以下、本発明の実施の形態によるダンプトラックについて、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は大型の運搬車両であるダンプトラックを示している。ダンプトラック1は、鉱山で採掘した砕石物等の運搬対象物を運搬するものである。ここで、ダンプトラック1は、後述する左,右の前輪3と後輪5とを備えた自走可能な車体2と、運搬対象物を積載するため車体2上に傾転(起伏)可能に搭載された後述の荷台8とにより大略構成されている。ダンプトラック1の車体2は、後述の建屋12、フロア14、キャブ15、車体フレーム21等を含んで構成されるものである。
左,右の前輪3は、車体2の前側に回転可能に設けられ、操舵輪を構成している。前輪側サスペンション4は、左,右の前輪3を車体2に対してそれぞれ弾性的に支持するものである(図1中に左側のみ図示)。前輪側サスペンション4は、前輪3の振動が車体2に伝わるのを緩衝する。
左,右の後輪5は、車体2の後側に回転可能に設けられている。左,右の後輪5は、走行駆動装置6によって回転駆動されるもので、ダンプトラック1の駆動輪を構成している。走行駆動装置6は、走行モータ、減速装置等(いずれも図示せず)を収容し左,右方向に延びた円筒状のアクスルハウジング6Aと、該アクスルハウジング6Aから前方に突出したブラケット6Bとを有している。走行駆動装置6のブラケット6Bの突出端は、継手を介して後述するマウント部材38に回動可能に取付けられている。走行駆動装置6のアクスルハウジング6Aと車体フレーム21の後部との間には、後輪側サスペンション7が設けられている。後輪側サスペンション7は、例えば油圧緩衝器等により構成され、前輪側サスペンション4と同様に、後輪5の振動が車体2に伝わるのを緩衝する。
荷台8は、車体フレーム21上に傾転可能(起伏可能)に取付けられている。荷台8は、例えば油圧ショベル(図示せず)によって採掘された大量の鉱物等を積載するため、全長が10〜14メートルにも及ぶ有底な大型の容器として形成されている。荷台8の後底部は、車体フレーム21に設けられた後述する左,右の後端ブラケット33,34に連結ピン10を介して傾動可能に連結されている。荷台8の前側には、その上部から前方に向けて水平に延びる庇部8Aが一体に設けられ、この庇部8Aは、後述するキャブ15を上側から覆った状態でフロア14の前端位置近くまで延びている。
荷台8の前側は、後述のホイストシリンダ11を伸長または縮小させることにより、連結ピン10を支点として上,下方向に回動(昇降)される。これにより、荷台8は、庇部8Aがキャブ15を上側から覆った運搬位置(図1の位置)と、庇部8Aが上方に回動した排土位置との間で傾動する。荷台8の底面には緩衝材としてのゴムパッド9が設けられ、荷台8が排土位置から運搬位置に移動して車体フレーム21に着座するときの衝撃を抑制する。
ホイストシリンダ11は、車体フレーム21と荷台8との間に左,右方向で対をなして設けられている(図1中に左側のみ図示)。ホイストシリンダ11は、例えば油圧シリンダからなり、車体フレーム21に対して荷台8を上,下に傾動させるものである。ホイストシリンダ11の下端側(ロッド側)は、後述のシリンダ支持軸32に回動可能に取付けられ、ホイストシリンダ11の上端側(チューブ側)は、荷台8の下面側に回動可能に取付けられている。従って、ホイストシリンダ11を伸長または縮小させることにより、荷台8の前側(庇部8A側)は連結ピン10を支点として上,下方向に回動(昇降)する。これにより、荷台8は、前側が上方に持上げられた排土位置へと傾動し、荷台8に積載された運搬対象物を排出することができる。
建屋12は、車体2の前側に機械室を画成するもので、その内部には、エンジン13等が収容されている。ここで、建屋12は、後述のフロア14、キャブ15等を下側から支持する機能も有している。即ち、フロア14は、建屋12の上側に設けられている。フロア14上には、キャブ15、走行モータ等の動作を制御するコントロールキャビネット16等が設置されている。
次に、本実施の形態に用いられる車体フレームについて説明する。
車体フレーム21は、車体2のベースとなるもので、前,後方向に延びる強固な支持構造体からなっている。ここで、車体フレーム21は、後述する左フレーム22、右フレーム23、前フレーム24、後フレーム25、上板26、下板27、マウント部材38、前,後のクロスメンバ39,40を含んで構成されている。
左フレーム22は、車体フレーム21の左側に配置され、前,後方向に延在している。左フレーム22は、車体フレーム21の内側に位置する左内板22Aと、車体フレーム21の外側に位置し、左内板22Aと左,右方向に間隔をもって対面する左外板22Bと、左内板22Aと左外板22Bの上端を閉塞する上板26と、左内板22Aと左外板22Bの下端を接続する下板27とを含んで構成されている。
右フレーム23は、左フレーム22と左,右方向で対面した状態で車体フレーム21の右側に配置され、前,後方向に延在している。右フレーム23は、車体フレーム21の内側に位置する右内板23Aと、車体フレーム21の外側に位置し、右内板23Aと左,右方向に間隔をもって対面する右外板23Bと、右内板23Aと右外板23Bの上端を閉塞する上板26と、右内板23Aと右外板23Bの下端を接続する下板27とを含んで構成されている。
ここで、図4に示すように、左フレーム22の後側部位22A1と右フレーム23の後側部位23A1とは、一定の間隔Aを保った状態(互いに平行な状態)で前,後方向に延びている。一方、左フレーム22の前側部位22A2と右フレーム23の前側部位23A2は、後側部位22A1,23A1の間隔Aよりも大きな一定の間隔B(B>A)を保った状態(互いに平行な状態)で前,後方向に延びている。さらに、左フレーム22の前,後方向の中間部位22A3と右フレーム23の前,後方向の中間部位23A3とは、狭幅な後側部位22A1,23A1から広幅な前側部位22A2,23A2に向けて、左,右方向の幅寸法が徐々に大きくなっている。
左フレーム22の後側部位22A1と中間部位22A3との境界部は、左フレーム22の延び方向が変化する後屈曲部位22A4となり、左フレーム22の前側部位22A2と中間部位22A3との境界部は、前屈曲部位22A5となっている。これと同様に、右フレーム23の後側部位23A1と中間部位23A3との境界部は、右フレーム23の延び方向が変化する後屈曲部位23A4となり、右フレーム23の前側部位23A2と中間部位23A3との境界部は、前屈曲部位23A5となっている。
従って、車体フレーム21の左,右方向の幅寸法は、後側に比較して前側が大きくなるように設定されている。一方、左フレーム22の左内板22Aのうち後屈曲部位22A4の近傍部位と、右フレーム23の右内板23Aのうち後屈曲部位23A4の近傍部位とは、後述する前クロスメンバ39と後クロスメンバ40を介して互いに連結される構成となっている。
前フレーム24は、左フレーム22の前端と右フレーム23の前端との間を接続している。前フレーム24は、車体フレーム21の外側に位置し左,右方向に延びる前板24Aと、車体フレーム21の内側に位置し、前板24Aと前,後方向に間隔をもって対面する後板24Bと、前板24Aと後板24Bの上端を閉塞する上板26と、前板24Aと後板24Bの下端を閉塞する下板27とを含んで構成されている。
前板24Aの左,右方向の両端部は、左フレーム22の左外板22B、右フレーム23の右外板23Bに、それぞれ溶接によって接合されている。後板24Bの左,右方向の両端部は、左フレーム22の左内板22A、右フレーム23の右内板23Aに、それぞれ溶接によって接合されている。これにより、左フレーム22および右フレーム23の前端は、前フレーム24を介して一体的に接続されている。
後フレーム25は、左フレーム22の後端と右フレーム23の後端との間を接続している。後フレーム25は、車体フレーム21の内側に位置し、左,右方向に延びる前板25Aと、車体フレーム21の外側に位置し、前板25Aと前,後方向に間隔をもって対面する後板25Bと、前板25Aと後板25Bの上端を閉塞する上板26と、前板25Aと後板25Bの下端を閉塞する下板27とを含んで構成されている。
上板26は、左フレーム22、右フレーム23、前フレーム24、後フレーム25の上端を閉塞すると共に、左フレーム22と右フレーム23との間を接続するものである。図2ないし図4に示すように、上板26は、後述する前側開口部26Eの後湾曲部26E1よりも後側(後側部位)に位置し左フレーム22と右フレーム23との間を接続する接続部位26Aと、この接続部位26Aよりも前側(前側部位)に位置する二又状の左分岐部位26Bおよび右分岐部位26Cと、左,右の分岐部位26B,26Cの前端側を連結する前連結部位26Dとにより構成されている。上板26には、左,右の分岐部位26B,26C間に位置する矩形状の前側開口部26Eと、接続部位26Aの中央部に位置する楕円形状の後側開口部26Fとが形成されている。
ここで、上板26の接続部位26Aは、左フレーム22の左内板22Aから左側に配置され左フレーム22の上端を閉塞する左閉塞板26A1と、右フレーム23の右内板23Aから右側に配置され右フレーム23の上端を閉塞する右閉塞板26A2と、後フレーム25の前板25A、左内板22Aおよび右内板23Aによって囲まれ、後フレーム25の上端を閉塞する後閉塞板26A3と、前側開口部26Eの後湾曲部26E1よりも後側で左内板22A、右内板23Aおよび前板25Aに囲まれ、左,右のフレーム22,23間を接続する接続板26A4とにより構成されている。
上板26の左分岐部位26Bは、接続部位26Aよりも前側に位置する左フレーム22の上端を閉塞し、上板26の右分岐部位26Cは、接続部位26Aよりも前側に位置する右フレーム23の上端を閉塞している。上板26の前連結部位26Dは、前フレーム24の上端を閉塞している。前側開口部26Eと後側開口部26Fとは、上板26の軽量化を図ると共に、溶接作業時の作業スペースを確保するものである。
下板27は、上板26と上,下方向で対面した状態で、左フレーム22、右フレーム23、前フレーム24、後フレーム25の下端を閉塞すると共に、左フレーム22と右フレーム23との間を接続するものである。下板27は、後述する前側開口部27Eの後湾曲部27E1よりも後側(後側部位)に位置し左フレーム22と右フレーム23との間を接続する接続部位27Aと、この接続部位27Aよりも前側(前側部位)に位置する二又状の左分岐部位27Bおよび右分岐部位27Cと、左,右の分岐部位27B,27Cの前端側を連結する前連結部位27Dとにより構成されている。下板27には、左,右の分岐部位27B,27C間に位置する矩形状の前側開口部27Eと、接続部位27Aの中央部に位置する楕円形状の後側開口部27Fとが形成されている。
ここで、下板27の接続部位27Aは、左フレーム22の左内板22Aから左側に配置され左フレーム22の下端を閉塞する左閉塞板27A1と、右フレーム23の右内板23Aから右側に配置され右フレーム23の下端を閉塞する右閉塞板27A2と、後フレーム25の前板25A、左内板22Aおよび右内板23Aによって囲まれ、後フレーム25の下端を閉塞する後閉塞板27A3と、前側開口部27Eの後湾曲部27E1よりも後側で左内板22A、右内板23Aおよび前板25Aに囲まれ、左,右のフレーム22,23間を接続する接続板27A4とにより構成されている。
下板27の左分岐部位27Bは、接続部位26Aよりも前側に位置する左フレーム22の下端を閉塞し、下板27の右分岐部位27Cは、接続部位26Aよりも前側に位置する右フレーム23の下端を閉塞している。下板27の前連結部位26Dは、前フレーム24の下端を閉塞している。前側開口部27Eと後側開口部27Fとは、下板27の軽量化を図ると共に、溶接作業時の作業スペースを確保するものである。
左支柱28および右支柱29は、車体フレーム21の前,後方向の中央部から前側寄りの位置に設けられ、左,右方向で対面している。これら左,右の支柱28,29は、山形状をなした中空な製缶構造体からなり、左支柱28は、左フレーム22を構成する上板26の左分岐部位26Bから上向きに突設され、右支柱29は、右フレーム23を構成する上板26の右分岐部位26Cから上向きに突設されている。
左支柱28は、左分岐部位26Bの上面側から円弧状に湾曲して形成され、右支柱29は、右分岐部位26Cの上面側から円弧状に湾曲して形成されている。これにより、左分岐部位26Bと左支柱28との間、および右分岐部位26Cと右支柱29との間で応力の集中等が発生するのを避ける工夫がなされている。左支柱28および右支柱29の上端には、フロア14、キャブ15等の後部側を支持する上部横梁(図示せず)が取付けられる構成となっている。
左シリンダブラケット30および右シリンダブラケット31は、車体フレーム21の前,後方向の中間部後寄りの位置に設けられ、左,右方向で対面している。これら左,右のシリンダブラケット30,31は、鋼板材を用いて山形状をなす板体として形成されている。左シリンダブラケット30は、左フレーム22を構成する下板27の左閉塞板27A1および左分岐部位27Bに溶接接合されて下向きに突出し、右シリンダブラケット31は、右フレーム23を構成する下板27の右閉塞板27A2および右分岐部位27Cに溶接接合されて下向きに突出している。
左,右のシリンダブラケット30,31の下端側(突出端側)には、左,右方向に延びるシリンダ支持軸32が挿通されている。左,右のシリンダブラケット30,31から左,右方向に突出したシリンダ支持軸32の左,右方向の両端部には、ホイストシリンダ11の下端側が取付けられている。
左後端ブラケット33および右後端ブラケット34は、車体フレーム21の後端部に設けられ、左,右方向で対面している。これら左,右の後端ブラケット33,34は、厚肉な鋼板材を用いて形成されている。左後端ブラケット33は、左フレーム22を構成する上板26の左閉塞板26A1、および後フレーム25の後板25Bに溶接接合されて後向きに突出している。右後端ブラケット34は、右フレーム23を構成する上板26の右閉塞板26A2、および後フレーム25の後板25Bに溶接接合されて後向きに突出している。
左,右の後端ブラケット33,34は、連結ピン10を介して、荷台8の底面部を回動可能に支持している。一方、左,右の後端ブラケット33,34には、連結ピン35を介して、後輪側サスペンション7の上端側が回動可能に取付けられている。
左前輪ブラケット36および右前輪ブラケット37は、車体フレーム21の前端側に設けられ、左,右方向で対面している。これら左,右の前輪ブラケット36,37には、左,右の前輪3を支持するトレーリングアーム(図示せず)がそれぞれ取付けられ、これら左,右のトレーリングアームは、図1に示す前輪側サスペンション4によって弾性的に支持されている。
マウント部材38は、車体フレーム21の前,後方向の中間部後寄りに位置し、左,右のシリンダブラケット30,31の間で車体フレーム21の下面側に設けられている。このマウント部材38は、左,右の後輪5を駆動する走行駆動装置6が取付けられるものである(図1参照)。
マウント部材38は、図5および図8に示すように、左,右方向で間隔をもって対面する一対のフランジ部38Aを備えた中実構造物からなり、下板27に形成された前側開口部27Eと後側開口部27Fとの間に位置して接続板27A4の下面に溶接接合され、下向きに突出している。マウント部材38の各フランジ部38Aには、走行駆動装置6のブラケット6Bが継手を介して回動可能に取付けられている。ここで、マウント部材38は、後述するボックス構造体41の下側に配置されており、左,右の後輪5、走行駆動装置6を介してマウント部材38に作用する荷重を、車体フレーム21に円滑に伝達することができる構成となっている。
次に、第1の実施の形態に用いられる2枚のクロスメンバについて説明する。
前クロスメンバ39および後クロスメンバ40は、上板26の接続部位26Aと下板27の接続部位27Aに対応する位置で上板26と下板27との間に設けられている。これら前クロスメンバ39および後クロスメンバ40は、鋼板材を用いて形成された左,右方向に延びる長方形の板体によって構成され、前,後方向で間隔をもって対面しつつ左フレーム22と右フレーム23との間を接続している。
図7に示すように、前クロスメンバ39は、上板26に形成された前側開口部26Eの後湾曲部26E1、および下板27に形成された前側開口部27Eの後湾曲部27E1よりも後側に配置されている。前クロスメンバ39は、左端縁39Aが左フレーム22の左内板22Aに溶接接合されると共に、右端縁39Bが右フレーム23の右内板23Aに溶接接合されている。また、前クロスメンバ39は、上端縁39Cが上板26の接続板26A4に溶接接合されると共に、下端縁39Dが下板27の接続板27A4に溶接接合されている。一方、後クロスメンバ40は、上板26に形成された後側開口部26Fの前湾曲部26F1、および下板27に形成された後側開口部27Fの前湾曲部27F1よりも前側に配置されている。後クロスメンバ40は、左端縁40Aが左フレーム22の左内板22Aに溶接接合されると共に、右端縁40Bが右フレーム23の右内板23Aに溶接接合されている。また、後クロスメンバ40は、上端縁40Cが上板26の接続板26A4に溶接接合されると共に、下端縁40Dが下板27の接続板27A4に溶接接合されている。
これにより、車体フレーム21の前,後方向の中間部には、前,後のクロスメンバ39,40、左フレーム22の左内板22A、右フレーム23の右内板23A、上板26の接続板26A4、下板27の接続板27A4によって囲まれ、内部が閉断面空間となったボックス構造体41が形成される。このボックス構造体41は、各クロスメンバ39,40、左,右の内板22A,23A、上,下の接続板26A4,27A4によって囲まれた強固な閉断面構造を有している。従って、このボックス構造体41を介して左フレーム22の左内板22Aと右フレーム23の右内板23Aとの間が接続されることにより、車体フレーム21全体の剛性を高め、荷重が作用することによる変形を抑えることができる構成となっている。
ここで、図6に示すように、前クロスメンバ39と後クロスメンバ40とは、左フレーム22(左内板22A)および右フレーム23(右内板23A)の後屈曲部位22A4,23A4を挟んで前,後に配置されている。即ち、前クロスメンバ39と後クロスメンバ40とは、左フレーム22,右フレーム23の後屈曲部位22A4,23A4の近傍部位に配置されている。
これにより、左フレーム22および右フレーム23のうち、応力が集中し易い後屈曲部位22A4,23A4の近傍部位を、前,後のクロスメンバ39,40を介して互いに接続することができる。この結果、前,後のクロスメンバ39,40を用いて車体フレーム21全体の剛性を高めることができる構成となっている。さらに、車体フレーム21の剛性を高めるボックス構造体41の下側には、走行駆動装置6を取付けるためのマウント部材38が設けられている。これにより、車体フレーム21とマウント部材38との間で荷重を効率良く伝達することができる構成となっている。
一方、前クロスメンバ39の板厚t1は、後クロスメンバ40の板厚t2よりも大きく形成されている(t1>t2)。具体的には、前クロスメンバ39の板厚t1は、後クロスメンバ40の板厚t2に対して1.1倍以上で2.0倍以下の範囲に設定され、好ましくは1.5倍程度に設定されている。
このように、前クロスメンバ39の板厚t1を、後クロスメンバ40の板厚t2よりも大きく形成することにより、前クロスメンバ39と左内板22Aおよび右内板23Aとの接合部に生じる応力を低減できる構成となっている。従って、左フレーム22と右フレーム23との左,右方向の幅寸法が、車体フレーム21の後側よりも前側で大きく形成されることにより、ダンプトラック1の走行時における車体フレーム21の上,下方向の変形量が、車体フレーム21の後側よりも前側で大きくなったとしても、左,右のフレーム22,23と前クロスメンバ39との接合部の強度を高めることができる構成となっている。
第1の実施の形態によるダンプトラック1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
ダンプトラック1が、荷台8に運搬対象物を積載して作業現場を走行するときには、荷台8の荷重や走行負荷が車体フレーム21に作用し、車体フレーム21は変形を生じる。
これに対し、第1の実施の形態によるダンプトラック1は、上板26の接続部位26Aと下板27の接続部位27Aに対応する位置、即ち車体フレーム21の前,後方向の中間部に、前クロスメンバ39と後クロスメンバ40とを設けている。これら前,後のクロスメンバ39,40は、左端縁39A,40Aが左フレーム22の左内板22Aに接合され、右端縁39B,40Bが右フレーム23の右内板23Aに接合され、上端縁39C,40Cが上板26の接続板26A4に接合され、下端縁39D,40Dが下板27の接続板27A4に接合されている。
これにより、車体フレーム21の前,後方向の中間部には、前,後のクロスメンバ39,40、左フレーム22の左内板22A、右フレーム23の右内板23A、上板26の接続板26A4、下板27の接続板27A4によって囲まれ、内部が閉断面空間となったボックス構造体41が形成される。従って、ボックス構造体41を介して左フレーム22の左内板22Aと右フレーム23の右内板23Aとの間が接続されることにより、車体フレーム21全体の剛性を高めることができる。
この結果、荷台8の荷重や走行負荷によって車体フレーム21が変形するのを抑制することができ、左フレーム22の左内板22Aおよび左外板22Bと上板26との接合部、左フレーム22の左内板22Aおよび左外板22Bと下板27との接合部に応力集中が生じるのを抑えることができる。一方、右フレーム23の右内板23Aおよび右外板23Bと上板26との接合部、右フレーム23の右内板23Aおよび右外板23Bと下板27との接合部に応力集中が生じるのを抑えることができる。従って、車体フレーム21の剛性や耐久性を高めることができ、ダンプトラック1の信頼性を高めることができる。
しかも、前クロスメンバ39と後クロスメンバ40との2枚の板体からなるクロスメンバを設置するだけで、車体フレーム21の前,後方向の中間部にボックス構造体41を形成することができる。従って、車体フレーム21の重量を大幅に増大させることなく、車体フレーム21の剛性を高めることができる。
一方、第1の実施の形態によれば、走行駆動装置6を取付けるためのマウント部材38を、ボックス構造体41の下側に位置して車体フレーム21の下板27に取付ける構成としている。これにより、運搬対象物が積載された荷台8の荷重を、ボックス構造体41を介してマウント部材38に直接的に伝達し、マウント部材38に取付けられた走行駆動装置6を介して後輪5へと伝達することができる。この結果、下板27の変形量を抑えることができ、車体フレーム21全体の剛性を高めることができる。
また、前クロスメンバ39の板厚t1は、後クロスメンバ40の板厚t2よりも大きく形成されているので、前クロスメンバ39と左内板22Aおよび右内板23Aとの接合部に生じる応力を低減することができる。この結果、ダンプトラック1の走行時における車体フレーム21の上,下方向の変形量が、車体フレーム21の後側よりも前側で大きくなった場合でも、左,右のフレーム22,23と前クロスメンバ39との接合部の強度を高めることができ、車体フレーム21全体の剛性を高めることができる。しかも、後クロスメンバ40の板厚t2を、前クロスメンバ39の板厚よりも小さくすることにより、車体フレーム21の重量が増加するのを抑えつつ、車体フレーム21の剛性を高めることができる。
さらに、前クロスメンバ39と後クロスメンバ40とは、左フレーム22(左内板22A)および右フレーム23(右内板23A)の後屈曲部位22A4,23A4を挟んで前,後に配置されている。これにより、左フレーム22および右フレーム23のうち、応力が集中し易い後屈曲部位22A4,23A4の近傍部位を、前,後のクロスメンバ39,40を介して互いに接続することができる。この結果、左フレーム22の後屈曲部位22A4と右フレーム23の後屈曲部位23A4とを、前,後のクロスメンバ39,40によって補強することができ、車体フレーム21全体の剛性を高めることができる。
次に、図9および図10は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、各クロスメンバの左,右方向の両側を折曲部として形成したことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態による車体フレーム51は、第1の実施の形態による車体フレーム21とほぼ同様に、左フレーム22、右フレーム23、前フレーム24、後述の後フレーム52、上板26、下板27、後述の前クロスメンバ53、後クロスメンバ54等を含んで構成されている。しかし、第2の実施の形態による車体フレーム51は、後フレーム52、前クロスメンバ53、後クロスメンバ54の構成の点で、第1の実施の形態とは異なるものである。
後フレーム52は、左フレーム22の後端と右フレーム23の後端との間を接続している。後フレーム52は、車体フレーム51の内側に位置し、左,右方向に延びる前板52Aと、車体フレーム51の外側に位置し、前板52Aと前,後方向に間隔をもって対面する後板52Bと、前板52Aと後板52Bの上端を閉塞する上板26と、前板52Aと後板52Bの下端を閉塞する下板27とを含んで構成されている。
前板52Aの左端側は前方に向けて屈曲した左屈曲部52A1となり、前板52Aの右端側は前方に向けて屈曲した右屈曲部52A2となっている。ここで、左フレーム22の左内板22Aと左屈曲部52A1とがなす後板52B側の角度θ1と、右フレーム23の右内板23Aと右屈曲部52A2とがなす後板52B側の角度θ1とは、鋭角に設定されている。
前クロスメンバ53および後クロスメンバ54は、後フレーム52よりも前側でかつ前フレーム24よりも後側に位置して上板26と下板27との間に設けられ、前,後方向で間隔をもって対面しつつ左フレーム22と右フレーム23との間を接続している。
前クロスメンバ53は、左,右方向に延びる長方形の板体として形成され、左,右方向の両端側は前方に向けて折曲げられている。これにより、前クロスメンバ53の左側は左折曲部53Aとなり、右側は右折曲部53Bとなっている。前クロスメンバ53は、左折曲部53Aの左端縁53A1が左内板22Aに溶接されると共に、右折曲部53Bの右端縁53B1が右内板23Aに溶接され、上端縁が上板26の接続板26A4に溶接されると共に下端縁が下板27の接続板27A4に溶接される。
後クロスメンバ54は、左,右方向に延びる長方形の板体として形成され、左,右方向の中間部は直線的に左,右方向に延び、両端側は後方に向けて折曲げられている。これにより、後クロスメンバ54の左,右方向の中間部は直線部54Aとなり、左側は左折曲部54Bとなり、右側は右折曲部54Cとなっている。後クロスメンバ54は、左折曲部54Bの左端縁54B1が左内板22Aに溶接されると共に、右折曲部54Cの右端縁54C1が右内板23Aに溶接され、上端縁が上板26の接続板26A4に溶接されると共に下端縁が下板27の接続板27A4に溶接される。
これにより、車体フレーム51の前,後方向の中間部には、前,後のクロスメンバ53,54、左フレーム22の左内板22A、右フレーム23の右内板23A、上板26の接続板26A4、下板27の接続板27A4によって囲まれ、内部が閉断面空間となったボックス構造体55が形成される。
ここで、前クロスメンバ53の左折曲部53Aは、ボックス構造体55内で左フレーム22の左内板22Aに対してなす角度θ2が鋭角になるように形成されている。同様に、前クロスメンバ53の右折曲部53Bは、ボックス構造体55内で右フレーム23の右内板23Aに対してなす角度θ2が鋭角になるように形成されている。望ましくは、前クロスメンバ53の左折曲部53Aと左内板22Aとが交わるボックス構造体55内の角度θ2と、前クロスメンバ53の右折曲部53Bと右内板23Aとが交わるボックス構造体55内の角度θ2とは、30度以上で90度未満(30°≦θ2<90°)の範囲に設定されている。
一方、後クロスメンバ54の左折曲部54Bは、ボックス構造体55内で左フレーム22の左内板22Aに対してなす角度θ3が鋭角になるように形成されている。同様に、後クロスメンバ54の右折曲部54Cは、ボックス構造体55内で右フレーム23の右内板23Aに対してなす角度θ3が鋭角になるように形成されている。望ましくは、後クロスメンバ54の左折曲部54Bと左内板22Aとが交わるボックス構造体55内の角度θ3と、後クロスメンバ54の右折曲部54Cと右内板23Aとが交わるボックス構造体55内の角度θ3とは、30度以上で90度未満(30°≦θ3<90°)の範囲に設定されている。
第2の実施の形態による車体フレーム51は上述の如き構成を有するもので、その基本的な作用効果は、第1の実施の形態による車体フレーム21と格別差異はない。
然るに、第2の実施の形態による車体フレーム51は、前クロスメンバ53の左折曲部53Aを、左フレーム22の左内板22Aに対してなす角度θ2が鋭角となるように形成し、前クロスメンバ53の右折曲部53Bを、右フレーム23の右内板23Aに対してなす角度θ2が鋭角となるように形成している。
一方、車体フレーム51は、後クロスメンバ54の左折曲部54Bを、左フレーム22の左内板22Aに対してなす角度θ3が鋭角となるように形成し、後クロスメンバ54の右折曲部54Cを、右フレーム23の右内板23Aに対してなす角度θ3が鋭角となるように形成している。
これにより、荷台8からの荷重を、前クロスメンバ53の左折曲部53Aから左フレーム22へと円滑に伝達し、前クロスメンバ53の右折曲部53Bから右フレーム23へと円滑に伝達することができる。同様に、荷台8からの荷重を、後クロスメンバ54の左折曲部54Bから左フレーム22へと円滑に伝達し、後クロスメンバ54の右折曲部54Cから右フレーム23へと円滑に伝達することができる。
この結果、前クロスメンバ53と左,右のサイドフレーム22,23との接合部に応力が集中するのを抑え、後クロスメンバ54と左,右のサイドフレーム22,23との接合部に応力が集中するのを抑えることができるので、車体フレーム51の剛性を高めることができる。
しかも、前クロスメンバ53の左,右方向の両側に左折曲部53A,右折曲部53Bを設けた分、前クロスメンバ53の長さ寸法が増大するので、前クロスメンバ53と上板26との溶接長さ、前クロスメンバ53と下板27との溶接長さを増大させることができる。同様に、後クロスメンバ54の左,右方向の両側に左折曲部54B,右折曲部54Cを設けた分、後クロスメンバ54の長さ寸法が増大するので、後クロスメンバ54と上板26との溶接長さ、後クロスメンバ54と下板27との溶接長さを増大させることができる。
この結果、前,後のクロスメンバ53,54と上板26との接合部、前,後のクロスメンバ53,54と下板27との接合部に作用する荷重を分散させることができる。従って、これら各接合部の応力を低減することができ、車体フレーム51の剛性を高めることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、左フレーム22の左内板22Aと右フレーム23の右内板23Aとの間を接続するクロスメンバとして、前クロスメンバ39と後クロスメンバ40との合計2枚のクロスメンバを用いた場合を例示している。
しかし、本発明はこれに限らず、例えば図11に示す変形例のように、前クロスメンバ39と後クロスメンバ40との間に中間クロスメンバ56を追加した合計3枚のクロスメンバを用いる構成としてもよい。さらに、4枚以上のクロスメンバを用いる構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。