JP2023020139A - 岩盤固結用注入薬液組成物 - Google Patents

岩盤固結用注入薬液組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリオール成分における珪酸ナトリウム水溶液と有機成分との分離を抑制し、漏水や湧水が多い環境下において安定した反応性及び地盤改良範囲が確保された岩盤固結用注入薬液組成物を提供すること。【解決手段】ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とからなる岩盤固結用注入薬液組成物であって、ポリオール成分(A)が、珪酸ナトリウム水溶液(A-1)と、臭素原子、リン原子および塩素原子からなる群より選ばれる少なくとも一種を分子内に有するポリオール(p-1)を含むポリオール(A-2)と、3級アミン触媒(A-3)とを含み、ポリイソシアネート成分(B)が、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(B-1)、または活性水素を有するポリオール(B-2)と(B-1)との反応生成物であることを特徴とする岩盤固結用注入薬液組成物により解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、湧水・漏水の多い環境下でも使用することができる岩盤固結用注入薬液組成物に関する。
不安定岩盤や不安定地盤の強化方法として、例えばロックボルト工法と呼ばれるトンネル掘削時に周辺地山の安定化を行う工法がある。この工法は、ボルトを薬液にて固定・定着させることによって、トンネル構造物を保護することを目的として行われるものである。このような岩盤固結用の注入薬液としては、従来、高い強度を有するモルタルなどの無機系材料が使用されてきた。しかし、これら無機系材料は、強度発現までに要する時間が長いことから作業効率が悪く、また漏水や湧水が発生する場合では材料が水中に流出してしまうという問題があった。
昨今、漏水や湧水が発生しやすい地域でトンネル掘削が行われる中、薬液による湧水の汚染や、薬液注入によっても止水できない漏水が掘削作業の効率や安全面での障害となり、改善が求められている。
これらの問題を解決するため、無機-有機複合系の土壌安定化薬液、すなわち水ガラスと称する珪酸塩水溶液とポリイソシアネート組成物とを組み合わせた注入薬液が使用されている。
例えば、特許文献1では、アミン触媒及び有機ポリオールを含有する珪酸塩水溶液成分とポリエーテルポリオールで変性されたジフェニルメタンジイソシアネートとを岩盤固結用の注入薬液として用いることにより、無機系の欠点である長い硬化時間、及び強度発現時間と地下水や湧水汚染の改善ができることが報告されている。しかしながら、アミン触媒及び短鎖ジオールを含有する珪酸塩水溶液成分は非常に分離しやすいことから、薬液注入装置のタンク内で攪拌した後、直ちに注入作業を行う必要がある。注入時にインターバルが発生した場合、分離したアミン触媒及び有機ポリオールによる反応異常が起こり、注入口閉塞などで地盤改良範囲が縮小するなどの懸念がある。
特開2006-131785号広報
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、ポリオール成分における珪酸ナトリウム水溶液と有機成分との分離を抑制し、漏水や湧水が多い環境下において安定した反応性及び地盤改良範囲が確保された岩盤固結用注入薬液組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、珪酸ナトリウム水溶液を主成分とする特定のポリオール成分(A)と、特定のポリイソシアネート成分(B)とからなる岩盤固結材用注入薬液組成物により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]~[9]の実施形態を含むものである。
[1]ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とからなる岩盤固結用注入薬液組成物であって、ポリオール成分(A)が、珪酸ナトリウム水溶液(A-1)と、臭素原子、リン原子および塩素原子からなる群より選ばれる少なくとも一種を分子内に有するポリオール(p-1)を含むポリオール(A-2)と、3級アミン触媒(A-3)とを含み、ポリイソシアネート成分(B)が、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(B-1)、または活性水素を有するポリオール(B-2)と(B-1)との反応生成物であることを特徴とする岩盤固結用注入薬液組成物。
[2]ポリイソシアネート成分(B)における(B-1)のジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートとの質量比が、35/65~75/25であり、ジフェニルメタンジイソシアネート中の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの合計との質量比が85/15~55/45であることを特徴とする上記[1]に記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
[3]ポリオール成分(A)における(A-2)に含まれる(p-1)が、25℃における比重が1.30以上のポリオールを少なくとも1種含むことを特徴とする、上記[1]、または[2]に記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
[4]ポリオール成分(A)における(A-2)が、(p-1)と、(p-1)以外のポリオールとの混合ポリオールであり、該混合ポリオールの25℃における比重が1.20以上であることを特徴とする、上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
[5]ポリオール成分(A)における(A-2)と(A-3)との混合物の25℃における比重が1.15以上であることを特徴とする、上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
[6]ポリオール成分(A)に分散剤を含む上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
[7]ポリイソシアネート成分(B)に減粘剤を含む、上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
[8]ポリイソシアネート成分(B)に整泡剤を含む、上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
[9]上記[1]乃至[8]のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物から得られる固結体。
本発明の岩盤固結用注入薬液組成物によれば、アミン触媒及び有機ポリオールと珪酸ナトリウム水溶液成分との分離抑制により、十分な注入安定性による漏水や湧水が多い環境下における安定した反応性及び地盤改良範囲が得られる。
本発明における岩盤固結用注入薬液組成物は、ポリオール成分(A)(以下単に「成分(A)」とも言う。)と、ポリイソシアネート成分(B)(以下単に「成分(B)」とも言う。)からなるものである。
まず、ポリオール成分(A)について説明する。
ポリオール成分(A)は、珪酸ナトリウム水溶液(A-1)(以下単に(A-1)とも言う。)と、臭素原子、リン原子および塩素原子からなる群より選ばれる少なくとも一種を分子内に有するポリオール(p-1)(以下単に(p-1)とも言う。)を含むポリオール(A-2)(以下単に(A-2)とも言う。)と、3級アミン触媒(A-3)(以下単に(A-3)とも言う。)とを含むものである。
本発明における(A-1)としては、市販されている珪酸ナトリウム水溶液を用いることができる。この珪酸ナトリウムは一般式でNaO・xSiO・nHOで表される。ここでxはSiO(二酸化珪素)とNaO(酸化ナトリウム)とのモル比を表し、本発明においては2.0~3.0が好ましく、2.0~2.5がより好ましく、2.0~2.4が最も好ましい。xが2.0未満の場合、成分(A)と成分(B)とを混合し硬化させた際に発泡性を確保できず、硬化性が悪化する恐れがある。3.0を超えると、珪酸ナトリウム水溶液の粘度が高くなり、成分(B)との混合性が悪化するほか、低温時の作業性が低下する恐れがある。
また、(A-1)から水を除いた固形分は30~50質量%が好ましく、33~42質量%がより好ましく、34~41質量%がさらに好ましく、35~40質量%が最も好ましい。珪酸ナトリウム水溶液の固形分が高すぎる場合は、水で希釈して調整することができる。固形分が30質量%より低いと、成分(A)と成分(B)とを混合し硬化させた際に、十分な発泡倍率を確保できない上、硬化後の発泡体機械強度が低下する恐れがある。50質量%を超えると、珪酸ナトリウム水溶液の粘度が高くなり、成分(B)との混合性が悪化するほか、低温時での作業性が低下する恐れがある。
なお、本発明における(A-1)の固形分とは、(A-1)に含まれる水以外の成分の(A-1)中の比率を表わす。
本発明における(A-2)は、臭素原子、リン原子および塩素原子からなる群より選ばれる少なくとも一種を分子内に有するポリオール(p-1)を含む。(p-1)を含むことにより、他のポリオールとの混合の際や、アミン触媒を添加した際、混合した有機相の比重が大きくなり、珪酸ナトリウム水溶液と混合した際に、有機層のクリーミングが抑制され浮上、分離しにくくなる。
(p-1)としては、例えば臭素原子を有する臭素化ポリオール、リン原子を有するリンポリオール、塩素原子を有する塩素化ポリオールなどが挙げられる。ポリオールの構造としては特に制限はなく、炭化水素、エーテル構造、エステル構造、カーボネート構造を有するものなどが挙げられる。
(p-1)は、比重1.30以上のポリオールを少なくとも1種含むことが好ましい。比重1.30以上のポリオールとしては、例えばIxol M125(Solvey社製)、EXOLIT OP550(CLARIANT社製)等を挙げることができる。なお、本発明における比重は、特に断りのない場合25℃における値である。
(A-2)には、さらに、(p-1)以外のポリオールを含んでよく、このようなポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、分子量200以下の短鎖ジオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレンエーテルポリオール、ポリプロピレンエーテルポリオール、ポリエチレンポリプロピレンエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が使用できる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば重縮合型ポリエステル系ポリオールであるアジピン酸とジオールとからなるポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールのポリカプロラクトンポリオール等が使用できる。
分子量200以下の短鎖ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカメチレングリコール、1,2-テトラデカンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,3-キシリレングリコール、1,4-キシリレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
また、(A-2)が、(p-1)以外のポリオールを含む場合、(A-2)の比重は1.20以上であることが好ましい。1.20未満の場合、アミン触媒を添加した際に有機相の比重が下がり、珪酸ナトリウム水溶液と混合した際に、有機層がクリーミングにより浮上、分離しやすくなる恐れがある。
(A-2)の含有量は、成分(A)中に1~15質量%であることが好ましい。1質量%未満の場合、十分な発泡倍率が確保できない場合があり、15質量%を超えると成分(A)の粘度が高くなり、作業性の悪化や、薬液注入時の地盤への浸透性が低下する恐れがある。
本発明における(A-3)は、例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’,N’-トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ビス-(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N’,N’-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルアミノプロピルイミダゾール、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリプロピレンテトラミン、N,N,N-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、N-メチル-N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルイミダゾール、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチル-N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)アミノエタノール、N,N-ジメチルエトキシエタノール、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノール、6-ジメチルアミノ-1-ヘキサノール、N’,N-ジメチルエトキシ-N’-メチル-N’-エチルメタノール、N’’,N’’-ジメチルアミノ-N’-メチルエチルアミノ-N-メチル-2-プロパノール、ビス(2-ジメチルアミノエチルアミノ)-2-プロパノール、N’-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-N,N-ジメチルエチレンジアミン、3,3-イミノビス(N,N-ジメチル-1-プロパンアミン)、N’-[2-(ジメチルアミノ)メチル]-N,N-ジメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルジエチレントリアミン、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-N-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]-エタンアミン等が挙げられ、反応を調整等するために上記を2種類以上併用しても良い。
(A-3)の含有量は、成分(A)中に0.1~5質量%であることが好ましい。0.1質量%未満の場合、硬化性悪化と発泡倍率低下の恐れがあり、5質量%を超えると、反応性制御が困難となり、薬液注入時に樹脂の詰まりによる注入不良が発生する恐れがある。
また、(A-2)と(A-3)との混合物の比重が、1.15以上であることが好ましい。混合物の比重が1.15以上であることで、珪酸ナトリウム水溶液との比重差が小さくなり、珪酸ナトリウム水溶液と混合した際に、有機層のクリーミングが抑制され浮上、分離しにくくすることができる。
本発明においては、成分(A)の一層の分散安定性向上や、成分(A)と成分(B)との相溶性を向上させるために分散安定剤等の添加剤を使用することができる。分散安定剤としては陰イオン系分散安定剤、陽イオン系分散安定剤、非イオン系分散安定剤等が挙げられる。
陰イオン系分散安定剤としては、例えばアルキルカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル等を挙げることができる。
陽イオン系分散安定剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム等のアンモニウム塩等を挙げることができる。
非イオン系分散安定剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステルや、アルキルポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド等を挙げることができる。
これら分散安定剤は単独、または2種以上を混合して使用することができる。
本発明における成分(B)は、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと言う。)とポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(以下ポリメリックMDIと言う。)の混合物(B-1)(以下(B-1)とも言う。)、または活性水素を有するポリオール(B-2)(以下(B-2)と言う。)と(B-1)との反応生成物を含むものである。
なお、本発明におけるMDIは、4,4’-MDI、2,4’-MDI、2,2’-MDIの各種異性体を含むものであり、ポリメリックMDIは、MDIにさらにイソシアネート基を有するフェニル基がメチレン基を介し一つ以上付加したものを意味する。
(B-1)としては、MDIとポリメリックMDIの質量比が、MDI/ポリメリックMDI=35/65~75/25が好ましく、40/60~75/25がより好ましい。MDIの質量比が35%を下回るとポリイソシアネートの粘度が高くなり、地盤注入時に樹脂流動性が悪化し地盤改良範囲が小さくなるおそれがあり、75%を越えると、発泡樹脂の強度が低下する恐れがある。
また、MDIにおける4,4’-MDIと、2,4’-MDI及び2,2’-MDIの合計との質量比が、85/15~55/45が好ましく、80/20~55/45がより好ましい。2,4’-MDI及び2,2’-MDIの合計の質量比が15%を下回るとポリイソシアネートの低温安定性が悪くなり固化する恐れがあり、45%を上回ると、発泡樹脂の強度が低下する恐れがある。
(B-2)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。(B-1)との反応生成物の粘度の観点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、数平均分子量が400~4000が好ましく、ポリオール中にエチレンオキサイド(以下、EO)ユニットが含まれていても良い。EOユニット量は特に制限はないが、含まれる場合は60~90質量%が好ましい。なお、ポリエーテルポリオールにおけるEOユニット以外の成分は特に制限はないが、プロピレンオキサイド(以下、PO)ユニットであることが好ましい。
成分(B)における(B-2)の導入量は、成分(B)中に0.5~20質量%であることが好ましく、0.5~15質量%であることがより好ましい。0.5質量%未満の場合、ポリオール成分(A)との相溶性が悪化し、薬液注入時に硬化物の強度が低下する恐れがある。15.0質量%を超えると、ポリイソシアネートの粘度が高くなり、地盤注入時に樹脂流動性が悪化し地盤改良範囲が小さくなる恐れがある。
なお、前記(A-2)、および(B-2)は、公知の方法で合成、または市販品を使用することができる。
本発明において、成分(B)に発泡時のセル径を安定化させるために整泡剤を用いても良く、整泡剤としては、例えばシリコン系整泡剤等が挙げられる。シリコン系整泡剤としては、例えばポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサンコポリマー、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
本発明において整泡剤を用いる場合の含有量は、成分(B)中に3質量%以下であることが好ましい。3質量%を超えると、樹脂強度が低下する恐れがある。
また、成分(B)に粘度調整を目的とした減粘剤を併用してもよい。減粘剤としては、成分(B)との相溶性や減粘性、混合安定性に優れたものとして、例えばプロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキルエーテル類やエステル類が挙げられる。これらは作業環境、安全面の観点から、添加量は成分(B)中に1~5質量%が好ましい。
以上説明した成分(A)、および成分(B)からなる岩盤固結用注入薬液組成物により、優れた空隙充填性を有する固結体を得ることができる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、実施例中の「%」は質量基準である。
<ポリオール成分(A)の調製>
ポリオール成分を表1に示す配合にて調製した。
Figure 2023020139000001
表1における各原料は以下の通り。
・珪酸ナトリウム水溶液:固形分40.5%、モル比(SiO/NaO)=2.0(商品名:1号ケイ酸ソーダO0、東曹産業社製)
・ポリオールA:臭素化ポリオールIxol M125(Solvay社製)、数平均分子量400、官能基数2、25℃における比重1.57
・1,3-BG:1,3-ブタンジオール、分子量90、官能基数2、25℃における比重1.01
・ポリオールB:ポリエチレングリコール、数平均分子量200、官能基数2、25℃における比重1.12
・EG:エチレングリコール、分子量62、官能基数2、25℃における比重1.11
・DEG:ジエチレングリコール、分子量102、官能基数2、25℃における比重1.12
・触媒1:N-メチル-N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)アミノエタノール(商品名:TOYOCAT RX5、東ソー社製)、25℃における比重0.91
・触媒2:トリエチレンジアミン(商品名:TEDA L33、東ソー社製)、25℃における比重1.03。
<ポリオール成分の評価方法>
表1に記載のポリオール(S-1~S-15)を20℃に調温し、スリーワンモーターを使用して1000rpmで1分間攪拌し、その後静置、成分が分離するまでの時間を測定した。
A:60min以上
C:60min未満
評価Aであれば良好といえる。
評価Cのポリオール(S-13~S-15)については発泡試験を行わなかった。
<ポリイソシアネート成分(B)の調製>
<調製例1>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量1Lの反応器に、ポリイソシアネート1を758.0g、ジイソシアネート1を179.0g、ジイソシアネート2を20.1g、ポリオール1を38.3g仕込み、80℃まで昇温した。温度を維持したまま攪拌羽根で均一に混合しながら3時間ウレタン化反応を行った。その後60℃まで冷却し、整泡剤5.0gを添加し、30分撹拌を行いポリイソシアネート組成物(I-1)(NCO含量29.1%、25℃における粘度110mPa・s)を得た。
<調製例2>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量1Lの反応器に、ポリイソシアネート1を813.9g、ジイソシアネート1を111.2g、ポリオール2を17.8g仕込み、80℃まで昇温した。温度を維持したまま攪拌羽根で均一に混合しながら3時間ウレタン化反応を行った。その後、60℃まで冷却し、希釈剤47.6g、整泡剤9.5gを添加し、30分撹拌を行いポリイソシアネート組成物(I-2)(NCO含量28.6%、25℃における粘度130mPa・s)を得た。
<調製例3>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた容量1Lの反応器に、ポリイソシアネート1を494.4g、ジイソシアネート1を448.2g、ポリオール3を49.5g仕込み、80℃まで昇温した。温度を維持したまま攪拌羽根で均一に混合しながら3時間ウレタン化反応を行った。その後、60℃まで冷却し、整泡剤7.9gを添加し、30分撹拌を行いポリイソシアネート組成物(I-3)(NCO含量29.3%、25℃における粘度100mPa・s)を得た。
Figure 2023020139000002
表2における各原料は以下の通り。
・ポリイソシアネート1:MDI/ポリメリックMDI=40/60(PA比)、MDIにおける、2,4’-MDI及び2,2’-MDIの合計/4,4’-MDI=3/97(質量比)、NCO含量31.0%(商品名:MR-200、東ソー社製)
・ジイソシアネート1:MDI/ポリメリックMDI=100/0(PA比)、MDIにおける、2,4’-MDI及び2,2’-MDIの合計/4,4’-MDI=55/45(質量比)、NCO含量33.5%(商品名:ミリオネートNM、東ソー社製)
・ジイソシアネート2:MDI/ポリメリックMDI=100/0(PA比)、MDIにおける、2,4’-MDI及び2,2’-MDIの合計/4,4’-MDI=99/1(質量比)、NCO含量33.5%(商品名:ミリオネートMT、東ソー社製)
・ポリオール1:PO系ポリエーテルポリオール、数平均分子量4000、官能基数2
・ポリオール2:PO系ポリエーテルポリオール、数平均分子量400、官能基数2
・ポリオール3:PO/EO系ポリエーテルポリオール、数平均分子量400、官能基数2、EO含量75%
・整泡剤:シロキサン‐ポリアルキレンオキシド共重合体(商品名:NIAX SILICONE Y-16136、MOMENTIVE社製)
・希釈剤:プロピレンカーボネート(商品名:プロピレンカーボネートS、BASF社製)
なお、ポリイソシアネート1、ジイソシアネート1、ジイソシアネート2のMDI/ポリメリックMDIの比率は、GPC測定で得られるピーク面積の比率(PA比)であり、(MDIモノマーピーク面積)/(MDIモノマー以外のMDIオリゴマーのピーク面積の総和)を表す。また、PA比は実質的に質量比と同等に扱うことができる。
GPC測定条件は以下の通り。
(1)測定器:HLC-8220(東ソー社製)
(2)カラム:TSKgel(東ソー社製)
・G3000H-XL
・G2500H-XL
・G2000H-XL
・G1000H-XL
(3)キャリア:THF(テトラヒドロフラン)
(4)検出器:RI(屈折率)検出器
(5)温度:40℃
(6)流速:1.000ml/min
(7)検量線:標準ポリスチレン(東ソー社製)
・F-80(分子量:7.06×10、分子量分布:1.05)
・F-20(分子量:1.90×10、分子量分布:1.05)
・F-10(分子量:9.64×10、分子量分布:1.01)
・F-2(分子量:1.81×10、分子量分布:1.01)
・F-1(分子量:1.02×10、分子量分布:1.02)
・A-5000(分子量:5.97×10、分子量分布:1.02)
・A-2500(分子量:2.63×10、分子量分布:1.05)
・A-500(分子量:5.0×10、分子量分布:1.14)
(8)サンプル溶液濃度:0.5%THF溶液。
<反応挙動および各種評価方法>
上記ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを用い、表3に示す配合にて発泡試験を行った。攪拌条件は液温20℃において、スリーワンモーターを使用し400rpmで10秒攪拌。結果を表3に示す。
Figure 2023020139000003
反応性試験における「自由発泡」とは、成分(A)と成分(B)とを前記条件で1Lカップにて配合、混合撹拌し、そのままカップ内で発泡させたものであり、「水中発泡」とは、成分(A)と成分(B)とを前記条件で1Lカップにて配合、混合撹拌した直後、配合液100mLを素早く水500mLの入った別の1Lカップに投入し、撹拌棒で水を30秒強くかき混ぜて発泡させたものである。
・クリームタイム :ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを混合撹拌し始めてから、その配合液がクリーム状に白濁し液面が立ち上がってくるまでの時間(秒)を表す。
・ライズタイム :ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを混合撹拌しはじめてから、その配合液が発泡して最高の高さに達するまでの時間(秒)を表す。
・発泡倍率 :自由発泡時の発泡倍率を以下の式により算出する。
発泡倍率(倍)=発泡後の成形体体積(cm)/発泡前の配合液の体積(cm
・発泡後の水濁り :水中発泡性試験においてライズタイム終了後の水質汚染の指標として水の濁りを濁度計(TURBIDIMETER 2100N、HACH社製)にて測定した。濁度20NTU以下であれば良好と言える。
・発泡後の水泡立ち:水中発泡性試験においてライズタイム終了後の水質汚染の指標として水の泡立ちを測定。水中発泡性試験に用いたライズタイム終了後の水125mLを容量250mLのポリエチレンの瓶に入れ、密栓後10秒間強く振り混ぜてから静置し、泡が水表面から消えるまでの時間(秒)を表す。60秒以下であれば良好と言える。

Claims (9)

  1. ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とからなる岩盤固結用注入薬液組成物であって、ポリオール成分(A)が、珪酸ナトリウム水溶液(A-1)と、臭素原子、リン原子および塩素原子からなる群より選ばれる少なくとも一種を分子内に有するポリオール(p-1)を含むポリオール(A-2)と、3級アミン触媒(A-3)とを含み、ポリイソシアネート成分(B)が、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートの混合物(B-1)、または活性水素を有するポリオール(B-2)と(B-1)との反応生成物であることを特徴とする岩盤固結用注入薬液組成物。
  2. ポリイソシアネート成分(B)における(B-1)のジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートとの質量比が、35/65~75/25であり、ジフェニルメタンジイソシアネート中の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの合計との質量比が85/15~55/45であることを特徴とする請求項1に記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
  3. ポリオール成分(A)における(A-2)に含まれる(p-1)が、25℃における比重が1.30以上のポリオールを少なくとも1種含むことを特徴とする、請求項1、または2に記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
  4. ポリオール成分(A)における(A-2)が、(p-1)と、(p-1)以外のポリオールとの混合ポリオールであり、該混合ポリオールの25℃における比重が1.20以上であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
  5. ポリオール成分(A)における(A-2)と(A-3)との混合物の25℃における比重が1.15以上であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
  6. ポリオール成分(A)に分散剤を含む請求項1乃至5のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
  7. ポリイソシアネート成分(B)に減粘剤を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
  8. ポリイソシアネート成分(B)に整泡剤を含む、請求項1乃至7のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の岩盤固結用注入薬液組成物から得られる固結体。
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