(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるコールセンタ支援システムおよびオペレータのクライアントの好適な実施の形態を詳細に説明する。
(システムの概要構成)
図1は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムの概要図である。コールセンタ支援システムは、コールセンタが管理するチャットサーバ100と、無線通信網を含むインターネット等の通信網を介してチャットサーバ100に通信接続される顧客(ユーザ)U毎のクライアント(端末)101と、通信網を介してチャットサーバに通信接続されるコールセンタの担当者(オペレータ)Op毎のクライアント(端末)102と、を含み構成できる。
クライアント101,102は、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット等を用いることができる。
以下の説明では、コールセンタ支援システムは、顧客であるユーザUがコールセンタに問い合わせを行う例について説明する。
チャットサーバ100は、例えば、WebページやWebウィジェット等のUI実行部111により問い合わせ用の表示画面を生成してユーザUのクライアント101との間でチャットを行う。ユーザUのクライアント101は、チャットサーバ100が生成した表示画面を表示し、ユーザ操作によりチャットサーバ100に対する返答を行う。チャットサーバ100は、クライアント101間のチャットを管理する。
そして、チャットサーバ100は、問い合わせに対して、予め想定したユーザUに対する問い合わせの文言(テキスト)と、問い合わせの文言に対応してユーザUが返答する文言(テキスト)とを、bot112を用いて自動処理する。botとは、自動化プログラムを意味する。
bot112は、問い合わせの文言に対して想定した、ユーザUが返答する複数の選択肢を、例えば、スタンプとしてユーザUのクライアント101に送信し、ユーザUによってスタンプを選択させることができる。
FAQのデータベース(DB)113には、頻出頻度が高いFAQについて、問い合わせの文言と、問い合わせを想定したユーザUに対する問い合わせの文言と、ユーザUの返答の文言の組み合わせが予め記憶されている。bot112は、DB113を参照して問い合わせの処理を順次実行する。
振り分けプログラム114は、問い合わせに関する処理を振り分ける。ユーザUのクライアント101から問い合わせを受けると、処理のはじめの段階では、チャットサーバ100(bot112)による自動応答を行い、bot112の自動応答による問い合わせが完了すれば、チャットサーバ100(bot112)だけの処理で、ユーザUからの1回の問い合わせ処理を終了させる。
bot112は、予め設定しておいた問い合わせの回数、すなわち、ユーザUに対する問い合わせとその返答を繰り返して、設定されている複数の問い合わせを全てユーザUのクライアント101に送信してユーザUから返答が得られることにより、自動応答を終了する。なお、bot112は、自動応答中において、ユーザUがオペレータOpと直接対話したい場合のユーザ操作により、自動応答を終了させる。
一方、ユーザUの問い合わせがチャットサーバ100(bot112)の自動応答だけでは終了しない場合、振り分けプログラム114は、bot112がクライアント101との間でやり取りした問い合わせ内容の経過情報(ヒヤリングサマリー)Dをコネクションキュー116に入れる。以降、振り分けプログラム114は、コールセンタbot117を起動させ、オペレータOpによる問い合わせ処理に移行させる。
振り分けプログラム114は、ユーザUからの1回の問い合わせに関する情報、すなわち、bot112の自動応答、およびユーザUとオペレータOpとの間のチャットの内容(テキスト)をログ115として保持する。また、ユーザUの要望等により、ユーザUとオペレータOpとの間で音声通話を行った場合には、この音声についてもログ115に残しておくことができる。
なお、bot112の自動応答のみでユーザUからの問い合わせが完了しなかった場合、ログ115の記録に基づき、オペレータOpの回答と、その際のユーザUの問い合わせとをセットにした情報をDB113に新たに格納することもできる。これにより、DB113をナレッジDBとして活用し、bot112の自動応答の精度を向上することができるようになる。
オペレータOpの処理時には、振り分けプログラム114は、それまで顧客とやり取りした問い合わせ内容の経過情報Dを、対応できるオペレータOpのクライアント102に送出する。これにより、オペレータOpは、この問い合わせ内容の経過情報Dを参照しながら、ユーザUと直接会話して以降の詳細な問い合わせ業務を行う。
コネクションキュー116には、オペレータOpを介した対応を行う問い合わせの経過情報Dが順次格納される。コールセンタbot117は、FIFOの形で先にコネクションキュー116に入れられた問い合わせの経過情報Dから順に、複数のうち問い合わせに対応できるオペレータOpのクライアント102に送出する。
上記のユーザUは、日本国内の各地や全国に分散しており、クライアント101を操作して例えば一つのチャットサーバ100に問い合わせの通信接続を行う。また、オペレータOpは、例えば日本国内の1か所あるいは複数のコールセンタの所在地に配置されており、クライアント102を操作してチャットサーバ100に通信接続される。そして、クライアント101,102、およびチャットサーバ100は、互いの通信接続により、任意の位置に配置可能である。
図2は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムのチャットサーバのハードウェア構成例を示す図である。例えば、図1に示すチャットサーバ100は、図2に示す構成を有する。チャットサーバ100は、CPU201、ROM202、RAM203、磁気ディスクドライブ204、磁気ディスク205、光ディスクドライブ206、光ディスク207、入力デバイス208、映像I/F209、ディスプレイ210、通信I/F211、等を含む。各構成部201〜211は、バス220によってそれぞれ接続されている。
CPU201は、チャットサーバ100の全体の制御を司る制御部の機能を有する。ROM202は、サーバのブートプログラムを記録している。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU201は、RAM203をワークエリアとして使用しながら、ROM202に記録された各種プログラムを実行することによって、チャットサーバ100の全体の制御を司る。
磁気ディスクドライブ204は、CPU201の制御にしたがって磁気ディスク205に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク205は、磁気ディスクドライブ204の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク205としては、例えば、HD(ハードディスク)を用いることができる。
また、光ディスクドライブ206は、CPU201の制御にしたがって光ディスク207に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク207は、光ディスクドライブ206の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク207は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク207のほか、SSD、メモリカードなどを用いることができる。
入力デバイス208は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス208は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか一つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
映像I/F209は、ディスプレイ210に接続される。映像I/F209は、具体的には、例えば、ディスプレイ210全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ210を制御する制御ICなどによって構成される。
ディスプレイ210には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ210としては、例えば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
通信I/F211は、ネットワークに接続され、チャットサーバ100およびCPU201のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、インターネット、公衆回線網や携帯電話網、LAN、WANなどがある。
図1に示したチャットサーバ100は、図2に記載のROM202、RAM203、磁気ディスク205、光ディスク207などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU201が所定のプログラムを実行することによって、チャットサーバ100の機能を実現する制御部である。
図1に記載したbot112、振り分けプログラム114、コールセンタbot117は、図2に記載のCPU201がプログラム実行することにより機能を実現できる。これらbot112、振り分けプログラム114、コールセンタbot117は、それぞれ異なるCPU201が機能実行してもよいし、一つのCPU201が機能実行してもよい。また、図1に記載したコネクションキュー116は、図2に記載のRAM203等を用いて機能実現できる。
また、図1に記載のクライアント101,102についても、図2同様の構成を有し、CPU201が制御部として機能し、全体の処理を司る。クライアント101,102として用いるスマートフォンやタブレット等の携帯機器では、例えば、磁気ディスク205や光ディスク207に代えてフラッシュメモリを用いてもよい。
(問い合わせの処理概要)
図3は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムの問い合わせ時の処理概要の説明図である。図3の各構成部は、図1と同様である。上述した問い合わせ時に、主にチャットサーバ100が行う処理を順次説明する。
(1)顧客(ユーザU)Uは、クライアント101をチャットサーバ100に通信接続し、所定のログイン処理を行った後に所定の問い合わせであることを通知する。この際、チャットサーバ100は、UI実行部111が問い合わせ用の表示画面をクライアント101に送信し、クライアント101が問い合わせである旨を返答することで、振り分けプログラム114は、はじめにbot112を起動させる。
(2)これにより、bot112は、問い合わせの文言のDB113を参照して、クライアント101に対し、問い合わせが完了するまでの自動応答の文言を送信する。この際、bot112は、問い合わせに対応して想定した複数の返答用の文言をクライアント101に送信する。これにより、ユーザUは、bot112の問い合わせに対応した返答を選択することで、bot112による問い合わせ、例えば、忘れ物の特定に至るまでの処理を自動実行することができる。
振り分けプログラム114は、bot112で問い合わせが完結する場合は、以下の(3)〜(5)の処理、すなわち、オペレータOpが介在した処理への切り替えを行わない。また、bot112の自動応答だけで問い合わせが完結しない場合であっても、問い合わせの完了に有効なできるだけ多くの情報を収集するよう、クライアント101に対するチャットの自動送出を行う。この際、bot112は、自動応答だけで問い合わせが完了する/しないに限らず、問い合わせの途中において、クライアント101に対し、ユーザUが手動入力により任意の文言で返答する文言(テキスト)の入力欄を送出してもよい。
(3)この後、振り分けプログラム114は、bot112で問い合わせが完結しなかった場合には、bot112による自動応答を終了し、ユーザUをオペレータOpに接続する処理に切り替える。この際、bot112は、ユーザUのクライアント101との間でやり取りした自動応答時の問い合わせ内容の経過情報D1をコネクションキュー116に入れる。コネクションキュー116には、他のユーザUのクライアントとの間でやり取りした自動応答時の問い合わせ内容の経過情報D2,D3が順次入れられる。
(4)この後、コールセンタbot117は、コネクションキュー116から一つずつ問い合わせ内容の経過情報D1,D2,D3の順に取り出す。そして、コールセンタbot117は、これら複数の問い合わせ内容の経過情報D1〜D3に対応するオペレータOp(Op1〜Op3)のクライアント102を呼び出す。図示の例では、ユーザUの問い合わせ内容の経過情報D1をオペレータOp2のクライアントに割り当てた例である。以降、ユーザUの問い合わせは、オペレータOp2がクライアント102を用いて対応する。
コールセンタbot117は、オペレータOp2のクライアント102に対して、bot112の自動応答で作成された、問い合わせ内容の経過情報D1をオペレータOp2のクライアントに送信する。
(5)この後、オペレータOp2は、クライアント102を操作し、問い合わせ内容の経過情報D1を参照しながら、ユーザUのクライアント101との間でチャットにより問い合わせの詳細を聞き出し、ユーザUへの対応を完了させる。
(6)振り分けプログラム114は、ユーザUからの1回の問い合わせに関する情報、すなわち、bot112の自動応答、およびユーザUとオペレータOpとの間のチャットの内容(テキストをログ115として保持している。また、ユーザUとオペレータOpとの間で音声通話を行った場合には、この音声についてもログ115に残しておくことができる。そして、振り分けプログラム114は、所定の時期、例えば、定期的にあるいはユーザUからの1回の問い合わせ毎に、ログ115を出力する。
(7)この後、ログ115に基づき、DB113に新たな問い合わせと回答とをセットにした情報を追加することができる。すなわち、bot112の自動応答のみでユーザUからの問い合わせが完了しなかった場合、ログ115の記録に基づき、オペレータOpの回答と、その際のユーザUの問い合わせとをセットにした情報をDB113に新たに格納する。これにより、DB113をナレッジDBとして活用し、bot112の自動応答の精度を向上することができる。
(問い合わせ時の表示例)
次に、鉄道事業者のコールセンタのチャットサーバ100が行う問い合わせ時の処理の例を説明する。
図4〜図8は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムのユーザのクライアントの表示画面例を示す図である。チャットサーバ100のbot112は、ユーザUへの問い合わせの文言を、順次ユーザUのクライアント101に送信し、図示のようにクライアント101の表示画面400上に表示する。この表示画面400は、チャットサーバ100のUI実行部111が生成し、ユーザUのクライアント101に送信する。
チャットサーバ100のbot112が選択したはじめの問い合わせの文言は、クライアント101の選択表示欄401に表示される。UI実行部111は、選択表示欄401の最上部が過去の表示とし、新たな問い合わせを順次下方に表示させる。選択表示欄401の側部(左側)には、bot112の問い合わせとユーザUの返答の状況を示す経過表示欄402が設けられる。経過表示欄402には、選択表示欄401に対するユーザUの選択結果を示し、ログ115として用いる問い合わせ内容が表示される。
ユーザUのクライアント101は、携帯端末等小型の場合等には、経過表示欄402を表示しない構成としてもよいが、表示することにより、ユーザU自身も問い合わせの経過を容易に確認できるようになる。
はじめに、図4に示すように、ユーザUがチャットサーバ100に通信接続すると、チャットサーバ100(bot112)は、問い合わせの処理を開始し、最初の問い合わせd1を行う。問い合わせd1は、ユーザUに対し「どういったお困りでしょうか?」との文言を送信する。
この際、チャットサーバ100(bot112)は、問い合わせd1に対応して、予め想定したユーザUの返答用の選択ボタンr1を同時に送信する。返答用の選択ボタンr1は、複数候補「きっぷの変更、払い戻し、乗り越し、途中下車、お忘れ物、その他」をスタンプとして送信し、ユーザUはこの返答用の選択ボタンr1のなかから該当する返答用の選択ボタンr1を選択操作し、チャットサーバ100(bot112)に返答する。
次に、図5に示すように、ユーザUが複数候補の返答用の選択ボタンr1のなかから「お忘れ物」を選択した場合、選択表示欄401には、問い合わせd1の下部にユーザUが選択した返答R1として、「お忘れ物」が表示される。
この後、チャットサーバ100(bot112)は、返答R1に対応する次の問い合わせd2をユーザUに送信する。この際の問い合わせd2は、返答R1「お忘れ物」に対応し、この「お忘れ物」の詳細を問い合わせる内容である。そして、図示のように、「初回の問い合わせの有無」を問い合わせd2としてユーザUに送信する。
ここでは、チャットサーバ100(振り分けプログラム114)は、返答用の選択ボタンr2が「初回の問い合わせ」であれば、引き続きbot112により自動応答を行い、返答用の選択ボタンr2が「2回目以降の問い合わせ」であれば、bot112の自動応答を終了してオペレータOpのチャットに切り替えるよう予め設定されている。
ここで、ユーザUが返答用の選択ボタンr2として「初回の問い合わせ」を選択したとする。この場合、返答R2として「初回の問い合わせ」であることを表示し、図6に示すように、チャットサーバ100(bot112)は、ユーザUの返答R2に対応して次の問い合わせd3として「忘れ物は?」と問い合わせ、忘れ物がどのようなものか特定するための複数の情報を取得する。
この際、チャットサーバ100(bot112)は、問い合わせd1に対応して、予め想定したユーザUの返答用の選択ボタンr3を同時に送信する。この返答用の選択ボタンr3としては、複数候補「財布、定期券、携帯電話、その他(オペレータとチャットまたは電話で問い合わせ)」をスタンプとして送信する。ユーザUは、この返答用の選択ボタンr3のなかから該当する返答用の選択ボタンr3を選択操作し、チャットサーバ100(bot112)に返答する。
このように、返答用の選択ボタンr3の複数候補は、忘れ物、に対する問い合わせに対応して頻度が高い複数の返答を予めスタンプとして用意しておく。これにより、ユーザUは、文字入力する手間を省きスタンプを選択する操作だけで返答を容易に行えるようになる。
ユーザUが複数候補の返答用の選択ボタンr3のなかから「財布」を選択した場合、選択表示欄401には、問い合わせd3の下部にユーザUが選択した返答R3として、「財布」を表示する。
この後、チャットサーバ100(bot112)は、返答R3に対応する次の問い合わせd4として、「財布に関する詳細をお聞きする旨」であることを表示し、また、問い合わせd5として「忘れた日」と、想定した返答用の選択ボタンr5「今日、昨日、おととい(一昨日)」を表示する。
ユーザUが複数候補の返答用の選択ボタンr5のなかから「今日」を選択した場合、選択表示欄401には、問い合わせd5の下部にユーザUが選択した返答R5として、「今日」を表示する。
この後、チャットサーバ100(bot112)は、返答R5に対応する次の問い合わせd6として、「落とした時刻」であることを表示し、返答R6として複数候補を表示してもよいが、この例では、返答R6としてユーザUの操作による時刻入力欄を表示させている。この返答R6の時刻入力欄に対して、ユーザUは、クライアント101を操作して、「朝10時」を入力したとする。
なお、図6に示すように、チャットサーバ100のUI実行部111は、経過表示欄402に、bot112による問い合わせの内容と、ユーザUによる返答の内容の一覧からなる経過情報Dを時系列に表示する。経過表示欄402には、いつでもオペレータOpとの対話が行えるようオペレータ読み出しのボタン601が設けられる。
以下、詳細は省略するが、図7に示すように、チャットサーバ100(bot112)が順次問い合わせd7〜d9を行い、対応してユーザUが返答R7〜R9を行ったとする。これら返答R7〜R9は、いずれもユーザUがクライアント101を操作して文言をテキスト入力した状態である。そして、図7の経過表示欄402に示すように、チャットサーバ100のUI実行部111は、忘れ物である財布を特定するための各種の問い合わせの内容と、ユーザUによる返答の内容の一覧を順に表示する。
チャットサーバ100のbot112は、一通りの問い合わせが終わると、問い合わせd10として「オペレータにつなぐ(代わる)旨」の表示を行う。上記例では、チャットサーバ100は、bot112による自動応答で、財布に関するできる限りの情報が得られた場合を示している。以後、チャットサーバ100の振り分けプログラム114は、オペレータOpによる対応に切り替え、該当する忘れ物である「財布」を探す処理をオペレータOpに任せる。
この際、チャットサーバ100の振り分け部(振り分けプログラム)114は、ユーザUのクライアント101とbot112との通信接続を、オペレータOpのクライアント102に切り替え接続する。この際、bot112は、それまでユーザUとの間でやり取りした経過情報Dをコネクションキュー116に入れる。
そして、チャットサーバ100のコールセンタbot117は、切り替え時点で対応できるオペレータOpのクライアント102にユーザUのクライアント101を通信接続する。この際、コールセンタbot117は、コネクションキュー116から該当するユーザUの経過情報Dを読み出し、該当するオペレータOpのクライアント102に送信する。
そして、図8に示すように、以後は、ユーザUとオペレータOpとの間でチャットによる対話が行われる。この際、オペレータOpは、チャットサーバ100から送信された経過情報Dにより、ユーザUの問い合わせ内容を知ることができ、ユーザUとの間で忘れ物「財布」に関するチャットを直ちに行うことができる。
図8に示す例では、オペレータOpは、ユーザUに対し、忘れ物の「財布」の有無を探している通知d11と、探した結果「財布がある」旨の通知d12とをチャットで送信し、ユーザUから「取りに行く」旨の返答R10を受けてユーザUに「チャット終了の旨の挨拶」の通知d13を行い、オペレータOpの対応を終了する。
そして、オペレータOpがチャット終了の旨をクライアント102の操作により行うと、チャットサーバ100は、bot112の自動応答による終了処理を行う。例えば、終了処理のためのbot112を用いることもできる。終了処理のbot112は、ユーザUの個人情報(氏名、住所、電話番号等)をユーザUに問い合わせる。
また、終了処理のbot112は、図8に示すように今回の問い合わせのアンケートを行う。例えば、「意見や感想」の問い合わせd14を送信する。この問い合わせd14には、予め想定したユーザUの返答用の選択ボタンr14「とても良かった/特にない」等を同時に送信してもよい。図面記載の便宜上、選択ボタンr14の項目数は少ないが、例えば、「とても良かった/良かった/まあまあ/その他/あまり良くない/悪い」等と項目数を増やしてもよい。この例では、ユーザUは、「とても良かった」と返答し、さらに文言のテキスト入力で「迅速に対応していただき助かりました」との返答R14を返答している。
この後、終了処理のbot112は、「問い合わせ終了」の旨を示す通知d15を行った後、「終了のボタン選択で終了する」旨の通知d16を行う。この通知d16には、ユーザUが操作する「終了のボタン(トップに戻る)」の選択ボタンr16を表示させてもよい。
図9〜図11は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムのオペレータのクライアントの表示画面例を示す図である。オペレータOpのクライアント102上のマルチ・ビューの表示画面を示す。チャットサーバ100のコールセンタbot117は、選択したオペレータOpのクライアント102に対し、ユーザUの経過情報Dを送信する。
図9に示すように、表示画面901上には、左側に複数のユーザU(a,b,c)のトーク一覧910が設けられる。右側にはチャットエリア911が設けられ、チャットエリア911にはトーク一覧910に表示されたユーザUのうち選択した複数のユーザU(a,b,c)のチャット(メッセージ)が表示される。
このように、オペレータOpは、複数のユーザUからの問い合わせを同時に受けることができる。対応して、チャットサーバ100のコールセンタbot117は、一人のオペレータOpのクライアント102に対して、複数のユーザUのクライアント101を通信接続し、チャットを行わせる。
画面上のユーザ指定部901aの選択により、ある一人のユーザUとのチャットが行える。トーク一覧910のユーザU(a)を選択操作すると、チャットエリア911には、トーク一覧910の表示領域910a上のユーザU(a)のチャット内容(メッセージ)911aが時系列に表示される。
チャット内容911aの下部には、メッセージ入力部912が設けられ、オペレータOpがテキストを入力し、送信操作することで、ユーザU(a)に対して、入力したメッセージを送信することができる。
また、マルチユーザ指定部901bのアイコン選択により、トーク一覧910に表示されている複数のユーザのうち、3ユーザU(a,b,c)を選択すると、チャットエリア911は、ユーザ数3に対応して3分割表示される。
そして、トーク一覧910に表示するユーザU(a,b,c)の位置(幅方向の位置)は、任意に設定できる。トーク一覧910のユーザUのチャットエリア911は、ユーザU数に対応して画面の幅方向に3分割する。そして、カーソルを幅方向に移動させたとき、チャットエリア911の表示位置を例えば領域別の色で表示する。
図9の表示領域910aは3分割した左側の位置を示し、ユーザUのトーク一覧910上で最も左側(1番目)の表示領域910aを選択すると、チャットエリア911の最も左側がユーザU(a)のチャットエリア911aとなる。
仮に、ユーザUのトーク一覧910で中央(2番目)の表示領域910bを選択すると、チャットエリア911の中央のチャットエリア911bがユーザU(b)の表示領域となり、ユーザUのトーク一覧910で最も右側(3番目)の表示領域910cを選択すると、チャットエリア911の最も右側のチャットエリア911cがユーザU(c)の表示領域となる。
図10には、3ユーザU(a,b,c)のチャットエリア911の表示領域を決定した状態を示す。ユーザU(a)はトーク一覧910上で最も左側の表示領域910aを選択することで、チャットエリア911の最も左側がユーザU(a)のチャットエリア911aとなる。
ユーザU(b)は、トーク一覧910で中央の表示領域910bを選択することで、チャットエリア911の中央のチャットエリア911bがユーザU(b)の表示領域となる。ユーザU(c)は、トーク一覧910で最も右側の表示領域910cを選択することで、チャットエリア911の最も右側のチャットエリア911cがユーザU(c)の表示領域となる。
上記例では、表示画面901で3ユーザを選択することに対応して、チャットエリア911に3ユーザのトーク内容を表示する例を説明したが、トーク一覧910で選択するユーザの数に応じてユーザの数は1〜nに変更でき、さらに多くのユーザUのトークをチャットエリア911に表示することもできる。
以上のように、オペレータOpのクライアント102は、複数のユーザUのトーク内容を同時に表示し、容易に確認できるようになる。また、チャットエリア911に表示するユーザUはトーク一覧910のユーザ選択で容易に変更できる。さらに、チャットエリア911に表示するユーザUの表示領域についても任意の位置に変更できる。
図10には、ユーザUとの間のチャットの表示状態を示す。以下、一人のユーザUに対するオペレータOp側でのチャット時の表示内容について説明する。クライアント102は、上述したように、ユーザUに対する問い合わせの「受付開始」の操作を行うと、チャットサーバ100のコールセンタbot117は、オペレータOpのクライアント102に対し、コネクションキュー116の入っている取り出し位置先頭のユーザUの経過情報Dを送信する。
そして、オペレータOpのクライアント102は、図9で説明した表示設定により、チャットサーバ100から送信されたユーザU(a)の経過情報(ヒヤリングサマリー)Dをチャットエリア911aに表示する。なお、チャットエリア911aの経過情報Dの上部位置には、チャットサーバ100から受信したオペレータOpへの事項(問い合わせの受付時間、問い合わせ毎に固有のチャット番号等)Sが表示される。
図10のチャットエリア911aには、はじめに、チャットサーバ100がbot112により自動応答した際のユーザUとの間のやり取りの経過情報Dが表示される(図4〜図7相当の内容)。
この後、図11に示すように、チャットサーバ100がユーザUのクライアント101をオペレータOpのクライアント102に通信接続されると、オペレータOpとユーザUとの間のやり取りが経過情報Dに加えられることになる(図8相当の内容)。
図11に示すように、オペレータOpは、経過情報Dの内容を確認して「確認」のボタン1101を選択操作することで、オペレータOpによるチャットが開始される。なお、オペレータOpが経過情報Dを確認した結果、オペレータOp自身ではユーザUとの対話が開始できない状態のときには、「SV(スーパバイザ)」のボタン1102を操作することで、他のオペレータOp(SV)へ以後の対応を移行することができる。この場合、チャットサーバ100のコールセンタbot117は、ユーザUのチャット接続先を他(SV)のクライアント102に切り替える。
図11の右側には、ユーザとのやり取りの説明の便宜上、上述した選択表示欄401と、対応する経過情報Dを記載してある。そして、オペレータOpは、クライアント102を操作し、表示画面901のメッセージ入力部912にユーザUへ通知する内容の文言を入力する。
図11の例では、上述したように、オペレータOpは、ユーザUに対し、忘れ物の「財布」をオペレータOpが探している通知d11と、探した結果「財布がある」旨の通知d12とをチャットで送信する。ユーザUから「取りに行く」旨の返答R10を受けてオペレータOpは、ユーザUに「チャット終了の旨の挨拶」の通知d13を行い、オペレータOpの対応を終了する。
ここで、忘れ物の「財布」の有無を探している通知d11等は、ユーザUへの通知としてよく使用するため、定型文としてクライアント102に登録しておき呼び出すことで、オペレータOpの文言(テキスト)入力の手間を省力化することができる。
図12は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムが出力するログの例を示す図である。チャットサーバ100は、ユーザUからの問い合わせの内容全体を記録したログ115を出力する。ログ115は、経過情報(ヒヤリングサマリー)Dであり、チャットサーバ100のbot112の自動応答時のやり取りの内容D1と、オペレータOp対応時のやり取りの内容D2と、連絡事項Sと、を含む。
チャットサーバ100は、ユーザUからの1回の問い合わせ毎のログ115を作成し、メモリに蓄積保持する。これにより、ユーザU毎の過去の問い合わせ内容等を容易に検索できるようになる。また、ログ115は、テキスト文であり、bot112の自動応答およびオペレータOpのチャットの内容が全て記録されているため、問い合わせ内容そのものを簡単に確認できる。
図13は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムによる複数のユーザへのオペレータ対応を説明する図である。上述した複数のユーザU(a,b,c)からの問い合わせは、上記チャットサーバ100により、一人のオペレータOpのクライアント102で対応することができる。
チャットサーバ100に通信接続された複数のユーザU(a,b,c)のクライアント101は、振り分けプログラム114により複数に振り分けられる。そして、各振り分け先にそれぞれコールセンタbot117を設ける。これにより、複数のユーザU(a,b,c)のクライアント101を一人のオペレータOpのクライアント102に接続することができる。
これにより、上述した図9〜図11で説明したように、一人のオペレータOpが1台のクライアント102の表示画面901上で、複数のユーザU(a,b,c)に対するチャットを並行して行うことができる。
図14は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムによる複数のユーザへのオペレータ対応の効果を説明する図である。図14(a)に示すように、現在(従来)のコールセンタ業務では、一人のユーザUからの1回の問い合わせに対するオペレータOpの対応に平均15分の時間がかかっていた。内訳として、ユーザUから問い合わせの状況ヒヤリングが10分、ヒヤリング後の解決が5分である。
これに対し、実施の形態によれば、状況ヒヤリングをオペレータOpに代わってbot112の自動応答で行うことにより、一人のユーザUあたりオペレータOpが対応する解決の時間は5分で済むことになる。
そして、上述したように、複数ユーザUを一人のオペレータOpで対応が可能になる。この場合、図14(b)に示す例では、3名のユーザU(a,b,c)に対する状況ヒヤリングはbot112が同時並行して行うため、オペレータOpの対応時間はかからない。そして、一人のオペレータOpが行う作業時間は、一人のユーザU(1件)当たり解決の時間が5分であるため、3名に対する対応を順次切り替えて行ったとしても15分で済む。
このように、オペレータOp側での対応にかかる時間は一人当たり従来15分かかっていたのに対して実施の形態では5分で済むため、従来に比して1/3の時間短縮が図れる。同じ15分でみれば、一人のオペレータOpは、従来一人のユーザUの1件しか対応できなかったが、実施の形態によれば3人(3件)に対応でき、コールセンタ業務を3倍効率化できることになる。
図15は、実施の形態にかかるコールセンタ支援システムの拡張例を説明する図である。コールセンタ支援システムの各部の拡張例について説明する。ユーザUのクライアント101は、上述したようなWebウィジェット等でWeb表示する構成101aに限らず、ほかに、チャットサービス101bのアプリケーションや、メッセンジャーアプリケーション101cに適用することもできる。加えて、ユーザUは問い合わせに対し音声で返答し、チャットサーバ100が音声認識することもできる。
また、チャットサーバ100のbot112は、AIエンジンを搭載することで、ユーザUとの間の自動応答の精度や効率を向上することができる。bot112は、一問一答形式で問い合わせするのではなく、先の問い合わせと回答の状態に応じ、足りないパラメータ(質問)だけを問い合わせることで、効率を向上できる。例えば、ユーザUが一度に複数のパラメータを回答(今日、忘れ物、傘)した場合、足りないパラメータ(色、形状)だけを1度あるいは複数回で問い合わせる。
また、bot112を多国語対応とすることで、ユーザUが使用する言語に対応できる。この際、各国別のテキストを認識して対応するに限らず、ユーザUの音声認識により対応する言語の音声で問い合わせることもできる。また、DB113は、ユーザUとの間のチャットをテキストや音声だけではなく、画像や動画を用いることで、ユーザUに分かりやすく問い合わせを行うことができるようになる。
また、コールセンタbot117は、botの数を×nとして増やすことで、上述したように、一人のオペレータOpが同時に複数のユーザUと対話できるようになる。また、ログ115の内容をAI分析することで、問題や、改善課題の発見ができるようになり、問い合わせに対する対応の精度を向上できるようになる。
また、オペレータOpのクライアント102は、上述した表示画面上に複数のユーザUを表示するマルチ・ビュー機能により、一人のオペレータOpによる複数のユーザUに対するチャットを効率的に行えるようになる。
以上説明した実施の形態によれば、チャットサーバは、ユーザからの問い合わせに対し、はじめはbotが自動対応して問い合わせの内容をできるだけ聞き出し、その後、botからオペレータ対応に切り替える。これにより、ユーザからの問い合わせに応答するオペレータの作業負担を軽減できるとともに、ユーザあたりの問い合わせ時間を短縮化できる。これにより、複数のユーザからの問い合わせを円滑に捌いて処理できるようになり、コールセンタ業務の効率化を図ることができるようになる。
また、チャットサーバは、オペレータの数の増減に対応して複数のユーザからの問い合わせをオペレータに均等に割り当てることができる。加えて、オペレータ毎の習熟度の違いに合わせて、熟練者に多くのユーザを割り当て、初心者に少ないユーザを割り当てることにより、コールセンタ業務全体の作業の平準化も図れる。例えば、コールセンタで定めた受付時間内で各オペレータが業務を完了でき、オペレータの人員変動や人員不足にも対応できるようになる。
また、チャットサーバは、botによる自動応答の際、ユーザに問い合わせる際に、予め想定した複数の返答の選択ボタンをユーザに送信することで、ユーザはテキスト入力等の操作を極力簡略化し、選択ボタンの選択だけで返答できるようになる。これにより、botを用いた際の複数の問い合わせを逐次円滑に進めることができ、やり取りの回数を削減できるようになる。同時に、ユーザ側においてもテキスト入力操作や音声会話等を極力省くことができ、ユーザ側からみた問い合わせにかかる時間についても短縮化できるようになる。
上記の実施の形態では、botによる自動応答後、オペレータがチャット(または音声会話)で対応する例について説明した。しかしながら、botだけでユーザからの問い合わせを終了できる場合もある。この場合、オペレータによる対応を不要にでき、さらに、問い合わせ業務を効率化できるようになる。
コールセンタは、botによる自動応答のみを24時間行うこともできる。この場合、をチャットサーバは、オペレータ対応が必要な件の経過情報(ヒヤリングサマリー)をコネクションキューに保持しておけばよい。そして、オペレータの就業時にチャットサーバがコネクションキューから経過情報を読み出して対応することができる。この場合、コールセンタからユーザへの返答が必要となり、ユーザ側の事情でオペレータとの間のチャット等のやり取りがすぐに行えない場合が生じる。この対応としては、例えば、予めユーザから問い合わせ時間や問い合わせ先を指定入力させるようにすればよい。また、再度ユーザから前回のチャット番号を含む問い合わせを行わせるようにすればよい。
また、オペレータのクライアントでは、複数のユーザとやり取りするチャットを同時に複数表示でき、複数のユーザとの間のチャットのやり取りを効率的に行えるようになる。また、トーク一覧にチャット中の複数のユーザの一覧を表示し、トーク一覧で選択したユーザのトークの詳細をユーザの数に応じた分割数で分割したチャットエリアに表示することができ、ユーザの数が多い場合でも効率的にチャットを行うことができる。
さらに、トーク一覧に表示されているユーザの選択を変更することで、チャットエリアに表示するユーザのトークを簡単に変更できる。すなわち、複数ユーザ問い合わせを切り替えながら、同時並行処理することもできる。例えば、あるユーザからの回答待ちに時間がかかる場合、その待ち時間を利用して他のユーザとチャットすることもできるようになる。
また、トーク一覧のユーザの表示領域をユーザの数に応じて分割するため、チャットエリアに詳細なメッセージを表示したいユーザを任意に選択でき、限られた表示部の表示面積上で効率的に複数のチャットを表示できるようになる。
上述した実施の形態では、ある企業の顧客からの問い合わせを受けるコールセンタ業務を例に説明したが、本願発明は、アパレル等の複数店舗の来客者の声(意見)や気づき点等の情報管理や、アパレル店舗への派遣業務企業に対する派遣応募者からの問い合わせ、各企業の各現場からの連絡、巡回等で外出する複数ユーザ(ラウンダー)からの業務報告、外食産業の複数店舗における定期的な品質管理の問い合わせおよび回答による品質管理、パート・アルバイトの管理者に対する定期的なシフト依頼および回答によるシフト勤務管理、タクシー等の運転日誌や車両情報、立替金等の日報管理等、多様な問い合わせの業務に適用することができる。
なお、本実施の形態で説明したコールセンタ支援にかかるプログラムは、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することにより実現することができる。また、このプログラムは、半導体メモリ、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。