JP6540765B2 - 積層シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層シートに関する。積層シートは、壁紙、各種装飾材等として有用である。また、発泡樹脂層を有する積層シート(発泡積層シート)は、発泡壁紙、各種装飾材、ラミネート化粧板用表皮材、クッション性床材、断熱化粧材等として有用である。
従来、ゾル状の樹脂組成物を裏打紙上に直接塗布して樹脂層が形成された壁紙(以下、ゾル法による壁紙ともいう)が知られている。上記樹脂組成物中にさらに発泡剤を含有し、加熱等の手段で当該発泡剤を発泡させることによって発泡樹脂層が形成された壁紙(以下、ゾル法による発泡壁紙)は、特に広く用いられている(特許文献1)。樹脂組成物としては、塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂組成物を使用することが多い。
他方、近年では環境に配慮して、塩化ビニル樹脂又はポリ塩化ビニルを使用しない非塩化ビニル系樹脂(非塩ビ系樹脂)を用いた上で、樹脂組成物を溶融押出しし、当該樹脂組成物を裏打紙にラミネートする等により樹脂層が形成された壁紙(以下、製膜法による壁紙ともいう)、及び上記樹脂組成物中にさらに発泡剤等を含有した発泡剤含有樹脂層を加熱発泡させることにより発泡樹脂層が形成された発泡壁紙(以下、製膜法による発泡壁紙ともいう)が好ましいと考えられている(特許文献2)。
特開2004−292990号公報 特開2004−277986号公報
しかしながら、特許文献2に記載のような製造方法により得られる製膜法による壁紙の裏打紙は、上述のゾル法による壁紙の裏打紙に比べ、水系の糊を塗布した際に浸透し難く、裏打紙の表層側に糊が多く残存してしまい、モルタル壁面、石膏ボード等の被着体に仮止めして剥がしたときに被着体に残る糊の量が多くなってしまう結果、再度上記製膜法による壁紙を貼り直す際の接着力が大きく低下する、という問題がある。
ゾル法による壁紙と製膜法による壁紙との間でこのような違いが生じる理由は定かではないが、本発明者らの知見によれば、ゾル法による壁紙の場合、上述の製造方法によって、ゾル状の樹脂組成物に含まれている希釈剤(溶剤)が揮発することで裏打紙をよりポーラスにするためや、裏打紙内部に浸透した樹脂組成物に含まれている無機充填剤などの成分によって水分を吸収しやすくなっているためと考えられる。これにより、ゾル法による壁紙の場合は裏打紙の水分浸透性が向上しており、その結果裏打紙に水系の糊が浸透しやすくなるため、裏打紙の表層側に残存する糊の量が少なくなる。従って、被着体に仮止めした後に剥がしたとしても、被着体側に残ってしまう糊の量は少なく、貼り直しに必要な接着力を保持することができているものと思われる。
一方、製膜法による壁紙の場合はゾル法による壁紙の場合のような理由による裏打紙への水分浸透性の向上が期待されないため、上述のような問題が生じているものと考えられる。このような背景に基づき、本発明は、ゾル状の樹脂組成物を直接塗布する方法とは別の方法で樹脂層を形成した場合でも、水系の糊を塗布して仮止めした後の貼り直しの際に接着性に優れており、かつ壁紙に要求される性能を満たしている壁紙として使用できる積
層シートを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、樹脂層を製膜した後に基材上に積層することにより樹脂層を形成した上で積層シートを特定の構造とすることによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の積層シート及びその製造方法に関する。
1. 基材上に、樹脂層を有する積層シートであって、
(1) 前記樹脂層は、製膜後に前記基材上に積層されており、
(2) 前記積層シートには、前記基材の裏面に前記積層シートを貫通しない穴が形成され
ている、
ことを特徴とする、積層シート。
2. 前記製膜は、押出し成形又はカレンダー成形による製膜である、上記項1に記載の積
層シート。
3. 前記樹脂層を構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、上記項1又は2に記載の積層シート。
4. 前記穴の直径が40〜300μmである、上記項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
5. 前記穴が2〜10mmの間隔で形成されている、上記項1〜4のいずれかに記載の積層シー
ト。
6. 前記樹脂層が、発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である、上記項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
7. 基材上に、樹脂層を有する積層シートの製造方法であって、
(i) 貫通孔が形成されている前記基材を用意する工程1、及び
(ii) 前記樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を前記基材上に積層する工程2、
を順に有することを特徴とする、積層シートの製造方法。
8. 基材上に、樹脂層を有する積層シートの製造方法であって、
(i) 前記樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を前記基材上に積層する工程1、及び
(ii) 前記基材の裏面から、前記樹脂層を貫通しない穴を形成する工程2、
を順に有することを特徴とする、積層シートの製造方法。
9. 基材上に、樹脂層を有する積層シートの製造方法であって、
(i) 前記樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を前記基材上に積層する工程1、
(ii) 前記基材の裏面から、前記樹脂層を貫通する孔を形成する工程2、並びに
(iii) 前記樹脂層上に絵柄模様層及び/又は保護層を形成する工程3、
を有することを特徴とする、積層シートの製造方法。
10. 基材上に、発泡樹脂層、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層を有する積層シー
トの製造方法であって、
(i) 発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に前記発泡剤
含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を前記基材上に積層する工程1、
(ii) 前記基材の裏面から、前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を貫通しない穴を形成する工程2、及び
(iii) 前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3、
を順に有することを特徴とする、積層シートの製造方法。
11. 基材上に、発泡樹脂層、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層を有する積層シー
トの製造方法であって、
(i) 発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に前記発泡剤
含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を前記基材上に積層する工程1、
(ii) 前記基材の裏面から、前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を貫通する孔を形成する工程2、及び
(iii) 前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより、前記貫通する孔が前記発泡樹脂
層又は発泡樹脂層を含む積層体を貫通しない穴となるように発泡樹脂層を形成する工程3

を順に有することを特徴とする、積層シートの製造方法。
以下、本発明の積層シートについて詳細に説明する。
≪積層シート≫
本発明の積層シートは、基材上に、樹脂層を有する積層シートであって、
(1) 前記樹脂層は、製膜後に前記基材上に積層されており、
(2) 前記積層シートには、前記基材の裏面に前記積層シートを貫通しない穴が形成され
ている、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の積層シートは、特に、樹脂層を製膜した後に基材上に積層することにより樹脂層を形成した上で積層シートを上記特定の構造とするため、ゾル状の樹脂組成物を直接塗布する方法とは別の方法で樹脂層を形成した場合でも、意匠性を確保しつつ、水分の浸透性に優れている。そのため、水系の糊を塗布して仮止めした後に貼り直しをしても、接着性に優れる。
本明細書において、「仮止め」とは、位置合わせ等の目的で、積層シートの水系の糊を塗布した後に、被着体に対して一時的に上記積層シートを全面又は部分的に貼り合わせることをいう。また、「貼り直し」とは、仮止めを行った積層シートに対して再度水系の糊を塗布することなく、再び被着体に対して貼り合わせることをいう。
以下、本発明の積層シートの層構成について説明する。なお、本発明の積層シートは、樹脂層がいわゆる「おもて面」(施工後に視認される面)である。よって、本明細書では、基材から見て樹脂層が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材から見て反対の方向を「下」又は「裏面」と称する。
基材
本発明の積層シートは、基材を有する。
基材としては限定されない。例えば、公知の繊維質基材(裏打紙)などが利用できる。
具体的には、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;繊維混抄紙(パルプと合成繊維とを混合して抄紙したもの)などが挙げられる。なお、これらの繊維質基材には、分類上、不織布に該当しているものも包含される。
基材の坪量は限定的ではないが、50〜300 g/m2程度が好ましく、50〜120 g/m2程度がより好ましい。
樹脂層
本発明の積層シートは、基材上に、樹脂層を有する。当該樹脂層は、1層単層又は2層以上の複数層から構成される。
樹脂層は、各層が樹脂を含有すれば特に限定されない。例えば、樹脂層を構成する樹脂はポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
樹脂層の構成は、特に限定されない。例えば、樹脂層として、発泡樹脂層単層、発泡樹脂層を含む積層体からなる層等が挙げられる。発泡樹脂層を含む積層体からなる層の層構成としては、非発泡樹脂層Bの上に、発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Aを当該順に有する層構成が挙げられる。以下、この非発泡樹脂層B、発泡樹脂層及び非発泡樹脂層Aが順に積層された積層体からなる層を例に挙げて、各層について説明する。なお、本明細書において、樹脂層が、発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合の積層シートを、便宜的に「発泡積層シート」ともいう。本発明の積層シートは、前記発泡積層シートを包含する。
(発泡樹脂層)
本発明における樹脂層は、発泡樹脂層を有していてもよい。
発泡樹脂層に含まれる樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、1)ポリ
エチレン及び2)エチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体(
以下、「エチレン共重合体」と略記する)の少なくとも1種がより好ましい。
ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が広く使用できるが、こ
の中でも低密度ポリエチレンが好ましい。
エチレン重合体は融点及びMFRの観点で押出し製膜に適している。エチレン共重合体と
しては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合
体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メチルメタクリレート
共重合体(EMMA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチル
アクリレート共重合体(EEA)、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
また、発泡樹脂層は、樹脂成分として上記エチレン系樹脂と他の樹脂を併用してもよい。併用する場合のエチレン系樹脂の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
また、上記エチレン共重合体におけるエチレン以外のモノマーの含有量は、共重合する成分によって適切な共重合比率を採用することにより、押出し製膜性がより高まる。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体の場合、酢酸ビニルの共重合比率(VA量)は5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。エチレン−アクリル酸共重合体の場
合、アクリル酸の共重合比率(AA量)として2〜15質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。また、エチレン−メタクリル酸共重合体の場合、メタクリル酸の共重合比率(MAA量)として2〜15質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。また、エチレン−α
オレフィン共重合体の場合、αオレフィンの共重合比率として0.5〜50質量%が好ましい
本発明では、発泡樹脂層に含まれる樹脂成分は、JIS K 6922に記載の190℃、荷重21.18Nの条件で測定したMFR(メルトフローレート)が10〜35g/10minであることが好ましい。MFRが上記範囲内の場合には、後述する発泡剤含有樹脂層を押出し製膜等により形成する際の温度上昇が少なく、非発泡状態で製膜できるため、後に絵柄模様層を形成する場合には、平滑な面に印刷処理をすることができて柄抜け等が少ない。MFRが大きすぎる場合は、
樹脂が軟らかすぎることにより、形成される発泡樹脂層の耐傷性が不十分となるおそれがある。
本発明における発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる。つ
まり、前記発泡積層シートは、基材上に、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を有する発泡積層シート中間体の前記発泡剤含有樹脂層を、発泡させることにより得られる。本明細書において、前記発泡積層シート中間体を、発泡積層シート原反という。
発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物としては、例えば、上記樹脂成分、無機充填剤、顔料、熱分解型発泡剤、発泡助剤、架橋助剤等を含む樹脂組成物を好適に使用できる。その他にも、安定剤、滑剤等を添加剤として使用できる。
熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系;オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系などが挙げられる。熱分解型発泡剤の含有量は、発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率の観点からは、5倍以上、好ましく
は7〜10倍程度であり、熱分解型発泡剤は、樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部程
度とすることが好ましい。
発泡助剤は、金属酸化物及び/又は脂肪酸金属塩が好ましく、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等を使用することができる。これらの発泡助剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.3〜10質量部程度が好ましく、1〜5質量部程度がより好ましい。
なお、これらの発泡助剤とEMAAのような分子中にカルボキシル基を有する共重合体とADCA発泡剤とを組み合わせて用いる場合には、発泡工程において、前記共重合体のアクリル酸部分と発泡助剤が反応することにより本来の発泡助剤の効果が損なわれるという問題がある。そのため、EMAAのような分子中にカルボキシル基を有する共重合体とADCA発泡剤とを組み合わせて用いる場合には、日本公開公報特開2009-197219号公報に説明されている
通り、発泡助剤としてカルボン酸ヒドラジド化合物を用いることが好ましい。このとき、カルボン酸ヒドラジド化合物はADCA発泡剤1質量部に対して0.2〜1質量部程度用いること
が好ましい。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、タルク等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して0〜100質量部程度が好ましく、20〜70質量部程
度がより好ましい。
顔料については、無機顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。また、有機顔料として、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対して5〜50質量部程度が好ましく、15〜30質量部程度がより好ましい。
本発明では、発泡剤含有樹脂層は電子線照射により樹脂架橋されていてもよい。発泡剤含有樹脂層に電子線を照射する方法及び発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すればよい。なお、発泡剤含有樹脂層の厚さは40〜100μm程度が好ましく、発泡後の発泡樹脂層の厚さは300〜700μm程度が好ましい。
(非発泡樹脂層A及びB)
本発明における樹脂層は、非発泡樹脂層を有していてもよい。
例えば、発泡樹脂層の裏面(基材が積層される面)には、基材との接着力を向上させる目的で非発泡樹脂層B(接着樹脂層)を有してもよい。
接着樹脂層の樹脂成分としては、特に限定はないが、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)がより好ましい。EVAは公知又は市販のものを使用することができる。特に、酢酸ビニル成分(VA成分)が10〜46質量%であるものが好ましく、15〜41質量%であるものがより好ましい。
接着樹脂層の厚さは限定的ではないが、5〜50μm程度が好ましい。
発泡樹脂層の上面には、絵柄模様層を形成する際の絵柄模様を鮮明にしたり発泡樹脂層の耐傷性を向上させたりする目的で非発泡樹脂層Aを有してもよい。
非発泡樹脂層Aの樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、熱可
塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、その中でもポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の樹脂単体;エチレンと炭素数が4以上の
αオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン);エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂等のエチレン(メタ)アクリル酸系共重合体樹脂;エチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂等のエチレン(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂ケン化物;アイオノマー;などの少な
くとも1種が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂の中でも、エチレン−アクリル
酸共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂等のエチレン(メタ)アクリル酸系共重合体樹脂が好ましい。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、他の類似する部分についても同様である。
非発泡樹脂層Aの厚さは限定的ではないが、3〜50μm程度が好ましく、特に5〜20μm程
度がより好ましい。
その他の層
本発明の積層シートは、樹脂層上に、当該樹脂層とは別の層を形成してもよい。以下、当該層について説明する。
(絵柄模様層)
本発明の積層シートは、樹脂層の上面に絵柄模様層を有していてもよい。絵柄模様層は、例えば、発泡樹脂層(若しくは発泡剤含有樹脂層)上又は非発泡樹脂層A上に形成する
ことができる。
絵柄模様層は、積層シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、
石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、積層シートの種類に応じて選択できる。
絵柄模様層は、例えば、絵柄模様を印刷することで形成できる。印刷手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
結着材樹脂は、非発泡樹脂層Aの種類に応じて設定できる。例えば、アクリル系樹脂、
スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は混合物の状態で使用できる。
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
(保護層)
本発明の積層シートは、樹脂層上に、保護層を有してもよい。保護層は、例えば、発泡樹脂層(若しくは発泡剤含有樹脂層)、非発泡樹脂層A、又は絵柄模様層の表面に形成す
ることができる。保護層は、積層シート又は前述の発泡積層シート原反表面の艶を調整したり、表面に強度や耐汚染性を付与するために形成される層である。また、積層シート又は発泡積層シート原反に絵柄模様層を設ける場合には、保護層は前記絵柄模様層を保護するために必要に応じて前記絵柄模様層の上に形成される層である。また、製品によっては、非発泡樹脂層A上に保護層を形成し、前記保護層上に絵柄模様層を形成してもよい。
保護層の形成に使用される樹脂成分としては、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂等の公知の樹脂成分の中から適宜選定すればよい。
保護層の形成に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、好ましくは、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレン(メタ)アクリル酸系共重合体樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−酢酸ビニル共重合体
樹脂ケン化物;アイオノマー;エチレン−オレフィン共重合体等のエチレン共重合体や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、保護層の形成にエチレン共重合体のような架橋可能な熱可塑性樹脂を使用する場合には、必要に応じて、前記熱可塑性樹脂に架橋処理を行ってもよい。
また、保護層の形成に使用される硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、常温硬化性樹脂、加熱硬化性樹脂、1液反応硬化性樹脂、2液反応硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等のいずれであってもよいが、好ましくは1液反応硬化性樹脂が挙げられる。これ
らの硬化性樹脂の中でも、好ましくは、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられ、更に好ましくは1液反応硬化性アクリル系樹脂が挙げられる。これらの硬化性樹脂は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、保護層の形成に硬化性樹脂を使
用する場合、必要に応じて、硬化反応を進行させるために、架橋剤、重合開始剤、重合促進剤等を用いてもよい。
保護層には、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
また、保護層は、単層からなるものであってもよく、同一の又は異なる2以上の層が積
層されているものであってもよい。例えば、最表面に硬化性樹脂で形成した層が形成され、その下層に熱可塑性樹脂で形成した層が積層されている2層構造であってもよい。
保護層の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましい。
保護層の形成は、使用する樹脂成分の種類に応じた方法を採用すればよい。例えば、熱可塑性樹脂を用いて保護層を形成する場合であれば、予め作製された熱可塑性樹脂フィルムを絵柄模様層の表面に貼り付けることにより保護層を形成してもよく、また、絵柄模様層の表面に熱可塑性樹脂を押出して製膜することにより保護層を形成してもよい。
また、硬化性樹脂を用いて保護層を形成する場合であれば、例えば、硬化性樹脂に必要に応じて各種添加剤を含有する樹脂組成物を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で非発泡樹脂層A、絵柄模様層等に塗
工した後に、必要に応じて加熱等により前記樹脂組成物を乾燥及び硬化させることによって行われる。
また、保護層を形成する前には、接着性を考慮して、非発泡樹脂層A、絵柄模様層等の
表面にコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理や、プライマー層を設けても良い。
プライマー層に含有される樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を使用することができるが、特にアクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等が望ましい。
プライマー層の厚さは限定的ではないが、0.1〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μm程度
がより好ましい。
また、保護層が熱可塑性樹脂で成形されている場合、保護層の接着性を考慮して、保護層と非発泡樹脂層A又は絵柄模様層との間に接着性樹脂層を形成してもよい。接着性樹脂
層に含有される樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィンに無水
マレイン酸、アクリル酸等の極性基を重合した樹脂等が挙げられ、貼り合せる層によって適宜選定される。
接着性樹脂層の厚さは、1〜10μm程度が好ましく、3〜5μm程度がより好ましい。
本発明における積層シートは、最表面層の上からエンボス加工が施されていてもよい。エンボス加工は、エンボス版等の公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が上記保護層である場合に、保護層を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
樹脂層の形成
本発明の積層シートにおける樹脂層は、製膜後に基材上に積層されることにより、基材上に形成される。具体的には、樹脂層を構成する各層の形成用樹脂組成物を用いて樹脂層を製膜し、製膜された樹脂層を基材上に積層することにより樹脂層が形成される。これにより、ゾル状の樹脂組成物を基材上に直接塗布する形成方法に比べ、樹脂層を薄膜化する際における生産安定性の改善や、樹脂層を多層化する際における生産設備の簡易化を図れる。さらに、ポリエチレンに代表されるポリオレフィン系樹脂などのように、ゾル化が困難な材料を採用することも容易となる。なお、本明細書において、「製膜(又は製膜する)」とは、カレンダー成形のように完全にフィルム状の樹脂層を形成すること、押出し成形のように半溶融状態(溶融樹脂フィルム状)の樹脂層を形成することのいずれの場合も包含するものであり、一方でゾル状の樹脂組成物を直接塗布することとは明確に異なる。
樹脂層の製膜としては、押出し成形又はカレンダー成形による製膜が好ましい。ここで、本明細書において、押出し成形は、共押出し成形を包含する。なお、樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合は、例えば、押出し成形、カレンダー成形等で発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜し、製膜された発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を基材上に積層した後、さらに前記発泡剤含有樹脂層を発泡させればよい。
基材上に樹脂層を積層する方法としては、(a)基材上に、樹脂層を構成する各層の形成
用樹脂組成物を押出し成形することによって積層する方法、(b)熱ラミネートによって積
層する方法、(c)接着剤を介して積層する方法、等が挙げられる。なお、上記(a)の方法は、樹脂層(樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合は、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体)の製膜と積層とを同時に行っている。
樹脂層の製膜方法及び積層方法については、積層シートの製造方法の項目で後述する。
穴の形成
本発明の積層シートには、基材の裏面に、積層シートを貫通しない穴が形成されている。この積層シートを貫通しない穴が形成されていることにより、本発明の積層シートは水分の浸透性に優れる。また、穴は積層シートを貫通していないので、意匠性を確保することができる。
本明細書において、積層シートを貫通しない穴とは、基材の裏面から積層シートのおもて面(最表面)に至らない穴を意味する。例えば、樹脂層が非発泡樹脂層B、発泡樹脂層
及び非発泡樹脂層Aの積層体であって、さらに樹脂層の上に絵柄模様層及び/又は保護層
が形成されている場合、積層シートを貫通しない穴は、i)基材の裏面から基材の内部に至る穴、ii)基材の裏面から基材のおもて面に至る穴、iii)基材の裏面から非発泡樹脂層Bの
内部に至る穴、iv)基材の裏面から非発泡樹脂層Bのおもて面に至る穴、v)基材の裏面から発泡樹脂層の内部に至る穴、vi)基材の裏面から発泡樹脂層のおもて面に至る穴、vii)基
材の裏面から非発泡樹脂層Aの内部に至る穴、viii)基材の裏面から非発泡樹脂層Aのおも
て面に至る穴、ix)基材の裏面から絵柄模様層及び/又は保護層の内部に至る穴、のいず
れも包含する。なお、上記i)〜vii)の穴は、樹脂層を貫通しない穴ともいう。また、上記viii)及びix)の穴は、樹脂層を貫通する孔であって、かつ、積層シートを貫通しない穴である。
穴(開口部)の直径は限定されないが、40〜300μmが好ましい。穴の直径が上記範囲内であることにより、積層シートの強度を確保しつつ、さらに水分の浸透性に優れる。
穴の間隔は限定されないが、2〜10mmの間隔で形成されていることが好ましい(なお、
当該隣接する穴と穴との間隔をピッチともいう)。穴のピッチが上記範囲内であることにより、積層シートの強度を確保しつつ、さらに水分の浸透性に優れる。
なお、本発明において上記穴の直径及び間隔は、基材の裏面(積層シートの最裏面)における穴の直径及び間隔を意味する。
穴のパターンとしては、格子状、千鳥状、不規則状等、必要に応じて選定することができる。
≪発泡積層シート≫
発泡積層シートは、上述の通り、樹脂層が、発泡樹脂層であるか、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合の積層シートを意味するものであり、発泡積層シート原反の発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる。発泡時の加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。
≪積層シートの製造方法≫
本発明の積層シートの製造方法は、特に限定されない。例えば、
(1) (i) 貫通孔が形成されている基材を用意する工程1、及び
(ii) 樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を前記基材上に積層する工程2、
を順に有する製造方法、
(2) (i) 樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を基材上に積層する工程1、及び
(ii) 前記基材の裏面から、前記樹脂層を貫通しない穴を形成する工程2、
を順に有する製造方法、
(3) (i) 樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を基材上に積層する工程1、
(ii) 前記基材の裏面から、前記樹脂層を貫通する孔を形成する工程2、並びに
(iii) 前記樹脂層上に絵柄模様層及び/又は保護層を形成する工程3、
を有する製造方法、
等が挙げられる。
また、本発明の発泡積層シート(樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合の本発明の積層シート)の製造方法としては、
(4) (i) 発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を基材上に積層する工程1、
(ii) 前記基材の裏面から、前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を貫通しない穴を形成する工程2、及び
(iii) 前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3

を順に有する製造方法、
(5) (i) 発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を基材上に積層する工程1、
(ii) 前記基材の裏面から、前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を貫通する孔を形成する工程2、及び
(iii) 前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより、発泡樹脂層又は発泡樹脂層を含む積層体を貫通しない穴となるように発泡樹脂層を形成する工程3、
を順に有する製造方法、
(6) (i) 貫通孔が形成された基材を用意する工程1、
(ii) 発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を前記基材上に積層する工程2、
及び
(iii) 前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3

を順に有する製造方法、
(7) (i) 発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を基材上に積層する工程1、
(ii) 前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程2
、及び
(iii) 前記基材の裏面から、前記発泡樹脂層、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層を貫通しない穴を形成する工程3、
を順に有する製造方法、
(8) (i) 発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を基材上に積層する工程1、
(ii) 前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程2

(iii) 前記基材の裏面から、前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体からなる層を貫通する孔を形成する工程3、並びに
(iv) 前記樹脂層上に絵柄模様層及び/又は保護層を形成する工程4、
を有する製造方法
等が挙げられる。なお、上記(1)の製造方法は上記(6)の製造方法を包含し、上記(2)の製造方法は上記(7)の製造方法を包含し、上記(3)の製造方法は上記(8)の製造方法を包含する。
以下、(1)〜(5)を例に挙げて詳細に説明する。
(1)の製造方法
(工程1)
工程1では、貫通孔が形成されている基材を用意する。当該貫通孔は、積層シートに優
れた水分の浸透性を付与する。
基材に貫通孔を形成する方法としては、針などで突き破る方法、打ち抜き加工、レーザー光線による焼き抜き加工、等が挙げられる。針などで突き破る方法としては、例えば、針ロールでの圧着が挙げられる。打ち抜き加工としては、例えば、パンチング機による方法が挙げられる。レーザー光線による焼き抜き加工としては、例えば、レーザー光線穿孔機による方法が挙げられる。なお、貫通孔が形成された基材は、市販品を使用してもよい。
基材に形成されている貫通孔は、後述する工程2によって基材の裏面に積層シートを貫
通しない穴となる。よって、当該貫通孔の直径、ピッチ及びパターンは、いずれも上述の
積層シートにおける積層シートを貫通しない穴の直径、ピッチ及びパターンと各々同様である。
(工程2)
工程2では、樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を前記基材上に積層する。これにより、
基材上に樹脂層を形成する。
樹脂層は、基材の貫通孔のおもて面側の開口部を塞ぐ。そのため、当該基材の貫通孔が、基材の裏面に積層シートを貫通しない穴となる。当該穴は積層シートを貫通していないので、意匠性を確保することができる。
樹脂層の製膜方法としては、押出し成形又はカレンダー成形による製膜方法が好ましい。
カレンダー成形としては、公知のカレンダー成形による成形を採用することができる。例えば、樹脂層が発泡樹脂層を含む場合、当該樹脂層形成用樹脂組成物を加熱された一対のカレンダーロール間に供給及び加熱圧搾することにより、フィルム状の発泡剤含有樹脂層が形成される。カレンダー成形により得られた発泡剤含有樹脂層は、冷却して巻き採ることができる。
押出し成形としては、公知の押出成形法を採用することができる。例えば、Tダイ押出
し機、円筒押出し機等による押出し成形が挙げられる。Tダイとしては、マルチマニホー
ルドタイプやフィードブロックタイプが挙げられる。
樹脂層が、発泡樹脂層及び非発泡樹脂層(非発泡樹脂層A及び/又はB)の積層体からなる層である場合には、Tダイ押出し機による同時押出し製膜が好適である。例えば、樹脂
層が、発泡樹脂層の両面に非発泡樹脂層を有する積層体からなる層である場合には、3つ
の層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより3層の同時成膜が可能なマルチマニホ
ールドタイプのTダイや、フィードブロックを有するTダイを用いることができる。
なお、樹脂層が発泡樹脂層を含む場合であって、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれており、かつ、発泡剤含有樹脂層を押出し製膜により形成する場合には、押出し機の押出し口(いわゆるダイス)に無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これが発泡剤含有樹脂層表面の異物となり易い。そのため、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合には、上記のように3層同時押出
し製膜することが好ましい。即ち、発泡剤含有樹脂層を非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出し製膜することにより、前記目やにの発生を抑制することができる。
基材と樹脂層(又は発泡剤含有樹脂層、若しくは発泡剤含有樹脂層を含む積層体)とを積層する方法としては、(a)基材上に、樹脂層を構成する各層の形成用樹脂組成物を押出
し成形することによって積層する方法、(b)熱ラミネートによって積層する方法、(c)接着剤を介して積層する方法、等が挙げられる。以下、樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合の各積層方法について、説明する。
基材上に樹脂層を構成する各層の形成用樹脂組成物を押出し成形することによって積層する方法として、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を押出し機から押出し製膜しながら基材上に積層する。押出し成形による積層では、押出時に溶融している樹脂の熱によって、基材と発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体が接着し、積層する。
熱ラミネートする方法として、成形して得られた発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を、基材上に重ねて熱ラミネートする。熱ラミネートによる積層では、基材と、発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体とを、ラミネートロールを用いて熱圧着させることにより接着し、積層する。
接着剤を介して積層する方法として、基材上又は成形して得られた発泡剤含有樹脂層若しくは発泡剤含有樹脂層を含む積層体上に接着剤を塗布し、当該塗布面に成形して得られた発泡剤含有樹脂層若しくは発泡剤含有樹脂層を含む積層体又は基材を接着し、積層する。接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤(例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等)を使用することができる。
(その他の工程)
樹脂層上には、上述の通り、必要に応じて、絵柄模様層及び/又は保護層を順次積層することができる。この際、印刷、塗布などのコーティング、押出し製膜等を組み合わせることにより積層することができる。印刷、塗布等のコーティングは常法に従って行なうことができる。
樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合、工程2で発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層の積層体を製膜及び積層した後、工程3として当該発泡剤含有樹脂層を発泡させることで発泡樹脂層を形成する(上記(6)の製造方法)。
樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合、発泡剤含有樹脂層を製膜した後に、必要に応じて電子線照射を行うことができる。これにより樹脂成分を架橋して発泡樹脂層の表面強度、発泡特性等を調整することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましく、175〜200kV程度がより好ましい。照射量は、10〜100kGy程度が好ましく、10〜50kGy程度がより好ましい。電子線源としては、公知
の電子線照射装置が使用できる。なお、この電子線照射は、絵柄模様層や保護層を形成した後でもよい。
次いで、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。
また、樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合、絵柄模様層及び/又は保護層の積層は、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体の製膜後の任意の時機に行なうことができ、通常は発泡剤含有樹脂層の発泡前に行なわれる。
工程2の後(樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層であ
る場合は、発泡剤含有樹脂層を発泡させる上記工程3の後)、最表面層の上からエンボス
加工が施されていてもよい。エンボス加工の手段及び模様については、上述の積層シートにおけるエンボス加工の説明で記載された手段及び模様と各々同様である。
(2)の製造方法
(工程1)
工程1では、樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を基材上に積層する。これにより、基材
上に樹脂層を形成する。
樹脂層の製膜方法及び積層方法については、(1)の製造方法の工程2における製膜方
法及び積層方法の説明で記載された方法と各々同様である。
(工程2)
工程2では、基材の裏面から、樹脂層を貫通しない穴を形成する。当該樹脂層を貫通し
ない穴は、上述の通り、積層シートを貫通しない穴ともいえる。当該樹脂層を貫通しない穴(積層シートを貫通しない穴)は、積層シートの意匠性を確保しつつ、優れた水分の浸透性を付与する。なお、当該樹脂層を貫通しない穴は、上記i)〜vii)の穴のいずれも包含する。
基材の裏面から穴を形成する方法としては、(1)の製造方法における貫通孔を形成する方法と同様である。当該穴の直径、ピッチ及びパターンは、いずれも上述の積層シートの説明における積層シートを貫通しない穴の直径、ピッチ及びパターンと各々同様である。
(その他の工程)
樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合、工程1で発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層の積層体を製膜及び積層した後、工程2の前で(工程2に先立って)当該発泡剤含有樹脂層を発泡させることで発泡樹脂層を形成する
(上記(7)の製造方法)。発泡方法は、(1)の製造方法における発泡方法と同様である。
(2)の製造方法では、(1)の製造方法で記載された方法と同様の方法により、絵柄模様層及び/又は保護層の積層、電子線照射、エンボス加工等を行うことができる。なお、絵柄模様層及び/又は保護層の積層は樹脂層の製膜後の任意の時機に行なうことができ、電子線照射は発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体の製膜後、発泡剤含有樹脂層の発泡前の任意の時機に行うことができ、エンボス加工は工程1の後の任意の時
機(樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合は、発泡剤含有樹脂層の発泡後)に行うことができる。
(3)の製造方法
(工程1)
工程1では、樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を基材上に積層する。これにより、基材
上に樹脂層を形成する。
樹脂層の製膜方法及び積層方法については、(1)の製造方法の工程2における製膜方
法及び積層方法の説明で記載された方法と各々同様である。
(工程2)
工程2は、工程1の後に実施される。工程2では、基材の裏面から、樹脂層を貫通する孔
(貫通孔)を形成する。この樹脂層を貫通する孔は、(3)の製造方法における工程1〜3を行った後には積層シートを貫通しない穴となる。当該積層シートを貫通しない穴は、積層シートの意匠性を確保しつつ、優れた水分の浸透性を付与する。なお、当該積層シートを貫通しない穴は、上記viii)及びix)の穴のいずれも包含する。
基材の裏面から穴を形成する方法としては、(1)の製造方法における貫通孔を形成する方法と同様である。当該穴の直径、ピッチ及びパターンは、いずれも上述の積層シートの説明における積層シートを貫通しない穴の直径、ピッチ及びパターンと各々同様である。
(工程3)
工程3は、工程1の後に実施される。工程3では、樹脂層上に絵柄模様層及び/又は保護
層を形成する。当該絵柄模様層及び/又は保護層は、樹脂層の貫通孔のおもて面側の開口部を塞ぐ。そのため、当該樹脂層の貫通孔が、積層シートにおける基材の裏面に積層シートを貫通しない穴となる。当該穴は積層シートを貫通していないので、意匠性を確保することができる。絵柄模様層及び/又は保護層を形成する方法としては、いずれも上述の積層シートの説明における絵柄模様層及び/又は保護層を形成する方法と各々同様である。
工程3は、工程2に対して任意の時点で行われる。即ち、工程3は、工程2の前又は工程2
の後に実施することができる。工程2の前に工程3を実施する場合、工程2では、樹脂層を
貫通し、かつ、積層シートを貫通しないように(絵柄模様層及び/又は保護層に貫通孔が形成されないように)穴を形成する。一方、工程2の後に工程3を実施する場合、工程3で
は、貫通孔を有する樹脂層上に、当該貫通孔のおもて面側の開口部を塞ぐように絵柄模様層及び/又は保護層を形成する。絵柄模様層で前記開口部を塞ぐ場合は、当該絵柄模様層を形成する印刷インキの粘性は高いことが好ましい。保護層で前記開口部を塞ぐ場合は、意匠性を確保する観点から、保護層に着色剤を含有するか、又は、樹脂層が発泡樹脂層である、若しくは発泡樹脂層を含む積層体からなる層であることが好ましい。
(その他の工程)
樹脂層が発泡樹脂層である、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合、工程1で発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層の積層体を製膜及び積層した後、工程2の前で(工程2に先立って)、当該発泡剤含有樹脂層を発泡させることで発泡樹脂層を形成す
る(上記(8)の製造方法)。発泡方法は、(1)の製造方法における発泡方法と同様である。なお、工程3は、当該発泡剤含有樹脂層を発泡させる工程に対して任意の時点で行
われる。即ち、工程3は、発泡工程の前又は発泡工程の後に実施することができる。
(3)の製造方法では、(1)の製造方法で記載された方法と同様の方法により、電子線照射、エンボス加工等を行うことができる。なお、電子線照射は発泡剤含有樹脂層又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体の製膜後、発泡剤含有樹脂層の発泡前の任意の時機に行うことができ、エンボス加工は工程1の後の任意の時機(樹脂層が発泡樹脂層である、又は
発泡樹脂層を含む積層体からなる層である場合は発泡剤含有樹脂層の発泡後)に行うことができる。
(4)の製造方法
(工程1)
工程1では、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に、
前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を基材上に積層する。これにより、基材上に、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を形成する。
発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体の製膜方法及び積層方法については、(1)の製造方法の工程2における製膜方法及び積層方法の説明で記載された方法
と各々同様である。
(工程2)
工程2では、基材の裏面から、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体
を貫通しない穴を形成する。工程1で非発泡樹脂層B、発泡剤含有樹脂層及び非発泡樹脂層Aの積層体を形成する場合、当該貫通しない穴は、I)基材の裏面から基材の内部に至る穴
、II)基材の裏面から基材のおもて面に至る穴、III)基材の裏面から非発泡樹脂層Bの内部に至る穴、IV)基材の裏面から非発泡樹脂層Bのおもて面に至る穴、V)基材の裏面から発泡剤含有樹脂層の内部に至る穴、VI)基材の裏面から発泡剤含有樹脂層のおもて面に至る穴
、VII)基材の裏面から非発泡樹脂層Aの内部に至る穴、のいずれも包含する。
基材の裏面から貫通しない穴を形成する方法としては、(1)の製造方法における貫通孔を形成する方法と同様である。当該貫通しない穴の直径、ピッチ及びパターンは、いずれも上述の積層シートにおける積層シートを貫通しない穴の直径、ピッチ及びパターンと各々同様である。
(工程3)
工程3では、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより発泡樹脂層を形成する。具体的
には、(1)の製造方法と同様、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成することができる。工程3の過程で、前述の工程2で得られた貫通しない穴の一部が発泡樹脂層の発泡体によって埋められることがあるが、少なくとも基材の裏面に形成されている穴(開口部)は保持されている。工程3の発泡工程によって形成される樹脂層を貫通し
ない穴(積層シートを貫通しない穴)は、積層シートの意匠性を確保しつつ、優れた水分の浸透性を付与する。
(4)の製造方法では、(1)の製造方法で記載された方法と同様の方法により、絵柄模様層及び/又は保護層の積層、電子線照射、エンボス加工等を行うことができる。なお、絵柄模様層及び/又は保護層の積層は発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体の製膜後の任意の時機に行なうことができ、電子線照射は発泡剤含有樹脂層の製膜後、工程3の前の任意の時機に行うことができ、エンボス加工は工程3の後に行うことができる。
(5)の製造方法
(工程1)
工程1では、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を製膜した後に、
前記発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を基材上に積層する。これにより、基材上に、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体を形成する。
発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体の製膜方法及び積層方法については、(1)の製造方法の工程2における製膜方法及び積層方法の説明で記載された方法
と各々同様である。
(工程2)
工程2では、基材の裏面から、発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体
を貫通する孔を形成する。
基材の裏面から貫通孔を形成する方法としては、(1)の製造方法における貫通孔を形成する方法と同様である。当該貫通孔のピッチ及びパターンは、いずれも上述の積層シートにおける積層シートを貫通しない穴のピッチ及びパターンと各々同様である。当該貫通孔が樹脂層を貫通しない穴(積層シートを貫通しない穴)となるように適宜設定すればよく、例えば400μm以下とすればよいが、積層シートの強度を確保しつつ水分の浸透性を高めるという観点から、より好ましくは40〜300μmである。
(工程3)
工程3では、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより、前記貫通孔が発泡樹脂層又は
発泡樹脂層を含む積層体を貫通しない穴となるように発泡樹脂層を形成する。具体的には、(1)の製造方法と同様、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより、貫通孔の一部が発泡樹脂層の発泡体によって埋められて、工程3前(発泡前)における貫通孔が、工程3後には発泡樹脂層又は発泡樹脂層を含む積層体を貫通しない穴となる。ここで、工程3の過程
で前記貫通孔が前記貫通しない穴に変形しても、少なくとも基材の裏面に形成されている
穴(開口部)は保持されている。この工程3により、積層シートを貫通しない穴を有する
発泡樹脂層を形成することができる。工程3の発泡工程によって形成される樹脂層を貫通
しない穴(積層シートを貫通しない穴)は、積層シートの意匠性を確保しつつ、優れた水分の浸透性を付与する。
(5)の製造方法では、(1)の製造方法で記載された方法と同様の方法により、絵柄模様層及び/又は保護層の積層、電子線照射、エンボス加工等を行うことができる。なお、絵柄模様層及び/又は保護層の積層は発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体の製膜後の任意の時機に行なうことができ、電子線照射は発泡剤含有樹脂層、又は発泡剤含有樹脂層を含む積層体の製膜後、発泡剤含有樹脂層の発泡前の任意の時機に行うことができ、エンボス加工は工程3の後に行うことができる。
本発明の積層シートは、壁紙、各種装飾材等として使用することができる。また、発泡樹脂層を有する本発明の積層シート(発泡積層シート)は、発泡壁紙、各種装飾材、ラミネート化粧板用表皮材、クッション性床材、断熱化粧材等を用途として使用することができる。
本発明の積層シートは、特に、樹脂層を製膜した後に基材上に積層することにより樹脂層を形成した上で積層シートを特定の構造とするため、ゾル状の樹脂組成物を直接塗布する方法とは別の方法で樹脂層を形成した場合でも、意匠性を確保しつつ、水分の浸透性に優れている。そのため、水系の糊を塗布して仮止めした後に貼り直しをしても、接着性に優れる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
通常の針エンボスを使用することにより、裏打紙(WK-665、KJ特殊紙株式会社製、坪量:65g/m2)に貫通孔(直径80μm、ピッチ2mm)を形成した。
次に、3種3層Tダイ押出し機を用いて、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に厚み8μm/75μm/8μmになるように、3層同時押出し製膜をした。これにより
、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bが順に積層された3層からなる積層
体を得た。なお、前記各層の組成を、以下の表1に示す。
次に、上記裏打紙が120℃となるように加熱し、前記積層体の非発泡樹脂層B側に積層した。積層は、ラミネートロールを用いて熱圧着させた。これにより、裏打紙及び前記積層体からなる発泡積層シート原反を得た。
次に、前記発泡積層シート原反の樹脂面側(非発泡樹脂層A側)から電子線照射(加速
電圧200kV、照射線量30kGy)を行った。次いで、前記非発泡樹脂層A上にグラビア印刷機
により水性インキ(ALTOP、アクリル系1液硬化型樹脂エマルジョン、大日精化工業(株)製
)を塗工することにより、保護層を形成した。その後、加熱発泡炉を用いて220℃で35秒
間加熱して、発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とした。これにより、積層シート(発泡積層シート)を得た。なお、発泡倍率は約6〜7倍であった。
Figure 0006540765
実施例2
裏打紙(WK665、KJ特殊紙株式会社製、坪量:65g/m2)に貫通孔を形成しない以外は、
実施例1と同様にして、発泡積層シート原反を得た。
次に、実施例1と同様にして、電子線の照射及び保護層の形成を行った。
次に、電子線が照射され、かつ保護層が形成された前記発泡積層シート原反の裏打紙の裏面から(前記発泡積層シート原反の保護層のおもて面から)、通常の針エンボスを使用することにより、前記裏打紙の裏面から保護層のおもて面に至る貫通孔(直径80μm、ピ
ッチ2mm)を形成した。その後、加熱発泡炉を用いて220℃で35秒間加熱することにより、発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とした。これにより、積層シート(発泡積層シート)を得た。なお、発泡倍率は約6〜7倍であった。また、発泡剤含有樹脂層が加熱によって発泡樹脂層となる過程で、貫通孔の一部が発泡樹脂層の発泡体によって埋められていた。つまり、加熱前における前記貫通孔が、加熱による発泡によって貫通しない穴となった。
比較例1
裏打紙(WK665、KJ特殊紙株式会社製、坪量:65g/m2)に貫通孔を形成しない以外は、
実施例1と同様にして、発泡積層シート原反を得た。
次に、実施例1と同様にして、電子線の照射、保護層の形成、及び加熱を行った。これ
により、発泡積層シートを得た。
比較例2
裏打紙(WK665、KJ特殊紙株式会社製、坪量:65g/m2)に貫通孔を形成しない以外は、
実施例1と同様にして、発泡積層シート原反を得た。
次に、実施例1と同様にして、電子線の照射、保護層の形成、及び加熱を行うことによ
り、発泡積層シートを得た。その後、前記発泡積層シートの裏打紙の裏面から、通常の針エンボスを使用することにより、前記裏打紙の裏面から保護層に至る貫通孔(直径80μm
、ピッチ2mm)を形成した。これにより、前記貫通孔が形成された発泡積層シートを得た
評価試験1:糊残量測定
上記実施例1及び2並びに比較例1で得られた各発泡積層シートを10cm×10cmサイズに切
り取り、当該各発泡積層シートの質量(MS (単位:g))を測定した。次に、澱粉糊(施工糊
、ルーアマイルド、ヤヨイ化学工業株式会社)と水との割合が澱粉糊:水=10:7(質量
比)となるように澱粉糊を水で希釈することにより、水系糊を得た。その後、前記水系糊を、上記切り取られた各発泡積層シートの裏打紙面に塗布した。なお、前記水系糊の塗布量は、130g/m2とした。次いで、前記水系糊が塗布された裏打紙面が互いに接するように
各発泡積層シートを折り畳み、この状態で防湿性のある養生袋の中で上記各発泡積層シートを60分間放置した。その後、上記各発泡積層シートの質量(MS+G (単位:g))を測定した

次に、上記各発泡積層シートを石膏ボード(タイガーボード、吉野石膏株式会社製)に貼り付けた後、当該各発泡積層シートを剥がした。その後、上記剥がされた各発泡積層シートの質量(MS+G’ (単位:g))を測定した。
最後に、以下の式:
Figure 0006540765
を計算することにより、糊残量を算出した。
評価試験2:意匠性評価
上記実施例1及び2並びに比較例1で得られた各発泡積層シートの意匠性を評価した。具
体的には、各発泡積層シートを石膏ボード(タイガーボード、吉野石膏株式会社製)に貼り付けた後、一定の距離(30cm)を離れ、正面から見た際に、穴(又は貫通孔)が目立つかどうかを評価した。評価基準は以下の通りである。
○:発泡積層シートの穴が目立たない。
×:発泡積層シートの穴又は貫通孔が目立つ。
Figure 0006540765

Claims (6)

  1. 基材上に、樹脂層を有する積層シートであって、
    (1) 前記樹脂層は、発泡樹脂層、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層であって、製膜後に前記基材上に積層されており、
    (2) 前記積層シートには、前記基材の裏面から前記基材のおもて面に至る穴が形成されており、且つ前記樹脂層には穴が開いておらず、
    (3) 前記穴が2〜10mmの間隔で形成されている、
    ことを特徴とする、積層シート。
  2. 前記製膜は、押出し成形又はカレンダー成形による製膜である、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記樹脂層を構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 前記穴の直径が40〜300μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 前記基材は、繊維質基材である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
  6. 基材上に、樹脂層を有する積層シートの製造方法であって、
    前記樹脂層は、発泡樹脂層、又は発泡樹脂層を含む積層体からなる層であり、
    (i) 貫通孔が形成されている前記基材を用意する工程1、及び
    (ii) 前記樹脂層を製膜した後に前記樹脂層を前記基材上に積層する工程2、
    を順に有することを特徴とする、積層シートの製造方法。
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