以下、本発明の実施の形態によるダンプトラックについて、図1ないし図23に従って詳細に説明する。
図1において、ダンプトラック1は、大型の運搬車両として構成されている。ダンプトラック1は、鉱山で採掘した砕石物等の運搬対象物を運搬するものである。ここで、ダンプトラック1は、後述する車体フレーム11と、前輪2、後輪3、前輪側サスペンション装置4、後輪側サスペンション装置5、荷台7、ホイストシリンダ8、キャブ10を含んで構成されている。
左,右の前輪2は、車体フレーム11の前側に回転可能に設けられた操舵輪を構成している。一方、左,右の後輪3(いずれも左側のみ図示)は、車体フレーム11の後側に回転可能に設けられた駆動輪を構成している。
左,右の前輪側サスペンション装置4は、車体フレーム11に対して前輪2を弾性的に支持している。左,右の後輪側サスペンション装置5(いずれも左側のみ図示)は、車体フレーム11に対して後輪3を弾性的に支持している。これにより、各サスペンション装置4,5は、前輪2,後輪3から車体フレーム11側に伝わる振動を緩衝している。ここで、左,右の後輪側サスペンション装置5は、上,下方向に延びた上端側が後述する車体フレーム11の左,右の後端ブラケット35,36に取付けられている。一方、各後輪側サスペンション装置5の下端側は、走行駆動装置6のアクスルハウジング6Aに取付けられている。
走行駆動装置6は、左,右の後輪3を回転駆動するもので、各後輪3に接続されている。走行駆動装置6は、走行モータ、減速装置等(いずれも図示せず)を収容して左,右方向に延びた円筒状のアクスルハウジング6Aと、このアクスルハウジング6Aから前方に突出したブラケット6Bとを有している。走行駆動装置6のブラケット6Bの前端部は、後述する車体フレーム11のマウント部材39に対し上,下方向に回動可能に取付けられている。
荷台7は、車体フレーム11上に傾転可能(起伏可能)に取付けられている。荷台7は、例えば採掘された大量の砕石等を積載するため、全長が10メートルを超えるような有底な大型の容器として形成されている。荷台7は、底部の前,後方向の後側寄り部位が車体フレーム11に設けられた後述する左,右の後端ブラケット35,36に連結ピン7Aを介して傾動可能に連結されている。荷台7は、後述のホイストシリンダ8を伸長または縮小させることにより、連結ピン7Aを支点として上,下方向に回動される。
ホイストシリンダ8は、車体フレーム11と荷台7との間に左,右方向で対をなして設けられている(左側のみ図示)。ホイストシリンダ8は、例えば油圧シリンダからなり、車体フレーム11に対して荷台7を上,下に傾動させる荷台傾動装置を構成している。ホイストシリンダ8の下端側(ロッド側)は、後述のシリンダ支持軸34に回動可能に取付けられている。一方、ホイストシリンダ8の上端側(チューブ側)は、荷台7の底部側に回動可能に取付けられている。
従って、ホイストシリンダ8は、伸長または縮小されることにより、荷台7の前側を連結ピン7Aを支点として上,下方向に回動(昇降)する。これにより、荷台7は、前側が上方に持上げられた排土位置へと傾動され、荷台7に積載された運搬対象物を後側から排出することができる。
建屋9は、車体フレーム11の前側に機械室を画成するもので、その内部には、エンジン、油圧ポンプ等(いずれも図示せず)が収容されている。ここで、建屋9の上側には、後述のキャブ10等が搭載されている。
キャブ10は、建屋9の上方に位置し、水平方向に広がるフロア10A上に設けられている。キャブ10は、オペレータが搭乗する運転室を画成するもので、ボックス状に形成されている。キャブ10内には、オペレータが着座する運転席、ハンドル、ペダル等(いずれも図示せず)が配設されている。
次に、本発明の特徴部分となるダンプトラック1の車体フレーム11の構成について説明する。
車体フレーム11は、ダンプトラック1のメインの骨格を形成するもので、前,後方向に延びる強固な支持構造体として構成されている。図2ないし図5に示すように、車体フレーム11は、後述の左フレーム12、右フレーム17、前連結体22、後連結体23、中間連結体24を含んで構成されている。
左フレーム12は、車体フレーム11の左,右方向の左側に位置して前,後方向に延びて形成されている。図3、図4に示すように、左フレーム12は、車体フレーム11の左,右方向の内側に位置して前,後方向に延びる左内板13と、前記左内板13と間隔をもって左,右方向の外側に位置して前,後方向に延びる左外板14と、前記左内板13および前記左外板14の上端を閉塞する左上板15と、前記左内板13および前記左外板14の下端を閉塞する左下板16とによりボックス状(角筒状)に形成されている。
次に、左フレーム12を構成する左内板13の構成について、図7、図11、図12等を参照しつつ説明する。
図7、図11、図12に示すように、左内板13は、長さ方向で分割された複数枚の板状体により形成されている。左内板13は、最前部に位置する第1内板体13Aと、前記第1内板体13Aの後側に位置する第2内板体13Bと、前記第2内板体13Bの後側に位置する第3内板体13Cと、前記第3内板体13Cの後側、即ち、最後部に位置する第4内板体13Dとに分割されている。
この上で、第1内板体13Aと第2内板体13Bとの間、第2内板体13Bと第3内板体13Cとの間、第3内板体13Cと第4内板体13Dとの間は、それぞれ前,後方向に離間している。これにより、第1内板体13Aの後端縁13A1と第2内板体13Bの前端縁13B1との間には、前溶接用開口(図示せず)が設けられている。また、第2内板体13Bの後端縁13B2と第3内板体13Cの前端縁13C1との間には、中間溶接用開口(図示せず)が設けられている。さらに、第3内板体13Cの後端縁13C2と第4内板体13Dの前端縁13D1との間には、後溶接用開口13E(図19参照)が設けられている。
ここで、第1内板体13Aの後端縁13A1と第2内板体13Bの前端縁13B1は、対応する前蓋板13Gの前端縁および後端縁との間にV字形状の開先を形成するために、外面側に向け、前記前蓋板13Gから離間するように傾斜している。
第2内板体13Bの後端縁13B2と第3内板体13Cの前端縁13C1は、対応する中間蓋板13Hの前端縁および後端縁との間にV字形状の開先を形成するために、外面側に向け、前記中間蓋板13Hから離間するように傾斜している。
さらに、第3内板体13Cの後端縁13C2と第4内板体13Dの前端縁13D1は、対応する後蓋板13Jの前端縁13J1および後端縁13J2(図19参照)との間にV字形状の開先を形成するために、外面側に向け、前記後蓋板13Jから離間するように傾斜している。
なお、前溶接用開口と中間溶接用開口は、位置、大きさ等の点で後溶接用開口13Eと異なっている。しかし、前溶接用開口と中間溶接用開口の基本構成、機能については、後溶接用開口13Eとほぼ同様となっている。そこで、後溶接用開口13Eについて詳細に説明し、前溶接用開口と中間溶接用開口の説明を省略するものとする。
後溶接用開口13Eは、左外板14のX形開先溶接継手14E、左上板15のX形開先溶接継手15E、左下板16のX形開先溶接継手16Eに対応する位置に配設されている。図19に示すように、後溶接用開口13Eが開口した状態では、左外板14を形成する第3外板体14C、第4外板体14D間、左上板15を形成する第3上板体15C、第4上板体15D間および左下板16を形成する第3下板体16C、第4下板体16D間に後溶接用開口13Eを介して内面側から溶接を施すことができる。
後溶接用開口13Eと同様に、前溶接用開口が開口した状態では、左外板14を形成する第1外板体14A、第2外板体14B間、左上板15を形成する第1上板体15A、第2上板体15B間および左下板16を形成する第1下板体16A、第2下板体16B間に前溶接用開口を介して内面側から溶接を施すことができる。さらに、中間溶接用開口が開口した状態では、左外板14を形成する第2外板体14B、第3外板体14C間、左上板15を形成する第2上板体15B、第3上板体15C間および左下板16を形成する第2下板体16B、第3下板体16C間に中間溶接用開口を介して内面側から溶接を施すことができる。
さらに、左内板13には、第1内板体13Aの後端縁13A1と、第2内板体13Bの前端縁13B1および後端縁13B2と、第3内板体13Cの前端縁13C1および後端縁13C2と、第4内板体13Dの前端縁13D1とに片面溶接用の裏当て材13Fがそれぞれ固着されている。各裏当て材13Fは、図12ないし図15に示すように、縦長な板状体からなり、短辺方向の半分程度が前,後方向に突出するように各板体13A〜13Dに固着されている。
これにより、例えば、図18に示すように、裏当て材13Fは、第3内板体13Cの後端縁13C2と第4内板体13Dの前端縁13D1との間に、後述の後蓋板13Jを溶接するときに、溶融金属を受止めて良好な溶接ビードを形成させる。
左内板13には、前溶接用開口を閉塞する前蓋板13Gと、中間溶接用開口を閉塞する中間蓋板13Hと、後溶接用開口13Eを閉塞する後蓋板13Jとが設けられている。各蓋板13G,13H,13Jは、取付位置、大きさ等の点で異なるものの、その基本構成、機能については、ほぼ同様となっている。そこで、後蓋板13Jについて、その構成、後溶接用開口13E(第3内板体13C、第4内板体13D)との取付構造等について詳細に説明し、前蓋板13G、中間蓋板13Hの説明を省略するものとする。
図15に示すように、後蓋板13Jは、後溶接用開口13Eに嵌まるように、この後溶接用開口13Eよりも僅かに小さな長方形状の板体として形成されている。図19に示すように、後蓋板13Jの前端縁13J1と後端縁13J2は、第3内板体13Cの後端縁13C2と第4内板体13Dの前端縁13D1とに対応するものである。後蓋板13Jの前端縁13J1と後端縁13J2は、第3内板体13Cの後端縁13C2と第4内板体13Dの前端縁13D1との間にV字形状の開先を形成するために、外面側に向けて各端縁13C2,13D1から離間するように傾斜している。
後蓋板13Jは、後溶接用開口13Eを閉塞するように各端縁13J1,13J2を各裏当て材13Fに当接させる。この状態で、第3内板体13Cの後端縁13C2と後蓋板13Jの前端縁13J1との間、第4内板体13Dの前端縁13D1と後蓋板13Jの後端縁13J2との間に溶接を施す。これにより、図18に示すように、各裏当て材13Fで溶融金属が流れ落ちるのを防止しつつ、後溶接用開口13E(第3内板体13C、第4内板体13D)と後蓋板13Jとの間を、裏当て材13F付きのV形開先溶接継手13Kで接合することができる。
同様に、前溶接用開口に前蓋板13Gを裏当て材13F付きのV形開先溶接継手で接合する。また、中間溶接用開口に中間蓋板13Hを裏当て材13F付きのV形開先溶接継手で接合する。これにより、図7に示すように、左内板13は、前,後方向に長尺な1枚の板体として形成される。
次に、左フレーム12を構成する左外板14の構成について、図3、図4、図8等を参照しつつ説明する。
図3、図4に示すように、左外板14は、左内板13と間隔をもって左,右方向の外側、即ち、左側に位置して前,後方向に延びている。図8に示すように、左外板14は、長さ方向で分割された複数枚の板状体により形成されている。左外板14は、最前部に位置する第1外板体14Aと、前記第1外板体14Aの後側に位置する第2外板体14Bと、前記第2外板体14Bの後側に位置する第3外板体14Cと、前記第3外板体14Cの後側、即ち、最後部に位置する第4外板体14Dとに分割されている。
この上で、第1外板体14Aの後端縁14A1と第2外板体14Bの前端縁14B1とが前,後方向で突合されて溶接されている。第2外板体14Bの後端縁14B2と第3外板体14Cの前端縁14C1とが前,後方向で突合されて溶接されている。さらに、第3外板体14Cの後端縁14C2と第4外板体14Dの前端縁14D1とが前,後方向で突合されて溶接されている。
ここで、各端縁14A1,14B1,14B2,14C1,14C2,14D1は、板厚方向の中間部がV字状に突出するように形成されている。これにより、図18、図19に示すように、例えば、第3外板体14Cの後端縁14C2と第4外板体14Dの前端縁14D1とを突合せた状態では、外面側と内面側の両方にV字形状の開先が形成されている。この両面側の開先にそれぞれ溶接を施すことにより、第3外板体14Cと第4外板体14Dとの分割部位をX形開先溶接継手14Eとして接続することができる。
X形開先溶接継手14Eは、第3外板体14Cと第4外板体14Dとの分割部位となり、左内板13の後溶接用開口13Eの前,後方向の中間位置に配置されている。これにより、左内板13の各V形開先溶接継手13Kと左外板14のX形開先溶接継手14Eとを前,後方向の異なる位置に配置することができる。
X形開先溶接継手14Eは、外面側と内面側の両方から溶接を施す構成となっているから、左内板13のV形開先溶接継手13Kに比較して高い溶接強度を有している。また、X形開先溶接継手14Eを内面側から溶接する場合には、後蓋板13Jを取付ける前に、左内板13の後溶接用開口13Eから左フレーム12内に腕や身体を差し入れることにより、容易に、かつ確実に溶接作業を行うことができる。
なお、図2等に示すように、第1外板体14Aの後端縁14A1と第2外板体14Bの前端縁14B1との間、第2外板体14Bの後端縁14B2と第3外板体14Cの前端縁14C1との間にも、それぞれ前述したX形開先溶接継手14Eが施されている。前,後方向の前側および中間に配置された他のX形開先溶接継手14Eも、対応する各V形開先溶接継手と前,後方向の異なる位置に配置されている。
次に、左フレーム12を構成する左上板15の構成について、図3、図5、図9等を参照しつつ説明する。
図3、図5に示すように、左上板15は、左内板13および左外板14の上端を閉塞して設けられている。左上板15は、後述する前連結体22の前板22Aおよび上板22C、後連結体23の上後板23Aおよび上板23D、中間連結体24の上板27と一部が連続して一体形成されている。そこで、図9に示すように、実施の形態では、左上板15と前連結体22の前板22Aおよび上板22C、後連結体23の上後板23Aおよび上板23D、中間連結体24の上板27との境界線を二点鎖線で記載し、この境界線に従って各部の説明をするものとする。この境界線の位置は、目安として記載したもので、この位置に限るものではない。
左上板15は、長さ方向で分割された複数枚の板状体により形成されている。左上板15は、最前部に位置する第1上板体15Aと、前記第1上板体15Aの後側に位置する第2上板体15Bと、前記第2上板体15Bの後側に位置する第3上板体15Cと、前記第3上板体15Cの後側、即ち、最後部に位置する第4上板体15Dとに分割されている。
この上で、第1上板体15Aの後端縁15A1と第2上板体15Bの前端縁15B1とが前,後方向で突合されて溶接されている。第2上板体15Bの後端縁15B2と第3上板体15Cの前端縁15C1とが前,後方向で突合されて溶接されている。さらに、第3上板体15Cの後端縁15C2と第4上板体15Dの前端縁15D1とが前,後方向で突合されて溶接されている。また、第1上板体15Aの前部は、屈曲して下側に延びた前面15A2となっている。一方、第4上板体15Dの後部は、湾曲して下側に延びた後面15D2となっている。
ここで、各端縁15A1,15B1,15B2,15C1,15C2,15D1は、前述した左外板14とほぼ同様に、板厚方向の中間部がV字状に突出するように形成されている。これにより、図16、図17に示すように、例えば、第3上板体15Cの後端縁15C2と第4上板体15Dの前端縁15D1とを突合せた状態では、この第3上板体15Cと第4上板体15Dとの分割部位をX形開先溶接継手15Eとして接続することができる。
図15に示すように、X形開先溶接継手15Eは、第3上板体15Cと第4上板体15Dとの分割部位となり、左内板13の後溶接用開口13E(第3内板体13Cの後端縁13C2)よりも前,後方向の前側に配置されている。これにより、X形開先溶接継手15Eは、左内板13の後側に位置するV形開先溶接継手13Kと左外板14の後側に位置するX形開先溶接継手14Eと前,後方向の異なる位置に配置することができる。
X形開先溶接継手15Eは、内面側(下面側)と外面側(上面側)との両方から溶接を施す構成となっているから、X形開先溶接継手14Eと同様に、左内板13のV形開先溶接継手13Kに比較して高い溶接強度を有している。また、X形開先溶接継手15Eを内面側から溶接する場合には、左内板13の後溶接用開口13Eを利用することにより、容易に、かつ確実に溶接作業を行うことができる。
なお、図3等に示すように、第1上板体15Aの後端縁15A1と第2上板体15Bの前端縁15B1との間、第2上板体15Bの後端縁15B2と第3上板体15Cの前端縁15C1との間にも、それぞれ前述したX形開先溶接継手15Eが施されている。前,後方向の前側および中間に配置された他のX形開先溶接継手15Eも、対応するV形開先溶接継手13KおよびX形開先溶接継手14Eと前,後方向の異なる位置に配置されている。
次に、左フレーム12を構成する左下板16の構成について、図4、図10等を参照しつつ説明する。
図4に示すように、左下板16は、左内板13および左外板14の下端を閉塞して設けられている。左下板16は、後述する前連結体22の下板22D、後連結体23の下後板23Bおよび下板23E、中間連結体24の下板28と一部が連続して一体形成されている。そこで、図10に示すように、前述した左上板15と同様に、左下板16と前連結体22の下板22D、後連結体23の下後板23Bおよび下板23E、中間連結体24の下板28との境界線を二点鎖線で記載し、この境界線に従って各部の説明をするものとする。この境界線の位置についても、目安として記載したもので、この位置に限るものではない。
左下板16は、長さ方向で分割された複数枚の板状体により形成されている。左下板16は、最前部に位置する第1下板体16Aと、前記第1下板体16Aの後側に位置する第2下板体16Bと、前記第2下板体16Bの後側に位置する第3下板体16Cと、前記第3下板体16Cの後側、即ち、最後部に位置する第4下板体16Dとに分割されている。
この上で、第1下板体16Aの後端縁16A1と第2下板体16Bの前端縁16B1とが前,後方向で突合されて溶接されている。第2下板体16Bの後端縁16B2と第3下板体16Cの前端縁16C1とが前,後方向で突合されて溶接されている。さらに、第3下板体16Cの後端縁16C2と第4下板体16Dの前端縁16D1とが前,後方向で突合されて溶接されている。また、第4下板体16Dの後部は、上側に湾曲した後面16D2となっている。
ここで、各端縁16A1,16B1,16B2,16C1,16C2,16D1は、前述した左外板14、左上板15とほぼ同様に、板厚方向の中間部がV字状に突出するように形成されている。これにより、図16、図17に示すように、例えば、第3下板体16Cの後端縁16C2と第4下板体16Dの前端縁16D1とを突合せた状態では、この第3下板体16Cと第4下板体16Dとの分割部位をX形開先溶接継手16Eとして接続することができる。
図19に示すように、X形開先溶接継手16Eは、第3下板体16Cと第4下板体16Dとの分割部位となり、左内板13の後溶接用開口13E(第3内板体13Cの後端縁13C2)よりも前,後方向の後側に配置されている。これにより、図18に示すように、X形開先溶接継手16Eは、左内板13の後側に位置するV形開先溶接継手13K、左外板14の後側に位置するX形開先溶接継手14Eおよび左上板15の後側に位置するX形開先溶接継手15Eと前,後方向の異なる位置に配置することができる。
X形開先溶接継手16Eは、内面側(上面側)と外面側(下面側)との両方から溶接を施す構成となっているから、X形開先溶接継手14E,15Eと同様に、高い溶接強度を有している。また、X形開先溶接継手16Eを内面側から溶接する場合には、左内板13の後溶接用開口13Eを利用することにより、容易に、かつ確実に溶接作業を行うことができる。
なお、図4等に示すように、第1下板体16Aの後端縁16A1と第2下板体16Bの前端縁16B1との間、第2下板体16Bの後端縁16B2と第3下板体16Cの前端縁16C1との間にも、それぞれ前述したX形開先溶接継手16Eが施されている。前,後方向の前側および中間に配置された他のX形開先溶接継手16Eも、対応するV形開先溶接継手13K、X形開先溶接継手14EおよびX形開先溶接継手15Eと前,後方向の異なる位置に配置されている。
次に、左フレーム12と左,右方向の反対側に設けられた右フレーム17の構成について説明する。この場合、右フレーム17は、左フレーム12と対称形状をなしているから、右フレーム17の構成について一部を省略して説明する。右フレーム17は、右内板18、右外板19、右上板20および右下板21から形成されており、これらの構成について順次説明する。
右フレーム17は、車体フレーム11の左,右方向の右側に位置して前,後方向に延びて形成されている。図3、図4に示すように、右フレーム17は、左フレーム12とほぼ同様に、車体フレーム11の左,右方向の内側に位置して前,後方向に延びる右内板18と、前記右内板18と間隔をもって左,右方向の外側に位置して前,後方向に延びる右外板19と、前記右内板18および前記右外板19の上端を閉塞する右上板20と、前記右内板18および前記右外板19の下端を閉塞する右下板21とによりボックス状(角筒状)に形成されている。
図11、図12に示すように、右内板18は、長さ方向で分割された複数枚の板状体、即ち、第1内板体18A、第2内板体18B、第3内板体18C、第4内板体18Dに分割して形成されている。第1内板体18Aの後端縁18A1と第2内板体18Bの前端縁18B1との間に前溶接用開口(図示せず)が設けられている。第2内板体18Bの後端縁18B2と第3内板体18Cの前端縁18C1との間に中間溶接用開口(図示せず)が設けられている。さらに、第3内板体18Cの後端縁18C2と第4内板体18Dの前端縁18D1との間に後溶接用開口18E(図20参照)が設けられている。
前溶接用開口には、前蓋板18Gが取付けられ、中間溶接用開口には、中間蓋板18Hが取付けられ、後溶接用開口18Eには、後蓋板18Jが取付けられている。また、右内板18には、第1内板体18Aの後端縁18A1、第2内板体18Bの前端縁18B1、後端縁18B2、第3内板体18Cの前端縁18C1、後端縁18C2、第4内板体18Dの前端縁18D1に片面溶接用の裏当て材18Fがそれぞれ固着されている。
例えば、後蓋板18Jは、各端縁18J1,18J2を各裏当て材18Fに当接させた状態で、第3内板体18Cと第4内板体18DにV形開先溶接継手18Kにより接合されている。同様に、前溶接用開口に前蓋板18GがV形開先溶接継手で接合されている。また、中間溶接用開口に中間蓋板18HがV形開先溶接継手で接合されている。これにより、右内板18は、前,後方向に長尺な1枚の板体として形成される。
図11、図12に示すように、右外板19は、右内板18と間隔をもって左,右方向の外側、即ち、左側に位置して前,後方向に延びている。右外板19は、長さ方向で第1外板体19A、第2外板体19B、第3外板体19Cおよび第4外板体19Dに分割されている。第1外板体19Aの後端縁19A1と第2外板体19Bの前端縁19B1との間、第2外板体19Bの後端縁19B2と第3外板体19Cの前端縁19C1との間、第3外板体19Cの後端縁19C2と第4外板体19Dの前端縁19D1との間がX形開先溶接継手19Eによってそれぞれ接続されている。
右上板20は、右内板18および右外板19の上端を閉塞して設けられている。右上板20は、第1上板体20A、第2上板体20B、第3上板体20Cおよび第4上板体20Dに分割されている。図6に示すように、第1上板体20Aの後端縁20A1と第2上板体20Bの前端縁20B1との間、第2上板体20Bの後端縁20B2と第3上板体20Cの前端縁20C1との間、第3上板体20Cの後端縁20C2と第4上板体20Dの前端縁20D1との間がX形開先溶接継手20Eによってそれぞれ接合されている。また、第1上板体20Aの前部は前面20A2となり、第4上板体20Dの後部は後面20D2となっている。
右下板21は、右内板18および右外板19の下端を閉塞して設けられている。右下板21は、第1下板体21A、第2下板体21B、第3下板体21Cおよび第4下板体21Dに分割されている。図10に示すように、第1下板体21Aの後端縁21A1と第2下板体21Bの前端縁21B1との間、第2下板体21Bの後端縁21B2と第3下板体21Cの前端縁21C1との間、第3下板体21Cの後端縁21C2と第4下板体21Dの前端縁21D1との間がX形開先溶接継手21Eによってそれぞれ接合されている。また、第4下板体21Dの後部は、上側に湾曲した後面21D2となっている。
次に、車体フレーム11に設けられた前連結体22、後連結体23、中間連結体24の構成について説明する。
前連結体22は、左フレーム12の前部と右フレーム17の前部とを連結するために左,右方向に延びて形成されている。例えば、前連結体22は、左上板15を構成する第1上板体15Aの前面15A2と右上板20を構成する第1上板体20Aの前面20A2とに亘って左,右方向に延びた前板22Aと、前記前板22Aと間隔をもって前記前板22Aの前,後方向の後側に位置して左,右方向に延びた後板22Bと、前記前板22Aおよび前記後板22Bの上端を閉塞する上板22Cと、前記前板22Aおよび前記後板22Bの下端を閉塞する下板22Dとによりボックス状(角筒状)に形成されている。
図9、図13に示すように、前板22Aおよび上板22Cは、左フレーム12の左上板15の第1上板体15Aと右フレーム17の右上板20の第1上板体20Aとの間に設けられている。ここで、前板22Aおよび上板22Cは、例えば、U字状に切り出された鋼板の中間部分に左,右方向に延びる折曲げ線に沿って曲げ加工を施すことにより、各第1上板体15A,20Aと一体的に形成されている。
また、図10に示すように、下板22Dは、左フレーム12の左下板16の第1下板体16Aと右フレーム17の右下板21の第1下板体21Aとの間に設けられている。この下板22Dは、U字状に切り出された鋼板を用いることで、各第1下板体16A,21Aと一体的に形成されている。一方、後板22Bは、左,右方向の端部が左内板13の第1内板体13Aと右内板18の第1内板体18Aに固着されている。
なお、前連結体22は、上述した部品構造、組立構造に限るものではなく、例えば、前連結体22を左フレーム12および右フレーム17と別部材として設け、溶接手段、締結手段等を用いて各フレーム12,17に一体的に接合する構成としてもよい。
後連結体23は、左フレーム12の後部と右フレーム17の後部とを連結するために左,右方向に延びて形成されている。図15、図16、図22に示すように、例えば、後連結体23は、左上板15を構成する第4上板体15Dの後面15D2と右上板20を構成する第4上板体20Dの後面20D2とに亘って左,右方向に延びた上後板23Aと、左下板16を構成する第4下板体16Dの後面16D2と右下板21を構成する第4下板体21Dの後面21D2とに亘って左,右方向に延びた下後板23Bと、前記各後板23A,23Bと間隔をもって前記各後板23A,23Bの前,後方向の前側に位置して左,右方向に延びた前板23Cと、前記上後板23Aおよび前記前板23Cの上端を閉塞する上板23Dと、前記下後板23Bおよび前記前板23Cの下端を閉塞する下板23Eとによりボックス状に形成されている。
図9、図15に示すように、上後板23Aおよび上板23Dは、左フレーム12の左上板15の第4上板体15Dと右フレーム17の右上板20の第4上板体20Dとの間に設けられている。ここで、上後板23Aおよび上板23Dは、U字状に切り出された鋼板の中間部分に左,右方向に延びる折曲げ線に沿って下向きに湾曲させることにより、各第4上板体15D,20Dと一体的に形成されている。
また、図10に示すように、下後板23Bおよび下板23Eは、左フレーム12の左下板16の第4下板体16Dと右フレーム17の右下板21の第4下板体21Dとの間に設けられている。この下板23Eは、U字状に切り出された鋼板の中間部分を左,右方向に延びる折曲げ線に沿って上向きに湾曲させることにより、各第4下板体16D,21Dと一体的に形成されている。一方、前板23Cは、左,右方向の端部が左内板13の第4内板体13Dと右内板18の第4内板体18Dに固着されている。
図6等に示すように、中間連結体24は、前連結体22と後連結体23との間に位置して左フレーム12の中間部と右フレーム17の中間部とを左,右方向で連結するものである。中間連結体24は、前,後方向の前側に位置して左,右方向に延びる前板25と、この前板25と間隔をもって前,後方向の後側に位置して左,右方向に延びる後板26と、前記前板25および前記後板26の上端を閉塞する上板27と、前記前板25および前記後板26の下端を閉塞する下板28とによりボックス状に形成されている。
中間連結体24の前板25は、短尺な左前板体25Aと長尺な右前板体25Bとの2枚の板体に分割されている。後板26は、長尺な左後板体26Aと短尺な右後板体26Bとの2枚の板体に分割されている。一方、上板27は、左,右方向のほぼ中央位置を境界とした左上板体27Aと右上板体27Bとの2枚の板体に分割されている。
さらに、中間連結体24の下板28は、左,右方向に離間した短尺な左下板体28Aと右下板体28Bとの2枚の板体に分割されている。ここで、図22に示すように、下板28には、前板25、後板26および上板27の分割部位に対応する位置で左,右の下板体28A,28Bを左,右方向に離間させている。これにより、左,右の下板体28A,28B間には、中間溶接用開口29が設けられている。
中間溶接用開口29は、前板25の各前板体25A,25Bの突合せ部位、後板26の各後板体26A,26Bの突合せ部位および上板27の各上板体27A,27Bの突合せ部位を内面側から溶接可能とするものである。これにより、前板25の突合せ部位は、前述したものと同様のX形開先溶接継手25Cによって接合することができる。また、後板26の突合せ部位は、X形開先溶接継手26Cによって接合することができる。さらに、上板27の突合せ部位は、X形開先溶接継手27Cによって接合することができる。
一方、下板28には、左下板体28Aと右下板体28Bとの間に位置して下蓋板28Cが設けられている。この下蓋板28Cは、中間溶接用開口29を閉塞する平板部からなり、その下面側には、後述のマウント部材39が一体的に設けられている。そして、下蓋板28Cは、左端縁28C1が左下板体28Aの端縁28A1に、右端縁28C2が右下板体28Bの端縁28B1に両面側または片面側からの溶接継手28Dによって接合されている。また、図23に示すように、下蓋板28Cは、その上面側が前板25、後板26に対して溶接継手28Eによって接合されている。
次に、車体フレーム11を構成する各支柱30,31、各シリンダブラケット32,33、各後端ブラケット35,36、各前輪ブラケット37,38、マウント部材39等について説明する。
図2、図5等に示すように、左支柱30および右支柱31は、車体フレーム11の前,後方向の中間部から前側寄りの位置に左,右方向で対面して設けられている。左,右の支柱30,31は、山形状をなした中空な製缶構造体として形成されている。左支柱30は、左フレーム12を構成する左上板15の第2上板体15Bから上向きに突設され、右支柱31は、右フレーム17を構成する右上板20の第2上板体20Bから上向きに突設されている。左支柱30および右支柱31の上端には、キャブ10のフロア10Aを支持する上部横梁(図示せず)が取付けられる構造となっている。
左シリンダブラケット32および右シリンダブラケット33は、車体フレーム11の前,後方向の中間部後寄りの位置に左,右方向で対面して設けられている。左,右のシリンダブラケット32,33は、鋼板材を用いて山形状をなす板体として形成されている。左シリンダブラケット32は、左フレーム12を構成する左下板16の第3下板体16Cに溶接接合されて下向きに突出している。また、右シリンダブラケット33は、右フレーム17を構成する右下板21の第3下板体21Cに溶接接合されて下向きに突出している。
左,右のシリンダブラケット32,33の下端側(突出端側)には、左,右方向に延びるシリンダ支持軸34が挿通されている。左,右のシリンダブラケット32,33から左,右方向に突出したシリンダ支持軸34の両端部には、ホイストシリンダ8の下端側が取付けられている。
左後端ブラケット35および右後端ブラケット36は、車体フレーム11の後端部に左,右方向で対面して設けられている。左,右の後端ブラケット35,36は、例えば厚肉な鋼板を用いて形成されている。左後端ブラケット35は、左フレーム12を構成する左上板15の第4上板体15D、左下板16の第4下板体16Dの後部に後向きに突出して溶接接合されている。右後端ブラケット36は、右フレーム17を構成する右上板20の第4上板体20D、右下板21の第4下板体21Dの後部に後向きに突出して溶接接合されている。
左,右の後端ブラケット35,36の上部側には、連結ピン7Aを介して荷台7の底面部が回動可能に取付けられている。一方、左,右の後端ブラケット35,36の下部側には、後輪側サスペンション装置5の上端側が回動可能に取付けられている。
左前輪ブラケット37および右前輪ブラケット38は、車体フレーム11の前端側に左,右方向で対面して設けられている。左,右の前輪ブラケット37,38には、左,右の前輪2を支持するトレーリングアーム(図示せず)がそれぞれ取付けられ、これら左,右のトレーリングアームは、前輪側サスペンション装置4(図1参照)によって弾性的に支持されている。
マウント部材39は、車体フレーム11の前,後方向の中間部後寄りに位置し、左,右のシリンダブラケット32,33の間で中間連結体24の下板28を構成する下蓋板28Cの下面側に下向きに突出して設けられている。このマウント部材39には、左,右の後輪3を駆動する走行駆動装置6のブラケット6Bが上,下方向に回動可能に取付けられている。
次に、車体フレーム11を組立てるときの作業手順の一例について、対応する図面を参照しつつ説明する。
ここで、組立作業の説明を明瞭にするために、図5に示す車体フレーム11に各支柱30,31、各シリンダブラケット32,33、各後端ブラケット35,36、各前輪ブラケット37,38等の部品を取付ける前の状態、即ち、図6に示す状態をベースフレーム40としている。図11、図12に示すように、このベースフレーム40は、例えば、前組立体41、左中前組立体42、右中前組立体43、左中後組立体44、右中後組立体45、後組立体46の6個のサブ組立体を予め組立て、これらを溶接によって接合することにより1個の構造体として組立てられる。
まず、前組立体41、左中前組立体42、右中前組立体43、左中後組立体44、右中後組立体45および後組立体46をそれぞれ組立てる。各組立体41〜46を組立てたら、対応する各組立体41〜46間を溶接によって接合する。この溶接を用いた組立作業(接合作業)のうち、左フレーム12および右フレーム17の組立作業について述べる。各フレーム12,17の組立作業では、本発明の特徴部分となる溶接用開口と蓋板とを用いた溶接によって6個所を接合しているが、いずれの溶接部位も基本構成が同様となっている。このため、各フレーム12,17の後部位置、即ち、図15等に示す左中後組立体44と右中後組立体45と後組立体46との接合構造について詳細に述べるものとする。
左中後組立体44と後組立体46とを接合する場合には、左フレーム12の左外板14を構成する第3外板体14Cの後端縁14C2と第4外板体14Dの前端縁14D1とを突合せる。左上板15を構成する第3上板体15Cの後端縁15C2と第4上板体15Dの前端縁15D1とを突合せる。さらに、左下板16を構成する第3下板体16Cの後端縁16C2と第4下板体16Dの前端縁16D1とを突合せる。これにより、左中後組立体44と後組立体46とを位置決めする。
この上で、図19に示すように、第3外板体14Cの後端縁14C2と第4外板体14Dの前端縁14D1との突合せ部位、第3上板体15Cの後端縁15C2と第4上板体15Dの前端縁15D1との突合せ部位、第3下板体16Cの後端縁16C2と第4下板体16Dの前端縁16D1との突合せ部位にそれぞれ外面側から溶接を施す。この状態では、左フレーム12の左内板13を構成する第3内板体13Cの後端縁13C2と第4内板体13Dの前端縁13D1とが離間している。これにより、後端縁13C2と前端縁13D1との間には、左上板15と左下板16との間に位置して後溶接用開口13Eが形成されている。
後溶接用開口13Eは、左フレーム12内に腕や身体を差し入れるのに十分な大きさを有している。このため、後溶接用開口13Eを利用することにより、第3外板体14Cと第4外板体14Dとの突合せ部位、第3上板体15Cと第4上板体15Dとの突合せ部位、第3下板体16と第4下板体16Dとの突合せ部位には、内面側(左フレーム12の内部)から溶接を施すことができる。この場合、後端縁14C2,15C2,16C2と前端縁14D1,15D1,16D1とは、板厚方向の中間部がV字状に突出するように形成されている。従って、各溶接部位には、外面側と内面側との両方にV字状の開先を形成することができる。これにより、後端縁14C2,15C2,16C2と前端縁14D1,15D1,16D1との間は、X形開先溶接継手14E,15E,16Eとして接続することができる。
第3外板体14Cと第4外板体14Dとを溶接し、第3上板体15Cと第4上板体15Dとを溶接し、第3下板体16Cと第4下板体16Dとを溶接したら、後蓋板13Jを第3内板体13Cの後端縁13C2と第4内板体13Dの前端縁13D1との間に配置する。このときには、後蓋板13Jの前端縁13J1を第3内板体13Cの裏当て材13Fに当接させ、後端縁13J2を第4内板体13Dの裏当て材13Fに当接させることにより、正確な位置に簡単に位置決めすることができる。
この場合、後蓋板13Jの各端縁13J1,13J2と第3内板体13Cの後端縁13C2、第4内板体13Dの前端縁13D1との間には、V字状の開先を形成している。これにより、図17に示すように、後蓋板13Jと第3内板体13C、第4内板体13Dの間は、それぞれV形開先溶接継手13Kとして接続することができる。さらに、後蓋板13Jの上端縁と第4上板体15Dとの間、後蓋板13Jの下端縁と第3下板体16Cとの間は、例えば隅肉溶接等の溶接継手13Lを用いて接合されている。
ここで、左上板15の第3上板体15Cと第4上板体15Dとの分割部位となるX形開先溶接継手15Eは、左内板13の後溶接用開口13Eの前,後方向の端縁、即ち、各V形開先溶接継手13Kに対して前,後方向に異なる位置に配置されている。また、左下板16の第3下板体16Cと第4下板体16Dとの分割部位となるX形開先溶接継手16Eは、左上板15のX形開先溶接継手15Eと左内板13の各V形開先溶接継手13Kとに対して前,後方向に異なる位置に配置されている。この上で、左外板14の第3外板体14Cと第4外板体14Dとの分割部位となるX形開先溶接継手14Eは、後溶接用開口13Eの前,後方向の中間位置に配置されている。これにより、2箇所のV形開先溶接継手13Kと3箇所のX形開先溶接継手14E,15E,16Eとは、前,後方向で異なる位置に配置することができる。
図13、図14に示すように、前組立体41と左中前組立体42との間、左中前組立体42と左中後組立体44との間は、それぞれ前述した左中後組立体44と後組立体46との間の接続構造とほぼ同様に接続することができる。
一方、右フレーム17を構成する前組立体41と右中前組立体43との間、右中前組立体43と右中後組立体45との間は、それぞれ左中後組立体44と後組立体46との間の接続構造とほぼ同様に接続することができる。
特に、図20、図21に示すように、右中後組立体45と後組立体46との間についても、左中後組立体44と後組立体46との間の接続構造とほぼ同様に接続することができる。即ち、右中後組立体45を構成する右内板18の第3内板体18Cと後組立体46を構成する右内板18の第4内板体18Dとは、後溶接用開口18E、後蓋板18J等を用いることにより、強固かつ簡単に溶接することができる。
具体的には、後蓋板18Jの各端縁18J1,18J2は、第3内板体18Cの後端縁18C2、第4内板体18Dの前端縁18D1との間をV形開先溶接継手18Kとして接続することができる。さらに、後蓋板18Jの上端縁と第4上板体20Dとの間、後蓋板18Jの下端縁と第3下板体21Cとの間は、例えば隅肉溶接を用いて接合されている。
上述した作業手順でベースフレーム40を組立てたら、図5に示すように、ベースフレーム40に対して各支柱30,31、各シリンダブラケット32,33、各後端ブラケット35,36、各前輪ブラケット37,38等の部品を取付けることにより、車体フレーム11を組立てることができる。
本実施の形態によるダンプトラック1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、鉱山等の砕石場では、採掘した砕石物等の運搬対象物を荷台7に積載する。所定量の運搬対象物を積載したら、ダンプトラック1は、荷下し場に向けて走行する。この走行時には、各サスペンション装置4,5によって振動が緩和されるようになっている。
そして、荷下し場に到着したら、キャブ10内のオペレータは、各種レバー等を操作することにより、各ホイストシリンダ8を伸長させ、荷台7の前側を上側に持上げる。これにより、ダンプトラック1は、運搬対象物を荷下し場に排出することができる。
ダンプトラック1は、重量物を積載したり、舗装されていない荒地を走行したりするものであるから、車体フレーム11には、大きな負荷が作用することになる。一方で、車体フレーム11は、大型のダンプトラック1のほぼ全長に亘って設けられている。このため、車体フレーム11を組立てる場合には、予め別の場所で組立てられた複数個のサブ組立体を用意し、各サブ組立体を溶接によって接合する構成となっている。しかし、溶接による接合部分は、無垢の板材に比較して脆弱になる傾向にあるから、1箇所に溶接部分が集中する場合には、鋼板の厚さ寸法を大きくしたり、リブ等の補強を追加したりする必要がある。
然るに、本実施の形態では、車体フレーム11を構成する左フレーム12は、左内板13が第1内板体13A〜第4内板体13Dに分割され、左外板14が第1外板体14A〜第4外板体14Dに分割され、左上板15が第1上板体15A〜第4上板体15Dに分割され、左下板16が第1下板体16A〜第4下板体16Dに分割されている。
左内板13には、左外板14、左上板15および左下板16の分割部位となるX形開先溶接継手14E,15E,16Eに対応する位置で、第1内板体13A〜第4内板体13Dを前,後方向に離間させることにより、前記左外板14、左上板15および左下板16を内面側から溶接して接合するための前溶接用開口、中間溶接用開口、後溶接用開口13Eが設けられている。
これにより、左外板14を形成する第1外板体14A〜第4外板体14D間、左上板15を形成する第1上板体15A〜第4上板体15D間および左下板16を形成する第1下板体16A〜第4下板体16D間は、外面側と内面側との両側からの溶接(X形開先溶接継手14E,15E,16E)によって接合されている。
この上で、左内板13には、前溶接用開口、中間溶接用開口、後溶接用開口13Eを閉塞する前蓋板13G、中間蓋板13H、後蓋板13Jが設けられている。
この前蓋板13G、中間蓋板13H、後蓋板13Jは、左内板13、左上板15および左下板16に対して外面側からの溶接(V形開先溶接継手13K)によって接合される構成となっている。一方、右フレーム17についても、前述した左フレーム12と同様の構成、機能を有している。
従って、車体フレーム11の溶接部位は、高い強度を有するX形開先溶接継手14E,15E,16E,19E,20E,21Eとすることができる。これにより、リブ等の特別な補強、特別な溶接等を施すことなく、車体フレーム11の強度を高めることができ、車体フレーム11の生産性、強度等に対する信頼性を向上することができる。
ここで、車体フレーム11に作用する負荷は、走行時、荷下し時等において曲げ応力、捩り応力として作用する。この場合、構造物に作用する負荷は、構造物の外側により多く作用する。このため、車体フレーム11には、左,右方向の内側よりも外側に大きな負荷が作用することになる。これに対し、本実施の形態では、溶接強度の高いX形開先溶接継手14E,15E,16E,19E,20E,21Eを左,右方向の外側位置に配置しているから、効率よく車体フレーム11の構造強化を行うことができる。
また、左フレーム12の左上板15を形成する第1上板体15A〜第4上板体15Dの分割部位(各X形開先溶接継手15E)は、左内板13の前溶接用開口、中間溶接用開口、後溶接用開口13Eの前,後方向の端縁に対して前,後方向に異なる位置に配置されている。また、左下板16を形成する第1下板体16A〜第4下板体16Dの分割部位(各X形開先溶接継手16E)は、左上板15の分割部位と左内板13の前溶接用開口、中間溶接用開口、後溶接用開口13Eの前,後方向の端縁とに対して前,後方向に異なる位置に配置されている。さらに、左外板14を形成する第1外板体14A〜第4外板体14Dの分割部位(各X形開先溶接継手14E)は、前溶接用開口、中間溶接用開口、後溶接用開口13Eの前,後方向の中間位置に配置されている。なお、右フレーム17は、前述した左フレーム12の構成と同様の構成となっている。
これにより、車体フレーム11に施される溶接部位を、互いに重ならないようにずらして配置することができる。この結果、構造の弱い部位となる溶接部位を各フレーム12,17の前,後方向に分散させることができるから、車体フレーム11の強度を高めることができる。
車体フレーム11は、前連結体22と後連結体23との間に位置して左フレーム12の中間部と右フレーム17の中間部とを左,右方向で連結する中間連結体24を有している。この中間連結体24は、前,後方向の前側に位置して左,右方向に延びる前板25と、前板25と間隔をもって前,後方向の後側に位置して左,右方向に延びる後板26と、前板25および後板26の上端を閉塞する上板27と、前板25および後板26の下端を閉塞する下板28とによりボックス状に形成されている。この上で、中間連結体24は、前板25、後板26、上板27および下板28がそれぞれ左,右方向で2枚の板体に分割されている。
そして、下板28は、前板25、後板26および上板27の分割部位(X形開先溶接継手25C,26C,27C)に対応する位置で、左下板体28Aと右下板体28Bとを左,右方向に離間させている。これにより、前板25を形成する左前板体25Aと右前板体25Bとの間、後板26を形成する左後板体26Aと右後板体26Bとの間および上板27を形成する左上板体27Aと右上板体27Bとの間には、内面側から溶接して接合するための中間溶接用開口29が設けられている。
これにより、前板25の各前板体25A,25B間、後板26の各後板体26A,26B間および上板27の各上板体27A,27B間は、外面側と内面側との両側からの溶接によって接合することができる。
この上で、下板28には、中間溶接用開口29を閉塞する下蓋板28Cを設けている。この下蓋板28Cは、下板28、前板25および後板26に対して外面側からの溶接によって接合されている。
この結果、中間連結体24は、高い強度をもった両面からの溶接となるX形開先溶接継手25C,26C,27Cによって左フレーム12と右フレーム17とを連結することができ、車体フレーム11の剛性を高めることができる。
しかも、両面側からの溶接に比較して強度が劣る外面側からの溶接、即ち、V形開先溶接継手13K等では、裏当て材13Fを用いることにより、板厚方向の全長に亘って溶接ビードを形成することができる。この点においても、車体フレーム11の剛性を高めることができる。
なお、実施の形態では、左フレーム12と右フレーム17とを前,後方向で3分割した場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、左フレーム12と右フレーム17とを前,後方向で2分割または4分割以上に分割する構成としてもよい。
実施の形態では、前連結体22と後連結体23との間に、1個の中間連結体24を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、車体フレーム11には、前連結体22と後連結体23との間に2個以上の中間連結体24を設ける構成としてもよい。
実施の形態では、中間連結体24の前板25を、左前板体25Aと右前板体25Bとに分割し、後板26を、左後板体26Aと右後板体26Bとに分割し、互いに溶接によって接合する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、中間連結体24の前板25と後板26をそれぞれ1枚の板体として形成してもよい。
実施の形態では、左内板13には、第1内板体13Aの後端縁13A1と、第2内板体13Bの前端縁13B1および後端縁13B2と、第3内板体13Cの前端縁13C1および後端縁13C2と、第4内板体13Dの前端縁13D1とに片面溶接用の裏当て材13Fをそれぞれ設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、裏当て材13Fを廃止し、プラズマ溶接とマグ溶接を併用することにより接合する構成としてもよい。この構成は、他の裏当て材の使用箇所にも同様に適用することができる。