JP6745204B2 - トリガー式液体噴出器 - Google Patents

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本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
ノズルの下方に延びるトリガー部の操作により、容器体から液体を吸い上げてノズルから吐出するトリガー式液体噴出器が知られている(例えば下記特許文献1)。
従来のトリガー式液体噴出器では、容器体と連通する縦供給筒部の上部に、前方に向けて延びる射出筒部が設けられている。射出筒部の先端側にはノズルが付設されている。射出筒部の下方には、トリガー部の操作により作動するシリンダが配置されている。そして、トリガー部の操作を行うことで、縦供給筒部からシリンダ内に液体を吸い上げることができると共に、その液体を射出筒部からノズルを経て前方に噴射(噴出)させることができる。
特許第3781904号公報
しかしながら、上記従来のトリガー式液体噴出器では、トリガー部を引くときにのみ液体が噴射される。従って、例えば広い面積に対して液体を吹き付けるようなときには、何度もトリガー部を引く操作を繰り返す必要があり面倒である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、液体の連続噴射を可能にしたトリガー式液体噴出器を提供することである。
(1)本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方側に、前記噴出器本体に対して相対移動可能に配置され、液体を噴射する第1噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延在し、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記第1噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内に、前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢された貯留プランジャと、を備え、前記ノズル部材と前記噴出器本体との間には、前記噴出器本体に対する前記ノズル部材の相対移動に伴って、前記縦供給筒部内と前記第1噴出孔と前記貯留シリンダ内との連通、及びその遮断を切り換える切換通路が形成され、前記ノズル部材は、前記噴出器本体に対する相対移動に伴って連通位置と遮断位置との間を移動可能とされ、前記切換通路は、前記ノズル部材が前記連通位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記貯留シリンダ内と前記第1噴出孔とを連通させ、且つ前記ノズル部材が前記遮断位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記貯留シリンダ内との連通を遮断する。
本発明によれば、液体が収容された容器体に装着した状態でノズル部材を連通位置に位置させ、トリガー部を後方に引いて移動させる操作を行うことで、容器体内の液体を吸い上げて縦供給筒部内に導入することができると共に、切換通路を通じて縦供給筒部内から第1噴出孔に液体を供給することができる。これにより、第1噴出孔から液体を外部に噴射させることができる。
また、これと同時に縦供給筒部内を通過した液体を、切換通路を通じて貯留シリンダ内にも導入することができる。これにより、貯留シリンダ内の貯留プランジャを、軸方向の他方側への付勢力に抗して軸方向の一方側に向けて移動させることができる。従って、トリガー部を引く操作を行う毎に、液体を第1噴出孔から噴射させつつ、貯留プランジャを軸方向の一方側に移動させて貯留シリンダ内に液体を溜める(充填する)ことができる。
しかも、貯留プランジャに作用する付勢力に抗して貯留プランジャを軸方向の一方側に移動させているので、液体を加圧した状態(蓄圧状態)で貯留シリンダ内に充填することができる。
そして、トリガー部を引く操作を止めると、縦供給筒部内からの液体の供給は停止されるが、貯留プランジャに作用する付勢力によって、貯留プランジャが軸方向の他方側に向けて復元移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ内に充填した液体を、切換通路を通じて第1噴出孔側に向けて押し出すことができ、第1噴出孔から加圧された液体を引き続き噴射させることができる。
従って、トリガー部を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
なお、貯留プランジャが軸方向の他方側に向けて復元移動する際、再びトリガー部を引かなければ、貯留プランジャは貯留シリンダにおける軸方向の他端まで移動するが、その前にトリガー部を引く操作を繰り返すこともできる。この場合、貯留プランジャが略一定の幅で軸方向の一方側への移動と他方側への移動とを繰り返し、全体としては徐々に軸方向の一方側へ移動する。従って、この場合であっても貯留シリンダ内に徐々に液体を溜めることができる。
また、上述した連続噴射を行わない場合には、ノズル部材を噴出器本体に対して相対移動させて連通位置から遮断位置に移行させる。これにより、切換通路が縦供給筒部内と貯留シリンダ内との連通を遮断するので、トリガー部を後方に引く操作を行ったとしても、貯留シリンダ内に液体が供給されることを防止することができる。そのため、貯留シリンダ内で液体が加圧されてしまうことを防止することができる。
従って、その後に、ノズル部材を連通位置に位置させて連続噴射を再開する際に、加圧された液体が第1噴出孔から不意に勢いよく噴射されてしまうような不都合を防止することができる。
(2)前記切換通路は、前記ノズル部材が前記遮断位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記第1噴出孔との連通をさらに遮断しても良い。
この場合には、切換通路が縦供給筒部内と貯留シリンダ内との連通を遮断するだけでなく、縦供給筒部内と第1噴出孔との連通も遮断するので、トリガー部を後方に引く操作を行ったとしても、第1噴出孔からの液体の噴射を停止させることができる。従って、連続噴射を行わない場合において、液体の噴射を停止させた状態で保管等を行える。
(3)前記ノズル部材には、前記切換通路を通じて前記縦供給筒部内に連通可能とされると共に、液体を前記第1噴出孔とは異なる噴射態様で噴射する第2噴出孔が形成され、前記切換通路は、前記ノズル部材が前記連通位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記第2噴出孔との連通を遮断させ、且つ前記遮断位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記第2噴出孔とを連通させても良い。
この場合には、ノズル部材を連通位置に位置させることで、上述した場合と同様に、第1噴出孔から液体を噴射させることができると共に、貯留シリンダ内に充填された加圧された液体を第1噴出孔から連続噴射させることができる。
そして、ノズル部材を遮断位置に位置させた場合には、切換通路が縦供給筒部内と第2噴出孔とを連通させるので、第1噴出孔からの液体の噴射を停止させつつ、第2噴出孔から液体を外部に向けて噴射させることができる。このとき、切換通路によって縦供給筒部内と貯留シリンダ内との連通は依然として遮断されているので、貯留シリンダ内で液体が加圧されることを防止しつつ、第2噴出孔から液体を噴射させることができる。
従って、その後に、ノズル部材を遮断位置から連通位置に移行させ、第1噴出孔からの連続噴射を再開する際に、加圧された液体が第1噴出孔から不意に勢いよく噴射されてしまうような不都合を防止することができる。
また、第2噴出孔から液体を噴射させる際、第1噴出孔から噴射される液体の噴射態様とは異なる噴射態様で噴射できるので、液体の噴射態様の切り換えを行うことができる。例えば、第1噴出孔を利用して、噴射角が大きく、且つ粒径の小さい微細な霧状の噴射態様で噴射を行い、第2噴出孔を利用して、噴射角(広がり角)が小さく直線状に等しい噴射態様で噴射を行うといったことが可能である。このように、噴射態様を切り換えることができるので、多様な使い方を行うことができ、利便性を向上することができる。
(4)前記遮断位置は、前記縦供給筒部内と前記第2噴出孔とを連通させる第1遮断位置と、前記縦供給筒部内と前記第2噴出孔との連通をさらに遮断する第2遮断位置と、を備え、前記ノズル部材は、前記噴出器本体に対する相対移動に伴って前記第1遮断位置と前記第2遮断位置との間を移動可能とされても良い。
この場合には、遮断位置のうち第1遮断位置にノズル部材を位置させることで、上述した場合と同様に、第1噴出孔からの液体の噴射を停止させつつ、第2噴出孔から液体を外部に向けて噴射させることができる。また、遮断位置のうち第2遮断位置にノズル部材を位置させることで、第1噴出孔だけでなく第2噴出孔からの液体の噴射についても停止させることができる。従って、液体の漏出を規制した状態で保管等を行える。
本発明によれば、トリガー部を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
本発明に係るトリガー式液体噴出器の第1実施形態を示す縦断面図である。 図1に示すトリガー式液体噴出器における縦供給筒部周辺を拡大した縦断面図である。 図1に示すトリガー式液体噴出器における貯留シリンダ周辺を拡大した縦断面図である。 図3に示すノズル部材を前方側から見た正面図である。 図3に示すノズル部材周辺をさらに拡大した縦断面図である。 図4に示す状態から、ノズル部材を回転させて第2吐出位置に位置させた状態を示す正面図である。 図5に示す状態から、ノズル部材を回転させて第2吐出位置に位置させた状態を示す縦断面図である。 図6に示す状態から、ノズル部材をさらに回転させて停止位置に位置させた状態を示す正面図である。 図7に示す状態から、ノズル部材をさらに回転させて停止位置に位置させた状態を示す縦断面図である。 図5に示すB−B線に沿った断面図である。 図7に示すC−C線に沿った断面図である。 図9に示すD−D線に沿った断面図である。 図3に示す状態から貯留シリンダ内に液体を供給して、貯留プランジャを後方移動させた状態を示す縦断面図である。 本発明に係るトリガー式液体噴出器の第2実施形態を示す縦断面図である。 図14に示すトリガー式液体噴出器における貯留シリンダ周辺を拡大した縦断面図である。 図15に示す状態から貯留シリンダ内に液体を供給して、貯留プランジャを後方移動させた状態を示す縦断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着され、液体を吸上げる縦供給筒部10を有する噴出器本体2と、第1ノズル孔(第1噴出孔)4及び第2ノズル孔(第2噴出孔)5が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成型品とされている。
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側といい、軸線O1に沿う方向を上下方向という。また、上下方向から見た平面視において、軸線O1に直交する一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
図1及び図2に示すように、噴出器本体2は、上下方向に延在する縦供給筒部10と、縦供給筒部10の前方に配置され、内側が縦供給筒部10の内部に連通した接続筒部11と、を備え、左右方向から見た側面視でL字状に形成されている。
なお、前後方向のうち、縦供給筒部10に対して接続筒部11が位置する方向を前側或いは前方とし、その反対方向を後側或いは後方という。
縦供給筒部10は、有頂筒状の外筒12と、外筒12内に嵌合される内筒13と、を備えている。
外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配置され、且つ大径部12aよりも径が小さい小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結するフランジ部12cと、を備え、下方から上方に向けて縮径した二段筒状に形成されている。なお、小径部12bは頂壁部12dによって上部開口部が塞がれている。
内筒13は、大径部13aと、大径部13aの上方に配置され、且つ大径部13aよりも径が小さい小径部13bと、大径部13aの上端部と小径部13bの下端部とを連結するフランジ部13cと、を備え、下方から上方に向けて縮径した二段筒状に形成されている。
内筒13の小径部13b内には、容器体A内に配置され、且つ容器体Aの図示しない底部に下端開口が位置するパイプ15の上部が嵌合されている。内筒13のフランジ部13cは、外筒12のフランジ部12cとの間に隙間S1を確保した状態で、外筒12のフランジ部12cよりも下方に位置している。
内筒13の大径部13aにおいて、外筒12の大径部12aから下方に突出した部分には、その径方向の外側に向けて突出する環状の鍔部13dが形成されている。鍔部13dは、容器体Aの口部A1に装着(例えば螺着)される装着キャップ14の上端部内に配設され、装着キャップ14の上端部をその軸線回りに回転可能に係止する。
鍔部13dは、装着キャップ14と容器体Aの口部A1における上端開口縁とにより上下方向に挟まれる。
なお、外筒12及び内筒13で構成される縦供給筒部10の軸線O1は、容器体Aの容器軸に対して後方に偏心している。
接続筒部11は、後端部が縦供給筒部10における上端部の前側に接続されている。接続筒部11の内部は、外筒12に形成された外側吐出孔16、及び内筒13に形成された内側吐出孔17を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。
内筒13の上端部側の内側には、上下方向に弾性変形可能に形成された吐出弁30が配置されている。
吐出弁30は、内筒13内に嵌合され、外筒12における頂壁部12dの下面に当接するベース部31と、ベース部31の下方に配置され、内筒13の内周面に段差状に形成された弁座32に対して上方から当接する弁体33と、ベース部31及び弁体33を上下に連結する中空ばね部34と、を備えている。
弁体33は、中空ばね部34によって上方から押圧されており、弁座32に対して例えば密に接触している。これにより弁体33は、内筒13内における弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間と、の連通を遮断している。
なお、弁体33は中空ばね部34の付勢力に抗して上昇し、弁座32から離間することで、内筒13内における弁座32よりも上方に位置する空間と、弁座32よりも下方に位置する空間と、を連通させる。
内筒13の内周面のうち弁座32よりも下方に位置し、且つパイプ15の上端よりも上方に位置する部分には、内側に向けて突出する環状のテーパ筒部35が形成されている。
このテーパ筒部35は、下方に向かうに従って漸次縮径している。テーパ筒部35の内側には、テーパ筒部35の内周面に離反可能に着座するボール弁36が配置されている。ボール弁36は、内筒13内において、テーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間と、を連通及び遮断する。
外筒12において、接続筒部11よりも下方に位置する部分には、前方に向けて突出するシリンダ用筒部40が一体に形成されている。
シリンダ用筒部40は、前方に向けて開口していると共に、部分的に外筒12におけるフランジ部12cと一体に形成されている。
噴出器本体2は、接続筒部11から下方に向けて延び、前方付勢状態で後方に揺動可能(移動可能)に配置されたトリガー部51と、トリガー部51の揺動に連動して前後方向に移動する主ピストン52と、主ピストン52の移動に伴って内部が加圧及び減圧する主シリンダ53と、トリガー部51を前方に付勢する弾性板部54と、縦供給筒部10、接続筒部11、後述する貯留シリンダ91の全体を、上方、左右方向及び後方から覆うカバー体55と、をさらに備えている。
上述した吐出弁30、ボール弁36、トリガー部51、主ピストン52、主シリンダ53及び弾性板部54は、トリガー部51の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から接続筒部11内に導入させると共に、接続筒部11内から第1ノズル孔4又は第2ノズル孔5側に射出させるトリガー機構50を構成する。
主シリンダ53は、前方に向けて開口する外筒部60と、外筒部60の後方開口部を塞ぐ後壁部61と、後壁部61の中央部分から前方に向けて突設されると共に前端が閉塞された有頂筒状のピストンガイド62と、を備えている。
ピストンガイド62は内側が後方に開口しており、この開口内に、シリンダ用筒部40における後壁(外筒12の小径部12b)から前方に向けて突設された嵌合突部41が嵌合されている。
外筒部60は、シリンダ用筒部40の内側に嵌合されている。シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面とは、前後方向の両端部において密接している。その一方、シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面との間のうち、前後方向の両端部同士の間に位置する中間部には、環状の隙間S2が確保されている。
外筒部60には、外筒部60の内側と上記隙間S2とを連通させる第1通気孔63が形成されている。外筒12のフランジ部12cには、上記隙間S2と、外筒12のフランジ部12cと内筒13のフランジ部13cとの間に画成された隙間S1と、を連通させる第2通気孔64が形成されている。さらに、内筒13のフランジ部13cには、上記隙間S1と、内筒13の大径部13a及び装着キャップ14の内側と、を連通させる第3通気孔65が形成されている。
主シリンダ53の後壁部61には、ピストンガイド62の上方に位置する部分に、外筒12及び主シリンダ53を前後方向に貫く第1貫通孔66が形成されている。図示の例では、後壁部61における第1貫通孔66の開口周縁部に、後方に向けて突出する筒部が形成されており、この筒部が、外筒12の小径部12bに形成された貫通孔内に嵌合されている。
第1貫通孔66は、縦供給筒部10の内筒13に形成された第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30とボール弁36との間に位置する空間に連通している。
これにより、主シリンダ53の内側は、第1貫通孔66及び第2貫通孔67を通じて、内筒13内のうち、吐出弁30とボール弁36との間に位置する空間に連通している。
従って、吐出弁30が接続筒部11内と主シリンダ53内との連通及びその遮断を切換え、ボール弁36が容器体A内と主シリンダ53内との連通及びその遮断を切換える。
主ピストン52は、トリガー部51に連結される円柱状の連結部70と、連結部70よりも後方に位置し、連結部70よりも大径とされたピストン筒71と、を備え、全体として後方に開口した筒状に形成されている。
なお、主シリンダ53及び主ピストン52は、前後方向に沿って延びる図示しない共通の軸線上に配置されている。
ピストン筒71は、後方に向けて開口し、且つ内部にピストンガイド62が挿入されるピストン本体部72と、ピストン本体部72の後端部からその径方向の外側に向けて突出し、且つ外筒部60の内周面に例えば密に摺接する摺動筒部73と、を備えている。
ピストン本体部72は、内径がピストンガイド62の外径よりも大きく形成されている。図示の例では、ピストン本体部72の内周面とピストンガイド62の外周面との間には若干の隙間があいている。
摺動筒部73は、前後方向の中央部から前方及び後方に向かうに従って漸次拡径するテーパ状に形成され、前後方向の両端部に位置するリップ部73aが外筒部60の内周面に対して摺接している。
主ピストン52の連結部70は、後述する連結軸86を介してトリガー部51に連結されている。これにより、主ピストン52は、トリガー部51と共に弾性板部54の付勢力によって前方に付勢されていると共に、トリガー部51の後方への揺動に伴って後方に移動して主シリンダ53内に押し込まれる。
また、トリガー部51が最前方揺動位置(最前方移動位置)にあるときに、主ピストン52の摺動筒部73は第1通気孔63を閉塞している。そして、トリガー部51の後方への揺動によって主ピストン52が所定量だけ後方移動したときに、摺動筒部73が第1通気孔63を開放する。これにより、容器体Aの内部は、第3通気孔65、第2通気孔64及び第1通気孔63を通じて外部に連通する。
トリガー部51は、左右方向から見た側面視で後方に向けて凹状に湾曲する前面を有する主板部材80と、主板部材80の左右の側縁部から後方に向けて起立する一対の側板部材81と、を備えている。
一対の側板部材81の上端部には、接続筒部11の側方に至るまで上方に延出し、接続筒部11を左右方向から挟み込む一対の連結板82が形成されている。一対の連結板82には、左右方向の外側に向けて回転軸部83が突設されている。これら回転軸部83は、接続筒部11の上方を覆う上板部材84に設けられた軸受け部に回動可能に支持されている。これにより、トリガー部51は、回転軸部83を中心に前後方向に揺動可能とされている。
トリガー部51には、主板部材80を前後方向に貫通する開口部51aが形成されていると共に、開口部51aの周縁部から後方に向けて延びるように連結筒85が形成されている。
連結筒85の内周面のうち後方側に位置する部分には、連結筒85の内側に向けて左右方向に沿って突出した一対の連結軸86が形成されている。これら連結軸86は、主ピストン52の連結部70に形成された連結孔内に挿入されている。これにより、トリガー部51と主ピストン52とは、互いに連結されている。
なお、主ピストン52の連結部70は、連結軸86に対してその軸線回りに回動可能とされ、且つ上下方向で所定量だけ移動可能に連結されている。これにより、トリガー部51の前後方向への揺動に伴って、主ピストン52は前後移動可能とされている。
接続筒部11の上面には、縦供給筒部10における外筒12の頂壁部12dに連結される水平板状の上記上板部材84が取り付けられている。
上板部材84の左右両側には、左右方向から見た側面視で前方に凸の円弧状に形成され、且つ接続筒部11の下方まで延びる上記弾性板部54がそれぞれ一体的に形成されている。弾性板部54は、左右方向から見た側面視で互いに同心の円弧状に形成され、前後に並ぶ一対の板ばねを備えている。
一対の板ばねのうち、前側に位置する板ばねが主板ばね54aとされ、後側に位置する板ばねが副板ばね54bとされている。
これら主板ばね54a及び副板ばね54bの下端部は、円弧状の折返し部54cを介して一体的に接続されている。折返し部54cには、下方に向けて係止片54dが突設されており、この係止片54dがトリガー部51における側板部材81に形成されたポケット部81aに上方から差し込まれて係合している。
これにより、弾性板部54は、係止片54d及びポケット部81aを介してトリガー部51を前方に向けて付勢している。
トリガー部51の主板部材80の上端部は、弾性板部54による付勢によって後述する接続壁140の下端部に対して後方から当接している。これにより、トリガー部51は最前方揺動位置に位置決めされている。
なお、最前方揺動位置からトリガー部51が後方に引かれて移動すると、弾性板部54が係止片54dを介して折返し部54cを後方に移動させるように弾性変形する。このとき、弾性板部54は、主板ばね54aよりも副板ばね54bが大きく弾性変形する。
なお、係止片54dは、トリガー部51が後方に引かれた場合であっても、ポケット部81aから上方に抜け出しつつもトリガー部51が最後方揺動位置(最後方移動位置)に至るまでポケット部81aへの係合状態を維持する。
図1〜図3に示すように、接続筒部11には、貯留部材90が一体に組み合わされている。
貯留部材90は、接続筒部11及び縦供給筒部10の上方に配置され、トリガー部51の後方への揺動によって、縦供給筒部10内及び接続筒部11内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダ91と、貯留シリンダ91内にその中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設された貯留プランジャ92と、貯留シリンダ91の前壁部100から前方に向けて延びたガイド筒部93と、ガイド筒部93から下方に向けて延び、接続筒部11よりも前方に配置される中間筒部94と、中間筒部94から後方に向けて延び、接続筒部11に装着された装着筒部95と、を備えている。
貯留部材90は、装着筒部95が接続筒部11に装着されることで、接続筒部11に対して一体に組み合わされている。
貯留シリンダ91は、前後方向に延び、接続筒部11に対して平行に配置されている。よって、貯留シリンダ91の中心軸線は前後方向に沿って延びている。本実施形態では、貯留シリンダ91の中心軸線を軸線O2という。
貯留シリンダ91は、前壁部100、及び前壁部100から後方に向けて延びたシリンダ筒101を備え、後方に開口した筒状に形成されている。
前壁部100は、接続筒部11よりも前方に配置されている。前壁部100には、前壁部100を前後方向に貫通する供給孔102が形成されている。図示の例では、供給孔102は軸線O2とほぼ同軸上に形成されている。貯留シリンダ91内とガイド筒部93内とは、供給孔102を通じて連通している。
なお、前壁部100のうち、供給孔102よりも下方に位置する部分の後面には、前方に向けて窪むと共に供給孔102に連通する供給溝103が形成されている。
シリンダ筒101は、縦供給筒部10よりも後方に突出するように延びている。シリンダ筒101の後端部には、シリンダ筒101の外側に向けて突出した係止突起104が形成されている。
シリンダ筒101の後端部には、二重筒状のキャップ105が後方から装着されている。キャップ105は、シリンダ筒101の内側に後方から嵌合されたキャップ内筒106と、シリンダ筒101の外側に後方から外嵌されたキャップ外筒107と、を備えている。
キャップ外筒107は、シリンダ筒101に形成された係止突起104に対して前方から係止されている。これにより、キャップ105は後方への抜け止めがされた状態でシリンダ筒101に装着されている。
貯留プランジャ92は、後方に開口した筒状に形成されたロッド110と、ロッド110の前端部に嵌着され、貯留シリンダ91内を前後方向に摺動する摺動部材120と、を備え、軸線O2と同軸に配置されている。
ロッド110の外周面には、シリンダ筒101の内周面に向けて突出する拡径ガイド部111と、軸線O2回りに間隔をあけて配置された複数のリブ片112と、が形成されている。リブ片112は、拡径ガイド部111の後端部に一体に形成されている。ただし、リブ片112は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
摺動部材120は、ロッド110の外周面に前方から嵌合され、前後方向に延びるプランジャ筒121と、プランジャ筒121の前端開口を閉塞する閉塞壁122と、を備えた有頂筒状に形成されている。
プランジャ筒121の外周面には、プランジャ筒121の周方向の全周に亘ってリップ部123が形成されている。リップ部123は、拡径ガイド部111よりも前方に配置され、シリンダ筒101の内周面上を前後方向に密に摺動する。
閉塞壁122は、貯留シリンダ91の前壁部100に、後方に向けて離反可能に接触している。特に貯留プランジャ92は、後述するコイルばね125によるばね力によって前方に付勢されているので、閉塞壁122が貯留シリンダ91の前壁部100に対して前方付勢状態で後方から接触している。
貯留プランジャ92とキャップ105との間には、コイルばね125が圧縮状態で配置されている。
コイルばね125は、ロッド110を囲繞するように配置され、後端部がキャップ内筒106に対して前方から接触し、且つ前端部がリブ片112に対して後方から接触している。これにより、コイルばね125は、貯留シリンダ91内において貯留プランジャ92を前方に向けて常時付勢している。
従って、貯留プランジャ92は、コイルばね125のばね力によって前方(貯留シリンダ91における軸方向の他方側)に付勢された状態で、貯留シリンダ91内への液体の供給に伴って後方(貯留シリンダ91における軸方向の一方側)に移動可能とされている。
なお、閉塞壁122が貯留シリンダ91の前壁部100に対して後方から接触しているときの貯留プランジャ92の位置を最前進位置とする。従って、貯留プランジャ92が最前進位置に配置されている場合には、貯留シリンダ91内に液体がほとんど収容されていないうえ、供給孔102及び供給溝103が摺動部材120によって後方から塞がれている。
これに対して、貯留プランジャ92の後方移動によって、コイルばね125が最大限圧縮したときの貯留プランジャ92の位置を最後退位置とする(図13参照)。従って、貯留プランジャ92が最後退位置に達している場合には、貯留シリンダ91内に液体が最大量収容されている。
ガイド筒部93は、貯留シリンダ91の軸線O2に対して上方に偏心した中心軸線(以下、軸線O3と称する)に沿って前方に延びている。
なお、本実施形態では、軸線O3方向から見た平面視で軸線O3に直交する方向を径方向といい、軸線O3回りに周回する方向を周方向という。
従って、本実施形態では、軸線O2を基準とした径方向及び周方向、軸線O3を基準とした径方向及び周方向が含まれるが、軸線O2及び軸線O3は互いに離れ且つ方向も異なるため、ガイド筒部93周辺の構成部材の説明において径方向及び周方向という場合には、軸線O2を基準とした径方向及び周方向とは区別する表現をあえて用いることなく、軸線O3を基準とした径方向及び周方向をいう。
上記供給孔102は、前壁部100のうちガイド筒部93の内側に位置する部分に形成されている。これにより、先に述べたようにガイド筒部93内と貯留シリンダ91内とは供給孔102及び供給溝103を通じて連通している。ガイド筒部93のうち、後端部側における下部分には、ガイド筒部93を上下方向に貫通する貫通孔126が形成されている。
中間筒部94は、ガイド筒部93の後端部側から下方に向けて延び、下方に向けて開口している。中間筒部94の上端部は、貯留シリンダ91の前壁部100のうちガイド筒部93よりも下方に位置する部分に一体に形成されている。なお、中間筒部94は接続筒部11よりも下方に突出するように形成されている。
中間筒部94のうち前方に位置する部分は、図4に示すように、軸線O3方向から見た正面視で左右方向よりも上下方向に長い平面視矩形状に形成され、貯留シリンダ91の前壁部100よりも前方に配設された前方隔壁130の一部を構成している。
図1、図4及び図5に示すように、前方隔壁130は、左右方向の長さがノズル部材3と同等とされ、貯留シリンダ91よりも上方に突出している。前方隔壁130及びガイド筒部93は、互いに一体に形成されている。ガイド筒部93の後端部には、上方に向けて突設された突起片131が形成されている。
突起片131の前端部は、前方隔壁130に対して一体に形成され、突起片131の後端部は貯留シリンダ91に対して一体に形成されている。これにより、突起片131は、前方隔壁130、ガイド筒部93及び貯留シリンダ91を一体に連結して、前方隔壁130における上端部側を補強している。なお、カバー体55は、突起片131の上端縁に配置された状態で組み付けられている。
前方隔壁130の上端部には、前方に向けて突出すると共に、後述する第1連結筒部151よりも上方に配置された位置決め突起132が形成されている。
図1〜図3に示すように、中間筒部94の内側には、中間筒部94の全長に亘って縦孔135が形成され、貫通孔126を通じてガイド筒部93内に連通している。
縦孔135内には、縦孔135のほぼ全長に亘って栓体136が下方から挿入されている。栓体136は、貫通孔126を開放し、且つ縦孔135の下端開口を密に閉塞した状態で、縦孔135の内周面との間に微小流路137を形成している。縦孔135の空間容積は、栓体136によって小さく形成されている。
装着筒部95は、貯留シリンダ91の下方に配置され、接続筒部11に対して前方から外嵌されると共に上板部材84の下面に対して嵌合されている。中間筒部94には、中間筒部94を前後方向に貫通して装着筒部95内に連通する通路孔138が形成されている。これにより、中間筒部94内における微小流路137は、通路孔138を通じて接続筒部11内に連通している。
従って、縦供給筒部10内は、接続筒部11内、通路孔138、微小流路137及び貫通孔126を通じて、ガイド筒部93の内部に連通する。
中間筒部94と装着筒部95との接続部分には、後方に向けて延びる挿入部139が形成されている。
挿入部139は、接続筒部11の内部空間のうち上側部分に僅かな隙間S3を確保するように、接続筒部11内における前後方向のほぼ全長に亘って前方から挿入されている。これにより、挿入部139は、接続筒部11内の空間容積を小さくしている。
中間筒部94と装着筒部95との接続部分には、下方に向けて接続壁140が突設されている。そして、接続壁140の下端部が、トリガー部51の主板部材80の上端部に対してトリガー部51の前方から当接することで、トリガー部51を最前方揺動位置に位置決めしている。
図5に示すように、貯留部材90は、ガイド筒部93の内側に位置し、且つ前壁部100から前方に向けて延びるガイド軸部150と、ガイド筒部93を径方向外側から囲繞する第1連結筒部151と、をさらに備えている。
ガイド軸部150は、前方に開口した筒状に形成され、軸線O2と同軸に配置されている。ただし、ガイド軸部150の形状はこの場合に限定されるものではなく、例えば中実の円柱状に形成しても構わない。
なお、供給孔102は、ガイド軸部150とガイド筒部93との間に形成されている。
第1連結筒部151は、ガイド筒部93のうち、前方隔壁130よりも前方に位置する部分を径方向外側から囲繞している。第1連結筒部151の前端部は、ガイド筒部93及びガイド軸部150よりも前方に向けて突出している。第1連結筒部151の後端部は、ガイド筒部93における前後方向の中央部から径方向外側に向けて突出した環状の連結壁152に一体に形成されている。なお、連結壁152は、前方隔壁130に対しても一体に形成されている。
図1、図3及び図5に示すように、ノズル部材3は噴出器本体2の前方側に配置されると共に、噴出器本体2に対して相対移動可能に装着されている。
具体的には、ノズル部材3は、貯留部材90の第1連結筒部151に対して軸線O3回りに回転可能に装着され、前方隔壁130よりも前方に配置されている。よって、ノズル部材3は噴出器本体2に対して軸線O3回りに相対回転可能とされている。
ノズル部材3は、ガイド筒部93及び第1連結筒部151よりも前方側に配置されたノズル壁部160と、ノズル壁部160から後方に向けて延び、第1連結筒部151の外側に前方から軸線O3回りに回転可能に嵌合された第2連結筒部161と、第2連結筒部161の内側に配置されると共にノズル壁部160から後方に向けて延び、ガイド軸部150とガイド筒部93との間に前方から軸線O3回りに回転可能に嵌合された切換筒部162と、を備えている。
第2連結筒部161及び切換筒部162は、軸線O3と同軸上に配置されている。
第2連結筒部161は、第1連結筒部151に対して前方に抜け止めがされた状態で回転可能に装着されている。
切換筒部162は、外周面がガイド筒部93の内周面に対して密に接触し、且つ内周面がガイド軸部150の外周面に対して密に接触した状態で、ガイド筒部93とガイド軸部150との間に嵌合されている。これにより、切換筒部162は、ガイド筒部93及びガイド軸部150によってガイドされながら、軸線O3回りに回転可能とされている。そのため、ノズル部材3の全体は、がたつき少なく安定した状態で軸線O3回りに回転可能とされている。
ノズル部材3は、切換筒部162の内側に位置すると共にノズル壁部160から後方に向けて突設され、ガイド軸部150の内側に密に嵌合された円柱状の回転突起163と、第2連結筒部161と切換筒部162との間に位置すると共にノズル壁部160から後方に向けて延び、第1連結筒部151の内側に密に嵌合するシール筒部164と、ノズル壁部160の外周縁部から後方に向けて延び、第2連結筒部161を径方向外側から囲繞する後方外郭筒部165と、ノズル壁部160の外周縁部から前方に向けて延びた前方外郭筒部166と、をさらに備えている。
回転突起163及びシール筒部164は、軸線O3と同軸上に配置されている。
なお、回転突起163は、必須なものではなく具備しなくても構わない。特に、ガイド軸部150を中実の円柱状に形成した場合には、回転突起163は不要である。
先に述べたように、第1連結筒部151は、ガイド筒部93及びガイド軸部150よりも前方に突出するように延びているので、ノズル壁部160とガイド軸部150の前方開口端との間には、回転突起163の外周面と切換筒部162の内周面との間に画成される環状の第1流通空間167が形成されていると共に、ノズル壁部160とガイド筒部93の前方開口端との間には、切換筒部162の外周面とシール筒部164の内周面との間に画成される環状の第2流通空間168が形成されている。
後方外郭筒部165は、前方隔壁130に対して近接する位置まで後方に延びており、第2連結筒部161のほぼ全周を径方向外側から覆っている。図示の例では、後方外郭筒部165は、軸線O3方向から見た正面視で三角形状に形成されている。
ただし、後方外郭筒部165の形状は、軸線O3方向から見た正面視で、円形状や三角形状以外の多角形状(例えば四角形状)に形成されていても良い。
本実施形態の後方外郭筒部165について、より具体的に説明する。
後方外郭筒部165は、図4に示すように、第1壁部170、第2壁部171及び第3壁部172が角部173を介して周方向に繋がった三角形状に形成されている。従って、ノズル部材3を軸線O3回りに約120度の回転角度毎に回転させることで、第1壁部170、第2壁部171及び第3壁部172を順番にカバー体55の上面側に位置させることができる。
第1壁部170のうち周方向の中央に位置する部分は、径方向外側に膨らむと共に位置決め突起132を径方向外側から覆う第1膨出壁174とされている。同様に、第2壁部171及び第3壁部172のうち周方向の中央に位置する部分は、第2壁部171及び第3壁部172がカバー体55の上面側に位置したときに、位置決め突起132を径方向外側から覆う第2膨出壁175及び第3膨出壁176とされている。
第1膨出壁174、第2膨出壁175及び第3膨出壁176の内周面には、図5に示すように、下方に向けて突設され、周方向に間隔をあけて形成された一対の係合リブ177がそれぞれ形成されている。
一対の係合リブ177は、位置決め突起132の周幅分の間隔を少なくとも周方向にあけて配置され、位置決め突起132に対して周方向から乗り越え可能に係合可能とされている。これにより、例えば図4に示すように、第1壁部170が上方に向くようにノズル部材3を回転させたときに、一対の係合リブ177の間に位置決め突起132を配置させて、ノズル部材3を位置決めすることが可能とされている。同様に、第2壁部171及び第3壁部172が上方に向くようにノズル部材3を回転させたときであっても、その位置にノズル部材3を位置決めすることが可能とされている。
図4に示すように、ノズル壁部160及び前方外郭筒部166は、軸線O3方向から見た正面視で、後方外郭筒部165の形状に対応して三角形状に外形形成されている。これにより、前方外郭筒部166と後方外郭筒部165とは前後方向に滑らかに連なるように形成されている。
ただし、ノズル壁部160及び前方外郭筒部166の形状は、軸線O3方向から見た正面視で、円形状や三角形状以外の多角形状(例えば四角形状)に形成されていても良い。
図4及び図5に示すように、ノズル壁部160には、ノズル壁部160から前方に向けた延びた円柱状のノズル軸部180と、ノズル壁部160から前方に向けて延びると共にノズル軸部180を外側から囲む囲繞筒部181と、が形成されている。
ノズル軸部180及び囲繞筒部181は、軸線O3よりも上方に偏心して位置された中心軸線に沿って延びている。
囲繞筒部181は、ノズル軸部180よりも前方に向けて僅かに突出している。ただし、囲繞筒部181は、前方外郭筒部166よりも前方に突出することなく、前方外郭筒部166の内側に配置されるように形成されている。囲繞筒部181とノズル軸部180との間には、環状の流通路182が形成されている。流通路182は、ノズル壁部160を前後方向に貫通するように形成された流通孔183に連通している。
ノズル軸部180には、第1ノズル孔4が形成されたノズルキャップ184が装着されている。第1ノズル孔4は、流通路182を介して流通孔183に連通している。
第2ノズル孔5は、ノズル壁部160を前後方向に貫通するように、ノズル壁部160に直接形成されている。
上述した第1ノズル孔4及び第2ノズル孔5は、異なる噴射態様で液体を噴射させる。
図示の例では、第1ノズル孔4は軸線O3方向から見た正面視で、第2ノズル孔5よりも径が小さい円形状に形成されていると共に、環状の流通路182を経由した液体を噴射させる。これにより、第1ノズル孔4は、第2ノズル孔5とは異なる噴射態様で液体を噴射させることが可能とされている。
本実施形態では、噴射角が大きく、且つ粒径が小さい微細な霧状の噴射態様で第1ノズル孔4から液体を噴射させる。また、噴射角(広がり角)が小さく、直線状に等しい噴射態様で第2ノズル孔5から液体を噴射させる。特に第1ノズル孔4から液体を噴射させる場合には、液体を環状の流通路182内を流通させるので、液体にスピンをかけることができ、微細な霧状で噴射させ易い。
さらに、第1ノズル孔4及び第2ノズル孔5は、図4に示すように、軸線O3を中心として120度の回転角度があいた位置関係となるように配置されている。そのうえで、第1ノズル孔4は、軸線O3方向から見た正面視で、流通孔183がシール筒部164よりも径方向内側の領域内に収まるように配置されている。同様に、第2ノズル孔5は軸線O3方向から見た正面視で、シール筒部164よりも径方向内側の領域内に収まるように配置されている。
具体的には、第1ノズル孔4は、図5に示すように、第1壁部170が上方に向くようにノズル部材3を回転させたときに、流通孔183が軸線O3よりも上方に位置し、且つ第1流通空間167に連通するように配置されている。第2ノズル孔5は、図6及び図7に示すように、第2壁部171が上方に向くようにノズル部材3を回転させたときに、軸線O3よりも上方に位置し、且つ第2流通空間168に連通するように配置されている。
上述のように構成されたノズル部材3は、貯留部材90に対して軸線O3回りに回転することに伴って、図4及び図5に示すように第1壁部170が上方を向いた第1吐出位置P1と、図6及び図7に示すように第2壁部171が上方を向いた第2吐出位置P2と、図8及び図9に示すように第3壁部172が上方を向いた停止位置P3と、の間を順番に移動可能とされている。
図5、図7及び図9に示すように、ノズル部材3と貯留部材90との間には、縦供給筒部10内から供給される液体の流れを切り換える切換通路190が形成されている。
ノズル部材3は、この切換通路190を利用して、第1吐出位置P1において第1ノズル孔4から液体を霧状に外部に噴射させ、第2吐出位置P2において第2ノズル孔5から液体を直線状に外部に噴射させ、停止位置P3において第1ノズル孔4及び第2ノズル孔5からの液体の噴射を停止させるように構成されている。
なお、第1膨出壁174の上面に「液体を霧状に噴射することができる」旨を表すマークとして例えば「霧」の表記を行い、第2膨出壁175の上面に「液体を直線状に噴射することができる」旨を表すマークとして例えば「直」の表記を行い、第3膨出壁176の上面に「液体を噴射することができない」旨を表すマークとして例えば「止」の表記を行っても構わない。
上述した切換通路190について説明する。
図5、図7及び図9に示すように、ガイド軸部150のうち、前方隔壁130よりも前方に位置する前端部側の外周面には、軸線O3に沿って直線状に延びると共に前方に開口する第1切換溝191が形成されている。これにより、第1切換溝191は第1流通空間167内に常時連通している。第1切換溝191は、ガイド軸部150における下側部分に形成されている。
ガイド筒部93の内周面には、軸線O3に沿って直線状に延びると共に前方に開口する第2切換溝192が形成されている。これにより、第2切換溝192は第2流通空間168内に常時連通している。第2切換溝192は、ガイド筒部93の下側部分に形成されている。
切換筒部162は、ガイド軸部150とガイド筒部93との間に、これらガイド軸部150及びガイド筒部93のほぼ全長に亘って前方から挿入され、貫通孔126を超えて後方に延びている。
そして、切換筒部162のうち貫通孔126よりも後方に位置する部分には、図5及び図10に示すように、切換筒部162を上下方向に貫通する切換孔193が形成されている。切換孔193は、軸線O3に沿って直線状に延びるスリット状に形成されていると共に後方に開口している。特に、切換孔193は、ノズル部材3を第1壁部170が上方を向いた第1吐出位置P1に位置させたときに下方に配置されて、貫通孔126に連通するように形成されている。
従って、図5に示すように、ノズル部材3を第1壁部170が上方を向いた第1吐出位置P1に位置させた場合には、切換孔193を通じて、貫通孔126と供給孔102とを連通させることができる。そのため、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内とを、貫通孔126、切換孔193及び供給孔102を通じて連通させることが可能となる。
切換筒部162のうち貫通孔126よりも前方に位置する部分の内周面には、軸線O3に沿って直線状に延びる第3切換溝194が形成されている。第3切換溝194は、切換孔193の前方に位置するように形成され、切換孔193に対して常時連通している。しかも、第3切換溝194は、第1切換溝191の後端部よりも前方に延びるように形成されている。
これにより、ノズル部材3を第1壁部170が上方を向いた第1吐出位置P1に位置させた場合には、第3切換溝194を通じて切換孔193と第1切換溝191とを連通させることができる。そのため、第1ノズル孔4と切換孔193とを、第3切換溝194、第1切換溝191、第1流通空間167、流通孔183及び流通路182を通じて、連通させることが可能となる。
以上のことから、ノズル部材3を第1壁部170が上方を向いた第1吐出位置P1に位置させた場合には、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内と第1ノズル孔4とを連通させることが可能とされている。よって、第1吐出位置P1は、縦供給筒部10内、貯留シリンダ91内及び第1ノズル孔4を相互に連通させる連通位置として機能する。
これに対して、図7及び図11に示すように、ノズル部材3を第2壁部171が上方を向いた第2吐出位置P2、或いは図9及び図12に示すように、第3壁部172が上方を向いた停止位置P3に位置させた場合には、切換孔193が貫通孔126に対して対向する位置から周方向に移動するので、切換孔193を通じた貫通孔126と供給孔102との連通を遮断することができると共に、切換孔193及び第3切換溝194を通じた貫通孔126と第1切換溝191との連通を遮断することができる。
従って、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内との連通を遮断し、且つ縦供給筒部10内と第1ノズル孔4との連通を遮断することが可能となる。
よって、第2吐出位置P2及び停止位置P3は、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内と第1ノズル孔4との連通を遮断する遮断位置として機能する。
また、図7及び図11に示すように、切換筒部162のうち、前後方向の中央部よりも後方に位置する部分の外周面には、軸線O3に沿って直線状に延びる第4切換溝195が形成されている。
第4切換溝195は、切換孔193及び第3切換溝194に対して周方向にずれた位置に形成されている。具体的には、第4切換溝195は、ノズル部材3を第2壁部171が上方を向いた第2吐出位置P2に位置させたときに下方に配置されて、貫通孔126に連通するように形成されている。
第4切換溝195は、第2切換溝192の後端部よりも前方に延びるように形成されている。これにより、ノズル部材3を第2吐出位置P2に位置させた場合には、第4切換溝195を通じて切換孔193と第2切換溝192とを連通させることができる。そのため、第2ノズル孔5と切換孔193とを、第4切換溝195、第2切換溝192及び第2流通空間168を通じて、連通させることが可能となる。
従って、ノズル部材3を第2壁部171が上方を向いた第2吐出位置P2に位置させた場合には、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内との連通を遮断しつつ、縦供給筒部10内と第2ノズル孔5とを連通させることが可能とされている。
なお、図9及び図12に示すように、ノズル部材3を第3壁部172が上方を向いた停止位置P3に位置させた場合には、第4切換溝195が貫通孔126に対して対向する位置から周方向に移動するので、第4切換溝195を通じた貫通孔126と第2切換溝192との連通を遮断することができる。従って、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内との連通を遮断し、且つ縦供給筒部10内と第2ノズル孔5との連通を遮断することが可能となる。
以上のことから、第2吐出位置P2は、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内と第1ノズル孔4との連通を遮断しながらも、縦供給筒部10内と第2ノズル孔5とを連通させる第1遮断位置として機能する。さらに、停止位置P3は、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内と第1ノズル孔4との連通を遮断し、且つ縦供給筒部10内と第2ノズル孔5との連通も遮断する第2遮断位置として機能する。
なお、第1遮断位置及び第2遮断位置は、上述した遮断位置に含まれる。
上述した第1流通空間167、第2流通空間168、切換孔193、第1切換溝191、第2切換溝192、第3切換溝194及び第4切換溝195は、貯留部材90に対するノズル部材3の軸線O3回りの回転に伴って、縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内と第1ノズル孔4と第2ノズル孔5との連通、及びその遮断を切り換える上記切換通路190を構成する。
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。
なお、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10から液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。また、図1に示すように、貯留部材90に対してノズル部材3を軸線O3回りに回転させて、第1壁部170が上方を向いた第1吐出位置P1に位置決めされているものとする。
図1に示される状態で、トリガー部51を弾性板部54の付勢力に抗して後方に引くと、トリガー部51の後方移動に伴って主ピストン52が後退するので、主シリンダ53内の液体を、第1貫通孔66及び第2貫通孔67を通じて縦供給筒部10の内筒13に導入することができる。すると、内筒13に導入された液体は、ボール弁36を押し下げて閉弁させると共に、吐出弁30を押し上げて開弁させるので、内側吐出孔17及び外側吐出孔16を通じて接続筒部11内に液体を導入することができる。
これにより、接続筒部11の内圧が上昇するので、接続筒部11内の液体を、通路孔138を通じて中間筒部94の内部に導入させ、さらに微小流路137を介して貫通孔126に導入することができる。そして、ノズル部材3が第1吐出位置P1に位置していることで、図5に示すように、切換孔193が貫通孔126に連通していると共に、第1ノズル孔4に連通する流通孔183が第1流通空間167に連通している。
そのため、切換通路190を通じて貫通孔126から第1ノズル孔4まで液体を供給することができる。すなわち、貫通孔126から切換孔193、第3切換溝194、第1切換溝191、第1流通空間167、流通孔183及び流通路182を通じて第1ノズル孔4まで液体を供給することができる。
これにより、第1ノズル孔4から液体を外部に霧状に噴射させることができる。
またこれと同時に、切換通路190を通じて貯留シリンダ91内にも液体を導入することができる。すなわち、貫通孔126から切換孔193、供給孔102及び供給溝103を通じて貯留シリンダ91内に液体を導入することができる。これにより、貯留シリンダ91内を加圧することができ、図13に示すように貯留プランジャ92を最前進位置からコイルばね125の付勢力に抗して後方に移動させることができる。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行う毎に、液体を第1ノズル孔4から霧状に噴射させつつ、貯留プランジャ92を後方に向けて移動させて、貯留シリンダ91内に液体を溜める(充填する)ことができる。
しかも、コイルばね125の付勢力に抗して貯留プランジャ92を後方に移動させているので、液体を加圧した状態(蓄圧状態)で、貯留シリンダ91内に充填することができる。
そして、トリガー部51を引く操作を止めて該トリガー部51を解放すると、弾性板部54の弾性復元力によってトリガー部51が前方に付勢されて元の位置に復帰するので、これに伴って主ピストン52が前方移動する。そのため、主シリンダ53内に負圧が生じ、この負圧によって、吐出弁30を閉弁した状態で、パイプ15を通じて容器体A内の液体を縦供給筒部10に吸い上げることができる。
すると、新たに吸い上げられた液体は、ボール弁36を押し上げて開弁させ、主シリンダ53内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。
また、トリガー部51の解放時、縦供給筒部10内からの液体の供給は停止されるが、コイルばね125の弾性復元力によって貯留プランジャ92が最前進位置に向けて前方移動(軸方向の他方側に向けて復元移動)しはじめる。
これにより、貯留シリンダ91内に溜まった液体を、切換通路190を通じて第1ノズル孔4側に向けて押し出すことができ、図5に示すように第1ノズル孔4から加圧された液体を引き続き霧状に噴射させることができる。
従って、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
なお、挿入部139及び栓体136によって、接続筒部11内及び中間筒部94内における各空間容積が小さくなっているので、トリガー部51を操作した際、縦供給筒部10内から切換通路190を通じて第1ノズル孔4に供給される液体の圧力を高め易く、液体を高い噴射圧で噴射させることができる。
また、貯留シリンダ91内の圧力を速やかに上昇させて、貯留プランジャ92を直ちに後方移動させ易くなるので、プライミング回数を抑えながら速やかに液体を噴射させることができる。従って、使い勝手が良く、操作性に優れている。
また、栓体136によって中間筒部94内には微小流路137が形成されているので、液体を連続噴射する際、中間筒部94内に液体を逆流させることなく、第1ノズル孔4側に向けて貯留シリンダ91から液体を優先的に供給することができる。従って、安定した連続噴射を行える。
なお、貯留プランジャ92の前進時、再びトリガー部51を引く操作を行わない限り、貯留プランジャ92は最前進位置まで移動するが、その前にトリガー部51を引く操作を繰り返し行っても良い。
この場合、貯留プランジャ92は、後退と前進とを繰り返しながらも、全体としては徐々に後方に移動する。これにより、貯留シリンダ91内に徐々に液体を溜めることができる。そして、貯留プランジャ92を例えば最後退位置まで移動させることで、貯留プランジャ92が最後退位置から最前進位置に移動するまでの長時間に亘って、液体を連続噴射することができる。
次に、液体の噴射態様を変更する場合には、ノズル部材3を軸線O3回りに回転させて、図6及び図7に示すように、第1吐出位置P1から第2壁部171が上方を向いた第2吐出位置P2に移行させる。
これにより、第4切換溝195を貫通孔126に連通させることができると共に、第2ノズル孔5を第2流通空間168内に連通させることができる。つまり、ノズル部材3を第2吐出位置P2に位置させることで、切換通路190は縦供給筒部10内と第2ノズル孔5とを連通させる。またこれと同時に、切換孔193及び第3切換溝194が貫通孔126に対して周方向にずれた位置に移動するので、切換通路190は縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内との連通を遮断すると共に、縦供給筒部10内と第1ノズル孔4との連通を遮断する。
従って、トリガー部51を後方に引く操作を行うことで、切換通路190を通じて第2ノズル孔5に液体を供給することができる。すなわち、貫通孔126から、第4切換溝195、第2切換溝192及び第2流通空間168を通じて第2ノズル孔5に液体を供給することができる。
その結果、第1ノズル孔4からの液体の噴射を停止させつつ、第2ノズル孔5から外部に向けて直接状の液体を噴射させることができる。
最後に、液体の噴射を停止する場合には、ノズル部材3を軸線O3回りにさらに回転させて、図8及び図9に示すように第2吐出位置P2から第3壁部172が上方を向いた停止位置P3に移行させる。これにより、第1ノズル孔4に連通する流通孔183及び第2ノズル孔5を、第1流通空間167或いは第2流通空間168に対していずれも非連通とすることができる。
また、切換筒部162が貫通孔126を閉塞するので、切換通路190は縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内との連通を遮断すると共に、縦供給筒部10内と第1ノズル孔4との連通を遮断し、さらに縦供給筒部10内と第2ノズル孔5との連通を遮断する。
これにより、仮にトリガー部51を操作したとしても、第1ノズル孔4及び第2ノズル孔5からの液体の噴射を停止させることができ、液体の漏出を規制した状態で保管等を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴射させることができ、液体の連続噴射を行うことができる。
特に、液体の連続噴射を行わない場合には、貯留シリンダ91内に液体が供給されてしまうことを防止することができる。
例えば図7に示すようにノズル部材3を第2吐出位置P2に位置させた場合には、切換通路190によって縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内の連通が遮断されるので、貯留シリンダ91内に液体が供給されてしまうことを防止でき、貯留シリンダ91内で液体が加圧されてしまうことを防止することができる。
従って、その後に、ノズル部材3を軸線O3回りに回転させて、第2吐出位置P2から第1吐出位置P1に移行させ、第1ノズル孔4からの連続噴射を再開する場合に、加圧された液体が第1ノズル孔4から不意に勢いよく噴射されてしまうような不都合を防止することができる。
同様に、図9に示すようにノズル部材3を停止位置P3に位置させている場合であっても、切換通路190によって縦供給筒部10内と貯留シリンダ91内との連通が遮断されるので、仮にトリガー部51を後方に引く操作を行ったとしても、貯留シリンダ91内で液体が加圧されてしまうことを防止することができる。
従って、その後に、ノズル部材3を軸線O3回りに回転させて、停止位置P3から第1吐出位置P1に移行させたとしても、加圧された液体が第1ノズル孔4から不意に勢いよく噴射されてしまうような不都合を防止することができる。
なお、ノズル部材3を停止位置P3に位置させている場合には、縦供給筒部10内と第1ノズル孔4との連通、及び縦供給筒部10内と第2ノズル孔5との連通が遮断されているので、内部圧力を逃がすことができず、主ピストン52が後方に移動し難くなる。そのため、トリガー部51を後方に引く操作を行い難くすることができる。
さらに、ノズル部材3を軸線O3回りに回転させて、第1吐出位置P1又は第2吐出位置P2に位置させるだけの簡便な操作で、液体の噴射態様を容易且つ速やかに切り換えることができるので、例えば液体を噴射させる対象物や使用場所等に応じて、最適な噴射態様で液体を速やかに噴射させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係るトリガー式液体噴出器の第2実施形態について図面を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図14及び図15に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器200は、第1実施形態に比べて上下方向の高さが抑制され、全体がコンパクト化されている。
本実施形態の頂壁部12dには、シール筒部12e及び規制突起12fが設けられている。シール筒部12e及び規制突起12fは、いずれも頂壁部12dから下方に向けて延び、且つ軸線O1と同軸に配置されている。シール筒部12eは、規制突起12fを外側から囲繞しており、小径部12bの上端部の内側に嵌合されている。
内筒13内には、第1実施形態における吐出弁30が設けられておらず、ボール弁36だけが配設されている。よって、ボール弁36は、内筒13内においてテーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間と、を連通及び遮断する。
本実施形態の接続筒部201は、縦供給筒部10内に連通しており、その後端部は縦供給筒部10における上端部の前側に接続されている。接続筒部201の後端開口は、シール筒部12e内に開口している。
接続筒部201内には、逆止弁202が設けられている。
逆止弁202は、接続筒部201内に前方から挿入され、接続筒部201における先端部内に配置されている。逆止弁202は、接続筒部201の内側に嵌合された第1隔壁203と、第1隔壁203よりも後方に配置され、接続筒部201の内周面に形成された段差部207に対して前方から離反可能に接触する第2隔壁204と、第1隔壁203と第2隔壁204との間に配置され、前後方向に弾性変形可能な中空ばね部205と、第1隔壁203、中空ばね部205及び第2壁部171を前後方向に連結する連結軸206と、を備えている。
第1隔壁203の外周縁部には、該第1隔壁203を前後方向に貫通する微小孔203aが接続筒部201の周方向に間隔をあけて複数形成されている。第2隔壁204は、中空ばね部205によって後方に押圧され、段差部207に対して前方から密に接触していると共に、中空ばね部205による弾性変形に伴って段差部207から前方に離間するように移動可能とされている。
従って、逆止弁202は、縦供給筒部10側から中間筒部94側に向けた液体及び空気の流れを許容し、中間筒部94側から縦供給筒部10側に向けた液体及び空気の流れを規制している。
貯留部材210は、貯留部材本体220と、貯留部材本体220に一体に組み合わされた貯留シリンダ230と、を備えている。
貯留シリンダ230は、貯留部材本体220の後方に配置されている。これにより、ノズル部材3、貯留部材本体220及び貯留シリンダ230は、前後方向に一列に並ぶように配置されている。
接続筒部201及び貯留シリンダ230は、上下方向に並列して配置され、共通の隔壁W3を備えている。また、貯留シリンダ230は縦供給筒部10上にも配置されている。そのため、縦供給筒部10及び貯留シリンダ230は、頂壁部12dによって形成される共通の隔壁W4を備えている。
なお、シリンダ用筒部40は、接続筒部201と共通の隔壁W1を有すると共に、フランジ部12cと共通の隔壁W2を有している。
また、本実施形態の主シリンダ53は、後方に向けて突出した連通筒部208が設けられている。連通筒部208は、主シリンダ53の後壁部61においてピストンガイド62の上方に位置する部分に配置され、第1貫通孔66内に密に嵌合されていると共に、第1貫通孔66を通じて第2貫通孔67内に密に嵌合されている。これにより、連通筒部208は、縦供給筒部10内と主シリンダ53内とを連通している。
貯留シリンダ230は、前壁部231と、前壁部231から後方に向けて延びたシリンダ筒232と、を備え、後方に開口した筒状に形成されている。前壁部231には、前壁部231を前後方向に貫通する連通孔236が形成されている。
シリンダ筒232は、小径の前筒部240と、大径の後筒部241と、前筒部240及び後筒部241を連結する段部242と、を備え、前側から後側に向けて漸次拡径する多段筒状に形成されている。
段部242は、前側から後側に向かうに従い漸次拡径している。後筒部241は、縦供給筒部10よりも後方に向けて突出している。後筒部241には、後筒部241を上下方向に貫通する係合孔243が後筒部241の周方向に間隔をあけて複数形成されている。
なお、前筒部240が上述した隔壁W3を構成し、前筒部240の後端部、段部242及び後筒部241の前端部が上述した隔壁W4を構成している。
シリンダ筒232には、連絡溝245及び回収孔246が形成されている。
連絡溝245は、前筒部240の後端部における内周面に形成されている。連絡溝245は、前後方向に延びると共に後方に向けて開口している。図示の例では、連絡溝245は軸線O2回りに間隔をあけて複数配置されている。
回収孔246は、段部242に形成され、隔壁W4を上下方向に貫通している。これにより回収孔246は、噴出器本体2に設けられた回収通路247に連通している。
回収通路247は、外筒12と内筒13との間に設けられ、縦供給筒部10を上下方向に縦断している。具体的には、回収通路247は内筒13の外周面に縦溝状に形成され、小径部13bを上下方向に貫通して大径部13a内に連通している。これにより、回収通路247は回収孔246と容器体A内とを連通している。
シリンダ筒232の後筒部241には、後方からキャップ260が装着されている。
キャップ260は、後筒部241の内側に嵌合したキャップ筒261と、キャップ筒261の後端開口部を閉塞するキャップ壁262と、を備え、軸線O2と同軸に配置されている。
キャップ筒261には、後筒部241に形成された係合孔243に対して前方から係合する係合突起263が形成されている。これにより、キャップ260は、後方への抜け止めがされた状態で後筒部241に装着されている。
なお、キャップ壁262の中央部には、該キャップ壁262を前後方向に貫通して、貯留シリンダ230内と外部とを連通させる開口部264が形成されている。
本実施形態の貯留プランジャ92は、ロッド110と、摺動部材270と、を備えている。
摺動部材270は、前後方向に延びるプランジャ筒271と、プランジャ筒271の前端開口を閉塞する閉塞壁272と、を備えている。
プランジャ筒271は、前側から後側に向かうに従い漸次拡径する多段の筒状に形成されている。プランジャ筒271の外周面には、プランジャ筒271の周方向の全周に亘って第1リップ部273及び第2リップ部274が形成されている。
第1リップ部273及び第2リップ部274は、前後方向に間隔をあけて配置され、シリンダ筒232の内周面上を前後方向に密に摺動する。具体的には、第1リップ部273は前筒部240の内周面上を摺動し、第2リップ部274は後筒部241の内周面上を摺動する。
閉塞壁272は、前端面が貯留シリンダ230の前壁部231の後端面に対して後方に向けて離反可能に着座している。これにより、閉塞壁272は連通孔236を開放可能に閉塞している。
特に貯留プランジャ92は、コイルばね125によるばね力によって前方に付勢されているので、閉塞壁272の前端面が前壁部231の後端面に対して前方付勢状態で後方から当接している。これにより、貯留プランジャ92は、連通孔231を直接的に塞いでいる。
貯留シリンダ230の前壁部231には、貯留シリンダ230の軸線O2に対して下方に偏心して位置する中心軸線(以下、軸線O4と称する)に沿って前方に延びた第1結合筒部280が形成されている。
なお、連通孔236は、第1結合筒部280の内側に配置されている。また、第1結合筒部280は、接続筒部201よりも前方に突出している。
貯留部材本体220は、上記第1結合筒部280の前方開口端に対して前方から接触した連結壁部290と、連結壁部290から後方に向かって延びると共に、第1結合筒部280の外側に前方から嵌合された第2結合筒部291と、を備えている。
第1結合筒部280に対して第2結合筒部291が嵌合することで、貯留部材本体220と貯留シリンダ230とは前後方向に並んだ状態で一体に組み合わされている。
連結壁部290には、ガイド軸部150、ガイド筒部93及び中間筒部94が一体に形成されていると共に、第1結合筒部280内に連通する供給孔102が形成されている。これにより、供給孔102まで供給されてきた液体を、第1結合筒部280内、連通孔236を通じて、貯留シリンダ230内に供給することが可能となる。
(トリガー式液体噴出器の作用)
本実施形態のトリガー式液体噴出器200であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
例えば、図14及び図15に示すように、ノズル部材3が第1吐出位置P1に位置しているときに、トリガー部51を後方に引く操作を行うことで、トリガー部51の後方移動に伴って主ピストン52が後退するので、主シリンダ53内の液体を、連通筒部208内を通じて内筒13に導入することができる。すると、内筒13に導入された液体は、ボール弁36を押し下げて閉弁させると共に、接続筒部201内に供給され、中空ばね部205を弾性変形させながら第2隔壁204を前方に向けて押し込んで逆止弁202を開弁させる。
これにより、液体を、中間筒部94を介して貫通孔126に供給することができると共に、切換孔193、供給孔102、第1結合筒部280内及び連通孔236を通じて貯留シリンダ230内に導入することができる。従って、第1ノズル孔4から液体を霧状に噴射させつつ、貯留シリンダ230内に液体を充填することができる。また、トリガー部51を開放することで、貯留シリンダ230内から加圧された液体を押し出し、切換通路190を通じて第1ノズル孔4に供給して、第1ノズル孔4から加圧された液体を霧状に連続噴射させることができる。
このように、本実施形態の場合であっても、ノズル部材3を第1吐出位置P1に位置させることで、液体を第1ノズル孔4から霧状に噴射させることができると共に、液体の連続噴射を行える。
また、ノズル部材3を第2吐出位置P2に位置させることで、液体を第2ノズル孔5から直線状に噴射させることができる。
さらに、ノズル部材3を停止位置P3に位置させることで、第1ノズル孔4及び第2ノズル孔5からの液体の噴射を停止させることができる。
特に本実施形態では、貯留部材本体220と貯留シリンダ230とを前後方向に並べた配置にしているので、第1実施形態に比べて、全体の高さを抑制することができ、コンパクト化を図ることができる。
それに加え、接続筒部201内に逆止弁202が配置されているので、接続筒部201内及び縦供給筒部10内に液体が逆流することや、外気が入り込むことを防止することができ、作動の信頼性を向上することができる。
さらに、図16に示すように貯留プランジャ92が最後退位置に位置する状態では、第1リップ部273が連絡溝245上に位置するので、前筒部240内が連絡溝245を通じて回収孔246に連通し、貯留シリンダ230内と容器体A内とが回収孔246及び回収通路247を通じて連通する。
従って、貯留プランジャ92が後側に十分に移動した状態で、更に液体が貯留シリンダ230内に導入されるときに、この液体を回収通路247から容器体A内に戻すことができる。これにより、貯留シリンダ230内の圧力が過度に高くなるのを抑え、例えば、貯留シリンダ230の損傷などを防ぎ易くすることができる。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記各実施形態では、第1ノズル孔4及び第2ノズル孔5から前方に向けて液体を噴射させたが、この場合に限定されるものではなく、前方とは異なる方向に液体を噴出してもよい。
また、トリガー部51が後方に揺動可能とされていたが、トリガー部51が後方に移動する形態を適宜採用することが可能である。例えば、トリガー部51が後方に向けてスライド移動可能とされていても良い。さらに、トリガー部51の操作をロックする機構をさらに設けても構わない。
また、上記各実施形態では、ノズル部材3を軸線O3回りに回転させることで第1吐出位置P1と第2吐出位置P2と停止位置P3との間を移動させたが、この場合に限定されるものではなく、例えばノズル部材3をスライド移動させることで、第1吐出位置P1と第2吐出位置P2と停止位置P3との間を移動させても構わない。いずれにしても、噴出器本体2に対してノズル部材3を相対移動可能に構成し、相対移動に伴ってノズル部材3を各位置に移動可能とされていれば良い。
また、第2ノズル孔5は必須なものではなく具備しなくても構わない。この場合には、例えばノズル部材3が第1吐出位置P1と停止位置P3との間で移動可能とされていれば良い。
さらに、液体の噴射態様を、第1ノズル孔4と第2ノズル孔5とで異なるように構成したが、同じ噴射態様で噴射させても構わない。この場合には、ノズル部材3を第1吐出位置P1に位置させることで、液体を第1ノズル孔4から噴射させつつ、貯留シリンダ91(或いは230)内にも溜めることができるので、その後に連続噴射を行うことができる。また、ノズル部材3を第2吐出位置P2に位置させることで、貯留シリンダ91(或いは230)内に液体を溜めることなく、第2ノズル孔5から液体を噴射させることができる。従って、連続噴射を望まず、数回の簡単な噴射だけを希望する場合には、有効である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
P1…第1吐出位置(連通位置)
P2…第2吐出位置(遮断位置、第1遮断位置)
P3…停止位置(遮断位置、第2遮断位置)
A…容器体
1、200…トリガー式液体噴出器
2…噴出器本体
3…ノズル部材
4…第1ノズル孔(第1噴出孔)
5…第2ノズル孔(第2噴出孔)
10…縦供給筒部
50…トリガー機構
51…トリガー部
91、230…貯留シリンダ
92…貯留プランジャ
190…切換通路

Claims (4)

  1. 液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
    前記噴出器本体の前方側に、前記噴出器本体に対して相対移動可能に配置され、液体を噴射する第1噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
    前記噴出器本体は、
    上下方向に延在し、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
    前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記第1噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、
    前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
    前記貯留シリンダ内に、前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢された貯留プランジャと、を備え、
    前記ノズル部材と前記噴出器本体との間には、前記噴出器本体に対する前記ノズル部材の相対移動に伴って、前記縦供給筒部内と前記第1噴出孔と前記貯留シリンダ内との連通、及びその遮断を切り換える切換通路が形成され、
    前記ノズル部材は、前記噴出器本体に対する相対移動に伴って連通位置と遮断位置との間を移動可能とされ、
    前記切換通路は、前記ノズル部材が前記連通位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記貯留シリンダ内と前記第1噴出孔とを連通させ、且つ前記ノズル部材が前記遮断位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記貯留シリンダ内との連通を遮断する、トリガー式液体噴出器。
  2. 請求項1に記載のトリガー式液体噴出器において、
    前記切換通路は、前記ノズル部材が前記遮断位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記第1噴出孔との連通をさらに遮断する、トリガー式液体噴出器。
  3. 請求項2に記載のトリガー式液体噴出器において、
    前記ノズル部材には、前記切換通路を通じて前記縦供給筒部内に連通可能とされると共に、液体を前記第1噴出孔とは異なる噴射態様で噴射する第2噴出孔が形成され、
    前記切換通路は、前記ノズル部材が前記連通位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記第2噴出孔との連通を遮断させ、且つ前記遮断位置に位置したときに、前記縦供給筒部内と前記第2噴出孔とを連通させる、トリガー式液体噴出器。
  4. 請求項3に記載のトリガー式液体噴出器において、
    前記遮断位置は、前記縦供給筒部内と前記第2噴出孔とを連通させる第1遮断位置と、前記縦供給筒部内と前記第2噴出孔との連通をさらに遮断する第2遮断位置と、を備え、
    前記ノズル部材は、前記噴出器本体に対する相対移動に伴って前記第1遮断位置と前記第2遮断位置との間を移動可能とされている、トリガー式液体噴出器。
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