以下、本発明の実施の形態に係る建設機械用キャブとして、クローラ式の油圧ショベルに設けられたキャブを例に挙げ、図1ないし図8に従って詳細に説明する。
図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行なう作業装置4とにより大略構成されている。
また、上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に設けられた後述の旋回フレーム5と、該旋回フレーム5の左前側に配設された後述のキャブ11とを含んで構成されている。
5は上部旋回体3のベースをなす支持構造体として形成された旋回フレームで、該旋回フレーム5は、図2に示すように、前,後方向に延びて設けられた厚肉な底板5Aと、該底板5A上に前,後方向に延びて立設され、前側に作業装置4が取付けられる左,右の縦板5B,5Bと、前記底板5A、各縦板5Bから左,右方向に張出した複数本の張出ビーム5Cと、該各張出ビーム5Cの先端部に前,後方向に延びて設けられた左,右のサイドフレーム5D,5Dと、左前側に設けられた後述のキャブ支持部6とにより大略構成されている。
6は旋回フレーム5の一部をなし該旋回フレーム5の左前側に設けられたキャブ支持部で、該キャブ支持部6は、前,後方向に離間して底板5A、左縦板5Bから左側に延び、その先端部が左サイドフレーム5Dに固着された2本の横梁6A,6Bと、前記横梁6Aの右端部から左サイドフレーム5Dと平行に前側に延びた縦梁6Cと、前記横梁6Aの前側に間隔をもって左,右方向に延び、前記左サイドフレーム5Dと縦梁6Cとを連結した前枠6Dとにより大略構成されている。
また、キャブ支持部6の横枠6B,前枠6Dには、左,右に離間してそれぞれ2個のマウント取付穴6B1,6D1が設けられ、該各マウント取付穴6B1,6D1には後述する防振マウント39が取付けられている。
次に、11は旋回フレーム5のキャブ支持部6上に搭載された油圧ショベル1のキャブで、該キャブ11は、後述の防振マウント39を介してキャブ支持部6上に設けられ、オペレータが乗車する後述の運転室34を画成していいる。そして、キャブ11は、図3、図4、図5等に示すように、後述のベース枠体12、キャブボックス21、床板33、運転席35等によって大略構成されている。
12はキャブ11の下側に設けられたベース枠体で、該ベース枠体12は、後述のキャブボックス21、床板33、運転席35等と共にキャブ11を構成している。そして、ベース枠体12は、図6、図7に示す如く、後述の左前取付ベース13、右前取付ベース14、左後取付ベース15、右後取付ベース16、左接続フレーム17、右接続フレーム18、前接続フレーム19、後接続フレーム20により、前,後方向に長尺な長方形状の枠構造体として形成されている。また、ベース枠体12には、床板33を下側から取付けることができる。
また、ベース枠体12は、キャブボックス21の骨組を形成する左前ピラー22、右前ピラー23、左後ピラー24、右後ピラー25、センタピラー28等を固着し、また、キャブ11を旋回フレーム5のキャブ支持部6上に搭載するときに後述の防振マウント39を取付ける強度上重要な部品となっている。従って、ベース枠体12は、例えば油圧ショベル1の転倒等を想定しキャブ11に大きな荷重が作用した場合でも、キャブボックス21が大きく変形したり、キャブ11自体が脱落しないように、十分に高い強度をもって形成されている。
そこで、キャブ11の一部として設けられたベース枠体12の構成について詳しく説明する。
13はベース枠体12の左前の角隅位置に配設された左前取付ベースで、該左前取付ベース13は、例えば鋳鋼等の材料を用いた鋳造手段または鍛造手段により、単一のブロック体からなる鋳造部品または鍛造部品として成形されている。
ここで、左前取付ベース13を鋳造手段で成形する場合には、例えば加熱溶融状態の鋳鋼材料を予め用意した成形型内に注入し、左前取付ベース13を所望の形状をなす単一のブロック体として成形する。また、左前取付ベース13を鍛造手段で成形する場合には、例えば鍛造に適した鉄鋼材料に冷間鍛造、熱間鍛造等の加圧加工を施すことにより、左前取付ベース13を所望の形状をなす単一のブロック体として成形すればよい。
そして、鋳造手段または鍛造手段によって成形される左前取付ベース13は、ほぼ三角形状に形成された基板13Aと、該基板13Aから上向きに突出した支持突起13Bと、前記基板13Aのほぼ中央位置に設けられたマウント取付穴13Cとにより大略構成されている。また、左前取付ベース13の基板13Aとマウント取付穴13Cは、後述する運転室34の内部で左前の角隅位置に配置され、マウント取付穴13Cには後述する防振マウント39の取付ねじ(図示せず)が挿通される。
さらに、左前取付ベース13には、その基板13Aと支持突起13Bに後述するキャブボックス21の左前ピラー22の下端部が溶接手段を用いて固着される。また、基板13Aの下面左側には、左接続フレーム17を構成する板状フレーム17Aの前端部17A1が溶接手段を用いて固着され、基板13Aの右側には、前接続フレーム19の左側部分が固着される。
14はベース枠体12の右前の角隅位置に配設された右前取付ベースで、該右前取付ベース14は、左前取付ベース13とほぼ同様に、例えば単一のブロック体からなる鋳造部品または鍛造部品として形成されている。また、右前取付ベース14は、ほぼ三角形状に形成された基板14Aと、該基板14Aから上向きに突出した支持突起14Bと、前記基板14Aの右端部に位置して支持突起14Bから後側に延びたフレーム取付部14Cと、前記基板14Aのほぼ中央位置に設けられ、防振マウント39の取付ねじが挿通されるマウント取付穴14Dとにより大略構成されている。さらに、右前取付ベース14の基板14Aとマウント取付穴14Dは、運転室34の内部で右前の角隅位置に配置されている。
また、フレーム取付部14Cには、後側に向けて突出する嵌合突部14C1が設けられ、該嵌合突部14C1は、後述する右接続フレーム18の前端部18Aに嵌合するもので、該右接続フレーム18に用いる角筒状のパイプ部材に対応して四角形状の突部として形成されている。
そして、右前取付ベース14には、その基板14Aと支持突起14Bに後述する右前ピラー23の下端部と前接続フレーム19の右側部分が溶接手段を用いて固着される。また、フレーム取付部14Cには、右接続フレーム18の前端部18Aが溶接手段を用いて固着される。このときに、フレーム取付部14Cには、嵌合突部14C1を設けているから、パイプ部材からなる右接続フレーム18の前端部18Aを嵌合することにより、両者を正確な位置に簡単に位置決めすることができ、また溶接作業時の位置ずれを防止することができる。
15はベース枠体12の左後の角隅位置に配設された左後取付ベースで、該左後取付ベース15は、左前取付ベース13とほぼ同様に、例えば単一のブロック体からなる鋳造部品または鍛造部品として形成されている。また、左後取付ベース15は、左側から右側に向けて屈曲しつつ後側に斜めに延びたリブ15Aと、該リブ15Aの左端部に前向きに形成されたフレーム取付部15Bと、前記リブ15Aの右端部に右向きに形成されたフレーム取付部15Cと、前記リブ15Aから前側に張出した前張出部15Dと、前記リブ15Aから後側に張出した後張出部15Eと、該後張出部15Eのほぼ中央位置に設けられ、防振マウント39の取付ねじが挿通されるマウント取付穴15Fとにより大略構成されている。さらに、左後取付ベース15の後張出部15Eとマウント取付穴15Fは、運転室34の外部で左後の角隅位置に配置され、これにより、キャブ11の外部からの簡単な作業で左後取付ベース15に防振マウント39を取付けることができる。
また、前側のフレーム取付部15Bには、前側に向けて突出する嵌合突部15B1が設けられ、該嵌合突部15B1は、後述の左接続フレーム17を構成する筒状フレーム17Bの後端部17B2に嵌合するもので、該筒状フレーム17Bに用いる角筒状のパイプ部材に対応して四角形状の突部として形成されている。一方、右側のフレーム取付部15Cには、右側に向けて突出する嵌合突部15C1が設けられ、該嵌合突部15C1は、後述する後接続フレーム20の左端部20Aに嵌合するもので、該後接続フレーム20に用いる角筒状のパイプ部材に対応して四角形状の突部として形成されている。
そして、左後取付ベース15には、そのリブ15Aと後張出部15Eに後述する左後ピラー24の下端部が溶接手段を用いて固着され、フレーム取付部15Bと前張出部15Dの下面に後述の左接続フレーム17を構成する板状フレーム17Aの後端部17A2が固着される。また、前側のフレーム取付部15Bには、左接続フレーム17を構成する筒状フレーム17Bの後端部17B2が溶接手段を用いて固着される。このときに、前側のフレーム取付部15Bには、嵌合突部15B1を設けているから、パイプ部材からなる筒状フレーム17Bの後端部17B2を嵌合することにより、正確かつ簡単に溶接することができる。
さらに、右側のフレーム取付部15Cには、後接続フレーム20の左端部20Aが溶接手段を用いて固着される。このときに、右側のフレーム取付部15Cには、嵌合突部15C1を設けているから、パイプ部材からなる後接続フレーム20の左端部20Aを嵌合することにより、フレーム取付部15Bと同様に、正確かつ簡単に溶接することができる。
16はベース枠体12の右後の角隅位置に配設された右後取付ベースで、該右後取付ベース16は、左前取付ベース13とほぼ同様に、例えば単一のブロック体からなる鋳造部品または鍛造部品として形成されている。また、右後取付ベース16は、右側から左側に向けて屈曲しつつ後側に斜めに延びたリブ16Aと、該リブ16Aの右端部に前向きに形成されたフレーム取付部16Bと、前記リブ16Aの左端部に左向きに形成されたフレーム取付部16Cと、前記リブ16Aから後側に張出した張出部16Dと、該張出部16Dの右寄り位置に設けられたマウント取付部としてのマウント取付穴16Eとにより大略構成されている。
さらに、右後取付ベース16の張出部16Dとマウント取付穴16Eは、前述した左後取付ベース15の後張出部15Eとマウント取付穴15Fと同様に、運転室34の外部で右後の角隅位置に配置され、これにより、キャブ11の外部からの簡単な作業で右後取付ベース16に防振マウント39を取付けることができる。
また、前側のフレーム取付部16Bには、前側に向けて突出する嵌合突部16B1が設けられ、該嵌合突部16B1は、後述する右接続フレーム18の後端部18Bに嵌合するもので、角筒状の右接続フレーム18に対応して四角形状の突部として形成されている。一方、左側のフレーム取付部16Cには、左側に向けて突出する嵌合突部16C1が設けられ、該嵌合突部16C1は、後接続フレーム20の右端部20Bに嵌合するもので、角筒状の後接続フレーム20に対応して四角形状の突部として形成されている。
そして、右後取付ベース16には、そのリブ16Aと張出部16Dに後述する右後ピラー25の下端部が溶接手段を用いて固着される。また、前側のフレーム取付部16Bには、右接続フレーム18の後端部18Bが溶接手段を用いて固着される。このときに、前側のフレーム取付部16Bに設けた嵌合突部16B1に、右接続フレーム18の後端部18Bを嵌合することにより、正確かつ簡単に溶接することができる。さらに、左側のフレーム取付部16Cには、後接続フレーム20の右端部20Bが固着される。このときに、左側のフレーム取付部16Cの嵌合突部16C1に後接続フレーム20の右端部20Bを嵌合することにより、正確かつ簡単に溶接することができる。
17はベース枠体12の左側に位置して前,後方向に延びて設けられた左接続フレームを示している。この左接続フレーム17は、キャブボックス21の左側面部21Cに設けられた後述する乗降口29の下側を通って前,後方向に延び、左前取付ベース13と左後取付ベース15との間を接続する板状フレーム17Aと、後述のセンタピラー28と左後取付ベース15との間に設けられた筒状フレーム17Bとにより大略構成されている。
ここで、左接続フレーム17の板状フレーム17Aは、図8に示すように、例えば横断面がほぼJ字状、L字状等の曲げ板を用いて形成されている。また、乗降口29の下側に位置する板状フレーム17Aは、ほぼJ字状の曲げ板として形成することにより、後述する床板33の上面に密着させることができ、乗降口29を通るときの足元の段差を小さくしつつ強度を得ることができる。そして、板状フレーム17Aは、その前端部17A1が左前取付ベース13の下面に溶接手段を用いて固着され、後端部17A2が左後取付ベース15の下面に固着される。
また、左接続フレーム17の筒状フレーム17Bは、例えば横断面が角筒状のパイプ部材を用いて形成されている。また、パイプ部材からなる筒状フレーム17Bをセンタピラー28と左後取付ベース15との間に設けることにより、左後取付ベース15、板状フレーム17A、センタピラー28間の強度を高めることができる。そして、筒状フレーム17Bは、その前端部17B1側が板状フレーム17A等にボルト止めされ、後端部17B2が左後取付ベース15のフレーム取付部15Bに溶接手段を用いて固着される。
18はベース枠体12の右側に位置して前,後方向に延びて設けられた右接続フレームで、該右接続フレーム18は、例えば横断面が角筒状のパイプ部材を用いて形成されている。そして、右接続フレーム18は、その前端部18Aが右前取付ベース14のフレーム取付部14Cに溶接手段を用いて固着され、後端部18Bが右後取付ベース16のフレーム取付部16Bに固着される。
19はベース枠体12の前側に位置して左,右方向に延びて設けられた前接続フレームで、該前接続フレーム19は、所望の形状に折曲げられた複数枚のパネル部材19A,19B等からなり、それぞれの左側部分が左前取付ベース13に溶接手段を用いて固着され、右側部分が右前取付ベース14に固着される。
20はベース枠体12の後側に位置して左,右方向に延びて設けられた後接続フレームで、該後接続フレーム20は、前述した左接続フレーム17の筒状フレーム17A、右接続フレーム18と同様に、例えば横断面が角筒状のパイプ部材を用いて形成されている。そして、後接続フレーム20は、その左端部20Aが左後取付ベース15のフレーム取付部15Cに溶接手段を用いて固着され、右端部20Bが右後取付ベース16のフレーム取付部16Cに固着される。
ここで、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20は、横断面が角筒状のパイプ部材、例えば閉断面構造の鋼管等により形成している。これにより、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20は、単なる平板、曲げ板等の板材に比較して高い強度を有しているから、キャブボックス21の大きな変形、キャブ11の脱落を防止することができる。また、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20は、構造的に高い強度をもっているため、板厚寸法を薄くでき、また幅寸法等を小さくすることができる。
21はベース枠体12上に設けられたキャブボックスで、該キャブボックス21はキャブ11の外形を構成している。そして、キャブボックス21は、図3、図4に示す如く、ベース枠体12から上側に延びる後述のピラー22〜25によって支持された前面部21A、後面部21B、左側面部21C、右側面部21Dの4面と天面部21Eによって箱状体として形状されている。また、前面部21Aには前窓(図示せず)が取付けられ、左側面部21Cには後述の乗降口29が設けられている。
そして、キャブボックス21は、後述する運転席35の周囲を覆うもので、後述の左前ピラー22、右前ピラー23、左後ピラー24、右後ピラー25、左ルーフピラー26、右ルーフピラー27、センタピラー28、乗降口29、リヤパネル30、サイドパネル31、ルーフパネル32等により大略構成されている。また、キャブボックス21を構成する左前ピラー22、右前ピラー23、左後ピラー24、右後ピラー25の下端部は、ベース枠体12の各取付ベース13,14,15,16に溶接手段を用いて固着されている。
そこで、キャブ11の一部として設けられたキャブボックス21の構成について詳しく説明する。
22はキャブボックス21の左前部で上,下方向に延びた左前ピラーで、該左前ピラー22は、キャブボックス21の前面部21Aと左側面部21Cとの間の稜線を形成している。また、左前ピラー22は、例えばパイプ部材からなり、その下端部はベース枠体12の左前取付ベース13に溶接手段等を用いて固着されている。
23はキャブボックス21の右前部で上,下方向に延びた右前ピラーで、該右前ピラー23は、キャブボックス21の前面部21Aと右側面部21Dとの間の稜線を形成している。また、右前ピラー23は、左前ピラー22とほぼ同様に、例えばパイプ部材からなり、その下端部はベース枠体12の右前取付ベース14に溶接されている。
一方、24はキャブボックス21の左後部で上,下方向に延びた左後ピラーで、該左後ピラー24は、キャブボックス21の後面部21Bと左側面部21Cとの間の稜線を形成している。また、左後ピラー24は、左前ピラー22とほぼ同様に、例えばパイプ部材からなり、その下端部はベース枠体12の左後取付ベース15に溶接されている。
25はキャブボックス21の右後部で上,下方向に延びた右後ピラーで、該右後ピラー25は、キャブボックス21の後面部21Bと右側面部21Dとの間の稜線を形成している。また、右後ピラー25は、左前ピラー22とほぼ同様に、例えばパイプ部材からなり、その下端部はベース枠体12の右後取付ベース16に溶接されている。
さらに、26はキャブボックス21の左上側で前,後方向に延びた左ルーフピラーで、該左ルーフピラー26は、キャブボックス21の左側面部21Cと天面部21Eとの間の稜線を形成している。また、左ルーフピラー26は、左前ピラー22とほぼ同様に、例えばパイプ部材からなり、左前ピラー22の上部と左後ピラー24の上部に溶接されている。
27はキャブボックス21の右上側で前,後方向に延びた右ルーフピラーで、該右ルーフピラー27は、キャブボックス21の右側面部21Dと天面部21Eとの間の稜線を形成している。また、右ルーフピラー27は、左前ピラー22とほぼ同様に、例えばパイプ部材からなり、右前ピラー23の上部と右後ピラー25の上部に溶接されている。また、左,右のルーフピラー26,27は、左,右方向に延びる複数本の連結フレーム(図示せず)によって連結されている。
28はキャブボックス21を構成する左側面部21Cの前,後方向の中間部位に設けられたセンタピラーで、該センタピラー28は、例えばほぼL字形状にプレス加工された内側と外側のパネル部材を溶接により固着することによって中空の板体として形成されている。また、センタピラー28は、左側面部21Cの前,後方向のほぼ中間部に位置して上,下方向に延びたピラー部28Aと、該ピラー部28Aの下部側に一体的に設けられたサイドパネル部28Bとによって構成されている。
ここで、センタピラー28のピラー部28Aは、その下端部がベース枠体12の左接続フレーム17に固着され、上端部が左ルーフピラー26に固着されている。また、センタピラー28のサイドパネル部28Bは、下端部がベース枠体12の左接続フレーム17に固着され、後端部が左後ピラー24に固着されている。これにより、センタピラー28は、例えば油圧ショベル1が転倒したり、重量物が衝突した場合に、キャブ11の変形を抑える支柱として機能するものである。
ここで、29はキャブボックス21の一の面となる左側面部21Cに位置してセンタピラー28よりも前側に設けられた乗降口で、該乗降口29は、オペレータが運転室34に出入りするときに通るものである。また、乗降口29は、左前ピラー22、左ルーフピラー26、センタピラー28のピラー部28Aとベース枠体12の左接続フレーム17によって囲まれた開口として形成されている。さらに、乗降口29は、センタピラー28のピラー部28Aに取付けられたドア(図示せず)によって開閉可能に覆われる。
30はキャブボックス21の後面部21Bを形成するリヤパネル、31はキャブボックス21の右側面部21Dを形成するサイドパネル、32はキャブボックス21の天面部21Eを形成するルーフパネルをそれぞれ示している。
次に、33はキャブボックス21の下側を閉塞する床板で、該床板33は、キャブ11の一部を構成するもので、ベース枠体12にほぼ収まるように前,後方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。そして、床板33は、左前、右前、左後、右後の角隅位置に4個のねじ挿通穴(いずれも図示せず)を有し、該各ねじ挿通穴に防振マウント39の取付ねじを挿通することにより、ベース枠体12を構成する各取付ベース13,14,15,16と一緒に共締めされている。また、床板33は、その周囲がベース枠体12の各接続フレーム17〜20等にボルト止めされている。
ここで、34はキャブ11内に画成された運転室で、該運転室34は、ベース枠体12、キャブボックス21、床板33等によって囲まれた空間として形成されている。そして、運転室34では、オペレータが乗込んで油圧ショベル1の操作を行なう。
35は運転室34内に位置して床板33上のほぼ中央に設けられた運転席で、該運転席35は、オペレータが着座するものである。また、運転席35の左,右両側には、作業装置4等を操作する作業レバー36が設けられ、運転席35の前側には、床板33の前部に位置して下部走行体2を走行させる走行レバー・ペダル37とオペレータが足を乗せる左,右のペダル38とが設けられている。
39は旋回フレーム5のキャブ支持部6とキャブ11との間に設けられた例えば4個の防振マウント(図4、図5参照)で、該各防振マウント39は、キャブ11の左前、右前、左後、右後の4箇所に配置され、キャブ11をキャブ支持部6に対して弾性的に支持するものである。そして、各防振マウント39は、キャブ支持部6の前枠6Dに形成された各マウント取付穴6D1と横梁6Bに形成されたマウント取付穴6B1に取付けられている。また、各防振マウント39は、上側に突出した取付ねじ(図示せず)が床板33のねじ挿通穴、ベース枠体12を形成する各取付ベース13,14,15,16のマウント取付穴13C,14D,15F,16Eに下側から挿通し、その突出端にナット(図示せず)を螺着することにより、キャブ11を支持している。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、キャブ11を組立てて旋回フレーム5に搭載する作業について説明する。
まず、油圧ショベル1のキャブ11の下部を形成するベース枠体12を組立てる。このベース枠体12の組立作業では、左前取付ベース13、右前取付ベース14、左後取付ベース15、右後取付ベース16間を、これに対応する左接続フレーム17、右接続フレーム18、前接続フレーム19、後接続フレーム20によって接続することにより、長方形状の枠構造体をなすベース枠体12を形成する。
ここで、ベース枠体12を組立てるときには、例えば右前取付ベース14のフレーム取付部14Cに設けた嵌合突部14C1にパイプ部材からなる右接続フレーム18の前端部18Aを嵌合することにより、右前取付ベース14のフレーム取付部14Cに右接続フレーム18の前端部18Aを溶接手段を用いて簡単かつ正確に固着することができ、正確な溶接により溶接部分の強度も高めることができる。
同様に、左後取付ベース15のフレーム取付部15Bに左接続フレーム17の筒状フレーム17Bの後端部17B2を、右後取付ベース16のフレーム取付部16Bに右接続フレーム18の後端部18Bを、左後取付ベース15のフレーム取付部15Cに後接続フレーム20の左端部20Aを、右後取付ベース16のフレーム取付部16Cに後接続フレーム20の右端部20Bをそれぞれ簡単、正確、高強度に溶接手段を用いて固着することができる。
また、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20は、横断面が角筒状のパイプ部材により形成しているから、ベース枠体12を枠形状に組立てたときには、単なる平板、曲げ板等の板材に比較して該ベース枠体12の強度を高めることができる。
次に、ベース枠体12を枠形状に組立てたら、キャブボックス21を形成する各ピラー22〜25をベース枠体12の各取付ベース13〜16に溶接手段を用いて一体的に固着し、該ベース枠体12の下側に床板33を取付けることにより、キャブ11の外形部分を形成する。そして、キャブ11の外形ができたら、床板33に運転席35、作業レバー36、走行レバー・ペダル37、足乗せペダル38、空調ユニット(図示せず)等を組付ける。
そして、キャブ11を組立てたら、旋回フレーム5のキャブ支持部6上にキャブ11を運搬し、キャブ支持部6に予め取付けられた各防振マウント39の取付けねじをベース枠体12の取付ベース13〜16に締着することにより、キャブ支持部6にキャブ11を取付ける。
次に、上述したように旋回フレーム5にキャブ11が搭載された油圧ショベル1を操作して作業を行なうときの動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ11内の運転室34に搭乗して運転席35に着座する。この状態で走行レバー・ペダル37を操作することにより、下部走行体2のクローラを駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、運転席35に着座したオペレータは、左,右の作業レバー36を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
ここで、油圧ショベル1は、走行時、作業時に転倒したり、キャブ11に周囲の部材が衝突する虞があり、この場合にはキャブ11に大きな荷重が作用する。しかし、本実施の形態によるキャブ11は、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20を横断面が角筒状のパイプ部材を用いて形成することによりベース枠体12を高強度に形成しているから、大きな荷重が作用した場合でも、キャブボックス21が大きく変形するような事態を防止することができる。
かくして、本実施の形態によれば、キャブ11の下部を形成するベース枠体12は、角隅位置に配置された4個の取付ベース13〜16を接続する4個の接続フレーム17〜20のうち、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20を横断面が角筒状のパイプ部材を用いて形成している。従って、キャブボックス21を支持し、かつ旋回フレーム5のキャブ支持部6上にキャブ11を取付ける重要部品であるベース枠体12を、強固なパイプ構造を利用して高強度に形成することができる。
この結果、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20は、板厚寸法、幅寸法等を小さくすることができるから、キャブ11全体の軽量化、該キャブ11を支える防振マウント39等の小型化を図ることができる。しかも、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20を軽量化することにより、組立作業時の取扱いを容易にすることができ、組立作業性の向上、製造コストの低減等を図ることができる。
また、ベース枠体12の各取付ベース13〜16は、単一のブロック体からなる鋳造部品または鍛造部品として形成しているから、所望の形状に簡単に形成することができる。また、各取付ベース13〜16を鋳造手段で成形する場合に鋳鋼材料を用いることにより、高い強度を得ることができ、しかも、接続フレーム17〜20等と溶接することができる。
一方、キャブボックス21の左側面部21Cには、センタピラー28と、該センタピラー28と左後取付ベース15との間に位置して左接続フレーム17の一部をなすパイプ部材からなる筒状フレーム17Bを設けているから、例えば転倒等により大きな荷重が作用する虞があるキャブ11の左側に十分な強度を与えることができ、安全性、信頼性を向上することができる。
また、キャブ11の乗降口29の下側に位置する板状フレーム17Aは、横断面がほぼJ字状、L字状等の曲げ板を用いて形成しているから、平板よりも強度を有し、しかも床板33の上面に密着させて該床板33上に突出する高さ寸法を小さく抑えることができる。これにより、乗降口29を通るときの足元の段差を小さくすることができ、運転室34への乗降を安全かつスムーズに行なうことができる。
さらに、ベース枠体12を構成する右前取付ベース14,左後取付ベース15,右後取付ベース16のフレーム取付部14C,15B,15C,16B,16Cには、パイプ部材からなる左接続フレーム17の筒状フレーム17B,右接続フレーム18,後接続フレーム20が嵌合する嵌合突部14C1,15B1,15C1,16B1,16C1を設ける構成としている。
従って、例えば右前取付ベース14のフレーム取付部14Cに右接続フレーム18を接続するときには、フレーム取付部14Cに設けた嵌合突部14C1にパイプ部材からなる右接続フレーム18を嵌合することにより、両者を正確な位置に簡単に位置決めでき、また溶接手段を施すときの位置ずれ等を防止することができ、ベース枠体12の組立作業性を向上することができる。また、他の取付ベース15,16についても同様の作用効果を有している。
なお、実施の形態では、左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20を横断面が角筒状のパイプ部材を用いて形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば左接続フレーム17の筒状フレーム17B、右接続フレーム18、後接続フレーム20を横断面が円形状、D字形状等の他のパイプ部材を用いて形成する構成としてもよい。
一方、実施の形態では、後側に位置する2個の防振マウント39を、キャブ11の外部から取付ける構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば後側に位置する2個の防振マウント39を、キャブ11の内部から取付ける構成としてもよい。
また、実施の形態では、旋回フレーム5とキャブ11との間には、キャブ11の左前、右前、左後、右後に位置する4箇所の角隅位置に防振マウント39を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば旋回フレーム5とキャブ11との間に5個以上の防振マウント39を設ける構成としてもよい。
さらに、実施の形態では、建設機械用キャブとしてクローラ式の油圧ショベル1に搭載されたキャブ11を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルのキャブに適用してもよい。さらに、例えば油圧クレーン、ホイールローダ、トラクタ等の他の建設機械のキャブにも広く適用できるものである。