JP2018188555A - 熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法 Download PDF

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鷹一朗 江村
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Abstract

【課題】粉体塗料による塗膜の膜厚を厚くしたときであっても、塗膜表面の乱れの発生が抑制されるとともに、搬送性の低下が抑制される硬化性粉体塗料の提供。
【解決手段】非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、熱硬化剤とを含有し、該結晶性ポリエステル樹脂の粉体粒子表面に対する表面露出率が、面積率で、20〜60%である粉体粒子を有する熱硬化性粉体塗料。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性粉体塗料、熱硬化性粉体塗料の製造方法、塗装品、及び塗装品の製造方法に関する。
粉体塗料の静電塗装は、塗装工程における揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOC)の排出量が少なく、しかも塗装後、被塗物に付着しなかった粉体塗料を回収し再利用できることから、地球環境保護の面で注目されている。
例えば、特許文献1には、「マットな外観を有する被覆のための粉体塗料組成物において、該組成物が実質的に A)架橋剤成分 および B)COOH基および/またはOH基を有するポリエステル成分を含有し、その際B)は B1)非晶質ポリエステル少なくとも1種 10〜80質量%、B2)コハク酸および/またはアジピン酸および/またはセバシン酸および/またはドデカン二酸および/またはこれらの無水物および/またはエステル50〜100モル%と、モノエチレングリコール、ブタンジオール−1,4、および/またはヘキサンジオール−1,6 50〜100モル%との反応により得られる(半)結晶質ポリエステル少なくとも1種 20〜90質量%からなり、その際、該ポリエステルは、0〜200mgKOH/gのOH価および0〜150mgKOH/gのCOOH価を有し、かつ少なくとも一方の数は0より大きく、かつポリエステルの官能基1つあたり、架橋剤の反応性の基は0.6〜1.2が使用されることを特徴とする、マットな外観を有する被覆のための粉体塗料組成物。」が開示されている。
例えば、特許文献2には、「少なくとも結着樹脂および硬化剤からなり体積平均粒子径が5〜20μmである粉体粒子の表面に体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下である導電性酸化亜鉛微粉末あるいは導電性酸化チタン微粉末が付着あるいは固着されていることを特徴とする粉体塗料」が開示されている。
また、特許文献3には、結晶性樹脂を含有してなる樹脂粒子が水性媒体中に分散されてなる水性分散液中に油性液を分散させ粒子内部に結晶性ポリエステル樹脂を存在させる粒子の製造方法が開示されている。
さらに特許文献4では、光重合性ポリエステル系樹脂を添加し、艶消し粉体塗料を形成する技術が開示され、光重合性ポリエステル系樹脂に結晶性ポリエステル樹脂が使用可能の旨が例示されている。
特開2004−190029号公報 特開平08−253711号公報 特開2014−080586号公報 特開2005−305251号公報
ポリエステル樹脂を含む粉体粒子を有する硬化性粉体塗料を用いて塗膜を多層に形成して、塗膜の膜厚を厚くすると、塗膜表面の乱れが発生する場合があった。これは、粉体塗料の粒子が個々に帯電し塗布されるが、粒子の帯電残留した結果として塗布膜層内で静電反発が生じるためとされている。そこで、粉体塗料に含まれる粉体粒子に、適度に電荷を漏洩させることで、粉体粒子の帯電特性を制御しやすくなることが考えられる。しかし、粉体粒子の電荷の漏洩量によっては、塗膜表面の乱れの発生、または硬化性粉体塗料の搬送性低下の発生が生じる場合があった。
本発明の課題は、ポリエステル樹脂と熱硬化剤とを含有する硬化性粉体塗料において、粉体粒子の表面に露出するポリエステル樹脂種の表面露出率(面積率)を制御し、粉体塗料による塗膜の膜厚を厚くしたときであっても、塗膜表面の乱れの発生が抑制されるとともに、搬送性の低下が抑制される硬化性粉体塗料を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
請求項1に係る発明は、
非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、熱硬化剤とを含有し、該結晶性ポリエステル樹脂の粉体粒子表面に対する表面露出率が、面積率で、20〜60%である粉体粒子を有する熱硬化性粉体塗料。
請求項2に係る発明は、
該表面露出率が、面積率で、25〜55%である請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項3に係る発明は、
該表面露出率が、面積率で、30〜50%である請求項2に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項4に係る発明は、
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、該結晶性ポリエステル樹脂と該非晶性ポリエステル樹脂との合計量に対して、15〜55質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項5に係る発明は、
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、該結晶性ポリエステル樹脂と該非晶性ポリエステル樹脂との合計量に対して、25〜45質量%である請求項4に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項6に係る発明は、
該結晶性ポリエステル樹脂が、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合体であって、該多塩基酸および該多価アルコールの少なくとも一方が、脂肪族飽和型の単量体を含む重縮合体である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項7に係る発明は、
該多塩基酸が、2つのカルボキシ基の間の炭素鎖の炭素数が6〜20のアルキレン基を持つ脂肪族飽和ジカルボン酸であり、該多価アルコールが、2つのヒドロキシ基の間の炭素鎖の炭素数が6〜20のアルキレン基を持つ脂肪族飽和ジオールである請求項6に記載の熱硬化性粉体塗料。
請求項8に係る発明は、
非晶性ポリエステル樹脂及び熱硬化剤を含む第1樹脂粒子を形成する工程と、
結晶性ポリエステル樹脂を含む第2樹脂粒子を形成する工程と、
該第1樹脂粒子が分散した第1樹脂粒子分散液と、該第2樹脂粒子が分散した第2樹脂粒子分散液とを混合し、該第1樹脂粒子と該第2樹脂粒子とを凝集させて、該第1樹脂粒子と該第2樹脂粒子とを含む凝集粒子を形成する工程と、
該凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱して、該凝集粒子を融合及び合一する工程と、
を含む粉体粒子の製造工程を有する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料を製造する方法。
請求項9に係る発明は、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料の塗布膜を熱硬化させた塗膜を表面の少なくとも一部に有する塗装品。
請求項10に係る発明は、
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料を被塗装面に塗布した後、該熱硬化性粉体塗料の塗布膜を熱硬化させて塗膜を形成することを含む、塗装品の製造方法。
請求項1、2、3に係る発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、熱硬化剤とを含有する硬化性粉体塗料において、粉体粒子の表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率(面積率)が20%未満または60%超の場合に比べ、粉体塗料による塗膜の膜厚を厚くしたときであっても、塗膜表面の乱れの発生が抑制されるとともに、搬送性の低下が抑制される硬化性粉体塗料が提供される。
請求項4、5に係る発明によれば、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との合計量に対して、15質量%未満または55質量%を超える場合に比べ、粉体塗料による塗膜の膜厚を厚くしたときであっても、塗膜表面の乱れの発生が抑制されるとともに、搬送性の低下が抑制される硬化性粉体塗料が提供される。
請求項6、7に係る発明によれば、粉体粒子の表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率(面積率)が20%未満または60%超の場合に比べ、結晶性ポリエステル樹脂が、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合体であって、多塩基酸および多価アルコールの少なくとも一方が、脂肪族飽和型の単量体を含む重縮合体であり、粉体塗料による塗膜の膜厚を厚くしたときであっても、塗膜表面の乱れの発生が抑制されるとともに、搬送性の低下が抑制される硬化性粉体塗料が提供される。
請求項8に係る発明によれば、
非晶性ポリエステル樹脂及び熱硬化剤を含む第1樹脂粒子を形成する工程と、結晶性ポリエステル樹脂を含む第2樹脂粒子を形成する工程と、前記第1樹脂粒子が分散した第1樹脂粒子分散液と、前記第2樹脂粒子が分散した第2樹脂粒子分散液とを混合し、前記第1樹脂粒子と前記第2樹脂粒子とを凝集させて、前記第1樹脂粒子と前記第2樹脂粒子とを含む凝集粒子を形成する工程と、前記凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱して、前記凝集粒子を融合及び合一する工程と、を含む粉体粒子の製造工程を有する熱硬化性粉体塗料を製造する方法において、表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率(面積率)が20%未満または60%超である粉体粒子の製造工程を有する場合に比べ、粉体塗料による塗膜の膜厚を厚くしたときであっても、塗膜表面の乱れの発生が抑制されるとともに、搬送性の低下が抑制される硬化性粉体塗料を製造する方法が提供される。
請求項9に係る発明によれば、熱硬化性粉体塗料の塗布膜を熱硬化させた塗膜を表面の少なくとも一部に有する塗装品において、表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率(面積率)が20%未満または60%超である粉体粒子を有する熱硬化性粉体塗料を適用した場合に比べ、塗膜表面の乱れの発生が抑制される塗装品が提供される。
請求項10に係る発明によれば、熱硬化性粉体塗料を被塗装面に塗布した後、熱硬化性粉体塗料の塗布膜を熱硬化させて塗膜を形成することを含む塗装品の製造方法において、表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率(面積率)が20%未満または60%超である粉体粒子を有する熱硬化性粉体塗料を適用した場合に比べ、塗膜表面の乱れの発生が抑制される塗装品の製造方法が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、「熱硬化性粉体塗料」を単に「粉体塗料」と称する場合がある。また「〜」を含む数値範囲の場合は、「〜」の前後に記載されるその両端の数値を含む。
<熱硬化性粉体塗料>
本実施形態に係る粉体塗料は、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、熱硬化剤とを含有する粉体粒子を有する。そして、結晶性ポリエステル樹脂の粉体粒子表面に対する表面露出率が、面積率で、20%〜60%である。
粉体塗料は、帯電させることで電荷を保持する。そして、帯電した粉体塗料が静電気的に被塗物に塗着して塗布膜が形成される。粉体塗料による塗膜の膜厚を厚くする場合は、被塗物に塗着した塗布膜を積層することで、塗膜の膜厚を厚くする。
例えば、ポリエステル樹脂を含む粉体粒子を有する粉体塗料を用いて塗布膜を多層に形成して膜厚を厚くしていくと、塗膜表面に乱れが発生する場合があった。これは、粉体塗料の帯電量が大きいことによって、塗布膜層内で粒子間の静電反発が生じたためと考えられる。
そこで、粉体塗料の帯電特性を制御する方法の一つとしては、粉体粒子の樹脂成分の電荷を漏洩させやすい、例えば結晶性ポリエステル樹脂を含有させることが考えられる。そして、粉体粒子の表面に、例えば結晶性ポリエステル樹脂を露出させることで、結晶性ポリエステル樹脂が電荷漏洩の起点となり、粉体粒子の帯電量を低く抑えることが可能になると考えられる。しかしながら、粉体粒子の表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率が小さすぎると、粉体粒子の帯電量を低く抑える効果が小さくなる。
一方で、粉体粒子の表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率が高くなりすぎると、粉体塗料の搬送性が低下する。
これに対し、本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子の表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率(面積率)が20%未満または60%超の場合に比べ、粉体塗料による塗膜の膜厚を厚くしたときであっても、塗膜表面の乱れの発生が抑制されるとともに、搬送性の低下が抑制される。
本実施形態に係る粉体塗料では、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率が上記範囲であることで、結晶性ポリエステル樹脂が、適度な割合で粉体粒子の表面に露出していると考えられる。そのため、粉体粒子の結晶性ポリエステル樹脂の露出に起因する電荷漏洩が生じることで帯電量が低く抑えられると考えられる。その結果、塗膜の膜厚を厚くしても、塗布膜層内での静電反発が生じにくくなり、塗膜表面の乱れの発生が抑制されると推測される。また、結晶性ポリエステル樹脂が粉体粒子の表面に露出しすぎないため、搬送性の低下が抑制されると推測される。
ここで、粉体粒子の表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率は、以下の方法により求める。
まず、対象となる粉体塗料を用意する。なお、対象となる粉体粒子の表面に、外部添加剤が付着している場合は、事前に外部添加剤の除去処理を行うことが望ましい。
粉体粒子をエポキシ樹脂に混合して、エポキシ樹脂を固化する。得られた固化物の薄片試料を作製し、薄片試料を30℃のデシケータ内で四酸化ルテニウムにより、例えば3時間染色する。染色された薄片試料を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)にて撮影し、撮影したSEM画像を、「Image−Pro Plus5.1J(MediaCybernetics社製)などの画像処理ソフトで二値化する。そして、撮影したSEM画像の粉体粒子の表面における結晶性ポリエステル樹脂の面積および粉体粒子の面積から、下記式により、表面露出率を求める。
式 表面露出率(%)=(「Scry」/粉体粒子の面積)×100
式中、「Scry」は、結晶性ポリエステル樹脂の面積を表す。
粉体粒子の表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率が特定の範囲となる粉体塗料を得るには、例えば、後述する湿式製法(好ましくは凝集合一法)で製造することがよい。湿式製法で製造するときに、粉体粒子の製造に使用する非晶性ポリエステル樹脂量と結晶性ポリエステル樹脂量との混合割合、造粒時の樹脂の添加方法、酸価が異なる複数の結晶性ポリエステル樹脂を用意する等の調整により、上記特定範囲の表面露出率となる粉体粒子を製造することができる。
なお、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を用いて、例えば、混練粉砕法(ニーダー、押出機などを用いて溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕する方法)により粉体粒子を製造する場合、粉体粒子の表面に露出する結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率を60%以下に制御することは難しい。これは、結晶性ポリエステル樹脂は非晶性ポリエステル樹脂に比べ、柔軟性が高く、かつこれらのポリエステル樹脂同士は相溶性が低い。さらに溶融状態から冷却する段階での体積変化は結晶性ポリエステル樹脂のほうが大きく、応力が発生しやすい。そのため、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを用いて溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕するときに、結晶性ポリエステル樹脂が存在している部分から割れやすい。または、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との界面で割れやすい。その結果、混練粉砕法によって粉体粒子を得る場合、ポリエステル樹脂が粉体粒子の表面に露出しやすくなり、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率は60%を超えやすくなってしまうと考えられる。
以下、本実施形態に係る粉体塗料の詳細について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を有し、さらに、必要に応じて、粉体粒子の表面に付着する外部添加剤を有していてもよい。本実施形態に係る粉体塗料は、流動性を高める観点から、粉体粒子の表面に付着する外部添加剤を有することが望ましい。
[粉体粒子]
本実施形態に係る粉体塗料が有する粉体粒子は、非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂のポリエステル樹脂を含有する。さらに、熱硬化剤を含有する。また、粉体塗料は、着色剤を含まない透明粉体塗料(クリア塗料)、及び粉体粒子に着色剤を含む着色粉体塗料のいずれであってもよい。
なお、樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
粉体粒子の構造は、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率が上記範囲であれば、特に限定されるものではない。粉体粒子は、単層構造の粉体粒子であってもよいし、芯部と芯部を被覆する樹脂被覆部とを有する所謂コア・シェル構造の粉体粒子であってもよい。
粉体粒子がコア・シェル構造である場合、樹脂被覆部に、結晶性ポリエステル樹脂を含有させることがよい。粉体粒子表面における樹脂被覆部の被覆率は、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率が上記範囲であれば、特に限定されるものではないが、例えば30%以上100%以下の範囲が挙げられる。樹脂被覆部の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば0.2μm以上4μm以下の範囲が挙げられる。
以下、粉体粒子の材料、組成、物性等について説明する。
(非晶性ポリエステル樹脂)
非晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを重縮合した重縮合体が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂への熱硬化反応性基の導入は、多塩基酸と多価アルコールとの使用量を調整することにより行い、熱硬化反応性基として水酸基及びカルボキシル基の少なくとも一方を導入する。非晶性ポリエステル樹脂の構造は、分岐構造でも、線状構造でもよい。
なお、本明細書中において、多塩基酸には、多塩基酸のほか、多塩基酸の無水物、および多塩基酸の低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルを含む。
多塩基酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。多塩基酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。多価アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂は、多塩基酸及び多価アルコール以外の他の単量体が重縮合されていてもよい。他の単量体としては、例えば、一分子中にカルボキシル基と水酸基とを併せ有する化合物(例えば、ジメタノールプロピオン酸、ヒドロキシピバレート等)、モノエポキシ化合物(例えば、カージュラE10(シェル社)等の分岐脂肪族カルボン酸のグリシジルエステル等)、1価アルコール(例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等)、1価の塩基酸(例えば、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸等)、脂肪酸(例えば、ひまし油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸の等)等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、特に限定されないが、例えば、粉体塗料の搬送性の低下抑制の点から、50℃以上65℃以下であることがよい。非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度の下限は、52℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましい。非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度の上限は65℃以下が好ましく、62℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、粉体粒子から非晶性ポリエステル樹脂を単離し、ASTMD3418に準拠した示差走査熱量測定により求める。測定は、具体的には下記のとおりに行う。
自動接線処理システムを備えた示差走査熱量計(島津製作所製DSC−50型)に試料をセットし、冷却媒体として液体窒素をセットし、昇温速度10℃/分で0℃から100℃まで加熱して(1回目の昇温過程)、DSC曲線を得、次に、降温速度−10℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で0℃から150℃まで加熱して(2回目の昇温過程)、DSC曲線を得る。なお、0℃及び100℃にてそれぞれ10分間ずつ保持する。測定装置の検出部の温度補正にはインジウムと亜鉛との混合物の融解温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。試料はアルミニウム製パンに入れ、サンプルの入ったアルミニウム製パンと対照用の空のアルミニウム製パンとをセットする。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、2回目の昇温過程のDSC曲線の吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの交点の温度をもってガラス転移温度とする。
非晶性ポリエステル樹脂は、塗膜の平滑性に優れる観点から、酸価と水酸基価との合計が10mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、且つ数平均分子量が1000以上100,000以下であるポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価の測定は、JIS K0070:1992に準ずる。ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography:GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置としてHLC−8120GPC(東ソー)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHM−M(15cm)(東ソー)を用い、溶媒としてテトラヒドロフランを用いる。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
非晶性ポリエステル樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
粉体粒子に含まれる非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、粉体粒子の全量に対して、10質量%以上99質量%以下が好ましく、50質量%以上96質量%以下が好ましい。
(結晶性ポリエステル樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを重縮合した重縮合体が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂への熱硬化反応性基の導入は、多塩基酸と多価アルコールとの使用量を調整することにより行い、熱硬化反応性基として水酸基及びカルボキシル基の少なくとも一方を導入する。結晶性ポリエステル樹脂の構造は、分岐構造でも、線状構造でもよい。
多塩基酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。多塩基酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば、主鎖部分の炭素数が6以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。多価アルコールは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、粉体粒子を低帯電性に抑制する点で、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合体であって、多塩基酸および多価アルコールの少なくとも一方が、脂肪族飽和型の単量体を含む重縮合体であることがよい。脂肪族飽和型の単量体とは、多塩基酸の場合、脂肪族飽和多塩基酸の単量体を示し、多価アルコールの場合、脂肪族飽和多価アルコールの単量体を示す。
なお、脂肪族飽和多塩基酸および脂肪族飽和多価アルコールは、それぞれ、分岐状脂肪族飽和型および直鎖状脂肪族飽和型の単量体のいずれでもよい。粉体粒子を低帯電性に抑制する点で、脂肪族飽和多塩基酸および脂肪族飽和多価アルコールは、それぞれ、直鎖状脂肪族飽和型の単量体であることが好ましい。
また、粉体粒子を低帯電性に抑制する観点で、結晶化度が高いものが好ましい。この点で、上記の脂肪族飽和多塩基酸としては、例えば、2つのカルボキシ基の間の炭素鎖の炭素数が6以上20以下(好ましくは、炭素数6以上16以下、より好ましくは、炭素数6以上14以下、さらに好ましくは、炭素数6以上10以下)のアルキレン基を持つ脂肪族飽和ジカルボン酸であることがよい。粉体粒子を低帯電性に抑制する観点で、アルキレン基は直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
この脂肪族飽和多塩基酸の含有量は、全多塩基酸の単量体に対して60質量%以上であることが挙げられる。また、脂肪族飽和多塩基酸の含有量は、全多塩基酸の単量体に対して70質量%以上100質量%以下でもよく、80質量%以上100質量%以下でもよく、100質量%でもよい。
上記の脂肪族飽和多価アルコールとしては、例えば、2つのヒドロキシ基の間の炭素鎖の炭素数が6以上20以下(好ましくは、炭素数6以上16以下、より好ましくは、炭素数6以上14以下、さらに好ましくは、炭素数6以上10以下)のアルキレン基を持つ脂肪族飽和ジオールであることがよい。粉体粒子を低帯電性に抑制する観点で、アルキレン基は直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
この脂肪族飽和多価アルコールの含有量は、全多価アルコールの単量体に対して60質量%以上が挙げられる。また、脂肪族飽和多価アルコールの含有量は、全多価アルコールの単量体に対して70質量%以上100質量%以下でもよく、80質量%以上100質量%以下でもよく、100質量%でもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、特に限定されないが、例えば、搬送性の低下を抑制する点で、50℃以上140℃以下であることがよい。結晶性ポリエステル樹脂の融解温度の下限は、60℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましく、80℃以上が更に好ましい。また、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度の上限は120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましく、100℃以下が更に好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度(Tm)は、粉体粒子から結晶性ポリエステル樹脂を単離し、ASTMD3418に準拠した示差走査熱量測定により求める。測定は、具体的には下記のとおりに行う。
自動接線処理システムを備えた示差走査熱量計(島津製作所製DSC−50型)に試料をセットし、冷却媒体として液体窒素をセットし、昇温速度10℃/分で0℃から100℃まで加熱して(1回目の昇温過程)、DSC曲線を得、次に、降温速度−10℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で0℃から150℃まで加熱して(2回目の昇温過程)、DSC曲線を得る。なお、0℃及び100℃にてそれぞれ10分間ずつ保持する。測定装置の検出部の温度補正にはインジウムと亜鉛との混合物の融解温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。試料はアルミニウム製パンに入れ、サンプルの入ったアルミニウム製パンと対照用の空のアルミニウム製パンとをセットする。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、2回目の昇温過程のDSC曲線の吸熱ピークトップの温度とする。
結晶性ポリエステル樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
粉体粒子において、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との含有量に対して15〜55質量%(好ましくは25〜45質量%)であることがよい。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の合計含有量に対して15質量%以上であると、粉体粒子は低帯電性に抑制されやすくなり、塗膜表面の乱れの発生が抑制されやすくなる。一方、55質量%以下であると、粉体塗料の搬送性の低下が抑制されやすくなる。
(その他の樹脂)
粉体粒子は、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基等の熱硬化反応性基を有する(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
ただし、本実施形態における粉体粒子は、樹脂成分(結着樹脂)の80質量%以上をポリエステル樹脂が占めることが好ましく、90質量%以上をポリエステル樹脂が占めることがより好ましく、100質量%をポリエステル樹脂が占めることが更に好ましい。
・熱硬化剤
熱硬化剤は、ポリエステル樹脂が有する熱硬化反応性基の種類に応じて選択する。
ポリエステル樹脂の熱硬化反応性基が水酸基の場合、熱硬化剤としては、例えば、ブロック型イソシアネート、アミノプラスト等が挙げられる。ブロック型イソシアネートを構成するイソシアネート化合物としては、有機ジイソシアネート、有機ジイソシアネートの重合体(イソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物をも含む)、有機ジイソシアネートの多価アルコール付加物、有機ジイソシアネートの低分子量ポリエステル樹脂(例えば、ポリエステルポリオール)付加物、有機ジイソシアネートの水付加物などが挙げられる。ここで、有機ジイソシアネートとしては、各種の脂肪族ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、各種の環状脂肪族ジイソシアネート(例えば、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等)、各種の芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等)などが挙げられる。イソシアネート基のブロック剤としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物が挙げられる。
ポリエステル樹脂の熱硬化反応性基がカルボキシル基の場合、熱硬化剤としては、例えば、種々のエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAのポリグリシジルエーテル等)、エポキシ基含有アクリル樹脂(例えば、グリシジル基含有アクリル樹脂等)、種々の多価アルコール(例えば、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等)のポリグリシジルエーテル、種々の多価カルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)のポリグリシジルエステル、種々の脂環式エポキシ基含有化合物(例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアジペート等)、ヒドロキシアミド(例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、β−ヒドロキシアルキルアミド等)などが挙げられる。
熱硬化剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
粉体粒子において、熱硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂の量に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%が好ましい。
・着色剤
着色剤としては、例えば、顔料が挙げられる。着色剤は、顔料と共に染料を併用してもよい。
顔料としては、例えば、酸化鉄(例えば、ベンガラ等)、酸化チタン、チタン黄、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、リトポン、酸化アンチモン、コバルトブルー、カーボンブラック等の無機顔料;キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ハンザイエロー、インダンスレンブルー、ブリリアントファーストスカーレット、ベンツイミダゾロンイエロー等の有機顔料;などが挙げられる。
顔料としては、その他、光輝性顔料も挙げられる。光輝性顔料としては、例えば、パール顔料、アルミニウム粉、ステンレス鋼粉等の金属粉;金属フレーク;ガラスビーズ;ガラスフレーク;雲母;リン片状酸化鉄(MIO);などが挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤の含有量は、顔料の種類、塗膜に求められる色彩、明度、及び深度等に応じて選択する。例えば、着色剤の含有量は、粉体粒子の全樹脂量に対して、1質量%以上70質量%以下が好ましく、2質量%以上60質量%以下が好ましい。
(その他添加剤)
その他添加剤としては、粉体塗料に使用される各種の添加剤が挙げられる。具体的には、その他添加剤としては、例えば、表面調整剤(シリコーンオイル、アクリルオリゴマー等)、発泡(ワキ)防止剤(例えば、ベンゾイン、ベンゾイン誘導体等)、硬化促進剤(アミン化合物、イミダゾール化合物、カチオン重合触媒等)、可塑剤、帯電制御剤、酸化防止剤、顔料分散剤、難燃剤、流動付与剤等が挙げられる。
(2価以上の金属イオン)
粉体粒子は、2価以上の金属イオン(以下、単に「金属イオン」とも言う。)を含むことが好ましい。2価以上の金属イオンは、粉体粒子に含まれる樹脂が有するカルボキシル基又は水酸基と相互作用しイオン架橋を形成する。このイオン架橋により、粉体塗料の保存安定性が向上する。このイオン架橋は、熱硬化をする際の加熱により、イオン架橋の結合が切れるので、2価以上の金属イオンが含まれていても粉体粒子の溶融粘度を高めることはなく、塗膜の平滑性を低下させる懸念がない。
2価以上の金属イオンとしては、例えば、2価以上4価以下の金属イオンが挙げられる。具体的には、例えば、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、亜鉛イオン、及びカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも一種の金属イオンが挙げられる。
金属イオンの供給源(粉体粒子に添加剤として含ませる化合物)としては、例えば、金属塩、無機金属塩重合体、金属錯体等が挙げられる。これらは、例えば、粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤として粉体粒子に添加する。ほかに、例えば、熱硬化反応を促進する触媒として粉体粒子に添加したり、特に用途を限らず添加したりする。
金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
無機金属塩重合体としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、ポリ硫酸鉄(II)、多硫化カルシウム等が挙げられる。
金属錯体としては、例えば、アミノカルボン酸の金属塩等が挙げられる。金属錯体として、具体的には、例えば、エチレンジアミン四酢酸、プロパンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等の公知のキレート酸をベースにした金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等)などが挙げられる。
金属イオンは価数が高いほど、網目状のイオン架橋を形成しやすく、粉体塗料の保存安定性及び塗膜の平滑性をより良化する観点から好適である。このため、金属イオンとしては、Alイオンが好ましい。つまり、金属イオンの供給源としては、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましい。さらに、粉体塗料の保存安定性及び塗膜の平滑性をより良化する観点から、金属イオンの供給源のうち、金属イオンの価数が同じであっても、金属塩に比べ、無機金属塩重合体が好ましい。このため、金属イオンの供給源としては、特に、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましい。
金属イオンの含有量は、粉体塗料の保存安定性及び塗膜の平滑性をより良化する観点から、粉体粒子全体に対して0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。
金属イオンの含有量を0.002質量%以上とすると、金属イオンによるイオン架橋が適度に形成され、粉体粒子表面のブリード発生を抑え、塗装塗料の保存安定性が高まる。一方、金属イオンの含有量を0.2質量%以下とすると、金属イオンによるイオン架橋の過剰な形成が起らず、塗膜の平滑性に優れる。
粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集剤として添加される金属イオンの供給源(例えば、金属塩、無機金属塩重合体、金属錯体)は、粉体粒子の粒度分布及び形状の制御に寄与する。
具体的には、金属イオンの価数は高いほど、狭い粒度分布を得る観点から好適である。また、狭い粒度分布を得る観点から、金属イオンの価数が同じであっても、金属塩に比べ、無機金属塩重合体が好適である。このため、これらの観点からも、金属イオンの供給源としては、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等)、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が好ましく、アルミニウム塩重合体(例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等)が特に好ましい。
金属イオンの含有量が0.002質量%以上になるように凝集剤を添加すると、水性媒体中における樹脂粒子の凝集が進行し、狭い粒度分布の実現に寄与する。また、芯部となる凝集粒子に対して、樹脂被覆部となる樹脂粒子の凝集が進行し、芯部表面全体に対する樹脂被覆部の形成の実現に寄与する。一方、金属イオンの含有量が0.2質量%以下になるように凝集剤を添加すると、凝集粒子中のイオン架橋の過剰な形成を抑え、融合合一するときに、生成される粉体粒子の形状が球状に近づきやすくなる。このため、これらの観点からも、金属イオンの含有量は、0.002質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下がより好ましい。
金属イオンの含有量の調整方法としては、例えば、1)金属イオンの供給源の添加量を調整する方法、2)粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、凝集工程において、金属イオンの供給源として凝集剤(例えば、金属塩、無機金属塩重合体)を添加した後、凝集工程の最後にキレート剤(例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)等)を添加し、キレート剤と金属イオンとの錯体を形成させ、その後の洗浄工程等で形成された錯塩を除去して、金属イオンの含有量を調整する方法、等が挙げられる。
[粉体粒子の物性]
粉体粒子の体積平均粒径D50vは、塗膜の厚さの均一性を高める観点から、3μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上10μm以下がより好ましく、4μm以上8μm以下が更に好ましく、5μm以上7μm以下が更に好ましい。
粉体粒子の体積粒度分布指標GSDvは、塗膜の平滑性を良化する観点から、1.20未満が好ましく、1.19以下がより好ましく、1.18以下が更に好ましい。
粉体粒子の平均円形度は、塗膜の平滑性を良化する観点から、0.96以上が好ましく、0.97以上がより好ましく、0.98以上が更に好ましい。
粉体粒子の体積平均粒径D50v及び体積粒度分布指標GSDvは、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積基準の累積分布を小径側から描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積84%となる粒径を体積粒径D84vと定義する。体積粒度分布指標GSDvは(D84v/D16v)1/2として算出される。
粉体粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−3000、シスメックス社)を用いて測定される。具体的には、予め不純固形物を除去した水100ml以上150ml以下の中に、分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1ml以上0.5ml以下加え、ここに測定試料を0.1g以上0.5g以下加える。測定試料を分散した懸濁液は超音波分散器で1分間以上3分間以下分散処理を行ない、分散液濃度を3000個/μl以上1万個/μl以下とする。この分散液に対して、フロー式粒子像分析装置を用いて、粉体粒子の平均円形度を測定する。
粉体粒子の平均円形度は、粒径2μm以上60μm以下の粒子n個の円形度(Ci)を求め、下記式により算出される値である。下記式中、Ciは、円形度(=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長)を示し、fiは、粒子の頻度を示す。
[外部添加剤]
外部添加剤は、粉体粒子間の凝集の発生を抑制する。これにより、少量の粉体塗料で平滑性の高い塗膜を形成し得る。外部添加剤の具体例としては、例えば、無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等の粒子が挙げられる。
外部添加剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば、疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シランカップリング剤、シラン、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。疎水化処理剤の量は、例えば、無機粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部以下である。
外部添加剤の体積平均粒子径は、5nm以上40nm以下が好ましく、8nm以上30nm以下がより好ましい。体積平均粒子径が5nm以上40nm以下の外部添加剤を用いることで、スプレーガン等で粉体塗料を塗る際に、空気流で粉体粒子がほぐれて1次粒子として飛翔しやすくなり、粉体粒子が1次粒子の状態で被塗物に付着しうる。
外部添加剤の外添量としては、例えば、粉体粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
<粉体塗料の製造方法>
次に、本実施形態に係る粉体塗料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を製造後、必要に応じて粉体粒子に外部添加剤を外添すること、必要に応じて分級することで得られる。
粉体粒子は、結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率(面積率)を20%以上60%以下の範囲に制御する点で、湿式製法で製造することが好ましい。例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等のいずれにより製造してもよい。これらの製法は特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、粉体粒子内部の構造、体積粒度分布指標及び平均円形度、および結晶性ポリエステル樹脂の表面露出率を容易に制御できる観点から、凝集合一法により粉体粒子を得ることがよい。
具体的には、
非晶性ポリエステル樹脂及び熱硬化剤を含む第1樹脂粒子を形成する工程(第1樹脂粒子形成工程)と、
結晶性ポリエステル樹脂を含む第2樹脂粒子を形成する工程(第2樹脂粒子形成工程)と、
第1樹脂粒子が分散した第1樹脂粒子分散液と、第2樹脂粒子が分散した第2樹脂粒子分散液とを混合し、第1樹脂粒子と第2樹脂粒子とを凝集させて、第1樹脂粒子と第2樹脂粒子とを含む凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、
凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合及び合一する工程(融合合一工程)と、
を経て、粉体粒子を製造することが好ましい。
コア・シェル構造の粉体粒子を形成する場合は、具体的には、
非晶性ポリエステル樹脂及び熱硬化剤を含む第1樹脂粒子を形成する工程(第1樹脂粒子形成工程)と、
結晶性ポリエステル樹脂を含む第2樹脂粒子を形成する工程(第2樹脂粒子形成工程)と、
第1樹脂粒子が分散した第1樹脂粒子分散液と、第2樹脂粒子が分散した第2樹脂粒子分散液とを混合し、第1樹脂粒子と第2樹脂粒子とを凝集させて、第1樹脂粒子と第2樹脂粒子とを含む第1凝集粒子を形成する工程(第1凝集粒子形成工程)と、
第1凝集粒子が分散した第1凝集粒子分散液、並びに、第1樹脂粒子が分散した第1樹脂粒子分散液および第2樹脂粒子が分散した第2樹脂粒子分散液を混合し、第1凝集粒子の表面に第1樹脂粒子および第2樹脂粒子を付着するように凝集させて、第2凝集粒子を形成する工程(第2凝集粒子形成工程)と、
第2凝集粒子が分散した第2凝集粒子分散液を加熱して、第2凝集粒子を融合及び合一する工程(融合合一工程)と、
を経て、粉体粒子を製造することが好ましい。
以下、各工程の詳細について説明する。以下の説明では、着色剤を含む粉体粒子の製造方法について説明するが、着色剤は必要に応じて含有するものである。
[樹脂粒子形成工程(第1樹脂粒子形成工程、第2樹脂粒子形成工程)]
第1樹脂粒子は、例えば、非晶性ポリエステル樹脂と熱硬化剤とを混合して、混合物を分散媒に分散することで調製する。ほかに、例えば、非晶性ポリエステル樹脂粒子が分散した分散液と、熱硬化剤が分散した分散液とを混合し、非晶性ポリエステル樹脂粒子と熱硬化剤とを凝集させることにより、第1樹脂粒子を調製する。
第2樹脂粒子は、例えば、結晶性ポリエステル樹脂を分散媒に分散することで調製する。
分散液の調製に用いる分散媒としては、例えば水性媒体が挙げられる。水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散液は界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂を分散媒に分散する方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等を用いた一般的な分散方法が挙げられる。または、転相乳化法により分散媒にポリエステル樹脂を分散させてもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂をその樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水性媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を水性媒体中に粒子状に分散する方法である。具体的には、ポリエステル樹脂を構成する単量体を加熱溶融し減圧下で重縮合させ、得られた重縮合体に溶剤(例えば、酢酸エチル等)を加え溶解し、さらに弱アルカリ性水溶液を加えながら攪拌し転相乳化することによって、ポリエステル樹脂粒子が分散した分散液を得る。
分散液中に分散するポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、1μm以下がよく、0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下が更に好ましい。
分散液に含まれるポリエステル樹脂粒子の含有量は、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
樹脂粒子分散液の調製方法と同様にして、着色剤分散液も調製される。
[凝集粒子形成工程(第1凝集粒子形成工程、第2凝集粒子形成工程)]
第1樹脂粒子が分散した第1樹脂粒子分散液と、第2樹脂粒子が分散した第2樹脂粒子分散液と、着色剤分散液と、を混合する。そして、混合分散液中で、第1樹脂粒子と第2樹脂粒子と着色剤とをヘテロ凝集させ、目的とする粉体粒子の径に近い径を有する、凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、第1樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、第1樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上且つガラス転移温度−10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散した粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、金属塩、無機金属塩重合体、及び金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集終了後、凝集剤の金属イオンと錯体又は類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。このキレート剤の添加により、凝集剤を過剰に添加した場合、粉体粒子の金属イオンの含有量の調整が実現される。
凝集剤としての金属塩、無機金属塩重合体、及び金属錯体は、粉体塗料に含まれる金属イオンの供給源となる。金属塩、無機金属塩重合体、及び金属錯体の例示は、既述の通りである。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤が挙げられる。キレート剤として、具体的には、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。キレート剤の添加量は、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
コア・シェル構造の粉体粒子を形成する場合は、第1凝集粒子が分散した第1凝集粒子分散液を得た後、第1凝集粒子分散液と、第1樹脂粒子分散液および第2樹脂粒子分散液とを混合し、第1凝集粒子の表面に第1樹脂粒子および第2樹脂粒子を付着するように凝集させて、第2凝集粒子を形成する。
[融合合一工程]
凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合及び合一し、粉体粒子を形成する。この際、第1樹脂粒子に含まれる非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上(例えば、ガラス転移温度より5℃乃至30℃高い温度)に、液温が到達するまで凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合合一する。
以上の工程を経て、粉体粒子が得られる。
融合合一工程の終了後、分散液中に形成された粉体粒子に対して、公知の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を施して乾燥した状態の粉体粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点から、凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
本実施形態に係る粉体塗料は、必要に応じて、得られた乾燥状態の粉体粒子に、外部添加剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行う。さらに、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使って粉体塗料の粗大粒子を取り除いたり、粒度分布を狭めたりしてもよい。
本実施形態に係る粉体塗料は、静電塗装、流動浸漬など公知の粉体塗装技術に適用される。
<塗装品、塗装品の製造方法>
本実施形態に係る塗装品は、本実施形態に係る粉体塗料により塗装された塗装品である。本実施形態に係る塗装品の製造方法は、本実施形態に係る粉体塗料により塗装する塗装品の製造方法である。
具体的には、塗装品は、被塗装面に粉体塗料を塗布した後、加熱(焼付け)して粉体塗料の塗布膜を硬化させた塗膜を形成することにより得られる。粉体塗料の塗布及び加熱(焼付け)は、順次行ってもよく、一括して行ってもよい。粉体塗料を被塗装面に塗布する方法としては、静電塗装、流動浸漬等の公知の塗装方法を適用する。
焼付けの加熱温度(焼付温度)は、90℃以上250℃以下が好ましく、100℃以上220℃以下がより好ましく、100℃以上200℃以下が更に好ましく、120℃以上200℃以下が更に好ましい。焼付けの加熱時間(焼付時間)は、加熱温度(焼付温度)に応じて調節する。
粉体塗料の塗膜の厚さは、例えば10μm以上100μm以下であり、25μm以上60μm以下が好ましい。
粉体塗料を塗装する対象物品は、特に、制限はなく、各種の金属部品、セラミック部品、樹脂部品等が挙げられる。これら対象物品は、板状品、線状品等の各物品への成形前の未成形品であってもよいし、電子部品用、道路車両用、建築内外装資材用等に成形された成形品であってもよい。また、対象物品は、被塗装面に、予め、プライマー処理、めっき処理、電着塗装等の表面処理が施された物品であってもよい。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り「部」は質量基準である。
<実施例1:青色粉体塗料C1の作製>
[着色剤分散液C1の調製]
・シアン顔料(C. I. Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)、電子写真グレード、大日精化工業) :150部
・アニオン界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬): 20部
・イオン交換水 :350部
上記の材料を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006、スギノマシン社)を用いて1時間分散し、イオン交換水を加えて固形分濃度を25質量%に調製して、着色剤分散液C1を得た。着色剤分散液C1は、シアン顔料の体積平均粒径が130nmであった。
[着色剤分散液W1の調製]
・酸化チタン(CR−60、石原産業) :200部
・アニオン界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬): 10部
・イオン交換水 :300部
・1.0質量%硝酸水溶液 : 15部
上記の材料と直径3mmのアルミナビーズ(アズワン社)600部とを1000mLボトル(アイボーイ、アズワン社)に投入し、卓上ボールミルにて回転数150rpmで24時間混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度を25質量%に調製して、着色剤分散液W1を得た。着色剤分散液W1は、酸化チタン顔料の体積平均粒径が350nmであった。
[非晶性ポリエステル樹脂(APES1)の調製]
・テレフタル酸 :30モル部
・ドデセニル無水コハク酸 :20モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 :15モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 :10モル部
・プロピレングリコール :25モル部
上記の材料を、攪拌機、温度計、窒素ガス導入口、及び精留塔を備えた反応容器に仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら240℃に昇温し、重縮合反応を行った。非晶性ポリエステル樹脂(APES1)の重量平均分子量は2.2万であった。
[第1樹脂粒子の調製]
コンデンサー、温度計、水滴下装置、及びアンカー翼を備えたジャケット付き3L反応槽(BJ−30N、東京理化器械)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル300部とイソプロピルアルコール30部との混合溶剤を投入し、これに下記の材料を投入した。
・非晶性ポリエステル樹脂(APES1) :240部
・熱硬化剤:ブロックイソシアネート硬化剤VESTAGONB1530(EVONIK社) : 60部
・発泡防止剤:ベンゾイン :1.5部
・表面調整剤:アクリルオリゴマー(アクロナール4F、BASF社): 3部
上記材料の投入後、スリーワンモーターを用いて回転数150rpmで攪拌を施し、材料を溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に、10質量%アンモニア水溶液30部を5分間で滴下し、10分間混合した後、さらにイオン交換水900部を毎分5部の速度で滴下して転相させ、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800部とイオン交換水700部とを2Lのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して、非晶性ポリエステル樹脂APES1及び熱硬化剤を含有する第1樹脂粒子の分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。
その後、アニオン界面活性剤(Dowfax2A1、ダウケミカル社、有効成分量45質量%)を、分散液中の樹脂分に対して有効成分として2質量%添加混合し、イオン交換水を加えて固形分濃度を25質量%に調製した。これを第1樹脂粒子分散液とした。第1樹脂粒子分散液における第1樹脂粒子の体積平均粒径は145nmであった。
[結晶性ポリエステル樹脂(CPES1)の調製]
・セバシン酸 :50.5モル部
・1,10−デカンジオール :50モル部
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記の材料を投入し、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジオクタン酸スズを、上記材料の合計量100部に対して0.3部投入した。窒素ガス気流下、160℃で3時間攪拌し反応させた後、温度を180℃まで1.5時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、目的とする分子量になった時点で反応を終了して、結晶性ポリエステル樹脂(CPES1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(CPES1)の物性を表1に示す。表1において「Mw」は重量平均分子量である。
[第2樹脂粒子の調製]
・結晶性ポリエステル樹脂(CPES1):100部
・酢酸エチル : 60部
・イソプロピルアルコール : 15部
攪拌機を備えた反応容器中に、上記の材料を投入し、65℃にて溶解させた。溶解を確認した後、反応容器を60℃に冷却し、10%アンモニア水溶液5部を添加した。次いで、イオン交換水300部を3時間かけて反応容器中に滴下し、第2樹脂粒子の分散液を作製した。次いで、エバポレーターにて酢酸エチル及びイソプロピルアルコールを除去し、その後、イオン交換水を加えて固形分濃度を25%に調製し、これを第2樹脂粒子分散液とした。第2樹脂粒子分散液における第2樹脂粒子の体積平均粒径は140nmであった。
[凝集工程]
・第1樹脂粒子分散液:108部(固形分27部)
・第2樹脂粒子分散液:132部(固形分33部)
・着色剤分散液W1 :160部(固形分40部)
・着色剤分散液C1 : 8部(固形分2部)
・イオン交換水 :200部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社)で混合及び分散した。次いで、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを3.5に調整した。これに1質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液12部を加え、ホモジナイザーで分散操作を継続した。
攪拌機及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を調整しながら、毎分0.2℃で昇温し、体積平均粒径が5.0μmとなったところで、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(キレスト40、キレスト社)を樹脂固形分に対して1.5質量%添加し、次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.5に調整し、さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを樹脂固形分に対して0.3質量%添加した。
[融合合一工程]
その後、液温が70℃に到達するまで昇温し、70℃で2時間保持した。光学顕微鏡で、分散液中の粒子がほぼ球形化していることを確認した。
[濾過工程、洗浄工程、乾燥工程]
融合合一工程の終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、濾過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、再度固形分を得た。次に、この固形分を40℃のイオン交換水3L中に再分散し、回転数300rpmで15分間攪拌し洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させ、これを青色粉体粒子C1とした。青色粉体粒子C1の体積平均粒径D50vは、6.1μmであった。
[外部添加剤の外添]
100部の青色粉体粒子C1と、外部添加剤として0.5部の疎水性シリカ粒子(RX300、ヘキサメチルジシラザンで表面修飾した疎水性フュームドシリカ、日本アエロジル社)を、ヘンシェルミキサー(5リットルスケール)を用いて周速30m/秒で3分間攪拌し混合した。その後、200メッシュ(目開き45μm)の振動篩で篩分して青色粉体塗料C1を得た。
<実施例2〜13:青色粉体塗料C2〜C13の作製>
結晶性ポリエステル樹脂の重合成分を表1に示すとおりに変更し、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との含有割合を表2に記すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、青色粉体塗料C2〜C13を作製した。なお、表2中、結晶性PES樹脂および非晶性PES樹脂は、それぞれ、結晶性ポリエステル樹脂および非晶性ポリエステル樹脂を表す。
<実施例14:青色粉体塗料C14の作製>
第1樹脂粒子分散液54部(固形分14部)と第2樹脂粒子分散液36部(固形分9部)とを混合し、第1樹脂−第2樹脂混合樹脂粒子分散液を得た。
次に、青色粉体塗料C1の作製において、凝集工程を下記のように変更した以外は、同様にして、青色粉体塗料C14を作製した。
[凝集工程]
青色粉体塗料C1の作製において、凝集工程で用いた材料を、丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社)で混合及び分散した。次いで、1.0質量%硝酸水溶液を用いてpHを3.5に調整した。これに1質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液12部を加え、ホモジナイザーで分散操作を継続した。
攪拌機及びマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を調整しながら、毎分0.2℃で昇温し、体積平均粒径が5.0μmとなったところで、上記で作製した第1樹脂−第2樹脂混合樹脂粒子分散液32部(固形分8部)をゆっくりと投入した。
投入後30分間保持した後、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(キレスト40、キレスト社)を樹脂固形分に対して1.5質量%添加し、次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.5に調整し、さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを樹脂固形分に対して0.3質量%添加した。
<実施例15:赤色粉体塗料R1の作製>
[着色剤分散液R1の調製]
マゼンタ顔料(C. I. Pigment Red 122(キナクリドン)、大日精化工業)を用いた以外は着色剤分散液C1の調製と同様の方法で着色剤分散液R1を作成し、着色剤分散液C1の代わりに着色剤分散液R1を用いた以外は、実施例4と同様の方法で赤色粉体塗料R1を作製した。
<実施例16:黄色粉体塗料Y1の作製>
[着色剤分散液Y1の調製]
イエロー顔料(C. I. Pigment Yellow 74、大日精化工業)を用いた以外は着色剤分散液C1の調製と同様の方法で着色剤分散液Y1を作成し、着色剤分散液C1の代わりに着色剤分散液Y1を用いた以外は、実施例4と同様の方法で黄色粉体塗料Y1を作製した。
<実施例17:黒色粉体塗料K1の作製>
[着色剤分散液K1の調製]
カーボンブラック(Regal330、キャボット社)を用いた以外は着色剤分散液C1の調製と同様の方法で着色剤分散液K1を作成し、着色剤分散液C1の代わりに着色剤分散液K1を用いた以外は、実施例4と同様の方法で黒色粉体塗料K1を作製した。
<実施例18:白色粉体塗料W1の作製>
[着色剤分散液W1の調製]
着色剤分散液C1を用いなかった以外は、実施例4と同様の方法で白色粉体塗料W1を作製した。
<比較例1〜4、6、7:青色粉体塗料RC1〜RC4、6、7の作製>
結晶性ポリエステル樹脂の重合成分を表1に記すとおりに変更し、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との含有割合を表2に記すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、青色粉体塗料RC1〜4、6、7を作製した。
<比較例5:青色粉体塗料RC5の作製>
・非晶性ポリエステル樹脂(APES1):43部
・結晶性ポリエステル樹脂(CPES1):11部
・熱硬化剤:ブロックイソシアネート硬化剤VESTAGONB1530(EVONIK社) :6部
・酸化チタン(CR−60、石原産業) :40部
・シアン顔料(C. I. Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)、電子写真グレード、大日精化工業) :2部
以上の材料をBR型バンバリー型混練機(神戸製鋼社製)で、回転数120rpmで約15分間溶融混練した後、混練物を圧延ロールで厚さ1cm程度の板状に成形し、フィッツミル型粉砕機で数ミリ程度まで粗粉砕し、IDS粉砕機(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕し、ポリエステル系青色粉体塗料RC5を得た。
<評価>
[塗膜の乱れ]
上記で得た各粉体塗料100部を撹拌ホッパタイプのコロナガン(XR4−110STm、旭サナック社)のホッパに装填した。
鏡面仕上げのアルミ板のテストパネル(30cm×30cm)を準備し、粉体塗料の吐出口からテストパネル正面までの距離30cmの距離で、各粉体塗料をテストパネルに塗布し、被塗物を得た。なお、コロナガンの印加電圧は80kV、入力エア圧は0.55MPa、吐出量100g/分とした。この被塗物を180℃に設定したチャンバーに入れて30分間加熱(焼付け)し、塗膜試料(塗装品)を得た。焼き付け後の塗膜の膜厚を渦電流型膜厚計(ケット科学研究所社製)で測定し、膜厚を5μm刻みで段階的に厚くした塗膜試料をそれぞれ作製して、塗膜試料の表面(30cm×30cm)を目視で観察した。塗膜の表面に、静電反発に起因する乱れ(凹み状の形状)が発生している最小の膜厚を調べ、下記の評価基準で評価した。評価G2以上が許容範囲である。
−評価基準−
G11:膜厚が110μmでも塗膜の乱れが発生しない。
G10:膜厚が105μm以上110μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G9:膜厚が100μm以上105μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G8:膜厚が100μm以上105μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G7:膜厚が95μm以上100μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G6:膜厚が90μm以上95μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G5:膜厚が85μm以上90μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G4:膜厚が80μm以上85μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G3:膜厚が70μm以上80μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G2:膜厚が60μm以上70μm未満で塗膜の乱れが発生する。
G1:膜厚が60μm未満で塗膜の乱れが発生する。
[粉体塗料の搬送性]
上記の塗膜の乱れの評価と同じ条件で、テストパネルに、各例で得られた粉体塗料を膜厚が100μmになるまで塗布し、ホッパ内から粉体塗料が実質的に吐出できなくなるまで塗布を行った。塗布終了後、ホッパ内から粉体を取り出し、残留量を下記の評価基準で評価した。評価G2以上が許容範囲である。
−評価基準−
G8:ホッパ内の残留量が0.5%未満であった。
G7:ホッパ内の残留量が0.5%以上1.0%未満であった。
G6:ホッパ内の残留量が1.0%以上1.5%未満であった。
G5:ホッパ内の残留量が1.5%以上2.0%未満であった。
G4:ホッパ内の残留量が2.0%以上2.5%未満であった。
G3:ホッパ内の残留量が2.5%以上3.0%未満であった。
G2:ホッパ内の残留量が3.0%以上4.0%未満であった。
G1:ホッパ内の残留量が4.0%以上であった。
実施例の粉体塗料は、比較例の粉体塗料に比べ、搬送性に優れることがわかる。また、実施例の粉体塗料を用いた塗膜は、比較例の粉体塗料を用いた塗膜に比べ、塗膜の膜厚が厚い場合であっても、塗膜の乱れの発生が抑制されていることがわかる。

Claims (10)

  1. 非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂と、熱硬化剤とを含有し、該結晶性ポリエステル樹脂の粉体粒子表面に対する表面露出率が、面積率で、20〜60%である粉体粒子を有する熱硬化性粉体塗料。
  2. 該表面露出率が、面積率で、25〜55%である請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料。
  3. 該表面露出率が、面積率で、30〜50%である請求項2に記載の熱硬化性粉体塗料。
  4. 該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、該結晶性ポリエステル樹脂と該非晶性ポリエステル樹脂との合計量に対して、15〜55質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
  5. 該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、該結晶性ポリエステル樹脂と該非晶性ポリエステル樹脂との合計量に対して、25〜45質量%である請求項4に記載の熱硬化性粉体塗料。
  6. 該結晶性ポリエステル樹脂が、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合体であって、該多塩基酸および該多価アルコールの少なくとも一方が、脂肪族飽和型の単量体を含む重縮合体である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料。
  7. 該多塩基酸が、2つのカルボキシ基の間の炭素鎖の炭素数が6〜20のアルキレン基を持つ脂肪族飽和ジカルボン酸であり、該多価アルコールが、2つのヒドロキシ基の間の炭素鎖の炭素数が6〜20のアルキレン基を持つ脂肪族飽和ジオールである請求項6に記載の熱硬化性粉体塗料。
  8. 該非晶性ポリエステル樹脂及び該熱硬化剤を含む第1樹脂粒子を形成する工程と、
    該結晶性ポリエステル樹脂を含む第2樹脂粒子を形成する工程と、
    該第1樹脂粒子が分散した第1樹脂粒子分散液と、該第2樹脂粒子が分散した第2樹脂粒子分散液とを混合し、該第1樹脂粒子と該第2樹脂粒子とを凝集させて、該第1樹脂粒子と該第2樹脂粒子とを含む凝集粒子を形成する工程と、
    該凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱して、該凝集粒子を融合及び合一する工程と、
    を含む粉体粒子の製造工程を有する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料を製造する方法。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料の塗布膜を熱硬化させた塗膜を表面の少なくとも一部に有する塗装品。
  10. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱硬化性粉体塗料を被塗装面に塗布した後、該熱硬化性粉体塗料の塗布膜を熱硬化させて塗膜を形成することを含む、塗装品の製造方法。
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