JP6544787B2 - 揚げ物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クリームコロッケ等の揚げ物の製造方法に関し、特に、油で揚げる際にパンク(破裂)のしにくい揚げ物の製造方法に関するものである。
従来、クリームコロッケ等の揚げ物を油で揚げる際、衣がパンクしてしまう現象が知られている。このパンク現象は、具材中に含まれている水分が加熱により気化して膨張することが原因と考えられている。このため、クリームコロッケ等のように、具材の水分量が多い揚げ物においては、パンク現象が頻繁に起こりやすいという問題がある。
上記のようなパンク現象を抑える技術として、例えば、特開2008−154578号公報には、ホワイトソース具材中に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースを1.0〜5.0質量%含有するクリームコロッケが開示されている(特許文献1)。
特開2008−154578号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルセルロースを単にホワイトソース具材に含有させることのみが提案されているに過ぎない。このため、上記材料を単に添加しただけでは、パンク現象を安定して抑えられるわけではなく、実際に製品として流通させるのに必要な信頼性を備えた製造方法が記載されていない。特に、最近ではコンビニエンスストアの店内において揚げ物が揚げられるようになり、パンク現象が生じると、商品として提供できず廃棄処分せざるを得ない。よって、パンク現象をより高い確率で抑制できる製造方法が求められている。
また、特許文献1では、従来、パンク現象を防止するものとして知られているメチルセルロースを使用した場合、フライ後の具材が著しくゲル化し、クリーミー感が全く感じられないとされている(比較例1〜2,段落[0041])。このため、メチルセルロースを用いても、具材がゲル化することがなくクリーミー感を損なわない揚げ物の製造方法がが切望されていた。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはメチルセルロースを用いても具材のクリーミー感を損なうことがなく、製品化に適した信頼性でパンク現象を安定的に抑制することができる揚げ物の製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係る揚げ物の製造方法は、下記(1)または(2)の工程を有する;
(1)油脂に澱粉とヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはメチルセルロースとを混合させてなる揚げ物用組成物を、前記澱粉と前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/または前記メチルセルロースとが前記油脂に全て分散する温度まで加熱した後に、前記揚げ物用組成物を具材に添加する工程、
(2)所定の液体にヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはメチルセルロースを分散させてなる揚げ物用組成物を、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/または前記メチルセルロースの溶解温度以下に冷却した後に、前記具材に添加する工程。
また、本発明の一態様として、前記揚げ物用組成物を加熱する温度が60℃以上であってもよい。
さらに、本発明の一態様として、前記具材に対する前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/または前記メチルセルロースの含有量が0.5〜1.0質量%であってもよい。
また、本発明の一態様として、前記具材に対する前記澱粉の含有量が2.0〜8.0質量%であってもよい。
さらに、本発明の一態様として、前記液体に対する前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/または前記メチルセルロースの含有量が1.0〜6.0質量%であってもよい。
本発明によれば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはメチルセルロースを用いても具材のクリーミー感を損なうことがなく、製品化に適した信頼性でパンク現象を安定的に抑制することができる。
本発明に係る揚げ物の製造方法の第1実施形態を示すフローチャートである。 本発明に係る揚げ物の製造方法の第2実施形態を示すフローチャートである。 実施例1における配合および実験結果を示す表である。 実施例2における配合および実験結果を示す表である。 実施例3における配合および実験結果を示す表である。 実施例4における配合および実験結果を示す表である。
以下、本発明に係る揚げ物の製造方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
なお、本発明において、「揚げ物」とは、クリームコロッケのように、水分量が多く、パンク現象の起りやすい具材を衣で包み込み、油で揚げる全ての食品を含む概念である。具体的には、例えば、クリームコロッケの他、チーズフォンデュサンドコロッケやその他のコロッケ、春巻、揚げ餃子、メンチカツ、カレーパン、シチューパン、ピロシキ等を挙げることができる。
本第1実施形態における揚げ物の製造方法は、クリームコロッケの製造方法に適用したものであり、図1に示すように、揚げ物の具材を製造する具材製造工程(ステップS1)と、揚げ物用組成物を製造する揚げ物用組成物製造工程(ステップS2)と、揚げ物用組成物を加熱する揚げ物用組成物加熱工程(ステップS3)と、揚げ物用組成物を具材に添加する揚げ物用組成物添加工程(ステップS4)と、揚げ物用組成物を添加した具材を撹拌しながら加熱する撹拌・加熱工程(ステップS5)と、撹拌・加熱した具材を冷却する具材冷却工程(ステップS6)と、具材に衣を付ける衣づけ工程(ステップS7)とを有している。以下、各工程について説明する。
具材製造工程(ステップS1)は、揚げ物の具材を製造する工程である。本第1実施形態では、まず、ショートニングや無塩バターによって玉葱等の具を炒めた後、砂糖や食塩等の調味料を投入して撹拌する。そして、牛乳、水およびゼラチン等を投入し、所定温度まで加熱することによりクリームコロッケの具材が製造される。
揚げ物用組成物製造工程(ステップS2)は、揚げ物用組成物を製造する工程である。本発明に係る揚げ物用組成物は、揚げ物に添加されることによって、揚げ物のパンク現象を防止する役割を果たすものである。本第1実施形態において、揚げ物用組成物は、油脂に澱粉とヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはメチルセルロースとを混合させることで製造される。
本発明において、油脂は、食用に使用できるものであれば特に制限されるものではなく、硬化油脂、乳脂、植物油脂、動物油脂あるいはこれらの分別油脂、エステル交換油脂等の中から一種あるいは二種以上を併用して用いることができる。硬化油脂としては、ショートニングやマーガリンを挙げることができる。乳脂としては、バターやギーを挙げることができる。植物油脂としては、コーン油、綿実油、ヤシ油、パーム油、大豆油、ゴマ油、こめ油、サフラワー油、落花生油、菜種油、ひまわり油、カカオ脂、オリーブ油及びパーム核油、植物性ステロール、植物性スタノール、ステロールエステル、中鎖脂肪酸等を挙げることができる。また、動物油脂としては、豚脂、牛脂、鶏油、魚油、獣脂等を挙げることができる。
本発明において、澱粉は、食用に使用できるものであれば特に制限されるものではなく、小麦粉等の小麦由来の澱粉、ワキシーコーンスターチやコーンスターチ等のトウモロコシ由来の澱粉、タピオカ澱粉、サツマイモ由来の澱粉、ジャガイモ由来の澱粉、サゴヤシ由来の澱粉等やそれらの加工澱粉などを適宜選択して使用することができる。
本発明において、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、「HPMC」という)およびメチルセルロース(以下、「MC」という)は、揚げ物を油で揚げる際のパンク現象を抑制する役割を果たすものである。HPMCまたはMCは、その溶液をある粘度以上に加熱するとゲル化する一方、冷却すると元の溶液の状態に戻るという可逆的熱ゲル化性を有している。
なお、HPMCは、セルロースのヒドロキシ基をメトキシル基(−OCH)およびヒドロキシプロポキシル基(−OCHCH(OH)CH)で置換して得られる食品添加物である。また、MCは、セルロースのヒドロキシ基をメトキシル基(−OCH)で置換して得られる食品添加物である。HPMCおよびMCは市販のものを使用することができ、例えば、信越化学工業株式会社製のメトローズ(登録商標)等を挙げることができる。
また、本第1実施形態において、揚げ物用組成物の配合は、後述する実施例3の結果より、具材に対するHPMCおよび/またはMCの含有量は0.5〜1.0質量%であることが好ましく、0.7質量%であることがより好ましい。また、後述する実施例4の結果より、具材に対する澱粉の含有量は、2.0〜8.0質量%であることが好ましい。
揚げ物用組成物加熱工程(ステップS3)は、ステップS2で製造した揚げ物用組成物を所定の温度に達するまで加熱する工程である。本発明において、揚げ物用組成物を加熱する温度は、澱粉とHPMCおよび/またはMCとが油脂に全て分散する温度である。具体的には、後述する実施例2の結果より、揚げ物用組成物を加熱する温度は60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。
揚げ物用組成物添加工程(ステップS4)は、ステップS1で製造した具材に対して、ステップS3で加熱した揚げ物用組成物を添加する工程である。本第1実施形態では、ダマの発生を防止するため、ステップS1で製造した具材の温度が50℃以下であるとき、揚げ物用組成物を投入している。また、このときの揚げ物用組成物の温度は、具材の温度以上であることが好ましい。
撹拌・加熱工程(ステップS5)は、揚げ物用組成物を添加した具材を撹拌しながら加熱する工程である。本第1実施形態では、揚げ物用組成物を添加した具材を80℃以上に達するまで撹拌・加熱することにより、揚げ物用組成物が具材中に均等に分散するようになっている。
具材冷却工程(ステップS6)は、撹拌・加熱した具材を冷却する工程である。本第1実施形態では、冷蔵庫にて具材を18℃以下まで冷却することにより、具材の成型性を高めている。このため、具材を簡単に所望の形状(俵型等)に整えることが可能となっている。
衣付け工程(ステップS7)は、具材に衣を付ける工程である。本第1実施形態では、所望の形状に成型された具材に対して、小麦粉、溶き卵、パン粉の順番で衣付けすることにより、油で揚げる前の揚げ物が製造される。
以上のような製造方法により製造された揚げ物を油で揚げた場合、具材中のHPMCおよび/またはMCが、油で加熱された具材をゲル化し、パンクや変形等を安定的に抑制する。また、パンク現象の抑制機能を確保していながら、具材中のHPMCおよび/またはMCの添加量が低く抑えられているため、具材のクリーミー感を損なうことがなく、良好な食感を感じさせる。
また、一般的に、クリームコロッケ等では、ルー(小麦粉を油脂で炒めたもの)によって粘度が付されたベシャメルソースが用いられている。このため、本第1実施形態の揚げ物の製造方法は、通常の揚げ物の製造工程に簡単に組み込むことが可能である。すなわち、別途、新たな設備等を導入する必要が無く、コスト的な負担が少ないというメリットがある。
以上のような本第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.HPMCおよび/またはMCを用いても具材のクリーミー感を損なうことがなく、製品化に適した信頼性でパンク現象を安定的に抑制することができる。
2.HPMCおよび/またはMCの添加量を低減し、揚げ物の原価を低く抑えることができる。
3.ダマの発生を防止し、生産ラインにおける歩留まりを向上することができる。
4.新たな設備投資が不要で、低コストで導入することができる。
5.特に、ベシャメルソースを含有するタイプの揚げ物を容易に製造することができる。
つぎに、本発明に係る揚げ物の製造方法の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態のうち、上述した第1実施形態の構成やステップと同一若しくは相当する構成やステップについては、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
本第2実施形態の特徴は、液状タイプの揚げ物用組成物を使用する点にある。
本第2実施形態における揚げ物の製造方法は、ビーフシチューコロッケの製造方法に適用したものであり、図2に示すように、揚げ物の具材を製造する具材製造工程(ステップS1)と、揚げ物用組成物を製造する揚げ物用組成物製造工程(ステップS12)と、揚げ物用組成物を冷却する揚げ物用組成物冷却工程(ステップS13)と、揚げ物用組成物を具材に添加する揚げ物用組成物添加工程(ステップS4)と、揚げ物用組成物を添加した具材を撹拌しながら加熱する撹拌・加熱工程(ステップS5)と、撹拌・加熱した具材を冷却する具材冷却工程(ステップS6)と、具材に衣を付ける衣づけ工程(ステップS7)とを有している。
すなわち、本第2実施形態における揚げ物の製造方法は、揚げ物用組成物製造工程(ステップS12)および揚げ物用組成物冷却工程(ステップS13)においてのみ、第1実施形態と異なるため、これら各工程について説明する。
揚げ物用組成物製造工程(ステップS12)は、液状タイプの揚げ物用組成物を製造する工程である。具体的には、所定の液体にHPMCおよび/またはMCを分散させることにより揚げ物用組成物を製造する。本第2実施形態では、50℃以上の温水に対して、HPMCおよび/またはMCの含有量が1.0〜6.0質量%の範囲内となるように添加し、高速撹拌機を用いて高速撹拌する。これにより、HPMCおよび/またはMCが、水に対して均一かつ容易に分散された液状タイプの揚げ物用組成物が製造される。
なお、上記のように、HPMCおよび/またはMCの含有量が1.0質量%以上であれば、揚げ物用組成物の添加量が少なくても所定の粘度が得られるため、揚げ物の仕上がりが水っぽくなることが防止される。一方、HPMCおよび/またはMCの含有量が6.0質量%以下であれば、粘度が高くなり過ぎることがないため、撹拌による加熱によって混ざり難くなることが防止される。
また、本第2実施形態では、HPMCおよび/またはMCを分散させる液体として、食味や外観への影響が少ない水を使用しているが、液糖、水飴、油等の液体を使用してもよい。さらに、本第2実施形態では、水を50℃以上にすることで分散し易くするとともに、高速撹拌によってダマの発生を防止するとともに均一に分散させているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、50℃以上の温水または高速撹拌のいずれか一方のみでも、HPMCおよび/またはMCを液体に分散させることができる。
揚げ物用組成物冷却工程(ステップS13)は、ステップS12で製造した液状タイプの揚げ物用組成物を所定の温度以下に冷却する工程である。本発明において、揚げ物用組成物を冷却する温度は、HPMCおよび/またはMCの溶解温度以下であり、具体的には、13℃前後以下である。これにより、揚げ物用組成物中のHPMCおよび/またはMCが、パンク現象の抑制効果を発揮する溶解状態となる。
また、一般的に、ビーフシチューコロッケや春巻き等のような包餡タイプの揚げ物では、水で溶いた澱粉や小麦粉によってビーフシチューや中華餡に粘度が付されている。このため、本第2実施形態の揚げ物の製造方法は、液状タイプの揚げ物用組成物を添加するだけでよいため、包餡タイプの揚げ物の製造に好適である。
以上のような本第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の作用効果に加えて、以下のような効果を奏する。
1.液状タイプの揚げ物用組成物を添加するだけで、簡単に揚げ物のパンク現象を抑制することができる。
2.特に、包餡タイプの揚げ物を容易に製造することができる。
本実施例1では、本発明に係る揚げ物用組成物の組成を特定する実験を行った。具体的には、所定の具材に対して、組成が異なる複数の揚げ物用組成物を添加し、上述した第1実施形態の製造方法に従って、様々な組成のクリームコロッケを製造した。そして、各クリームコロッケを同様の条件下において油で揚げた後、クリーミー感等の食味評価を行った。
(1)具材の調製
本実施例1では、まず、下記の配合割合で構成されるクリームコロッケの具材を製造した。具体的には、ショートニングによって玉葱を炒めた後、上白糖、食塩および調味料を投入して撹拌した。そして、牛乳、水およびゼラチンを投入し、所定温度まで加熱した。
[具材の配合]
ショートニング: 1.5質量%
玉ねぎ :15.0質量%
上白糖 : 2.0質量%
食塩 : 0.5質量%
調味料 : 1.0質量%
牛乳 :30.0質量%
水 :36.6質量%
ゼラチン : 1.2質量%
(2)揚げ物用組成物の調製
つぎに、図3に示す配合割合で構成される揚げ物用組成物を製造した。具体的には、試作ナンバー1の揚げ物用組成物としては、上記具材に対する各組成の含有量を以下のように調製した。また、試作ナンバー2では、HPMCに代えてMCを0.7質量%添加し、試作ナンバー3では、HPMCに代えてカルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」という)を0.7質量%添加し、試作ナンバー4では、HPMC、MCおよびCMCのいずれも添加しなかった。
[揚げ物用組成物の配合]
ショートニング :4.0質量%
植物油脂 :1.5質量%
小麦粉 :6.0質量%
HPMC/MC/CMC:0.7質量%
(3)クリームコロッケの製造
試作ナンバー1〜4の揚げ物用組成物を80℃以上に達するまで加熱した後、具材に添加し、撹拌しながら加熱した。そして、冷蔵庫で18℃以下に冷却した後、俵型に成型して衣付けを行い、上記4種類のクリームコロッケをそれぞれ8個ずつ製造した。本実施例1では、これらのクリームコロッケを油量が12リットルのガスフライヤーに投入し、約180℃の油で約7分間加熱した。
(4)パンク率および食味評価
上記により製造された各クリームコロッケのパンク率および食味評価を行った。その結果、図3に示すように、CMCを混合した揚げ物用組成物や、HPMC、MCおよびCMCのいずれも混合していない揚げ物用組成物(試作ナンバー3,4)を用いたクリームコロッケについては、全ての試作品がパンクしてしまい、パンク率は100%であった。一方、HPMCまたはMCを混合させた揚げ物用組成物(試作ナンバー1,2)を用いたクリームコロッケについては、一つもパンクすることがなく、パンク率は0%であった。また、食味についても、滑らかな食感で口溶けがよく、クリームコロッケ特有のクリーミー感が十分に感じられた。なお、本実施例1において、食味評価は5段階評価によって行われており、複数人による評価の平均値を取ったものである。
以上の本実施例1によれば、本発明に係る揚げ物用組成物の組成としては、HPMCまたはMCが最適であることが示された。また、HPMCおよびMCは、互いに類似する性質を有しているため、揚げ物用組成物の組成として両者を混合してもよいものと考えられる。
本実施例2では、揚げ物用組成物の好適な加熱温度を特定する実験を行った。具体的には、実施例1で用いた試作ナンバー1と同一の配合で揚げ物用組成物を複数調製し、加熱温度のみを変えて、上述した実施例1と同様の製造方法にて複数のクリームコロッケを製造した。そして、各クリームコロッケを同様の条件下において油で揚げた後、クリーミー感等の食味評価を行った。
具体的には、図4に示すように、試作ナンバー5,6では、揚げ物用組成物を20℃までしか加熱せず、試作ナンバー7,8では、揚げ物用組成物を40℃までしか加熱せず、試作ナンバー9,10では、揚げ物用組成物を60℃までしか加熱しなかった。
上記により製造された各クリームコロッケのパンク率および食味評価を行った。その結果、図4に示すように、加熱温度が20℃の揚げ物用組成物を用いたクリームコロッケについては、パンク率が12.5%と低く、食味評価が4.0と高いもの(試作ナンバー5)もある一方で、パンク率が37.5%と高いもの(試作ナンバー6)もあり、安定性に欠けていた。また、加熱温度が40℃の揚げ物用組成物を用いたクリームコロッケについても、パンク率が0%で、食味評価が3.9と高いもの(試作ナンバー7)がある一方で、パンク率が100%となってしまうもの(試作ナンバー8)もあり、安定性に欠けていた。
一方、加熱温度が60℃の揚げ物用組成物(試作ナンバー9,10)を用いたクリームコロッケについては、パンク率がいずれも0%であり、食味評価もそれぞれ4.2および4.1と高いものであった。特に、加熱温度が80℃の揚げ物用組成物(試作ナンバー1)を用いたクリームコロッケについては、パンク率が0%、かつ食味評価が満点であった。
以上の本実施例2によれば、本発明に係る揚げ物用組成物の加熱温度としては、60℃以上が好適であること、および80℃以上が最適であることが示された。また、MCは、HPMCと類似する性質を有していること、および実施例1の試作ナンバー2の結果を総合的に鑑みれば、HPMCおよびMCを含有する揚げ物用組成物や、MCを含有する揚げ物用組成物についても、HPMCを含有する揚げ物用組成物と同様の加熱温度でよいものと考えられる。
本実施例3では、HPMCの好適な添加量を特定する実験を行った。具体的には、実施例1で用いた試作ナンバー1の配合のうち、HPMCの添加量のみを増減させて、複数の揚げ物用組成物を調製し、上述した実施例1と同様の製造方法にて複数のクリームコロッケを製造した。そして、各クリームコロッケを同様の条件下において油で揚げた後、クリーミー感等の食味評価を行った。
具体的には、図5に示すように、試作ナンバー1におけるHPMCの0.7質量%を境にして、試作ナンバー11〜13では、HPMCの添加量をそれぞれ0.0質量%、0.3質量%および0.5質量%とした。一方、試作ナンバー14〜16では、HPMCの添加量をそれぞれ1.0質量%、1.2質量%および1.4質量%とした。
上記により製造された各クリームコロッケのパンク率および食味評価を行った。その結果、図5に示すように、HPMCの添加量が少ない揚げ物用組成物(試作ナンバー11,12)を用いたクリームコロッケについては、パンク率がそれぞれ100%および87.5%と著しく高くなってしまった。一方、HPMCの添加量が多い揚げ物用組成物(試作ナンバー15,16)を用いたクリームコロッケについては、パンク率は0%であるものの、クリーミー感が損なわれており食味評価が2以下であった。
これに対し、HPMCの添加量が0.5〜1.0質量%の揚げ物用組成物(試作ナンバー13,1,14)を用いたクリームコロッケについては、パンク率が0%であるか、あるいは製品化に足る程度に低かった。また、食味についても、滑らかな食感で口溶けがよく、クリームコロッケ特有のクリーミー感が十分に感じられた。特に、HPMCの添加量が0.7質量%の揚げ物用組成物(試作ナンバー1)を用いたクリームコロッケについては、パンク率が0%、かつ食味評価が満点であった。
以上の本実施例3によれば、本発明に係るHPMCの含有量としては、具材に対して0.5〜1.0質量%が好適であること、および0.7質量%が最適であることが示された。また、MCは、HPMCと類似する性質を有していること、および実施例1の試作ナンバー2の結果を総合的に鑑みれば、MCもHPMCと同様の含有量でよいものと考えられる。
本実施例4では、澱粉の好適な添加量を特定する実験を行った。具体的には、実施例1で用いた試作ナンバー1の配合を基準として、澱粉にあたる小麦粉の添加量を増減させるとともに、HPMCの添加量を調整しながら複数の揚げ物用組成物を調製し、上述した実施例1と同様の製造方法にて複数のクリームコロッケを製造した。そして、各クリームコロッケを同様の条件下において油で揚げた後、クリーミー感等の食味評価を行った。
具体的には、図6に示すように、試作ナンバー17,18では、小麦粉の添加量を2.0質量%とし、試作ナンバー19,20では、小麦粉の添加量を4.0質量%とした。また、試作ナンバー21では、小麦粉の添加量を8.0質量%に増量した。
上記により製造された各クリームコロッケのパンク率および食味評価を行った。その結果、図6に示すように、小麦粉の添加量が少ない揚げ物用組成物(試作ナンバー17〜20)を用いたクリームコロッケについては、パンクには至らないもののプチプチした吹き出しが多く見られたり(試作ナンバー18)、パンク率が高いものも見られた(試作ナンバー19)。ただし、別途、HPMCの添加量を適宜調整することにより、パンク率が0%となり食味評価も比較的高くなることが示された(試作ナンバー17,20)。
また、小麦粉の添加量が多い揚げ物用組成物(試作ナンバー21)を用いたクリームコロッケについても、パンク率は0%で、食味評価もぎりぎり合格ラインの2.8であった。さらに、小麦粉の添加量が6.0質量%の揚げ物用組成物(試作ナンバー1)を用いたクリームコロッケについては、パンク率が0%、かつ食味評価が満点であった。
以上の本実施例4によれば、本発明に係る小麦粉の含有量としては、具材に対して2.0〜8.0質量%が好適であること、および6.0質量%が最適であることが示された。また、小麦粉以外の澱粉についても、小麦粉と類似する性質を有していることを鑑みれば、小麦粉と同様の含有量でよいものと考えられる。
なお、本発明に係る揚げ物の製造方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。

Claims (5)

  1. 油脂に澱粉とヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはメチルセルロースとを混合させることにより揚げ物用組成物を製造する揚げ物用組成物製造工程と
    前記揚げ物用組成物製造工程で製造された揚げ物用組成物を、前記澱粉と前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/または前記メチルセルロースとが前記油脂に全て分散する温度まで加熱する揚げ物用組成物加熱工程と、
    前記揚げ物用組成物加熱工程で加熱された前記揚げ物用組成物を具材に添加する揚げ物用組成物添加工程
    を有する、揚げ物の製造方法。
  2. 前記揚げ物用組成物添加工程では、前記具材の温度が50℃以下の条件下で、前記具材の温度以上の温度の前記揚げ物用組成物を添加する、請求項1に記載の揚げ物の製造方法。
  3. 前記揚げ物用組成物を加熱する温度が60℃以上である、請求項1または請求項2に記載の揚げ物の製造方法。
  4. 前記具材に対する前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/または前記メチルセルロースの含有量が0.5〜1.0質量%である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の揚げ物の製造方法。
  5. 前記具材に対する前記澱粉の含有量が2.0〜8.0質量%である、請求項1から請求項のいずれかに記載の揚げ物の製造方法。
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