JP6529886B2 - 有機排水処理システム、制御方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

有機排水処理システム、制御方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、有機排水処理システム、制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
従来、生活排水を浄化処理する下水処理場では、もっとも代表的なプロセスとして、標準活性汚泥法が採用されてきた。標準活性汚泥法は、送風機により水中に空気を供給する曝気槽において、好気微生物により水中の有機汚濁物質を酸化分解するものである。この標準活性汚泥法では、有機物は分解除去できる。このように有機物を含んで排出される生活排水を有機排水と呼ぶ。
しかしながら、放流先の富栄養化問題の原因物質となる窒素やリンは、標準活性汚泥法では除去できない。そこで、有機物を分解するとともに、窒素及びリンを除去する方法として、標準活性汚泥法の変法である窒素除去型の循環式硝化脱窒法、リン除去型の嫌気−好気活性汚泥法(AO法)、窒素・リン同時除去型の嫌気−無酸素-好気活性汚泥法(AO)法などの高度処理プロセスの導入が進められている。
こうした高度処理プロセスでは、流入下水から最初沈殿池で沈殿汚泥が除去された一次処理水が生物反応槽に送られる。次いで、生物反応槽内の嫌気槽、無酸素槽及び好気槽において微生物の反応により、一次処理水から有機物、窒素、リンが除去される。同時に、生物反応槽において微生物の凝集体であるフロックが形成される。そして、フロックを含む二次処理水が最終沈殿池に送られる。最終沈殿池では二次処理水からフロックが沈殿、除去される。沈殿物の大部分は活性汚泥を含む返送汚泥として最終沈殿池から生物反応槽に戻される。沈殿物の一部は余剰汚泥として最終沈殿池から排出され、濃縮・脱水後に焼却処理される。
有機排水中の窒素分としてのアンモニアの除去プロセスは次の通りである。まず、好気槽においてアンモニアが硝酸イオンに酸化(硝化)される。酸化された硝酸イオンは無酸素槽に返送される。無酸素槽において微生物の作用により硝酸イオンが窒素ガスに還元(脱窒)される。また、リンの除去プロセスでは、嫌気槽において微生物からリンを吐き出させる。次いで好気槽において、微生物にリンを吸収させ、リンを吸収した微生物をフロックとして沈殿除去させる。好気槽において微生物に吸収されるリン量は、嫌気槽において微生物が吐き出すリン量よりも大量である。この吐出量と吸収量の差に基づきリンの除去が行われる。
しかしながら、既存の排水処理装置に、上記の高度処理方法を導入するためには、生物反応槽内に新たに嫌気槽、無酸素槽及び好気槽を設ける必要がある。具体的には、攪拌機、ポンプなどの新たな機器の導入ならびに新たなコンクリート躯体の新設が必要となる。このため、既存の設備の改造には時間と手間がかかり、コスト高であるといった課題があった。
こうした課題に対応するために、例えば、有機性排水中の固形分と液分を固液分離する最初沈殿池と、最初沈殿池の越流水を活性汚泥にて処理する生物反応槽と活性汚泥を固液分離する活性汚泥処理法の施設において、生物反応槽内に水の流下方向に配された散気管の調整バルブの開度調整により、嫌気−微好気−好気の運転切替できるゾーン(調整処理領域)を設けた有機排水処理システムが知られている。そして、この調整処理領域を、処理水中の窒素、リン濃度並びにアンモニア濃度の測定値に応じて、リンの処理性能が悪い場合には嫌気運転、窒素の処理性能が悪くかつアンモニアの処理性能が悪い場合は好気運転、その他の場合は微好気運転とすることによって、窒素及びリンを除去できるとされている。
しかしながら、こうした有機排水処理システムでは、窒素の除去とリンの除去とを両立させる場合、流入する被処理水の水量や水質の条件によっては窒素およびリンを効率的に除去することが困難になる場合があった。
特開2015−097976号公報 特開2005−199116号公報
本発明が解決しようとする課題は、有機排水中から窒素及びリンを効率的に除去することを可能にする有機排水処理システム、制御方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
実施形態の有機排水処理システムは、生物反応槽と、アンモニア濃度測定器と、窒素濃度測定器と、リン濃度測定器と、風量コントローラと、制御部と、を持つ。生物反応槽は、被処理水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、一以上の調整処理領域及び好気処理領域を順に備える。アンモニア濃度測定器は、前記好気処理領域における被処理水のアンモニア濃度を測定する。窒素濃度測定器は、前記生物反応槽から流出した被処理水の全窒素濃度を測定する。リン濃度測定器は、前記生物反応槽から流出した被処理水の全リン濃度又はリン酸態リン濃度を測定する。風量コントローラは、前記アンモニア濃度測定器により測定された値に基づいて、生物反応槽に供給する総空気量を調整する。制御部は、前記アンモニア濃度測定器、前記窒素濃度測定器及び前記リン濃度測定器により測定された値に基づいて、前記一以上の調整処理領域のそれぞれを、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかの雰囲気に切り替える。前記制御部は、前記調整処理領域の雰囲気の切り替えを前記風量コントローラの制御周期よりも長い制御周期で行う。
実施形態の有機排水処理システムの構成の概略を示す図。 風量コントローラ8の機能構成を示す機能ブロック図。 制御部9の機能構成を示す機能ブロック図。 領域制御部94による調整処理領域21の制御の具体例を示す図。 調整処理領域21a〜21cの雰囲気の切り替えの一例を示す図。 領域制御部94による調整処理領域21の制御の他の具体例を示す図。
以下、実施形態の有機排水処理システム、制御方法及びコンピュータプログラムを、図面を参照して説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態の有機排水処理システムの構成の概略を示す図である。図1に示す有機排水処理システム100は、最初沈殿池1(沈殿池)、生物反応槽2、最終沈殿池3、アンモニア濃度測定器4、溶存酸素濃度測定器5、全窒素濃度測定器6、全リン濃度測定器7、風量コントローラ8及び制御部9を備えている。
最初沈殿池1は、有機排水(被処理水)を受け入れ、浮遊物質(SS)を沈殿させる一次処理設備である。最初沈殿池1には堰が設けられ、上澄み液が堰を乗り越えてオーバーフローラインに流れ込み、さらにオーバーフローラインから生物反応槽2に流入するようになっている。なお、最初沈殿池1の底部には図示しない汚泥排出ラインが連通し、汚泥が定期的に又は随時に排出されるようになっている。
生物反応槽2は、微生物による分解作用を利用して汚水を浄化処理するための反応容器である。生物反応槽2は、一以上の区画を有し、それぞれの区画は、独立して、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかの雰囲気に切り替え可能である。以下、生物反応槽2が有する一以上の区画のそれぞれを調整処理領域という。図1には、生物反応槽2が有する一以上の調整処理領域の例として、調整処理領域21a、21b、21c、21d及び21eが示されている。以下、特に区別する必要がない限りにおいて、調整処理領域21a〜21eのそれぞれを、調整処理領域21と記載する。
なお、一般には、生物反応槽2の内容積のうちの30〜60%は好気雰囲気の領域(以下、「好気処理領域」という。)として割り当てられる。図1は、調整処理領域21a〜21eの5つの区画のうち、調整処理領域21d及び21eの2つの区画を好気処理領域に固定的に割り当てた例である。すなわち、この場合、生物反応槽2の内容積の少なくとも40%は好気処理領域となる。残りの調整処理領域21a、21b及び21cは、浄化処理の状況に応じて、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかの状態に制御される。以下の説明では、調整処理領域21a〜21eのうち、好気処理領域として固定的に割り当てられる調整処理領域21d及び21eを、他の調整処理領域21と区別して、好気処理領域25と記載する。
生物反応槽2は、浄化処理前の有機排水(以下、「被処理水」という。)が流入する流入流路22(上流側)と、浄化処理後の有機排水(以下、「処理済水」という。)が流出する流出流路23(下流側)と、に接続されている。生物反応槽2は、最初沈殿池1の側から最終沈殿池3の側に被処理水が流れるように、最初沈殿池1及び最終沈殿池3に対して勾配が付けられている。同様に、生物反応槽2内においても、流入側から流出側に被処理水が流れるように、各調整処理領域21には、被処理水が流れる方向に勾配が付けられている。
また、生物反応槽2には、曝気手段としてのエアレーション装置24が備えられている。エアレーション装置24は、ブロア241と、ブロア241から延びる空気配管242と、空気配管242に設けられた流量調整弁243と、空気配管242から分岐した分岐管244と、各分岐管244に設けられた開閉弁245a〜245eと、各分岐管244の先端に取り付けられた散気板246a〜246eとを備えて構成されている。散気板246a〜246eは、被処理水が流れる方向に沿って、生物反応槽2の各調整処理領域21内に設置されている。以下、特に区別する必要がない限りにおいて、開閉弁245a〜245eのそれぞれを開閉弁245と記載する。同様に、散気板246a〜246eのそれぞれを散気板246と記載する。被処理水は、ブロア241から送出される空気が散気板246を介して各調整処理領域21に送り込まれることによって曝気される。
ブロア241から送出される空気の風量(以下、「曝気風量」という。)は、流量調整弁243の開度によって調節される。流量調整弁243は風量コントローラ8に接続され、その開度は風量コントローラ8の指令に基づき制御される。この流量調整弁243の開度を制御することで、ブロア241から各調整処理領域21に送られる曝気風量の総量(以下、「総曝気風量」という。)の調整が可能となっている。
また、調整処理領域21a〜21eを、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気のいずれとするかは、各調整処理領域21に対応して設置された開閉弁245a〜245eの開度によって調節される。例えば、調整処理領域21aを嫌気雰囲気の領域(以下、「嫌気処理領域」という。)とする場合には、被処理水に対して空気が供給されないようにするため、対応する開閉弁245aの開度を0%に調節する。
また、例えば、調整処理領域21bを微好気雰囲気の領域(以下、「微好気処理領域」という。)とする場合には、被処理水に対して少量の空気を提供するため、対応する開閉弁245bの開度を5〜15%程度となるように調節する。また、例えば、調整処理領域21cを好気処理領域とする場合には、被処理水に対して多量の空気を供給するため、対応する開閉弁245cの開度を100%に調節する。調整処理領域21d及び21eを好気処理領域に固定する場合も同様である。
開閉弁245a〜245eは制御部9に接続され、その開度は制御部9の指令に基づき制御される。これら開閉弁245a〜245eの開度を制御することで、生物反応槽2における各雰囲気の範囲の調整が可能となっている。具体的には、各調整処理領域21の雰囲気は、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気の1種又は2種以上に設定できるようになっている。
なお、調整処理領域21d及び21eを好気処理領域に固定して使用する場合、有機排水処理システム100は、開閉弁245d及び245eの開度を制御する機構を備えなくてもよい。例えば、この場合、開閉弁245d及び245eは制御部9に接続されなくてもよい。
最終沈殿池3は、活性汚泥を沈殿させ、上澄み液を処理済水として排出する設備である。最終沈殿池3の下流側には図示しない消毒設備が設けられ、消毒された処理水が放流用流路を通って河川や海洋に放流されるようになっている。また、最終沈殿池3には、返送配管31が備えられており、返送配管31の途中には返送汚泥ポンプ32が備えられている。返送配管31によって、返送汚泥及び被処理水の一部が最終沈殿池3から生物反応槽2の上流部に常時戻される。また、最終沈殿池3に沈殿した汚泥のうち、生物反応槽2に戻される返送汚泥以外の余剰な汚泥は余剰汚泥引き抜きポンプ33によって引き抜かれ、処理される。
アンモニア濃度測定器4は、生物反応槽2の流出側(具体的には、好気処理領域25)における被処理水のアンモニア濃度を測定する測定機器である。アンモニア濃度測定器4は、測定したアンモニア濃度の測定データを風量コントローラ8及び制御部9に送信する。
溶存酸素濃度測定器5は、生物反応槽2の流出側における被処理水の溶存酸素(DO)濃度を測定する測定機器である。溶存酸素濃度測定器5は、測定した溶存酸素濃度の測定データを風量コントローラ8に送信する。
全窒素濃度測定器6は、最終沈殿池3から排出される処理済水の全窒素濃度を測定する測定機器である。全窒素濃度測定器6は、測定した全窒素濃度の測定データを制御部9に送信する。
全リン濃度測定器7は、最終沈殿池3から排出される処理済水の全リン濃度を測定する測定機器である。全リン濃度測定器7は、測定した全リン濃度の測定データを制御部9に送信する。
風量コントローラ8は、アンモニア濃度測定器4及び溶存酸素濃度測定器5の測定値に基づいて、生物反応槽2に送る総曝気風量(総空気量)を算出する。風量コントローラ8による総曝気風量の算出方法は後述する。
制御部9は、各調整処理領域21を制御するための制御プログラムが格納されたコンピュータである。制御部9は、後述するアンモニア濃度測定器4、溶存酸素濃度測定器5、全窒素濃度測定器6及び全リン濃度測定器7の測定値に基づき、各調整処理領域21の状態を、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気の1種又は2種以上の雰囲気に切り替える。
調整処理領域21を嫌気処理領域とする場合、上述したように、制御部9は開閉弁245の開度を全閉の状態(開度0%)に制御する。この場合、嫌気性微生物の活性が高まり、ORP値がマイナスとなる。より詳細には、ORP値が−200mV以下となる。ここでORP値とは酸化還元電位のことをいう。被処理水のORP値がマイナスの場合はその被処理水は還元状態にあるといえる。すなわち、曝気されず嫌気的な状態に置かれた汚水は電位が低くなる(マイナスのORP値)。嫌気処理領域では、微生物からのリンの吐き出しが進むとともに、硝酸イオンから窒素への還元反応が進む。窒素は無害なガスとして大気に放出され、水中の窒素(濃度)が除去(低減)できる。
一方、調整処理領域21を好気処理領域とする場合、制御部9は開閉弁245の開度を全開の状態(開度100%)に制御する。この場合、好気性微生物の活性が高まり、ORP値がプラスとなる。より詳細には、ORP値が50mV以上となる。ORP値がプラスの場合はその処理水は酸化状態にあるといえる。すなわち、曝気が十分で好気的な状態に置かれた被処理水は電位が高くなる。好気処理領域では、微生物によるリンの吸収が進むとともにアンモニアから硝酸イオンへの酸化反応が進む。
また、調整処理領域21を微好気処理領域とする場合、制御部9は開閉弁245の開度を5〜15%に制御する。これにより、ORP値が−50〜50mVの範囲となる。嫌気雰囲気が−200mV以下の範囲の雰囲気であり、好気雰囲気が50mV以上の範囲の雰囲気であるから、微好気雰囲気は、嫌気雰囲気と好気雰囲気の中間の状態にあるといえる。この微好気雰囲気では、硝酸イオンから窒素への還元反応と、アンモニアから硝酸イオンへの酸化反応とが同時に進む。
以下、風量コントローラ8及び制御部9の構成の詳細について説明するが、ここでまず、有機排水処理システムの原理について説明する。有機排水(被処理水)は、まず、最初沈殿池1において、固形分と液分に分離される。液分は導入流路を介して生物反応槽2内に導入される。生物反応槽2内では微生物の凝集物である活性汚泥の働きにより、有機物質の分解除去と同時に、以下に示す原理で窒素、リンの除去が行われる。
[窒素除去の原理]
有機排水中の窒素成分の大半はアンモニアイオン(NH )の状態で存在する。この窒素分は、酸素が存在する条件(好気条件)下で活性汚泥中に存在する硝化菌の働きにより、(1)式の反応により、硝酸性窒素(NO )まで酸化される。この反応は、主に、好気処理領域において進行する。
Figure 0006529886
この硝酸性窒素が、酸素なしの条件(嫌気条件)で脱窒菌の働きにより、(2)式の反応により窒素ガスに還元される。この反応は、主に、嫌気処理領域において進行する。(2)式左辺第2項の(H)は、下水中の有機物質(水素供与体)から与えられるため、この反応の促進のためには有機物が必要となる。有機物は、有機排水中の有機物でもよく、アルコール、カルボン酸等を嫌気処理領域に供給することでもよい。
Figure 0006529886
上述のように、好気雰囲気では、(1)式の反応が主に進行する。また、嫌気雰囲気では、(2)式の反応が主に進行する。更に、微好気雰囲気では、(1)式と(2)式の反応が同時に進む。
ここで、(1)式のアンモニアから硝酸イオンへの反応の進行が不十分の場合は、(2)式の反応が進まず、有機排水中の全窒素濃度が低減できない。従って、有機排水中のアンモニア濃度及び全窒素濃度が高い場合は、(1)式を促進する必要があり、好気雰囲気を増やす必要がある。
一方、(1)式の反応の進行が十分であっても、(2)式の反応が進まない場合には、同様に有機排水中の全窒素濃度が低減できない。従って、有機排水中のアンモニア濃度が低いにも関わらず全窒素濃度が高い場合は、(2)式を促進する必要があり、微好気雰囲気を増やす必要がある。
[リン除去の原理]
リンは、活性汚泥中に存在するリン蓄積菌の働きにより除去される。リン蓄積菌は嫌気雰囲気において、菌体内に蓄積したリンを吐出する。一方、好気雰囲気においては、嫌気雰囲気において菌体から吐出した以上のリンを吸収する。吐出量と吸収量との差分に相当するリンが水中から除去される。リンを体内に蓄えたリン蓄積菌は最終沈殿池3で余剰汚泥として引き抜かれることにより、除去される。また、リン蓄積菌によるリンの除去は、嫌気雰囲気の容積が大きいほど、効果的に進む場合が多い。なお、硝化・脱窒反応が促進される微好気条件ではリン蓄積菌によるリンの吐出は起こらない。
(1)式の反応に比べ、リン除去の反応の応答時間は長い。具体的には、数時間のオーダーではリン除去の改善効果は現れず、嫌気処理領域を拡大した後、1日(日オーダー)から1週間のオーダー(週オーダー)でリン除去の改善効果が徐々に表れてくる。
本実施形態の有機排水処理システム100は、このように応答時間の異なる窒素除去及びリン除去の制御を、それぞれの制御に適切な制御周期で行うことを可能にする風量コントローラ8及び制御部9を備えている。
図2は、風量コントローラ8の機能構成を示す機能ブロック図である。風量コントローラ8は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、風量制御プログラムを実行する。風量コントローラ8は、風量制御プログラムの実行によって目標値設定部81、制御周期設定部82及び風量制御部83を備える装置として機能する。なお、風量コントローラ8の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。風量制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。風量制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
目標値設定部81は、風量制御部83に対して生物反応槽2の流出側における被処理水に含まれるアンモニア(アンモニア性窒素)の濃度目標値を設定する。例えば、目標値設定部81は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を含んで構成され、アンモニアの濃度目標値を予め記憶するように構成されてもよい。この場合、目標値設定部81は、予め記憶している濃度目標値を記憶装置から読み出し、風量制御部83に出力する。また、例えば、目標値設定部81は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成され、入力された濃度目標値を風量制御部83に出力するように構成されてもよい。
制御周期設定部82は、風量制御部83に対して総曝気風量の制御周期(以下、「風量制御周期」という。)を設定する。例えば、制御周期設定部82は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を含んで構成され、風量制御周期を予め記憶するように構成されてもよい。この場合、制御周期設定部82は、予め記憶している風量制御周期を記憶装置から読み出し、風量制御部83に出力する。また、例えば、制御周期設定部82は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成され、入力された風量制御周期を風量制御部83に出力するように構成されてもよい。
風量制御部83は、アンモニア濃度測定器4から生物反応槽2の流出側における被処理水に含まれるアンモニア濃度の測定データを取得する。風量制御部83は、生物反応槽2の流出側における被処理水のアンモニア濃度に基づいて、生物反応槽2に供給する総曝気風量を算出する。風量制御部83は、算出した総曝気風量の空気がブロア241から送出されるように、流量調整弁243を制御する。風量制御部83は、アンモニア濃度測定器4の測定データの取得、総曝気風量の算出、及び流量調整弁243の制御を、制御周期設定部82によって設定された風量制御周期で実行する。
具体的には、風量制御部83は、アンモニア濃度測定器4の測定データに基づいて、硝化が十分となるように総曝気風量を制御する。例えば、風量制御部83は、(3)式〜(5)式を比例積分制御(PI制御)に適用することにより総曝気風量を算出する。
Figure 0006529886
Figure 0006529886
Figure 0006529886
ここで、Aair(t)は、時刻tにおける調整処理領域21a〜21cについての曝気風量値を表す。iは調整処理領域21a〜21cの識別番号である。i=1は調整処理領域21aを表し、i=2は調整処理領域21bを表し、i=3は調整処理領域21cを表す。Δtは制御周期を表す。すなわち、Aair(t−Δt)は、1制御周期前における調整処理領域21a〜21cの曝気風量値を表す。
NH4(t)は、時刻tにおけるアンモニア濃度の目標値と測定値との偏差を表し、eNH4(t−Δt)は、1制御周期Δt前におけるアンモニア濃度の目標値と測定値との偏差を表す。PVNH4(t)は時刻tにおけるアンモニア濃度測定器4の測定値を表し、SVNH4(t)は時刻tにおけるアンモニアの濃度目標値を表す。Kは比例ゲインを表し、TIは積分定数を表す。
風量制御部83は、PI制御により調整処理領域21a〜21cについて算出された曝気風量を合計することによって総曝気風量を算出する。
ただし、生物反応槽2の流出側における被処理水の溶存酸素濃度が極端に低くなると(例えば0.2mg/L以下)、有機物等による被処理水の水質悪化の恐れがある。また、溶存酸素濃度が極端に高くなっても(例えば5mg/L以上)、硝化は改善されない。このため、風量制御部83は、生物反応槽2の流出側に設置された溶存酸素濃度測定器5の測定値も併用して曝気風量を算出してもよい(例えば、特願2004−5100号公報参照)。
風量コントローラ8の風量制御周期は、制御部9の制御周期よりも短い周期とし、長くとも数時間程度(時間オーダー)であることが望ましい。好ましくは、風量制御周期は、10秒(秒オーダー)〜10分の範囲であることが望ましい。
図3は、制御部9の機能構成を示す機能ブロック図である。制御部9は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御部9は、制御プログラムの実行によって目標値設定部91、制御周期設定部92、フィルタ部93及び領域制御部94を備える装置として機能する。なお、制御部9の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
目標値設定部91は、領域制御部94に対して、処理済水に含まれる全窒素及び全リンの濃度目標値を設定する。例えば、目標値設定部91は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を含んで構成され、全窒素及び全リンの濃度目標値を予め記憶するように構成されてもよい。この場合、目標値設定部91は、予め記憶している濃度目標値を記憶装置から読み出し、領域制御部94に出力する。また、例えば、目標値設定部91は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成され、入力された濃度目標値を領域制御部94に出力するように構成されてもよい。
制御周期設定部92は、領域制御部94に対して調整処理領域21の制御周期(以下、「領域制御周期」という。)を設定する。例えば、制御周期設定部92は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を含んで構成され、領域制御周期を予め記憶するように構成されてもよい。この場合、制御周期設定部92は、予め記憶している領域制御周期を記憶装置から読み出し、領域制御部94に出力する。また、例えば、制御周期設定部92は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成され、入力された領域制御周期を領域制御部94に出力するように構成されてもよい。
フィルタ部93(第1フィルタ部)は、アンモニア濃度測定器4、全窒素濃度測定器6及び全リン濃度測定器7によって取得されるそれぞれの測定データに基づいて、各種濃度の測定値として信頼性の高い値を取得するフィルタリング処理を行う。例えばフィルタリング処理は、測定データから異常値や外れ値を除去することによって実現されてもよいし、平均値や中央値などの代表値を取得することによって実現されてもよい。
また、フィルタ部93は、異常値や外れ値を除去した上で平均値を算出するトリム平均などの手法を用いてフィルタリング処理を行ってもよい。フィルタ部93は、複数の測定データが示す各種濃度の測定値として信頼性の高い値を取得することが可能であれば、他のどのような手法を用いてフィルタリング処理を行ってもよい。
本実施形態では、フィルタ部93は、各制御タイミングの間(すなわち一領域制御周期の期間)に測定されたアンモニア濃度、全窒素濃度及び全リン濃度の測定値について、当該期間における移動平均値を算出することにより測定データのフィルタリングを行う。フィルタ部93は、フィルタリング処理が実行された測定データを領域制御部94に出力する。
領域制御部94は、アンモニア濃度測定器4から生物反応槽2の流出側における被処理水に含まれるアンモニア濃度の計測データを取得する。また、領域制御部94は、全窒素濃度測定器6及び全リン濃度測定器7から、処理済水に含まれる全窒素及び全リンの濃度の計測データを取得する。なお、領域制御部94が取得する計測データは、フィルタ部93によってフィルタリングされたデータである。
領域制御部94は、取得した計測データが示すアンモニア濃度、全窒素濃度及び全リン濃度に基づいて、各調整処理領域21を、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気のいずれの雰囲気とするかを決定する。領域制御部94は、各調整処理領域21が決定された雰囲気となるように各開閉弁245の開度を制御する。領域制御部94は、測定データの取得、各調整処理領域21の雰囲気の決定、及び各開閉弁245の制御を、制御周期設定部92によって設定された領域制御周期で実行する。
具体的には、領域制御部94は、風量制御周期より長い領域制御周期(例えば、1日から1週間程度)の移動平均値でアンモニア濃度を監視し、硝化が不十分である場合には、生物反応槽2の好気処理領域を増加させるように開閉弁245を制御する。これにより領域制御部94は、生物反応槽2における硝化反応を促進する。一方、硝化が十分である場合には、領域制御部94は、生物反応槽2の嫌気処理領域を増加させるように開閉弁245を制御する。これにより領域制御部94は、生物反応槽2におけるリンの除去を促進する。
ここで、領域制御部94が、調整処理領域21の雰囲気を切り換える際の基本条件は以下のとおりである。まず、窒素を除去するためには硝化反応を進める必要があるため、領域制御部94は、生物反応槽2の調整処理領域21を好気雰囲気とする。そして、その後、硝化が十分であると判断された場合には、領域制御部94は、生物反応槽2の調整処理領域21を嫌気雰囲気とする。このように調整処理領域21を、好気雰囲気から嫌気雰囲気に切り替えることによってリンが除去される。
図4は、領域制御部94による調整処理領域21の制御の具体例を示す図である。
まず図4により、調整処理領域21の雰囲気を処理水質の状態別(処理水質状態(I)〜(IV))に応じて制御する例を説明する。図4において、nh4refは、被処理水中のアンモニア性窒素(以下、「NH−N」と記載する。)濃度の目標値を表す。δnh4は、アンモニア性窒素濃度の目標値に対する余裕しろである。すなわち、nh4ref+δnh4は、目標とするアンモニア性窒素濃度の上限値を表し、nh4ref−δnh4は、目標とするアンモニア性窒素濃度の下限値を表す。
また、図4において、po4refは、被処理水中のリン酸態リン(以下、「PO−P」と記載する。)濃度の目標値を表す。δpo4は、リン酸態リン濃度の目標値に対する余裕しろである。すなわち、po4ref+δpo4は、目標とするリン酸態リン濃度の上限値を表し、po4ref−δpo4は、目標とするリン酸態リン濃度の下限値を表す。
例えば、領域制御部94は、領域制御周期に基づく制御タイミングにおいて、次のような判断を行う。領域制御周期は風量コントローラ8に設定された風量制御周期よりも長いものとし、日〜週のオーダーが望ましい。ただし、領域制御周期は、日〜週のオーダーに限定されるものではない。
図4の例は、NH−N濃度目標値とリン酸態リン濃度目標値に対する余裕しろ(制御上の冗長性)ありの場合であるが、各濃度目標値には必ずしも余裕しろが設けられなくてもよい。NH−N濃度目標値とPO−P濃度目標値は、例えばそれぞれ1mg/L、2mg/Lである。余裕しろは、NH−N濃度目標値及びPO−P濃度目標値ごとに設定可能であり、調整可能なパラメータである。
<処理水質状態I>
処理水質状態Iは、被処理水のNH−N濃度が目標上限値(NH−N濃度目標値+余裕しろ)を超え、かつ被処理水のPO−P濃度が目標下限値(PO−P濃度目標値−余裕しろ)以下となる水質状態である。この場合は硝化が不十分かつリン除去が十分なため、硝化を促進するために、生物反応槽2において好気雰囲気が増加するように調整処理領域21を制御する。
<処理水質状態II>
処理水質状態IIは、被処理水のNH−N濃度が目標上限値(NH−N濃度目標値+余裕しろ)を超え、かつ被処理水のPO−P濃度が目標上限値(PO−P濃度目標値+余裕しろ)を超える水質状態である。この場合は硝化が不十分かつリン除去が不十分なため、硝化を優先するために、生物反応槽2において好気雰囲気が増加するように調整処理領域21を制御する。
<処理水質状態III>
処理水質状態IIIは、被処理水のNH−N濃度が目標下限値(NH−N濃度目標値−余裕しろ)以下で、かつ被処理水のPO−N濃度が目標上限値(PO−P濃度目標値+余裕しろ)を超える水質状態である。この場合は硝化が十分かつリン除去が不十分なため、リン除去を促進するために、生物反応槽2において嫌気雰囲気が増加するように調整処理領域21を制御する。
<処理水質状態IV>
処理水質状態IVは、被処理水のNH−N濃度が目標下限値(NH−N濃度目標値−余裕しろ)以下で、かつ被処理水のPO−P濃度が目標下限値(PO−P濃度目標値−余裕しろ)以下となる水質状態である。この場合は硝化が十分かつリン除去が十分なため、各調整処理領域21の雰囲気を現状維持する。
図5は、調整処理領域21a〜21cの雰囲気の切り替えの一例を示す図である。なお、この図5において、第1区画〜第3区画はそれぞれ調整処理領域21a〜21cであり、第4区画は好気処理領域25である。
生物反応槽2の第1区画、第2区画、第3区画、第4区画がとりうる処理雰囲気を、以下の4パターンとする。
(状態0)第1区画:好気、第2区画:好気、第3区画:好気、第4区画:好気
(状態1)第1区画:嫌気、第2区画:好気、第3区画:好気、第4区画:好気
(状態2)第1区画:嫌気、第2区画:嫌気、第3区画:好気、第4区画:好気
(状態3)第1区画:嫌気、第2区画:嫌気、第3区画:嫌気、第4区画:好気
処理水質状態Iと処理水質状態IIで生物反応槽2の調整処理領域21の好気雰囲気の区画数を増やしていく場合は、各制御タイミングにおいて、生物反応槽2を上述した状態3→状態2→状態1→状態0の順に1段階ずつ切替える。
処理水質状態IIIで生物反応槽2の調整処理領域21の嫌気雰囲気の区画数を増やす場合は、生物反応槽2を上述した状態0→状態1→状態2→状態3の順に1段階ずつ切替える。
処理水質状態IVで生物反応槽2の各調整処理領域21の雰囲気を現状維持とする場合は、生物反応槽2の状態を切替えることなく維持する。
生物反応槽2の調整処理領域21の状態の切り替えは、1回の制御タイミングで1段階とする。なお各制御タイミングにおいて、生物反応槽2の調整処理領域21を好気雰囲気とする必要があり、かつ現状の生物反応槽2が状態0の場合は、これ以上調整処理領域21を好気雰囲気とすることができないため、生物反応槽2の状態を切り替えることなく、生物反応槽2を状態0のままとする。
また、各制御タイミングにおいて、生物反応槽2の調整処理領域21を嫌気雰囲気とする必要があり、かつ現状の生物反応槽2が状態3の場合は、これ以上調整処理領域21を嫌気雰囲気とすることができないため、生物反応槽2の状態を切り替えることなく、生物反応槽2を状態3のままとする。
以下、生物反応槽2の調整処理領域21の切り替えの一例として、生物反応槽2の初期状態を状態1とした場合について説明する。この場合、水質状態が処理水質状態I又は処理水質状態IIの場合、第1区画を好気とし、状態0とする。
水質状態が処理水質状態IIIの場合、生物反応槽2の調整処理領域21を嫌気雰囲気とするため、生物反応槽2を状態1から状態2に切替える。
水質状態が処理水質状態IVの場合、生物反応槽2の調整処理領域21を現状維持とするため、生物反応槽2を状態1のままにする。
以下、実施形態の有機排水処理システム100の変形例について説明する。
上述した有機排水処理システム100では、一以上の調整処理領域21を嫌気雰囲気、好気雰囲気又は微好気雰囲気のいずれかの状態に制御したが、有機排水処理システム100は、一以上の調整処理領域21を嫌気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかの状態に制御するように構成されてもよい。この場合、生物反応槽2内に微好気処理領域を醸成することができないため、窒素除去反応のうち、脱窒反応の改善という面では実施形態の有機排水処理システム100よりも劣る。しかしながら、この場合、実施形態の有機排水処理システム100よりも初期導入コストを低減することができる。具体的には、微好気雰囲気を醸成する必要がないため、開閉弁245は単純な開閉機能のみを有すればよく、開度調整機能を備える必要がない。このような構成は、リン除去とアンモニア除去との両立は求められるが、全窒素に関しての規制が緩い水処理施設の場合に有効である。
有機排水処理システム100は、図4に示した判断基準と異なる判断基準に基づいて各種雰囲気の増減を判断してもよい。例えば、有機排水処理システム100は、図6に示すように全窒素濃度や全リン濃度、アンモニア性窒素濃度などの各種濃度の測定値と、各種濃度の目標値と、の大小関係に基づいて各種雰囲気の増減を判断してもよい。いずれの判断基準であっても、領域制御周期は、風量コントローラ8の風量制御周期よりも十分長い必要があり、好ましくは、1日〜1週間のオーダーであることが望ましい。このように構成された変形例の有機排水処理システム100は、曝気風量及び各調整処理領域21の雰囲気に加えて、凝集剤の注入量もあわせて制御することが可能となる。
風量コントローラ8は、制御部9と同様のフィルタ部(第2フィルタ部)を備えてもよい。この場合、風量コントローラ8に備えられるフィルタ部は、アンモニア濃度測定器4及び溶存酸素濃度測定器5によって取得される測定データに対してフィルタリング処理を行う。
有機排水処理システム100は、全リン濃度測定器7に代えてリン酸態リン濃度測定器を備えてもよい。特に下水処理の場合、被処理水中に流出するリンの大部分は、リン酸態リンである。そのため、有機排水処理システム100は、全リン濃度の代わりにリン酸態リン濃度を用いて調整処理領域21を制御する構成であってもよい。
風量コントローラ8は、図2に示した構成に限定されるものではなく、アンモニア性窒素濃度に基づいて総曝気風量を算出するものであれば、他のどのような構成であってもよい。例えば、風量コントローラ8は、アンモニア性窒素濃度と溶存酸素濃度とに基づいて曝気風量を算出するものであってもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、生物反応槽内の被処理水を曝気する空気量を、被処理水のアンモニア濃度に基づいて制御する風量コントローラと、生物反応槽内の一以上の調整処理領域を、被処理水のアンモニア濃度、全窒素濃度及び全リン濃度に基づいて、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかに制御する制御部と、を持つことにより、有機排水中から窒素及びリンを効率的に除去することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
100…有機排水処理システム、1…最初沈殿池、2…生物反応槽、21,21a〜21e…調整処理領域、22…流入流路、23…流出流路、24…エアレーション装置、241…ブロア、242…空気配管、243…流量調整弁、244…分岐管、245,245a〜245e…開閉弁、246,246a〜246e…散気板、25…好気処理領域、3…最終沈殿池、31…返送配管、32…返送汚泥ポンプ、33…余剰汚泥引き抜きポンプ、4…アンモニア濃度測定器、5…溶存酸素濃度測定器、6…全窒素濃度測定器、7…全リン濃度測定器、8…風量コントローラ、81…目標値設定部、82…制御周期設定部、83…風量制御部、9…制御部、91…目標値設定部、92…制御周期設定部、93…フィルタ部、94…領域制御部

Claims (9)

  1. 被処理水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、一以上の調整処理領域及び好気処理領域を順に備えた生物反応槽と、
    前記好気処理領域における被処理水のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度測定器と、
    前記生物反応槽から流出した被処理水の全窒素濃度を測定する窒素濃度測定器と、
    前記生物反応槽から流出した被処理水の全リン濃度又はリン酸態リン濃度を測定するリン濃度測定器と、
    前記アンモニア濃度測定器により測定された値に基づいて、生物反応槽に供給する総空気量を調整する風量コントローラと、
    前記アンモニア濃度測定器、前記窒素濃度測定器及び前記リン濃度測定器により測定された値に基づいて、前記一以上の調整処理領域のそれぞれを、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかの雰囲気に切り替える制御部と、
    を備え、
    前記風量コントローラは、秒オーダーから時間オーダーの制御周期で前記総空気量の制御を行い、
    前記制御部は、日オーダーから週オーダーの制御周期で前記調整処理領域の雰囲気の切り替えの制御を行う、
    有機排水処理システム。
  2. 被処理水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、一以上の調整処理領域及び好気処理領域を順に備えた生物反応槽と、
    前記好気処理領域における被処理水のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度測定器と、
    前記生物反応槽から流出した被処理水の全窒素濃度を測定する窒素濃度測定器と、
    前記生物反応槽から流出した被処理水の全リン濃度又はリン酸態リン濃度を測定するリン濃度測定器と、
    前記アンモニア濃度測定器により測定された値に基づいて、生物反応槽に供給する総空気量を調整する風量コントローラと、
    前記アンモニア濃度測定器、前記窒素濃度測定器及び前記リン濃度測定器により測定された値に基づいて、前記一以上の調整処理領域のそれぞれを、嫌気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかの雰囲気に切り替える制御部と、
    を備え、
    前記風量コントローラは、秒オーダーから時間オーダーの制御周期で前記総空気量の制御を行い、
    前記制御部は、日オーダーから週オーダーの制御周期で前記調整処理領域の雰囲気の切り替えの制御を行う、
    有機排水処理システム。
  3. 前記制御部は、前記アンモニア濃度、及び前記全リン濃度又は前記リン酸態リン濃度についてあらかじめ設定された目標値を格納する目標値設定部と、
    前記アンモニア濃度、及び前記全リン濃度又は前記リン酸態リン濃度が前記目標値に近づくように、前記調整処理領域の雰囲気の切り替えを行う領域制御部と、
    を備える、
    請求項1又は2に記載の有機排水処理システム。
  4. 前記制御部は、前記アンモニア濃度測定器、前記窒素濃度測定器及び前記リン濃度測定器によって取得されるそれぞれの測定データに基づいて、各種濃度の測定値として信頼性の高い値を取得して前記領域制御部に出力する第1フィルタ部をさらに備える、
    請求項3に記載の有機排水処理システム。
  5. 前記風量コントローラは、前記アンモニア濃度測定器によって取得される測定データに基づいて、アンモニア濃度の測定値として信頼性の高い値を取得する第2フィルタ部をさらに備える、
    請求項3又は4に記載の有機排水処理システム。
  6. 前記好気処理領域における被処理水の溶存酸素濃度を測定する溶存酸素濃度測定器をさらに備え、
    前記風量コントローラは、前記アンモニア濃度と、前記溶存酸素濃度測定器によって測定された溶存酸素濃度とに基づいて前記総空気量の制御を行う、
    請求項1からのいずれか一項に記載の有機排水処理システム。
  7. 被処理水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、一以上の調整処理領域及び好気処理領域を順に備えた生物反応槽と、前記好気処理領域における被処理水のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度測定器と、前記生物反応槽から流出した被処理水の全窒素濃度を測定する窒素濃度測定器と、前記生物反応槽から流出した被処理水の全リン濃度又はリン酸態リン濃度を測定するリン濃度測定器と、を備える有機排水処理システムが行う制御方法であって、
    前記アンモニア濃度測定器により測定された値に基づいて、生物反応槽に供給する総空気量を調整する風量制御ステップと、
    前記アンモニア濃度測定器、前記窒素濃度測定器及び前記リン濃度測定器により測定された値に基づいて、前記一以上の調整処理領域のそれぞれを、嫌気雰囲気、微好気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかの雰囲気に切り替える領域制御ステップと、
    を有し、
    前記風量制御ステップにおいて、秒オーダーから時間オーダーの制御周期で前記総空気量の制御を行い、
    前記領域制御ステップにおいて、日オーダーから週オーダーの制御周期で前記調整処理領域の雰囲気の切り替えの制御を行う、
    制御方法。
  8. 被処理水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、一以上の調整処理領域及び好気処理領域を順に備えた生物反応槽と、前記好気処理領域における被処理水のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度測定器と、前記生物反応槽から流出した被処理水の全窒素濃度を測定する窒素濃度測定器と、前記生物反応槽から流出した被処理水の全リン濃度又はリン酸態リン濃度を測定するリン濃度測定器と、を備える有機排水処理システムが行う制御方法であって、
    前記アンモニア濃度測定器により測定された値に基づいて、生物反応槽に供給する総空気量を調整する風量制御ステップと、
    前記アンモニア濃度測定器、前記窒素濃度測定器及び前記リン濃度測定器により測定された値に基づいて、前記一以上の調整処理領域のそれぞれを、嫌気雰囲気又は好気雰囲気のいずれかの雰囲気に切り替える領域制御ステップと、
    を有し、
    前記風量制御ステップにおいて、秒オーダーから時間オーダーの制御周期で前記総空気量の制御を行い、
    前記領域制御ステップにおいて、日オーダーから週オーダーの制御周期で前記調整処理領域の雰囲気の切り替えの制御を行う、
    制御方法。
  9. 請求項1又は2に記載の有機排水処理システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
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