JP6540137B2 - 熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法に関する。
近年、粉体塗料を利用した粉体塗装の技術は、塗装工程における揮発性有機化合物(VOC)排出量が少なく、しかも塗装後、被塗装物に付着しなかった粉体塗料を回収し、再利用できることから、地球環境保護の面で注目されている。このため、粉体塗料については、種々のものが研究されている。
例えば、特許文献1には、「水酸基及び硬化性官能基を有する樹脂(a)を、前記樹脂(a)1分子あたり0.1〜3.0個の前記水酸基がイソシアネート基と結合するように、2級イソシアネート基及び3級イソシアネート基からなる群より選択された同一又は異なる2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物(b)で変性した熱解離性樹脂(A)、及び、硬化剤(B)からなることを特徴とする粉体塗料用樹脂組成物」が記載されており、この水酸基及び硬化性官能基を有する樹脂(a)は、水酸基価が10〜100mgKOH/gであるアクリル樹脂(a−1)であることも記載されている。
また、特許文献2には、「スチレン系モノマー(a)、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(b)、および必用によりその他のモノマー(c)を構成単位とするスチレン・アクリル樹脂(A)と、エチレン性不飽和基を有する反応性希釈剤(B)からなることを特徴とする粉体塗料用樹脂組成物」が記載されている。
更に、特許文献3には、(a)イソシアネート基含有ビニル系単量体2〜15重量%、(b)グリシジル基含有ビニル系単量体20〜50重量%、(c)上記した以外のその他のラジカル重合性ビニル系単量体35〜78重量%のモノマー成分を用いてなる(A)ラジカル共重合体、及び(B)酸無水物及び/又はポリカルボン酸化合物の架橋剤を必須成分として含有する熱硬化性粉体用樹脂を、特定の混合溶剤に溶解したものを真空凍結乾燥法を用いて粉体塗料化した熱硬化性粉体塗料が記載されている。
特開平11−060998号公報 特開2007−186690号公報 特開平11−080604号公報
本発明の課題は、ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aと水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bとの混合物、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含有する粉体粒子含む熱硬化性粉体塗料であって、イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g未満で且つ官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5未満である、官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が1.2を超える、又は、イソシアネート基の含有量が1.4mmol/gを超える粉体粒子を用いた場合に比べ、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜が得られ、かつ、粉体粒子同士の凝集が抑制された熱硬化性粉体塗料を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>に係る発明は、
ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aと水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bとの混合物、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含有し、
イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g以上1.4mmol/g以下であり、イソシアネート基の含有量を水酸基及びカルボキシル基の含有量の総計で除した官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5以上1.2以下である粉体粒子、を含む熱硬化性粉体塗料である。
<2>に係る発明は、
前記粉体粒子の体積粒度分布指標GSDvが1.50以下である<1>に記載の熱硬化性粉体塗料である。
<3>に係る発明は、
前記粉体粒子が、2価以上の金属イオンを0.002質量%以上0.2質量%以下の含有量で含有する<2>に記載の熱硬化性粉体塗料である。
<4>に係る発明は、
前記粉体粒子が、分散液中に分散した前記ビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子及び前記ビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子を少なくとも凝集して凝集粒子を形成した後、又は、分散液中に分散した前記ビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子を少なくとも凝集して凝集粒子を形成した後、該凝集粒子を加熱融合して得られるものである<1><3>のいずれか1に記載の熱硬化性粉体塗料である。
<5>に係る発明は、
ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子と水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子とを少なくとも含む分散液、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子を少なくとも含む分散液を準備する工程と、
前記分散液中の樹脂粒子を凝集して凝集粒子を形成する工程と、
前記凝集粒子を加熱融合する工程と、
を経て粉体粒子を製造する工程を有する、熱硬化性粉体塗料の製造方法。
<6>に係る発明は、
被塗装物の表面に、<1><4>のいずれか1に記載の熱硬化性粉体塗料により形成された塗装膜を有する塗装品である。
<7>に係る発明は、
被塗装物の表面に、<1><4>のいずれか1に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装膜を形成する塗装品の製造方法である。
<1>に係る発明によれば、前記ビニル系樹脂Aと前記ビニル系樹脂Bとの混合物、又は、前記ビニル系樹脂Cを含有し、イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g未満で且つ官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5未満である、官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が1.2を超える、又は、イソシアネート基の含有量が1.4mmol/gを超える粉体粒子を用いる場合に比べ、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜が得られ、かつ、粉体粒子同士の凝集が抑制された熱硬化性粉体塗料が提供される。
<2>に係る発明によれば、体積粒度分布指標GSDvが1.50を超える粉体粒子を用いる場合に比べ、粉体粒子同士の凝集が抑制された熱硬化性粉体塗料が提供される。
<3>に係る発明によれば、2価以上の金属イオンの含有量が0.002質量%未満である場合に比べ、粉体粒子同士の凝集が抑制された熱硬化性粉体塗料が提供される。
<4>に係る発明によれば、混練粉砕法により得られた粉体粒子を含む場合に比べ、体積粒度分布指標GSDv及び体積平均粒径が制御された粉体粒子を含む熱硬化性粉体塗料が提供される。
<5>に係る発明によれば、前記ビニル系樹脂Aと前記ビニル系樹脂Bとの混合物、又は、前記ビニル系樹脂Cを含有し、イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g未満で且つ官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5未満である、官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が1.2を超える、又は、イソシアネート基の含有量が1.4mmol/gを超える粉体粒子を用いる場合に比べ、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜が得られる熱硬化性粉体塗料の製造方法が提供される。
<6>、又は<7>に係る発明によれば、前記ビニル系樹脂Aと前記ビニル系樹脂Bとの混合物、又は、前記ビニル系樹脂Cを含有し、イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g未満で且つ官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5未満である、官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が1.2を超える、又は、イソシアネート基の含有量が1.4mmol/gを超える粉体粒子を含む熱硬化性粉体塗料を用いた場合に比べ、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜を有する塗装品、又は塗装品の製造方法が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
<熱硬化性粉体塗料>
本実施形態に係る熱硬化性粉体塗料(以下、「粉体塗料」とも称する)は、ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aと水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bとの混合物、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含有し、
イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g以上1.4mmol/g以下であり、イソシアネート基の含有量を水酸基及びカルボキシル基の含有量の総計で除した官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5以上1.2以下である粉体粒子、を含む。
なお、本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子に着色剤を含まない透明粉体塗料(クリア塗料)、及び粉体粒子に着色剤を含む着色粉体塗料のいずれであってもよい。
また、「ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aと水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bとの混合物、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含有する」とは、この2つの形態に限定されるものではなく、前者の形態には、ビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bに加えビニル系樹脂Cを混合した混合物である態様も含まれ、また、後者の形態には、ビニル系樹脂Cにビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bの少なくとも一方を混合した混合物である態様も含まれる。
本実施形態に係る粉体塗料によれば、上記構成により、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜が得られる。
この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと推測される。
熱硬化性樹脂としてアクリル樹脂などのビニル系樹脂を用いた粉体塗料は、熱硬化反応による架橋構造の形成により、耐溶剤性に優れた塗装膜を形成しうる。しかしながら、架橋反応に用いられる官能基、例えば、ブロックイソシアネート基と水酸基との比率によっては、熱硬化反応による架橋構造の形成がし難くなり、塗装膜の耐溶剤性が低下したり、また、塗装膜を折り曲げた際に割れ(ヒビ)が生じることがある。
一方、粉体塗料に、熱硬化性樹脂としてカルボキシル基を有するビニル系樹脂を用いる手法が提案されてきている。但し、このビニル系樹脂が有するカルボキシル基もブロックイソシアネート基等と熱硬化反応を起こすことから、カルボキシル基を有するビニル系樹脂を用いた粉体塗料においては、熱硬化反応に用いられる官能基の比率は十分に検討を行う必要がある。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子として、ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aと水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bとの混合物、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含有し、イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g以上1.4mmol/g以下であり、イソシアネート基の含有量を水酸基及びカルボキシル基の含有量の総計で除した官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5以上1.2以下である粉体粒子を用いる。
まず、本実施形態に係る粉体塗料では、粉体粒子が、ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aと水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bとの混合物、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含有する。つまり、本実施形態に係る粉体塗料は、ビニル系樹脂Aとビニル系樹脂Bとによる熱硬化反応が生じるか、ビニル系樹脂C同士による熱硬化反応が生じる構成であることになる。
そして、粉体粒子中の、イソシアネート基の含有量と、イソシアネート基の含有量を水酸基及びカルボキシル基の含有量の総計で除した官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]と、それぞれ上記の範囲とすることで、ブロックイソシアネート基とカルボキシル基との反応、及び、ブロックイソシアネート基と水酸基との反応の釣合いが取れ、その結果、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜が得られるものと推測される。
加えて、本実施形態に係る粉体塗料では、上記のような樹脂を含む粉体粒子であると、粉体粒子同士の凝集が起こり難い、即ち、耐ブロッキング性が良好である、といった知見も得られている。
以下、本実施形態に係る粉体塗料の詳細について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、前述した粉体粒子を有する。
粉体塗料は、粉体粒子以外に、必要に応じて、流動性を高める点から、粉体粒子の表面に付着する外部添加剤を含んでいてもよい。
[粉体粒子]
粉体粒子には、ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aと水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bとの混合物を含有する第1の形態と、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含有する第2の形態と、を有する。
そして、粉体粒子は、第1及び第2の形態ともに、イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g以上1.4mmol/g以下であり、イソシアネート基の含有量を水酸基及びカルボキシル基の含有量の総計で除した官能基モル比[NCO/(COOH+OH)](以降、単に官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]と称する)が0.5以上1.2以下である。
本明細書において、第1及び第2の形態に共通するものは、単に粉体粒子として説明する。
粉体粒子中のイソシアネート基の含有量は、0.4mmol/g以上1.4mmol/g以下であり、0.6mmol/g以上1.4mmol/g以下が好ましい。
粉体粒子中のイソシアネート基の含有量が0.4mmol/g未満であると、熱硬化反応による架橋構造の形成数が少なく、塗装膜の耐溶剤性が低下する。また、粉体粒子中のイソシアネート基の含有量が1.4mmol/gを超えると、この含有量を達成するために用いるビニル系樹脂の合成が困難になることや、塗装膜の耐折り曲げ性が低下する。
また、粉体粒子中の官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]は、0.5以上1.2以下であり、0.8以上1.0が好ましい。
粉体粒子中の官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5未満であると、架橋反応に使用されない水酸基及びカルボキシル基が残存してしまい、塗装膜の膜物性の低下が生じ、塗装膜の耐溶剤性及び耐折り曲げ性が低下する。また、粉体粒子中の官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が1.4を超えると、架橋反応に使用されないブロックイソシアネート基が残存してしまい、塗装膜の膜物性の低下が生じ、塗装膜の耐溶剤性及び耐折り曲げ性が低下する。
なお、粉体粒子中の官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]は、粉体粒子中のイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基の含有量(mmol/g)をそれぞれ測定し、測定されたこれらの値から算出される。
続いて、粉体塗料(粉体粒子)中のイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基の含有量(mmol/g)の測定方法について説明する。
まず、粉体塗料(粉体粒子)から、溶剤可溶分(主として樹脂成分)を取り出し、これを測定試料とする。
より具体的には、粉体塗料(粉体粒子)10gに、テトラヒドロフランを50ml加え、室温で5時間放置後、遠心分離機にかけ(例えば、15,000rpm、10分間)、上澄みを取り出す。そして、上澄み中の溶剤を30℃以下で減圧留去し、得られた固体を測定試料とする。
−水酸基及びカルボキシル基の含有量の測定−
上記のようにして得られた測定試料について、まず、酸価及び水酸基価を測定する。
具体的には、酸価に関しては、JIS K 0070:1992に記載の中和滴定法を用いて測定する。
また、水酸基価は、JIS K 0070:1992に記載の中和滴定法を用いて測定する。
そして、上記の方法で測定された酸価(mgKOH/g)及び水酸基価(mgKOH/g)を、それぞれ、単位(mmol/g)へと換算することで、水酸基及びカルボキシル基の含有量を求める。
−イソシアネート基の含有量の測定−
イソシアネート基の含有量については、以下の方法により測定する。
(1)測定試料約1.0g以上2.0g以下を、摺り合わせ開口を有する三角フラスコに精秤する。
(2)上記三角フラスコに、0.5mol/lのジブチルアミン−モノクロルベンゼン溶液25mlを加え、オルト−ジクロロベンゼンと沸石を入れた後、該三角フラスコの開口に適合する、摺り合わせ球管冷却器を取り付ける。
(3)あらかじめ用意した加熱板上に、上記三角フラスコを乗せて、該三角フラスコ中の溶剤が沸騰を始めてから30分間反応させる。
(4)その後、三角フラスコを加熱板上から外し、室温まで冷却した後、摺り合わせ球管冷却器の上から20ml以上30ml以下のメタノールを注ぎ、該摺り合わせ球管冷却器の内壁部を該メタノールで洗い流す。
(5)上記摺り合わせ球管冷却器を三角フラスコから外した後、該三角フラスコに、テトラヒドロフラン70ml、t−ブタノール30mlと、ブロモフェノール・ブルー指示薬1滴と、を入れ、当該三角フラスコの内容物に対して、0.5mol/lの塩酸標準液を用いた逆滴定を行う。この際、試料の滴定に要した上記の塩酸標準液の滴定量をA(ml)とする。
(6)上記した加熱を行わない以外は、上記(1)〜(4)と同様の操作を行って、ブランク試料を得る。該ブランク試料は、上記(5)と同様に滴定する。この際、ブランク試料の滴定に要した上記の塩酸標準液の滴定量をB(ml)とする。
(7)滴定の終点は、ブロモフェノール・ブルー指示薬の藍色が黄色に変わる点とする。
(8)下記の計算式(1)を用いて、イソシアネート基の含有量[mmol/g]を算出する。
式(1):(f×(B−A)×0.5)/S
(上記式(1)中、Aは、測定試料の滴定に要した0.5mol/lの塩酸標準液の滴定量(ml)を、Bは、ブランク試料の滴定に要した0.5mol/lの塩酸標準液の滴定量(ml)、fは、滴定に使用した0.5mol/lの塩酸標準液のファクター、Sは測定試料採取量(精秤量)(g)を示す。)
上記の方法で測定されたイソシアネート基の含有量は、ブロックイソシアネート基及び脱ブロック化したイソシアネート基の総量である。
なお、粉体塗料(粉体粒子)を製造する際に、ブロックイソシアネート基が脱ブロック化して生成したイソシアネート基は、水等と反応しイソシアネート基ではなくなるため、上記の方法で測定された粉体塗料(粉体粒子)中のイソシアネート基は、そのほとんどがブロックイソシアネート基となる。
従って、上記の方法で測定されたイソシアネートの含有量は、粉体塗料(粉体粒子)中のブロックイソシアネート基の含有量であると見なされる。
続いて、粉体粒子の第1及び第2の形態に用いるビニル系樹脂A〜Cについて説明する。
ここで、本明細書において、ビニル系樹脂とは、ビニル基を有する単量体(以降「ビニル基系単量体」と称する)をラジカル重合して得られた樹脂を指す。ビニル系単量体としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、アリル基等を有する単量体が挙げられる。
(ビニル系樹脂A)
ビニル系樹脂Aは、分子中にブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有する。
ビニル系樹脂Aとしては、側鎖にブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂が好ましく、ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基の導入量を調整し易いといった点から、ブロックイソシアネート基を有するビニル系単量体と、カルボキシル基を有するビニル系単量体と、必要に応じて、他の単量体と、を共重合して得られたものであることがより好ましい。
ブロックイソシアネート基を有するビニル系単量体としては、熱により脱ブロック化しうるブロックイソシアネート基を有するビニル系単量体であればよく、具体的には、例えば、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2−(1−メチルプロピリデン)アミノオキシカルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2−[1’,1’−ビス(エトキシカルボニル)メチルカルボニルアミノ]エチルメタクリレート、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルアクリレート、2−[(1−メチルプロピリデン)アミノオキシカルボニルアミノ]エチルアクリレートが挙げられる。
なお、これらの単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、入手容易性、共重合するビニル系単量体との相溶性の点から、2−[(1−メチルプロピリデン)アミノオキシカルボニルアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI−BMに該当)、2−[1’,1’−ビス(エトキシカルボニル)メチルカルボニルアミノ]エチルメタクリレートが好ましい。
カルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等);各種のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのモノエステル類(例えば、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノイソブチル、フマル酸モノtert−ブチル、フマル酸モノヘキシル、フマル酸モノオクチル、フマル酸モノ2−エチルヘキシル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノイソブチル、マレイン酸モノtert−ブチル、マレイン酸モノヘキシル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2−エチルヘキシル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノイソブチル、イタコン酸モノヘキシル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル等)などが挙げられる。
なお、これらの単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)や共重合するビニル系単量体との相溶性の点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
ビニル系樹脂Aを得るために用いられる他の単量体としては、熱硬化性反応基を有さない他の単量体が用いられる。
他のビニル単量体としては、各種のα−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等);フルオロオレフィンを除く各種のハロゲン化オレフィン(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、各種の芳香族ビニル単量体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等);各種のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのジエステル(例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチル等);各種の酸無水基含有単量体(例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水(メタ)アクリル酸、無水テトラヒドロフタル酸等);各種の燐酸ステル基含有単量体(例えば、ジエチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフォスフェート、ジオクチル−2−(メアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等);各種の脂肪族カルボン酸ビニル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、炭素原子数9以上11以下の分岐状脂肪族カルボン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等);環状構造を有するカルボン酸の各種のビニルエステル(例えばシクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−tert−ブチル安息香酸ビニル等);
更に、他の単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等);各種の(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等);各種のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート(例えば、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等)、他の各種の(メタ)アクリル酸エステル(例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等);各種のアミノ基含有アミド系不飽和単量体(例えば、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等);各種のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等);各種のアミノ基含有単量体(例えば、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピペリジニルエチル(メタ)アクリレート等)などが挙げられる。
なお、これらの単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の他の単量体の中でも、ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)や共重合するビニル系単量体との相溶性の点から、スチレン、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルが好ましい。
上記の単量体の種類及び共重合割合を変化させることで、ビニル系樹脂A中のブロックイソシアネート基及びカルボキシル基の導入量が調整される。
(ビニル系樹脂B)
ビニル系樹脂Bは、分子中に水酸基及びカルボキシル基を有する。
ビニル系樹脂Bとしては、側鎖に水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂が好ましく、水酸基及びカルボキシル基の導入量を調整し易いといった点から、水酸基を有するビニル系単量体と、カルボキシル基を有するビニル系単量体と、必要に応じて、他の単量体と、を共重合して得られたものであることがより好ましい。
水酸基を有するビニル系単量体としては、例えば、各種の水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等);上記各種の水酸基含有(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの付加反応生成物;各種の水酸基含有ビニルエーテル(例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等);上記各種の水酸基含有ビニルエーテルとε−カプロラクトンとの付加反応生成物;各種の水酸基含有アリルエーテル(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アリルエーテル、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アリルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテル等);上記各種の水酸基含有アリルエーテルとε−カプロラクトンとの付加反応生成物などが挙げられる。
なお、これらの単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、ビニル系樹脂のTgや共重合するビニル系単量体との相溶性、入手性の点から、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
カルボキシル基を有する単量体としては、ビニル系樹脂Aにおけるカルボキシル基を有する単量体が挙げられ、好ましい例も同様である。
ビニル系樹脂Bを得るために用いられる他の単量体としては、熱硬化性反応基を有さない他の単量体が好ましく、この単量体としてはビニル系樹脂Aにおける熱硬化性反応基を有さない他の単量体が挙げられ、好ましい例も同様である。
上記の単量体の種類及び共重合割合を変化させることで、ビニル系樹脂B中の水酸基及びカルボキシル基の導入量が調整される。
(ビニル系樹脂C)
ビニル系樹脂Cは、分子中に、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有する。
ビニル系樹脂Cとしては、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を側鎖に有するビニル系樹脂が好ましく、これら3種の基の導入量を調整し易いといった点から、ブロックイソシアネート基を有するビニル系単量体、水酸基を有するビニル系単量体と、カルボキシル基を有するビニル系単量体と、必要に応じて、他の単量体と、を共重合して得られたものであることがより好ましい。
ブロックイソシアネート基を有する単量体としては、ビニル系樹脂Aにおけるカルボキシル基を有する単量体が挙げられ、好ましい例も同様である。
また、水酸基を有する単量体としては、ビニル系樹脂Bにおける水酸基を有する単量体が挙げられ、好ましい例も同様である。
更に、カルボキシル基を有する単量体としては、ビニル系樹脂Aにおけるカルボキシル基を有する単量体が挙げられ、好ましい例も同様である。
加えて、ビニル系樹脂Cを得るために用いられる他の単量体としては、熱硬化性反応基を有さない他の単量体が好ましく、この単量体としてはビニル系樹脂Aにおける熱硬化性反応基を有さない他の単量体が挙げられ、好ましい例も同様である。
上記の単量体の種類及び共重合割合を変化させることで、ビニル系樹脂C中のブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基の導入量が調整される。
(ビニル系樹脂A〜Cについて)
第1の形態の粉体粒子は、ビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含有する。そのため、ビニル系樹脂Aにおけるブロックイソシアネート基及びカルボキシル基の導入量をそれぞれ調整すること、ビニル系樹脂Bにおける水酸基及びカルボキシル基の導入量をそれぞれ調整すること、更に、ビニル系樹脂Aとビニル系樹脂Bとの混合割合を調整することで、粉体粒子中のイソシアネート基の含有量と、粉体粒子中の官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]と、を制御する。
また、第2の形態の粉体粒子は、ビニル系樹脂Cを含有する。ビニル系樹脂Cは、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基の3つを同時に含む樹脂であるため、ビニル系樹脂Cにおけるブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基の導入量をそれぞれ調整することで、粉体粒子中のイソシアネート基の含有量と、粉体粒子中の官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]と、を制御する。
粉体粒子中のイソシアネート基の含有量、及び、粉体粒子中の官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]を制御し易いといった点からは、上記第1の形態の方が好ましい。
なお、粉体粒子中のイソシアネート基の含有量と、粉体粒子中の官能基比[NCO/(COOH+OH)]と、が前記した範囲を満たしていれば、第1の形態の粉体粒子に、前記ビニル系樹脂Cを添加してもよいし、反対に、第2の形態の粉体粒子に、前記ビニル系樹脂A及びBの一方又は両方を添加してもよい。
また、ビニル系樹脂A〜Cには、熱硬化反応の釣合いを大きく崩さない範囲において、例えば、エポキシ基、アミド基、酸無水基などの別の熱硬化性反応基を導入してもよい。
ビニル系樹脂A〜Cの好ましい重量平均分子量(Mw)としては、分子量制御の容易性と粉体塗料の作製の点から、0.5万以上100万以下が好ましく、1万以上50万以下がより好ましく、1万以上20万以下が更に好ましい。
特に、重量平均分子量(Mw)が2万以上10万以下であると、硬化反応後の樹脂物性が塗装膜に適した性質となり易く、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜が得られる。
本実施形態において、ビニル系樹脂A〜Cの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。数平均分子量及び重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
ビニル系樹脂A〜Cは、公知のラジカル重合反応を用いて合成されればよく、後述する粉体塗料の製造方法に記載のように、乳化重合法を用いてもよい。
(その他の成分)
粉体粒子は、第1及び第2の形態ともに、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、着色剤をはじめ、ビニル系樹脂A〜C以外の樹脂(以降「他の樹脂」と称する)、熱硬化剤、その他の添加剤等が挙げられる。
−着色剤−
粉体粒子に含有される着色剤としては、例えば、顔料が挙げられる。着色剤としては、顔料と共に染料を併用してもよい。
顔料としては、例えば、酸化鉄(例えばベンガラ等)、酸化チタン、チタン黄、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、リトポン、酸化アンチモン、コバルトブルー、カーボンブラック等の無機顔料;キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ハンザイエロー、インダンスレンブルー、ブリリアントファーストスカーレット、ベンツイミダゾロンイエロー等の有機顔料などが挙げられる。
顔料としては、その他、光輝性顔料も挙げられる。光輝性顔料としては、例えば、パール顔料、アルミニウム粉、ステンレス鋼粉等の金属粉;金属フレーク;ガラスビーズ;ガラスフレーク;雲母;リン片状酸化鉄(MIO)等が挙げられる。
着色剤は、単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤の含有量は、顔料の種類及び塗装膜に求められる色彩、明度、及び深度等に応じて選択する。例えば、着色剤の含有量は、粉体粒子の全樹脂に対して、1質量%以上70質量%以下が好ましく、2質量%以上60質量%以下が好ましい。
−他の樹脂−
粉体粒子は、第1及び第2の形態ともに、熱硬化反応のバランスを大きく崩さない範囲であれば、ビニル系樹脂A〜Cとは別に、ビニル系樹脂A〜C以外の樹脂(他の樹脂)を含有していてもよい。
他の樹脂としては、粉体塗料に使用される公知の樹脂であって、ビニル系樹脂A〜C以外の熱硬化性樹脂(熱硬化性反応基を有する樹脂)、又は熱硬化性を有しない樹脂が挙げられる。
他の樹脂の含有量は、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜を得るために、粉体粒子の全樹脂に対して、5質量%以下とすることが好ましい。
−熱硬化剤−
粉体粒子は、第1及び第2の形態ともに、熱硬化反応の釣合いを大きく崩さない範囲であれば、熱硬化剤を含んでいてもよい。
熱硬化剤としては、ビニル系樹脂A〜Cが有するブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基の種類に応じて選択するか、併用される他の樹脂の熱硬化性反応基の種類に応じて選択されればよい。
熱硬化剤の含有量は、耐溶剤性及び耐折り曲げ性に優れた塗装膜を得るために、粉体粒子の全樹脂に対して、10質量%以下とすることが好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、粉体塗料に使用される各種の添加剤が挙げられる。
その他の添加剤としては、具体的には、例えば、表面調整剤(シリコーンオイル、アクリルオリゴマー等)、発泡(ワキ)防止剤(例えば、ベンゾイン、ベンゾイン誘導体等)、硬化促進剤(アミン化合物、イミダゾール化合物、カチオン重合触媒等)、可塑剤、帯電制御剤、酸化防止剤、顔料分散剤、難燃剤、流動付与剤等が挙げられる。
(粉体粒子の特性)
粉体粒子は、第1及び第2の形態ともに、粉体塗料の保管性を高める、即ち、粉体粒子同士の凝集(ブロッキング)を抑制する点で、体積粒度分布指標GSDvは1.50以下であることが好ましく、1.42以下がより好ましい。
また、粉体粒子の体積平均粒径D50vは、平滑性の高い塗装膜を形成する点から、1μm以上25μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましく、3μm以上15μm以下が更に好ましい。
ここで、粉体粒子の体積平均粒径D50v、及び体積粒度分布指標GSDvは、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積84%となる粒径を体積粒径D84vと定義する。
そして、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として算出される。
(粉体粒子の形態)
粉体粒子の形態は、第1及び第2の形態ともに、単層構造の粒子であってもよいし、芯部と芯部を被覆する樹脂被覆部とで構成された所謂コア・シェル構造を有する粒子であってもよい。
以降、粉体粒子がコア・シェル構造を有する粒子である場合について説明する。
−芯部−
芯部は、第1の形態の場合はビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含有し、第2の形態の場合はビニル系樹脂Cを含有し、各々、必要に応じて、着色剤、その他の添加剤等を含むものであることが好ましい。
ここで、芯部を構成する各成分は、前述した成分である。
−樹脂被覆部−
樹脂被覆部は、樹脂を含有していればよく、熱硬化性樹脂を含有していることが好ましく、第1の形態の場合はビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含有し、第2の形態の場合はビニル系樹脂Cを含有することが特に好ましい。樹脂被覆部は、樹脂のみで構成されていてもよいし、他の添加剤(その他の添加剤等)を含んでいてもよい。
但し、粉体粒子中の内包物(必要に応じて添加される着色剤、レベリング剤等の他の添加剤)が析出する現象(以下「ブリード」と称する)を低減する点から、樹脂被覆部は、樹脂のみで構成されていることがよい。なお、樹脂被覆部が他の添加剤を含む場合でも、樹脂は樹脂被覆部全体の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)を占めることがよい。
また、樹脂被覆部の樹脂としては、ビニル系樹脂A〜Cを用いることが好ましいが、塗装膜の硬化密度(架橋密度)を低下させない範囲において、ビニル系樹脂A〜C以外の樹脂を併用してもよい。
樹脂被覆部の被覆率は、ブリード抑制の点から、30%以上100%以下が好ましく、50%以上100%以下がより好ましい。
樹脂被覆部の被覆率は、次の方法により測定された値である。
即ち、粉体粒子表面の樹脂被覆部の被覆率はXPS(X線光電子分光)測定により求める。
具体的には、XPS測定は、測定装置として日本電子社製、JPS−9000MXを使用し、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施する。
上記条件で得られたスペクトルから、粉体粒子表面の芯部の材料に起因する成分と被覆樹脂部の材料に起因する成分とをピーク分離することによって、粉体粒子表面の樹脂被覆部の被覆率を定量する。ピーク分離は、測定されたスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。
分離のベースとなる成分スペクトルは、粉体粒子の作製に用いた、ビニル系樹脂A〜C、その他の樹脂、着色剤(顔料)、その他の添加剤等を、単独に測定して得られたスペクトルを用いる。そして、粉体粒子で得られた全スペクトル強度の総和に対しての樹脂被覆部用の樹脂に起因するスペクトル強度の比率から、被覆率を求める。
樹脂被覆部の厚さは、ブリード抑制の点から、0.2μm以上4μm以下が好ましく、0.3μm以上3μm以下がより好ましい。
樹脂被覆部の厚さは、次の方法により測定された値である。
即ち、粉体粒子をエポキシ樹脂などに包埋し、ダイヤモンドナイフなどで切削することで薄切片を作製する。この薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察、複数の粉体粒子の断面画像を撮影する。粉体粒子の断面画像から樹脂被覆部の厚みを20か所測定して、その平均値を採用する。
なお、クリア塗料などで断面画像において樹脂被覆部の観察が難しい場合は、染色を行って、観察、測定を容易にしてもよい。
(金属イオン)
粉体粒子には、第1及び第2の形態ともに、2価以上の金属イオン(以下、単に「金属イオン」とも称する)を含むことがよい。この金属イオンは、粉体粒子がコア・シェル構造を有する粒子である場合に、芯部及び樹脂被覆部のいずれにも含まれる成分である。粉体粒子に2価以上の金属イオンを含むと、粉体粒子で金属イオンによるイオン架橋を形成する。
例えば、ビニル系樹脂A〜Cは、カルボキシル基や水酸基を有しているため、このカルボキシル基又は水酸基と金属イオンとが相互作用し、イオン架橋を形成する。このイオン架橋により、粉体粒子のブリードが抑制され、粉体粒子同士の凝集(ブロッキング)が抑制されて保管性が高まりやすくなる。また、このイオン架橋は、粉体塗料の塗装後、熱硬化をするときの加熱により、イオン架橋の結合が切れることで、粉体粒子の溶融粘度が低下し、平滑性の高い塗装膜を形成しやすくなる。
金属イオンとしては、例えば、2価以上4価以下の金属イオンが挙げられる。具体的には、金属イオンとしては、例えば、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、亜鉛イオン、及びカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種の金属イオンが挙げられる。
金属イオンの供給源(粉体粒子に添加剤として含ませる化合物)としては、例えば、金属塩、無機金属塩重合体、金属錯体等が挙げられる。この金属塩、及び無機金属塩重合体は、例えば、粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤として粉体粒子に添加する。
金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
無機金属塩重合体としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、ポリ硫酸鉄(II)、多硫化カルシウム等が挙げられる。
金属錯体としては、例えば、アミノカルボン酸の金属塩等が挙げられる。金属錯体として、具体的には、例えば、エチレンジアミン4酢酸、プロパンジアミン4酢酸、ニトリル3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸等の公知のキレートをベースにした金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。
なお、これら金属イオンの供給源は、凝集剤用途ではなく、単なる添加剤として添加してもよい。
金属イオンの価数は、高い程、網目状のイオン架橋を形成しやすくなり、塗装膜の平滑性、及び粉体塗料の保管性の点で好適である。このため、金属イオンとしては、Alイオンが好ましい。つまり、金属イオンの供給源としては、アルミニウム塩(例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、アルミニウム塩重合体(例えばポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましい。更に、塗装膜の平滑性、及び粉体塗料の保管性の点で、金属イオンの供給源のうち、金属イオンの価数が同じであっても、金属塩に比べ、無機金属塩重合体が好ましい。このため、金属イオンの供給源としては、特に、アルミニウム塩重合体(例えばポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましい。
金属イオンの含有量は、塗装膜の平滑性、及び粉体粒子同士の凝集(ブロッキング)の抑制の点で、粉体粒子全体に対して0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。
金属イオンの含有量を0.002質量%以上とすると、金属イオンによる適度なイオン架橋が形成され、粉体粒子のブリードを抑えブロッキングが抑制されて、塗装塗料の保管性が高まるやすくなる。一方、金属イオンの含有量を0.2質量%以下とすると、金属イオンによる過剰なイオン架橋の形成を抑え、塗装膜の平滑性が高まりやすくなる。
ここで、粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤として添加される金属イオンの供給源(金属塩、金属塩重合体)は、粉体粒子の粒度分布及び形状の制御に寄与する。
具体的には、金属イオンの価数は高い程、狭い粒度分布を得る点で好適である。また、狭い粒度分布を得る点で、金属イオンの価数が同じであっても、金属塩に比べ、金属塩重合体が好適である。このため、これら点からも、金属イオンの供給源としては、アルミニウム塩(例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、アルミニウム塩重合体(例えばポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましく、アルミニウム塩重合体(例えばポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が特に好ましい。
また、金属イオンの含有量が0.002質量%以上になるように、凝集剤を添加すると、水性媒体中における樹脂粒子の凝集が進行し、狭い粒度分布の実現に寄与する。また、芯部となる凝集粒子に対して、樹脂被覆部となる樹脂粒子の凝集が進行し、芯部表面全体に対する樹脂被覆部の形成の実現に寄与する。一方、金属イオンの含有量が0.2質量%以下になるように、凝集剤を添加すると、凝集粒子中のイオン架橋の過剰な生成を抑え、融合合一するときに、生成される粉体粒子の形状が球状に近づきやすくなる。このため、これら点からも、金属イオンの含有量は、0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。
金属イオンの含有量は、粉体粒子の蛍光X線強度を定量分析することにより測定される。具体的には、例えば、まず、樹脂と金属イオンの供給源との混合し、金属イオンの濃度が既知の樹脂混合物を得る。この樹脂混合物200mgを、直径13mmの錠剤成形器を用いて、ペレットサンプルを得る。このペレットサンプルの質量を精秤し、ペレットサンプルの蛍光X線強度測定を行って、ピーク強度を求める。同様に、金属イオンの供給源の添加量を変更したペレットサンプルについても測定を行い、これらの結果から検量線を作成する。そして、この検量線を用いて、測定対象となる粉体粒子中の金属イオンの含有量を定量分析する。
金属イオンの含有量の調整方法としては、例えば、1)金属イオンの供給源の添加量を調整する方法、2)粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集工程において、金属イオンの供給源として凝集剤(例えば金属塩、又は金属塩重合体)を添加した後、凝集工程の最後にキレート剤(例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)等)を添加し、キレート剤により金属イオンと錯体を形成させ、その後の洗浄工程等で形成された錯塩を除去して、金属イオンの含有量を調整する方法等が挙げられる。
[外部添加剤]
外部添加剤は、付着する粉体粒子間の凝集を抑制することで、少量で平滑性の高い塗装膜を形成させる。
外部添加剤の具体例としては、例えば、無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等の粒子が挙げられる。
外部添加剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外部添加剤の外添量としては、例えば、粉体粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
[粉体塗料の製造方法]
次に、本実施形態に係る粉体塗料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を製造後、必要に応じて、粉体粒子に対して、外部添加剤を外添することで得られる。
粉体粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。粉体粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、カルボキシル基を有するビニル系樹脂A〜Cが好適に用いられること、体積粒度分布指標GSDv、及び体積平均粒径D50vを上記範囲に容易に制御できる点から、凝集合一法により、粉体粒子を得ることがよい。
具体的には、粉体粒子は、第1の形態であれば、分散液中に分散した前記ビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子及び前記ビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子を少なくとも凝集して凝集粒子を形成した後、また、第2の形態であれば、分散液中に分散した前記ビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子を少なくとも凝集して凝集粒子を形成した後、該凝集粒子を加熱融合して得られるものであることが好ましい。
つまり、粉体粒子は、ビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子とビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子とを少なくとも含む分散液、又は、ビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子を少なくとも含む分散液を準備する工程と、前記分散液中の樹脂粒子を凝集して凝集粒子を形成する工程と、前記凝集粒子を加熱融合する工程と、を経て製造されることが好ましい(本実施形態に係る粉体塗料の製造方法)。
また、粉体粒子がコア・シェル構造を有する粒子である場合には以下に示す方法により得られることが好ましい。
即ち、第1の形態であれば、(1)ビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子A、及びビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された分散液中で、該樹脂粒子Aと該樹脂粒子Bとを凝集する、又は、ビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含む複合粒子が分散された分散液中で、該複合粒子を凝集して、第1凝集粒子を形成する工程と、
(2)前記第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、ビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子A、及びビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された分散液、又は、ビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含む複合粒子が分散された分散液と、を混合し、該第1凝集粒子の表面に、該樹脂粒子A及び該樹脂粒子B、又は該複合粒子を凝集し、当該樹脂粒子A及び当該樹脂粒子B、又は当該複合粒子が当該第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する工程と、
前記第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱し、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程と、
を経て、粉体粒子を製造することが好ましい。
また、第2の形態であれば、(1)ビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子Cが分散された分散液中で、該樹脂粒子Cを凝集して、第1凝集粒子を形成する工程と、
(2)前記第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、ビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子Cが分散された分散液と、を混合し、該第1凝集粒子の表面に、該樹脂粒子Cを凝集し、当該樹脂粒子Cが当該第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する工程と、
前記第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱し、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程と、
を経て、粉体粒子を製造することが好ましい。
上記の凝集合一法により製造された粉体粒子は、第1凝集粒子が融合合一した部分が芯部となり、第1凝集粒子の表面に付着した樹脂粒子又は複合粒子が融合合一した部分が樹脂被覆部となる、コア・シェル構造を有する粒子となる。
なお、コア・シェル構造を有する粒子とすることで、芯部に、着色剤、レベリング剤等の他の添加剤を含有させていても、樹脂被覆部にてかかる芯部を被覆することで、芯部に含まれる着色剤や他の添加剤等のブリードを抑制し易いといった利点を有する。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、第1の形態の粉体粒子であって、着色剤を用いた粉体粒子の製造方法について説明するが、着色剤は必要に応じて含有するものである。
−各分散液準備工程−
まず、凝集合一法で使用する各分散液を準備する。
具体的には、芯部用及び樹脂被覆部用のビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子Aが分散された樹脂粒子分散液、芯部用及び樹脂被覆部用のビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された樹脂粒子分散液、着色剤が分散された着色剤分散液を準備する。
また、複合粒子を用いる例では、芯部用及び樹脂被覆部用のビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子Aが分散された樹脂粒子分散液、並びに、芯部用及び樹脂被覆部用のビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された樹脂粒子分散液の代わりに、芯部用及び樹脂被覆部用のビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含む複合粒子が分散された複合粒子分散液を準備する。
なお、粉体塗料の製造方法の各工程において用いる、各種樹脂粒子及び複合粒子を、総じて「樹脂粒子」と称し、これらの樹脂粒子の分散液を「樹脂粒子分散液」と称して説明する。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば、水性媒体が挙げられる。
水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば、転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水性媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を水性媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液の製造方法として、具体的には、乳化重合法を用いた以下の方法がある。
例えば、原料単量体を水性媒体中に乳化し、水溶性開始剤(例えば、過硫酸カリウム)、必要に応じて、分子量制御のために連鎖移動剤(例えば、ドデカンチオール)を加え、加熱し、乳化重合することによって得られる。
なお、樹脂粒子分散液が複合粒子分散液である場合、かかる複合粒子分散液は、ビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを混合して、分散媒に分散(例えば、転相乳化等の乳化)することで得られる。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば、1μm以下がよく、0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μmが更に好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における樹脂粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤分散液中に分散する着色剤の粒子についても同様である。
−第1凝集粒子形成工程−
次に、芯部用のビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子Aが分散された樹脂粒子分散液、芯部用のビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された樹脂粒子分散液、及び着色剤分散液を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子Aと樹脂粒子Bと着色剤とをヘテロ凝集させ、目的とする粉体粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子Aと樹脂粒子Bと着色剤とを含む第1凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子A及び樹脂粒子Bのガラス転移温度以下(具体的には、例えば、樹脂粒子A及び樹脂粒子Bのガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、第1凝集粒子を形成する。
なお、第1凝集粒子形成工程においては、ビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含む複合粒子分散液と、着色剤分散液と、を混合し、混合分散液中で、複合粒子と着色剤とをヘテロ凝集させて、第1凝集粒子を形成してもよい。
第1凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、金属塩、金属塩重合体、金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
なお、凝集終了後、凝集剤の金属イオンと錯体又は類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。このキレート剤の添加により、凝集剤を過剰に添加した場合、粉体粒子の金属イオンの含有量の調整が実現される。
ここで、凝集剤としての金属塩、金属塩重合体、金属錯体は、金属イオンの供給源として用いる。これらの例示について、既述の通りである。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤が挙げられる。キレート剤として、具体的には、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などのオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などが挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下がよく、0.1質量部以上3.0質量部未満が好ましい。
−第2凝集粒子形成工程−
次に、得られた第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、樹脂被覆部用のビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子Aが分散された樹脂粒子分散液と、樹脂被覆部用のビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された樹脂粒子分散液と、を混合する。
なお、樹脂被覆部用のビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bは、それぞれ、芯部用のビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bと同種であってもよいし、異種であってもよい。
そして、第1凝集粒子、樹脂粒子A、及び樹脂粒子Bが分散された混合分散液中で、第1凝集粒子の表面に樹脂粒子A及び樹脂粒子Bを付着するように凝集して、第1凝集粒子の表面に樹脂粒子A及び樹脂粒子Bが付着した第2凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、第1凝集粒子形成工程において、第1凝集粒子が目的とする粒径に達したときに、第1凝集粒子分散液に、樹脂被覆部用のビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子Aが分散された樹脂粒子分散液と、樹脂被覆部用のビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された樹脂粒子分散液と、を混合し、この混合分散液に対して、樹脂粒子A及び樹脂粒子Bのガラス転移温度以下で加熱を行う。
そして、混合分散液のpHを、例えば6.0以上8.5以下の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。
これにより、第1凝集粒子の表面に樹脂粒子A及び樹脂粒子Bが付着するようにして凝集した第2凝集粒子が得られる。
なお、第2凝集粒子形成工程においては、第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、樹脂被覆部用のビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含む複合粒子分散液と、を混合し、混合分散液中で、第1凝集粒子の表面に複合粒子を付着及び凝集させて、第2凝集粒子を形成してもよい。
また、ここでは、ビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bの両方を用いて樹脂被覆部を形成する例を示しているが、どちらか一方の樹脂のみを用いて樹脂被覆部を形成してもよい。
−融合合一工程−
次に、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子A及び樹脂粒子Bのガラス転移温度以上(例えば、樹脂粒子A及び樹脂粒子Bのガラス転移温度より10℃から30℃高い温度以上)に加熱して、第2凝集粒子を融合合一し、目的とする粉体粒子を形成する。
以上、第1の形態の粉体粒子の製造方法を例として説明したが、第2の形態の粉体粒子の製造方法の場合には、第1の形態の粉体粒子の製造方法を以下のように代える以外は同様に行えばよい。
即ち、各分散液準備工程においては、芯部用及び樹脂被覆部用のビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子Aが分散された樹脂粒子分散液を準備する代わりに、芯部用及び樹脂被覆部用のビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子Cが分散された樹脂粒子分散液を準備する。
第1凝集粒子形成工程においては、芯部用のビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子Aが分散された樹脂粒子分散液、芯部用のビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された樹脂粒子分散液、又は、ビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含む複合粒子分散液の代わりに、芯部用のビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子Cが分散された樹脂粒子分散液を用いて、第1凝集粒子を形成する。
第2凝集粒子形成工程においては、樹脂被覆部用のビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子Aが分散された樹脂粒子分散液、樹脂被覆部用のビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子Bが分散された樹脂粒子分散液、又は、樹脂被覆部用のビニル系樹脂A及びビニル系樹脂Bを含む複合粒子分散液の代わりに、樹脂被覆部用のビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子Cが分散された樹脂粒子分散液を用いて、第2凝集粒子を形成する。
−その後の工程−
ここで、融合合一工程終了後は、分散液中に形成された粉体粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態の粉体粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流式乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係る粉体塗料は、必要に応じて、例えば、得られた乾燥状態の粉体粒子に、外部添加剤を添加し、混合することにより製造される。
混合は、例えば、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー等によって行うことがよい。
更に、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使って粉体粒子の粗大粒子を取り除いてもよい。
<塗装品/塗装品の製造方法>
本実施形態に係る塗装品は、被塗装物の表面に、本実施形態に係る粉体塗料により形成された塗装膜を有する塗装品である。そして、本実施形態に係る塗装品の製造方法は、被塗装物の表面に、本実施形態に係る粉体塗料により塗装膜を形成する塗装品の製造方法である。
具体的には、塗装品は、被塗装物の表面に、粉体塗料を塗装した後、加熱(焼付)して粉体塗料を熱硬化させて、塗装膜を形成することにより得られる。
粉体塗料の塗装は、静電粉体塗装、摩擦帯電粉体塗装、流動浸漬等の周知の塗装方法を利用する。粉体塗料による塗装膜の厚みは、例えば、30μm以上50μm以下がよい。
加熱温度(焼付温度)は、例えば、90℃以上250℃以下が好ましく、100℃以上220℃以下がより好ましく、120℃以上200℃以下が更に好ましい。なお、加熱時間(焼付時間)は、加熱温度(焼付温度)に応じて調節する。
なお、粉体塗料の塗装、及び加熱(焼付)は、一括して行ってもよい。
粉体塗料を塗装する対象物品である被塗装物は、特に、制限はなく、各種の金属部品、セラミック部品、樹脂部品等が挙げられる。これら対象物品は、板状品、線状品等の各物品への成形前の未成形品であってもよいし、電子部品用、道路車両用、建築内外装資材用等に成形された成形品であってもよい。また、対象物品は、被塗装面に、予め、プライマー処理、めっき処理、電着塗装等の表面処理が施された物品であってもよい。
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<樹脂粒子分散液の調製>
〔樹脂粒子分散液A1の調製〕
・スチレン(St) 192.0部
・n−ブチルアクリレート(BA) 52.5部
・カレンズMOI−BM(昭和電工(株)製) 51.0部
・アクリル酸(AA) 4.5部
・ドデカンチオール(DDT) 1.8部
以上を混合した混合物を準備した。
フラスコ中にて、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ノイゲンEA−157)5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)6部をイオン交換水516部に溶解したものに、過硫酸カリウム2.6部を溶解したイオン交換水30部を投入し、窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が50℃になるまで加熱し、そこへ上記の混合物を90分かけて添加した。添加終了後、5時間乳化重合を継続した。こうして、ビニル系樹脂による樹脂粒子A1を分散した樹脂粒子分散液A1(固形分量35%)を調製した。
〔樹脂粒子分散液A2〜A5の調製〕
樹脂粒子分散液A1の調製において、使用した各材料の使用量を、それぞれ、下記表1に記載のように変えた以外は、樹脂粒子分散液A1の調製と同様の方法で、樹脂粒子A2〜A5を分散した樹脂粒子分散液A2〜A5(固形分量35%)を得た。
〔樹脂粒子分散液B1の調製〕
・スチレン(St) 193.5部
・n−ブチルアクリレート(BA) 70.5部
・ヒドロキシエチルアクリレート(HEMA) 31.5部
・アクリル酸(AA) 4.5部
・ドデカンチオール(DDT) 1.8部
以上を混合した混合物を準備した。
フラスコ中にて、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ノイゲンEA−157)5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)6部をイオン交換水514部に溶解したものに、過硫酸カリウム2.6部を溶解したイオン交換水30部を投入し、窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が50℃になるまで加熱し、そこへ上記の混合物を90分かけて添加した。添加終了後、5時間乳化重合を継続した。こうして、ビニル系樹脂による樹脂粒子B1を分散した樹脂粒子分散液B1(固形分量35%)を調製した。
〔樹脂粒子分散液B2〜B5の調製〕
樹脂粒子分散液B1の調製において、使用した各材料の使用量を、それぞれ、下記表1に記載のように変えた以外は、樹脂粒子分散液B1の調製と同様の方法で、樹脂粒子B2〜B5を分散した樹脂粒子分散液B2〜B5(固形分量35%)を得た。
〔樹脂粒子分散液C3の調製〕
・スチレン(St) 149.3部
・n−ブチルアクリレート(BA) 65.3部
・カレンズMOI−BM(昭和電工(株)製) 57.0部
・ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 24.0部
・アクリル酸(AA) 4.5部
・ドデカンチオール(DDT) 1.5部
以上を混合した混合物を準備した。
フラスコ中にて、非イオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ノイゲンEA−157)5部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)6部をイオン交換水514部に溶解したものに、過硫酸カリウム2.6部を溶解したイオン交換水30部を投入し、窒素置換を行った後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が50℃になるまで加熱し、そこへ上記の混合物を90分かけて添加した。添加終了後、5時間乳化重合を継続した。こうして、ビニル系樹脂による樹脂粒子C1を分散した樹脂粒子分散液C1(固形分量35%)を調製した。
〔樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の各物性〕
上記のようにして得られた樹脂粒子分散液中の樹脂粒子について、体積平均粒径、及び重量平均分子量(Mw)について、前述の方法にて測定した。
結果を下記表1に示す。
<着色剤分散液の調製>
〔着色剤分散液(シアン)の調製〕
・シアン顔料(大日精化(株)製、C.I.Pigment Blue 15:3、(銅フタロシアニン)) : 100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) : 15質量部
・イオン交換水 : 450質量部
上記成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散してシアン顔料を分散させてなる着色剤分散液(シアン)を調製した。
着色剤分散液におけるシアン顔料の体積平均粒径は、0.13μm、着色剤分散液の固形分比率は25%であった。
〔着色剤分散液(ホワイト)の調製〕
・酸化チタン(石原産業製 A−220) : 100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) : 15質量部
・イオン交換水 : 400質量部
上記成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて3時間分散して酸化チタンを分散させてなる着色剤分散液(ホワイト)を調製した。
レーザー回折粒度測定器を用いて測定したところ着色剤分散液における酸化チタンの体積平均粒径は0.25μm、着色剤分散液の固形分比率は25%であった。
〔実施例1〕
・樹脂粒子分散液A2 143部(樹脂量:50部)
・樹脂粒子分散液B1 143部(樹脂量:50部)
・着色剤分散液(シアン) 3.6部(着色剤量:0.9部)
・着色剤分散液(ホワイト) 100部(着色剤量:25部)
・イオン交換水 90部
上記の各分散液及びイオン交換水を、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
次いで、1.0%硝酸水溶液を用い、pHを2.5に調整した。これに10%ポリ塩化アルミニウム水溶液0.42部を加え、上記ホモジナイザーで分散操作を継続した。
その後、丸型ステンレス製フラスコに、攪拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を適宜調整しながら、48℃まで昇温した。このまま、30分間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0とした。その後、80℃まで昇温し、1時間保持した。
反応終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、濾過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、再度固形分を得た。
次に、この固形分を40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させた。
乾燥された固形分(粉体粒子)100質量部に対して0.5質量部の疎水性シリカ粒子(一次粒径16nm)を外部添加剤として混合して、粉体塗料を得た。
なお、上記の固形分(粉体粒子)は、単層構造の粒子である。
〔実施例2〜5、比較例1〜3〕
実施例1において、樹脂粒子分散液の種類及びその量(樹脂量)を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして単層構造の粉体粒子を作製し、この粉体粒子を用いて実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例1〜3の粉体塗料を得た。
〔実施例6〕
実施例1において、樹脂粒子分散液A2及び樹脂粒子分散液B1を、樹脂粒子分散液C1に変更した以外は、実施例1と同様にして単層構造の粉体粒子を作製し、この粉体粒子を用いて実施例1と同様にして、実施例6の粉体塗料を得た。
〔実施例7〕
・樹脂粒子分散液A3 117部(樹脂量41部)
・樹脂粒子分散液B3 96部(樹脂量34部)
・着色剤分散液(シアン) 3.6部(着色剤0.9部)
・着色剤分散液(ホワイト) 100部(着色剤25部)
・イオン交換水 90部
上記の各分散液及びイオン交換水を、丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
次いで、1.0%硝酸水溶液を用い、pHを2.5に調整した。これに10%ポリ塩化アルミニウム水溶液0.42部を加え、上記ホモジナイザーで分散操作を継続した。
その後、丸型ステンレス製フラスコに、攪拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を適宜調整しながら、48℃まで昇温し、20分間保持した後、樹脂粒子分散液A3を40質量部(樹脂量14部)と樹脂粒子分散液B3を31質量部(樹脂量11部)と追加して緩やかに攪拌した。このまま、30分間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0とした。その後、80℃まで昇温し、1時間保持した。
反応終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、濾過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、再度固形分を得た。
次に、この固形分を40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させた。
乾燥された固形分(粉体粒子)100質量部に対して0.5質量部の疎水性シリカ粒子(一次粒径16nm)を外部添加剤として混合して、実施例7の粉体塗料を得た。
なお、上記の固形分(粉体粒子)は、コア・シェル構造の粒子である。
〔実施例8〕
・樹脂粒子分散液A3 171部(樹脂量:60部)
・樹脂粒子分散液B3 114部(樹脂量:40部)
・イオン交換水 90部
上記の各分散液及びイオン交換水を、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
次いで、1.0%硝酸水溶液を用い、pHを2.5に調整した。これに10%ポリ塩化アルミニウム水溶液0.42部を加え、上記ホモジナイザーで分散操作を継続した。
その後、丸型ステンレス製フラスコに、攪拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を適宜調整しながら、48℃まで昇温した。このまま、30分間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0とした。その後、80℃まで昇温し、1時間保持した。
反応終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、濾過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、再度固形分を得た。
次に、この固形分を40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させた。
乾燥された固形分(粉体粒子)100質量部に対して0.5質量部の疎水性シリカ粒子(一次粒径16nm)を外部添加剤として混合して、実施例8の粉体塗料を得た。
なお、上記の固形分(粉体粒子)は、単層構造の粒子である。
〔実施例9〕
・樹脂粒子分散液C1 285部(樹脂量100部)
・着色剤分散液(シアン) 3.6部(着色剤0.9部)
・着色剤分散液(ホワイト) 100部(着色剤25部)
・イオン交換水 90部
上記の各分散液及びイオン交換水を、丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
次いで、1.0%硝酸水溶液を用い、pHを2.5に調整した。これに10%ポリ塩化アルミニウム水溶液0.17部を加え、上記ホモジナイザーで分散操作を継続した。
その後、丸型ステンレス製フラスコに、攪拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を適宜調整しながら、48℃まで昇温した。このまま、30分間保持した後、10%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト株式会社製)を33部加えた、そして、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0とした。その後、81℃まで昇温し、1時間保持した。
反応終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、濾過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、再度固形分を得た。
次に、この固形分を40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させた。
乾燥された固形分(粉体粒子)100質量部に対して0.5質量部の疎水性シリカ粒子(一次粒径16nm)を外部添加剤として混合して、実施例9の粉体塗料を得た。
なお、上記の固形分(粉体粒子)は、単層構造の粒子である。
<各種測定及び評価>
各実施例及び比較例で得られた粉体粒子について、前述の方法で、イソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基の含有量(mmol/g)をそれぞれ測定し、官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]を算出した。
また、各実施例及び比較例で得られた粉体粒子について、前述の方法で、体積平均粒径D50v、体積平均粒度分布指標GSDv、金属イオン(アルミニウムイオン)の含有量を、をそれぞれ測定した。
結果を、表2に示す。
<評価>
(粉体塗料の塗装膜試料の作製)
以上の方法により作製された粉体塗料を、リン酸亜鉛処理を施した厚み0.6mmの冷延鋼板からなるテストパネルに、焼付後の膜厚が30μmになるように塗装し、170℃、1時間で焼付した後、室温まで放冷し、塗装膜試料を得た。
−塗装膜の耐溶剤性の評価−
塗装膜試料の表面(塗装面)を、先端の綿で、直径が約1cmの綿棒をテトラヒドロフラン(THF)に浸漬したものを用いて往復50回擦った。塗装膜の耐溶剤性について、以下の評価基準に則り評価した。
A(◎):擦っている時に擦りの抵抗がなく、THFが乾いた後の塗装面と擦っていない領域の塗装面との間に変化がない
B(○):擦っている時に擦りの抵抗があるが、THFが乾いた後の塗装面と擦っていない領域の塗装面との間に変化がない
C(×):塗装面に擦り傷が生じたり、塗装面の擦った部分の一部が溶解する
−塗装膜の耐折れ曲げ性の評価−
幅15mm、深さ18mmの溝をきった金属板に、塗装面が下になるように塗装膜試料を置き、塗装膜試料の溝の上に載っている部分に楔形の金属棒で圧力を加え、塗装膜試料を90度に折り曲げた。塗装面の折り曲げ部分について5倍のルーペで観察した。
A(◎):塗装面の折り曲げ部分に割れ(ヒビ)が形成されず、折り曲げ部分と他の部分との間に色変化が殆どない
B(○):塗装面の折り曲げ部分に割れ(ヒビ)が形成されず、折り曲げ部分と他の部分との間に色変化が認識される
C(×):塗装面の折り曲げ部分に割れ(ヒビ)が形成される
−粉体塗料の耐ブロッキング性の評価−
各例で作製された粉体塗料を、それぞ、温度50℃、湿度50RH%に制御した恒温恒湿槽に17時間保管した後、振動篩を用いて篩い200メッシュ(目開き75ミクロン)通過量を調べて、下記基準により評価した。通過量の値が大きいほど、粉体粒子同士の凝集が抑制されていること(耐ブロッキング性が高いこと)を意味する。下記基準においてA及びBの評価であれば、粉体塗料を室温(25℃)にて保存する際には、使用には問題のレベルである。
A(○):通過量が90%以上
B(△):通過量が70%以上90%未満
C(×):通過量が70%未満
各例の詳細、及び評価結果を表2に一覧にして示す。
表2に明らかなように、各実施例の粉体塗料は、比較例の粉体塗料と比較して、耐溶剤性及び耐折り曲げ性の両方に優れた塗装膜が得られることが分かる。
また、GSDvが1.5未満であり、金属イオン含有量が0.002質量%以上0.2質量%以下である粉体粒子を含む粉体塗料は、耐ブロッキング性が良好で、粉体粒子同士の凝集が抑制されていことも分かる。

Claims (6)

  1. ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aと水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bとの混合物、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含有し、
    イソシアネート基の含有量が0.4mmol/g以上1.4mmol/g以下であり、イソシアネート基の含有量を水酸基及びカルボキシル基の含有量の総計で除した官能基モル比[NCO/(COOH+OH)]が0.5以上1.2以下である粉体粒子、を含む熱硬化性粉体塗料。
  2. 前記粉体粒子の体積粒度分布指標GSDvが1.5以下である請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料。
  3. 前記粉体粒子が、2価以上の金属イオンを0.002質量%以上0.2質量%以下の含有量で含有する請求項2に記載の熱硬化性粉体塗料。
  4. ブロックイソシアネート基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Aを含む樹脂粒子と水酸基及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Bを含む樹脂粒子とを少なくとも含む分散液、又は、ブロックイソシアネート基、水酸基、及びカルボキシル基を有するビニル系樹脂Cを含む樹脂粒子を少なくとも含む分散液を準備する工程と、
    前記分散液中の樹脂粒子を凝集して凝集粒子を形成する工程と、
    前記凝集粒子を加熱融合する工程と、
    を経て粉体粒子を製造する工程を有する、熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  5. 被塗装物の表面に、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により形成された塗装膜を有する塗装品。
  6. 被塗装物の表面に、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装膜を形成する塗装品の製造方法。
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