JP4824996B2 - キャブ構造 - Google Patents
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このような建設機械には、一般的に主要な構成として、下部走行体と、下部走行体上に取り付けられたオペレータが搭乗するための運転室(キャブ)と、が設けられている。
近年、建設機械に搭載されるキャブとして、建設機械の転倒時におけるオペレータの安全性を確保するためのROPS(Rollover Protective Structure)構造を採用したキャブが用いられている。
すなわち、上記公報に開示されたキャブ構造では、フロアパネルに対して直接的に防振部材(マウント部)を取り付けているため、フロアを強度部材として機能させる必要がある。このため、十分な強度に耐えられるように、例えば、フロアパネルを10mm以上まで厚くする必要がある。
一般的に、マウント部は、床板部材に対して直接的に連結される。このため、床板部材には、マウント部との連結部分を維持するために十分な強度が要求され、必然的に床板部材の板厚が大きくなってしまう。
これにより、マウント部を強度部材に対して連結し、強度部材によってマウント部との連結部分の強度を確保することで、床板部材を従来よりも薄型化し、構成を簡素化して十分な強度を有するキャブ構造を構成することができる。よって、従来は強度部材として形成する必要があった床板部材については、その板厚を薄型化してキャブ全体の重量を軽量化することが可能になる。
また、ここでは、マウント部が連結される強度部材を、少なくとも2本の柱部材の下端部同士をつなぐ梁部材に対して取り付けている。
これにより、強度部材は、梁部材を介して柱部材からの力を伝達されることになるため、柱部材からマウント部に対してキャブに掛かった力を効率よく伝達して、強度の高いキャブ構造を形成することができる。
これにより、キャブの柱部材が配置された四隅付近に取り付けられる強度部材の厚みを大きくすることで、従来は床板部材に持たせていた強度を、床板部材よりも小さい強度部材において確保することができる。この結果、床板部材の厚みを薄型化して、キャブの構造を簡素化するとともに、キャブ全体の重量を軽量化することができる。
ここでは、柱部材の下端部の直下に、マウント部が配置されるような位置構造を採っている。
これにより、キャブに掛かる力を最も効率よくマウント部の方へ伝達することができるため、キャブの剛性を最も効果的に向上させることができる。
これにより、輸送規制等の諸事情によって輸送時における高さに上限が設定されている場合でも、キャブを分割して輸送することで高さ規制をクリアすることができる。
通常、このような分割構造を採用したキャブでは、強度部材をボルトで固定するための板材を梁部材との間に挿入する必要があるため、キャブの高さが必然的に高くなってしまう。
これにより、板材を挿入したことに伴ってキャブの高さが上昇することを回避して、分割構造を採用していないキャブ構造と同じ高さにすることができる。
本発明の一実施形態に係るキャブ構造について、図1〜図8を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明で用いる「前」、「後」、「左」、「右」については、ホイルローダ10の前進側を「前」、後進側を「後」、前進側を向いたときの右側を「右」、その反対側を「左」と示すものとする。
本実施形態に係るキャブ構造は、図1に示すように、ホイルローダ(建設機械)10に搭載されたキャブ20に対して適用されている。
ホイルローダ10は、車体11と、車体の前部に装着されたリフトアーム12と、このリフトアーム12の先端に取り付けられたバケット13と、車体11を支持しながら回転して車体を走行させる4本のタイヤ14と、車体11の上部に搭載されたキャブ20と、を備えている。
リフトアーム12は、先端に取り付けられたバケット13を持ち上げるためのアーム部材であって、併設されたリフトシリンダによって駆動される。
バケット13は、リフトアーム12の先端に取り付けられており、バケットシリンダによってダンプおよびチルトされる。
[キャブ20の構造]
本実施形態のキャブ20は、図2〜図4に示すように、複数の柱部材21a〜21fと壁面パネルとによって形成された内部空間に、オペレータシート(運転席)22と、ステアリング23と、右側コンソールボックス24と、前方コンソールボックス26と、オーバーヘッドコンソール27(図3参照)と、を備えている。そして、オペレータシート22にオペレータ(運転者)が着座して正面を向いた際の左右両側には、乗降用ドア25a,25bが取り付けられている。
オペレータシート22は、ホイルローダ10を操縦するオペレータ(運転者)が着座するシートであって、キャブ20のほぼ中央付近に配置されている。そして、オペレータシート22は、スライドレール22a(図4参照)に沿って前後方向に移動する。また、オペレータシート22の右側方には、後述する右側コンソールボックス24が配置されている。一方、オペレータシート22の左側方には、コンソールボックス等は一切配置されていない。よって、ホイルローダ10のオペレータは、通常時には、スペースが大きく設けられている左側から乗降用ドア25bを介して乗り降りする。
右側コンソールボックス24は、スイッチパネル32や操作レバー33(図4参照)等を上面に配置したボックスであって、オペレータシート22と右側の乗降用ドア25aとの間のスペースに配置されている。また、右側コンソールボックス24は、スライドレール24a(図4参照)に沿って前後方向に移動する。なお、この右側コンソールボックス24の構成については、後段にて詳述する。
乗降用ドア25a,25bは、キャブ20の左右両側に取り付けられており、柱部材21e,21f側に取り付けられた丁番を回動軸として、キャブ20の外側において開閉される。
本実施形態のキャブ20は、図5および図6に示すように、車体11(図1参照)のベースとなる本体フレーム40の上面に設けられた4つのマウント挿入部43に対してマウントされる。
ここで、キャブ20のマウント部分における構造としては、図4〜図7に示すように、コーナー部材(強度部材)41、マウント部42、マウント挿入部43およびフロアパネル(床板部材)45等が含まれる。
マウント挿入部43は、マウント部42の防振マウントが挿入されて保持される部分であって、本体フレーム40の前側であって、キャブ20の四隅を4点支持するような位置に設けられている。
以上のように、本実施形態に係るキャブ20では、従来はフロアパネル45に対して直接的に連結していたマウント部42を、フロアパネル45ではなく、図8等に示すように、フロアパネル45とは別途設けられたコーナー部材41に対して取り付けている。
(1)
本実施形態のキャブ20では、図8に示すように、キャブ20と本体フレーム40(図5等参照)との間を連結するマウント部42を、キャブ20を構成する各柱部材21a〜21dの下端部に設けられておりフロアパネル45よりも下方に設けられたコーナー部材41に対して連結させている。
これにより、フロアパネル45に要求されていた強度部材として機能を持たせる必要が無くなることから、フロアパネル45の厚さを従来よりも大幅に薄くすることが可能になる。この結果、従来のキャブの構造と比較して、キャブ20全体の重量を軽量化し、かつ構成を簡素化することができる。
これにより、ホイルローダ10の転倒時等においてキャブ20に対して掛かる力を、効率よくマウント部42の方へ伝達することができる。この結果、キャブ20の剛性を効果的に確保することができる。
本実施形態のキャブ20では、図8に示すように、マウント部42が連結されるコーナー部材41を、柱部材21a〜21dの下端部近傍であって、各柱部材21a〜21dの下端部をつなぐ梁部材28a〜28dに対して取り付けている。
これにより、従来は強度部材として機能していたフロアパネルを一切介すことなく、マウント部と各柱部材21a〜21dとを連結することができるため、柱部材21a〜21dからマウント部42の方へ効率よく力を伝達するとともに、フロアパネル45の厚さを大幅に薄くすることができる。
本実施形態のキャブ20では、図6および図7に示すように、マウント部42との連結する強度部材として、略四角形のコーナー部材41を4つ用いている。
これにより、フロアパネル45よりも大幅に小さい部材であるコーナー部材41を用いて強度部材として用いることができるため、キャブ構造の構成を簡素化することができる。
本発明の他の実施形態に係るキャブ構造について、図9および図10を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明で使用する部材のうち、実施形態1で使用した部材と同様の構成、作用効果を有するものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。
具体的には、本実施形態のキャブ50は、図9に示すように、コーナー部材51の上面に設定された分割ラインにおいて上下に分割可能な分割構造60を備えている。
分割構造60は、主として、ホイルローダのキャブ50を分離して輸送する際等において、輸送規制をクリアするために形成される構造である。これにより、分割ラインよりも上部に位置するフロアパネル55や柱部材61a〜61d(図10参照)等を含むキャブ50の上部を、コーナー部材51やマウント挿入部53等を含むキャブ50の下部から分割してトラックの荷台等に置いて輸送することで、輸送規制によって高さ制限が設定されている国等においても円滑に輸送を行うことができる。なお、フロアパネル55としては、実施形態1において説明したフロアパネル45と同様の厚さを有する板材を用いている。
これにより、このような分割構造60を備えたキャブ50を構成するために、コの字型プレート54を1枚追加した場合でも、キャブ−フロア一体のモノコック構造を採用した非分割構造のキャブと、その高さを同等に保つことができる。
なお、ここでは、梁部材58a,58cの交差部分の拡大図である図9を用いて説明したが、他の梁部材58a〜58dの各交差部分についても、同様の構成を有しているものとする。
(1)
本実施形態のキャブ50では、図9に示すように、コーナー部材51の上面を境界として、それより上部に配置される梁部材58aやコの字型プレート54等のキャブ50の一部と、コーナー部材51やマウント部52等とを上下に分割可能な分割構造60を備えている。
これにより、輸送規制の厳しい国等においても、キャブ50を上下に分割して輸送を行うことで、高さ制限等の規制に掛かることなく、キャブ50を円滑に輸送することができる。
本実施形態のキャブ50では、図9に示すように、分割構造60を採用したことに伴ってコーナー部材51をボルトで固定するためのコの字型プレート54を有している。このコの字型プレート54は、コーナー部材51と梁部材58aとの間に挿入される。そして、梁部材58aは、コの字型プレート54の形状に合わせて異形断面を有している。
これにより、コの字型プレート54をキャブ50の構成として追加した場合でも、梁部材58aの異形断面に沿ってコの字型プレート54を配置することができることから、キャブ50の高さを、モノコック構造のキャブと同等に抑えることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態1では、強度部材として、キャブ20の四隅に配置された柱部材21a〜21dの下方にそれぞれ配置された略四角形の板材であるコーナー部材41を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、強度部材として、キャブの四隅のそれぞれに1枚の板材を取り付ける構成ではなく、キャブの四隅をつなぐように形成された1枚の板材を用いることもできる。
なお、強度部材の形状については、上記実施形態1で示した略四角形に限定されるものではなく、例えば、略三角形や円形等のような他の形状であってもよい。
上記実施形態1,2では、強度部材としてのコーナー部材41,51を、キャブ20を構成する柱部材21a〜21dの下端部に近接配置した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図11に示すように、キャブを構成する柱部材81aの直下にコーナー部材71およびマウント部42を取り付けてもよい。この場合には、キャブに掛かる力を効率よくマウント部42へと伝達することができるため、キャブの強度をより高めることができる。
上記実施形態1,2では、強度部材として機能するコーナー部材41,51として、厚さが19mmの板材を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、10mm以上の厚さの板材であれば、十分な強度を有する強度部材としてコーナー部材を機能させることができる。
上記実施形態1,2では、フロアパネル45,55として、厚さが4.5mmの板材を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、3.0〜8.0mmの範囲内の厚さであれば、十分にフロアパネルとしての強度を持つとともに、従来よりもフロアパネルを軽量化することができる。
上記実施形態2では、分割構造60を有するキャブ50において、梁部材58aを異形断面とした例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、実施形態1に示すキャブ20のように、上下に分割できないモノコック構造で使用した梁部材と同様の部材を用いてもよい。
ただし、上記実施形態2において説明したように、梁部材をコの字型プレートの形状に合わせて異形断面とすることは、キャブの高さをモノコック構造のキャブと同程度の高さにすることができるという点でより好ましい。
上記実施形態1,2では、本発明に係るキャブの構成を、ホイルローダに搭載されるキャブに対して適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ホイルローダ以外にも、ブルドーザや油圧ショベル等のような他の建設機械に搭載されるキャブに対して本発明を適用することもできる。
11 車体
12 リフトアーム
13 バケット
14 タイヤ
20 キャブ(キャブ構造)
21a〜21f 柱部材
22 オペレータシート(運転席)
22a スライドレール
23 ステアリング
24 右側コンソールボックス
24a スライドレール
25a 乗降用ドア
25b 乗降用ドア
26 前方コンソールボックス
26a 空調ユニット
28a〜28d 梁部材
32 スイッチパネル
33 操作レバー
40 本体フレーム
41 コーナー部材(強度部材)
41a 穴
42 マウント部
43 マウント挿入部
45 フロアパネル(床板部材)
50 キャブ(キャブ構造)
51 コーナー部材(強度部材)
52 マウント部
53 マウント挿入部
54 コの字型プレート(板材)
55 フロアプレート(床板部材)
58a 梁部材
58c 梁部材
60 分割構造
61a〜61d 柱部材
71 コーナー部材(強度部材)
81a 柱部材
Claims (5)
- 建設機械に搭載されるキャブの四隅近傍に略鉛直方向に沿って配置される複数の柱部材と、
前記キャブの床面を形成する床板部材と、
前記複数の柱部材のそれぞれの下端部近傍であって、前記床板部材に対して非接触の状態で前記床板部材の下方に取り付けられた板材である強度部材と、
前記強度部材に対して連結されるマウント部と、
前記複数の柱部材のうち少なくとも2本を前記柱部材の下端部付近において連結するとともに、上面側に前記柱部材の下端部が、下面側に前記強度部材が、側面側に前記床板部材がそれぞれ取り付けられる梁部材と、
を備えているキャブ構造。 - 前記マウント部は、上面から突出するボルト部材を有しており、
前記強度部材に形成された穴に前記ボルト部材が挿入された状態で、前記穴から突出した前記ボルト部材に、前記床板部材と前記強度部材との間の空間に配置された締結部材を螺合させることで、前記マウント部が前記強度部材に対して固定される、
請求項1に記載のキャブ構造。 - 前記マウント部は、前記柱部材の下端部の直下に配置されている、
請求項1または2に記載のキャブ構造。 - 前記強度部材の上方に配置されており、前記複数の柱部材の下端部を連結する梁部材と、
前記強度部材および前記マウント部を、前記強度部材よりも上部に配置される前記梁部材から分離させる分割構造と、
をさらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のキャブ構造。 - 前記梁部材は、前記強度部材を固定するために前記梁部材と前記強度部材との間に設けられた板材を格納するための断面形状を有している、
請求項4に記載のキャブ構造。
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