JP6542517B2 - 唾液分泌促進剤 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された酸による刺激は、嗜好性の面から使用が限定される場合があり、また、刺激が強いため、頻繁に適用した場合には歯牙の溶解や口腔粘膜に対する刺激等、口腔組織への影響が危惧されていた。
特許文献2に開示された嗅覚的に刺激を与える方法は、嗅覚刺激の消失とともに効果が消失してしまうという問題があった。
特許文献3〜6に開示された植物抽出物を使用する方法は、特有の刺激や呈味、香味を有しているものが多く、利用できる食品組成物、口腔用組成物が限られていた。また、有機酸を併用することが必須又は推奨されている場合もあり、使用について制約があることがあった。
特許文献7及び8に開示された薬物を用いる方法は、副作用が懸念されていた。
項1.増粘多糖類を添加することを特徴とする、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を増強する方法。
項2.増粘多糖類がキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上である、項1に記載の唾液分泌促進効果の増強方法。
項3.オランダセンニチ抽出物1質量部に対して、増粘多糖類を100〜15000質量部添加することを特徴とする項1又は2に記載の唾液分泌促進効果の増強方法。
項4.オランダセンニチ抽出物及び増粘多糖類を含有し、オランダセンニチ抽出物1質量部に対する増粘多糖類の含量が100〜15000質量部であることを特徴とする唾液分泌促進剤。
項5.増粘多糖類がキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上である、項4に記載の唾液分泌促進剤。
項6.項4又5のいずれかに記載の唾液分泌促進剤を含有する飲食品。
本発明にあるオランダセンニチは、キク科の一年草であり、別名センニチギク(千日菊)又はハトウガラシ(葉唐辛子)と呼ばれる。辛味成分であるスピラントールを有するため、刺激性があり、スパイスやハーブとして飲食品に利用されている。本発明に用いるオランダセンニチ抽出物は、抽出工程に制限はないが、例えば、オランダセンニチから溶媒により抽出して得られる抽出物、超臨界若しくは亜臨界二酸化炭素により抽出して得られる抽出物、又は水蒸気蒸留により得られるオランダセンニチの精油等を使用することができる。抽出に使用できる溶媒としては、水、アルコール、含水アルコール等を例示できる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、プロピレングリコール、グリセリン等が例示でき、これらのうち2種類以上を混合してもよい。本具体例に制限されないが、オランダセンニチ抽出物の溶媒抽出方法として、例えば、オランダセンニチ1質量部に対し、溶媒1〜20質量部を加え、必要によっては撹拌を行いながら常温(適宜加温しても良い)で30分〜24時間抽出処理を行い、抽出後、濾過又は遠心分離等により不溶物を除去し、抽出物を得る方法が挙げられる。なお、本発明に係るオランダセンニチはキバナオランダセンニチを含む。
特に本発明では、増粘多糖類の中でもキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上を用いることで、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を顕著に増強することができる。
オランダセンニチ抽出物に対する増粘多糖類の添加量は特に制限されないが、通常、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して100〜15000質量部、好ましくは300〜9000質量部、更に好ましくは600〜7000質量部である。オランダセンニチ抽出物に対する増粘多糖類の添加量が、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して100質量部より少ないと、オランダセンニチ抽出物由来の辛味成分の味が感じられる場合があり、飲食品に使用すると、飲食品の味が損なわれる場合がある。また、オランダセンニチ抽出物に対する増粘多糖類の添加量が、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して15000質量部より多いと、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を十分に増強することができない場合がある。なお、本発明において、オランダセンニチ抽出物の含量、添加量は固形分換算の含量、添加量をいう。
また、本発明では、唾液分泌促進効果を奏するオランダセンニチ抽出物の有効成分の一つである、スピラントール1質量部に対して、増粘多糖類が150〜25000質量部、好ましくは500〜15000質量部、更に好ましくは1000〜12000質量部となるように併用することが望ましい。スピラントールに1質量部に対して、増粘多糖類が150質量部より少ないと、スピラントールの味が感じられる場合があり、飲食品に使用すると、飲食品の味が損なわれる場合がある。また、スピラントール1質量部に対して、増粘多糖類が25000質量部より多いと、オランダセンニチ抽出物の唾液分泌促進効果を十分に増強することができない場合がある。
唾液分泌促進剤におけるオランダセンニチ抽出物の含量は特に制限されないが、飲食品におけるオランダセンニチ抽出物の含量が通常、0.00001〜0.05質量%、好ましくは0.00005〜0.025質量%、更に好ましくは0.00005〜0.015質量%となるように、唾液分泌促進剤にオランダセンニチ抽出物を含有させることが望ましい。更には、飲食品におけるスピラントール含量が0.000005〜0.03質量%、好ましくは0.00003〜0.015質量%、更に好ましくは0.00003〜0.01質量%となるように、唾液分泌促進剤にオランダセンニチ抽出物を含有させることが望ましい。
オランダセンニチ抽出物1質量部に対する増粘多糖類の添加量は上記添加量に従って決定できる。
オランダセンニチ1質量部に対し、85容量%含水エタノール5質量部を加え、常温で15時間抽出処理を行い、抽出後、濾過することで、オランダセンニチ抽出物(液体品、スピラントール含量60質量%)を得た。
唾液分泌促進剤の含量が次の表1に掲げる量となるように、水に唾液分泌促進剤を添加し、唾液分泌促進効果を評価した。配合については、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して、2000質量部のグァーガムを添加した。また、グァーガムは、ずり速度100(S−1)での粘度が0.06〜0.07Pa・sとなるように添加量を調整した。
表1で得られた飲食品(水溶液)15gを口に含み5秒間保持した後、一回で嚥下し、更に5秒間経過後、舌の下に脱脂綿を入れて2分間保持した。2分後、脱脂綿を回収し、舌の下に入れる前後の重量変化を測定することで、各々の唾液分泌促進剤(実施例1−1、比較例1−1及び比較例1−2)を添加した場合の唾液分泌量を測定した。結果を表2及び図1に示す。唾液分泌量の個人差を排除するため、表2には、ブランク(水)を用いて測定した唾液分泌量を1として標準化した数値を示す。具体的には、水15gを用いて、上記測定方法と同様に唾液分泌量を測定した。唾液分泌促進剤(実施例1−1)を用いた場合の唾液分泌量を、水15gを用いた場合の唾液分泌量で除した値が標準化した数値である。
オランダセンニチ抽出物のみを含有する比較例1−1の唾液分泌促進剤を用いた場合は、概ね唾液分泌量の増加が認められたが、被験者によっては唾液分泌促進効果がない場合も見られた。また、唾液分泌促進剤として、増粘多糖類とオランダセンニチ抽出物を併用した系(実施例1−1)に比べると、唾液分泌促進効果は低かった。
グァーガムのみを含有する比較例1−2の唾液分泌促進剤を用いた場合は、多くの被験者で唾液分泌量がブランク(水)と同等または同等以下であり、唾液分泌促進効果は認められなかった。以上より、増粘多糖類(グァーガム)自体は単独で唾液分泌促進効果を奏さないにも関わらず、オランダセンニチ抽出物と増粘多糖類(グァーガム)を併用することで、オランダセンニチ抽出物が有する唾液分泌促進効果を有意に増強することが判明した。
表3に従って増粘多糖類の種類及び添加量を変更する以外は、実験例1と同様にして、唾液分泌促進剤を調製し、唾液分泌促進効果を評価した。
具体的には、唾液分泌促進剤の含量が、次の表3に掲げる量となるように、水に唾液分泌促進剤を添加し、唾液分泌促進効果を評価した。配合については、オランダセンニチ抽出物(液体品、スピラントール含量60質量%)1質量部に対して2000質量部のキサンタンガムを添加(実施例2−1)、オランダセンニチ抽出物1質量部に対して1500質量部のローカストビーンガムを添加(実施例2−2)した。また、増粘多糖類(キサンタンガム、ローカストビーンガム)は、ずり速度100(S−1)での粘度が、実施例1−1と同様、0.06〜0.07Pa・sとなるように添加量を調整した。
オランダセンニチ抽出物のみを含有する比較例2−1の唾液分泌促進剤を用いた場合は、概ね唾液分泌量の増加が認められたが、被験者によっては唾液分泌促進効果がない場合も見られた。また、唾液分泌促進剤として、増粘多糖類とオランダセンニチ抽出物を併用した系(実施例2−1、実施例2−2)に比べると、唾液分泌促進効果は低かった。
表5に従って増粘多糖類(キサンタンガム)の添加量を変更する以外は、実験例1と同様にして、唾液分泌促進剤を調製し、唾液分泌促進効果を評価した。
具体的には、唾液分泌促進剤の含量が、次の表5に掲げる量となるように、水に唾液分泌促進剤を添加し、唾液分泌促進効果を評価した。配合については、オランダセンニチ抽出物(液体品、スピラントール含量60質量%)1質量部に対して、キサンタンガムを200質量(実施例3−1)、400質量部(実施例3−2)、800質量部(実施例3−3)、6000質量部(実施例3−4)、8000質量部(実施例3−5)、10000質量部(実施例3−6)添加した。
唾液分泌促進効果を有する成分として、オランダセンニチ抽出物に代えてメントールを使用し、表7に示す処方で、比較例4−1〜4−4の飲食品(水溶液)を調製した。
以上より、本発明で示す増粘多糖類の添加による唾液分泌促進効果の増強は、メントールでは認められず、オランダセンニチ抽出物に対する特有のものであることが判明した。
流動層造粒により顆粒化した唾液分泌促進剤の唾液分泌促進効果の評価を行った。
具体的には、次の表9に示すとおり、キサンタンガムとデキストリンを粉体混合し、当該混合物に対して、オランダセンニチ抽出物を含有するバインダー溶液を噴霧して、顆粒状の唾液分泌促進剤を調製した。なお、オランダセンニチ抽出物は実験例1と同じものを使用した。得られた顆粒状の唾液分泌促進剤(実施例5−1及び比較例5−1)2gを水98gに添加し、実験例1及び2と同様の方法で唾液分泌促進効果を評価した。
Claims (2)
- オランダセンニチ抽出物及び増粘多糖類を含有し、オランダセンニチ抽出物1質量部に対する増粘多糖類の含量が1500〜2000質量部であることを特徴とする唾液分泌促進剤であって、
増粘多糖類がキサンタンガム、ローカストビーンガム及びグァーガムからなる群から選択される1種以上である、
唾液分泌促進剤。 - 請求項1に記載の唾液分泌促進剤を含有する、唾液分泌促進用飲食品用組成物。
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