JP6530934B2 - 地山固結用薬液 - Google Patents

地山固結用薬液 Download PDF

Info

Publication number
JP6530934B2
JP6530934B2 JP2015056509A JP2015056509A JP6530934B2 JP 6530934 B2 JP6530934 B2 JP 6530934B2 JP 2015056509 A JP2015056509 A JP 2015056509A JP 2015056509 A JP2015056509 A JP 2015056509A JP 6530934 B2 JP6530934 B2 JP 6530934B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solution
parts
water
mass
ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015056509A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016175982A (ja
Inventor
山田 弘樹
弘樹 山田
勇太 村井
勇太 村井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
1/1ASAHI YUKIZAI CORPORATION
Original Assignee
1/1ASAHI YUKIZAI CORPORATION
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 1/1ASAHI YUKIZAI CORPORATION filed Critical 1/1ASAHI YUKIZAI CORPORATION
Priority to JP2015056509A priority Critical patent/JP6530934B2/ja
Publication of JP2016175982A publication Critical patent/JP2016175982A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6530934B2 publication Critical patent/JP6530934B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Description

本発明は、地山固結用薬液に係り、特に、軟弱な地山(地盤、岩盤等も含む)を堅固な地山に改善するために用いられる地山固結用薬液に関するものである。
従来の地山固結用薬液としては、主に、セメント系の薬液やウレタン系の薬液が用いられてきている。しかしながら、一般に使用されるセメント系の薬液は、固結時間が長く、固形成分の粒径が大きいために、地山への浸透性が悪く、均一で強固な固結体を得ることが困難であるという問題がある。また、ウレタン系の薬液は、ポリオールを必須成分とするA液とポリイソシアネートを必須成分とするB液の二液から構成されて、その使用時において反応、発泡することにより固化するようにしたものであるが、そのような薬液は、固化時間は早いものの、高価で且つ可燃性であるために、経済性や安全性の点において、改善が必要であると共に、特に低温環境下では著しく注入性が低下し、均一で強固な固結体を得ることが困難であるという問題を内在している。
そこで、このような問題を解決するための方策として、固結時間を短くするために、A液に更に水ガラスを配合してなる薬液を用いて、固結強度を向上せしめると共に、その注入性を改善するために低粘度とした地山固結用薬液が、提案されている。例えば、特許文献1においては、A液中のポリオールとして、水酸基価が750〜1900の低分子ポリオールを用いることで、薬液の低粘度化が図られており、これによって、従来の固結用薬液と比べて、低粘度化と浸透性の向上を図り、また発泡倍率を高くすることが出来るとされている。
しかしながら、かかる特許文献1に提案の地山固結用薬液は、A液中のポリオールとして低分子量ポリオールを用いているところから、地山固結剤として用いるに充分な強度を発現し難く、また強度発現のために、多量に添加する必要があった。そのため、材料にコストが掛かると共に、充分に低粘度化することが出来ないという問題を内在している。
ところで、そのような薬液において、水ガラスとして用いられているケイ酸ソーダ(珪酸ナトリウム)の水溶液は、Na2O・nSiO2・mH2O の分子式で表され、そしてそこで、SiO2 とNa2O の分子比である係数nは、モル比と呼ばれているのであるが、珪酸ナトリウム水溶液の物性は、そのようなモル比によって異なり、一般的に、そのようなモル比nが0.5〜4.0の範囲において、珪酸ナトリウム水溶液が生産され、市販されてきている。特に、水ガラス(水溶液)と称される珪酸ナトリウム水溶液は、nが1以上の非結晶性珪酸ナトリウムの水溶液であり、かかるモル比nを連続的に変化させて、製造することが可能である。
また、上記の分子式において、Na2O とSiO2 に対してH2O の割合が小さくなると、珪酸ナトリウム水溶液は粘調液あるいは半固体状物質となり、その取扱性が低下するという問題が発生する。一方、Na2O とSiO2 に対してH2O の割合が大きくなる珪酸ナトリウムの希薄水溶液では、固形成分(珪酸ナトリウム)の凝集が発生し、長期分散安定性が維持され難くなる問題が惹起される。
このようなことから、珪酸ナトリウム水溶液等の水ガラスを用いた薬液は、水の添加量に適量があり、その粘度も一定値より低下させ難いものであったのである。例えば、特許文献2においては、水ガラスとポリオールを含むA液に、更に発泡剤として多くの水を添加してなる形態が明らかにされており、これによって、水ガラスの粘度も低下せしめられ得るようになると考えられるのであるが、水ガラスに対して水を加え過ぎると、白濁化が惹起され、そしてこの白濁化の原因となるゲル状の物体が、固結剤を注入する際の詰まりの原因となるために、安定した使用が出来ないという問題や、長期保存を行うと、白濁したゲル状の物体が、沈殿して、分離してしまうようになる問題を惹起することとなるところから、そのような白濁や沈殿の生じた水ガラス水溶液を固結剤として使用すると、物性が安定しない上に、より一層詰まりが惹起され易くなるという問題があった。
特開平6−287558号公報 特開2001−11444号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、水ガラスとポリオールとを配合し、更に水を加えて調製されるA液と、ポリイソシアネートを必須成分とするB液とからなる二液型の地山固結用薬液において、かかるA液の低粘度化を図りつつ、その白濁化を防止して、充填性を更に向上させると共に、長期保存安定性にも優れた薬液を提供することにある。
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいて、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載から把握される発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) 水ガラスとポリオールとを配合し、更に水を加えて調製されるA液と、ポリイソ シアネートを必須成分とするB液からなる地山固結用薬液であって、該A液に、前 記水ガラス中の固形成分の100質量部に対して180〜250質量部の割合で、 水が含有せしめられ、且つ該A液中の水と前記ポリオールとが、質量比で100: 7〜100:35の割合となるように調整されていると共に、かかるA液に、分散 剤が更に添加せしめられていることを特徴とする地山固結用薬液。
(2) 前記水ガラスがケイ酸ナトリウムの水溶液であり、且つ該ケイ酸ナトリウムのS iO2 /Na2O のモル比が、2.0〜3.0の範囲内であることを特徴とする前 記態様(1)に記載の地山固結用薬液。
(3) 前記分散剤が、前記水ガラスに含まれる固形成分の100質量部に対して0.1 〜15質量部の割合で用いられていることを特徴とする前記態様(1)又は前記態 様(2)に記載の地山固結用薬液。
(4) 前記分散剤が、カルボン酸系分散剤またはポリカルボン酸系分散剤であることを 特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の地山固結用薬 液。
(5) 前記水ガラス100質量部中の固形成分の割合が、20〜65質量部であること を特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の地山固結用 薬液。
(6) 前記A液の0℃雰囲気中の粘度が、200〜1000mPa・sであることを特 徴とする前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載の地山固結用薬液 。
(7) 前記A液が、破泡剤を更に含有してなることを特徴とする前記態様(1)乃至前 記態様(6)の何れか1つに記載の地山固結用薬液。
(8) 前記破泡剤が、シリコーン系破泡剤であることを特徴とする前記態様(7)記載 の地山固結用薬液。
(9) 前記破泡剤が、前記水ガラスに含まれる固形成分の100質量部に対して0.0 1〜5質量部であることを特徴とする前記態様(7)又は前記態様(8)に記載の 地山固結用薬液。
(10) 前記A液と前記B液とが、容量基準にて、2:1〜1:2の割合において用い られる前記態様(1)乃至前記態様(9)の何れか1つに記載の地山固結用薬液。
そして、このような本発明の構成によれば、水ガラスを配合してなるウレタン系の地山固結用薬液において、水とポリオールとが所定の比率で混合して用いられ、且つ分散剤が添加せしめられていることにより、水ガラスとポリオールと水とを配合して構成されるA液の粘度低減効果が非常に高く、これによって、地山内への非常に高い浸透性が実現され得ることとなることに加えて、低粘度化されたA液における白濁化乃至はゲル化が、効果的に抑制乃至は阻止され得て、その長期保存安定性が有利に実現せしめられ、また地山の固結強度も効果的に高め得たのである。
実施例において薬液の浸透距離を測定するために用いられるの試験装置において、薬液を注入する前の状態を示す縦断面説明図である。 図1に示される試験装置において、薬液を注入して、静置した状態を示す縦断面説明図である。
要するに、本発明は、A液とB液からなる二液型の地山固結用薬液において、かかるA液が、水ガラスとポリオールとを配合し、更に水を加えて調製される一方、そのようなA液中における水ガラスの固形成分と水との割合、及び水とポリオールの割合を所定の範囲内に調整すると共に、分散剤を更に添加、配合せしめることによって、所期の目的を達成したところに、大きな特徴を有しているのである。
そして、そのような本発明に従う地山固結用薬液を構成する二液のうちの一つであるA液において、その必須成分の一つである水ガラスは、可溶性の珪酸化合物の水溶液である。ここで、かかる珪酸化合物としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム、アルキルシリケート等を挙げることが出来るが、特に、本発明にあっては、入手が容易で安価な珪酸ナトリウム(珪酸ソーダ)が、好適に用いられることとなる。そして、珪酸ナトリウムを用いる場合においては、SiO2 /Na2O のモル比が2.0〜3.0の範囲内であることが望ましい。このモル比が2.0よりも小さくなると、反応触媒やポリオール等の添加剤との相溶性が悪化し、ゲル状物の生成等が惹起され易くなるところから、長期保存が困難となるのである。また、モル比が3.0よりも大きくなると、粘度が高くなるために、低粘度のA液を設計することが困難となって、地山への注入性が低下し、また液の分散安定性も低下し、更に凝固点が高くなって、冬季に使用出来なくなる問題がある。
ところで、そのような水ガラスとしては、各種のものが市販されており、本発明にあっては、そのような市販品を適宜に選択して用いることが出来る。なお、珪酸ナトリウムの水溶液に関しては、JIS規格(JIS K 1408)にて規定されており、1号、2号、3号等として知られているところであり、またこのJIS規格に準拠して配合されたものであれば、4号や5号等や、1.5号や2.5号等の配合のものであっても、それらを用いることが可能である。更に、そのような水溶液の形態にある水ガラス中における固形成分の割合は、JIS規格の各号や、水ガラスの種類等に応じて種々異なるものとなるが、A液の安定性や固結特性等の観点から、一般に、20〜60質量%程度とされ、好ましくは30〜45質量%の割合の固形成分を含有する水ガラスが、有利に用いられることとなる。
なお、水ガラス中の固形成分とは、水溶液の形態にある水ガラスから、水や溶剤等の揮発する物質を除いたもの(不揮発分)であって、この固形成分が、珪酸ナトリウム等の珪酸化合物に実質的に相当するものである。そして、そのような固形成分は、次のようにして測定されることとなる。即ち、アルミ箔製皿(縦:90mm、横:90mm、高さ:15mm)内に、試料(水ガラス)の10gを秤量して、収容し、それを180±1℃に保持した加熱板上に載置して、20分間放置した後、かかる試料皿を、その内面に試料が固着した状態で反転させて、更に20分間、かかる加熱板上に放置することにより、試料の乾燥を行う。次いで、加熱板上から試料皿を取り出して、デシケーター中で放冷した後、秤量を行って、次式により、水ガラス中の固形成分の割合が求められる。
固形成分(%)=[乾燥後の質量(g)/乾燥前の質量(g)]×100
また、A液を構成する必須成分の他の一つであるポリオールとしては、特に限定されるものではなく、従来から地山固結用薬液におけるポリオール成分として用いられているものが、同様に使用され得るところであり、例えば、公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を挙げることが出来る。それらのポリオールは、単独で使用することが出来る他、適宜に組み合わせて併用することも可能である。なお、このポリエーテルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも2個以上の活性水素基を有する、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン等のアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等の化合物を出発原料として、これとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加反応により製造されたもの等を用いることが出来る。また、ポリエステルポリオールにあっても、特に限定されるものではないが、例えば、多価アルコールと、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ダイマー酸等のポリカルボン酸とを反応させて得られるポリカルボン酸系ポリエステルポリオール、ラクトン等を開環重合させて得られるラクトン系ポリエステルポリオール等を挙げることが出来る。
そして、上述の如きポリオールは、一般に、200〜1000程度の分子量を有していることが望ましく、更に300〜600程度の分子量を有していることが、より望ましいのである。かかる分子量が200よりも小さくなると、固結強度の発現が困難となるのであり、また分子量が1000よりも大きくなると、A液の粘度が高くなる問題を惹起する恐れがある。また、そのようなポリオールの水酸基価としては、100〜600mgKOH/gの範囲が好ましく、特に好ましくは150〜400mgKOH/gである。
さらに、本発明にあっては、A液が、上記した水ガラスとポリオールとを配合せしめ、更に水を加えて調製されることとなるのであるが、ここで用いられる水は、発泡剤として機能すると共に、A液の低粘度化に寄与するものである。このような水は、純水、水道水、蒸留水、工業用水等、ゴミや塵等が混入していなければ、特に限定されないが、利用し易い工業用水や水道水が有利に用いられることとなる。本発明にあっては、かかる水は、水ガラス中の固形成分の100質量部に対して180〜250質量部の割合において、好ましくは200〜240質量部の割合となるように用いられて、A液が調製されることとなる。なお、水の使用割合が180質量部よりも少なくなると、A液の充分な低粘度化が図れず、触媒等を加えた際の液安定性が悪化する問題が惹起され、また250質量部よりも多くなると、固結強度の発現が不充分となる問題を惹起する。ここで、水ガラス中の固形成分に対する水の量とは、水ガラスの質量から固形成分の質量を除いた水ガラス中の水の質量と、別途加えられる水の質量との総量である。
本発明にあっては、かくの如き水とポリオールとの組合せにより、A液の低粘度化を有利に実現するものであって、そこで用いられる水とポリオールのA液中の質量比は、100:7〜100:35の範囲内、好ましくは100:10〜100:32の範囲内、より好ましくは100:12〜100:25の範囲内とされる。なお、水の100質量部に対してポリオールの割合が7質量部よりも少なくなると、水分が過多となり、B液との反応によって生じるフォームが湿潤となって、固結強度が発現され難くなるのである。また、水の100質量部に対してポリオールの割合が35質量部よりも多くなると、粘度が高くなって、A液の低粘度化を図ることが困難となる。
ここで、A液を構成する水ガラスと水とポリオールの関係において、水ガラスに対して水の使用量を多くすることにより、粘度が下がり、ポリオールを添加配合し易くなのであるが、水の使用量が多くなると、B液との反応によって生じる発泡体(フォーム)が水で湿潤な状態となり、一部の水は発泡体より染み出してくることもある等、発泡性や発泡体物性が悪くなるのであるが、本発明の如く、水とポリオールの質量比を調整することによって、粘度が低くなって注入し易く、且つ発泡の良好な地山固結用薬液を得ることが出来るのである。
そして、本発明に従う地山固結用薬液を得るべく、上述の如く、水ガラスとポリオールと水とを所定の割合において配合して調製されるA液には、更に、本発明に従って、分散剤が添加されて、含有せしめられることとなるのである。この分散剤の添加によって、水ガラスとポリオールと水とを必須成分として構成されるA液における三者の分散、安定化効果が有利に高められ得て、白濁化が効果的に阻止され得ることとなるのである。即ち、A液の粘度を下げるために水を添加すると、通常では、水ガラス中の固形成分の100質量部に対して多量の水、具体的には180質量部以上の水を添加すると、A液に白濁化が生じてしまい、薬液としての性能の低下が惹起されるようになるのであるが、本発明に従って、分散剤を添加することによって、かかる分散剤による分散効果により、A液の白濁化が効果的に阻止されることとなるのである。なお、このような分散剤は、水ガラス中の固形成分の100質量部に対して、一般に0.1〜15質量部、好ましくは0.25〜10.0質量部、より好ましくは0.5〜2.5質量部の割合において用いられることとなる。この分散剤の使用量が0.1質量部よりも少なくなると、A液の分散安定化効果が充分に得られ難くなる等という問題があり、また15質量部よりも多くしても、その分散安定化効果の改善の程度は軽微であり、そのためにそれ以上の添加は経済的ではなく、安価な配合設計が困難となることに加えて、高濃度に添加することで液粘度が高くなるという問題を惹起するようになる。
このような本発明において用いられ得る分散剤としては、具体的には、カルボン酸系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤、スルホン酸系分散剤、ナフタレン系分散剤、メラミン系分散剤、フェノール系分散剤等の公知の分散剤を挙げることが出来、これらの中から適宜に選定されることとなるが、特に、本発明にあっては、水ガラスに水を多量に加えた際における白濁化の阻止特性に優れている点よりして、カルボン酸系分散剤やポリカルボン酸系分散剤が、好適に用いられることとなる。なお、ポリカルボン酸系分散剤としては、分子構造中にアクリル酸由来の構成単位またはマレイン酸(無水マレイン酸を含む)由来の構成単位を含有する重合体からなるものが、有利に選択される。ここで、アクリル酸由来の構成単位は、下記式(1)で示されるものである。また、マレイン酸由来の構成単位は、下記式(2)で示され、更に無水マレイン酸由来の構成単位は、下記式(3)で示されるものである。これらは、単体またはアクリル酸およびマレイン酸(無水マレイン酸を含む)を共重合したものとして、使用されることとなる。
Figure 0006530934
(式中、Mは、H又はNa、K等のアルカリ金属塩を示す)
Figure 0006530934
(式中、X、Yは、同一または異なって、H又はNa、K等のアルカリ金属塩を示す)
Figure 0006530934
そして、この本発明で用いられるポリカルボン酸系分散剤の中和率は、0〜100%の間で任意に調整可能である。また、その中和率は、A液の安定性を向上する観点から、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。更に、その重量平均分子量は、分散安定性の観点や取り扱い上の観点から、3000〜70000が好ましく、5000〜50000が更に好ましい。加えて、アクリル酸及びマレイン酸(無水マレイン酸を含む)を共重合したものを用いる場合においては、アクリル酸の含有量が50mol%以上であることが、好ましい。更にまた、全構成単位中のアクリル酸及びマレイン酸由来の構成単位の合計含有量が90mol%以上であることが、より好ましく、一方、重合体を構成するアクリル酸及びマレイン酸由来の構成単位以外の構成単位としては、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸由来の構成単位等が挙げられる。
なお、かかる本発明において用いられる分散剤は、何れも市販されており、それら市販品の中から適宜に選択され得るところであるが、例えば、ポリカルボン酸系分散剤としては、具体的には、花王株式会社製のポイズ520、ポイズ530、ポイズ535、デモールEPや、第一工業製薬株式会社製のシャロールAN−103P、シャロールAN−144P等が好適なものとして挙げられる。加えて、カルボン酸系分散剤としては、花王株式会社製のOSソープ、FR−25や、第一工業製薬株式会社製のカリセッケンHYなどが好適なものとして挙げられる。
また、スルホン酸系分散剤としては、花王株式会社製のネオペレックスG−15、ペレックスSS−L、エマールG10、エマール2F−30、エマール20Cや、第一工業製薬株式会社製のネオゲンS−20F、ネオゲンAO−90、ネオコールSW、モノゲンY−100などが好適なものとして挙げられる。ナフタレン系分散剤としては、花王株式会社製のペレックスNB−L、デモールNLや、第一工業製薬株式会社製のノイゲンEN、ノイゲンEN−10、ノイゲンBN−1390、ラベリンFD−40、ラベリンFM−45、セルフロー120などが好適なものとして挙げられる。メラミン系分散剤としては、第一工業製薬株式会社製のユニショットF−350などが好適なものとして挙げられる。フェノール系分散剤としては、花王株式会社製のエマルゲンA−90、第一工業製薬株式会社製のPHE−1、ノイゲンEA−87、ノイゲンEA−137、ノイゲンEA−157などが好適なものとして挙げられる。
そして、かくの如き本発明に従うA液には、浸透距離の向上を目的として、更に、破泡剤が好適に添加せしめられることとなる。本発明の如き発泡性の地山固結用薬液では、それを岩盤に注入する際に、発泡硬化反応が進行しつつ、岩盤全体に薬液が浸透せしめられるようになるところから、必要以上の発泡は薬液を注入する際の抵抗となるため、破泡剤を添加して、岩盤に浸透した時点で、薬液中に生じた発泡セルの一部を破泡せしめ、更に注入される薬液の抵抗にならないようにすることによって、岩盤への浸透距離を有利に向上させることが出来るのである。なお、ここで用いられる破泡剤としては、シリコーン系、ポリエーテル系、金属石鹸系等の公知のものを挙げることが出来、中でも、シリコーン系破泡剤は使用条件が広く、汎用性があり、様々な溶液に適用することが出来るために、特に好ましい。なお、シリコーン系破泡剤としては、ポリジメチルシロキサン、有機変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等を挙げることが出来る。また、かかる破泡剤は、一般に、水ガラス中の固形成分の100質量部に対して0.01〜5質量部程度、好ましくは0.025〜2.5質量部程度、より好ましくは0.05〜2質量部程度の割合となるように、A液中に配合せしめられることとなる。
また、本発明に従って調製されるA液は、0℃の雰囲気中における(動)粘度が200〜1000mPa・sとなるように調整されることとなる。この粘度が200mPa・sよりも低くなると、A液の分散安定性が低下し、ポリイソシアネート(B液)との混合性が悪化して、発泡性の不良を惹起したり、A液とポリイソシアネート(B液)とを所定の割合で注入することが困難となる恐れがある。また、1000mPa・sよりも高くなると、A液が粘調な液となり、その注入性が低下する等の問題を惹起する。しかも、かかるA液は、25℃の雰囲気中での(動)粘度が、30〜100mPa・sとなるように調整されることが推奨されるのである。
さらに、本発明に従って調製されるA液の比重は、1.25〜1.35の範囲内であることが望ましい。この比重が1.25よりも小さくなると、A液は水が多い状態となり、その粘度が低くはなるものの、分散安定性や発泡安定性が低下するようになる。また、かかる比重が1.35よりも大きくなると、A液中の水の量が少なくなり、粘度が高くなるところから、岩盤への注入性の不良が生じる等の問題がある。
一方、本発明に従う地山固結用薬液を構成する二液のうちの他の一つであるB液は、従来と同様に、ポリイソシアネートを必須成分として調製されてなるものであって、本発明にあっては、そのようなB液中におけるポリイソシアネートの含有量が70〜80質量%程度となるように調整されることが望ましい。なお、かかるポリイソシアネートの含有量が70質量%よりも少なくなると、発泡性が低下する問題があり、またその含有量が80質量%よりも多くなると、反応速度の調整が困難となったり、A液との混合性が低下したりする等の問題を惹起する。従来の地山固結用薬液においては、B液におけるポリイソシアネート成分の割合は80質量%以上、好ましくは90質量%以上であることが望ましいとされているのであるが、本発明によれば、ポリイソシアネートとA液との混合性が有利に向上せしめられ得ているところから、従来では充分に反応させ得なかったポリイソシアネートが、A液との反応に有効に寄与することが出来ることとなり、このため、従来よりも少ないポリイソシアネートの割合でも、従来と同様の反応性や硬化性を得ることが出来ることとなったのである。
ここで、かかるB液の必須成分であるポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有する有機系イソシアネート化合物であり、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI)、トリレンジイソシアネート、ポリトリレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートの他、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等を挙げることができる。これらのポリイソシアネート成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。一般的には、反応性や経済性、取扱性等の観点から、MDIやクルードMDIが好適に用いられる。
ところで、本発明に従う地山固結用薬液を構成する上述の如きA液及びB液には、その使用目的に応じて、従来と同様な添加剤を添加せしめることが可能である。例えば、A液に対する添加剤としては、反応触媒、整泡剤、難燃剤、減粘剤等を挙げることが出来る。これらの添加剤は、A液を構成する水ガラス中の固形成分の100質量部に対して0.1〜15質量部、好ましくは0.3〜10質量部の割合において用いられることとなる。また、B液に対する添加剤としては、整泡剤、難燃剤、減粘剤等を挙げることが出来、その中で、整泡剤や減粘剤は、ポリイソシアネートの100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部の割合となるように用いられ、また難燃剤は、ポリイソシアネートの100質量部に対して1〜50質量部、好ましくは10〜40質量部の割合となるように用いられることとなる。
それら添加剤の中で、反応触媒としては、従来からウレタンの反応に用いられている既知のものを使用する事が出来、例えばアミン系触媒等を挙げることが出来る。なお、アミン系触媒には、水を発泡剤源として用いる場合にイソシアネート成分と水との反応を促進する作用を有する泡化触媒、イソシアネート成分とポリオール成分との反応を促進する作用を有する樹脂化触媒、イソシアネート成分の3量化を促進する作用を有するイソシアヌレート化触媒等が挙げられる。
具体的には、例えば、泡化触媒としては、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリエチルアミノエチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’−トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン等が挙げられる。また、樹脂化触媒としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、トリエチレンジアミン、33%トリエチレンジアミン・67%ジプロピレングリコール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N−メチル−N’−ヒドロキシエチルピペラジン、N−メチルモルフォリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール等が挙げられる。更に、イソシアヌレート化触媒としては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)−ヘキサヒドロ−s−トリアジン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても何等差し支えない。
また、整泡剤は、A液とB液との反応によって形成されるフォームのセル構造を均一に整えるために用いられるものである。この整泡剤としては、例えばシリコーン、非イオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等が挙げられ、これらの中でも、シリコーン及び非イオン系界面活性剤が好ましく用いられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して、用いられてもよい。また、整泡剤の中では、シリコーン系整泡剤がより好ましく、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体等が好ましい。
さらに、難燃剤としては、例えば臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、ハロゲン化リン酸エステル、無機系難燃剤等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して、用いられてもよい。これらの中でも、環境への負荷が少なく、発泡性組成物の減粘剤としても機能する点で、リン酸エステルおよびハロゲン化リン酸エステルが好ましく用いられる。なお、リン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられる。また、ハロゲン化リン酸エステルとしては、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、テトラキス(2クロロエチル)ジクロロイソペンチルジホスフェート、ポリオキシアルキレンビス(ジクロロアルキル)ホスフェート等が挙げられる。
加えて、減粘剤は溶剤として用いられ、A液又はB液に溶解されて、それらの液を減粘する働きを有するものであって、そのような機能を有するものである限りにおいて、特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のエーテル類、プロピレンカーボネート等の環状エステル類、ジカルボン酸メチルエステル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、石油系炭化水素類等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上を併用して、用いられてもよい。
そして、かくの如きA液とB液とから構成される本発明に従う地山固結用薬液の使用に際しては、それら両液が、使用時に混合されて、目的とする地山(地盤、岩盤等も含む)に対して、従来と同様にして注入されることとなる。なお、かかる注入に際してのA液とB液との混合比は、A液中の水酸基含有量とB液中のNCO基含有量によって適宜に変化せしめられることとなるが、一般に、容量基準にて、2:1〜1:2、好ましくは、1.5:1〜1:1.5の範囲内において、採用されることとなる。また、それらA液やB液の注入方法についても、それらの注入の直前に、二液の混合が確実に行われ得る手法であれば、特に限定はなく、従来から公知の注入手法が、適宜に採用されることとなる。
以下に、本発明の実施例や比較例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
なお、以下の実施例及び比較例において得られたA液の特性(濁度、粘度)と共に、A液とB液とを混合して地山固結用薬液として反応・発泡せしめて得られる発泡体の発砲後の所見、圧縮強度、浸透距離については、それぞれ、以下の手法に従って測定乃至は評価した。また、以下に示す「%」及び「部」は、何れも、質量基準である。
(1)濁度
目視により、A液中の沈殿物やゲル状物の有無を観察する一方、濁度計(セントラル化学株式会社:Turb 555型)により、濁度の測定を行った。測定試料であるA液は、各種原料を混合して調製された日から30日経過後のものを用い、それを濁度計によって評価し、その評価結果を、以下のとおりとした。
○:未検出、または1.5mg/l未満
×:1.5mg/l以上
(2)粘度
ジェオフロンテ研究会 環境対応WG著、「ウレタン系注入式フォアポーリング 技術資料 改定版 −材料試験編・積算編・材料取扱い方法編−」、ジェオフロンテ研究会出版、2013年3月14日発行、第5頁〜第6頁の「第2章 比重および粘度試験方法」に従って、0℃の雰囲気中の粘度の測定を行った。なお、測定値の一の位は、四捨五入して、示されている。
(3)発泡後の所見
ジェオフロンテ研究会 環境対応WG著、「ウレタン系注入式フォアポーリング 技術資料 改定版 −材料試験編・積算編・材料取扱い方法編−」、ジェオフロンテ研究会出版、2013年3月14日発行、第2頁〜第4頁の「第1章 発泡試験方法」に従って、反応容器であるポリカップ内で発泡させて得られた発泡体を取り出して、以下のとおり評価した。
○:発泡後のポリカップ底に水の溜まりがない。
×:発泡後のポリカップ底に水の溜まりがある。
(4)圧縮強度
ジェオフロンテ研究会 環境対応WG著、「ウレタン系注入式フォアポーリング 技術資料 改定版 −材料試験編・積算編・材料取扱い方法編−」、ジェオフロンテ研究会出版、2013年3月14日発行、第17頁〜第21頁の「第5章 ウレタン系注入材の一軸圧縮試験の供試体作成方法」に従って、圧縮強度の測定を行った。なお、本発明においては、圧縮強度は3N/mm2 以上であることを合格とする。
(5)浸透距離
図1に示すような試験装置を用いて測定される。先ず、呼び径φ150mm、肉厚5mm、長さ2000mmの透明塩化ビニル樹脂製のパイプ1の片側端面を、キャップ2で接着密閉し、このキャップ2を底面にして垂直に立設保持される。そして、パイプ1内部に、呼び径φ15mm、肉厚2mmの固結剤注入用のチューブ3を挿入し、このチューブ3の先端部がキャップ2に接する直前に位置させ、且つパイプ1のほぼ中心部となるように保持せしめた状態で、パイプ1内を、4号珪砂で充満することにより、チューブ3を固定する。次いで、キャップ4の中心に孔をあけ、チューブ3をキャップ4の孔に貫通させてパイプ1のもう一方の端面をキャップ4で接着密閉する。なお、キャップ4には、任意にφ1mmの穴が30箇所以上あけられており、固結剤注入時の空気穴とされる。
次いで、チューブ3の開口部5より、実施例のA液とB液を混合した地山固結用薬液を2.5kg/分で1分間注入し、30分間静置する(図2の状態)。その後、キャップ2端面からキャップ4側へ浸透して発泡した地山固結用薬液の高さを測定し、一の位を四捨五入した値を、浸透距離とする。パイプ1内部で浸透距離のばらつきがある場合、浸透距離の平均値で算出した。なお、本発明においては、そのような浸透距離が800mm以上を合格とする。
(実施例1)
−A液の調製−
水ガラスとして、ケイ酸ナトリウム2号(SiO2/Na2Oのモル比2.5)の固形成分40%の水溶液を用い、その100部に、水20部、ポリオール6部、アミン触媒M0.8部、アミン触媒N0.2部、及び分散剤1部を加え、均一に混合して、A液とした。そして、この得られたA液の濁度及び粘度を測定し、その結果を下記表1に示した。
なお、ここで用いられたポリオールは、分子量400、官能基数2、水酸基価280mgKOH/gのプロピレングリコールであり、またアミン触媒Mは、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンであり、アミン触媒Nは、トリエチレンジアミン/ジプロピレングリコール=33/67の混合物であり、更に分散剤は、ポリカルボン酸系分散剤(陰イオン性、pH8〜10)である、市販品:ポイズ520(花王株式会社製)である。なお、本実施例においては、水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合のA液中の水の量は、200部に相当し、水とポリオールの質量比は100:7.5であった。
−B液の調製−
ポリイソシアネートの100部に、難燃剤30部を加え、均一に混合して、B液とした。ここで、イソシアネートとしては、MDI(2,4’−MDI/4,4’−MDI=20/80)を用い、また難燃剤としては、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェートを用い、更に整泡剤としては、市販品のポリエーテル変性シロキサンSZ−1671(信越シリコーン株式会社製品)を用いた。
次いで、上記で得られたA液とB液とを、体積比にて1:1の割合で組み合わせて、均一に混合し、反応・発泡せしめた後、前述の評価手法に従って、発泡後の所見、得られた発泡体の圧縮強度、更にはA液とB液を混合してなる混合液(地山固結用薬液)の浸透距離を評価し、それらの結果を、下記表1に示した。
(実施例2〜5)
実施例1におけるポリオールの配合量を、9.6部(水:ポリオール=100:12)、13.2部(水:ポリオール=100:16.5)、16.8部(水:ポリオール=100:21)、又は24部(水:ポリオール=100:30)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、それぞれ試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表1に示した。
(実施例6〜10)
実施例1における水の配合量を35部(水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合の水の量は237.5部に該当)とし、ポリオールの配合量を、それぞれ10.5部(水:ポリオール=100:11)、16.8部(水:ポリオール=100:17.7)、23.1部(水:ポリオール=100:24)、29.4部(水:ポリオール=100:31)、又は31.5部(水:ポリオール=100:33)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、それぞれ試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表1に示した。
(実施例11)
実施例3における分散剤を4部としたこと以外は、実施例3と同様の手法に従って、試験を行った。その得られた結果を、下記表2に示した。
(実施例12)
実施例6における分散剤を4部としたこと以外は、実施例6と同様の手法に従って、試験を行った。その得られた結果を、下記表2に示した。
(実施例13〜14)
実施例3において、A液の調製に際して、水ガラスに、シリコーン系破泡剤としてダッポーH−230(サンノプコ株式会社)を、0.1質量部又は1質量部の割合で更に添加したこと以外は、実施例3と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表2に示した。
(実施例15)
実施例3における分散剤を、ポリカルボン酸系分散剤のポイズ530(花王株式会社製)としたこと以外は、実施例3と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表2に示した。
(実施例16)
実施例6における分散剤を、ポリカルボン酸系分散剤のポイズ530(花王株式会社製)としたこと以外は、実施例6と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表2に示した。
(実施例17)
実施例3における分散剤を、ナフタレン系分散剤のデモールNL(花王株式会社製)としたこと以外は、実施例3と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表2に示した。
(実施例18)
実施例3における分散剤を、スルホン酸系分散剤のネオペレックスG−15(花王株式会社製)としたこと以外は、実施例3と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表2に示した。
(実施例19)
実施例3における水ガラスを、ケイ酸ナトリウム1号(SiO2/Na2Oのモル比2.0)の固形成分40%水溶液の100部としたこと以外は、実施例3と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表2に示した。
(実施例20)
実施例3における水ガラスを、ケイ酸ナトリウム3号(SiO2/Na2Oのモル比3.0)の固形成分40%水溶液の100部としたこと以外は、実施例3と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表2に示した。
(比較例1)
実施例1における水の配合量を、5部(水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合の水の量は162.5部に該当)とし、ポリオールの配合量を、15部(水:ポリオール=100:23)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
(比較例2)
実施例1における水の配合量を、50部(水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合の水の量は275部に該当)とし、ポリオールの配合量を、15部(水:ポリオール=100:13.6)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
(比較例3)
実施例1におけるポリオールの配合量を、5部(水:ポリオール=100:4.5)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
(比較例4)
実施例1におけるポリオールの配合量を、50部(水:ポリオール=100:45)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
(比較例5)
実施例1において、分散剤を添加せず、水の配合量を5部(水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合の水の量は162.5部に該当)とし、ポリオールの配合量を15部(水:ポリオール=100:23)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
(比較例6)
実施例1において、分散剤を添加せず、水の配合量を8部(水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合の水の量は170部に該当)とし、ポリオールの配合量を15部(水:ポリオール=100:22.1)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
(比較例7)
実施例1において、分散剤を添加せず、水の配合量を20部(水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合の水の量は200部に該当)とし、ポリオールの配合量を15部(水:ポリオール=100:17.6)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
(比較例8)
実施例1において、分散剤を添加せず、水の配合量を35部(水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合の水の量は237.5部に該当)とし、ポリオールの配合量を15部(水:ポリオール=100:15.8)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
(比較例9)
実施例1において、分散剤を添加せず、水の配合量を50部(水ガラスに含まれる固形成分を100部とした場合の水の量は275部に該当)とし、ポリオールの配合量を15部(水:ポリオール=100:13.6)としたこと以外は、実施例1と同様の手法に従って、試験を行った。そして、その得られた結果を、下記表3に示した。
Figure 0006530934
Figure 0006530934
Figure 0006530934
かかる表1〜表3に示される結果より明らかな如く、本発明に従う実施例1〜20に係るA液とB液との組合せからなる地山固結用薬液においては、A液の白濁化は何等認められず、また低粘度であるところから、薬液の浸透性において優れた結果が得られていることが認められる。しかも、それらの薬液を発泡させて得られた発泡体の圧縮強度が高く、そのために、地山の固結強度を有利に高め得るものであることが認められるのである。なお、実施例3と実施例11、実施例6と実施例12の結果の対比より、分散剤は、その使用量を変化させても、同様の効果が得られており、また実施例1と実施例13〜14の結果の対比より、更に破泡剤を添加することにより、強度への影響を回避しつつ、薬液の浸透距離を更に伸ばすことが出来ることが認められる。
これに対して、実施例1〜20の結果との対比において、比較例1では、水ガラスに含まれる固形成分の割合に対して水の使用量が少な過ぎるために、A液の粘度が高くなり過ぎて、浸透距離が不足し、強度も出なくなることが認められ、また比較例2においては、水の使用量が多くなり過ぎると、浸透距離は良くなるものの、強度や発泡後の所見が悪くなることが認められる。更に、比較例3〜4の結果より、水に対するポリオールの使用量に関して、少な過ぎると発泡後の所見が悪く、また強度が足りなくなる問題があり、一方多過ぎると、粘度が高くなり過ぎて、浸透距離が不足する問題があることが解る。
また、比較例5〜9の結果より、分散剤を添加していないと、濁度が悪化することが認められる。そして、A液が白濁化した状態で使用すると、時間の経過と共にゲル化が進行するため、強度も低下して問題となるのである。なお、比較例5の水の量が少ない場合、白濁化は起こらないが、粘度が高くなり過ぎて、強度が不足するようになるのである。
1 パイプ
2 キャップ
3 チューブ
4 キャップ
5 開口部

Claims (11)

  1. 水ガラスとポリオールとを配合し、更に水を加えて調製されるA液と、ポリイソシアネートを必須成分とするB液からなる地山固結用薬液であって、
    該A液に、前記水ガラス中の固形成分の100質量部に対して180〜250質量部の割合で、水が含有せしめられ、且つ該A液中の水と前記ポリオールとが、質量比で100:7〜100:35の割合となるように調整されていると共に、かかるA液に、それら水ガラスとポリオールと水の三者を分散、安定化して、白濁化を阻止する分散剤が、前記水ガラスに含まれる固形成分の100質量部に対して0.1〜15質量部の割合において、更に添加せしめられていることを特徴とする地山固結用薬液。
  2. 前記分散剤が、カルボン酸系分散剤またはポリカルボン酸系分散剤であることを特徴とする請求項1に記載の地山固結用薬液。
  3. 水ガラスとポリオールとを配合し、更に水を加えて調製されるA液と、ポリイソシアネートを必須成分とするB液からなる地山固結用薬液であって、
    該A液に、前記水ガラス中の固形成分の100質量部に対して180〜250質量部の割合で、水が含有せしめられ、且つ該A液中の水と前記ポリオールとが、質量比で100:7〜100:35の割合となるように調整されていると共に、かかるA液に、カルボン酸系分散剤またはポリカルボン酸系分散剤が更に添加せしめられていることを特徴とする地山固結用薬液。
  4. 前記カルボン酸系分散剤またはポリカルボン酸系分散剤が、前記水ガラスに含まれる固形成分の100質量部に対して0.1〜15質量部の割合で用いられていることを特徴とする請求項に記載の地山固結用薬液。
  5. 前記水ガラスがケイ酸ナトリウムの水溶液であり、且つ該ケイ酸ナトリウムのSiO2 /Na2O のモル比が、2.0〜3.0の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の地山固結用薬液。
  6. 前記水ガラス100質量部中の固形成分の割合が、20〜65質量部であることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の地山固結用薬液。
  7. 前記A液の0℃雰囲気中の粘度が、200〜1000mPa・sであることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の地山固結用薬液。
  8. 前記A液が、破泡剤を更に含有してなることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の地山固結用薬液。
  9. 前記破泡剤が、シリコーン系破泡剤であることを特徴とする請求項記載の地山固結用薬液。
  10. 前記破泡剤が、前記水ガラスに含まれる固形成分の100質量部に対して0.01〜5質量部であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の地山固結用薬液。
  11. 前記A液と前記B液とが、容量基準にて、2:1〜1:2の割合において用いられる請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の地山固結用薬液。
JP2015056509A 2015-03-19 2015-03-19 地山固結用薬液 Active JP6530934B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015056509A JP6530934B2 (ja) 2015-03-19 2015-03-19 地山固結用薬液

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015056509A JP6530934B2 (ja) 2015-03-19 2015-03-19 地山固結用薬液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016175982A JP2016175982A (ja) 2016-10-06
JP6530934B2 true JP6530934B2 (ja) 2019-06-12

Family

ID=57069418

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015056509A Active JP6530934B2 (ja) 2015-03-19 2015-03-19 地山固結用薬液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6530934B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6851906B2 (ja) * 2017-05-31 2021-03-31 旭有機材株式会社 地山固結用薬液組成物
JP6905875B2 (ja) * 2017-06-07 2021-07-21 フジモリ産業株式会社 地山の改良評価試験装置及び方法
JP6963917B2 (ja) * 2017-06-07 2021-11-10 フジモリ産業株式会社 浸透性評価試験方法及び装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2908746C2 (de) * 1979-03-06 1983-08-11 Bayer Ag, 5090 Leverkusen Verfahren zum Verfestigen und Abdichten von geologischen und geschütteten Gesteins- und Erdformationen
JP2591540B2 (ja) * 1991-03-11 1997-03-19 第一工業製薬株式会社 トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
JPH06287558A (ja) * 1993-04-01 1994-10-11 Tokai Rubber Ind Ltd 地山固結用薬液
JP3448406B2 (ja) * 1994-10-04 2003-09-22 東海ゴム工業株式会社 地山固結用薬液
JPH08302348A (ja) * 1995-05-10 1996-11-19 Bridgestone Corp 地盤改良用発泡性薬液及びその樹脂組成物
JP3125287B2 (ja) * 1995-08-14 2001-01-15 日本ポリウレタン工業株式会社 土壌安定化ポリウレタン系発泡樹脂用組成物、及び該組成物を用いた土壌安定化方法
JP3358188B2 (ja) * 1997-10-15 2002-12-16 日本ポリウレタン工業株式会社 土壌固結用注入薬液組成物及びそれを用いた土壌安定強化止水工法
JP2000345158A (ja) * 1999-03-31 2000-12-12 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法
JP2002194354A (ja) * 2000-12-22 2002-07-10 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 空隙充填用注入薬液組成物、及びそれを用いた空隙充填工法
JP2003055660A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Bridgestone Corp 地盤改良用薬液及び地盤改良工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016175982A (ja) 2016-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8334355B2 (en) Silicone-polyether block copolymers having a defined polydispersity in the polyoxyalkylene part and their use as stabilizers for producing polyurethane foams
JP6530934B2 (ja) 地山固結用薬液
CN106687491B (zh) 硬质聚氨酯泡沫用多元醇组合物、及硬质聚氨酯泡沫的制造方法
JP2023107792A (ja) 岩盤固結用注入薬液組成物及び成形体
JP6688628B2 (ja) 建設基礎用薬液
JP5710654B2 (ja) ポリウレタンフォームパネル
JP7076033B2 (ja) 地盤注入用薬液組成物
JP2006265436A (ja) 土質などの安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
ES2842893T3 (es) Material sólido y espumado organomineral
JP2017155076A (ja) 岩盤又は地盤固結用の注入薬液組成物及びそれを用いた土壌安定強化止水工法
JP7547864B2 (ja) 岩盤固結用注入薬液組成物
JP7272106B2 (ja) 岩盤固結用注入薬液組成物
JP6289069B2 (ja) 液状ポリオール組成物
JP2015052042A (ja) 硬質ポリウレタンフォームの製造方法
JP5086575B2 (ja) ポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法
JP2002146351A (ja) 地山固結用組成物
JP2000281742A (ja) 空洞充填用組成物
JP4527413B2 (ja) 土質の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
JP6996957B2 (ja) プレミックスポリオール組成物
CN106008872B (zh) 一种聚氨酯微孔弹性体及其制备和应用
JP5475362B2 (ja) ロックボルト定着材用組成物および該組成物が硬化されてなるロックボルト定着材
JP6926831B2 (ja) 岩盤固結用注入薬液組成物
JP2020012027A (ja) ポリウレタンフォーム用薬液組成物
JP2023020139A (ja) 岩盤固結用注入薬液組成物
JP2010222399A (ja) 硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190520

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6530934

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250