停止させる残留位置を給紙2段位置A(図3)に定める。そして,定めた給紙2段位置Aに残留用紙Sを停止させる。これにより,残留停止中に垂直搬送ユニット60が引き出される傾向にある場合,残留用紙Sが破けて除去が困難になってしまうことを回避することができる。
また,上記では,搬送方向について,2段搬送ユニット70の長さが用紙Sの用紙長よりも短いものとして説明している。しかし,2段搬送ユニット70の長さが用紙Sの用紙長よりも長い場合であっても,用紙Sの停止精度が低い場合には,本発明の効果が十分に発揮される。具体的には,搬送方向について,2段搬送ユニット70の長さが,用紙Sの用紙長に,搬送中の用紙Sを停止させる目標の目標停止位置と実際に用紙Sが停止する位置である真停止位置との差を加えた長さである用紙停止長よりも短い場合である。この場合には,残留停止時に,残留用紙Sを2段搬送ユニット70内に適切に収めることができないおそれがあるからである。
[第2の形態]
次に,第2の形態について説明する。本形態では,第2給紙カセット50の用紙収容部51に,用紙長の異なる複数種の用紙Sを収容することができる場合について説明する。具体的に,本形態の用紙収容部51は,2段搬送ユニット70よりも用紙長の長い用紙S,2段搬送ユニット70よりも用紙長の短い用紙Sのいずれの用紙Sについても収容することのできるものである。用紙収容部51が用紙長の異なる複数種の用紙Sを収容することができること以外,画像形成装置1の概略構成は,本形態においても,図1に示す第1の形態と同様である。
図7に,本形態の画像形成装置1の制御構成の概略を示す。図7に示すように,本形態の画像形成装置1は,エンジン部180のCPU190に,第1の形態と異なり,用紙長出力部191を有している。用紙長出力部191は,第2給紙カセット50の用紙収容部51に収容されている用紙Sの用紙長を出力することができるものである。
なお,用紙収容部51に収容されている用紙Sの用紙長については,用紙収容部51に,収容されている用紙Sの用紙長を検出するセンサーを設けておくことにより,取得することができる。あるいは,画像形成装置1に,ユーザーが,用紙収容部51に収容されている用紙Sの用紙長について入力する入力部を設けておくことにより,用紙収容部51に収容されている用紙Sの用紙長を取得することも可能である。
次に,図8のフローチャートにより,本形態に係る残留停止時における処理手順について説明する。なお,図8においても,ステップS204までについては,第1の形態に係る図6のものと同じである。すなわち,画像形成のジョブが発生した場合,搬送制御部91は,用紙Sの給紙および搬送を開始後(S201),停止要因が発生したか否かを監視しつつ(S202),画像形成が終了するまで,画像形成に伴う搬送を行う(S203)。また,用紙Sの搬送中に停止要因が発生した場合(S202:YES),搬送制御部91は,その停止要因による停止が,残留停止であるか否かを判定する(S204)。
そして,残留停止である場合(S204:YES),残留用紙Sの用紙長が,2段搬送ユニット70の搬送方向の長さよりも長いか否かを判定する(S205)。残留用紙Sの用紙長は,用紙長出力部191からの出力によって取得することができる。残留用紙Sの用紙長が2段搬送ユニット70よりも長い場合(S205:YES),残留停止制御を行う(S206)。残留停止制御そのものについては,本形態においても,第1の形態と同様である。よって,残留停止制御により,ユーザーは,残留停止に係る残留用紙Sを,破くことなく容易に除去することができる。
一方,残留用紙Sの用紙長が2段搬送ユニット70よりも短い場合(S205:NO),本形態の搬送制御部91は,内部停止制御を行う(S207)。本形態の搬送制御部91は,内部停止制御では,残留用紙Sを2段搬送ユニット70内に収まる位置で停止させる。よって,本形態では,内部停止制御によって,残留停止中に,第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60のいずれが引き出されたときにも,残留用紙Sが破かれることがないようにできる。よって,ユーザーは,残留停止に係る残留用紙Sを,破くことなく容易に除去することができる。
なお,残留停止でない場合には(S204:NO),本形態においても,残留停止制御を行わずに,図8のフローを終了する。
また,上記では,残留用紙Sの用紙長が2段搬送ユニット70よりも長い場合に残留停止制御を,残留用紙Sの用紙長が2段搬送ユニット70よりも短い場合に内部停止制御を行うものとして説明している。しかし,2段搬送ユニット70の長さが残留用紙Sの用紙長よりも長い場合であっても,残留用紙Sの停止精度が低い場合には,残留停止制御を行うこととすることが好ましい。残留用紙Sの停止精度が低い場合には,内部停止制御を行ったときに,2段搬送ユニット70から残留用紙Sがはみ出してしまうおそれがあるからである。そこで,CPU190の用紙長出力部191に替えて,用紙Sの用紙長に,搬送中の用紙Sを停止させる目標の目標停止位置と実際に用紙Sが停止する位置である真停止位置との差を加えた長さである用紙停止長を出力する用紙停止長出力部を設けておけばよい。そして,ステップS205において,残留用紙Sの用紙長に替えて,用紙停止長出力部が出力する残留用紙Sの用紙停止長を用いればよい。これにより,内部停止制御では,確実に,残留用紙Sを2段搬送ユニット70内に収めることができる。
[第3の形態]
次に,第3の形態について説明する。本形態では,ユーザーによる画像形成装置1の使用とともに,引出テーブルをユーザーの使用態様に適したものへと変化させる。引出テーブルをユーザーの使用態様に適したものへと変化させること以外,画像形成装置1の概略構成は,本形態においても,図1に示す第1の形態と同様である。
図9に,本形態の画像形成装置1の制御構成の概略を示す。図9に示すように,本形態の画像形成装置1は,エンジン部280のCPU290に,上記の形態と異なり,引出カウント部291を有している。引出カウント部291は,残留停止であると判定されてから,用紙Sの搬送が再開されるまでの残留停止中に,第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60が引出位置をとった引出回数をそれぞれカウントするものである。
次に,図10のフローチャートにより,本形態に係る残留停止時における処理手順について説明する。なお,図10においても,ステップS304までについては,第1の形態に係る図6のものと同じである。すなわち,画像形成のジョブが発生した場合,搬送制御部91は,用紙Sの給紙および搬送を開始後(S301),停止要因が発生したか否かを監視しつつ(S302),画像形成が終了するまで,画像形成に伴う搬送を行う(S303)。また,用紙Sの搬送中に停止要因が発生した場合(S302:YES),搬送制御部91は,その停止要因による停止が,残留停止であるか否かを判定する(S304)。
そして,残留停止である場合(S304:YES),引出カウント部291は,引出回数のカウントを開始する(S305)。すなわち,引出カウント部291は,残留停止であると判定されてから,用紙Sの搬送が再開されるまでの残留停止の間,第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60が引出位置をとった引出回数をそれぞれカウントする。また,残留停止である場合(S304:YES),残留停止制御を行う(S306)。残留停止制御そのものについては,本形態においても,第1の形態と同様である。よって,残留停止制御により,ユーザーは,残留停止に係る残留用紙Sを,破くことなく容易に除去することができる。
そして,残留停止後,用紙Sの搬送が再開されたときに,引出カウント部291は,残留停止中にカウントした引出回数のカウント値の記録を行う(S307)。具体的には,残留停止中の第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60の引出回数のカウント値をそれぞれ,引出記憶部83の引出テーブルの引出頻度値に積算する。
これにより,引出テーブルの第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60の引出頻度値はそれぞれ,ユーザーが残留停止中に引き出す頻度が高いほど,高い値となってゆく。よって,引出テーブルをユーザーの使用態様に適したものへと変化させることができる。従って,画像形成装置1では,残留停止中に,残留停止制御に係る残留用紙Sが,ユーザーの第2給紙カセット50または垂直搬送ユニット60の引き出しによって破れてしまうことを抑制することができる。つまり,残留用紙Sが破れてしまうことを抑制することができるため,ユーザーは残留用紙Sの除去を容易に行うことができる。
[変形例]
また,上記のいずれかの実施形態において,引出記憶部83は,残留停止に係る停止要因ごとに引出テーブルを有していることが好ましい。具体的には,引出記憶部83は,複数の用紙検出センサー35の検出位置ごとに,対応する複数の引出テーブルを有していることが好ましい。そして,搬送制御部91は,残留停止制御では,未到達出力部92が未到達状態とともに出力した未到達位置情報に対応する引出テーブルを参照し,残留用紙Sを停止させる残留位置を決定することが好ましい。
残留停止中における第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60のユーザーによる引き出しの頻度には,残留停止の要因となった未到達状態に係る用紙検出センサー35の検出位置によって偏りがあることがある。例えば,第2給紙カセット50に最も近い用紙検出センサー35に係る未到達状態の検出によって残留停止が生じた場合,ユーザーは,垂直搬送ユニット60よりも第2給紙カセット50の方を引き出す傾向にあることがある。一方で,垂直搬送ユニット60の内部に設けられた用紙検出センサー35に係る未到達状態の検出によって残留停止が生じた場合,ユーザーは,第2給紙カセット50よりも垂直搬送ユニット60の方を引き出す傾向にあることがある。そして,残留用紙Sの残留位置を,残留停止の要因となった未到達状態に係る用紙検出センサー35の検出位置ごとに,給紙2段位置A(図3)または2段垂直位置B(図4)に定めることにより,残留用紙Sの破れをより抑制することができるからである。
また,引出記憶部83は,第1扉65,第2扉75ごとに対応する2つの引出テーブルを有していることが好ましい。そして,搬送制御部91は,残留停止制御では,扉状態出力部93が開状態とともに出力した開状態位置情報に対応する引出テーブルを参照し,残留用紙Sを停止させる残留位置を決定することが好ましい。
残留停止中における第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60のユーザーによる引き出しの頻度には,残留停止の要因となった開状態に係る第1扉65および第2扉75によって偏りがあることがある。例えば,第2扉75の開状態の検出によって残留停止が生じた場合,ユーザーは,垂直搬送ユニット60よりも第2給紙カセット50を引き出す傾向にあることがある。一方で,第1扉65の開状態の検出によって残留停止が生じた場合,ユーザーは,第2給紙カセット50よりも垂直搬送ユニット60を引き出す傾向にあることがある。そして,残留用紙Sの残留位置を,残留停止の要因となった開状態に係る扉の位置ごとに,給紙2段位置A(図3)または2段垂直位置B(図4)に定めることができることにより,残留用紙Sの破れをより抑制することができるからである。
また,引出記憶部83は,画像形成装置1における各機器の箇所ごとに対応する複数の引出テーブルを有していることが好ましい。そして,搬送制御部91は,残留停止制御では,装置異常出力部94が異常状態とともに出力した異常箇所情報に対応する引出テーブルを参照し,残留用紙Sを停止させる残留位置を決定することが好ましい。
残留停止中における第2給紙カセット50および垂直搬送ユニット60のユーザーによる引き出しの頻度には,残留停止の要因となった異常状態に係る画像形成装置1における各機器の箇所によって偏りがあることがある。例えば,第2給紙カセット50の給紙ローラー52を駆動するモーターの故障によって残留停止が生じた場合,ユーザーは,垂直搬送ユニット60よりも第2給紙カセット50を引き出す傾向にあることがある。一方で,垂直搬送ユニット60の第1搬送ローラー61を駆動するモーターの故障によって残留停止が生じた場合,ユーザーは,第2給紙カセット50よりも垂直搬送ユニット60を引き出す傾向にあることがある。そして,残留用紙Sの残留位置を,残留停止の要因となった異常状態に係る各機器の箇所ごとに,給紙2段位置A(図3)または2段垂直位置B(図4)に定めることができることにより,残留用紙Sの破れをより抑制することができるからである。
なお,第3の形態に係る引出記憶部83が用紙検出センサー35の検出位置ごとに引出テーブルを有する場合,引出カウント部291は,残留停止中のカウント値を,残留停止制御にて参照された未到達位置情報に対応する引出テーブルに記憶させればよい。また,第3の形態に係る引出記憶部83が扉の位置ごとに引出テーブルを有する場合,引出カウント部291は,残留停止中のカウント値を,残留停止制御にて参照された開状態位置情報に対応する引出テーブルに記憶させればよい。また,第3の形態に係る引出記憶部83が各機器の箇所ごとに引出テーブルを有する場合,引出カウント部291は,残留停止中のカウント値を,残留停止制御にて参照された異常箇所情報に対応する引出テーブルに記憶させればよい。
以上詳細に説明したように上記の実施形態に係る画像形成装置は,第2給紙カセット,2段搬送ユニット,垂直搬送ユニットを有している。第2給紙カセット,2段搬送ユニット,垂直搬送ユニットはいずれも,用紙収容部および複数の搬送ローラーのうちの少なくとも1つにより構成されている。さらに,第2給紙カセット,2段搬送ユニット,垂直搬送ユニットは,搬送経路に沿って,用紙の搬送方向の上流から下流に向けて連続して設けられている。加えて,第2給紙カセット,2段搬送ユニット,垂直搬送ユニットはいずれも,搬送可能位置と,引出位置とをとることができる。そして,搬送制御部は,用紙の搬送を停止したときに残留シートが存在する残留停止であると判定したときには,残留停止制御を行う。これにより,搬送経路の途中で停止したシートを,ユーザーが容易に除去することのできるシート搬送装置および画像形成装置が実現されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,上記の実施形態では,第2給紙カセット,2段搬送ユニット,垂直搬送ユニットについて説明したが,必ずしも用紙を収容するユニットが含まれている必要はない。すなわち,搬送ローラーなどの搬送部のみからなる第1から第3のユニットについて適用することもできる。なお,用紙を搬送する搬送部としては,搬送ローラーの他,搬送ベルト等であってもよい。
また例えば,上記の実施形態では,第2給紙カセット,2段搬送ユニット,垂直搬送ユニットのいずれもが搬送可能位置と引出位置とをとることができるものとして説明したが,必ずしもこの限りではない。すなわち,例えば,2段搬送ユニットは引き出すことのできない固定のユニットであってもよい。また例えば,垂直搬送ユニットが引き出すことのできない固定のユニットであってもよい。すなわち,搬送経路に沿って連続する3つのユニットのうち,少なくとも2つのユニットが引き出すことのできるものであれば適用することができる。なお,搬送経路に沿って連続する3つのユニットのうち,連続する2つのユニットが引き出すことのできるものである場合,残留停止制御では,残留シートの残留位置を,中間のユニットと引き出すことのできないユニットとに跨るように定めればよい。
また例えば,搬送経路に沿って連続する3つのユニットのうち,中間のユニットのみが引き出すことのできるものであり,両端のユニットについてそれぞれ扉が設けられている構成の場合,その扉が開状態とされる頻度によって,残留位置を定めることもできる。例えば,残留停止時に,連続する3つのユニットの搬送方向の下流端のユニットの扉が開状態とされる頻度が,上流端のユニットの扉が開状態とされる頻度よりも高い場合,中間のユニットと下流端のユニットとに跨るように残留位置を定めることが好ましい。これにより,残留停止時に下流端のユニットの扉を開状態としたユーザーに,残留用紙の存在を認知させ,その残留用紙を除去させることができるからである。これにより,その残留用紙の除去後,中間のユニットが引き出されたとしても,その引き出し時に残留用紙が破れてしまうことを抑制することができるからである。すなわち,本発明の構成は,連続する3つのユニットのうち,少なくとも1つが引き出すことのできる構成であってもよい。
また本発明は,カラープリンターに限らず,例えば,モノクロプリンターや公衆回線経由で印刷ジョブの送受信を行うような画像形成装置にも適用可能である。