(第1実施形態)
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着され、液体を吸上げる縦供給筒部10を有する噴出器本体2と、噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成型品とされている。
ここで、本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側という。また、軸線O1方向から見た平面視において軸線O1に直交する一方向を前後方向といい、軸線O1方向および前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
噴出器本体2は、上下方向に延在する上記縦供給筒部10と、縦供給筒部10から前後方向に沿って延設され、内側が縦供給筒部10の内部に連通した射出筒部11と、を備え、左右方向から見た側面視でL字状に形成されている。
なお、前後方向のうち、縦供給筒部10から射出筒部11が延びる方向を前側或いは前方(軸方向の他方側)とし、その反対方向を後側或いは後方(軸方向の一方側)という。
縦供給筒部10は、有頂筒状の外筒12と、外筒12内に嵌合される内筒13と、を備えている。
図2に示すように、外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配置され、かつ大径部12aよりも縮径した小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結するフランジ部12cと、を備え、下方から上方に向けて縮径した二段筒状に形成されている。なお、小径部12bの上端開口部は頂壁部12dによって塞がれている。
内筒13は、大径部13aと、大径部13aの上方に配置され、かつ大径部13aよりも縮径した小径部13bと、大径部13aの上端部と小径部13bの下端部とを連結するフランジ部13cと、を備え、下方から上方に向けて縮径した二段筒状に形成されている。
内筒13の小径部13b内には、容器体A内に配置され、かつ容器体Aの図示しない底部に下端開口が位置するパイプ15の上部が嵌合されている。内筒13のフランジ部13cは、外筒12のフランジ部12cとの間に隙間S1を確保した状態で、外筒12のフランジ部12cよりも下方に位置している。内筒13の大径部13aにおいて、外筒12の大径部12aから下方に突出した部分には、その径方向の外側に向けて突出する環状の鍔部13dが形成されている。鍔部13dは、容器体Aの口部A1に装着(例えば螺着)される装着キャップ14の上端部内に配設され、装着キャップ14の上端部をその軸線回りに回転自在に係止する。鍔部13dは、装着キャップ14と容器体Aの口部A1における上端開口縁とにより上下方向に挟まれる。
なお、外筒12および内筒13で構成される縦供給筒部10の軸線O1は、容器体Aの容器軸に対して後方側に偏心している。
射出筒部11は、後端部が縦供給筒部10における上端部の前側に接続されている。射出筒部11の内部は、外筒12に形成された外側吐出孔16、および内筒13に形成された内側吐出孔17を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。
内筒13の上端部側の内側には、上下方向に弾性変形可能に形成された吐出弁30が配置されている。
吐出弁30は、内筒13内に嵌合され、外筒12における頂壁部12dの下面に当接するベース部31と、ベース部31の下方に配置され、内筒13の内周面に段差状に形成された弁座32に対して上方から当接する弁体33と、ベース部31および弁体33を上下に連結する中空ばね部34と、を備えている。
弁体33は、中空ばね部34によって上方から押圧されており、弁座32に対して密接している。これにより弁体33は、内筒13内における弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間と、の連通を遮断している。
なお、弁体33は中空ばね部34の付勢力に抗して上昇し、弁座32から離間することで、内筒13内における弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間とを連通させる。
内筒13の内周面のうち弁座32よりも下方に位置し、かつパイプ15の上端よりも上方に位置する部分には、内側に向けて突出する環状のテーパ筒部35が形成されている。
このテーパ筒部35は、下方に向かうにしたがって漸次縮径している。テーパ筒部35の内側には、テーパ筒部35の内周面に離反可能に着座する球状の吸込弁36が配置されている。吸込弁36は、内筒13内において、テーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間と、を連通および遮断する。
外筒12において、射出筒部11よりも下方に位置する部分には、前方に向けて突出するシリンダ用筒部40が一体形成されている。
シリンダ用筒部40は、前方に向けて開口しているとともに、部分的に外筒12におけるフランジ部12cと一体形成されている。
噴出器本体2は、射出筒部11から下方に向けて延び、前方付勢状態で後方に揺動自在に配置されたトリガー部51と、トリガー部51の揺動に連動して前後方向に移動する主ピストン52と、主ピストン52の移動に伴って内部が加圧および減圧する主シリンダ53と、トリガー部51を前方に付勢する弾性板部54と、縦供給筒部10、射出筒部11および後述する貯留シリンダ90の全体を上方および左右方向から覆うカバー体55と、をさらに備えている。
また、上述した吐出弁30、吸込弁36、トリガー部51、主ピストン52、主シリンダ53および弾性板部54は、トリガー部51の後方への移動によって、液体を縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて射出させるトリガー機構50を構成する。より詳細には、トリガー機構50は、トリガー部51の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から射出筒部11内に導入させ、射出筒部11内の液体を噴出孔4側に向けて射出させる。
主シリンダ53は、前方に向けて開口する外筒部60と、外筒部60の後方開口部を塞ぐ後壁部61と、後壁部61の中央部分から前方に向けて突設されるとともに前端が閉塞されたピストンガイド62と、を備えている。
ピストンガイド62は、内側が後方に開口しており、この開口内にシリンダ用筒部40における後壁(外筒12の小径部12b)から前方に向けて突設された嵌合突部41が嵌合されている。
外筒部60は、シリンダ用筒部40の内側に嵌合されている。シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面とは、前後方向の両端部において密接している。その一方、シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面との間のうち、前後方向の両端部同士の間に位置する中間部に、環状の隙間S2が確保されている。
外筒部60には、外筒部60の内側と上記隙間S2とを連通させる第1通気孔63が形成されている。外筒12のフランジ部12cには、上記隙間S2と、外筒12のフランジ部12cと内筒13のフランジ部13cとの間に画成された隙間S1と、を連通させる第2通気孔64が形成されている。さらに、内筒13のフランジ部13cには、上記隙間S1と、内筒13の大径部13aおよび装着キャップ14の内側と、を連通させる第3通気孔65が形成されている。
主シリンダ53の後壁部61には、ピストンガイド62の上方に位置する部分に、前後方向に貫く第1貫通孔66が形成されている。図示の例では、後壁部61における第1貫通孔66の開口周縁部には、後方に向けて突出する筒部が形成されており、この筒部が、外筒12の小径部12bに形成された貫通孔内に嵌合されている。第1貫通孔66は、縦供給筒部10の内筒13に形成された第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30と吸込弁36との間に位置する空間に連通している。
これにより、主シリンダ53の内側は、第1貫通孔66および第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30と吸込弁36との間に位置する空間に連通している。したがって、吐出弁30は、射出筒部11内と主シリンダ53内との連通およびその遮断を切替え、吸込弁36は、容器体A内と主シリンダ53内との連通およびその遮断を切替える。
主ピストン52は、トリガー部51に連結される円柱状の連結部70と、連結部70よりも後方に位置し、連結部70よりも大径とされたピストン筒71と、を備え、全体として後方に開口した筒状に形成されている。
なお、主シリンダ53および主ピストン52は、前後方向に沿って延びる図示しない共通の軸線上に配置されている。
ピストン筒71は、後方に向けて開口し、かつ内部にピストンガイド62が挿入されるピストン本体部72と、ピストン本体部72の後端部からその径方向の外側に向けて突出し、かつ外筒部60の内周面に密に摺接する摺動筒部73と、を備えている。
ピストン本体部72は、内径がピストンガイド62の外径よりも大きく形成されている。図示の例では、ピストン本体部72の内周面とピストンガイド62の外周面との間には若干の隙間があいている。
摺動筒部73は、前後方向の中央部から前方および後方に向かうにしたがって漸次拡径するテーパ状に形成され、前後方向の両端部に位置するリップ部73aが外筒部60の内周面に対して摺接する。
主ピストン52の連結部70は、後述する連結軸86を介してトリガー部51に連結されている。これにより、主ピストン52は、トリガー部51とともに弾性板部54の付勢力によって前方に付勢されているとともに、トリガー部51の後方への移動に伴って後方に移動して主シリンダ53内に押し込まれる。
また、トリガー部51が最前方揺動位置にあるときに、主ピストン52の摺動筒部73は第1通気孔63を閉塞している。そして、トリガー部51の後方への揺動によって主ピストン52が所定量だけ後方移動したときに、摺動筒部73が第1通気孔63を開放する。これにより、容器体Aの内部は、第3通気孔65、第2通気孔64および第1通気孔63を通じて外部に連通する。
トリガー部51は、左右方向から見た側面視で後方に向けて凹状に湾曲する前面を有する主板部材80と、主板部材80の左右の側縁部から後方に向けて起立する一対の側板部材81と、を備えている。
一対の側板部材81の上端部には、射出筒部11の側方に至るまで上方に延出し、射出筒部11を左右方向から挟み込む一対の連結板82が形成されている。一対の連結板82には、左右方向の外側に向けて回転軸部83が突設されている。これら回転軸部83は、射出筒部11の上方を覆う上板部材84に設けられた軸受け部に回動可能に支持されている。これにより、トリガー部51は、回転軸部83を中心に前後方向に揺動可能とされている。
トリガー部51には、主板部材80を前後方向に貫通する開口部51aが形成されているとともに、開口部51aの周縁部から後方に向けて延びるように連結筒85が形成されている。
連結筒85の内周面のうち後方側に位置する部分には、連結筒85の内側に向けて左右方向に沿って突出した一対の連結軸86が形成されている。これら連結軸86は、主ピストン52の連結部70に形成された連結孔内に挿入されている。これにより、トリガー部51と主ピストン52とは、互いに連結されている。
なお、主ピストン52の連結部70は、連結軸86に対してその軸線回りに回動可能とされ、かつ上下方向で所定量だけ移動可能に連結されている。これにより、トリガー部51の前後方向への揺動に伴って、主ピストン52は前後移動可能とされている。
射出筒部11の上面には、縦供給筒部10における外筒12の頂壁部12dに連結される水平板状の上記上板部材84が取り付けられている。
上板部材84の左右両側には、左右方向から見た側面視で前方に凸の円弧状に形成され、かつ射出筒部11の下方まで延びる上記弾性板部54がそれぞれ一体的に形成されている。弾性板部54は、左右方向から見た側面視で互いに同心の円弧状に形成され、前後に並ぶ一対の板ばねを備えている。
一対の板ばねのうち、前側に位置する板ばねが主板ばね54aとされ、後側に位置する板ばねが副板ばね54bとされている。
これら主板ばね54aおよび副板ばね54bの下端部は、円弧状の折返し部54cを介して一体的に接続されている。折返し部54cには、下方に向けて係止片54dが突設されており、この係止片54dがトリガー部51における側板部材81に形成されたポケット部81aに上方から差し込まれて係合している。
これにより、弾性板部54は、係止片54dおよびポケット部81aを介してトリガー部51を前方に向けて付勢している。このように、トリガー部51は、前方付勢状態で後方に移動自在に配設されている。
トリガー部51の主板部材80の上端部は、弾性板部54による付勢によって後述する規制壁部123の後端部に対して後方から当接している。これにより、トリガー部51は最前方揺動位置に位置決めされている。
なお、最前方揺動位置からトリガー部51が後方に引かれると、弾性板部54が係止片54dを介して折返し部54cを後方に移動させるように弾性変形する。このとき、弾性板部54は、主板ばね54aよりも副板ばね54bが大きく弾性変形する。
なお、係止片54dは、トリガー部51が後方に引かれた場合であっても、ポケット部81aから上方に抜け出しつつもトリガー部51が最後方揺動位置に至るまでポケット部81aへの係合状態を維持する。
図1に示すように、ノズル部材3は、主に噴出器本体2よりも前方かつ上方側に配置されており、前後方向に延在する貯留シリンダ90と、貯留シリンダ90内に収容された貯留プランジャ91と、射出筒部11に対して装着される装着筒92と、貯留シリンダ90に対して装着される支持部材97と、支持部材97に固定される調整筒130と、を備えている。
貯留シリンダ90は、射出筒部11の上方に配置され、貯留シリンダ90の中心軸線O2は、前後方向に延びている。これにより、貯留シリンダ90は射出筒部11に対して平行に配置されている。貯留シリンダ90の内部には、縦供給筒部10内を通過した液体が供給される。
図3に示すように、貯留シリンダ90は、前壁部95と、前壁部95から後方に向けて延びたシリンダ筒96と、シリンダ筒96から下方に向けて延びた接続壁部93と、シリンダ筒96の後端部から径方向の外側に向けて突出したリング部99aと、回転規制部99bと、を備え、後方に開口した筒状に形成されている。前壁部95は、シリンダ筒96から下方に向けて突出しており、ノズル部材3を前方側から見た正面視で、左右方向よりも上下方向に長く形成されている。
シリンダ筒96は、噴出器本体2における上板部材84上に配置されており、縦供給筒部10よりも後方に突出している。シリンダ筒96は、後方に開口している。シリンダ筒96(貯留シリンダ90)の内周面には、窪み部98が形成されている。窪み部98は、シリンダ筒96の内周面から径方向の外側に窪む。本実施形態において窪み部98は、シリンダ筒96を径方向に貫通する孔である。
窪み部98は、中心軸線O2を上下方向に挟んで、シリンダ筒96の上部とシリンダ筒96の下部とにそれぞれ設けられている。図4に示すように、窪み部98は、全体として、シリンダ筒96の後端から前方に延びている。窪み部98は、前後方向に延びる主窪み部98aと、主窪み部98aの前端から中心軸線O2回りに沿う周方向(θ方向)に延びる副窪み部98bと、シリンダ筒96の後端から前方に延び、主窪み部98aの後端に接続する後端窪み部98cと、を備えている。
なお、以下の説明においては、特に断りの無い限り、「周方向」とは、貯留シリンダ90の中心軸線O2回りに沿う周方向(θ方向)を意味するものとする。また、周方向のうち、貯留シリンダ90を前方から視た際に、反時計回りの向きを周方向一方向き(+θ向き)と呼び、時計回りの向きを周方向他方向き(−θ向き)と呼ぶ。
主窪み部98aのうちの後側部分は、前側部分よりも周方向他方向き(−θ向き)に張り出している。副窪み部98bは、主窪み部98aの前端から周方向一方向き(+θ向き)に延びている。すなわち、主窪み部98aのうちの後側部分は、主窪み部98aから副窪み部98bが突出する向きと逆向きに張り出している。後端窪み部98cの前端は、主窪み部98aの後端のうち、周方向他方側(−θ側)の端部に接続されている。以上の構成において、窪み部98は、窪み部98の後端(後端窪み部98cの後端)から、窪み部98の前端(副窪み部98bの前端)に向かうに従って、周方向一方向き(+θ向き)に向かって階段状に延びている。主窪み部98aの前側部分は、貯留シリンダ90の左右方向の中央に位置する。
図3に示すように、接続壁部93は、シリンダ筒96の前端部から下方に向かって延びている。接続壁部93の下端は、射出筒部11よりも下側に位置する。
図3および図4に示すように、リング部99aは、シリンダ筒96を周方向(θ方向)に囲む環状である。図4に示すように、回転規制部99bは、リング部99aから前方に延びている。回転規制部99bは、シリンダ筒96の外周面から径方向の外側に突出している。回転規制部99bの径方向の外端は、リング部99aの径方向の外端と、径方向において同じ位置にある。図3に示すように、回転規制部99bは、シリンダ筒96を挟んで一対設けられている。
貯留シリンダ90の前壁部95には、前方に向けて円柱状のノズル軸部100が突設されているとともに、このノズル軸部100を外側から囲む囲繞筒101が前方に向けて突設されている。なお、囲繞筒101は、ノズル軸部100よりも前方に向けて僅かに突出している。
ノズル軸部100と囲繞筒101との間には、環状の流通路102が形成されている。また、ノズル軸部100には、前方に向けて開口する噴出孔4が形成されたノズルキャップ103が装着され、流通路102と噴出孔4とが連通している。そして、前壁部95には、流通路102に連通する連通孔104が形成されている。
これにより、貯留シリンダ90の内部は、連通孔104および流通路102を通じて噴出孔4に連通している。つまり、連通孔104は、流通路102を通じて貯留シリンダ90の内部と噴出孔4とを連通している。
貯留プランジャ91は、ロッド110と、ロッド110の前端部に嵌着される補助ピストン111と、を備え、貯留シリンダ90内に、前後方向に移動自在に配設されている。貯留プランジャ91は、図1および図3に示す位置から、前方付勢状態で後方移動可能である。
図3に示すように、ロッド110は、後方に開口した筒状に形成され、外周面にはシリンダ筒96の内周面に向けて突出する拡径ガイド部110aが形成されている。ロッド110の後端開口縁は、支持部材97における支持内筒97aの後述する前端壁部97eに前方から係止する被係止部110bとして機能する。
補助ピストン111は、前方が閉塞され、かつ後方に開口する筒状である。補助ピストン111は、ロッド110の前端に前方から装着されている。補助ピストン111は、ロッド110の前端に外嵌されている。補助ピストン111は、その前端部が、シリンダ筒96の内周面に対して密に摺接するリップ部111aを有する。
貯留プランジャ91と支持部材97との間には、例えば金属製のコイルばね(付勢手段)112が、前後方向に延在し、かつ前後方向に圧縮された状態で配置されている。
コイルばね112は、ロッド110を囲繞するように配置され、後端部が支持部材97における支持内筒97aの後述する段差面97fに前方から当接し、前端部が拡径ガイド部110aに後方から当接する。これにより、コイルばね112は、貯留シリンダ90内において貯留プランジャ91を前方に向けて付勢している。コイルばね112の後端部は、支持内筒97aの後述する前端壁部97eに外嵌されている。これにより、コイルばね112の後端部の位置が径方向にずれることを抑制できる。
補助ピストン111には、前方に向けて突出し、貯留シリンダ90の前壁部95に形成された連通孔104内に入り込んで、該連通孔104を直接的に塞ぐ凸部113が形成されている。
これにより、貯留プランジャ91は、連通孔104を開放自在に閉塞している。特に、凸部113はコイルばね112からの付勢によって連通孔104をシールした状態で塞いでいる。
なお、凸部113が連通孔104を塞いでいるときの貯留プランジャ91の位置を最前進位置とする。したがって、貯留プランジャ91が最前進位置に配置されている場合には、貯留シリンダ90内に液体がほとんど収容されていないうえ、貯留シリンダ90内と連通孔104との連通が遮断されている。
これに対して、貯留プランジャ91の後方移動によって、ロッド110の被係止部110bが支持内筒97aの後述する前端壁部97eに対して前方から当接しているときの貯留プランジャ91の位置を、最後退位置とする。
本実施形態において支持部材97(前端壁部97e)は前後方向に移動可能なため、最後退位置は、支持部材97の前後方向の位置に応じて変化する。本実施形態において最後退位置は、図1および図3に示す支持部材97の状態において最も前側となり、図5に示す支持部材97の状態において最も後側となる。
貯留プランジャ91が最後退位置に達している場合には、貯留シリンダ90内に液体が、そのときの支持部材97の状態において最大量収容されている。支持部材97が後側に位置するほど、貯留シリンダ90内に収容される液体の最大量は大きくなる。本実施形態では、図5に示す状態において支持部材97が最も後側に位置するため、図5に示す状態において貯留シリンダ90内に収容される液体の最大量は、最大となる。
図3に示すように、貯留シリンダ90の前壁部95には、前壁部95を前後方向に貫通する嵌合孔部95bが形成されている。嵌合孔部95bは、噴出孔4よりも下側に位置する。嵌合孔部95bには、栓体125が前方から嵌合されている。栓体125は、前方に開口する筒状である。栓体125は、栓体125の後端側を閉塞する栓体壁部125aを有する。栓体壁部125aは、嵌合孔部95bよりも後側に位置し、接続壁部93と対向している。栓体壁部125aと接続壁部93との間には、上下方向に延びる連絡流路126が形成されている。連絡流路126は、上方に開口して、貯留シリンダ90の内部と連通している。連絡流路126は、後述する接続孔93a、および射出筒部11の内部を介して、縦供給筒部10の内部と連通する。
貯留シリンダ90の前壁部95には、囲繞筒101をその径方向の外側から囲う外郭筒121が前方に向けて突設されている。
さらに、前壁部95の下端には、後方に向けて規制壁部123が突設されている。そして、規制壁部123の後端部が、トリガー部51の主板部材80の上端部に対して前方から当接することで、トリガー部51を最前方揺動位置に位置決めしている。
接続壁部93には、接続壁部93から後方に向けて延びる装着筒92が一体に形成されている。装着筒92は、射出筒部11の前方部分に対して前方から嵌合している。これにより、ノズル部材3は、装着筒92を介して噴出器本体2に対して組み合わされている。射出筒部11の前方部分は、装着筒92の内側に位置する。
接続壁部93には、接続壁部93を前後方向に貫通する接続孔93aが形成されている。接続孔93aは、連絡流路126の下端部に後側から接続されており、射出筒部11の内部と連絡流路126とを連通している。
以上より、射出筒部11の内部と貯留シリンダ90の内部とは、接続孔93a、および連絡流路126を通じて連通する。また、射出筒部11から貯留シリンダ90に至る経路が、接続孔93aおよび連絡流路126であるので、これらの経路の空間容積が大きくなるのを抑えることができる。
本実施形態では、接続壁部93から後方に向けて延在し、射出筒部11内における前後方向のほぼ全長にわたって挿入された挿入部201が形成されている。挿入部201は、射出筒部11の内部空間のうち上側部分に僅かな隙間S3を確保するように、射出筒部11内に挿入されている。これにより、射出筒部11内の空間容積もさらに小さくすることができる。
なお、本実施形態では、射出筒部11の内部と噴出孔4とが、接続孔93a、連絡流路126、貯留シリンダ90の内部、連通孔104および流通路102を通じて連通する。したがって、連通孔104は、先に述べたように貯留シリンダ90の内部と噴出孔4とを連通しているが、それに加え、射出筒部11の内部と噴出孔4とについても連通させている。
支持部材97は、シリンダ筒96の後端部に装着されている。支持部材97は、貯留シリンダ90内に、微細噴射位置P1と粗噴射位置P2との間を前後方向に移動自在に配設されている。微細噴射位置P1は、図3に示す支持部材97の位置である。粗噴射位置P2は、図5に示す支持部材97の位置である。粗噴射位置P2は、微細噴射位置P1よりも後側の位置である。図3に示すように、支持部材97は、シリンダ筒96の内側に嵌合される支持内筒97aと、支持内筒97aからその径方向の外側に向けて突出した係合突部97bと、を備えている。
支持内筒97aは、前後方向に延びる筒状である。支持内筒97aは、前方が閉塞され、かつ、後方に開口する。支持内筒97aの後端部は、シリンダ筒96およびカバー体55よりも後側に位置する。支持内筒97aの外周面の前端には、後方から前方に向かって外径が小さくなる段差部97dが設けられている。これにより、支持内筒97aの前端側を閉塞する前端壁部97eの外径は、支持内筒97aにおける段差部97dよりも後側の部分の外径よりも小さい。段差部97dにおける中心軸線O2と直交する段差面97fには、コイルばね112の後端が当接している。支持部材97は、コイルばね112によって、後方に付勢されている。
係合突部97bは、支持内筒97aを径方向に挟んで一対設けられている。係合突部97bは、窪み部98内に進入している。係合突部97bは、窪み部98を通って、シリンダ筒96よりも径方向の外側に突出している。係合突部97bは、窪み部98に係合される。これにより、コイルばね112によって後方に付勢された支持部材97の後方への移動が規制される。支持部材97は、コイルばね112を、コイルばね112における後側から支持する。
コイルばね112の前後方向の圧縮変形量は、支持部材97の段差面97fと拡径ガイド部110aとの前後方向の間の距離が大きくなるほど、小さくなる。コイルばね112の前後方向の圧縮変形量が小さくなるほど、コイルばね112の前後方向の付勢力は小さくなる。例えば、貯留プランジャ91の位置が同じ場合、支持部材97の前後方向の位置が後方であるほど、支持部材97の段差面97fと拡径ガイド部110aとの前後方向の間の距離は大きくなる。そのため、微細噴射位置P1よりも後側である粗噴射位置P2においては、微細噴射位置P1よりもコイルばね112の前後方向の圧縮変形量が小さく、付勢力が小さい。このように、支持部材97の前後方向の位置を変えることで、コイルばね112の前後方向の付勢力を調整することができる。
本実施形態において係合突部97bは、主窪み部98aに係合する状態と、副窪み部98bに係合する状態との2つの状態を取ることができる。図1から図3は、係合突部97bが副窪み部98bに係合する状態を示し、図5は、係合突部97bが主窪み部98aに係合する状態を示している。図4においては、係合突部97bが副窪み部98bに係合する状態を実線で示し、係合突部97bが主窪み部98aに係合する状態を二点鎖線で示している。
図3および図4に示すように、係合突部97bは、支持部材97が微細噴射位置P1に位置するときに、副窪み部98bに係合する。より詳細には、係合突部97bは、支持部材97が微細噴射位置P1に位置するとき、副窪み部98bの後端の内側面に前方から接触する。これにより、支持部材97を微細噴射位置P1に維持できる。
図4および図5に示すように、係合突部97bは、支持部材97が粗噴射位置P2に位置するときに、主窪み部98aに係合する。より詳細には、係合突部97bは、支持部材97が粗噴射位置P2に位置するとき、主窪み部98aの後端の内側面に前方から接触する。これにより、支持部材97を粗噴射位置P2に維持できる。
図3に示すように、調整筒130は、支持部材97における支持内筒97aの後端に固定されている。調整筒130は、支持内筒97aの径方向の外側を囲み、前後方向において、支持内筒97aの後端から前側に向かって延びる筒状である。調整筒130の前方部分は、シリンダ筒96の径方向の外側を囲み、カバー体55の内部に収容されている。調整筒130の後端部は、カバー体55の外部に露出している。
調整筒130は、前後方向の両端に開口する調整筒本体131と、調整筒本体131の前端に設けられる規制突起部132と、を有する。調整筒本体131の内周面には、リング部99aの外周面が摺接している。図3の状態において、調整筒本体131の内周面とシリンダ筒96の外周面との間には、隙間S4が設けられている。
規制突起部132は、調整筒本体131から径方向の内側に突出し、シリンダ筒96の外周面と摺接している。図4に示すように、規制突起部132は、回転規制部99bよりも周方向一方側(+θ側)に位置する。係合突部97bが主窪み部98aに係合するとき、規制突起部132は、回転規制部99bに周方向一方側(+θ側)から接触する。これにより、調整筒130の周方向他方向き(−θ向き)の移動が規制される。
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。
なお、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10から液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
トリガー部51を弾性板部54の付勢力に抗して後方に引くと、トリガー部51の後方移動に伴って主ピストン52が後退するので、主シリンダ53内の液体を、第1貫通孔66および第2貫通孔67を通じて縦供給筒部10の内筒13に導入することができる。すると、内筒13に導入された液体は、吸込弁36を押し下げて閉弁させるとともに、吐出弁30を押し上げて開弁させるので、内側吐出孔17および外側吐出孔16を通じて射出筒部11内に液体を導入することができる。
これにより、射出筒部11の内圧が上昇するので、射出筒部11内の液体を接続孔93aを通じて連絡流路126の内部に導入させ、さらに連絡流路126の上端の開口を通じて貯留シリンダ90内に導入することができる。このように、トリガー部51の後方への移動によって、貯留シリンダ90の内部に液体が供給される。そして、図6に示すように、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴い貯留プランジャ91を最前進位置からコイルばね112の付勢力に抗して後方に向けて移動させることができ、凸部113を連通孔104から離間させて、連通孔104を開放することができる。
したがって、連通孔104および流通路102を通じて液体を噴出孔4に導き、噴出孔4から前方に向けて液体を噴射させることができ、これと同時に貯留プランジャ91を後方に向けて移動させることができる。本実施形態において噴出孔4から噴射される液体は、例えば、霧状に噴射される。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴射させることができるとともに、貯留プランジャ91を後方に移動させて、貯留シリンダ90内に液体を溜める(充填する)ことができる。
そして、トリガー部51を引く操作を止めて該トリガー部51を解放すると、弾性板部54の弾性復元力によってトリガー部51が前方に付勢されて元の位置に復帰するので、これに伴って主ピストン52が前方移動する。そのため、主シリンダ53内に負圧が生じ、この負圧によってパイプ15を通じて容器体A内の液体を縦供給筒部10に吸い上げることができる。
すると、新たに吸い上げられた液体は、吸込弁36を押し上げて開弁させ、主シリンダ53内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。なお、吐出弁30は閉弁している。
このとき、射出筒部11から貯留シリンダ90内への液体の供給は停止するものの、コイルばね112の弾性復元力によって貯留プランジャ91が最前進位置に向けて前方移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ90内に溜まった液体を、連通孔104および流通路102を通じて噴出孔4に導き、噴出孔4を通じて前方に液体を噴射させることができる。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
また、本実施形態によれば、支持部材97の前後方向の位置を変えることで、噴出孔4から噴射される液体の噴射態様を調整することができる。液体の噴射態様とは、例えば、噴射される液体の細かさ、噴射範囲、もしくは勢い等を含む。調整される液体の噴射態様の一例として、噴射される霧状の液体の細かさについて説明する。
貯留シリンダ90内に貯留された液体には、コイルばね112によって前方に付勢される貯留プランジャ91によって圧力が加えられる。液体に加えられる圧力が大きいほど、噴出孔4から噴射される霧状の液体は細かくなる。一方、液体に加えられる圧力が小さいほど、噴出孔4から噴射される液体は粗くなる。
例えば、図3に示すように、支持部材97が微細噴射位置P1に位置する場合、支持部材97は比較的前側(本実施形態では最も前側)に位置しており、コイルばね112の前後方向の圧縮変形量は比較的大きく、コイルばね112の前後方向の付勢力は比較的大きい。そのため、コイルばね112によって貯留シリンダ90内の液体に加えられる圧力が比較的大きく、噴出孔4から噴射される霧状の液体を比較的細かくできる。なお、この場合、係合突部97bは、副窪み部98bに係合している。
支持部材97の前後方向の位置を微細噴射位置P1から図5に示す粗噴射位置P2に切り換える場合、カバー体55の外部に露出する調整筒130を周方向他方向き(−θ向き)に回転させて、調整筒130に固定された支持部材97を周方向他方向きに回転させる(図4参照)。これにより、係合突部97bを副窪み部98bから主窪み部98aに移動させる。係合突部97bが主窪み部98aに位置すると、支持部材97は、コイルばね112を後側から支持した状態で、コイルばね112の付勢力によって主窪み部98aに沿って後方に移動する。そして、係合突部97bが主窪み部98aの後端に係合すると、支持部材97は停止する。これにより、支持部材97の位置を、粗噴射位置P2に切り換えることができる。
なお、上述したように、このとき、調整筒130の規制突起部132は、周方向一方側(+θ側)から貯留シリンダ90の回転規制部99bに接触している。そのため、支持部材97が粗噴射位置P2に位置する場合、調整筒130および支持部材97が周方向他方向き(−θ向き)に回転することが防止される。したがって、係合突部97bが後端窪み部98cに移動することを防止できる。これにより、係合突部97bの係合が主窪み部98aから外れることを防止でき、支持部材97がシリンダ筒96から抜けることを抑制できる。
支持部材97が粗噴射位置P2に位置する場合、支持部材97は比較的後側(本実施形態では最も後側)に位置しており、コイルばね112の前後方向の圧縮変形量は比較的小さく、コイルばね112の前後方向の付勢力は比較的小さい。そのため、コイルばね112によって貯留シリンダ90内の液体に加えられる圧力が比較的小さく、噴出孔4から噴射される霧状の液体を比較的粗くできる。
支持部材97の前後方向の位置を粗噴射位置P2から図3に示す微細噴射位置P1に切り換える場合、調整筒130を前方に向けて押し込み、係合突部97bが主窪み部98aの後端に位置するまで支持部材97を前方に移動させる(図4参照)。そして、調整筒130を周方向一方向き(+θ向き)に回転させて、支持部材97を周方向一方向きに回転させる。これにより、係合突部97bが副窪み部98bに係合され、支持部材97の位置が微細噴射位置P1に切り換えられる。
以上に説明したように、本実施形態によれば、支持部材97を前後方向に移動させてコイルばね112の前後方向の付勢力を調整することで、噴出孔4から噴射される液体の噴射態様を調整することができる。
特に本実施形態では、支持部材97を微細噴射位置P1と粗噴射位置P2との間で切り換えられるため、噴出孔4から噴射される液体の噴射態様を2段階に切り換えることができる。すなわち、一例として、微細噴射位置P1においては噴出孔4から微細な霧状の液体を噴射させることができ、粗噴射位置P2においては噴出孔4から粗い霧状の液体を噴射させることができる。
また、本実施形態によれば、貯留シリンダ90に、噴出孔4に連通する連通孔104と、射出筒部11内に連通する連絡流路126と、がそれぞれ形成され、さらに貯留プランジャ91が連通孔104を直接的に塞いでいるので、射出筒部11から貯留シリンダ90に至る経路の空間容積(経路が占める内部容積)を制約少なく容易に小さくすることができる。したがって、トリガー部51を操作した際、液体を射出筒部11内から貯留シリンダ90内に直ちに導入することができ、貯留シリンダ90内の圧力を速やかに上昇させて、貯留プランジャ91を直ちに後方移動させ易い。そのため、プライミング回数を抑えながら速やかに液体を噴射させることができる。したがって、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、使い勝手が良く、操作性に優れている。
さらに、貯留プランジャ91が連通孔104を直接的に塞いでいるので、貯留シリンダ90の内圧が所定値を超えない限り、液体が噴射されることがない。したがって、高圧弁等を別途設けなくても適正な圧力(噴射圧)で液体を噴射させることができるとともに、構成の簡略化を図り易い。しかも、コイルばね112によって前方付勢されている貯留プランジャ91を後方移動させることで蓄圧できるので、液体を噴射する際に、液体に圧力をさらに加えた状態で噴射することができる。
また、未使用時に、噴出孔4から液漏れすることを効果的に抑制することができる。
なお、貯留プランジャ91の前進時、再びトリガー部51を引く操作を行わない限り、貯留プランジャ91は最前進位置まで移動するが、その前にトリガー部51を引く操作を繰り返し行ってもよい。
この場合、貯留プランジャ91は、後退と前進とを繰り返しながらも、全体としては徐々に後方に移動する。これにより、貯留シリンダ90内に徐々に液体を溜めることができる。
そして、貯留プランジャ91を例えば最後退位置まで移動させることで、貯留プランジャ91が最後退位置から最前進位置に移動するまでの長時間に亘って、液体を連続噴射することができる。
また、貯留シリンダ90が、射出筒部11の上方に配置され、かつ射出筒部11と平行に配置されているので、貯留シリンダ90が射出筒部11と前後に連なるように配置される場合に比べて、トリガー式液体噴出器1の全長を短くして小型化を図りつつ、貯留プランジャ91のストロークを確保して長時間の連続噴射を行い易い。
また、挿入部201および栓体125によって、射出筒部11内および連絡流路126内における各空間容積がさらに小さくなっているので、貯留シリンダ90内の圧力をさらに速やかに上昇させることができる。
したがって、液体を高い噴射圧で噴射させることができるうえ、貯留プランジャ91をさらにスムーズに後方移動させることができる。
なお、本実施形態においては、以下の構成を採用することもできる。
本実施形態においては、噴出孔4から直線状に液体が噴射されてもよいし、噴出孔4から泡状に液体が噴射されてもよいし、噴出孔4から噴射される液体の形状を複数の形状に切り換えられてもよい。
例えば、噴出孔4から噴射される液体が直線状の場合、支持部材97の前後方向の位置を調整することで、噴射される液体の勢いを調整することができる。支持部材97が後方に位置してコイルばね112の前後方向の付勢力が小さくなるほど、噴出孔4から直線状に噴射される液体の勢いは小さくなる。一方、支持部材97が前方に位置してコイルばね112の前後方向の付勢力が大きくなるほど、噴出孔4から直線状に噴射される液体の勢いは大きくなる。
なお、噴出孔4から噴射される液体の勢いは、噴射される液体が霧状または泡状の場合であっても同様に調整される。
また、例えば、噴出孔4から噴射される液体が霧状あるいは泡状である場合、支持部材97の前後方向の位置を調整することで、噴射される液体の噴射範囲を調整することができる。支持部材97が後方に位置してコイルばね112の前後方向の付勢力が小さくなるほど、噴出孔4から噴射される液体の噴射範囲は小さくなる。一方、支持部材97が前方に位置してコイルばね112の前後方向の付勢力が大きくなるほど、噴出孔4から噴射される液体の噴射範囲は大きくなる。
また、本実施形態において窪み部98は、シリンダ筒96を貫通していなくてもよい。例えば、窪み部98は、シリンダ筒96の内周面から径方向の外側に窪む有底の凹部であってもよい。
また、本実施形態においては、係合突部97bは、支持部材97の外周面および貯留シリンダ90の内周面のうちのいずれか一方に形成されていてもよい。すなわち、上記説明においては、係合突部97bが支持部材97の外周面に形成されている構成としたが、係合突部97bは、貯留シリンダ90の内周面に形成されていてもよい。この場合、係合突部97bは、貯留シリンダ90の内周面から径方向の内側に突出する。また、この場合、支持部材97の外周面および貯留シリンダ90の内周面のうちの他方、すなわち支持部材97には、係合突部97bが進入する窪み部98が形成されている。
また、上記説明においては、支持部材97の前後方向の位置が微細噴射位置P1と粗噴射位置P2との間で2段階に切り換えられる構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、3つ以上の位置において、支持部材97の前後方向の位置を切り換えることが可能な構成としてもよい。また、本実施形態においては、支持部材97を前後方向の任意の位置に留められようにして、支持部材97の前後方向の位置を無段階に変化させられるようにしてもよい。
また、上記説明において、係合突部97bおよび窪み部98は、それぞれ一対設けられる構成としたが、これに限られず、係合突部97bおよび窪み部98は、1つずつ設けられていてもよい。
また、上記説明においては、付勢手段をコイルばね112として、コイルばね112の圧縮変形量を調整することで付勢手段の付勢力を調整する構成としたが、これに限られない。本実施形態において、付勢手段は、貯留プランジャ91を前方に付勢でき、支持部材97によって付勢力を調整できるならば、特に限定されない。
また、貯留シリンダ90の中心軸線O2の軸方向は、前後方向以外の方向であってもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態に対して、調整筒の構成が異なる。なお、上記実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により、説明を省略する場合がある。また、図7は、支持部材297が微細噴射位置P1に位置する状態を示しており、図8は、支持部材297が粗噴射位置P2に位置する状態を示している。図9においては、支持部材297が微細噴射位置P1に位置する状態を破線で示し、支持部材297が粗噴射位置P2に位置する状態を二点鎖線で示している。
図7から図9に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器5において、ノズル部材6の調整筒230は、前後方向の両端に開口する筒状である。調整筒230は、前後方向の両端に開口する調整筒本体231と、調整筒本体231に設けられる規制突起部232と、を有する。
調整筒本体231の内周面の前端は、貯留シリンダ290におけるシリンダ筒96の後端から径方向の外側に突出するシリンダフランジ部299cに、径方向の内側から支持されている。シリンダフランジ部299cは、周方向(θ方向)に沿って延びる環状である。調整筒本体231の内周面には、周方向に沿って螺旋状に窪む螺旋溝233が形成されている。
螺旋溝233は、螺旋溝233を周方向他方向き(−θ向き)に辿る場合に、螺旋溝233の前後方向の位置が前方から後方へと向かう螺旋状である。螺旋溝233には、係合突部97bにおける、窪み部98を介してシリンダ筒96よりも径方向の外側に突出した部分が進入し、係合している。
規制突起部232は、調整筒本体231の内周面から径方向の内側に突出している。規制突起部232の径方向の内端は、シリンダ筒96の外周面に摺接している。規制突起部232は、リング部99aに前方から接触している。これにより、調整筒230の後方への移動が規制されている。
調整筒本体231の内周面の前端がシリンダフランジ部299cに支持され、かつ、規制突起部232がシリンダ筒96の外周面に摺接していることで、調整筒230は、シリンダ筒96に対して、中心軸線O2回りに回転自在に配置されている。
本実施形態の貯留シリンダ290は、第1実施形態の貯留シリンダ90と異なり、回転規制部99bを有していない。本実形態の支持部材297は、第1実施形態の支持部材97に対して、調整筒230と固定されていない点において異なる。支持部材297の後端は、図7に示す微細噴射位置P1においてシリンダ筒96の後端よりも前方に位置し、図8に示す粗噴射位置P2においてシリンダ筒96の後端よりも後方に位置する。粗噴射位置P2において支持部材297の後端は、調整筒230よりも後側に僅かに突出している。
本実施形態において調整筒230を周方向に回転させると、螺旋溝233に係合された係合突部97bが、螺旋溝233に沿って前後方向に移動する。これにより、支持部材297を前後方向に移動させて、支持部材297の位置を微細噴射位置P1と粗噴射位置P2との間で切り換えることができる。このとき、図7から図9に示すように、第1実施形態と異なり、調整筒230の前後方向の位置は変化せず、支持部材297の前後方向の位置のみが変化する。
本実施形態によれば、調整筒230の前後方向の位置が変動しないため、支持部材297が粗噴射位置P2に位置する場合において、第1実施形態の図4に示す状態に比べて、トリガー式液体噴出器5の前後方向の寸法を小さくできる。
また、本実施形態によれば、係合突部97bが主窪み部98aの後端に係合することで、係合突部97bが螺旋溝233に沿って移動することが規制される。そのため、回転規制部99bを設けなくても調整筒230の回転が規制され、支持部材297がシリンダ筒96から抜けることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、係合突部97bが螺旋溝233と係合しているため、調整筒230(螺旋溝233)を回転させない場合には、係合突部97bの前後方向の移動が螺旋溝233の内側面によって規制される。これにより、例えば、係合突部97bが主窪み部98aの前後方向の中間位置に位置するような場合であっても、支持部材297がコイルばね112の付勢力によって後方に動くことを抑制できる。したがって、支持部材297を、微細噴射位置P1および粗噴射位置P2以外の位置に維持することが可能である。これにより、噴出孔4から噴射される液体の細かさ、および勢いを連続的に変化させることができる。
また、本実施形態によれば、支持部材297と調整筒230とは、係合突部97bが螺旋溝233に係合することで連結されている。そのため、例えば、第1実施形態のように支持部材97を後方に延ばしてシリンダ筒96の外側で支持部材97と調整筒130とを固定する必要がない。これにより、支持部材297の前後方向の寸法を小さくすることができ、支持部材297の製造コストを低減できる。
なお、本実施形態においては、調整筒230の内周面と支持部材297における支持内筒97aの外周面とにそれぞれ互いに噛み合うネジ溝が形成され、調整筒230と支持内筒97aとが螺合していてもよい。この場合、調整筒230と支持部材297との間の周方向の摩擦力を比較的大きくできる。例えば、調整筒230と支持部材297との間の周方向の摩擦力が比較的小さい場合、コイルばね112の付勢力によって係合突部97bが螺旋溝233の内側面を後方に押し、調整筒230が勝手に回転する場合がある。これに対して、この構成によれば、調整筒230と支持部材297との間の周方向の摩擦力を比較的大きくできるため、調整筒230が勝手に回転することを抑制できる。したがって、支持部材297の前後方向の位置を任意の位置に維持しやすく、噴出孔4から噴射される液体の細かさ、および勢いを連続的に変化させやすい。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。上記各実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記説明した各構成要素を、相互に矛盾が生じない範囲内で、適宜組み合わせてもよい。