JP5900098B2 - 窒素およびリンの除去装置ならびに除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒素およびリンの除去装置ならびに除去方法に関する。
排水を生物学的に処理する方法として、硝化菌によって排水中のアンモニア性窒素を硝酸性窒素または亜硝酸性窒素に酸化処理する方法が挙げられる。ここで、硝化反応には酸素が必要である。また、酸素源としては空気や高濃度酸素が用いられている。
また、さらに脱窒する方法としては、無酸素状態において脱窒菌の作用により排水を脱窒する方法が挙げられる。この脱窒は、活性汚泥を無酸素状態として処理する脱窒槽や、ろ材を用いて無酸素状態でろ過する装置等を用いて行うことができる。また、ここで、脱窒に有機物が不足する場合、有機物としてメタノール、酢酸ナトリウム、グルコースなどを添加する場合がある。
一方、リン酸態リンを含む排水を物理化学的に処理する方法として、アルミ系や鉄系の無機凝集剤を添加して固定化する方法がある。具体的には、例えば、生物学的に処理する活性汚泥槽に無機凝集剤を添加し、後段の沈殿池で固液分離する。一般的に無機凝集剤のランニングコストを低減する目的で、その添加量を制御する場合、排水量に対して流量比例制御を行ったり、無機凝集剤の有効成分(Al、Fe等)と排水中のリン酸態リンとのモル比を予め指定した制御を行ったり、この両方の制御を同時に行ったりすることが多い。また、排水(例えば下水処理場では最終沈殿池処理水)のリン酸態リン濃度を測定し、所定の濃度になるように無機凝集剤を添加する方法も行われている。
また、排水中からリンおよび窒素を除去する場合、上記のように無機凝集剤を添加した後、窒素を除去しようとしても、窒素の濃度が低下しない場合があった。これは窒素を生物学的に処理する場合、脱窒菌の活性を維持するためにリンが必要であり、無機凝集剤の添加量を多くし過ぎるとリンは除去されるものの、窒素は除去されなくなるためと考えられる(非特許文献1参照)。
また、これに関連して、特許文献1には、有機物、窒素化合物およびリン化合物を含有するし尿系汚水を生物学的に処理するとともに、3価の鉄系凝集剤を添加して前記リン化合物をリン酸鉄に不溶化させて分離除去するし尿系汚水の処理方法において、前記3価の鉄系凝集剤の添加により不溶化されずに溶解するリン分が2〜3ppmとなる範囲に前記3価の鉄系凝集剤の添加量および前記し尿系汚水のpHの少なくともいずれか一方を調整しつつ、このし尿系汚水に前記3価の鉄系凝集剤を添加するとともにpHを調整し、この3価の鉄系凝集剤が添加されたし尿系汚水を微生物にて生物学的硝化脱窒処理し、膜分離することを特徴としたし尿系汚水の処理方法が記載されている。そして、このような処理方法によれば、微生物による生物学的硝化脱窒の際の負荷を低減でき、効率よく有機物および窒素化合物を高度に除去でき、膜汚染も低減でき、微生物の栄養源として必要なリン源である不溶化されないで溶解するリン分が2〜3ppmとなる範囲に3価の鉄系凝集剤の添加量やpHの調節をするため、微生物に必要なリン分だけ残して微生物にて処理されないリン化合物や溶解性の有機物を不溶化させ、生物学的硝化脱窒処理の際の負荷を低減して効率よく有機物および窒素化合物を高度に除去でき、膜汚染も低減できると記載されている。
特許第3382766号公報
窒素除去技術集大成、株式会社シーエムシーセンター、1976年7月
しかしながら、従来法では、処理対象としての排水の流量、窒素濃度またはリン濃度が変化した場合、最終処理水におけるNOX−N濃度および/またはPO4−P濃度が、高レベルになってしまう場合があった。排水(例えば下水)は、人間の生活リズムによって、その流量、窒素濃度またはリン濃度が、数分〜1時間程度のレベルで変化するのが通常であり、従来法では、この変化に対応できず、河川等に放流する処理水のNOX−N濃度および/またはPO4−P濃度が高レベルになり、場合によっては放流基準値を超えてしまう場合があった。
なお、近年、閉鎖性水域等では富栄養化対策として窒素やリンの放流基準が見直され、下水処理場等では高度処理化が進み、厳しい基準を遵守する必要がある。
本発明は、窒素負荷量および/またはリン負荷量が、数分〜1時間程度のレベルで変動しても、放流する処理水におけるNOX−N濃度およびPO4−P濃度の両方を同時に低濃度にすることができる水処理方法、およびその方法を行うことができる水処理装置を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(9)である。
(1)アンモニア性窒素および/または有機性窒素と、リン酸態リンとを含む排水を生物学的に酸化処理し、その後、または前記酸化処理と同時に、前記排水に無機凝集剤を添加して前記リン酸態リンを固定化する硝化・脱リン工程と、
前記硝化・脱リン工程に供した後に得られる排水を固液分離し、その液体部分である処理後排水を得る固液分離工程と、
前記処理後排水を、生物学的に脱窒処理する脱窒工程と
を備え、
前記硝化・脱リン工程における前記酸化処理前の前記排水のリン酸態リン濃度および流量と、前記脱窒工程における前記脱窒処理前の前記処理後排水のリン酸態リン濃度、流量およびNOX−N濃度とを測定して、
前記硝化・脱リン工程における前記酸化処理前の前記排水のリン負荷量(I)と、前記脱窒工程における前記脱窒処理前の前記処理後排水のリン負荷量(II)および窒素負荷量とを求め、
窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、前記硝化・脱リン工程においてリン負荷量(I)を考慮して前記無機凝集剤を添加することで、前記脱窒工程における脱窒菌の脱窒作用を維持する、排水処理方法。
(2)前記硝化・脱リン工程において、窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値とリン負荷量(I)の値とから求められる理論値の1.0倍超4.0倍以下の量の無機凝集剤を添加する、上記(1)に記載の排水処理方法。
(3)窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値が15以上となるように前記硝化・脱リン工程においてリン負荷量(I)の値を考慮して前記無機凝集剤を添加する、上記(1)または(2)に記載の排水処理方法。
(4)前記脱窒工程における脱窒処理が、生物膜ろ過処理である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の排水処理方法。
(5)アンモニア性窒素および/または有機性窒素と、リン酸態リンとを含む排水を生物学的に酸化処理し、さらに前記リン酸態リンを固定化する無機凝集剤を添加するための無機凝集剤添加手段を備える硝化・脱リン槽と、
前記硝化・脱リン槽によって処理した後の排水を固液分離し、その液体部分を処理後排水として排出する固液分離機と、
前記処理後排水を生物学的に脱窒処理する脱窒装置とを有し、
さらに、前記硝化・脱リン槽によって酸化処理する前の前記排水のリン酸態リン濃度および流量を測定するためのリン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)と、
前記脱窒装置によって脱窒処理する前の前記処理後排水のリン酸態リン濃度、NOX−N濃度および流量を測定するためのリン酸態リン濃度測定手段(ii)、NOX−N濃度測定手段および流量測定手段(ii)とを有する、排水処理装置。
(6)窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値が15以上となるように、リン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)によって求められたリン負荷量(I)の値を考慮して、無機凝集剤添加手段による前記無機凝集剤の添加量を制御する制御手段[1]をさらに備える、上記(5)に記載の排水処理装置。
(7)窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、リン酸態リン濃度測定手段(ii)、NOX−N濃度測定手段および流量測定手段(ii)によって求められた窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値と、リン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)によって求められたリン負荷量(I)の値とから計算される理論値の1.0倍超4.0倍以下の量の無機凝集剤を添加するように制御する制御手段[2]をさらに有する、上記(5)または(6)に記載の排水処理装置。
(8)前記脱窒装置が下降流固定床方式である、上記(5)〜(7)のいずれかに記載の排水処理装置。
(9)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の排水処理方法を行うことができる、上記(5)〜(8)のいずれかに記載の排水処理装置。
本発明によれば、窒素負荷量および/またはリン負荷量が、数分〜1時間程度のレベルで変動しても、放流する処理水におけるNOX−N濃度およびPO4−P濃度の両方を同時に低濃度にすることができる水処理方法、およびその方法を行うことができる水処理装置を提供することができる。
本発明の装置の一態様を示す系統図である。 実施例において用いた本発明の装置の概略図である。 実施例における硝化・脱リン槽の流量変動パターンを示す図である。 実施例における脱窒ろ過搭の流量変動パターンを示す図である。 実験1の結果を示す図である。 実験1の別の結果を示す図である。 実施例および比較例における処理後排水のNOX−N濃度の変動パターンを示す図である。 実施例および比較例における無機添加剤(PAC)添加量を示す図である。 実施例および比較例における最終処理水のNOX−N濃度の変動パターンを示す図である。 実施例および比較例における最終処理水のリン酸態リン濃度(PO4−P)の変動パターンを示す図である。
本発明について説明する。
本発明は、アンモニア性窒素および/または有機性窒素と、リン酸態リンとを含む排水を生物学的に酸化処理し、その後、または前記酸化処理と同時に、前記排水に無機凝集剤を添加して前記リン酸態リンを固定化する硝化・脱リン工程と、前記硝化・脱リン工程に供した後に得られる排水を固液分離し、その液体部分である処理後排水を得る固液分離工程と、前記処理後排水を、生物学的に脱窒処理する脱窒工程とを備え、前記硝化・脱リン工程における前記酸化処理前の前記排水のリン酸態リン濃度および流量と、前記脱窒工程における前記脱窒処理前の前記処理後排水のリン酸態リン濃度、流量およびNOX−N濃度とを測定して、前記硝化・脱リン工程における前記酸化処理前の前記排水のリン負荷量(I)と、前記脱窒工程における前記脱窒処理前の前記処理後排水のリン負荷量(II)および窒素負荷量とを求め、窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、前記硝化・脱リン工程においてリン負荷量(I)を考慮して前記無機凝集剤を添加することで、前記脱窒工程における脱窒菌の脱窒作用を維持する、排水処理方法である。
このような排水処理方法を、以下では「本発明の方法」ともいう。
また、本発明は、アンモニア性窒素および/または有機性窒素と、リン酸態リンとを含む排水を生物学的に酸化処理し、さらに前記リン酸態リンを固定化する無機凝集剤を添加するための無機凝集剤添加手段を備える硝化・脱リン槽と、前記硝化・脱リン槽によって処理した後の排水を固液分離し、その液体部分を処理後排水として排出する固液分離機と、前記処理後排水を生物学的に脱窒処理する脱窒装置とを有し、さらに、前記硝化・脱リン槽によって酸化処理する前の前記排水のリン酸態リン濃度および流量を測定するためのリン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)と、前記脱窒装置によって脱窒処理する前の前記処理後排水のリン酸態リン濃度、NOX−N濃度および流量を測定するためのリン酸態リン濃度測定手段(ii)、NOX−N濃度測定手段および流量測定手段(ii)とを有する、排水処理装置である。
このような排水処理装置を、以下では「本発明の装置」ともいう。
また、以下において単に「本発明」と記した場合、「本発明の方法」および/または「本発明の装置」を意味するものとする。
本発明の方法は、本発明の装置によって好ましく実施することができる。
本発明について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の装置の一態様を示す系統図であり、本発明の装置は図1に示す態様に限定されるものではない。
図1に示す本発明の装置10(以下、単に「装置10」ともいう)は、除渣手段11、最初沈殿池12、反応タンク13、最終沈殿池14、脱窒装置15、PO4−P測定手段16、PO4−P測定手段17、NOX−N測定手段18、無機凝集剤添加手段19、有機物添加手段20、流量測定手段21および流量測定手段22からなる。
図1における反応タンク13は、本発明の装置における硝化・脱リン槽に相当し、最終沈殿池14は、本発明の装置における固液分離機に相当する。また、PO4−P測定手段16は、本発明の装置におけるリン酸態リン濃度測定手段(i)に相当し、PO4−P測定手段17は、本発明の装置におけるリン酸態リン濃度測定手段(ii)に相当し、NOX−N測定手段18は、本発明の装置におけるNOX−N濃度測定手段に相当し、流量測定手段21は、本発明の装置における流量測定手段(i)に相当し、流量測定手段22は、本発明の装置における流量測定手段(ii)に相当する。
また、本発明の装置において、装置10が有する除渣手段11、最初沈殿池12および有機物添加手段20は必須の構成要素ではないが、本発明の装置は、これらの構成要素を有することが好ましい。同様に、本発明の方法では、除渣手段による除渣、最初沈殿池による沈殿および有機物添加工程による有機物の添加を行うことが好ましい。
<排水>
本発明の処理対象(図1における排水2)は、アンモニア性窒素および/または有機性窒素とリン酸態リンとを含む排水であれば特に限定されないものの、生活排水、産業排水などの下水が好ましい。
また、本発明の処理対象である排水は、硝化・脱リン槽に入る直前(硝化・脱リン工程で処理する直前)において、リン酸態リン濃度(PO4−P濃度)が0.5〜5mg/L(好ましくは0.5〜3.5mg/L)であって、NH−N濃度が5〜50mg/L(好ましくは5〜35mg/L、より好ましくは5〜30mg/Lであることが好ましい。
<除渣手段>
図1に示す装置10において、排水2は、初めに、除渣手段11によって処理され、排水2に含まれる、装置の維持や運転上問題を引き起こす恐れのある成分が除去される。
本発明の装置10において除渣手段11は特に限定されず、例えば従来公知の除渣手段を用いることができる。例えば、機器の摩耗やポンプなどの閉塞の原因になりやすい木片やボロ布などの粗い浮上固形物を除去するスクリーンや、砂などを除去する除砂処理装置が挙げられる。
排水2から除去された、沈砂、スクリーン滓等3は、洗浄、脱水等の処理を行い処分する。
<最初沈殿池>
除渣手段11によって排水2に含まれる比較的大型のし渣等を取り除いた後、最初沈殿池12によって、除渣手段11によっては除去できなかった固形物を物理的に沈殿または浮上させて分離除去する。有機性の固形物を除去することで一部有機物(BOD)の除去も行えるため、後工程における処理の負荷を低減することができる。
本発明の装置10において最初沈殿池12は、一定以上の水面積負荷および沈殿時間とすることができ、固形物質を沈殿分離して沈殿物を底部から汚泥4として引き抜くことができるものであれば特に限定されず、例えば従来公知のものを用いることができ、例えばシックナーを用いることができる。
底部から引き抜いた汚泥4は、汚泥処理装置7によって処理する。
<反応タンク>
除渣手段11および最初沈殿池12によって、し渣等を取り除いた後の排水2を反応タンク13へ流入させる。反応タンク13は活性汚泥法によって排水2を処理する曝気槽であり、その底部には散気装置を備える。この散気装置によって内部の液体を曝気して、活性汚泥に含まれる好気性微生物を、排水2に含まれる有機成分および窒素成分等へ作用させる。活性汚泥に含まれる好気性微生物は、アンモニア性窒素および/または有機性窒素と炭素源とを酸化することで細胞合成のエネルギーを得る硝酸菌(Nitrobacter)および/または亜硝酸菌(Nitorosomonas)を含むものである。
反応タンク13の内部では、排水2が生物学的に酸化処理され、排水2に含まれるアンモニア性窒素および/または有機性窒素が、硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素へ変換される。
反応タンク13での攪拌は、浮遊フロックが過度にせん断されず、かつ沈殿しない程度であれば特に限定されない。
また、MLSSも特に限定されず従来公知の程度であってよく、例えば2,000mg/L程度とすることが好ましい。
また、溶存酸素濃度は、活性汚泥が活動するのに必要な濃度(例えば1〜2mg/L)以上となるように、活性汚泥の酸素利用速度よりも大きい速度で酸素を供給すればよい。
酸素源としては空気や高濃度酸素を用いることができる。高濃度酸素を曝気して用いる場合は曝気ガスを循環して用いてよく、循環ガス中に高濃度酸素を適宜注入しながら、その分の体積のガスを排気することが好ましい。また、高濃度酸素を用いて曝気せずに撹拌によって酸素を溶解させる方法であっても良い。
エアレーション時間(HRT)も特に限定されず、反応タンク13へ流入した排水2に含まれるアンモニア性窒素および/または有機性窒素を、硝酸性窒素および/または亜硝酸性窒素へ酸化することができる時間であればよい。排水2が下水の場合、3〜24時間程度であることが好ましい。
汚泥令も特に限定されず、従来公知の時間であってよく、活性汚泥の沈殿性等が悪化しないような時間が好ましい。活性汚泥の平均滞留時間(SRT)も特に限定されず、従来公知の時間であってよい。
また、反応タンク13では活性汚泥により処理を行うが、処理機能を向上させるために担体を投入してもよい。これによって、処理時間の短縮や処理水質の高度化を目的として、活性汚泥の高濃度化を図ることができる。担体を添加した生物処理としては固定床法や流動床法が挙げられる。担体の態様は特に限定されず、例えば形状については球状、ペレット状、中空筒状、立方体または直方体などであってよい。
本発明の装置10が備える反応タンク13は、さらに無機凝集剤添加手段19を備えている。無機凝集剤は、排水2に含まれるリン酸態リンと反応し、これを固定化することを目的として、反応タンク13へ投入される。反応タンク13内の処理は好気性で行われるので、反応タンク13の上部を開放して、無機凝集剤を添加することができる。
また、無機凝集剤は、反応タンク13の最終部において添加することが好ましい。反応タンク最終部は無機凝集剤と排水とが十分混合され、さらに、過度の撹拌によってフロックの微細化を起こさないためである。
無機凝集剤添加手段19は、所望の量の無機凝集剤を反応タンク13へ投入することができる装置等であれば特に限定されない。例えば無機凝集剤を貯留することができ、凝集剤を連続添加できる、凝集剤添加ポンプを用いることができる。
無機凝集剤は排水2に含まれるリン酸態リンと反応し、固定化することができるものであれば特に限定されず、アルミ系のPAC(ポリ塩化アルミニウム)、硫酸ばん土、LAC(塩化アルミニウム)や、鉄系の塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などを用いることができるが、PACを用いることが好ましい。
このような反応タンク13からは、リンを固定化した無機凝集剤および活性汚泥の一部を含む活性汚泥処理後の排水が排出される。
なお、反応タンク13は、例えば脱窒槽と硝化槽とに分かれた態様でもよい。また、反応タンク13と分離した脱窒槽が、最初沈殿池12と反応タンク13との間に配置されていてもよい。
ここで脱窒槽は従来公知の脱窒を行うことができる槽であればよく、例えば、内部が嫌気性雰囲気(無酸素状態)であり、脱窒菌の生物反応を利用して排水2に含まれる窒素成分の少なくとも一部をN2とすることができるものが挙げられる。
このような無機凝集剤添加手段19を備えた反応タンク13を用いて、本発明の方法における硝化・脱リン工程を行うことが好ましい。
なお、本発明の装置における硝化・脱リン槽は、反応タンク13であることが好ましいが、これに限定されず、アンモニア性窒素および/または有機性窒素と、リン酸態リンとを含む排水を生物学的に酸化処理し、さらに前記リン酸態リンを固定化する無機凝集剤を添加するための無機凝集剤添加手段を備えるものであればよい。
酸素供給方法についても特に限定されず、上記の装置10が具備する散気方式の他、機械攪拌方式であってもよい。
<最終沈殿池>
反応タンク13から排出された、リンを固定化した無機凝集剤および活性汚泥の一部を含む活性汚泥処理後の排水を、最終沈殿池14へ流入させる。そして、固液分離し、その液体部分である上澄水(処理後排水)を、次の脱窒装置15へ流入させる。また、最終沈殿池14において沈殿分離された固形分は、最終沈殿池14の底部から汚泥として引き抜かれる。そして、その一部は返送汚泥6として反応タンク13へ返送され、残部は余剰汚泥5として、汚泥処理装置7で処理される。
最終沈殿池14は前述の最初沈殿池12と同様の態様であってよく、例えば従来公知のものを用いることができる。
このような最終沈殿池14を用いて、本発明の方法における固液分離工程を行うことが好ましい。
なお、本発明の装置における固液分離機は、上記の最終沈殿池14であることが好ましいが、これに限定されず、前記硝化・脱リン槽によって処理した後の排水を固液分離し、その液体部分を処理後排水として排出できるものであればよい。
<脱窒装置>
最終沈殿池14によって分離された上澄水(処理後排水)を脱窒装置15へ流入させ、これを生物学的に脱窒処理する。
脱窒装置15は特に限定されず、従来公知の脱窒を行うことができる装置を用いることができる。例えば、密閉して内部を嫌気性雰囲気(無酸素状態等)とし、脱窒菌の生物反応を利用して処理後排水に含まれる窒素成分の少なくとも一部を窒素ガス(N2)とすることができるものが挙げられる。具体的には、微生物を固定化したろ材によるろ過法や微生物固定化担体を用いて槽内を無酸素状態で撹拌する技術などを適用することもできる。また、下降流固定床方式の脱窒ろ過搭を好ましく用いることができる。
脱窒装置15は、このようにして脱窒した最終処理水8を排出する。
このような脱窒装置15を用いて、本発明の方法における脱窒工程を行うことが好ましい。
<有機物添加手段>
本発明の装置15は、脱窒装置15へ流入する上澄水(処理後排水)へ有機物を添加する有機物添加手段20を備える。脱窒装置15の内部の脱窒菌が硝酸等を窒素ガスに変換するためには水素源が必要であり、その大部分は処理後排水中の有機物から得ることができるが、不足する場合は、それを補うように有機物を添加することが好ましい。有機物としてはメタノ−ル、エタノ−ル、低級脂肪酸等が利用できるが、経済面からメタノールを用いることが好ましい。
有機物添加手段15によって、脱窒装置15の内部へ直接メタノール等の有機物を添加してもよい。
<リン酸態リン濃度測定手段、NOX−N濃度測定手段>
本発明の装置10はPO4−P測定手段16および流量測定手段21を有する。これによって、反応タンク13に流入する直前の排水2に含まれるリン酸態リン濃度と、その流量とを測定することができる。そして、リン酸態リン濃度と流量との積であるリン負荷量(I)の値(実績値)を求めることができる。
また、本発明の装置10はPO4−P測定手段17および流量測定手段22を有する。これによって、脱窒装置15へ流入する直前の処理後排水に含まれるリン酸態リン濃度と、その流量とを測定することができる。そして、リン酸態リン濃度と流量との積であるリン負荷量(II)の値(実績値)を求めることができる。
また、本発明の装置10はNOX−N測定手段18を有する。これによって、脱窒装置15へ流入する直前の処理後排水に含まれるNOX−N濃度(NO3−N濃度とNO2−N濃度との合計)を測定することができる。そして、NOX−N濃度と、流量測定手段22によって測定した流量との積である窒素負荷量の値(実績値)を求めることができる。
PO4−P測定手段16およびPO4−P測定手段17としては、例えば従来公知のリン酸態リン濃度計を用いることができる。
また、NOX−N測定手段18としては、例えば従来公知のNOX−N濃度計を用いることができる。
また、流量測定手段21および流量測定手段22としては、例えば従来公知の流量計を用いることができる。
なお、本発明の装置10では、PO4−P測定手段16は反応タンク13の直前に配置されているが、本発明の装置においてリン酸態リン濃度測定手段(i)は、硝化・脱リン槽に流入する排水のリン酸態リン濃度を把握することができる手段であれば、必ずしも硝化・脱リン槽の直前に配置されていなくてよい。例えば、最初沈殿池12よりも前工程においてPO4−P濃度を測定しても良い。流量においても同じく、必ずしも図1に示す流量測定手段21と同じ場所にある必要はなく、硝化・脱リン槽に流入する流量を把握することができる手段であれば、必ずしも硝化・脱リン槽の直前に配置されていなくてよい。例えば、除渣手段11の前段でも良いし、最初沈殿池12よりも前工程において排水の流量を測定し、最初沈殿池12の汚泥引抜量を減じて、その値が硝化・脱リン槽へ流入するとしてもよい。
このように、本発明の装置においてリン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)は、硝化・脱リン槽によって酸化処理する前段階のいずれかの箇所において、前記排水のリン酸態リン濃度および流量を測定して、硝化・脱リン槽に流入する排水のリン酸態リン濃度および流量を把握することができる手段であればよい。
また、本発明の方法においても同様であり、硝化・脱リン工程における酸化処理の前段階のいずれかの箇所において、前記排水のリン酸態リン濃度および流量を測定して、硝化・脱リン工程における酸化処理前の排水のリン負荷量(I)を求める。
また、PO4−P測定手段17、NOX−N測定手段18および流量測定手段22についても同様であり、脱窒装置15へ流入する直前の処理後排水に含まれるリン酸態リン濃度、NOX−N濃度および流量を把握することができる手段であれば、必ずしも脱窒装置の直前に配置されていなくてよい。
本発明の装置10では、PO4−P測定手段17、NOX−N測定手段18および流量測定手段22によってリン負荷量(II)の実績値および窒素負荷量の実績値を求める。そして、窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、反応タンク13へ無機凝集剤を添加する。ここで、PO4−P測定手段16および流量測定手段21によって測定したリン負荷量(I)の実績値を考慮することが必要である。
例えばPO4−P測定手段17、NOX−N測定手段18および流量測定手段22によって求めた窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値と異なる場合、PO4−P測定手段16および流量測定手段21によって測定したリン負荷量(I)の実績値を考慮して無機凝集剤の添加量を変更することで、窒素負荷量/リン負荷量(II)の値が目標値となるように、数分〜1時間程度で調整することができる。
ここで、窒素負荷量/リン負荷量(II)の目標値は、10以上とすることが好ましく、17以上とすることがより好ましく、20程度とすることがさらに好ましい。また、100以下とすることが好ましく、60以下とすることがより好ましく30以下とすることがさらに好ましい。
本発明者は鋭意検討し、窒素負荷量/リン負荷量(II)の目標値を上記の値とし、その実績値を調整すると、脱窒装置15における脱窒菌を活発に活動させ、脱窒作用を良好に保持することができ、かつ、最終処理水8のリン濃度を低くすることができることを見出した。
本発明の脱窒装置15において、脱窒菌による脱窒にはリンが必要である。無機凝集剤の添加量が多すぎると脱窒装置15に流入する処理排水中のリン濃度が低くなり過ぎ、脱窒装置における脱窒菌の脱窒作用が進行しなくなってしまう。逆に、無機凝集剤の添加量が少なすぎると、脱窒装置15から排出される最終処理水8にリン濃度が高くなり過ぎてしまう。
本発明者は鋭意検討し、従来法のように、処理対象である排水(図1における排水2)のリン濃度または処理後排水のリン濃度のみからから判断して無機凝集剤を添加しても、排水の流量または窒素濃度が変化した場合に、最終処理水8におけるリン濃度または窒素濃度が高まって、場合によっては基準値を超えてしまうことを見出した。具体的には、排水のリン濃度または処理後排水のリン濃度のみから判断して無機凝集剤を添加すると、窒素負荷量が高い場合は脱窒装置における脱窒に必要なリンが不足して最終処理水中の窒素濃度が高まり、逆に、窒素負荷量が低い場合は脱窒装置における脱窒に必要なリンが過剰となるので、最終処理水中のリン濃度が高まることを見出した。
また、上記のように、本発明者は、窒素負荷量/リン負荷量(II)の好ましい目標値をも見出した。
本発明の装置は、リン酸態リン濃度測定手段(ii)、NOX−N濃度測定手段および流量測定手段(ii)によって求められた窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値が15以上となるように、リン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)によって求められたリン負荷量(I)の値を考慮して、無機凝集剤添加手段による前記無機凝集剤の添加量を制御する制御手段[1]をさらに備えることが好ましい。ここで制御手段[1]は、自動制御手段であることがより好ましい。
また、窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値とリン負荷量(I)の値とから求められる理論値の1.0倍超4.0倍以下の量の無機凝集剤を添加することが好ましい。
例えば、無機凝集剤としてPACを用いる場合、リンとPAC中のAlとは1:1のモル比で結合するため、リン負荷量(I)の実績値と、PAC中のAl濃度とから、目標値の窒素負荷量/リン負荷量(II)とするためのPAC添加量を計算して理論値を算出できる。しかしながら、本発明において、この理論上のPAC添加量を添加しても、目標値の窒素負荷量/リン負荷量(II)とはならない場合があり、その理論値の1.0倍超4.0倍以下の量のPACを添加しなければならないことを、本発明者は見出した。
本発明の装置は、窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、リン酸態リン濃度測定手段(ii)、NOX−N濃度測定手段および流量測定手段(ii)によって求められた窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値と、リン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)によって求められたリン負荷量(I)の値とから計算される理論値の1.0倍超4.0倍以下の量の無機凝集剤を添加するように制御する制御手段[2]をさらに有することが好ましい。ここで制御手段[2]は、自動制御手段であることがより好ましい。
このような本発明によって得られる最終処理水8は、必要に応じて塩素剤や紫外線によって消毒処理した後、河川等に放流する。
下水処理施設の最初沈殿池処理水を処理対象とし、図2に示す装置30によって処理した。
図2に示す装置30は、し渣分離機31、脱窒槽33、硝化・脱リン槽35、最終沈殿池37および脱窒ろ過搭39からなる。
装置30において、下水処理施設の最初沈殿池処理水(以下「処理対象水」ともいう)は、初めに、し渣分離機31で処理されて、し渣が除去され、次に、脱窒槽33で脱窒され、その後、硝化・脱リン槽35で硝化される。また、硝化・脱リン槽35の最終端部において無機凝集剤であるPAC(ポリ塩化アルミニウム)を添加することでリン成分を捕捉して、最終沈殿池37において沈殿分離することができる。そして最終沈殿池37の上澄水を脱窒ろ過搭39に通過させて脱窒し、窒素およびリンの濃度が低減された最終処理水が得られる。脱窒ろ過搭39は下降流固定床方式の脱窒装置である。
このような装置30を用いて、後述する実験例1、実施例1、比較例1および比較例2を行った。
装置30では、脱窒槽33に流入する対象処理水について、リン酸態リン濃度計を用いてリン酸態リン濃度(PO4―P濃度)を測定した。ここで、サンプリング周期を30分として自動測定した。また、リン酸態リン濃度計を用いてリン酸態リン濃度を測定した箇所において、従来公知の流量計を用いて、対象処理水の流量を測定した。
また、硝化・脱リン槽35では、MLSSを2000mg/L程度に維持しながら生物処理した。
また、最終沈殿池37の上澄水におけるNOX−N濃度をNOX−N濃度計を用いて常時自動で測定した。そして、その測定結果に基づいて、脱窒ろ過搭39における脱窒に必要な有機物としてメタノール添加量を算出し、必要量のメタノールを添加した。また、最終沈殿池37の上澄水については、NOX−N濃度の他に、リン酸態リン濃度計を用いてリン酸態リン濃度も測定した。また、リン酸態リン濃度計を用いてリン酸態リン濃度を測定した箇所において、公知の流量計を用いて、上澄水の流量を測定した。
また、最終沈殿池37の底部から引き抜いた汚泥の一部は脱窒槽33へ返送し、残部は余剰汚泥として系外へ排出した。
また、硝化・脱リン槽35の処理量は165m3/日とし、最終沈殿池37の上澄水の一部である10.6m3/日を脱窒ろ過搭39へ通過させた。そして、経験的な日間流量変動に合わせて流量を毎時変更させた。硝化・脱リン槽35の流量変動パターンを図3に示す。また、脱窒ろ過搭39の流量変動パターンを図4に示す。
装置30における、し渣分離機31、脱窒槽33、硝化・脱リン槽35、最終沈殿池37および脱窒ろ過搭39ならびにリン酸態リン濃度計およびNOX−N濃度計の各々は、具体的には次のようなものである。
[し渣分離機]
実施例では1mm目の振動ふるいを用いた。目幅2mm以下の可動式のバースクリーンでもよい。
[脱窒槽]
脱窒槽は撹拌機を設置して無酸素状態にした。
脱窒槽容量:5m3
HRT:0.75時間
[硝化・脱リン槽]
硝化槽容量:10m3
HRT:1.5時間
硝化担体:球状PEG担体
担体充填量:20vol%対硝化槽容量
酸素ガス発生装置:PSA(Pressure
Swing Adsorption)
PAC注入ポンプ:ダイヤフラム式薬注ポンプ
曝気方法:高濃度酸素循環曝気方式
[最終沈殿池]
最終沈殿池容量:27m3
水面積負荷:16m3/(m3・日)
[脱窒ろ過搭]
脱窒ろ過塔:φ300mm円筒形
脱窒ろ材:石炭系脱窒ろ材
ろ材粒径:3mm
ろ層厚:2m
[リン酸態リン濃度計]
モリブデンイエロー法オンライン測定器(サンプリングろ過装置付)
[NOX−N濃度計]
紫外・可視吸光高度法連続測定器
<実験1:窒素負荷量/リン負荷量の最適値の究明>
硝化・脱リン槽35におけるPAC添加量を変化させ、脱窒ろ過塔39での窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値と、最終処理水のNOX−N濃度およびPO4−P濃度との関係を求めた。実験では約7か月間、連続運転を行った。また、採水は午前8時に、週に2回行った。また、脱窒ろ過塔39に流れ込む上澄水および最終処理水の採水は、スポット採水ではなく、サンプリング前日午前9時から1時間毎に採水可能な自動採水器を用いてコンポジット採水を実施した。
結果を図5、図6に示す。
窒素負荷量/リン負荷量(II)と、最終処理水のNOX−N濃度との関係を示す図5から、実験1の場合は、窒素負荷量/リン負荷量(II)が25を超えると、最終処理水におけるNOX−N濃度が高まると言える。また、逆に、最終処理水におけるNOX−N濃度を1.0mg/L以下にするためには、窒素負荷量/リン負荷量(II)を20程度にする必要があるといえる。
また、窒素負荷量/リン負荷量(II)と、最終処理水のPO4−P濃度との関係を示す図6から、実験1の場合は、窒素負荷量/リン負荷量(II)が17未満であると、最終処理水におけるPO4−P濃度が高まると言える。また、逆に、最終処理水におけるPO4−P濃度を0.4mg/L以下にするためには、窒素負荷量/リン負荷量(II)を20程度にする必要があるといえる。
次に、上記の実験1の結果に基づいて、実施例1、比較例1および比較例2を行った。
なお、実験は降雨の影響を避ける目的で、無降雨が連続5日以上続いた後に、実施例1、比較例1、比較例2の順序で24時間実験を実施した。
また、最終処理水におけるNOX−N濃度の目標値を1mg/L、PO4−Pの目標値を0.4mg/Lとした。
<実施例1>
最終沈殿池37の上澄水の流量およびNOX−N濃度(mg/L)を測定して窒素負荷量を計算し、この負荷の1/20のリン負荷に相当するリンが脱窒ろ過搭39において必要なリン酸態リン濃度(mg/L)であるとした。すなわち、窒素負荷量/リン負荷量(II)の目標値を20とした。
ここで、脱窒槽33に流入する処理水のリン負荷量(I)ならびに窒素負荷量/リン負荷量(II)の目標値および実績値から求められる理論的なPAC添加量の3倍量を添加した。ただし、生物処理工程であるため、リン酸態リン濃度の測定点及びPAC注入点の時間差(タイムラグ)が大きいので、一定のモル比のPACを添加してもリンが取れすぎる可能性もあることから、脱窒ろ過搭39流入水のリン酸態リンが最低0.5mg/L以上は残留するように制御した。すなわち、0.5mg/Lを下回るときはPAC添加量をAl/Pモル比一定の添加量ではなく、添加量を減じて、0.5mg/L以上は残留するようにした。
なお、今回硝化槽での曝気方式は高濃度酸素循環方式を採用しため、ガス中の二酸化炭素が水に溶解してアルカリ度が高くなる。無機凝集剤はアルカリ度に消費されやすいため、実施例ではAl/Pの比で3倍量を要した。この必要モル比は事前のジャーテスト(テーブルテスト)にて決定した。無機凝集剤自体の添加モル比は施設や処理条件によってジャーテストによって決める必要がある。
<比較例1>
脱窒槽33の流入水のリン酸態リン濃度および流量からリン負荷量を求め、最終処理水におけるリン酸態リン濃度(PO4−P)が処理目標値の0.4mg/Lとなるように硝化・脱リン槽35へPACを添加した。すなわち、比較例1においては、NOX−N濃度を考慮していない。また、脱窒ろ過搭39へ流入する処理後排水におけるリン酸態リン濃度についても考慮していない。
ここで、脱窒槽33の流入水のリン酸態リン濃度と、0.4mg/Lとの差から計算される除去する必要のあるリン酸態リンに対して、Al/Pモル比の3倍量を添加した。
<比較例2>
脱窒ろ過搭39へ流入する処理後排水(最終沈殿池37の上澄水)のリン酸態リン濃度(PO4−P)を測定し、これが1.0mg/Lとなるように硝化・脱リン槽35へPACを添加した。すなわち、比較例2においては、NOX−N濃度を考慮していない。また、脱窒槽33の流入水のリン酸態リン濃度についても考慮していない。
<実施例1、比較例1および比較例2の対比>
実施例1、比較例1および比較例2の3回の実験において、処理対象水(図2における最初沈殿池処理水)の水質は概ね違いがなく、その変動パターンも同等であった。脱窒槽33に流入する処理水のリン酸態リン濃度および最終沈殿池37から脱窒ろ過搭39へ流れ込む上澄水(処理後排水)のNOX−N濃度の変動パターンを図7に示す。
実施例1、比較例1および比較例2の各々におけるPAC添加量を図8に示す。
PAC添加量は、実施例1に対して比較例1は多くなり、比較例2は逆に少なくなった。PACの価格を50円/kgとすると、1日当たりのコストは次の第1表に示すようになる。
Figure 0005900098
実施例1、比較例1および比較例2の各々における最終処理水のNOX−N濃度およびリン酸態リン濃度(PO4−P)の変動パターンを図9および図10に示す。
図9に示すように、実施例1および比較例2では、水質測定を行った全ての時刻において、NOX−N濃度が目標値の1.0mg/L以下となった。これは、実施例1および比較例2の場合はPAC添加量が適量またはそれ以下であったため、脱窒ろ過搭における脱窒菌の活動に必要なリンが十分量供給されたためと考えられる。これに対して比較例1では、窒素負荷量の高い時刻において、NOX−N濃度が目標値を大きく超えた。これはPAC添加量が多かったため、脱窒ろ過搭における脱窒菌の活動に必要なリンが不十分になったためと考えられる。
また、図10に示すように、実施例1および比較例1では、水質測定を行った全ての時刻において、PO4−P濃度が目標値の0.4mg/L以下となった。これは、実施例1および比較例1の場合はPAC添加量が適量またはそれ以上であったためと考えられる。これに対して比較例2では、窒素負荷の低い時刻において、PO4−P濃度が目標値を大きく超えた。これは窒素負荷量の低い時刻において脱窒ろ過搭における脱窒菌のリンの消費量が減少したためと考えられる。
このように、本発明の範囲内である実施例1の場合、常に、最終処理水のNOX−N濃度およびPO4−P濃度が低レベルにすることができた。また、PAC添加量を必要最小限にすることができるので、無機凝集剤のランニングコストも低位とすることができる。
2 排水
3 沈砂、スクリーン滓等
4 汚泥
5 余剰汚泥
6 返送汚泥
7 汚泥処理装置
8 最終処理水
10 本発明の装置
11 除渣手段
12 最初沈殿池
13 反応タンク
14 最終沈殿池
15 脱窒装置
16 PO4−P測定手段
17 PO4−P測定手段
18 NOX−N測定手段
19 無機凝集剤添加手段
20 有機物添加手段
21 流量測定手段
22 流量測定手段
30 本発明の装置
31 し渣分離機
33 脱窒槽
35 硝化・脱リン槽
37 最終沈殿池
39 脱窒ろ過搭

Claims (7)

  1. アンモニア性窒素および/または有機性窒素と、リン酸態リンとを含む排水を生物学的に酸化処理し、その後、または前記酸化処理と同時に、前記排水に無機凝集剤を添加して前記リン酸態リンを固定化する硝化・脱リン工程と、
    前記硝化・脱リン工程に供した後に得られる排水を固液分離し、その液体部分である処理後排水を得る固液分離工程と、
    前記処理後排水を、生物学的に脱窒処理する脱窒工程と
    を備え、
    前記硝化・脱リン工程における前記酸化処理前の前記排水のリン酸態リン濃度および流量と、前記脱窒工程における前記脱窒処理前の前記処理後排水のリン酸態リン濃度、流量およびNOX−N濃度とを測定して、
    前記硝化・脱リン工程における前記酸化処理前の前記排水のリン負荷量(I)と、前記脱窒工程における前記脱窒処理前の前記処理後排水のリン負荷量(II)および窒素負荷量とを求め、
    前記脱窒処理前の前記処理後排水にリン酸態リンが0.5mg/L以上残留するように前記無機凝集剤を添加し、前記硝化・脱リン工程において、窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値とリン負荷量(I)の値とから求められる理論値の1.0倍超4.0倍以下の量の前記無機凝集剤を添加することで、前記脱窒工程における脱窒菌の脱窒作用を維持する、排水処理方法。
  2. 窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値が15以上となるように前記硝化・脱リン工程においてリン負荷量(I)の値を考慮して前記無機凝集剤を添加する、請求項1に記載の排水処理方法。
  3. 前記脱窒工程における脱窒処理が、生物膜ろ過処理である、請求項1または2に記載の排水処理方法。
  4. アンモニア性窒素および/または有機性窒素と、リン酸態リンとを含む排水を生物学的に酸化処理し、さらに前記リン酸態リンを固定化する無機凝集剤を添加するための無機凝集剤添加手段を備える硝化・脱リン槽と、
    前記硝化・脱リン槽によって処理した後の排水を固液分離し、その液体部分を処理後排水として排出する固液分離機と、
    前記処理後排水を生物学的に脱窒処理する脱窒装置とを有し、
    さらに、前記硝化・脱リン槽によって酸化処理する前の前記排水のリン酸態リン濃度および流量を測定するためのリン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)と、
    前記脱窒装置によって脱窒処理する前の前記処理後排水のリン酸態リン濃度、NOX−N濃度および流量を測定するためのリン酸態リン濃度測定手段(ii)、NOX−N濃度測定手段および流量測定手段(ii)とを有し、
    請求項1〜3のいずれかに記載の排水処理方法を行うことができる、排水処理装置。
  5. 窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値が15以上となるように、リン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)によって求められたリン負荷量(I)の値を考慮して、無機凝集剤添加手段による前記無機凝集剤の添加量を制御する制御手段[1]をさらに備える、請求項に記載の排水処理装置。
  6. 窒素負荷量/リン負荷量(II)が目標値となるように、リン酸態リン濃度測定手段(ii)、NOX−N濃度測定手段および流量測定手段(ii)によって求められた窒素負荷量/リン負荷量(II)の実績値と、リン酸態リン濃度測定手段(i)および流量測定手段(i)によって求められたリン負荷量(I)の値とから計算される理論値の1.0倍超4.0倍以下の量の無機凝集剤を添加するように制御する制御手段[2]をさらに有する、請求項4または5に記載の排水処理装置。
  7. 前記脱窒装置が下降流固定床方式である、請求項4〜6のいずれかに記載の排水処理装置。
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