JP2022107994A - 有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラム - Google Patents

有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラム Download PDF

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【課題】 従来の設備を利用しつつ、有機排水中から窒素およびリンを効率的に除去する有機排水処理システム。【解決手段】 実施形態による有機排水処理システムは、調整領域61-63および好気領域70を順に備えた生物反応槽と、生物反応槽からの流出水を固液分離する固液分離槽80と、を含み、調整領域が一又は複数の区画61-63を含むプロセスに適用可能であって、生物反応槽に流入する有機物濃度又は前記有機物濃度に相当する値を測定する第1測定器と、好気領域70または固液分離槽80出口におけるアンモニア濃度を測定する第2測定器と、好気領域70または固液分離槽80出口における全リン濃度またはリン酸濃度を測定する第3測定器と、第1測定器、第2測定器、及び、第3測定器により測定された値に基づいて、区画61-63を、独立して、嫌気雰囲気と、微好気雰囲気と、好気雰囲気との状態に切り替え可能な制御部20と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムに関する。
従来、生活排水を浄化処理する下水処理場では、もっとも代表的なプロセスとして、標準活性汚泥法が採用されてきた。標準活性汚泥法は、送風機により水中に空気を供給する曝気槽において、好気微生物により水中の有機汚濁物質を酸化分解するものである。
上記のように、標準活性汚泥法により処理水中の有機物を分解除去することができる。しかしながら、標準活性汚泥法により、放流先の富栄養化問題の原因物質となる窒素やリンを除去することはできない。そこで、処理水中の有機物を分解するとともに、窒素及びリンを除去する方法として、標準活性汚泥法の変法である窒素除去型の循環式硝化脱窒法、リン除去型の嫌気-好気活性汚泥法(AO法)、窒素・リン同時除去型の嫌気-無酸素-好気活性汚泥法(AO)法などの高度処理プロセスの導入が進められている。
こうした高度処理プロセスでは、流入下水から最初沈殿池で沈殿汚泥が除去された一次処理水が生物反応槽に送られる。次いで、生物反応槽内の嫌気槽、無酸素槽および好気槽において微生物の反応により、一次処理水から有機物、窒素、リンが除去される。同時に、生物反応槽において微生物の凝集体であるフロックが形成される。そして、フロックを含む二次処理水が生物反応槽から最終沈殿池に送られる。最終沈殿池では二次処理水からフロックが沈殿、除去される。沈殿物の大部分は活性汚泥を含む返送汚泥として最終沈殿池から生物反応槽に戻される。沈殿物の一部は余剰汚泥として最終沈殿池から排出され、濃縮・脱水後に焼却処理される。
なお、有機排水中の窒素分としてのアンモニアの除去プロセスは次の通りである。まず、好気槽においてアンモニアが硝酸イオンに酸化(硝化)される。酸化された硝酸イオンは無酸素槽に返送される。無酸素槽において、硝酸イオンが微生物の作用により窒素ガスに還元(脱窒)される。また、リンの除去プロセスでは、嫌気槽において微生物からリンを吐き出させる。次いで好気槽において、微生物にリンを吸収させ、リンを吸収した微生物をフロックとして沈澱除去させる。好気槽において微生物に吸収されるリン量は、嫌気槽において微生物が吐き出すリン量よりも多量である。微生物による吐出量と吸収量との差だけ、水中のリンが除去される。
特開2015-97976号公報 特開2016-168571号公報 特開2017-13014号公報 特開2005-199116号公報
しかしながら、既存の排水処理装置に、上記の高度処理方法を導入するためには、生物反応槽内に新たに嫌気槽、無酸素槽および好気槽を設ける必要がある。具体的には、攪拌機、ポンプなどの新たな機器の導入ならびに新たなコンクリート躯体の新設が必要となる。このため、既存の設備の改造には時間と手間がかかり、コスト高であるといった課題があった。
こうした課題に対応するために、例えば、有機性排水中の固形分と液分とを固液分離する最初沈殿池(固液分離槽)と、最初沈殿池の越流水を活性汚泥にて処理する生物反応槽と、活性汚泥を固液分離する最終沈殿地と、で構成される活性汚泥処理法の施設において、生物反応槽内に水の流下方向に配された散気管の調整バルブの開度調整により、嫌気-微好気-好気の運転切替できるゾーン(調整領域)を設けた有機排水処理システムが知られている。そして、この調整領域を、処理水中の窒素、リン濃度並びにアンモニア濃度の計測値に応じて、リンの処理性能が悪い場合には嫌気運転、窒素の処理性能が悪くかつアンモニアの処理性能が悪い場合は好気運転、その他の場合は微好気運転とすることによって、窒素およびリンを除去するシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、特許文献2においては、処理水または生物反応タンクの後段に設置されたアンモニアの値とリン濃度の値とにより、嫌気領域、好気領域の増減を行う制御プログラムが提案されている。しかしながら、リンの除去反応は、流入水の有機物濃度が低い場合においては、嫌気領域を広げることにより、悪化する場合がある。
また、特許文献3には有機物濃度が不足する場合、有機物を添加、もしくは最初沈殿池をバイパスすることで高濃度の有機物を反応タンクに流入させる方法が開示されており、この方法は有効と考えられるが、有機物を添加する設備や添加するための配管、最初沈殿池をバイパスするための水路、配管などの費用の掛かる改造工事が必要である。
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、有機排水中から窒素およびリンを効率的に除去することを可能にする有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムを提供することを目的とする。
実施形態による有機排水処理システムは、被処理水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、調整領域および好気領域を順に備えた生物反応槽と、前記生物反応槽からの流出水を固液分離する固液分離槽と、を含み、前記調整領域が一又は複数の区画を含むプロセスに適用可能であって、前記生物反応槽に流入する有機物濃度又は前記有機物濃度に相当する値を測定する第1測定器と、前記好気領域または前記固液分離槽出口におけるアンモニア濃度を測定する第2測定器と、前記好気領域または前記固液分離槽出口における全リン濃度またはリン酸濃度を測定する第3測定器と、前記第1測定器、前記第2測定器、及び、前記第3測定器により測定された値に基づいて、前記区画を、独立して、嫌気雰囲気と、微好気雰囲気と、好気雰囲気との状態に切り替え可能な制御部と、を備える。
図1は、第1実施形態の有機排水処理システムの一構成例を概略的に示す図である。 図2Aは、第1実施形態の有機排水処理方法および制御プログラムが動作するアルゴリズムの一例を説明するための図である。 図2Bは、第1実施形態の有機排水処理方法および制御プログラムが動作するアルゴリズムの他の例を説明するための図である。 図3は、第1実施形態の有機排水処理システムの他の構成例を概略的に示す図である。 図4は、第2実施形態の有機排水処理システムの一構成例を概略的に示す図である。 図5は、第3実施形態の有機排水処理システムの一構成例を概略的に示す図である。 図6は、第3実施形態の有機排水処理方法の一例について説明するための図である。 図7は、第4実施形態の有機排水処理システムの一構成例を概略的に示す図である。 図8は、第4実施形態の有機排水処理方法の一例について説明するための図である。
以下、実施形態の有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムを、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の有機排水処理システムの一構成例を概略的に示す図である。
図1に示す有機排水処理システムは、上流側から順に最初沈殿池40、生物反応槽および最終沈殿池80を備えたプロセスに適用可能であり、風量コントローラ30と調整領域制御部20と、切替判定値設定器10とを備えている。
本実施形態の有機排水処理システムでは、例えば図1の紙面に向かって左側から右側に水が流れるように、最初沈殿池40から生物反応槽、最終沈殿池80へと勾配が付けられている。
最初沈殿池40は、有機排水(被処理水)を受け入れ、浮遊物質(SS)を沈殿させる一次処理設備である。本実施形態では、最初沈殿池40の上澄み液がオーバーフローし、生物反応槽に流入するように構成されている。なお、最初沈殿池40の底部には図示しない汚泥排出ラインが連通し、汚泥が定期的に又は随時に排出されるようになっている。
生物反応槽は、微生物による分解作用を利用して汚水を浄化処理するための反応タンクである。生物反応槽には、嫌気領域50、調整領域61-63、好気領域70が設置されている。また、生物反応槽は、浄化処理前の有機排水(被処理水)が導入流路から流入する流入部と、浄化処理後の有機排水(処理済水)が流出する流出部とを備えている。
生物反応槽は、反応タンクの前段から、嫌気領域50、調整領域62-63、好気領域70に区分され、生物反応槽の内容積のうち、例えば、10~20%を占める領域が嫌気領域50、30~60%を占めるが好気領域70とされる。生物反応槽の内容積の残りが調整領域61-63とされる。
生物反応槽には、曝気手段としてエアレーション装置が備えられている。エアレーション装置は、ブロアBと、ブロアBから延びる空気配管と、空気配管に設けられた風量調整弁と、空気配管から分岐した分岐管と、各分岐管に設けられた制御バルブB0-B5と、各分岐管の先端に取り付けられた散気板A0-A5とを備えている。散気板A0-A5は、生物反応槽の内部の各領域に少なくとも1つ設置されている。
嫌気領域50に向かう分岐管に設置された制御バルブB0は、常に開度5~10%程度の閉に近い開度(例えば領域の攪拌ができる程度の空気量を供給するための開度)とし、好気領域70に向かう分岐管に設置された制御バルブB4、B5は、常に「開」とされている。
調整領域61-63に向かう分岐管に設置された制御バルブB1-B3は、開度が自在に設定可能になっている。制御バルブB1-B3は、後述する調整領域制御部20に接続され、調整領域制御部20の指令に基づき、その開度が制御される。これら制御バルブB1-B3の開度を制御することで、調整領域61-63における雰囲気の範囲を調整可能である。例えば本実施形態では、制御バルブB1-B3の開度を制御することで、調整領域61-63の雰囲気を、それぞれ嫌気雰囲気、微好気雰囲気または好気雰囲気に設定することができる。
更に、空気配管に設けられた流量調整弁は、後述する風量コントローラ30に接続されている。風量コントローラ30により流量調整弁の開度を制御することによって、空気配管における空気の流量を調整できる。
調整領域61-63は、雰囲気を嫌気雰囲気、微好気雰囲気または好気雰囲気のいずれかに切り替え可能な領域であって、一又は複数の区画から成る。本実施形態において、調整領域61-63は、例えば第1区画61、第2区画62、および、第3区画63の3つの区画を含み、それぞれの区画別に雰囲気を独立して切り替え可能としている。
調整領域61-63における雰囲気の切替は、制御バルブB1-B3を操作することにより、それぞれ独立に行うことができる。例えば、制御バルブB1-B3を最低限の攪拌ができる程度の開度まで絞り、0~10%程度の開度として、散気板A1-A3各々からほとんど空気を供給しない場合は、調整領域61-63は嫌気雰囲気となる。例えば、制御バルブB1-B3を全開とし、散気板A1-A3各々から空気を多量に供給する場合は、調整領域61-63は好気雰囲気となる。例えば、制御バルブB1-B3の開度を10~20%程度に調節し、散気板A1-A3各々から空気を少量供給する場合は、調整領域61-63は微好気雰囲気となる。
例えば嫌気雰囲気に調整された領域は、嫌気雰囲気(ORP(oxide-reduction potential)値がマイナス側)となる。より詳細には、ORP値が-200mV以下となる。ここでORP値とは酸化還元電位のことをいう。処理水のORP値がマイナスの場合はその処理水は還元状態にあるといえる。すなわち、曝気しないで嫌気的な状態におかれた汚水は酸化還元電位が低くなる(マイナスのORP値)。このような状況の嫌気領域では、有機物が十分にあれば、微生物からのリンの吐き出しが進むとともに、硝酸性窒素から窒素ガスへの還元反応が進む。窒素ガスは無害なガスとして大気に放出され、水中の窒素濃度が除去(低減)できる。
一方、好気雰囲気に調整された処理領域ならびに好気領域は、定常運転時において好気性微生物の活性が高まるように好気雰囲気(ORP値がプラス側)に調整されている。より詳細には、ORP値が50mV以上の範囲になるように調整されている。ORP値がプラスの場合はその処理水は酸化状態にあるといえる。すなわち、曝気が十分で好気的な状態におかれた処理水は電位が高くなる。これら領域では、微生物によるリンの吸収が進むとともにアンモニアから硝酸イオンへの酸化反応が進む。
また、微好気雰囲気とは、ORP値が-50~50mVの範囲になるように調整された雰囲気をいう。例えば、嫌気雰囲気が-200mV以下の範囲の雰囲気であり、好気雰囲気が50mV以上の範囲の雰囲気であるから、微好気雰囲気は、嫌気雰囲気と好気雰囲気の中間の状態にあるといえる。この微好気雰囲気では、硝酸イオンから窒素への還元反応と、アンモニアから硝酸イオンへの酸化反応とが同時に進む。
最終沈殿池80では、二次処理水からフロックが沈殿、除去される。また、最終沈殿池80は、返送配管と、返送配管の途中に設けられた返送汚泥ポンプP1を備える。沈殿物の大部分は、活性汚泥を含む返送汚泥として、返送汚泥ポンプP1により最終沈殿池80から返送配管を介して生物反応槽の流入部に常時戻される。沈殿物の一部は、余剰汚泥として最終沈殿池80から排出され、濃縮・脱水後に焼却処理される。
最終沈殿池80の下流側には図示しない消毒設備が設けられ、消毒された処理水が放流用流路を通って、河川や海洋に放流される。
また、本実施形態の有機排水処理システムは、流入有機物濃度測定器(第1測定器)と、アンモニア濃度測定器(NH計)(第2測定器)と、リン酸濃度測定器(PO計)(第3測定器)と、溶存酸素濃度測定器(DO計)と、を備えている。なお、更に、全窒素濃度測定器、全リン濃度測定器(第3測定器)が備えられていることも好ましい。
流入有機物濃度測定器は、生物反応槽の流入部に設置され、生物反応槽へ流入する水の有機物濃度を測定する。流入有機物濃度測定器の測定値は、調整領域制御部20へ供給される。
アンモニア濃度測定器は、例えば好気領域70内の水のアンモニア性窒素濃度を測定する。アンモニア濃度測定器の測定値は、調整領域制御部20と風量コントローラ30とへ供給される。
溶存酸素濃度測定器は、好気領域内の水の溶存酸素濃度を測定する。溶存酸素濃度測定器の測定値は、調整領域制御部20と風量コントローラ30とへ供給される。
リン酸濃度測定器は、好気領域内の水のリン酸態リン濃度を測定する。リン酸濃度測定器の測定値は、調整領域制御部20と風量コントローラ30とへ供給される。
全窒素濃度測定器および全リン濃度測定器は、生物反応槽または最終沈殿池から流出された処理水の全窒素濃度及び全リン濃度をそれぞれ測定する。
調整領域制御部20は、調整領域を制御するための制御プログラムが格納されたメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行可能な少なくとも1つのプロセッサとを備えたコントローラである。調整領域制御部20は、流入有機物濃度測定器、アンモニア性窒素濃度測定器(以下、NH計と表記する)、およびリン酸性リン濃度測定器(以下、PO計と表記する)の測定結果に基づき、調整領域61-63の状態を、嫌気雰囲気、微好気雰囲気または好気雰囲気の1種または2種以上の雰囲気に切り替える。制御動作の詳細に関しては後述する。
調整領域制御部20のメモリには、生物反応槽の雰囲気を制御する2種以上の制御プログラムが格納され得る。例えば、制御プログラムは、流入水の有機物濃度があらかじめ定められた所定値以上の場合に実行される第1アルゴリズムと、流入水の有機物濃度が所定値より小さい場合に実行される第2アルゴリズムとを含み得る。第1プログラムと第2プログラムとは、例えば、アンモニア濃度測定器、リン酸濃度測定器の測定結果に基づき、調整領域61-63の各区画を嫌気雰囲気、微好気雰囲気及び好気雰囲気のいずれとするかの指令を発する演算を行うプログラムである。
風量コントローラ30は、NH計の測定値と、溶存酸素濃度測定器(以下、DO計と表記する)の測定値と、アンモニア濃度目標値設定器(図示せず)に設定した設定値とに基づいて、例えば特許文献4に開示されている方法により生物反応槽に送る曝気風量を演算し、風量調節弁を制御する曝気風量を調節することができる。
次に、本実施形態の有機排水処理システムを用いた有機排水処理方法、および、有機排水処理システムの制御プログラムの一例について説明する。
有機排水(被処理水)は、まず、最初沈殿池40において、固形分と液分とに分離される。液分は、導入流路を介して生物反応槽内に流入する。生物反応槽内では、微生物の凝集物である活性汚泥の働きによる有機物質の分解除去と同時に、以下に示す原理で窒素およびリンの除去が行われる。
まず、生物反応槽内における窒素除去の原理を説明する。有機排水中の窒素成分の大半は、アンモニア性窒素(NH )の形態で存在する。この窒素分は、酸素が存在する好気条件下で活性汚泥中に存在する硝化菌の働きにより、下記(1)式の反応により、硝酸性窒素(NO )まで酸化される。この反応は、主に、好気領域において進行する。
酸素が存在する条件(好気条件)
NH +2O→NO +HO+2H …(1)
この硝酸性窒素が、酸素なしの条件で脱窒菌の働きにより、下記(2)式の反応により窒素ガスに還元される。この反応は、主に、嫌気領域において進行する。(2)式の(H)は、下水中の有機物質(水素供与体)から与えられるため、この反応の促進のためには有機物が必要となる。有機物は、有機排水中の有機物でもよく、アルコール、カルボン酸等を嫌気領域に供給することでもよい。
酸素なしの条件(嫌気条件)
2NO +10H→N+2OH+4HO …(2)
上述のように、好気雰囲気では、(1)式の反応が主に進行する。また、嫌気雰囲気では、(2)式の反応が主に進行する。更に、微好気雰囲気では、(1)式と(2)式の反応が同時に進む。
ここで、(1)式のアンモニアから硝酸イオンへの反応の進行が不十分の場合は、(2)式の反応が進まず、有機排水中の全窒素濃度が低減できない。従って、有機排水中のアンモニア濃度及び全窒素濃度が高い場合は、(1)式を促進する必要があり、好気雰囲気を増やす必要がある。
一方、(1)式の反応の進行が十分であっても、(2)式の反応が進まない場合は、有機排水中の全窒素濃度が低減できない。従って、有機排水中のアンモニア濃度が低いにも係わらず全窒素濃度が高い場合は、(1)式を促進する必要があるので、微好気雰囲気を増やす必要がある。
次に、リン除去の原理について示す。リンは、活性汚泥中に存在するリン蓄積菌の働きにより除去される。リン蓄積菌は、嫌気雰囲気において、菌体内に蓄積したリンを吐出する。一方好気雰囲気において、リン蓄積菌は、嫌気雰囲気において菌体から吐出した以上のリンを吸収する。すなわち、リン蓄積菌の吐出量と吸収量との差分に相当するリンが水中から除去される。リンを体内に蓄えたリン蓄積菌は、最終沈殿池80で余剰汚泥として引き抜かれることにより、除去される。
本願発明者らは、実排水を使用した試験により、リン蓄積菌によるリンの除去は、流入の有機物濃度が所定以上ある場合、嫌気雰囲気の容積が大きいほど、効果的に進むこと、一方で有機物濃度が低い場合については、嫌気雰囲気の容積を大きくしてもリン除去が改善せず、好気雰囲気の容積を大きくすることで、リン吸収反応が進むことを確認した。本実施形態は、発明者らの上記知見に基づくものである。
以上の窒素の除去およびリンの除去の原理に基づく本実施形態の有機排水処理方法、および、調整領域制御部20が実行する制御プログラムの動作を以下に説明する。
調整領域制御部20は、あらかじめ、判定周期と制御周期とが任意に設定可能に構成されている。また、調整領域制御部20は、切替判定値設定器10により、流入有機物濃度、アンモニア濃度、リン酸濃度の切替判定値も任意に設定可能に構成されている。
判定周期は、例えば数10分~1時間程度で設定することが望ましい。また、制御周期は数時間から日オーダの周期で設定することが望ましい。ここで、判定周期とは、一又は複数の調整領域61-63の調整雰囲気の切替判断を行うタイミングを示している。また制御周期とは、一旦、一又は複数の調整領域61-63の状態を切り替えた後に、次の切り替を行うまでの周期を示す。
すなわち、調整領域制御部20は、一旦、調整領域61-63の状態を切り替えた後は、次の制御周期を迎えるまで状態の切替を行わない。一方で、調整領域制御部20で現状維持の判定が行われたときには、次の判定周期のタイミングで再度、調整領域制御部20により調整領域61-63の状態切替の判定が行われる。
調整領域制御部20は、各センサ計測値の瞬時値ではなく、各センサ計測値の移動平均値を用いて状態切替の判定を行う。このため、調整領域制御部20は、各センサ計測値の移動平均値として、NH計の計測値の移動平均値SNH4ave、PO計の計測値の移動平均値SPO4ave、流入有機物濃度計の計測値の移動平均値Cin_aveを計算する。このとき、調整領域制御部20は、制御周期分の移動平均値を計算する。例えば、制御周期が1日の場合は、調整領域制御部20は、現在値から1日前の値までの移動平均を計算する。
次に、調整領域制御部20で行われる具体的な判定処理のアルゴリズムの例について説明する。
図2Aは、第1実施形態の有機排水処理方法および制御プログラムが動作するアルゴリズムの一例を説明するための図である。
図2Bは、第1実施形態の有機排水処理方法および制御プログラムが動作するアルゴリズムの他の例を説明するための図である。
なお、図2Aおよび図2Bのグラフは、横軸がNH計の計測値の移動平均値(NH4-N)SNH4ave(mg/L)であり、縦軸がPO計の計測値の移動平均値(PO4-P)SPO4ave(mg/L)である。
本実施形態では、調整領域制御部20は、例えば、流入有機物濃度計の計測値の移動平均値Cin_aveと、あらかじめ定められた流入有機物濃度判定値Cin_refとを比較して、アルゴリズムaとアルゴリズムbとを切り替えて動作する。
例えば、流入有機物濃度計の計測値の移動平均値Cin_aveがあらかじめ定められた流入有機物濃度判定値Cin_ref以上のとき、調整領域制御部20は、アルゴリズムaで動作し、流入有機物濃度計の計測値の移動平均値Cin_aveが流入有機物濃度判定値Cin_refよりも小さいとき、調整領域制御部20はアルゴリズムbで動作する。
なお本実施形態では、アルゴリズムaとアルゴリズムbとにおいて、NH4-N切替判定値NH4-NrefとPO4-P切替判定値PO4-Prefとは、例えばそれぞれ1mg/L、2mg/Lとする。
アルゴリズムaとアルゴリズムbとは、NH4-N切替判定値NH4-NrefとPO4-P切替判定値PO4-Prefとを閾値として、流入水の水質状態を下記I、II、IIIの3つの状態に分類し、調整領域61-63の各区画の状態切替を行うアルゴリズムである。
<水質状態I>
水質状態Iは、NH計の計測値の移動平均値SNH4aveがNH4-N切替判定値NH4-Nrefを超える水質状態である。この場合は、調整領域制御部20は、流入有機物濃度、PO4-P濃度に関わらず、硝化が不十分なため、硝化を促進するために、調整領域61-63部分の好気雰囲気区画が増加するように制御する。
<水質状態II>
水質状態IIは、NH計の計測値の移動平均値SNH4aveがNH4-N切替判定値NH4-Nref以下であり、かつPO計の計測値の移動平均値SPO4aveがPO4-P切替判定値(PO4-Pref)を超える水質状態である。すなわち、硝化は十分であり、リン除去が不十分な状態である。
水質状態IIにおいてCin_ave≧Cin_refのとき、すなわち流入水の有機物濃度が高い場合には、調整領域制御部20は、図2Aのアルゴリズムaに示すように調整領域61-63部分の嫌気雰囲気区画が増加するように制御することで、リン除去の改善を図る。
また、水質状態IIにおいてCin_ave<Cin_refのとき、すなわち流入水の有機物濃度が低い場合、調整領域制御部20は、図2Bのアルゴリズムbに示すように調整領域61-63部分の好気雰囲気区画が増加するように制御することで、リン除去の改善を図る。
<水質状態III>
水質状態IIIは、NH計の計測値の移動平均値SNH4aveがNH4-N切替判定値NH4-Nref以下であり、かつPO計の計測値の移動平均値SPO4aveについてもPO4-P切替判定値PO4-Pref以下である水質状態である。すなわち、硝化、リン除去ともに十分な状態である。
水質状態IIIにおいてCin_ave≧Cin_refのとき、すなわち流入水の有機物濃度が高い場合、図2Aのアルゴリズムaに示すようにアンモニア、リン共に良好な状態のため、調整領域制御部20は、調整領域61-63部分の現在の状態を維持するように動作する。
また、水質状態IIIにおいてCin_ave<Cin_refのとき、すなわち流入水の有機物濃度が低い場合、調整領域制御部20は、図2Bのアルゴリズムbに示すように調整領域61-63部分の嫌気雰囲気区画が増加するように制御する。アルゴリズムbでは、水質状態Iと水質状態IIにおいてに調整領域61-63部分の好気区画(好気雰囲気である区画)を拡大するように制御が行われるため、アンモニアとリンとの両方が良好な状態である場合には、調整領域制御部20は調整領域61-63部分の嫌気区画(嫌気雰囲気である区画)を拡大するよう制御を行うこととしている。
次に、生物反応槽の調整領域61-63の各区画の状態切替の一例について説明する。
なお、第1区画61-第3区画63がとりうる処理雰囲気の組み合わせは、以下の4パターン(状態0-状態3)とする。
(状態0)第1区画61:嫌気、第2区画62:嫌気、第3区画63:嫌気
(状態1)第1区画61:嫌気、第2区画62:嫌気、第3区画63:好気
(状態2)第1区画61:嫌気、第2区画62:好気、第3区画63:好気
(状態3)第1区画61:好気、第2区画62:好気、第3区画63:好気
調整領域制御部20は、生物反応槽全体としての好気領域(好気領域70、および、調整領域61-63中の好気雰囲気の区画)を増やす判定となった場合に、生物反応槽を上述した状態0→状態1→状態2→状態3の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。例えば状態0における生物反応槽全体としての好気領域は、好気領域70である。状態1における生物反応槽全体としての好気領域は、好気領域70と、好気雰囲気の状態の第3区画63とになる。このように、調整領域制御部20は、第1区画61-第3区画63の雰囲気を制御することにより、生物反応槽全体としての好気領域を増やすことができる。なお、調整領域制御部20は、制御のタイミングで、生物反応槽の調整領域61-63において好気雰囲気の区画を増やす必要があり、現状の生物反応槽が状態3である場合には、これ以上調整領域61-63において好気雰囲気の区画を増やすことができないため、生物反応槽の状態を切替えることなく、生物反応槽を状態3のままとする。
調整領域制御部20は、生物反応槽全体としての嫌気領域(嫌気領域50、および、調整領域61-63中の嫌気雰囲気の区画)を増やす判定となった場合に、生物反応槽を上述した状態3→状態2→状態1→状態0の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。例えば状態3における生物反応槽全体としての嫌気領域は、嫌気領域50である。状態2における生物反応槽全体としての嫌気領域は、嫌気領域50と、嫌気雰囲気の状態の第1区画61とになる。このように、調整領域制御部20は、第1区画61-第3区画63の雰囲気を制御することにより、生物反応槽全体としての嫌気領域を増やすことができる。なお、調整領域制御部20は、制御のタイミングで、生物反応槽の調整領域61-63において嫌気雰囲気の区画を増やす必要があり、現状の生物反応槽が状態0の場合は、これ以上調整領域61-63において嫌気雰囲気の区画を増やすことができないため、生物反応槽の状態を切替えることなく、生物反応槽を状態0のままとする。
調整領域制御部20は、生物反応槽の調整領域を現状維持とする判定の場合に、生物反応槽の状態を切替えることなく維持する。
なお本実施形態では、調整領域制御部20は、生物反応槽の調整領域61-63の各区画の状態の切り替えを、1回の制御タイミングで1段階とする。
上記のように、本実施形態の有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムによれば、アンモニアの硝化性能を維持しながら、流入有機物濃度の大小にかかわらず、処理水のリンの安定化ならびに改善させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、従来の設備を利用しつつ、有機排水中から窒素およびリンを効率的に除去することを可能にする有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムを提供することができる。
図3は、第1実施形態の有機排水処理システムの他の構成例を概略的に示す図である。
図3に示す有機排水処理システムは、有機物濃度を測定する有機物濃度計に加えて、生物反応槽への流入流量を測定する流入流量計を備えている点において、図1の例と相違している。流入流量計の測定値は調整領域制御部20に供給される。
この場合、調整領域制御部20は、流入流量の測定値と有機物濃度の測定値とを乗じた有機物負荷量を算出し、流入有機物濃度判定値Cin_refに代えて流入有機物負荷量判定値を予め設定し、流入有機物負荷量判定値と流入有機物負荷量とを比較してアルゴリズムaとアルゴリズムbとを切り替えて、生物反応槽の調整領域61-63の状態を変更するように制御バルブB1-B3を制御することができる。この場合であっても、図1に示す例と同様の効果を得ることができる。
次に、第2実施形態の有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムを、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図4は、第2実施形態の有機排水処理システムの一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の有機排水処理システムは、流入有機物濃度計に代えて、嫌気領域50の領域内にORP計(第1測定器)を配置している点において上述の第1実施形態と異なっている。
本実施形態のORP計の計測値は、嫌気領域50における酸化還元電位(有機物濃度に相当する値)を示す。例えば、流入有機物濃度が高い場合は嫌気領域50にて計測されるORPが低下し、流入有機物濃度が低い場合は計測されるORPが高くなる。この特性を利用して、流入有機物濃度計の計測値の代わりにORP計の計測値を用いることができる。
本実施形態において、上述のアルゴリズムaとアルゴリズムbとの選択判定をORP計の測定値の移動平均値を用いて行う場合、調整領域制御部20は、ORP計の測定値移動平均値の移動平均値がORP切替判定値以下である場合、すなわち有機物濃度が高い場合にアルゴリズムaを選択し、ORP計の測定値の移動平均値がORP切替判定値より大きい場合、すなわち有機物濃度が低い場合にアルゴリズムbを選択する。このことにより、調整領域制御部20は上述の第1実施形態1と同様にアルゴリズムaとアルゴリズムbとの動作を行うことができる。なお。ORPの切替判定値は-250mV以上-100mV以下の範囲で設定することが望ましい。
上記のように、本実施形態の有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムによれば、上述の第1実施形態と同様に、アンモニアの硝化性能を維持しながら、流入有機物濃度の大小にかかわらず、処理水のリンの安定化ならびに改善させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、従来の設備を利用しつつ、有機排水中から窒素およびリンを効率的に除去することを可能にする有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムを提供することができる。
また、ORP計は有機物濃度計に比べ比較的安価で導入実績も多く、メンテナンスも有機物濃度計に比べ、簡易である。したがって、本実施形態によれば、より安価でかつメンテナンスも容易な有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムを提供することができる。
なお、図4に示した例では嫌気領域50における酸化還元電位を計測するORP計を備えた有機排水処理システムについて説明したが、ORP計と同様の特性(流入有機物濃度が高いほど計測値が低くなる)を備えた計測器を用いてもよい。例えば、本実施形態において、微生物の補酵素(有機物濃度に相当する値)を測定するNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)計を第1測定器としてORP計の代わりに用いても同様の効果を得ることができる。この場合、NADH計は、嫌気領域50の領域に配置され、嫌気領域50内の微生物の補酵素を測定する。
次に、第3実施形態の有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムについて図面を参照して説明する。
図5は、第3実施形態の有機排水処理システムの一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態において、生物反応槽は、反応タンクの前段(上流)から、嫌気領域50、調整領域61-63、好気領域70に区分されている。生物反応槽は、流入部において流入有機物濃度を測定する流入有機物濃度計と、好気領域70のアンモニア濃度を測定するアンモニア計(NH計)と、処理水(最終沈殿池出口水)の全窒素(TN:total nitrogen)濃度を測定する全窒素計(TN計)と、処理水の全リン(TP:total phosphorus)濃度を測定する全リン計(TP計)と、の複数のセンサを少なくとも備える。また、生物反応槽は、例えば溶存酸素濃度計(DO計)等の他のセンサを更に備え得る。
また、本実施形態の有機排水処理システムは、ポリ塩化アルミニウム(PAC)や硫酸バン土などの凝集剤を生物反応槽の好気領域70又は最終沈澱池へ注入し、リンを凝集沈殿処理させ除去するための凝集剤添加設備を有している。凝集剤添加設備は、例えば、凝集剤貯留槽と、凝集剤注入ポンプP2とを含む。
調整領域制御部20は、あらかじめ判定周期と制御周期とを任意に設定可能に構成されている。また、調整領域制御部20は、流入有機物濃度の切替判定値Cin_refと、アンモニア濃度の切替判定値NH4refと、全窒素濃度の切替判定値T-Nrefと、全リン濃度との切替判定値T-Prefとを任意に設定可能に構成されている。
調整領域制御部20に設定される判定周期は、数10分~1時間程度で設定することが望ましい。また、調整領域制御部20に設定される制御周期は、数時間から日オーダの周期で設定することが望ましい。ここで、判定周期とは、調整雰囲気の切替判断を行うタイミングを示している。制御周期とは、一旦、調整領域の状態を切り替えた後に次の切替を行うまでの周期を示す。すなわち、一旦、状態を切り替えた後は制御周期を迎えるまでは調整領域の状態の切替は行わない。一方、制御部で現状維持の判定が行われた場合は、次の判定周期のタイミングで再度、状態切替の判定を行う。
例えば、調整領域制御部20における状態切替の判定は、計測された瞬時値ではなく、各センサ計測値の移動平均値にて行われる。このため、調整領域制御部20は、各センサの移動平均値として、アンモニア計の計測値の移動平均値(SNH4ave)と、全窒素計の計測値の移動平均値(STNave)と、全リン計の計測値の移動平均値(STPave)と、流入有機物濃度計の計測値の移動平均値(Cin_ave)とを計算する。なお、調整領域制御部20は、上記移動平均値として制御周期分の移動平均値をそれぞれ計算する。例えば、制御周期が1日の場合は、調整領域制御部20は現在値から1日前までの移動平均値を計算する。
図6は、第3実施形態の有機排水処理方法の一例について説明するための図である。
調整領域制御部20は、計算した移動平均値と切替判定値との大小関係に基づいて、例えば図6に示す判定基準で第1区画61-第3区画63の状態の切替を行う。
先ず、調整領域制御部20は、全窒素濃度値の移動平均値STNaveと全窒素濃度の切替判定値T-Nrefとを比較する。
全窒素濃度値の移動平均値STNaveが全窒素濃度の切替判定値T-Nrefよりも大きいとき、調整領域制御部20は、さらにアンモニア濃度値の移動平均値SNH4aveとアンモニア濃度の切替判定値NH4refとを比較するとともに、全リン濃度値の移動平均値STPaveと全リン濃度の切替判定値T-Prefとを比較する。
アンモニア濃度値の移動平均値SNH4aveがアンモニア濃度の切替判定値NH4refよりも大きいときに、調整領域制御部20は、好気領域を増やすと判定する。好気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、好気領域が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。例えば、調整領域制御部20は、生物反応槽を上述した状態0→状態1→状態2→状態3の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行ってもよい。
アンモニア濃度値の移動平均値SNH4aveがアンモニア濃度の切替判定値NH4ref以下であるときに、調整領域制御部20は、微好気領域を増やすと判定する。微好気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、微好気領域が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きいときに、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を増やすと判定する。凝集剤供給量を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を増加させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であるときに、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を減らすと判定する。凝集剤供給量を減らす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を減少させる。
全窒素濃度値の移動平均値STNaveが全窒素濃度の切替判定値T-Nref以下であるとき、調整領域制御部20は、流入有機物濃度値の移動平均値Cin_aveと流入有機物濃度の切替判定値Cin_refとを更に比較する。
流入有機物濃度値の移動平均値Cin_aveが流入有機物濃度の切替判定値Cin_ref以上であるとき、調整領域制御部20は、全リン濃度値の移動平均値STPaveと、全リン濃度の切替判定値T-Prefとを更に比較する。また、調整領域制御部20は、嫌気領域が最大の状態であるか、および、凝集剤注入時であるかを判断する。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きく、かつ、嫌気領域が最大の状態であるとき、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を増やすと判定する。凝集剤供給量を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を増加させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きく、嫌気領域が最大の状態ではないとき、調整領域制御部20は、生物反応槽全体としての嫌気領域を増やすと判定する。嫌気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、嫌気雰囲気の状態の区画が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。嫌気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、例えば生物反応槽を上述した状態3→状態2→状態1→状態0の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行ってもよい。例えば状態3における生物反応槽全体としての嫌気領域は、嫌気領域50である。状態2における生物反応槽全体としての嫌気領域は、嫌気領域50と、嫌気雰囲気の状態の第1区画61とになる。このように、調整領域制御部20は、第1区画61-第3区画63の雰囲気を制御することにより、生物反応槽全体としての嫌気領域を増やすことができる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であり、かつ、凝集剤注入時であるときには、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を減らすと判定する。凝集剤供給量を減らす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を減少させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であり、かつ、凝集剤注入時でないときには、調整領域制御部20は、現状維持と判定する。現状維持の判定となったときに、調整領域制御部20は、制御バルブB1-B3および凝集剤注入ポンプP2の状態を変更せずに、次の判定周期のタイミングで再度、状態切替の判定を行う。
流入有機物濃度値の移動平均値Cin_aveが流入有機物濃度の切替判定値Cin_refより小さいとき、調整領域制御部20は、全リン濃度値の移動平均値STPaveと、全リン濃度の切替判定値T-Prefとを更に比較する。また、調整領域制御部20は、好気領域が最大の状態であるか、および、凝集剤注入時であるかを判断する。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きく、かつ、好気領域が最大の状態であるとき、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を増やすと判定する。凝集剤供給量を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を増加させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きく、かつ、好気領域が最大の状態でないとき、調整領域制御部20は、生物反応槽全体としての好気領域を増加すると判定する。好気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、好気雰囲気の状態の区画が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。例えば、調整領域制御部20は、生物反応槽を上述した状態0→状態1→状態2→状態3の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行ってもよい。例えば状態0における生物反応槽全体としての好気領域は、好気領域70である。状態1における生物反応槽全体としての好気領域は、好気領域70と、好気雰囲気の状態の第3区画63とになる。このように、調整領域制御部20は、第1区画61-第3区画63の雰囲気を制御することにより、生物反応槽全体としての好気領域を増やすことができる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であり、かつ、凝集剤注入時であるときには、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を減らすと判定する。凝集剤供給量を減らす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を減少させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であり、かつ、凝集剤注入時でないときには、調整領域制御部20は、嫌気領域を増やすと判定する。嫌気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、嫌気雰囲気の状態の区画が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。嫌気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、例えば生物反応槽を上述した状態3→状態2→状態1→状態0の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行ってもよい。例えば状態3における生物反応槽全体としての嫌気領域は、嫌気領域50である。状態2における生物反応槽全体としての嫌気領域は、嫌気領域50と、嫌気雰囲気の状態の第1区画61とになる。このように、調整領域制御部20は、第1区画61-第3区画63の雰囲気を制御することにより、生物反応槽全体としての嫌気領域を増やすことができる。
上記のように、本実施形態の有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムによれば、上述の第1実施形態と同様に、アンモニアの硝化性能を維持しながら、流入有機物濃度の大小にかかわらず、処理水のリンの安定化ならびに改善させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、従来の設備を利用しつつ、有機排水中から窒素およびリンを効率的に除去することを可能にする有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムを提供することができる。
次に、第4実施形態の有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プ老グラムについて図面を参照して説明する。
図7は、第4実施形態の有機排水処理システムの一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の有機排水処理システムは、流入有機物濃度計に代えて、嫌気領域50の領域内にORP計を配置している点において上述の第3実施形態と異なっている。本実施形態では、流入有機物濃度が高い場合はORPが低下し、流入有機物濃度が低い場合はORPが高くなる特性を利用して、調整領域制御部20が後述のように第1区画61-第3区画63の状態および凝集剤供給量を切り替える。
図8は、第4実施形態の有機排水処理方法の一例について説明するための図である。
なお、図8では、ORP計の計測値の移動平均値を「ORP」と表示している。
調整領域制御部20は、計算したセンサの計測値の移動平均値と切替判定値との大小関係に基づいて、例えば図8に示す判定基準で第1区画61-第3区画63の雰囲気の切替を行う。
先ず、調整領域制御部20は、全窒素濃度値の移動平均値STNaveと全窒素濃度の切替判定値T-Nrefとを比較する。
全窒素濃度値の移動平均値STNaveが全窒素濃度の切替判定値T-Nrefよりも大きいとき、調整領域制御部20は、さらにアンモニア濃度値の移動平均値SNH4aveとアンモニア濃度の切替判定値NH4refとを比較するとともに、全リン濃度値の移動平均値STPaveと全リン濃度の切替判定値T-Prefとを比較する。
アンモニア濃度値の移動平均値SNH4aveがアンモニア濃度の切替判定値NH4refよりも大きいときに、調整領域制御部20は、好気領域を増やすと判定する。生物反応槽全体としての好気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、好気雰囲気の状態の区画が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。例えば、調整領域制御部20は、生物反応槽を上述した状態0→状態1→状態2→状態3の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行ってもよい。例えば状態0における生物反応槽全体としての好気領域は、好気領域70である。状態1における生物反応槽全体としての好気領域は、好気領域70と、好気雰囲気の状態の第3区画63とになる。このように、調整領域制御部20は、第1区画61-第3区画63の雰囲気を制御することにより、生物反応槽全体としての好気領域を増やすことができる。
アンモニア濃度値の移動平均値SNH4aveがアンモニア濃度の切替判定値NH4ref以下であるときに、調整領域制御部20は、微好気領域を増やすと判定する。微好気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、微好気領域が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きいときに、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を増やすと判定する。凝集剤供給量を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を増加させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であるときに、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を減らすと判定する。凝集剤供給量を減らす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を減少させる。
全窒素濃度値の移動平均値STNaveが全窒素濃度の切替判定値T-Nref以下であるとき、調整領域制御部20は、ORP計の計測値の移動平均値ORPとORP値の切替判定値ORP_refとを更に比較する。
ORP計の計測値の移動平均値ORPがORP値の切替判定値ORP_ref以下であるとき、調整領域制御部20は、全リン濃度値の移動平均値STPaveと、全リン濃度の切替判定値T-Prefとを更に比較する。また、調整領域制御部20は、嫌気領域が最大の状態であるか、および、凝集剤注入時であるかを判断する。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きく、かつ、嫌気領域が最大の状態であるとき、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を増やすと判定する。凝集剤供給量を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を増加させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きく、嫌気領域が最大の状態ではないとき、調整領域制御部20は、生物反応槽全体として嫌気領域を増やすと判定する。嫌気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、嫌気雰囲気の状態の区画が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。嫌気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、例えば生物反応槽を上述した状態3→状態2→状態1→状態0の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行ってもよい。例えば状態3における生物反応槽全体としての嫌気領域は、嫌気領域50である。状態2における生物反応槽全体としての嫌気領域は、嫌気領域50と、嫌気雰囲気の状態の第1区画61とになる。このように、調整領域制御部20は、第1区画61-第3区画63の雰囲気を制御することにより、生物反応槽全体としての嫌気領域を増やすことができる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であり、かつ、凝集剤注入時であるときには、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を減らすと判定する。凝集剤供給量を減らす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を減少させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であり、かつ、凝集剤注入時でないときには、調整領域制御部20は、現状維持と判定する。現状維持の判定となったときに、調整領域制御部20は、制御バルブB1-B3および凝集剤注入ポンプP2の状態を変更せずに、次の判定周期のタイミングで再度、状態切替の判定を行う。
ORP計の計測値の移動平均値ORPがORP値の切替判定値ORP_refより大きいとき、調整領域制御部20は、全リン濃度値の移動平均値STPaveと、全リン濃度の切替判定値T-Prefとを更に比較する。また、調整領域制御部20は、好気領域が最大の状態であるか、および、凝集剤注入時であるかを判断する。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きく、かつ、好気領域が最大の状態であるとき、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を増やすと判定する。凝集剤供給量を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を増加させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Prefよりも大きく、かつ、好気領域が最大の状態でないとき、調整領域制御部20は、好気領域を増加すると判定する。好気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、好気領域が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。例えば、調整領域制御部20は、生物反応槽を上述した状態0→状態1→状態2→状態3の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行ってもよい。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であり、かつ、凝集剤注入時であるときには、調整領域制御部20は、凝集剤供給量を減らすと判定する。凝集剤供給量を減らす判定となったときに、調整領域制御部20は、凝集剤注入ポンプP2を制御して凝集剤の注入量を減少させる。
全リン濃度値の移動平均値STPaveが全リン濃度の切替判定値T-Pref以下であり、かつ、凝集剤注入時でないときには、調整領域制御部20は、嫌気領域を増やすと判定する。嫌気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、嫌気領域が段階的に増えるように制御バルブB1-B3の制御を行う。嫌気領域を増やす判定となったときに、調整領域制御部20は、例えば生物反応槽を上述した状態3→状態2→状態1→状態0の順に1段階ずつ切替えるように制御バルブB1-B3の制御を行ってもよい。
上記のように、本実施形態の有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムによれば、上述の第1実施形態と同様に、アンモニアの硝化性能を維持しながら、流入有機物濃度の大小にかかわらず、処理水のリンの安定化ならびに改善させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、従来の設備を利用しつつ、有機排水中から窒素およびリンを効率的に除去することを可能にする有機排水処理システム、有機排水処理方法、及び有機排水処理システムの制御プログラムを提供することができる。
なお、一般的に都市下水の処理施設においては、全窒素濃度≒アンモニア性窒素濃度+硝酸性窒素濃度の関係が成り立つため、上述の第3実施形態および第4実施形態の有機排水処理システムは、全窒素濃度に代えて硝酸性窒素濃度を測定するセンサ(測定器)を備えていてもよい。また、第1乃至第4実施形態において好気領域または、最終沈殿池出口に設置されているセンサは、好気領域よりも後段であればどの位置に設置しても構わない。
また、第3実施形態の有機排水処理システムにおいて、有機物濃度に変えて、反応タンクへの流入流量を測定する流入流量計を配置し、流入流量と有機物濃度を乗じた有機物負荷量にて切替判定を行うものであってもよい。
いずれの場合であっても、上述の第1乃至第4実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…切替判定値設定器、20…調整領域制御部、30…風量コントローラ、40…最初沈殿池、50…嫌気領域、61-63…調整領域、70…好気領域、80…最終沈殿池(固液分離槽)、A0-A5…散気板、B0-B5…制御バルブ、P1…返送汚泥ポンプ、P2…凝集剤注入ポンプ。

Claims (8)

  1. 被処理水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、調整領域および好気領域を順に備えた生物反応槽と、前記生物反応槽からの流出水を固液分離する固液分離槽と、を含み、前記調整領域が一又は複数の区画を含むプロセスに適用可能であって、
    前記生物反応槽に流入する有機物濃度又は前記有機物濃度に相当する値を測定する第1測定器と、
    前記好気領域または前記固液分離槽出口におけるアンモニア濃度を測定する第2測定器と、
    前記好気領域または前記固液分離槽出口における全リン濃度またはリン酸濃度を測定する第3測定器と、
    前記第1測定器、前記第2測定器、及び、前記第3測定器により測定された値に基づいて、前記区画を、独立して、嫌気雰囲気と、微好気雰囲気と、好気雰囲気との状態に切り替え可能な制御部と、を備えた有機排水処理システム。
  2. 前記生物反応槽は、前記調整領域の前段に嫌気領域を備え、
    前記第1測定器は、有機物濃度計、前記嫌気領域における前記被処理水の酸化還元電位を測定するORP計、又は、前記嫌気領域における前記被処理水の微生物の補酵素を測定するNADH計の少なくともいずれかである、請求項1記載の有機排水処理システム。
  3. 前記好気領域または前記固液分離槽出口における全窒素濃度を測定する全窒素濃度測定器を更に備え、
    前記制御部は、前記第1測定器と、前記第2測定器と、前記全窒素濃度測定器と、前記第3測定器とにより測定された値に基づいて、前記区画を、独立して、嫌気雰囲気と、微好気雰囲気と、好気雰囲気との状態に切り替え可能である、請求項1又は請求項2記載の有機排水処理システム。
  4. 前記生物反応槽への前記被処理水の流入流量を計測する流入流量計を更に備え、
    前記第1測定器は有機物濃度計であって、
    前記制御部は、前記流入流量と前記生物反応槽に流入する前記有機物濃度とを乗じた流入有機物負荷量を前記第1測定器により測定された値に代えて用いて、前記区画を、独立して、嫌気雰囲気と、微好気雰囲気と、好気雰囲気との状態に切り替え可能である、請求項1又は請求項3記載の有機排水処理システム。
  5. 前記生物反応槽または前記固液分離槽に凝集剤を供給する凝集剤添加設備を更に備えた、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の有機排水処理システム。
  6. 前記全窒素濃度測定器に代えて硝酸性窒素濃度を測定する測定器を備えた請求項3記載の有機排水処理システム。
  7. 被処理水の流れに沿った上流側から下流側に向かって、調整領域および好気領域を順に備えた生物反応槽と、前記生物反応槽からの流出水を固液分離する固液分離槽と、を含み、前記調整領域が一又は複数の区画を含むプロセスに適用可能であって、
    前記生物反応槽に流入する有機物濃度又は前記有機物濃度に相当する値を取得し、
    前記好気領域または前記固液分離槽出口におけるアンモニア濃度と、前記好気領域または前記固液分離槽出口における全リン濃度とリン酸濃度とのいずれかを取得し、
    取得した値に基づいて、前記区画を、独立して、嫌気雰囲気と、微好気雰囲気と、好気雰囲気との状態に切り替える、有機排水処理方法。
  8. 請求項7に記載の有機排水処理方法をコンピュータに実行させる、有機排水処理システムの制御プログラム。
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