JP6540152B2 - 熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法に関する。
粉体塗料を利用した粉体塗装の技術は、塗装工程における揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOC)の排出量が少なく、しかも塗装後、被塗装物に付着しなかった粉体塗料を回収し再利用できることから、地球環境保護の面で注目されている。このため、粉体塗料については、種々のものが研究されている。
例えば、特許文献1には、(A)軟化点50〜140℃且つエポキシ当量180〜4000のビスフェノール型エポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂から選ばれるエポキシ樹脂、(B)芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%含有する酸成分とエチレングリコールを88〜100モル%含有するアルコール成分とを、カルボキシル基に対して水酸基が過剰となる条件で反応させてなる水酸基含有ポリエステル樹脂に、多塩基酸を付加反応させて得られる、数平均分子量1000〜4000、酸価120〜200mgKOH/g且つ軟化点50〜140℃の高酸価ポリエステル樹脂、及び(C)硬化触媒を含有し、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基/ポリエステル樹脂(B)中のカルボキシル基のモル比が2/1〜1/2である粉体塗料組成物、が開示されている。
特許文献2には、(A)エポキシ当量500以上2000未満、数平均分子量1000以上3000未満、重量平均分子量/数平均分子量の比1.8以下、且つ軟化点50〜140℃のビスフェノール型エポキシ樹脂、(B)エポキシ当量2000〜5000、数平均分子量3000〜8000、且つ軟化点50〜140℃のビスフェノール型エポキシ樹脂、(C)芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%含有する酸成分とエチレングリコールを88〜100モル%含有するアルコール成分とを、カルボキシル基に対して水酸基が過剰となる条件で反応させてなる水酸基含有ポリエステル樹脂に、多塩基酸を付加反応させて得られる、数平均分子量1000〜4000、酸価120〜200mgKOH/g、且つ軟化点50〜140℃の高酸価ポリエステル樹脂、及び(D)硬化触媒を含有し、ポリエステル樹脂(C)中のカルボキシル基/全エポキシ樹脂中のエポキシ基の合計との当量比が0.5/1〜2/1の範囲内である粉体塗料組成物、が開示されている。
特許文献3には、(A)(a)、(b)及び(c)のラジカル共重合体((a)メチルグリシジル(メタ)アクリレート35〜60重量%、(b)芳香族不飽和モノマー20〜65重量%、(c)その他の不飽和モノマー0〜49重量%)、及び(B)グリシジル基と反応する官能基を有する硬化剤を含有してなる熱硬化型粉体塗料、が開示されている。
特許文献4には、2種以上の粉体塗料を混合塗布する塗装方法に使用される粉体塗料であって、単独では160℃以下で熱硬化しないが、他種の粉体塗料と混合塗布することにより160℃以下で熱硬化する特性を有する粉体塗料、が開示されている。
特許文献5には、エポキシ当量500〜2500g/eqのビスフェノールA及び/又はビスフェノールFの骨格を有するエポキシ樹脂(A)と、フェノール系硬化剤(B)とを含む粉体塗料組成物であって、フェノール系硬化剤(B)は、軟化点が70〜120℃であり、両末端にビスフェノールF骨格を有し、フェノール性水酸基当量が300〜800g/eqであり、フェノール成分がビスフェノールF又はビスフェノールAとビスフェノールFの骨格である粉体塗料組成物、が開示されている。
特開平11−193357号公報 特開平11−166133号公報 特開平11−140379号公報 特開平10−338823号公報 特開2000−109728号公報
本発明は、粉体粒子が樹脂被覆部を有しない場合に比べて、低温で焼き付けた場合でも平滑性に優れ十分な塗膜強度を有する塗膜を形成し、且つ保管性に優れる熱硬化性粉体塗料を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。
に係る発明は、
熱硬化性樹脂及びブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤を含む芯部と、
ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂を含み、前記芯部の表面を被覆する樹脂被覆部と、
を有し下記(1)乃至(4)を満たす粉体粒子、を含む熱硬化性粉体塗料。
(1)体積粒度分布指標GSDvが1.50以下である。
(2)平均円形度が0.96以上である。
(3)1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度が90℃以上115℃以下である。
(4)示差走査熱量測定において発熱ピークを80℃以上150℃以下の範囲に有する。
に係る発明は、
前記芯部がさらに、ビスマス系触媒及びスズ系触媒からなる群から選択される少なくとも一種を含む、に記載の熱硬化性粉体塗料。
に係る発明は、
前記ビスマス系触媒及び前記スズ系触媒の総含有量が、前記粉体粒子全体に対して0.3質量%以上5質量%以下である、に記載の熱硬化性粉体塗料。
に係る発明は、
前記芯部に含まれる前記熱硬化性樹脂、及び前記樹脂被覆部に含まれる前記ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂が、熱硬化性ポリエステル樹脂である、のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
に係る発明は、
前記粉体粒子がアルミニウムイオンを含む、のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
に係る発明は、
前記アルミニウムイオンの含有量が、前記粉体粒子全体に対して0.002質量%以上0.2質量%以下である、に記載の熱硬化性粉体塗料。
に係る発明は、
前記粉体粒子が、
熱硬化性樹脂及びブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤を含む複合粒子が分散された分散液中で、前記複合粒子を凝集して、前記芯部となる第1凝集粒子を形成する工程と、
前記第1凝集粒子が分散された分散液と、ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子が分散された分散液とを混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記樹脂粒子を凝集して、前記樹脂被覆部となる前記樹脂粒子が前記第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する工程と、
前記第2凝集粒子が分散された分散液に対して加熱して、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程と、
を経て得られたものである、のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
に係る発明は、
熱硬化性樹脂及びブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤を含む複合粒子が分散された分散液中で、前記複合粒子を凝集して、前記芯部となる第1凝集粒子を形成する工程と、
前記第1凝集粒子が分散された分散液と、ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子が分散された分散液とを混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記樹脂粒子を凝集して、前記樹脂被覆部となる前記樹脂粒子が前記第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する工程と、
前記第2凝集粒子が分散された分散液に対して加熱して、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程と、
を含む粉体粒子を製造する工程を有する、のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料の製造方法。
に係る発明は、
のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装された塗装品。
10に係る発明は、
のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装する塗装品の製造方法。
11に係る発明は、
加熱温度150℃以下で焼き付けることを含む、10に記載の塗装品の製造方法。
又はに係る発明によれば、粉体粒子が樹脂被覆部を有しない場合、樹脂被覆部に含まれる熱硬化性樹脂のガラス転移温度が45℃に満たない場合、粉体粒子が前記(1)を満たさない場合、粉体粒子が前記(2)を満たさない場合、粉体粒子が前記(3)を満たさない場合、及び粉体粒子が前記(4)を満たさない場合に比べて、低温で焼き付けた場合でも平滑性に優れ十分な塗膜強度を有する塗膜を形成し、且つ保管性に優れる熱硬化性粉体塗料が提供される。
又はに係る発明は、ビスマス系触媒及びスズ系触媒からなる群から選択される少なくとも一種を含まない場合に比べて、塗膜強度に優れた熱硬化性粉体塗料が提供される。
又はに係る発明によれば、アルミニウムイオンを含まない場合に比べて、保管性に優れる熱硬化性粉体塗料が提供される。
に係る発明によれば、混練粉砕法で製造した粉体粒子を含む場合に比べて、低温で焼き付けた場合でも平滑性に優れ十分な塗膜強度を有する塗膜を形成し、且つ保管性に優れる熱硬化性粉体塗料が提供される。
に係る発明によれば、混練粉砕法に比べて、低温で焼き付けた場合でも平滑性に優れ十分な塗膜強度を有する塗膜を形成し、且つ保管性に優れる熱硬化性粉体塗料の製造が容易な製造方法が提供される。
10又は11に係る発明によれば、粉体粒子が樹脂被覆部を有しない場合、樹脂被覆部に含まれる熱硬化性樹脂のガラス転移温度が45℃に満たない場合、粉体粒子が前記(1)を満たさない場合、粉体粒子が前記(2)を満たさない場合、粉体粒子が前記(3)を満たさない場合、及び粉体粒子が前記(4)を満たさない場合に比べて、低温で焼き付けた場合でも塗膜の平滑性に優れ十分な塗膜強度を有する塗装品又は塗装品の製造方法が提供される。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
<熱硬化性粉体塗料>
本実施形態に係る熱硬化性粉体塗料(以下、「粉体塗料」とも称する)は、熱硬化性樹脂及びブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤を含む芯部と、ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂を含み、前記芯部の表面を被覆する樹脂被覆部と、を有し下記(1)乃至(4)を満たす粉体粒子、を含む。
(1)体積粒度分布指標GSDvが1.50以下である。
(2)平均円形度が0.96以上である。
(3)1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度が90℃以上115℃以下である。
(4)示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry;DSC)において発熱ピークを80℃以上150℃以下の範囲に有する。
以下、1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度を、単に「溶融温度」と言うことがある。
本実施形態に係る粉体塗料は、上記構成により、低温(例えば150℃以下、好ましくは130℃以下)で焼き付けた場合でも平滑性に優れ十分な塗膜強度を有する塗膜を形成し、且つ保管性に優れる。この理由は以下に示す理由によるものと推測される。
粉体塗料による塗装では、粉体塗料を構成する粉体粒子の粒度分布が広かったり(即ち、粗粉及び微粉が多く含まれている)、粉体粒子が異形状であったりするほど、粉体塗料の加熱(焼付け)によって形成される塗膜の平滑性が低くなる傾向がある。この理由として、以下に示すメカニズムが推測される。
・粉体粒子の粗粉が多いと、粗粉に起因して塗膜の表面に凹凸が形成され、平滑性の低い塗膜となりやすい。
・粉体粒子の微粉が多いと、粉体粒子の流動性が低下し、また粉体粒子同士の凝集(ブロッキング)が発生しやすくなるため、平滑性の低い塗膜となりやすい。
・粉体粒子が異形状であると、粉体粒子の流動性が低下し、また粉体粒子同士の凝集が発生しやすくなるため、平滑性の低い塗膜となりやすい。さらに、粉体粒子が異形状であると、被塗装面上に付着したとき、粉体粒子間の空隙が多くなり、これに起因して加熱後に塗膜の表面に凹凸が形成され、平滑性の低い塗膜となりやすい。
そこで、本実施形態に係る粉体塗料では、粉体粒子の体積粒度分布指標GSDvを1.50以下とし、且つ粉体粒子の平均円形度を0.96以上とする。つまり、粉体粒子の粒度分布を狭くし、粗粉及び微粉を少ない状態とし、且つ粉体粒子の形状を球状に近い形状とし、これらによって前述の事象を抑制し塗膜の平滑性を良化する。
さらに、本実施形態に係る粉体塗料では、粉体塗料を構成する粉体粒子の、1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度を90℃以上115℃以下とする。
粉体粒子の溶融温度が115℃以下であることにより、低温で焼き付けた場合でも、粉体粒子の溶融が速やかに起こり、また粉体粒子の流動性がよく、その結果、形成される塗膜の平滑性に優れ、かつ反応の進行と共に優れた塗膜強度を得ることが可能となる。
一方、粉体粒子の溶融温度が90℃以上であることにより、塗料粉体の輸送時の保管性が向上し、また、焼き付けの際の塗料の“たれ”を抑制できる。
さらに、本実施形態に係る粉体塗料では、粉体塗料を構成する粉体粒子が、DSCにおいて発熱ピークを80℃以上150℃以下の範囲に有する。
DSCにおいて発熱ピークが上記温度範囲にあることは、粉体塗料に含まれる熱硬化剤が有するブロック化イソシアネート基において、ブロック剤が解離し活性イソシアネート基の再生が上記温度範囲で起こることを意味する。そのため、本実施形態に係る粉体塗料は、低温で焼き付けた場合でも熱硬化反応が円滑に起こり、その結果、形成される塗膜の平滑性に優れる。
したがって、本実施形態に係る粉体塗料は、低温で焼き付けた場合でも、平滑性に優れ且つ十分な塗膜強度を有する塗膜を形成する。
一方で、粉体粒子の溶融温度が115℃以下であると、その粉体粒子においては、内包物(熱硬化剤、着色剤、レベリング剤、難燃剤等)が表面に析出する現象(以下「ブリード」とも称する)が発生しやすい。ブリードが生じると、粉体粒子同士の凝集(ブロッキング)が生じ、粉体塗料の保管性が低下する。
そこで、本実施形態に係る粉体塗料では、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む粒子(つまり粉体塗料として機能する粒子)を芯部とし、この芯部の表面に、ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂を含む樹脂被覆部を設ける。かかる粉体塗料においては、樹脂被覆部が隔壁となり、芯部に含まれる内包物が粉体粒子の表面へブリードすることを抑えるので、粉体粒子同士の凝集が抑制され、粉体塗料の保管性がよい。
さらに、本実施形態に係る粉体塗料では、樹脂被覆部が含む熱硬化性樹脂のガラス転移温度を45℃以上とする。即ち、粉体粒子の表面を構成する熱硬化性樹脂のガラス転移温度が45℃以上であり、これによって、比較的高温で保管された場合においても、粉体粒子同士の凝集が抑制され粉体塗料の保管性が向上する。
以上のメカニズムによって、本実施形態に係る粉体塗料は、低温で焼き付けた場合でも平滑性に優れ十分な塗膜強度を有する塗膜を形成し、且つ保管性に優れると推測される。
以下、本実施形態に係る粉体塗料の詳細について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子に着色剤を含まない透明粉体塗料(クリア塗料)、及び粉体粒子に着色剤を含む着色粉体塗料のいずれであってもよい。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を含み、さらに、粉体粒子の表面に付着する外部添加剤を含んでいてもよい。本実施形態に係る粉体塗料は、流動性を高める観点で、粉体粒子の表面に付着する外部添加剤を有することが望ましい。
[粉体粒子]
粉体粒子は、芯部と、芯部の表面を被覆する樹脂被覆部と、を有する。つまり、粉体粒子は、コア/シェル構造を有する粒子である。
[粉体粒子の特性]
粉体粒子の体積平均粒径D50vは、塗膜の平滑性の観点で、1μm以上25μm以下が好ましく、2μm以上20μm以下がより好ましく、2μm以上15μm以下が更に好ましく、3μm以上10μm以下が更に好ましい。
粉体粒子の体積粒度分布指標GSDvは、塗膜の平滑性及び粉体塗料の保管性の観点で、1.50以下であり、1.40以下がより好ましく、1.30以下が更に好ましい。
粉体粒子の平均円形度は、塗膜の平滑性の観点で、0.96以上であり、0.97以上がより好ましく、0.98以上が更に好ましい。
粉体粒子の体積平均粒径D50v、及び体積粒度分布指標GSDvは、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積84%となる粒径を体積粒径D84vと定義する。体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として算出される。
粉体粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA−3000)を用いて測定される。具体的には、予め不純固形物を除去した水100ml以上150ml以下の中に、分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1ml以上0.5ml以下加え、ここに測定試料を0.1g以上0.5g以下加える。測定試料を分散した懸濁液は超音波分散器で1分間以上3分間以下分散処理を行ない、分散液濃度を3000個/μl以上1万個/μl以下とする。この分散液に対して、フロー式粒子像分析装置を用いて、粉体粒子の平均円形度を測定する。
粉体粒子の平均円形度は、粉体粒子について測定されたn個の各粒子の円形度(Ci)を求め、下記式により算出される値である。下記式中、Ciは、円形度(=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長)を示し、fiは、粉体粒子の頻度を示す。
粉体粒子の1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度は、低温で焼き付けた場合でも平滑性に優れる塗膜を形成する観点で、90℃以上115℃以下であり、95℃以上110℃以下がより好ましく、100℃以上105℃以下が更に好ましい。
粉体粒子の1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度は、島津製作所製フローテスターCFT−500を用いて測定する。測定用の試料には、粉体粒子を圧縮固化してペレット状にしたものを1050mg用いる。測定は、荷重10kgf、65℃から150℃まで昇温速度1℃/minで昇温、ダイ口径0.5mm、ダイ長さ1.0mmの条件で行う。1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度は、試料が溶融流出する流出開始温度と流出終了温度の中点の温度である。
粉体粒子は、低温で焼き付けた場合でも熱硬化した塗膜を形成する観点で、DSCにおいて発熱ピークを80℃以上150℃以下の範囲に有する。粉体粒子は、該発熱ピークを85℃以上140℃以下の範囲に有することがより好ましく、90℃以上130℃以下の範囲に有することが更に好ましい。
DSCにおける発熱ピークは、具体的には、島津製作所製DSC−60Aを用いて、−10℃から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温して測定を行い、DSC曲線を得て決定する。測定用の試料には、粉体粒子を粉体のまま、10mg用いる。
[芯部]
芯部は、熱硬化性樹脂と、ブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤と、を含む。芯部は、着色剤等のその他添加剤を含んでいてもよい。
−熱硬化性樹脂−
熱硬化性樹脂は、熱硬化反応性基を有する樹脂である。熱硬化性樹脂としては、従来、粉体塗料の粉体粒子で使用する様々な種類の樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。熱硬化性樹脂として非水溶性(疎水性)の樹脂を適用すると、粉体塗料(粉体粒子)の帯電特性の環境依存性が低減される。また、粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、水性媒体中で乳化分散を実現する点からも、熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。非水溶性(疎水性)とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が5質量部未満であることを意味する。
芯部に含まれる熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱硬化性(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、熱硬化性ポリエステル樹脂がより好ましい。
・熱硬化性ポリエステル樹脂
熱硬化性ポリエステル樹脂は、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを少なくとも重縮合した重縮合体である。熱硬化性ポリエステル樹脂の硬化反応性基の導入は、多塩基酸と多価アルコールとの使用量を調整することにより行う。この調整により、硬化反応性基として、カルボキシル基及び水酸基の少なくとも一方を有する熱硬化性ポリエステル樹脂が得られる。硬化反応性基としては、活性水素基を有する基が好ましく、本実施形態における熱硬化性ポリエステル樹脂としては、水酸基を分子中(好ましくは分子末端)に有する樹脂が好ましい。
多塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、これら酸の無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、これら酸の無水物;マレイン酸、イタコン酸、これら酸の無水物;フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、これら酸の無水物;シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸;等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビス−ヒドロキシエチルテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール、オクタンジオール、ジエチルプロパンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート等が挙げられる。
熱硬化性ポリエステル樹脂は、多塩基酸及び多価アルコール以外の他の単量体が重縮合されていてもよい。
他の単量体としては、例えば、一分子中にカルボキシル基と水酸基とを併せ有する化合物(例えば、ジメタノールプロピオン酸、ヒドロキシピバレート等)、モノエポキシ化合物(例えば、「カージュラE10(シェル社製)」等の分岐脂肪族カルボン酸のグリシジルエステル)など)、種々の1価アルコール(例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等)、種々の1価の塩基酸(例えば、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸等)、種々の脂肪酸(例えば、ひまし油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸の等)等が挙げられる。
熱硬化性ポリエステル樹脂の構造は、分岐構造のものでも、線状構造のものでもよい。
・熱硬化性(メタ)アクリル樹脂
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂は、熱硬化反応性基を有する(メタ)アクリル樹脂である。熱硬化性(メタ)アクリル樹脂への熱硬化反応性基の導入は、熱硬化反応性基を有するビニル単量体を用いることがよい。熱硬化反応性基を有するビニル単量体は、(メタ)アクリル単量体((メタ)アクリロイル基を有する単量体)であってもよいし、(メタ)アクリル単量体以外のビニル単量体であってもよい。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂の熱硬化反応性基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基などが挙げられる。熱硬化反応性基としては、活性水素基を有する基が好ましく、本実施形態における熱硬化性(メタ)アクリル樹脂としては、カルボキシル基及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種を分子中に有する樹脂が好ましく、水酸基を分子中に有する樹脂がより好ましい。
硬化性反応性基としてカルボキシル基を有するビニル単量体としては、例えば、各種のカルボキシル基含有単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等)、各種のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのモノエステル類(例えば、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノイソブチル、フマル酸モノtert−ブチル、フマル酸モノヘキシル、フマル酸モノオクチル、フマル酸モノ2−エチルヘキシル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノイソブチル、マレイン酸モノtert−ブチル、マレイン酸モノヘキシル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2−エチルヘキシル等)、各種のイタコン酸モノアルキルエステル(例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノイソブチル、イタコン酸モノヘキシル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル等)などが挙げられる。
硬化性反応性基として水酸基を有するビニル単量体としては、例えば、各種の水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等)、上記各種の水酸基含有(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの付加反応生成物、各種の水酸基含有ビニルエーテル(例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等)、上記各種の水酸基含有ビニルエーテルとε−カプロラクトンとの付加反応生成物、各種の水酸基含有アリルエーテル(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アリルエーテル、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アリルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテル等)、上記各種の水酸基含有アリルエーテルとε−カプロラクトンとの付加反応生成物などが挙げられる。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂の構成単位となる硬化性反応性基を有しない(メタ)アクリル単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等)、各種の(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等)、各種のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート(例えば、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等)、他の各種の(メタ)アクリル酸エステル(例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等)、各種のアミノ基含有アミド系不飽和単量体(例えば、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、各種のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)、各種のアミノ基含有単量体(例えば、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピペリジニルエチル(メタ)アクリレート等)などが挙げられる。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル単量体以外にも、硬化反応性基を有しない他のビニル単量体が共重合されていてもよい。
他のビニル単量体としては、各種のα−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1等)、フルオロオレフィンを除く各種のハロゲン化オレフィン(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、各種の芳香族ビニル単量体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等)、各種の不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのジエステル(例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチル等)、各種の酸無水基含有単量体(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水(メタ)アクリル酸、無水テトラヒドロフタル酸等)、各種のリン酸ステル基含有単量体(例えば、ジエチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフォスフェート、ジオクチル−2−(メアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等)、各種の加水分解性シリル基含有単量体(例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、各種の脂肪族カルボン酸ビニル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、炭素原子数9以上11以下の分岐状脂肪族カルボン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等)、環状構造を有するカルボン酸の各種のビニルエステル(例えば、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−tert−ブチル安息香酸ビニル等)などが挙げられる。
熱硬化性ポリエステル樹脂としては、活性水素基の量が2.5×10−4mol/g以上1.5×10−3mol/g以下で且つ数平均分子量が3500以上7000以下であることが好ましく、活性水素基の量が3.5×10−4mol/g以上9.0×10−4mol/g以下で且つ数平均分子量が4000以上6000以下であることがより好ましい。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂としては、活性水素基の量が2.5×10−4mol/g以上1.5×10−3mol/g以下で且つ数平均分子量が3500以上7000以下であることが好ましく、活性水素基の量が3.5×10−4mol/g以上9.0×10−4mol/g以下で且つ数平均分子量が4000以上6000以下であることがより好ましい。
熱硬化性ポリエステル樹脂および熱硬化性(メタ)アクリル樹脂において、活性水素基の量が上記範囲内で且つ数平均分子量が上記範囲内であると、粉体粒子の溶融温度を90℃以上115℃以下の範囲に制御しやすい。
熱硬化性樹脂の活性水素基の量は、JIS K2501の規格に基づく電位差滴定など通常の中和試験法によって測定する。
熱硬化性樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
芯部に含まれる熱硬化性樹脂は、低温で焼き付けた場合でも塗膜の平滑性に優れる点で、ガラス転移温度(Tg)が60℃以下であることが好ましく、57℃以下であることがより好ましく、55℃以下であることが更に好ましい。
熱硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求める。具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求める。
熱硬化性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
芯部の熱硬化性樹脂の含有量は、20質量%以上99質量%以下が好ましく、30質量%以上95質量%以下が好ましい。
−その他の樹脂−
芯部は、非硬化性樹脂を含んでいてもよい。但し、芯部において全樹脂に占める非硬化性樹脂の割合は、塗膜の硬化密度(架橋密度)向上の点で、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、実質的に含まれていないことが好ましく、芯部に含まれる樹脂は熱硬化性樹脂のみであることが好ましい。
芯部が非硬化性樹脂を含む場合、非硬化性樹脂としては、ポリエステル樹脂及び(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
−ブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤−
本実施形態において、ブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤には、ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する化合物、及びウレトジオン結合型イソシアネート化合物が含まれる。
ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する化合物としては、80℃以上150℃以下の温度範囲でブロック剤が解離し活性イソシアネート基の再生が起こる化合物が好ましい。
また、ウレトジオン結合型イソシアネート化合物としては、80℃以上150℃以下の温度範囲でウレトジオン基が解離し活性イソシアネート基の再生が起こる化合物が好ましい。
ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する化合物を構成するイソシアネート化合物としては、有機ジイソシアネート、有機ジイソシアネートの重合体(イソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物をも含む)、有機ジイソシアネートの多価アルコール付加物、有機ジイソシアネートの低分子量ポリエステル樹脂(例えば、ポリエステルポリオール)付加物、有機ジイソシアネートの水付加物等が挙げられる。ここで、有機ジイソシアネートとしては、各種の脂肪族ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、各種の環状脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等)、各種の芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等)などが挙げられる。
イソシアネート基のブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトオキシム、イプシロンカプロラクタム、3,5−ジメチルピラゾール、ジエチルマロネート等が挙げられる。
上記の中でも、ブロック剤で保護されたイソシアネート基を有する化合物としては、各種のイソシアネート化合物をオキシム化合物でブロック化した化合物(「オキシム系ブロックイソシアネート化合物」と言う)が好ましい。
オキシム系ブロックイソシアネート化合物としては、具体的には、イソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート、ブロック剤としてメチルエチルケトオキシムを含む化合物が好ましい。
ウレトジオン結合型イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネートとポリアルコールとから誘導されるアダクト体等が好ましい。
ブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤の市販品としては、例えば、エボニック社製のVESTANAT B1358、VESTAGON BF1540、VESTAGON EP−BF9030、住化バイエルウレタン社製のデスモジュールBL4265SN等が挙げられる。
ブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤の含有量は、芯部の熱硬化性樹脂に対して、10質量%以上40質量%以下が好ましく、15質量%以上25質量%以下が好ましい。
−その他の熱硬化剤−
芯部は、ブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤以外のその他の熱硬化剤を含んでいてもよい。但し、芯部において全熱硬化剤に占めるその他の熱硬化剤の割合は、低温で焼き付けた場合でも塗膜の平滑性に優れる点で、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、実質的に含まれていないことが好ましく、芯部に含まれる熱硬化剤はブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤のみであることが好ましい。
芯部がその他の熱硬化剤を含む場合、その他の熱硬化剤は、熱硬化性樹脂の硬化反応性基の種類に応じて選択する。その他の熱硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂の硬化反応性基がカルボキシル基の場合、熱硬化剤としては、例えば、種々のエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAのポリグリシジルエーテル等)、エポキシ基含有アクリル樹脂(例えば、グリシジル基含有アクリル樹脂等)、種々の多価アルコールのポリグリシジルエーテル(例えば、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等)、種々の多価カルボン酸のポリグリシジルエステル(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)、種々の脂環式エポキシ基含有化合物(例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアジペート等)、ヒドロキシアミド(例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、β−ヒドロキシアルキルアミド等)などが挙げられる。
熱硬化性樹脂の硬化反応性基が水酸基の場合、熱硬化剤としては、例えば、アミノプラスト等が挙げられる。
−ビスマス系触媒、スズ系触媒−
芯部は、熱硬化反応を促進する触媒として、ビスマス系触媒及びスズ系触媒からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。該触媒を含むことにより、塗膜を形成するための加熱時間(焼付時間)を短縮することができる。また、該触媒を含むことにより、塗膜の硬化密度(架橋密度)が向上し、傷が付いたり溶剤が接触したりした場合に塗膜の剥がれ等の損傷が発生しにくい強度に優れた塗膜が形成される。
ビスマス系触媒としては、例えば、楠本化成製のK−KAT XC−B221、K−KAT 348、K−KAT XK−640等が挙げられる。
スズ系触媒としては、例えば、日東化成製のネオスタンU−100、ネオスタンU−200、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製のUL−22等が挙げられる。
触媒としては、反応の安定性の観点で、スズ系触媒よりもビスマス系触媒が好ましい。
ビスマス系触媒及びスズ系触媒の総含有量は、粉体粒子全体に対して、0.3質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4質量%以下がより好ましい。
粉体粒子における触媒の含有量は、蛍光X線分析(X-ray fluorescence analysis;XRF)により測定される。具体的には、例えば、まず、樹脂と触媒とを混合し、触媒の濃度が既知の樹脂混合物を得る。この樹脂混合物200mgから、直径13mmの錠剤成形機を用いてペレットサンプルを得る。このペレットサンプルの質量を精秤し、ペレットサンプルの蛍光X線強度測定を行って、ピーク強度を求める。同様に、触媒の添加量を変更したペレットサンプルについても測定を行い、これらの結果から検量線を作成する。そして、この検量線を用いて、測定対象となる粉体粒子中の触媒の含有量を定量分析する。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、顔料が挙げられる。着色剤は、顔料と共に染料を併用してもよい。
顔料としては、例えば、酸化鉄(例えば、ベンガラ等)、酸化チタン、チタン黄、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、リトポン、酸化アンチモン、コバルトブルー、カーボンブラック等の無機顔料;キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ハンザイエロー、インダンスレンブルー、ブリリアントファーストスカーレット、ベンツイミダゾロンイエロー等の有機顔料;などが挙げられる。
顔料としては、その他、光輝性顔料も挙げられる。光輝性顔料としては、例えば、パール顔料、アルミニウム粉、ステンレス鋼粉等の金属粉;金属フレーク;ガラスビーズ;ガラスフレーク;雲母;リン片状酸化鉄(MIO);などが挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤の含有量は、顔料の種類、塗膜に求められる色彩、明度、及び深度等に応じて選択する。例えば、着色剤の含有量は、芯部及び樹脂被覆部の全樹脂に対して、1質量%以上70質量%以下が好ましく、2質量%以上60質量%以下が好ましい。
−その他添加剤−
その他添加剤としては、粉体塗料に使用される各種の添加剤が挙げられる。具体的には、その他添加剤としては、例えば、表面調整剤(シリコーンオイル、アクリルオリゴマー等)、発泡(ワキ)防止剤(例えば、ベンゾイン、ベンゾイン誘導体等)、硬化促進剤(アミン化合物、イミダゾール化合物、カチオン重合触媒等)、可塑剤、帯電制御剤、酸化防止剤、顔料分散剤、難燃剤、流動付与剤等が挙げられる。
[樹脂被覆部]
樹脂被覆部は、ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂を含む。樹脂被覆部は、該熱硬化性樹脂のみで構成されていてもよいし、その他の樹脂、及び他の添加剤(芯部で説明した熱硬化剤、その他添加剤等)を含んでいてもよい。樹脂被覆部は、粉体粒子表面のブリード発生を低減する点で、樹脂のみで構成されていることがよい。樹脂被覆部が他の添加剤を含む場合でも、樹脂が樹脂被覆部全体の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)を占めることがよい。さらに、樹脂被覆部は、粉体塗料の保管性を高める点で、ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂のみで構成されていることがよい。
−ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂−
ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂(以下「高Tg熱硬化性樹脂」と言うことがある)としては、従来、粉体塗料の粉体粒子で使用する様々な種類の樹脂が挙げられる。該熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。
高Tg熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱硬化性(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、熱硬化性ポリエステル樹脂がより好ましい。
熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱硬化性(メタ)アクリル樹脂の樹脂種としては、芯部の熱硬化性樹脂として挙げた樹脂種が例示される。樹脂被覆部の熱硬化性樹脂は、芯部の熱硬化性樹脂と同じ種類の樹脂であってもよいし、異なる種類の樹脂であってもよい。
熱硬化性樹脂のガラス転移温度の制御は、樹脂の主鎖中の、芳香環やシクロヘキサン環などの剛直な単位の密度によって可能である。即ち、主鎖中の芳香環やシクロヘキサン環などの密度が高いとガラス転移温度は高くなり、メチレン基、エチレン基、オキシエチレン基などの密度が高いとガラス転移温度は低下する。さらには脂肪族などの側鎖の密度を高めると、ガラス転移温度を低下させることになる。これらを考慮することによって、熱硬化性樹脂のガラス転移温度を制御可能である。
−その他の樹脂−
樹脂被覆部は、高Tg熱硬化性樹脂以外のその他の樹脂を含んでいてもよい。但し、樹脂被覆部において全樹脂に占めるその他の樹脂の割合は、粉体塗料の保管性を高める点で、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、実質的に含まれていないことが好ましい。樹脂被覆部に含まれる樹脂は、粉体塗料の保管性を高める点で、高Tg熱硬化性樹脂のみが好ましい。
その他の樹脂には、非硬化性樹脂および熱硬化性樹脂が含まれる。その他の樹脂は、塗膜の硬化密度(架橋密度)向上の点で、熱硬化性樹脂であることがよい。
熱硬化性樹脂としては、熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱硬化性(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱硬化性(メタ)アクリル樹脂の樹脂種としては、芯部の熱硬化性樹脂として挙げた樹脂種が例示される。樹脂被覆部の熱硬化性樹脂は、芯部の熱硬化性樹脂と同じ種類の樹脂であってもよいし、異なる種類の樹脂であってもよい。
非硬化性樹脂としては、ポリエステル樹脂及び(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
粉体粒子表面における樹脂被覆部の被覆率は、粉体粒子表面のブリード発生を抑制する点で、30%以上100%以下が好ましく、50%以上100%以下がより好ましい。
粉体粒子表面における樹脂被覆部の被覆率は、X線光電子分光(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により求められる。具体的には、XPSは、測定装置として日本電子社製JPS−9000MXを用い、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施する。
上記条件で得られたスペクトルから、粉体粒子表面の芯部の材料に起因する成分と被覆樹脂部の材料に起因する成分とをピーク分離することによって、樹脂被覆部の被覆率を定量する。ピーク分離は、測定されたスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。ピーク分離のベースとなる成分スペクトルは、粉体粒子の作製に用いた、芯部の樹脂、硬化剤、顔料、添加剤、樹脂被覆部の樹脂を単独に測定して得られたスペクトルを用いる。そして、全スペクトル強度の総和に対する樹脂被覆部の樹脂に起因するスペクトル強度の比率から、被覆率を求める。
樹脂被覆部の厚さは、粉体粒子表面のブリード発生を抑制する点で、0.2μm以上4μm以下が好ましく、0.3μm以上3μm以下がより好ましい。
樹脂被覆部の厚さは、次の方法により測定される値である。粉体粒子をエポキシ樹脂等に包埋し、ダイヤモンドナイフ等で切削することで薄切片を作製する。この薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)等で観察し、複数の粉体粒子の断面画像を撮影する。粉体粒子の断面画像から樹脂被覆部の厚さを20か所測定して、その平均値を採用する。クリア塗料などの断面画像において樹脂被覆部と芯部との区別が難しい場合は、染色を行って観察することで、測定を容易にすることもできる。
粉体粒子の全熱硬化性樹脂の含有量は、粉体粒子全体に対して、20質量%以上99質量%以下が好ましく、30質量%以上95質量%以下が好ましい。
粉体粒子の全熱硬化剤の含有量は、粉体粒子全体の全熱硬化性樹脂に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上20質量%以下が好ましい。
[アルミニウムイオン]
粉体粒子は、粉体塗料の保管性を向上させる観点で、アルミニウムイオンを含むことが好ましい。金属イオンは一般的に価数が高いほど、網目状のイオン架橋を形成しやすく、粉体塗料の保管性の点で好適である。このため粉体粒子は、3価以上の金属イオンを含むことが好ましく、該金属イオンとしてアルミニウムイオンが好ましい。
アルミニウムイオンは、粉体粒子の芯部及び樹脂被覆部のいずれに含まれていてもよい。アルミニウムイオンは、粉体粒子に含まれる樹脂が有するカルボキシル基又は水酸基と相互作用しイオン架橋を形成する。このイオン架橋により、粉体粒子表面への各種成分のブリードが抑制され、粉体塗料の保管性が向上する。このイオン架橋は、熱硬化をする際の加熱により、イオン架橋の結合が切れるので、アルミニウムイオンが含まれていても粉体粒子の溶融粘度を高めることはなく、塗膜の平滑性を低下させる懸念がない。
アルミニウムイオンの供給源(粉体粒子に添加剤として含ませる化合物)としては、例えば、アルミニウム塩、アルミニウム塩重合体、アルミニウム錯体等が挙げられる。中でも、粉体塗料の保管性及び塗膜の平滑性の点で、アルミニウム塩重合体が好ましい。
アルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。アルミニウム塩重合体としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等が挙げられる。アルミニウム錯体としては、例えば、アミノカルボン酸のアルミニウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、エチレンジアミン4酢酸、プロパンジアミン4酢酸、ニトリル3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸等の公知のキレートをベースにしたアルミニウム塩が挙げられる。
アルミニウムイオンの供給源となる化合物は、例えば、粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤として粉体粒子に添加する。ほかに、例えば、熱硬化反応を促進する触媒として粉体粒子に添加したり、ほかの用途の添加剤として添加したりする。
アルミニウムイオンの含有量は、粉体塗料の保管性及び塗膜の平滑性の点で、粉体粒子全体に対して0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。
アルミニウムイオンの含有量を0.002質量%以上とすると、アルミニウムイオンによるイオン架橋が適度に形成され、粉体粒子表面のブリード発生を抑え、塗装塗料の保管性が高まる。一方、アルミニウムイオンの含有量を0.2質量%以下とすると、アルミニウムイオンによるイオン架橋の過剰な形成が起らず、塗膜の平滑性に優れる。
[金属イオン]
粉体粒子は、アルミニウムイオンに限らず金属イオンを含有していてよい。粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤として添加される金属イオンの供給源(例えば、金属塩、無機金属塩重合体、金属錯体)は、粉体粒子の粒度分布及び形状の制御に寄与する。
具体的には、金属イオンの価数は高いほど、狭い粒度分布を得る点で好適である。また、狭い粒度分布を得る点で、金属イオンの価数が同じであっても、金属塩に比べ、金属塩重合体が好適である。このため、これらの点からも、金属イオンの供給源としては、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましく、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が特に好ましい。
金属イオンの含有量は、0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。金属イオンの含有量が0.002質量%以上になるように凝集剤を添加すると、水性媒体中において樹脂を含む粒子の凝集が進行し、狭い粒度分布の実現に寄与する。また、芯部となる凝集粒子に対して、樹脂被覆部となる樹脂粒子の凝集が進行し、芯部表面全体に対する樹脂被覆部の形成の実現に寄与する。一方、金属イオンの含有量が0.2質量%以下になるように凝集剤を添加すると、凝集粒子中のイオン架橋の過剰な形成を抑え、融合合一するときに、生成される粉体粒子の形状が球状に近づきやすくなる。
粉体粒子における金属イオンの含有量は、蛍光X線分析(X-ray fluorescence analysis;XRF)により測定される。具体的には、例えば、まず、樹脂と金属イオンの供給源とを混合し、金属イオンの濃度が既知の樹脂混合物を得る。この樹脂混合物200mgから、直径13mmの錠剤成形機を用いてペレットサンプルを得る。このペレットサンプルの質量を精秤し、ペレットサンプルの蛍光X線強度測定を行って、ピーク強度を求める。同様に、金属イオンの供給源の添加量を変更したペレットサンプルについても測定を行い、これらの結果から検量線を作成する。そして、この検量線を用いて、測定対象となる粉体粒子中の金属イオンの含有量を定量分析する。
金属イオンの含有量の調整方法としては、例えば、1)金属イオンの供給源の添加量を調整する方法、2)粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集工程において、金属イオンの供給源として凝集剤(例えば、金属塩、無機金属塩重合体)を添加した後、凝集工程の最後にキレート剤(例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)等)を添加し、キレート剤と金属イオンとの錯体を形成させ、その後の洗浄工程等で形成された錯塩を除去して、金属イオンの含有量を調整する方法、等が挙げられる。
[外部添加剤]
外部添加剤は、粉体粒子間の凝集の発生を抑制する。外部添加剤の具体例としては、例えば、無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等の粒子が挙げられる。
外部添加剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば、疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。疎水化処理剤の量としては、例えば、無機粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部である。
外部添加剤の外添量としては、例えば、粉体粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
<粉体塗料の製造方法>
次に、本実施形態に係る粉体塗料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を製造後、必要に応じて、粉体粒子に対して、外部添加剤を外添することで得られる。
粉体粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。粉体粒子の製造方法としては、体積粒度分布指標GSDv及び平均円形度を前記範囲に容易に制御できる観点で、凝集合一法が好ましい。
具体的には、
熱硬化性樹脂及びブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤を含む複合粒子が分散された分散液中で、前記複合粒子を凝集して、第1凝集粒子を形成する工程と、
前記第1凝集粒子が分散された分散液と、ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子が分散された分散液とを混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記樹脂粒子を凝集して、前記樹脂粒子が前記第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する工程と、
前記第2凝集粒子が分散された分散液に対して加熱して、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程と、
を経て、粉体粒子を製造することが好ましい。
上記製造方法により製造された粉体粒子は、第1凝集粒子が融合合一した部分が芯部であり、第1凝集粒子の表面に付着した樹脂粒子が融合合一した部分が樹脂被覆部である。
以下、各工程の詳細について説明する。以下の説明では、着色剤を含む粉体粒子の製造方法について説明するが、着色剤は必要に応じて含有するものである。
−各分散液準備工程−
まず、凝集合一法で使用する各分散液を準備する。具体的には、熱硬化性樹脂及びブロック化イソシアネート基を有する熱硬化剤を含む複合粒子が分散された分散液(「複合粒子分散液」と称する)、着色剤が分散された着色剤分散液、ガラス転移温度が45℃以上である熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子が分散された分散液(「樹脂粒子分散液」と称する)を準備する。
以下、熱硬化性樹脂を「樹脂」と称し、熱硬化剤を「硬化剤」と称して説明する。
複合粒子分散液は、例えば、予め樹脂と硬化剤とを有機溶剤や80℃未満の加熱により混合した後、界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。溶剤を使用した場合、分散後に硬化剤と樹脂が硬化反応を起こさないような条件下で溶剤を除去することが望ましく、上記硬化反応が起こらない条件で除去可能な溶剤を選ぶことが望ましい。
上記の分散媒としては、例えば水性媒体が挙げられる。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤;が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂と硬化剤との混合物を分散媒に分散する方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂の種類によっては、例えば、転相乳化法を用いて樹脂と硬化剤との混合物を分散させてもよい。
転相乳化法とは、樹脂と硬化剤との混合物を、その樹脂及び硬化剤が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂と硬化剤との混合物を水媒体中に粒子状に分散する方法である。
具体的には、樹脂がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂を構成する単量体を加熱溶融し減圧下で重縮合させ、得られた重縮合体に溶剤(例えば、酢酸エチル等)を加え溶解し、さらに硬化剤を加えて溶解した後、さらに弱アルカリ性水溶液を加えながら攪拌し転相乳化することによって、ポリエステル樹脂と硬化剤との混合物(複合粒子)が分散された分散液を得ることが可能である。
樹脂がアクリル樹脂である場合、例えば、アクリル樹脂を構成する単量体中に硬化剤を溶解し、その溶解物を水性媒体に乳化し、水溶性開始剤及び連鎖移動剤を加え加熱し、ミニエマルジョン重合することによって、アクリル樹脂と硬化剤との混合物(複合粒子)が分散された分散液を得ることが可能である。
複合粒子分散液において、複合粒子の体積平均粒径は、例えば、1μm以下がよく、0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μmが更に好ましい。
なお、分散液中の粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を描き、全粒子に対して体積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
複合粒子分散液に含まれる複合粒子の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
複合粒子分散液の調製方法と同様にして、樹脂粒子分散液および着色剤分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液および着色剤分散液の、分散媒、界面活性剤、分散方法、粒子の体積平均粒径、及び粒子含有量は、複合粒子分散液のそれらと同様である。
−第1凝集粒子形成工程−
次に、複合粒子分散液と、着色剤分散液と、を混合する。そして、混合分散液中で、複合粒子分散液と着色剤とをヘテロ凝集させ目的とする粉体粒子の径に近い径を有する、複合粒子分散液と着色剤とを含む第1凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、複合粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、樹脂のガラス転移温度−30℃以上且つガラス転移温度−10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、第1凝集粒子を形成する。
第1凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、金属塩、金属塩重合体、及び金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集終了後、凝集剤の金属イオンと錯体又は類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。このキレート剤の添加により、凝集剤を過剰に添加した場合、粉体粒子の金属イオンの含有量の調整が実現される。
凝集剤としての金属塩、金属塩重合体、及び金属錯体は、粉体塗料に含まれる金属イオンの供給源となる。金属塩、金属塩重合体、及び金属錯体の例示は、既述の通りである。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤が挙げられる。キレート剤として、具体的には、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、例えば、複合粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
−第2凝集粒子形成工程−
次に、得られた第1凝集粒子が分散された分散液(「第1凝集粒子分散液」と称する)と、樹脂粒子分散液とを混合する。
そして、第1凝集粒子及び樹脂粒子が分散された混合分散液中で、第1凝集粒子の表面に樹脂粒子を付着するように凝集して、第1凝集粒子の表面に樹脂粒子が付着した第2凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、第1凝集粒子形成工程において、第1凝集粒子が目的とする粒径に達したときに、第1凝集粒子分散液に、樹脂粒子分散液を混合し、この混合分散液に対して、樹脂粒子のガラス転移温度以下で加熱を行う。そして、混合分散液のpHを、例えば6.5以上8.5以下程度の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。これにより、第1凝集粒子の表面に樹脂粒子が付着するようにして凝集した第2凝集粒子が得られる。
−融合合一工程−
次に、第2凝集粒子が分散された分散液(「第2凝集粒子分散液」と称する)に対して、例えば、複合粒子に含まれる樹脂及び樹脂粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度以上(例えば、ガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、第2凝集粒子を融合合一し、粉体粒子を形成する。
以上の工程を経て、粉体粒子が得られる。
融合合一工程の終了後、分散液中に形成された粉体粒子に対して、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を施し、乾燥した状態の粉体粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点で、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点で、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点で、凍結乾燥、気流式乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
本実施形態に係る粉体塗料は、必要に応じて、得られた乾燥状態の粉体粒子に、外部添加剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディーゲミキサー等によって行う。さらに、必要に応じて、振動師分機、風力師分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<塗装品/塗装品の製造方法>
本実施形態に係る塗装品は、本実施形態に係る粉体塗料により塗装された塗装品である。そして、本実施形態に係る塗装品の製造方法は、本実施形態に係る粉体塗料により塗装する塗装品の製造方法である。
具体的には、塗装品は、被塗装面に粉体塗料を塗装した後、加熱(焼き付け)して粉体塗料を硬化させた塗膜を形成することにより得られる。粉体塗料の塗装、及び加熱(焼き付け)は、一括して行ってもよい。
粉体塗料の塗装は、静電粉体塗装、摩擦帯電粉体塗装、流動浸漬等の周知の塗装方法を利用する。
本実施形態に係る粉体塗料によれば、加熱温度(焼付温度)を150℃以下にしても平滑性に優れた塗膜が形成される。もちろん、加熱温度(焼付温度)は150℃以上でも構わない。加熱温度(焼付温度)は、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、150℃以下が更に好ましく、140℃以下が更に好ましく、130℃以下が更に好ましく、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、120℃以上が更に好ましい。
加熱時間(焼付時間)は、加熱温度(焼付温度)に応じて調節する。加熱時間(焼付時間)は、20分間以上が好ましく、30分間以上がより好ましく、60分間以下が好ましく、40分間以下がより好ましい。
塗膜の膜厚は、例えば20μm以上50μm以下である。
粉体塗料を塗装する対象物品は、特に、制限はなく、各種の金属部品、セラミック部品、樹脂部品等が挙げられる。これら対象物品は、板状品、線状品等の各物品への成形前の未成形品であってもよいし、電子部品用、道路車両用、建築内外装資材用等に成形された成形品であってもよい。また、対象物品は、被塗装面に、予め、プライマー処理、めっき処理、電着塗装等の表面処理が施された物品であってもよい。
以下、実施例により本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<着色剤分散液の調製>
[着色剤分散液(C1)の調製]
・シアン顔料(銅フタロシアニン、大日精化工業製のC. I. Pigment Blue 15:3)
:100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製ネオゲンRK): 15部
・イオン交換水 :285部
上記の材料を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン製HJP30006)を用いて1時間分散して、着色剤分散液(C1)を調製した。着色剤分散液(C1)は、シアン顔料の体積平均粒径が0.13μm、固形分濃度が25質量%であった。
[着色剤分散液(M1)の調製]
シアン顔料をマゼンタ顔料(キナクリドン系顔料、大日精化工業製のクロモファインマゼンタ6887)に変更した以外は着色剤分散液(C1)の調製と同様にして、着色剤分散液(M1)を調製した。着色剤分散液(M1)は、マゼンタ顔料の体積平均粒径が0.14μm、固形分濃度が25質量%であった。
[着色剤分散液(M2)の調製]
シアン顔料をマゼンタ顔料(DIC製のFastogen Super Red 7100Y-E)に変更した以外は着色剤分散液(C1)の調製と同様にして、着色剤分散液(M2)を調製した。着色剤分散液(M2)は、マゼンタ顔料の体積平均粒径が0.14μm、固形分濃度が25質量%であった。
[着色剤分散液(Y1)の調製]
シアン顔料をイエロー顔料(BASF社製のPaliotol Yellow D 1155)に変更した以外は着色剤分散液(C1)の調製と同様にして、着色剤分散液(Y1)を調製した。着色剤分散液(Y1)は、イエロー顔料の体積平均粒径が0.13μm、固形分濃度が25質量%であった。
[着色剤分散液(K1)の調製]
シアン顔料をブラック顔料(キャボット社製のRegal 330)に変更した以外は着色剤分散液(C1)の調製と同様にして、着色剤分散液(K1)を調製した。着色剤分散液(K1)は、ブラック顔料の体積平均粒径が0.11μm、固形分濃度が25質量%であった。
[着色剤分散液(W1)の調製]
・酸化チタン(石原産業製A−220) :100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製ネオゲンRK): 15部
・イオン交換水 :285部
上記の材料を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン製HJP30006)を用いて3時間分散して、着色剤分散液(W1)を調製した。着色剤分散液(W1)は、酸化チタンの体積平均粒径が0.25μm、固形分濃度が25質量%であった。
<熱硬化性ポリエステル樹脂の調製>
[熱硬化性ポリエステル樹脂(L1)の調製]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入口及び精留塔を備えた反応容器に下記の材料を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌を行いながら240℃に昇温し、重縮合反応を行った。
・テレフタル酸 :593部(80モル%)
・イソフタル酸 :148部(20モル%)
・エチレングリコール :121部(39モル%)
・ネオペンチルグルコール :312部(61モル%)
・ジ−n−ブチル錫オキサイド:0.5部
得られた熱硬化性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度38℃、酸価(Av)12mgKOH/g、水酸基価(OHv)40mgKOH/g、重量平均分子量8000、数平均分子量3500であった。
[熱硬化性ポリエステル樹脂(L2)の調製]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入口及び精留塔を備えた反応容器に下記の材料を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌を行いながら240℃に昇温し、重縮合反応を行った。
・イソフタル酸 :741部(100モル%)
・エチレングリコール :121部(39モル%)
・ネオペンチルグルコール :312部(61モル%)
・ジ−n−ブチル錫オキサイド:0.5部
得られた熱硬化性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度44℃、酸価(Av)11mgKOH/g、水酸基価(OHv)38mgKOH/g、重量平均分子量12000、数平均分子量5500であった。
[熱硬化性ポリエステル樹脂(H1)の調製]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入口及び精留塔を備えた反応容器に下記の材料を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌を行いながら240℃に昇温し、重縮合反応を行った。
・テレフタル酸 :742部(100モル%)
・ネオペンチルグリコール :312部(62モル%)
・エチレングリコール :59.4部(20モル%)
・グリセリン :90部(18モル%)
・ジ−n−ブチル錫オキサイド:0.5部
得られた熱硬化性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度55℃、酸価(Av)8mgKOH/g、水酸基価(OHv)70mgKOH/g、重量平均分子量26000、数平均分子量8000であった。
[熱硬化性ポリエステル樹脂(H2)の調製]
攪拌機、温度計、窒素ガス導入口及び精留塔を備えた反応容器に下記の材料を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌を行いながら240℃に昇温し、重縮合反応を行った。
・テレフタル酸 :742部(100モル%)
・ネオペンチルグリコール :312部(62モル%)
・エチレングリコール :120部(38モル%)
・ジ−n−ブチル錫オキサイド:0.5部
得られた熱硬化性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度48℃、酸価(Av)11mgKOH/g、水酸基価(OHv)40mgKOH/g、重量平均分子量11000、数平均分子量4100であった。
<実施例C1:着色粉体塗料(C1)>
[複合粒子分散液(1)の調製]
コンデンサー、温度計、水滴下装置及びアンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180部とイソプロピルアルコール80部との混合溶剤を投入し、これに下記の材料を投入した。
・熱硬化性ポリエステル樹脂(L1) :240部
・熱硬化剤(オキシム系ブロックイソシアネート化合物、エボニック社製のVESTANAT B1358) :60部
・ビスマス系触媒(ビスマスカルボン酸塩化合物、楠本化成社製のK−KAT XK−640) :10部
・ベンゾイン :3部
・アクリルオリゴマー(BASF社製アクロナール4F):3部
上記材料の投入後、スリーワンモーターを用いて150rpmで攪拌を施し、材料を溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液1部と5質量%水酸化ナトリウム水溶液47部との混合液を5分間で滴下し、10分間混合した後、さらにイオン交換水900部を毎分5部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
得られた乳化液800部とイオン交換水700部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して、熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱硬化剤を含有する複合粒子の分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。
その後、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル製のDowfax 2A1、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度20質量%に調製した。これを複合粒子分散液(1)とした。複合粒子分散液(1)における複合粒子の体積平均粒径は150nmであった。
[熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)の調製]
熱硬化性ポリエステル樹脂(L1)240部を熱硬化性ポリエステル樹脂(H1)300部に変更した以外は複合粒子分散液(1)の調製と同様にして、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)を得た。
[着色粉体塗料(C1)の調製]
−凝集工程−
・複合粒子分散液(1):325部(固形分65部)
・着色剤分散液(C1): 3部(固形分0.75部)
・着色剤分散液(W1):150部(固形分37.5部)
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)で混合し分散した。次いで、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを2.5に調整した。これに10質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液0.50部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。
攪拌機及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を適宜調整しながら、50℃まで昇温し、50℃で15分間保持した後、体積平均粒径が5.5μmとなったところで、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)100部(固形分20部)をゆっくりと投入した。
−融合合一工程−
熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)の投入後30分間保持した後、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0に調整した。その後、85℃まで昇温し、2時間保持した。光学顕微鏡で、分散液中の粒子がほぼ球形化していることを確認した。
−濾過工程、洗浄工程、乾燥工程−
融合合一工程の終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、濾過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、再度固形分を得た。次に、この固形分を40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌し洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させた。これを着色粉体粒子(C1)とした。得られた着色粉体粒子(C1)の物性を表1に示した。
着色粉体粒子(C1)をエポキシ樹脂に包埋した後、切削し、粉体粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察して、粉体粒子が樹脂被覆部を有することを確認した。
−外部添加剤の外添−
着色粉体粒子(C1)100部に対して、外部添加剤として疎水性シリカ粒子(一次粒径16nm)0.5部を混合して、着色粉体塗料(C1)を得た。
<実施例C2:着色粉体塗料(C2)>
実施例C1の複合粒子分散液(1)の調製において、熱硬化性ポリエステル樹脂(L1)を熱硬化性ポリエステル樹脂(L2)に変更し、ビスマス系触媒の量を20部に変更した以外は実施例C1と同様にして、体積平均粒径155nmの複合粒子分散液(2)を得た。そして、実施例C1の凝集工程において、複合粒子分散液(1)を複合粒子分散液(2)に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(C2)及び着色粉体塗料(C2)を得た。得られた着色粉体粒子(C2)の物性を表1に示した。
<実施例C3:着色粉体塗料(C3)>
実施例C2の凝集工程において、ポリ塩化アルミニウム水溶液の量を1.0部に変更した以外は実施例C2と同様にして、着色粉体粒子(C3)及び着色粉体塗料(C3)を得た。得られた着色粉体粒子(C3)の物性を表1に示した。
<実施例C4:着色粉体塗料(C4)>
実施例C1の凝集工程において、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)の量を200部に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(C4)及び着色粉体塗料(C4)を得た。得られた着色粉体粒子(C4)の物性を表1に示した。
<実施例C5:着色粉体塗料(C5)>
実施例C1の熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)の調製において、熱硬化性ポリエステル樹脂(H1)を熱硬化性ポリエステル樹脂(H2)に変更し、ビスマス系触媒をスズ系触媒(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製UL−22)10部に変更した以外は実施例C1と同様にして、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H2)を得た。そして、実施例C1の凝集工程において、ポリ塩化アルミニウム水溶液の量を0.01部に変更し、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)を熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H2)に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(C5)及び着色粉体塗料(C5)を得た。得られた着色粉体粒子(C5)の物性を表1に示した。
<実施例M1:着色粉体塗料(M1)>
実施例C1の凝集工程において、着色剤分散液(C1)を着色剤分散液(M1)に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(M1)及び着色粉体塗料(M1)を得た。得られた着色粉体粒子(M1)の物性を表1に示した。
<実施例M2:着色粉体塗料(M2)>
実施例C1の凝集工程において、着色剤分散液(C1)を着色剤分散液(M2)に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(M2)及び着色粉体塗料(M2)を得た。得られた着色粉体粒子(M2)の物性を表1に示した。
<実施例Y1:着色粉体塗料(Y1)>
実施例C1の凝集工程において、着色剤分散液(C1)を着色剤分散液(Y1)に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(Y1)及び着色粉体塗料(Y1)を得た。得られた着色粉体粒子(Y1)の物性を表1に示した。
<実施例K1:着色粉体塗料(K1)>
実施例C1の凝集工程において、着色剤分散液(C1)を着色剤分散液(K1)に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(K1)及び着色粉体塗料(K1)を得た。得られた着色粉体粒子(K1)の物性を表1に示した。
<比較例1:着色粉体塗料(XC1)>
複合粒子分散液(1)の量を400部に変更し、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)100部の追加を行わなかった以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(XC1)及び着色粉体塗料(XC1)を得た。得られた着色粉体粒子(XC1)の物性を表1に示した。
着色粉体粒子をエポキシ樹脂に包埋した後、切削し、粉体粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察して、粉体粒子が樹脂被覆部を有していないことを確認した。
<比較例2:着色粉体塗料(XC2)>
実施例C1の熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)の調製において、熱硬化性ポリエステル樹脂(H1)を熱硬化性ポリエステル樹脂(L1)に変更し、熱硬化剤を加えなかった以外は実施例C1と同様にして、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(L1)を得た。そして、実施例C1の凝集工程において、熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)を熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(L1)に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(XC2)及び着色粉体塗料(XC2)を得た。得られた着色粉体粒子(XC2)の物性を表1に示した。
<比較例3:着色粉体塗料(XC3)>
実施例C1の凝集工程において、ポリ塩化アルミニウム水溶液の量を0.05部に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(XC3)及び着色粉体塗料(XC3)を得た。得られた着色粉体粒子(XC3)の物性を表1に示した。
<比較例4:着色粉体塗料(XC4)>
実施例C1の融合合一工程において、85℃で2時間保持した条件を80℃で2時間に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(XC4)及び着色粉体塗料(XC4)を得た。得られた着色粉体粒子(XC4)の物性を表1に示した。
<比較例5:着色粉体塗料(XC5)>
実施例C1の凝集工程において、複合粒子分散液(1)を熱硬化性ポリエステル樹脂粒子分散液(H1)に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(XC5)及び着色粉体塗料(XC5)を得た。得られた着色粉体粒子(XC5)の物性を表1に示した。
<比較例6:着色粉体塗料(XC6)>
実施例C1の複合粒子分散液(1)の調製において、熱硬化剤をエボニック社製VESTAGON B1530(イプシロンカプロラクタムブロック)に変更し、ビスマス系触媒の量を3部に変更した以外は実施例C1と同様にして、着色粉体粒子(XC6)及び着色粉体塗料(XC6)を得た。得られた着色粉体粒子(XC6)の物性を表1に示した。
<評価>
[塗膜試料の作製]
各例で得られた粉体塗料を、静電塗装法によりリン酸亜鉛処理鋼板のテストパネルに塗装し、加熱温度130℃、加熱時間30分間又は60分間で焼付けを行い、塗膜試料を得た。粉体塗料の塗装量は、膜厚30μmの塗膜に相当する量とした。
[塗膜の平滑性]
表面粗さ測定機(東京精密社製SURFCOM 1400A)を用いて、塗膜試料の表面の中心線平均うねりWCA(単位:μm)を測定した。WCAの値が大きいほど平滑性が低いことを示し、0.2μm以下が望ましい。表1においてはWCAが0.2以下の場合「○」、0.2を超えた場合を「×」として表示した。
[塗膜の付着性]
塗膜試料の表面に対し、JIS K5600−5−6(1999)に従ってクロスカット試験を行い、塗膜の付着性を評価した。カットの間隔は1mmとした。クロスカット部分について、影響を受けているのが15%を上回らない場合を「○」とし、影響を受けているのが15%以上である場合を「×」とした。
[塗膜の耐溶剤性]
塗膜試料を温度23℃±2℃のメチルエチルケトン溶液に10分間浸漬し、浸漬終了後、流水で洗い吸水紙で水を除去し、試験片の表面を肉眼観察して評価した。
G0:変化は認められない。
G1:膨れ及び剥がれが極めて僅かに認められる。
G2:膨れ及び剥がれが明らかに認められる。試験片の面積の10%を超えない。
G3:膨れ及び剥がれが明らかに認められる。試験片の面積の10%を超える。
G4:膨れ及び剥がれが明らかに認められる。試験片の面積の50%を超える。
G5:全面的に膨れている又は剥がれている。
上記グレードのうち、G0及びG1であれば実用上問題ない。表1においては、G0又はG1の場合を「○」、それ以外の場合を「×」と表示した。
[粉体塗料の保管性]
各例で得られた粉体塗料を温度50℃、相対湿度50%に制御した恒温恒湿槽に17時間保管した後、200メッシュ(目開き75ミクロン)の振動篩を用いて篩い通過量を測定して、下記の基準により評価した。
G1:通過量が90質量%以上
NG:通過量が90質量%未満
上記グレードのうち、G1であれば実用上問題ない。表1においては、G1の場合を「○」、NGの場合を「×」と表示した。
各例の詳細、及び評価結果を表1に一覧にして示す。

Claims (8)

  1. ガラス転移温度が38℃以上44℃以下である熱硬化性ポリエステル樹脂、オキシム系ブロックイソシアネート化合物、並びにビスマス系触媒及びスズ系触媒からなる群から選択される少なくとも一種の触媒を含む芯部と、
    ガラス転移温度が45℃以上55℃以下である熱硬化性ポリエステル樹脂を含み、前記芯部の表面を被覆する樹脂被覆部と、
    を有し下記(1)乃至(4)を満たす粉体粒子、を含む熱硬化性粉体塗料。
    (1)体積粒度分布指標GSDvが1.50以下である。
    (2)平均円形度が0.96以上である。
    (3)1/2法によりフローテスターで測定した溶融温度が90℃以上115℃以下である。
    (4)示差走査熱量測定において発熱ピークを80℃以上150℃以下の範囲に有する。
  2. 前記ビスマス系触媒及び前記スズ系触媒の総含有量が、前記粉体粒子全体に対して0.3質量%以上5質量%以下である、請求項に記載の熱硬化性粉体塗料。
  3. 前記粉体粒子がアルミニウムイオンを含む、請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性粉体塗料。
  4. 前記アルミニウムイオンの含有量が、前記粉体粒子全体に対して0.002質量%以上0.2質量%以下である、請求項に記載の熱硬化性粉体塗料。
  5. ガラス転移温度が38℃以上44℃以下である熱硬化性ポリエステル樹脂、オキシム系ブロックイソシアネート化合物、並びにビスマス系触媒及びスズ系触媒からなる群から選択される少なくとも一種の触媒を含む複合粒子が分散された分散液中で、前記複合粒子を凝集して、前記芯部となる第1凝集粒子を形成する工程と、
    前記第1凝集粒子が分散された分散液と、ガラス転移温度が45℃以上55℃以下である熱硬化性ポリエステル樹脂を含む樹脂粒子が分散された分散液とを混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記樹脂粒子を凝集して、前記樹脂被覆部となる前記樹脂粒子が前記第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する工程と、
    前記第2凝集粒子が分散された分散液に対して加熱して、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程と、
    を含む粉体粒子を製造する工程を有する、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装された塗装品。
  7. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料により塗装する塗装品の製造方法。
  8. 加熱温度150℃以下で焼き付けることを含む、請求項に記載の塗装品の製造方法。
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