JP2005082131A - 油圧ショベルのキャビン及びその支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】 キャビンを構成する二重パネル内の空間を有効利用してキャビンの強度を確保することのできる油圧ショベルのキャビン及びその支持構造を提供すること。
【解決手段】 このキャビンは、互いに重ね合わせる側壁用アウタパネル92と側壁用インナパネル93とを有し、両パネル92,93を重ね合わることによって上下方向に延びる中空のピラー95を形成するとともに、両パネル92,93間のピラーを形成する部分にそのピラーの長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材94が設けられ、両パネル92,93の内側面に補強部材94が実質的に接する状態でこれらの両パネル92,93が重ね合わされている。
【選択図】 図5
【解決手段】 このキャビンは、互いに重ね合わせる側壁用アウタパネル92と側壁用インナパネル93とを有し、両パネル92,93を重ね合わることによって上下方向に延びる中空のピラー95を形成するとともに、両パネル92,93間のピラーを形成する部分にそのピラーの長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材94が設けられ、両パネル92,93の内側面に補強部材94が実質的に接する状態でこれらの両パネル92,93が重ね合わされている。
【選択図】 図5
Description
本発明は、油圧ショベルの旋回フレーム上に搭載されるキャビン及びその支持構造に関するものである。
油圧ショベルには、運転質量が数トンクラスの小型ショベルから数百トンを超えるクラスの大型ショベルにいたるまで各種のものがある(運転質量とは、燃料等を規定量とし、作業装置を装備した本体に、運転者1名の質量を加えた質量をいう)。
このうち、所定クラス以下の油圧ショベルでは、狭隘な作業スペース内での作業が可能であり、トラック輸送も可能であることから、建設工事や土木工事における幅広い用途に使われている。このクラスの油圧ショベルは、常に平坦な場所で作業するとは限らず、作業環境によっては不整地や傾斜地での作業を余儀なくされることがある。かかる作業環境下で作業する油圧ショベルの転倒や転落を防止するとともに、万一そのような事態が生じてもキャビン内の運転者の保護が確保されるようにキャビンを補強する必要がある。
しかし、キャビンを補強することに関しては、従来はなんら規制等がなかったため、油圧ショベルのメーカごとにその対策が立案されており、例えばキャビンのピラーを大きくしたり、キャビンの内側にピラーを突出させたり、或いはキャビンの外側にピラーを突出させたりすることなどが考えられていた。
ところが、キャビンの前後左右の各壁には運転員が外部を見るためのガラス窓が設けられており、ピラーを大きくすると窓面積を減らしてキャビンの視界性を低下させるため、作業性や安全性を確保することができない。また、ピラーをキャビン内側に突出させると、キャビン内の空間を狭くするため、居住性等を確保することができない。さらに、ピラーをキャビン外側に突出させると、キャビン外の付属品の取り付けを阻害する。
そこで、かかる不具合のない対策として、例えば特許文献1では、図9に示す水平断面図のように、キャビン1009を構成する二重パネル構造の支柱1010において、その二重パネル内の空間に鋼管1011をパネルから完全に離間させた状態或いはパネルの一方にのみ接触させた状態で入れて、各支柱1010の剛性を増すことが立案されていた。
特開平9−25648号公報
キャビンの保護構造に対する具体的な規制として、社団法人 日本建設機械化協会による、「6トンを超える油圧ショベル転倒時等保護構造(EOPS)−試験方法及び性能要求事項(JCMAS H018:2003)」が平成15年3月31日に制定された。
ここでは、単体で又は機械と一体になって機能する転倒時保護構造の静的負荷による載荷特性を評価する一連の再現性ある試験方法及び代表的な供試品に対する性能要求事項について規定されている。具体的には、運転質量6トンを超え50トン未満の油圧ショベルを、やむを得ず不整地、傾斜地などで作業させる際に、傾斜角30度以下の平らな堅い地盤の斜面上に転倒し、その油圧ショベルの前後方向軸を中心に油圧ショベルが地面との接触を失うことなく360度回転するという条件の下で、運転員が押しつぶされないように空間を確保するために、油圧ショベルに備えられた転倒時保護構造に適用するというものである。したがって、今後は、かかる規制を考慮した上で、キャビンの強度を確保する必要がある。
しかし、上記特許文献1のように、キャビン1009を構成する二重パネル構造のピラー1010において、そのピラー1010内の空間に鋼管1011をパネルから完全に離間させた状態或いはパネルの一方にのみ接触させた状態で入れるだけでは、二重パネル内の空間を有効利用しているとはいえず、キャビンの強度を確保することが困難であると考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、キャビンを構成する二重パネル内の空間を有効利用してキャビンの強度を確保することのできる油圧ショベルのキャビン及びその支持構造を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る油圧ショベルのキャビンは、請求項1の記載のように、油圧ショベルの旋回フレーム上に搭載されるキャビンであって、互いに重ね合わせる側壁用アウタパネルと側壁用インナパネルとを有し、両パネルを重ね合わることによって上下方向に延びる中空のピラーを形成するとともに、両パネル間のピラーを形成する部分に該ピラーの長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材が設けられ、両パネルの内側面に該補強部材が実質的に接する状態でこれらの両パネルが重ね合わされていることを特徴とするものである。
請求項2記載の発明のように、上記ピラーを複数本有し、各ピラー内に上記補強部材がそれぞれ設けられ、特定の補強部材の上端同士が互いに連結されて一体化されていることが好ましい。
請求項3記載の発明のように、上記各ピラー内に設けられた補強部材と、これらの補強部材同士を連結する連結部材とが一枚の板状部材から成形されたものであることが好ましい。
請求項4記載の発明のように、上記ピラーの本数は3本以上であってもよい。
請求項5記載の発明のように、互いに重ね合わせる天井用アウタパネルと天井用インナパネルとをさらに有し、両パネルを重ね合わることによって左右方向に延びる中空のビームを形成するとともに、両パネル間のビームを形成する部分に該ビームの長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材が設けられ、両パネルの内側面に該補強部材が実質的に接する状態でこれらの両パネルが重ね合わされていることが好ましい。
請求項6記載の発明のように、上記ビーム内の補強部材が、上記ピラー内の補強部材又は連結部材と連結されて一体化されていることが好ましい。
また、本発明に係る油圧ショベルのキャビンの支持構造は、請求項7の記載のように、請求項2〜4,6のいずれかに記載のキャビンにおけるピラー内の補強部材の下端が油圧ショベルの旋回フレームに固定されていることが好ましい。
請求項1記載の発明によれば、互いに重ね合わせる側壁用アウタパネルと側壁用インナパネルとを有し、両パネルを重ね合わることによって上下方向に延びる中空のピラーを形成するとともに、両パネル間のピラーを形成する部分に該ピラーの長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材が設けられ、両パネルの内側面に該補強部材が実質的に接する状態でこれらの両パネルが重ね合わされているので、補強部材のとりうる形状の自由性から、ピラーの断面積に合わせて最大限の断面積で補強部材を内装することができる。逆にいえば、ピラーの形状をその機能を確保できる範囲内での自由な断面に形成しても、それに応じた補強部材を内装できる。あるいは、ピラーの断面にかかわらず、適所に必要な断面の補強部材を内装することもできる。したがって、パネルを利用しながらも中実のピラー構造の剛性に近い剛性が得られ、これによりキャビンの強度を確保することができる。また、ピラー自身の形状は特に変更しなくても有効な補強ができるので、設計や製造ラインの大幅な変更が不要であり、キャビンの補強によるコストアップを極力抑えることもできる。
請求項2記載の発明によれば、上記ピラーを複数本有し、各ピラー内に上記補強部材がそれぞれ設けられ、特定の補強部材の上端同士が互いに連結されて一体化されているので、ピラー内の補強部材が相互に切り離されている構造に比べて、キャビンの強度をさらに高めることができる。
請求項3記載の発明によれば、上記各ピラー内に設けられた補強部材と、これらの補強部材同士を連結する連結部材とが一枚の板状部材から成形されたものであるので、少ない部品点数で、しかも強度の高い補強部材が得られ、これを用いてキャビンの強度をさらに高めることができる。
ところで、前後2本のピラー内の補強部材とそれらの補強部材同士の連結部材だけであれば、単なる丸棒や角棒の曲げ加工による構成が可能であるが、その前後間にさらなる補強部材を含むピラーが存在した場合には、溶接等を行わなければ全ての補強部材と連結部材とを一体化できない。この点、請求項4記載の発明によれば、上記ピラーの本数が3本以上であっても、各ピラー内の補強部材とそれらの補強部材間の連結部材とが一枚の板状部材の切断加工等により成形されるので、溶接等を行うことなく全ての補強部材と連結部材とを一体化できる。
請求項5記載の発明によれば、互いに重ね合わせる天井用アウタパネルと天井用インナパネルとをさらに有し、両パネルを重ね合わることによって左右方向に延びる中空のビームを形成するとともに、両パネル間のビームを形成する部分に該ビームの長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材が設けられ、両パネルの内側面に該補強部材が実質的に接する状態でこれらの両パネルが重ね合わされているので、補強部材のとりうる形状の自由性から、ビームの断面積に合わせて最大限の断面積で補強部材を内装することができる。逆にいえば、ビームの形状をその機能を確保できる範囲内での自由な断面に形成しても、それに応じて補強部材を内装できる。あるいは、ビームの断面にかかわらず、適所に必要な断面の補強部材を内装することもできる。したがって、パネルを利用しながらも中実のビーム構造の剛性に近い剛性が得られ、しかも上記ピラー構造とあいまって、キャビンの強度をさらに高めることができる。
請求項6記載の発明によれば、上記ビーム内の補強部材が、上記ピラー内の補強部材又は連結部材と連結されて一体化されているので、ビーム内の補強部材とピラー内の補強部材又は連結部材とが相互に切り離されている構造に比べて、キャビンの強度をさらに高めることができる。
請求項7記載の発明によれば、請求項2〜4,6のいずれかに記載のキャビンにおけるピラー内の補強部材の下端が油圧ショベルの旋回フレームに固定されているので、全体がラーメン構造をなし、これによりキャビンの強度をさらに高めることができる。
(実施形態1)
図1はクローラ式油圧ショベルの全体構成を示す図であって、この油圧ショベルの車体は、下部走行体1と、上部旋回体2とより構成されており、この上部旋回体2の前部には掘削用アタッチメント3が起伏自在に装着されている。
図1はクローラ式油圧ショベルの全体構成を示す図であって、この油圧ショベルの車体は、下部走行体1と、上部旋回体2とより構成されており、この上部旋回体2の前部には掘削用アタッチメント3が起伏自在に装着されている。
下部走行体1は、左右のクローラフレーム4及びクローラ5(いずれも片側のみ図示)からなり、両側クローラ5が、左右の走行モータ7により個別に回転駆動されて走行する。
上部旋回体2は、旋回フレーム8上に、運転者が乗り込むキャビン9と、エンジンやこのエンジンで駆動される油圧ポンプ等を搭載した機械室10とが前後に設けられている。
掘削用アタッチメント3は、ブーム17、上記油圧ポンプからの圧油により伸縮動作してブームを起伏させるブームシリンダ18と、アーム19と、このアーム19を回動させるアームシリンダ20と、バケット21と、このバケットを回動させるバケットシリンダ22とを具備している。
キャビン9は、周壁として天井、前後壁及び左右側壁を有する略直方体の箱状に形成されるとともに、各壁に大小のガラスを適宜はめ込んだ窓30を設けており、このガラス窓を介して運転者は外部を視認できるようになっている。
かかるキャビン9の構造について、社団法人 日本建設機械化協会による、「6トンを超える油圧ショベル転倒時等保護構造(EOPS)−試験方法及び性能要求事項(JCMAS H018:2003)」の規格では、側方仮想地面(Lateral Simulated Ground Plane;LSGP)と、天頂仮想地面(Vertical Simulated Ground Plane ;VSGP)という概念を導入している。LSGPとは、機械が横転した状態で止まる場合に対応する仮想地面で、その(負荷を受ける頂部部材の)最外端点をとおる垂直面を、最外端点をとおる水平軸のまわりにたわみ限界領域(DLV)から遠ざかる方向に回転させた面、又は、機械が床面最大屈削半径の状態で横転した時、作業装置と上部旋回体の側面の剛性の高い箇所3点(例えば、ブームの屈曲部側面、キャブベッド左前端及びカウンタウエイト左上部)によって形成される平面をいい、VSGPとは、機械が180度転倒した状態で止まる場合に対応する仮想地面で、EOPS頂部部材の全面に接する面、又は機械が最大屈削半径の状態で180度転倒したとき、作業装置と上部旋回体の上部の剛性の高い箇所(例えば、ブーム背とカウンタウエイトの上部)によって形成される平面をいう。
そして、実際の油圧ショベルのキャビンを模した試験装置を用いて、側方負荷試験と垂直負荷試験とを行うようになっている。図2はその側方負荷試験を示す説明図であって、(a)はEOPS単体の場合、(b)は機械と一体の場合を示しており、図2は垂直負荷試験を示す説明図であって、(a)はEOPS単体の場合、(b)は機械と一体の場合を示している。なお、同図中では実機と異なり、旋回フレーム40が固定部材41に搭載されている場合を示している。47はブーム、48はカウンタウエイトである。
この側方負荷試験では、EOPS構造部材42aが、DLV43の図示しない基準軸LAより上の部分を、図2(a)に示すように垂直方向に対して側方に15度まで傾けた(DLV43を取り付ける床そのものの変形によるDLV43の傾きは上記15度に加算される。)DLV43に入ってはならない。又は、LSGP45内側のEOPS構造部材42bとDLV43の基準軸LA44よりも上の部分を、図2(b)に示すように、鉛直方向に対して側方に15度まで傾けた(DLV43を取り付ける床そのものの変形によるDLV43の傾きは上記15度に加算される。)DLV43の最も近い部位との隙間は、所定寸法(DL)以上でなければならない、としている。
また、垂直負荷試験では、図3(a)に示すように、EOPS構造部材42cが、鉛直方向に対して側方に15度まで傾けたDLV43に入ってはならない。又は、図3(b)に示すように、VSGP46内側のEOPS部材42dと、DLV43の最も近い部材との隙間が、所定寸法(DH)以上でなければならない、としている。
したがって、キャビン9は、その試験装置により側方負荷試験と垂直負荷試験とを行って、それらの許容基準を満たすような構造とする必要がある。本発明のキャビン9は、そのような構造を具現化したもので、図4に示す水平断面図のように、互いに重ね合わせる側壁用アウタパネル92と側壁用インナパネル93とを有し、両パネル92,93を重ね合わせることによって上下に延びる中空のピラー95を形成するとともに、両パネル92,93間のピラー95を形成する部分に、そのピラー95の長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材94が設けられ、両パネル92,93の内側面に補強部材94が実質的に接する状態でこれらの両パネル92,93が重ね合わされていることを特徴としている。かかる構成は例えば以下のようにして得ることができる。
図5は本実施形態1に係るキャビンの右側パネルの構成、図6はそのピラーの構成を示している。これらの図に示すように、キャビン9の右側パネル91は、主として側壁用アウタパネル92と、側壁用インナパネル93と、補強部材94とから構成されている。
側壁用アウタパネル92は、図5に示すように、薄肉の鋼板920を大小窓部分921,922で打ち抜いて、この窓部分の各周縁部分923,924と前・後・天井側の各周縁部分925,926,927で屈曲させたものである。すなわち、図6に示すように、周縁部分925では鋼板920を内側(図中の手前側)に90°屈曲させ、周縁部分923では一旦内側に90°屈曲させてから、さらに後方(図中の右側)に90°屈曲させている。
側壁用インナパネル93は、図5に示すように、側壁用アウタパネル92と重ね合わせることができるように形成されている。すなわち、この側壁用インナパネル93は、側壁用アウタパネル92と同じく薄肉の鋼板を大小窓部分931,932で打ち抜いて、この窓部分の各周縁部分933,934と前・後・天井側の各周縁部分935,936,937で中心側と反対向き(図中の奥側)に屈曲させたものである。具体的には、図6に示すように、周縁部分935では鋼板920を内側に90°屈曲させ、周縁部分923では一旦外側(図中の奥側)に90°屈曲させてから、さらに後方に90°屈曲させている。なお、上側の周縁部分936には、後述するビーム98内の補強部材97を通すための凹部938が当該ビーム数だけ形成されている。
補強部材94は、図5及び図6に示すように、1枚の厚肉の鋼板を打ち抜いて、あるいは切り出して成形された部分である狭義の補強部材941と、これらの上端同士を連結する部分である連結部材942とからなり、補強部材941は側壁用アウタパネル92と側壁用インナパネル93とを重ね合わせたときに、当該補強部材941が両パネル92,93間に形成されるピラー95の中空部分にはめ込むことができるような矩形断面に予め加工されている。なお、薄肉の鋼板を重ねて溶着等して一体化したものであってもよい。
側壁用アウタパネル92と側壁用インナパネル93とを互いに重ね合わせると、両パネル92,93間にはその各辺が前後左右方向に向いた矩形断面の空間が形成されるが、この空間に同じくその各辺を前後左右方向に向けた矩形断面の補強部材941を介装して両パネル92,93を、それらの内側面に補強部材941のできるだけ多くの面(望ましくは全周)が接するような状態で重ね合わせると、これらの両パネル92,93は薄肉なので容易に変形して補強部材941にほぼ密着した構造のピラー95が形成される。これにより、ピラー95の荷重に対する断面係数が最大限度付近まで大きくなり、キャビン9の強度を高めることができる。ただし、補助部材941及び連結部材942は適宜箇所で両パネル92,93に点溶接等されており、これにより両パネル92,93と補助部材941及び連結部材942との間での振動による騒音発生を防止している。
そして、右側パネル91については、ピラー95が、旋回フレーム8(図1参照。)上の前後とその中間の合計3箇所に立設されるが、隣り合うピラー95内の補強部材941はそれの上端同士が連結部材942で互いに連結されているので、溶接等による両部材941,942の連結作業は不要である。また、このようにして右側パネル91が一体のラーメン構造となって荷重を受けるようになるので、ピラー95内の補強部材941が相互に切り離されている構造に比べて、キャビン9の強度をさらに高めることができる。
キャビン9の左側パネルは、図示はしていないが、原則として上記右側パネル91と左右対称の構造となっている。ただし、大窓部分には運転員が出入りするための窓つきドアを形成している。なお、左右両側パネルの隣り合うピラー95間には大小窓ガラスがそれぞれ嵌め込まれ、このガラス窓を介して運転者は外部を視認できるようになる。
以上説明したように、本実施形態1によれば、金属板からなる補強部材94のとりうる形状の自由性から、ピラー95の断面積に合わせて最大限の断面積で補強部材94を内装することができる。逆にいえば、ピラー95の形状をその機能を確保できる範囲内での自由な断面に形成しても、それに応じて補強部材94を内装できる。あるいは、ピラー95の断面にかかわらず、適所に必要な断面の補強部材94を内装することもできる。したがって、パネルを利用しながらも中実のピラー構造の剛性に近い剛性が得られ、上記ラーメン構造ともあいまってキャビン9の横荷重に対する強度を確保することができる。したがって、傾斜角30度以下の平らな堅い地盤の斜面上に転倒し、その油圧ショベルの前後方向軸を中心に油圧ショベルが地面との接触を失うことなく360度回転するという条件の下で、運転員が押しつぶされないように空間を確保する、といった上記規制を満たすこともできる。
また、ピラー95自身の形状は特に変更しなくても有効な補強ができるので、設計や製造ラインの大幅な変更が不要であり、キャビン9の補強によるコストアップを極力抑えることもできる。さらに、この構造を採用するにあたり、キャビン9の外形寸法等が上記規制を適用しない場合の標準仕様と、上記規制を適用する場合のオプション仕様とで同一であることから、同一機種で標準仕様機とオプション仕様機とを選択できるし、また標準仕様機をその後にオプション仕様機に容易に改造することもできるので便利である。
(実施形態2)
ところで、上記実施形態1では、主としてキャビン9の左右両側パネルにおける補強について説明したが、実機では天井パネルで左右両側パネルが連結されている。実施形態2は、かかる天井パネルにおける補強についても考慮したものであり、以下説明する。なお、上記実施形態1と共通する要素については、その重複説明を省略している。
ところで、上記実施形態1では、主としてキャビン9の左右両側パネルにおける補強について説明したが、実機では天井パネルで左右両側パネルが連結されている。実施形態2は、かかる天井パネルにおける補強についても考慮したものであり、以下説明する。なお、上記実施形態1と共通する要素については、その重複説明を省略している。
図7は本実施形態2に係るキャビンの天井パネルの構成、図8はそのビームを含む補強部材の構成を示している。これらの図に示すように、キャビン9の天井パネル96は、天井用アウタパネル961と、天井用インナパネル962と、板状部材としての補強部材97とを含むように構成されている。
天井用アウタパネル961は、薄肉の鋼板を打ち抜いて、前・後・左・右側の図示しない各周縁部分で中心側(図中の下側)に屈曲させたものである。
天井用インナパネル962は、天井用アウタパネル961と重ね合わせることができるような形状となっている。すなわち、この天井用インナパネル962は、天井用アウタパネル961と同じく薄肉の鋼板を所定幅で打ち抜いて、この幅方向の両側の周縁部分966,967で中心側と反対向き(図中の上側)に一旦90°だけ屈曲させてから、前後方向に開くようそれぞれ90°ずつ屈曲させたものである。
補強部材97は、上記ピラー95内の補強部材94と同じ厚肉の鋼板を打ち抜いて、あるいは切り出して天井用アウタパネル961と天井用インナパネル962とを重ね合わせたときに、両パネル間に形成されるビーム98の中空部分にはめ込むことができるような矩形断面に予め加工されている。なお、薄肉の鋼板を重ねて同一形状としてもよい。
そして、図7及び図8に示すように、右側パネル91の側壁用インナパネル93の上縁に形成しておいた凹部938を通して補強部材97の端面を、その奥にある補強部材94と連結させて両補強部材94,97を一体化させる。
しかる後に、上記実施形態1と同様にして右側パネル91の側壁用アウタパネル92と側壁用インナパネル93との間に補強部材94を介装させ、さらに天井パネル96の天井用アウタパネル961と天井用インナパネル962とを互いに重ね合わせると、両パネル961,962間にはその各辺がそれぞれ前後上下方向に向いた矩形断面の空間が形成されるが、この空間に同じくその各辺をそれぞれ前後上下方向に向けた矩形断面の補強部材97を介装して、両パネル961,962をそれらの内側面がこの補強部材97のできるだけ多くの面(望ましくは全周)が接するような状態で重ね合わせる。すると、この両パネル961,962は薄肉なので容易に変形して補助部材97にほぼ密着した構造のビーム98が得られる。これにより、ビーム98の荷重に対する断面係数を最大限度付近まで大きくして、キャビン9の強度を高めることができる。なお、補助部材97は適宜箇所で両パネル961,962に点溶接等されており、これにより両パネル961,962と補助部材97との間での振動による騒音発生を防止している。
このビーム98が、上記連結部材942にさらに連結されて一体化されることにより、ラーメン構造の一部をなすようになる。これによりキャビン9の強度をさらに高めることができる。
以上説明したように、本実施形態2によれば、金属板からなる補強部材97のとりうる形状の自由性から、ビーム98の断面積に合わせて最大限の断面積で補強部材97を内装することができる。逆にいえば、ビーム98の形状をその機能を確保できる範囲内での自由な断面に形成しても、それに応じて補強部材97を内装できる。あるいは、ビーム98の断面にかかわらず、適所に必要な断面の補強部材97を内装することもできる。したがって、パネルを利用しながらも中実のビーム構造の剛性に近い剛性が得られ、上記ラーメン構造ともあいまってキャビン9のあらゆる方向の荷重に対する強度を確保することができる。
なお、上記実施形態1,2では、略直方体のキャビン9の平面視で四隅と左右中間において、ピラー95を合計6箇所に設けているが、上記規制を満たす限り、その本数を減じるか、或いは増加することができるし、ビーム98についても同様である。他の形状のキャビンについても同様である。
また、上記実施形態1,2では、補強部材94,97の板厚を一定としているが、上記規制を満たす限り、その板厚を局所的に減じるか、或いは増加することもできる。
また、上記実施形態1,2では、一枚の板状部材であることを想定して補強部材94,97の断面形状をいずれも矩形断面としているが、例えば複数枚の板状部材を重ね合わせているような場合には、パネル間の中空部分に内包されうる最大の断面積を有するような他の断面形状を採用することができる。
8 旋回フレーム
9 キャビン
91 右側パネル
92 側壁用アウタパネル
93 側壁用インナパネル
94 補強部材
941 補強部材のピラー内の部分(狭義の補強部材)
942 補強部材の連結部分(連結部材)
95 ピラー
96 天井パネル
961 天井用アウタパネル
962 天井用インナパネル
97 補強部材
98 ビーム
9 キャビン
91 右側パネル
92 側壁用アウタパネル
93 側壁用インナパネル
94 補強部材
941 補強部材のピラー内の部分(狭義の補強部材)
942 補強部材の連結部分(連結部材)
95 ピラー
96 天井パネル
961 天井用アウタパネル
962 天井用インナパネル
97 補強部材
98 ビーム
Claims (7)
- 油圧ショベルの旋回フレーム上に搭載されるキャビンであって、
互いに重ね合わせる側壁用アウタパネルと側壁用インナパネルとを有し、両パネルを重ね合わることによって上下方向に延びる中空のピラーを形成するとともに、
両パネル間のピラーを形成する部分に該ピラーの長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材が設けられ、
両パネルの内側面に該補強部材が実質的に接する状態でこれらの両パネルが重ね合わされていることを特徴とする油圧ショベルのキャビン。 - 上記ピラーを複数本有し、各ピラー内に上記補強部材がそれぞれ設けられ、特定の補強部材の上端同士が互いに連結されて一体化されていることを特徴とする請求項1記載の油圧ショベルのキャビン。
- 上記各ピラー内に設けられた補強部材と、これらの補強部材同士を連結する連結部材とが一枚の板状部材から成形されたものであることを特徴とする請求項2記載の油圧ショベルのキャビン。
- 上記ピラーの本数は3本以上であることを特徴とする請求項3記載の油圧ショベルのキャビン。
- 互いに重ね合わせる天井用アウタパネルと天井用インナパネルとをさらに有し、
両パネルを重ね合わることによって左右方向に延びる中空のビームを形成するとともに、
両パネル間のビームを形成する部分に該ビームの長手方向の全域に亘り延びる金属板からなる補強部材が設けられ、
両パネルの内側面に該補強部材が実質的に接する状態でこれらの両パネルが重ね合わされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油圧ショベルのキャビン。 - 上記ビーム内の補強部材が、上記ピラー内の補強部材又は連結部材と連結されて一体化されていることを特徴とする請求項5記載の油圧ショベルのキャビン。
- 請求項2〜4,6のいずれかに記載のキャビンにおけるピラー内の補強部材の下端が油圧ショベルの旋回フレームに固定されていることを特徴とする油圧ショベルのキャビンの支持構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003320013A JP2005082131A (ja) | 2003-09-11 | 2003-09-11 | 油圧ショベルのキャビン及びその支持構造 |
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---|---|---|---|---|
JP2008105669A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-05-08 | Kobelco Contstruction Machinery Ltd | 上部体及びこれを備えた建設機械 |
JP2017040096A (ja) * | 2015-08-20 | 2017-02-23 | 共和産業株式会社 | 建設機械用キャブ |
-
2003
- 2003-09-11 JP JP2003320013A patent/JP2005082131A/ja active Pending
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